JP2007039269A - 電極被覆用ガラスおよびプラズマディスプレイ装置 - Google Patents

電極被覆用ガラスおよびプラズマディスプレイ装置 Download PDF

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Abstract

【課題】プラズマディスプレイ装置の前面基板等の電極被覆ガラス層を鉛を含有しないものとする。
【解決手段】下記酸化物基準のモル%表示で、B 15〜65%、SiO 2〜30%、MgO+CaO+SrO+BaO 5〜45%、LiO+NaO+KO 2〜25%、Al 0〜30%、Bi 0.1〜15%、P 0〜15%、から本質的になり、ZnOを含有する場合その含有量が5モル%未満であり、PbOを含有しない電極被覆用ガラス。前面基板または背面基板に形成された電極が前記電極被覆用ガラスによって被覆されているプラズマディスプレイ装置。
【選択図】なし

Description

本発明は、プラズマディスプレイ装置(PDP)およびその前面基板または背面基板に形成された電極の被覆に好適な電極被覆用ガラスに関する。
PDPは代表的な大画面フルカラー表示装置である。
PDPの表示側基板(前面基板)上には面放電を発生する複数の表示電極対が形成され、背面側の基板(背面基板)上にはその表示電極対と直交するアドレス電極、ストライプ状の隔壁およびそれらを被覆する蛍光体層が形成される。
PDPの駆動は次のようにして行われる。すなわち、表示電極対に大電圧を印加してリセットし、表示電極対の一方の電極とアドレス電極との間で放電させ、その放電で発生した壁電荷を利用して表示電極対の間に維持電圧を印加し維持放電を発生させる。
この表示電極対はプラズマ放電用の走査電極として用いられ、その上には放電維持のために典型的には20〜30μmの厚みの透明な誘電体層が形成されている。
前記走査電極は通常、ITO等の透明電極およびその表面の一部に形成されるCr−Cu−Cr電極、Ag電極等のバス電極とからなる。
従来、前記透明誘電体層にはPbO含有低融点ガラスが使用されている(たとえば特許文献1参照)。
特開2002−145637号公報
近年、PbOを含有しない電極被覆用低融点ガラスが求められている。
本発明はこのような問題を解決できる電極被覆用ガラスの提供を目的とする。
本発明は、下記酸化物基準のモル%表示で、B 15〜65%、SiO 2〜30%、MgO+CaO+SrO+BaO 5〜45%、LiO+NaO+KO 2〜25%、Al 0〜30%、Bi 0.1〜15%、P 0〜15%、から本質的になり、ZnOを含有する場合その含有量が5モル%未満であり、PbOを含有しない電極被覆用ガラスを提供する。
また、前面基板または背面基板に形成された電極が前記電極被覆用ガラスによって被覆されているPDPを提供する。
本発明の電極被覆用ガラス(以下、本発明のガラスという。)を用いてPDPの前面基板または背面基板の電極被覆を行えばPDPの無鉛化が可能になる。
本発明のガラスはPDPの前面基板または背面基板、特に前者の電極被覆(この場合は一般に透明誘電体層となる。)に好適であるが、被覆されるべき電極はこれらに限定されない。以下では、PDP前面基板の透明誘電体層に適用する場合を例にとって説明する。
本発明のガラスは通常、粉砕、分級されガラス粉末(以下、本発明のガラス粉末という。)とされた後、電極被覆に用いられる。
本発明のガラス粉末は通常ビヒクルと混練されペーストとされる。このようにして得られたガラスペーストは、たとえば透明電極が形成されているPDP前面基板用ガラス基板に塗布、焼成して電極被覆ガラス層(透明誘電体層)とされる。なお、焼成は典型的には600℃以下の温度で行われる。
本発明のガラス粉末はガラスペーストとしての使用に限定されず、たとえばグリーンシートとしても使用できる。この場合、本発明のガラス粉末は樹脂と混練され、得られた混練物はポリエチレンフィルム等の支持フィルムの上に塗布されてグリーンシートとされ、そのグリーンシートはたとえばガラス基板上に形成された電極上に転写後、焼成され、電極被覆ガラス層とされる。
本発明のガラス粉末の質量平均粒径は0.5〜4μmであることが好ましい。0.5μm未満では、ガラス粉末にするために要する時間が顕著に増加するおそれがある。より好ましくは0.7μm以上である。
また、本発明のガラス粉末の最大粒径は20μm以下であることが好ましい。20μm超では、厚みを通常30μm以下とすることが求められるPDPの前記透明誘電体層の表面に凹凸が発生し、PDPの画像がゆがむおそれがある。より好ましくは10μm以下である。
本発明のガラスの50〜350℃における平均線膨張係数(α)は70×10−7〜90×10−7/℃であることが好ましい。
本発明のガラスの軟化点(Ts)は650℃以下であることが好ましい。650℃超では600℃以下の温度での焼成によっては透過率の高いガラス層を得にくくなるおそれがある。
本発明のガラスの周波数1MHzにおける比誘電率(ε)は9以下であることが好ましい。εが9超では駆動電圧や放電維持電圧が高くなって発光効率が低下する、または消費電力が大きくなるおそれがある。
次に、本発明のガラスの組成についてモル%を単に%と表示して説明する。
はガラスを安定化させる、またはTsを下げる成分であり、必須である。15%未満ではTsが高くなりすぎる。好ましくは20%以上、典型的には26%以上である。65%超ではガラス化が困難になる。好ましくは60%以下、典型的には55%以下である。
SiOはガラスの骨格をなす成分であり、必須である。2%未満ではガラス化しにくくなる、または焼成時に結晶が析出しやすくなる。好ましくは2.5%以上である。30%超ではTsが高くなりすぎる。好ましくは25%以下、典型的には22%以下である。
MgO、CaO、SrOおよびBaOはTsまたはαを下げる成分であり、いずれか1種以上を含有しなければならない。これら4成分の含有量の合計が5%未満ではTsが高くなりすぎる。好ましくは10%以上である。前記合計が45%超ではガラス化が困難になる。好ましくは40%以下、典型的には30%以下である。
