JP3828218B2 - エチレン−ビニルアルコール共重合体 - Google Patents

エチレン−ビニルアルコール共重合体 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、電離性放射線照射に由来する架橋点を有し、溶融成形可能なエチレン−ビニルアルコール共重合体に関する。
【0002】
【従来の技術】
エチレン−ビニルアルコール共重合体(以下EVOHと略記することがある)は、溶融成形可能で高度なガスバリア性を有する樹脂として広く用いられている。かかるEVOHはエチレン−ビニルエステル共重合体、特にエチレン−酢酸ビニル共重合体を公知の方法で共重合し、その後公知の方法にてケン化して得られる。
【0003】
エチレン−ビニルエステル共重合体は一般に、回分方式、半回分方式、または連続方式にて重合開始剤の存在下、溶液重合、懸濁重合、エマルジョン重合等により重合される。ケン化反応は一般に、アルカリ性触媒を用いてアルコール溶液中でアルコリシス反応を利用して実施される。
【0004】
以上のようにして得られたEVOHは、生産性を考慮すると、含水フェノール(水/フェノール=15重量%/85重量%)中の極限粘度([η])がおおよそ0.7〜1.3dl/gの範囲内に収まり、また分子量分布(Mw/Mn)も2.3〜2.5の範囲内となる。
【0005】
ところで、EVOHは一般的に高速製膜性、熱成形性に問題を有していることが知られているが、かかる問題の解決に、分子量分布を広げること、極限粘度を大きくすることが有効である可能性がある。しかしながらそういうEVOHを上記重合操作で一気に製造することは困難である。例えば重合時に分子量分布を2.6以上に調整するためには、重合率を上昇させる方法、重合中に温度を変化させる方法等が挙げられるが、重合度が低下するなど、品質管理上好ましくない問題があった。また極限粘度を1.3dl/g以上にするためには、モノマーの重合率を低下させる方法、または重合速度を低下させる方法等が有効であるが、同時に生産性も低下するという問題があった。
【0006】
また、含水状態のEVOHに電離性放射線を照射し、EVOHを架橋する方法については特開昭56−49734号公報に記載されているが、この方法はEVOHを高度に架橋させることを目的としており、従って含水フェノールに対する不溶解率が5重量%を越えるために、得られたEVOHは到底溶融成形ができないものであって、本発明とは技術的思想を異にするものである。
【0007】
さらに、特開平3−39544号公報に重合度の異なるEVOHをブレンドすることにより、分子量分布を2.5以上にするという記載があるが、これではまず重合度の異なるEVOHを2種類以上製造しなければならず、更に溶融混練して、ペレット化するものであり、生産性が悪いという問題があった。
【0008】
また、EVOHはすべり性が悪く、製膜時にフィルム同士がブロッキングを起こすために、フィルムにしわが入りやすいという問題があった。この点は、上記特開平3−39544号公報に記載の方法で得たフィルムにおいても同様である。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記のような従来技術の欠点を解決するために創案されたものであり、製膜性、熱成形性、すべり性に優れたEVOHを提供することを目的とするものである。
【0010】
【課題を解決するための手段】
上記目的は電離性放射線照射に由来する架橋点を有し、含水フェノール(水/フェノール=15重量%/85重量%)への不溶解率が5重量%以下、分子量分布(Mw/Mn)が2.6以上、かつ同上含水フェノール中30℃における極限粘度が0.7〜3.0dl/gである、エチレン含量10〜90モル%、ケン化度60モル%以上のエチレン−ビニルアルコール共重合体を提供すること、あるいはそれからなる層を少なくとも1層以上含むフィルムあるいはシートまたはそれらを成形してなる熱成形容器を提供することによって達成される。このとき、エチレン−ビニルアルコール共重合体の極限粘度が1.3〜3.0dl/gであることが望ましい。
【0011】
また、電離性放射線照射に由来する架橋点を有し、含水フェノール(水/フェノール=15重量%/85重量%)への不溶解率が5重量%以下、分子量分布(Mw/Mn)が2.6以上、かつ同上含水フェノール中30℃における極限粘度が0.7〜3.0dl/gである、エチレン含量10〜90モル%、ケン化度60モル%以上のエチレン−ビニルアルコール共重合体からなる層を最外層に配置する構成で少なくとも1層以上含み、20℃、65%RHにおけるエチレン−ビニルアルコール共重合体表面のスリップ角が60度以下であるフィルムあるいはシートまたはそれらを成形してなる熱成形容器を提供することによっても達成される。
【0012】
さらに、含水率10重量%以上のエチレン−ビニルアルコール共重合体に電離性放射線を0.5〜15Mrad照射することを特徴とする、含水フェノール(水/フェノール=15重量%/85重量%)への不溶解率5重量%以下、分子量分布(Mw/Mn)2.6以上、かつ同上含水フェノール中30℃における極限粘度が0.7〜3.0dl/gである、エチレン含量10〜90モル%、ケン化度60モル%以上のエチレン−ビニルアルコール共重合体の製法を提供することによっても本発明の目的は達成される。
【0013】
【発明の実施の形態】
本発明のEVOHのエチレン含量は10〜90モル%であり、好ましくは20〜70モル%、更に好ましくは25〜60モル%である。エチレン含量が10%未満では溶融成形が困難であるとともに、含水時の形態の保持も困難となる。90モル%以上ではガスバリア性が大きく低下するとともに電離性放射線を照射した場合に水/フェノール=15重量%/85重量%の混合溶媒中での不溶解率がわずかな線量の変動により大幅に変わるので、未溶解分の調整が困難となる。また、EVOHのケン化度は60モル%以上であり、90モル%以上が好ましく、99モル%以上がより好ましい。ケン化度が60モル%未満では、ガスバリア性が大きく低下するとともに電離性放射線を照射した場合に線量を調節しても、水/フェノール=15重量%/85重量%の混合溶媒中での不溶解率が5重量%を越え易く、不溶解率の調整が困難となる。
【0014】
またEVOHには、本発明が阻害されない範囲で他の単量体を少量共重合することもできる。共重合できる単量体の例としては、プロピレン、ブテン、イソブテン、4−メチルペンテン−1、ヘキセン、オクテンなどのα−オレフィン、イタコン酸、メタクリル酸、アルリル酸、無水マレイン酸などの不飽和カルボン酸、その塩、その部分または完全エステル、そのニトリル、そのアミド、その無水物、ビニルトリメトキシシランなどのビニルシラン化合物、不飽和スルホン酸、その塩、アルキルチオール類、ビニルピロリドンなどが挙げられる。
【0015】
照射前のEVOHの分子量分布、極限粘度には特に制限はないが、通常の重合操作により一気に製造できるという観点から分子量分布は2.3〜2.5であることが望ましく、極限粘度は0.7〜1.3dl/gであることが望ましい。
【0016】
照射に先立ち、EVOHは10重量%以上、好適には13〜70重量%、更に好適には17〜65重量%の含水率に調整することが重要である。含水率が10重量%未満であると、電離性放射線を照射しても本発明の効果が得られにくい。また含水率の上限に制限はないが、70重量%以上に調節することは実質的に困難である。ここでいう含水率とは、均質な樹脂中に水分を含む場合のみならず、樹脂の微細な隙間(ボイド)に水を含む場合をも含むものである。
【0017】
EVOHを含水させる方法としては、EVOHを水に浸漬する方法、EVOHを一旦良溶媒(例えば水−アルコール混合溶媒、ジメチルスルホキシド等)に溶解し、この溶液を貧溶媒である水の中に押し出し含水させる方法(ウェットチップ法)等が挙げられるが、高含水率が得られるという点でウェットチップ法が好適に用いられる。
【0018】
本発明で用いられる電離性放射線としてはα線、β線、γ線、中性子線、電子線等が挙げられるが、操作の簡便性の点で電子線が好適に用いられる。
【0019】
電離性放射線の線量は0.5〜15Mradであり、より好適には1〜12Mrad、更に好適には2〜10Mradである。電離性放射線の線量が0.5Mrad未満の場合は分子量分布が2.6以上になりにくく、15Mradを越えると水/フェノール=15重量%/85重量%混合溶媒での不溶解率が5重量%を越えやすい。
【0020】