前記4成分のうちMgOは含有することが好ましい。その場合におけるMgO含有量は2〜30%であることが好ましく、典型的には5〜20%である。
典型的には、MgOが2〜30%、CaOが0〜20%、SrOが0〜20%、BaOが0〜20%、である。
LiO、NaOおよびKOはガラス化しやすくする、またはTsを下げる成分であり、いずれか1種以上を含有しなければならない。これら3成分の含有量の合計が2%未満ではTsが高くなりすぎる。好ましくは5%以上である。前記合計が25%超ではTsが低くなりすぎる。好ましくは20%以下、典型的には15%以下である。
前記3成分のうちLiOは含有することが好ましい。その場合におけるLiO含有量は1〜15%であることが好ましく、典型的には3〜9%である。
NaOを含有する場合その含有量は好ましくは15%以下、より好ましくは10%以下、典型的には1〜9%である。
Oを含有する場合その含有量は好ましくは15%以下、より好ましくは10%以下、典型的には1〜9%である。
典型的には、LiOが1〜15%、NaOが0〜15%、かつKOが0〜15%である。
Alは必須ではないが、ガラスを安定化させる等のために30%までの範囲で含有してもよい。30%超ではガラス化が困難になる、または焼成時に結晶が析出しやすくなる。好ましくは25%以下である。Alを含有する場合その含有量は典型的には1%以上である。
Biはガラスと電極成分の反応を抑制する成分であり、必須である。15%超では焼成時に結晶が析出しやすくなる。典型的には10%以下である。
は必須ではないが、焼成して形成されたガラス層表面の平滑性を向上させるべくガラスの流動性を向上させたい等の場合には15%までの範囲で含有してもよい。好ましくは10%以下、典型的には7%以下である。Pを含有する場合その含有量は典型的には0.5%以上である。
本発明のガラスの好ましい態様として、Bが35〜60%、SiOが2〜25%、MgO+CaO+SrO+BaOが5〜30%、MgOが5〜20%、LiO+NaO+KOが3〜15%、Alが0〜10%、Biが0.5〜15%、であるものが挙げられる。
本発明のガラスの典型的な態様として、MgOが5〜20%、CaOが1〜13%、SrOが1〜6%、BaOが0〜3%、LiOが1〜10%、NaOが0〜7%、KOが0〜3モル%、Alが1〜9モル%、Biが0.5〜12%、であるものが挙げられる。
本発明のガラスは本質的に上記成分からなるが、本発明の目的を損なわない範囲でその他の成分を含有してもよい。その場合における上記成分以外の成分の含有量の合計は典型的には10%以下、より典型的には5%以下である。
そのような成分として、TiO、ZrO、SnO、CeO、CuO、CoO等が例示される。これら成分は通常、α、Ts、化学的耐久性、ガラス層の透過率、ガラスの安定性などを調整する目的で添加される。これらのうちCeO、CuO、CoOは、焼成時における脱バインダが不足して焼成後のガラス中にカーボンが残留しガラスが着色する現象を抑制したい場合、銀電極被覆を行うときに生じる銀発色現象を抑制したい場合等にこれら成分の含有量の合計が5%以下、典型的には0.9%以下の範囲で含有することが好ましいことがある。
本発明のガラスはZnOを含有する場合その含有量が5%未満である。5%以上ではガラス層の透過率が低くなる、またはガラス層に大きな泡が存在しやすくなる。好ましくは2%以下であり、ZnOを含有しないことがより好ましい。このより好ましい態様においても不純物レベルでZnOを含有することがあるが、その場合の含有量は典型的には0.1%以下、より典型的には0.01%以下である。
なお、本発明のガラスはPbOを含有しない。
表のBからCuOまでの欄にモル%表示で示す組成となるように原料を調合、混合した。得られた混合原料を白金坩堝に入れ1250〜1350℃に加熱して60分間溶融した。例1〜6は実施例、例7、8は比較例である。
得られた溶融ガラスの一部をステンレス鋼製の型枠に流し込み、徐冷した。徐冷されたガラスを長さ20mm、直径5mmの円柱状に加工し、これを試料として前記αを測定した。結果を表に示す(単位:10−7/℃)。
残りのガラスはステンレス鋼製ローラーに流し込んでフレーク化した。得られたガラスフレークをボールミルで乾式粉砕して、質量平均粒径が2〜4μmであるガラス粉末を作製した。
このガラス粉末を試料として示差熱分析装置(DTA)を用いて前記Tsを測定した。結果を表に示す(単位:℃)。
前記溶融ガラスの一部をステンレス鋼製の型枠に流し込み、徐冷した。徐冷されたガラスを直径40mm、厚み3mmの円盤状に加工しその両面に電極としてアルミニウムを蒸着したものをサンプルとし、横河ヒューレットパッカード社製LCRメーター4192Aを用いて電極接触法によって前記εを測定した。結果を表に示す。
また、前記ガラス粉末100gを、α−テルピネオール等にエチルセルロースを10質量%溶解した有機ビヒクル25gと混練してペーストインク(ガラスペースト)を作製し、大きさが50mm×75mm、厚みが2.8mmであるソーダライムシリケートガラス基板(α:87×10−7/℃)上に、焼成後の膜厚が30μmとなるよう均一にスクリーン印刷し、120℃で10分間乾燥した。その後、このガラス基板を昇温速度毎分10℃で580℃ないし600℃まで加熱し、30〜60分間保持して焼成を行い、ガラス基板上にガラス層を形成した。
このガラス層付きガラス基板について、標準C光源による可視光透過率(Tv)を測定した。結果を表に示す(単位:%)が、Tvは好ましくは75%以上、より好ましくは80%以上である。
また、このガラス層付きガラス基板のガラス層を光学顕微鏡(倍率:100)で観察し、結晶析出の有無を観察した。結果を表に示す。
なお、表で「−」と記載されているものは測定を行わなかったことを示す。
Figure 2007039269
PDP前面基板の透明電極等を被覆するガラスとして利用できる。