このようにして得られたEVOHは、電離性放射線に由来する架橋点を有することで分子量分布が2.6以上の値を示すものとなる。かかる2.6以上のMw/Mnの値を有することで、溶融製膜性(ネックイン)、熱成形性、すべり性の良好なEVOHとなる。分子量分布は好適には3.0以上である。また、分子量分布はゲルパーミエイションクロマトグラフ法{測定装置:GPC−150C(WATERS)、カラム:HFIP−826M(Shodex)、溶媒:HFIP+20mMトリフルオロ酢酸Na、流速:1.0ml/min、溶液濃度:0.05%、注入量:200μl、温度:40℃}により求め、ポリメチルメタクリレート換算で重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)の比Mw/Mnを求めた。
【0021】
さらに本発明のEVOHは含水フェノール(水/フェノール=15重量%/85重量%)への不溶解率が5重量%以下であることが重要であり、好適には3重量%以下、さらに好適には1重量%以下である。不溶解率が5重量%を越えると、溶融成形が困難となる。
本発明における不溶解率とは、EVOHチップを含水フェノール(水/フェノール=15重量%/85重量%)に5重量%となるように仕込み、60℃にて6時間撹拌したときの不溶解分の割合のことである。
【0022】
本発明のEVOHの極限粘度は0.7〜3.0dl/gであり、好ましくは1.0〜3.0dl/gであり、より好ましくは1.3〜3.0dl/gである。極限粘度が0.7dl/g未満の場合には、EVOHの力学的強度が低下する。また、3.0dl/gを越えるときには粘度が高すぎて溶融成形が困難になる。特に極限粘度が1.3〜3.0dl/gのときは、通常の重合プロセスでは直接製造できない高粘度のものが得られる点で意義が大きい。かかる高粘度のEVOHは、溶融成形性、熱成形性に優れている。
ここで極限粘度とは、含水フェノール(水/フェノール=15重量%/85重量%)を溶媒とし、30℃においてオストワルド粘度計にて測定した値である。
【0023】
本発明で得られたEVOHは電離性放射線に由来する架橋点を有しながらも、含水フェノールへの不溶解率が5重量%以下であるため、溶融成形性に優れ、溶融成形材料として好適である。溶融成形の方法としては、押出成形、射出成形、ブロー成形等が挙げられる。成形されて得られる形態については、特に限定されるものではないが本発明のEVOHを少なくとも一層含むフィルムまたはシートが好適である。本発明のEVOHの特徴である優れたすべり性が活かせる形態であるとともに、かかるフィルムあるいはシートを熱成形することで良好な熱成形容器が得られるからである。
【0024】
かかるフィルムまたはシートは、単層であっても良いし、多層であってもかまわない。力学的強度、経済性等を考慮すると、他の材料との積層構造体として用いることが好ましい場合もある。積層する他の材料は特に限定されるものではないが、ポリオレフィン、ポリアミド或いはポリエステルのような他の熱可塑性樹脂と積層することが望ましい。積層に際して接着剤層を介しても良い。
【0025】
多層フィルムまたはシートを得る方法としては、特に限定されるものではないが、一般のポリオレフィン等の分野において実施されている成形方法、例えばTダイ成形、インフレーション成形、共押出成形、ドライラミネート成形等を採用することができ、特に共押出成形が好適である。また、これら成形方法の組み合わせとして、共押出成形により多層フィルムまたはシートを作製後、他のフィルムまたはシートとドライラミネート成形を行うような方法も採用できる。
【0026】
上記フィルムまたはシートのうちでも、その最外層に本発明のEVOH層を有するものは、良好なすべり性の効果が得られる点で好ましい。この時、フィルムのEVOH表面のスリップ角が60度以下であることが重要である。60度よりも大きい場合にはフィルム同士のブロッキングが起こりやすくなり、しわができやすくなるという問題を生ずる。
【0027】
ここでスリップ角とは、20℃、65%RH下に調湿したEVOHフィルムをおもり{ステンレス製:5cm(縦)×5cm(横)×1cm(高さ)}に貼り付け、同じEVOHフィルムを貼り付けたアルミ板上にフィルム同士を接触するように載せ、アルミ板の角度を上げていき、おもりが滑り出したときの角度をいう。スリップ角が小さいほどスリップ性が良好である。
なお、最外層にEVOH層を有するフィルムまたはシートは、そのままの構成で各種用途に用いてもよいし、さらに他の熱可塑性樹脂を積層してから各種用途に用いてもよい。
【0028】
EVOHには本発明の目的が損なわれない範囲で他の熱可塑性樹脂あるいは安定剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、可塑剤、帯電防止剤、滑剤、着色剤等の各種の添加剤を添加することができる。