Claims (8)

  1. 下記酸化物基準のモル%表示で、B 15〜65%、SiO 2〜30%、MgO+CaO+SrO+BaO 5〜45%、LiO+NaO+KO 2〜25%、Al 0〜30%、Bi 0.1〜15%、P 0〜15%、から本質的になり、ZnOを含有する場合その含有量が5モル%未満であり、PbOを含有しない電極被覆用ガラス。
  2. MgOが2〜30%、CaOが0〜20%、SrOが0〜20%、BaOが0〜20%、である請求項1に記載の電極被覆用ガラス。
  3. が35〜60%、SiOが2〜25%、MgO+CaO+SrO+BaOが5〜30%、MgOが5〜20%、LiO+NaO+KOが3〜15%、Alが0〜10%、Biが0.5〜15%、である請求項1または2に記載の電極被覆用ガラス。
  4. LiOが1〜15%、NaOが0〜15%、KOが0〜15%である請求項1〜3のいずれかに記載の電極被覆用ガラス。
  5. MgOが5〜20%、CaOが1〜13%、SrOが1〜6%、BaOが0〜3%、LiOが1〜10%、NaOが0〜7%、KOが0〜3モル%、Alが1〜9%、Biが0.5〜12%、である請求項1、3または4に記載の電極被覆用ガラス。
  6. ZnOを含有しない請求項1〜5のいずれか記載の電極被覆用ガラス。
  7. 1MHzにおける比誘電率が9以下である請求項1〜6のいずれかに記載の電極被覆用ガラス。
  8. 前面基板または背面基板に形成された電極が請求項1〜7のいずれかに記載の電極被覆用ガラスによって被覆されているプラズマディスプレイ装置。
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