【0029】
上記他の熱可塑性樹脂としては、各種ポリオレフィン(ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ1−ブテン、ポリ4−メチル−1−ペンテン、エチレン−プロピレン共重合体、エチレンと炭素数4以上のα−オレフィンとの共重合体、ポリオレフィンと無水マレイン酸との共重合体、エチレン−ビニルエステル共重合体、エチレン−アクリル酸エステル共重合体、またはこれらを不飽和カルボン酸またはその誘導体でグラフト変性した変性ポリオレフィンなど)、各種ナイロン(ナイロン6、ナイロン66、ナイロン6/66共重合体など)、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリエステル、ポリスチレン、ポリアクリロニトリル、ポリウレタン、ポリアセタールおよび変性ポリビニルアルコール樹脂などが用いられる。また、エチレン含量、ケン化度等の異なる別種のEVOHを配合しても良い。
【0030】
また、上記各種の添加剤としては、以下のようなものが挙げられる。
安定剤: 酢酸カルシウム、酢酸ナトリウム、酢酸亜鉛、酢酸マグネシウム、酢酸カリウム、酢酸リチウム、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸ナトリウム、ステアリン酸カリウム、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸亜鉛、ハイドロタルサイト類、エチレンジアミン四酢酸の金属塩など。
酸化防止剤: 2,5−ジ−t−ブチルハイドロキノン、2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾール、4,4’−チオビス−(6−tブチルフェノール)、2,2’−メチレン−ビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)、オクタデシル−3−(3’,5’−ジ−t−ブチル−4’−ヒドロキシルフェニル)プロピオネート、4,4’−チオビス−(6−t−ブチルフェノール)など。
【0031】
紫外線吸収剤: エチル−2−シアノ−3.3−ジフェニルアクリレート、2−(2’−ヒドロキシ−5’−メチルフェニル)ベンゾトリアゾ−ル、2−(2’ヒドロキシ−3’−t−ブチル−5’−メチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2,2’−ジヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−オクトキシベンゾフェノンなど。
可塑剤: フタール酸ジエチル、フタール酸ジメチル、フタール酸ジオクチル、ワックス、流動パラフィン、リン酸エステルなど。
帯電防止剤: ペンタエリスリットモノステアレート、ソルビタンモノパルミテート、硫酸化オレイン酸、ポリエチレオキシド、カーボワックスなど。
滑剤: エチレンビスステアロアミド、ブチルステアレートなど。
着色剤: カーボンブラック、フタロシアニン、キナクリドン、アゾ系顔料、酸化チタン、ベンガラなど。
充填剤: グラスファイバー、アスベスト、マイカ、セリサイト、タルクガラスフレーク、バッラストナイト、ケイ酸カルシウム、ケイ酸アルミニウム、炭酸カルシウム、酸化ケイ素、モンモリロナイトなど。
【0032】
以上のようにして得られたEVOH樹脂は、溶融成形が可能で製膜性が良好でありかつ溶融成形によって得られた成形物はスリップ性および熱成形性等の二次加工性に優れる。
【0033】
【実施例】
以下、実施例により本発明を詳細に説明する。なお、評価項目は以下の方法にて評価した。
【0034】
・不溶解率
EVOHチップを含水フェノール(水/フェノール=15重量%/85重量%)に5重量%となるように仕込み、60℃にて6時間撹拌した。得られた液をJIS P3801 化学分析用1種定性濾紙を用いて濾過し、濾液を得た。濾液の一部を秤量し蒸発乾個させて得た残渣の重量を秤量することで濾液のEVOH濃度を測定し(A重量%)、次式により不溶解率を算出した。
不溶解率={(5−A)/5}×100(%)
【0035】
・極限粘度
前述の不溶解率の測定時と同じ方法で濾液(EVOH濃度:A重量%)を得て、濾液および含水フェノール溶媒それぞれを30℃に保ち、オストワルド粘度計にて滴下時間を測定(濾液:t秒、溶媒:t0秒)し、次式より極限粘度を算出した。
極限粘度={2(η1−lnη2)}1/2 /A
ここでη1=η2−1、η2=t/t0
【0036】
・分子量分布
ゲルパーミエイションクロマトグラフ法{測定装置:GPC−150C(WATERS)、カラム:HFIP−826M(Shodex)、溶媒:HFIP+20mMトリフルオロ酢酸Na、流速:1.0ml/min、溶液濃度:0.05%、注入量:200μl、温度:40℃}により求め、ポリメチルメタクリレート換算で重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)の比Mw/Mnを求めた。
【0037】
・製膜性
東洋精機製20φ一軸押出機、300mm幅コートハンガーダイを用い、230℃にて100μmの単層製膜を実施した。ネックインの様子を目視で判定し、以下の4段階に分類した。
(良):◎>○>△>×:(悪)
ネックインとはダイから溶融樹脂が流れ出る際に、ダイの幅よりも溶融樹脂幅の方が小さくなる現象で、ネックインが小さいほど、ダイ幅と溶融樹脂幅とが近くなり良好である。
【0038】
・スリップ性
溶融押出EVOHフィルムを20℃、65%RH下に調湿し、該フィルムをアルミ板(15cm×25cm)上に貼り付けた。またスリップさせるおもり{ステンレス製:5cm(縦)×5cm(横)×1cm(高さ)}にも同様のフィルムを貼り付け、フィルム同士を接触させる。この後、アルミ板の角度を0度(水平)から徐々に角度を付けていき、フィルムを貼り付けたおもりがフィルムを貼り付けたアルミ板上を滑り出したときの角度をスリップ角とした。
スリップ角は小さい方がスリップ性が良好である。
【0039】
・熱成形性
東洋精機製20mmφ一軸押出機、300mmコートハンガーダイを用い、230℃にて100μmの単層フィルムを作製した。このフィルムを熱成形機(ムルチバック社製R530)にて金型温度100℃で1.5秒加熱し、金型形状(タテ:130mm、ヨコ:110mm、深さ:50mmの直方体形状)に圧縮空気(気圧5kgf/cm2)にて成形し、熱成形容器を得た。熱成形性の評価は以下の3点にて実施した。
【0040】
・コーナー部の厚み(角厚み)
熱成形容器の4つのコーナー部を厚み計にて測定し、角コーナー部の最も薄い厚みを平均した。
【0041】
・成形収縮率
熱成形容器より金型タテ辺に直角で底部中央を通る帯状(幅30mm)の試験片を切り出し、金型形状に対する切り出した試験片の長さ(mm)から成形収縮率を求めた。
成形収縮率(%)=[{(50×2+110)−(試験辺の長さ)}/(50×2+110)]×100
成形収縮率が大きいことは金型形状に対する賦形性が悪いことを示す。
【0042】
・成形品外観
熱成形容器にてスジ、シワ、ムラ等に着目して目視にて判定し、以下の4段階に分類した。
(良):◎>○>△>×:(悪)
【0043】
実施例1
エチレン含量32モル%、ケン化度99.5モル%、極限粘度1.1dl/g、分子量分布2.4のEVOHチップを、水−メタノール混合溶媒に溶解し、その溶液を水中に押し出して、ウェットチップ法による含水率60重量%のEVOHを得た。かかる後、この含水EVOHチップを電子線照射装置(日新ハイボルテージ製)に導入し4Mrad(加速電圧750kv)の電子線を照射して電子線照射EVOHチップを得た。この電子線照射チップ中の水分を熱風乾燥機にて80℃、16時間乾燥し、揮散させ、電子線照射乾燥チップを得た。このチップの極限粘度は1.7、分子量分布は3.4であった。この時、水/フェノール=15重量%/85重量%混合溶媒、60℃、6時間加熱溶解試験による該チップの不溶解分の含量、即ち不溶解率は0重量%であった。
【0044】
次いで、該EVOHを20φ一軸押出機、300mmコートハンガーダイを用い、230℃にて100μmの単層製膜を実施しフィルムを作製し、得られたフィルムのスリップ性、熱成形性を評価した。結果を表1および表2にまとめて示す。
【0045】
実施例2、3 比較例1〜5
照射前のEVOHの極限粘度、含水率および電離性放射線線量を表1に示すように変更した以外は実施例1と同様の条件で電子線照射EVOHチップおよびフィルムを得た。その評価結果を表2にまとめて示す。
【0046】
比較例6
エチレン含量32モル%、ケン化度99.5%でメルトインデックス(MI)が1.6g/10分と4.6g/10分の2種類のEVOHを重量比1:1でブレンドし、20φ一軸押出機を用いて230℃にてペレット化を行った。このペレットの極限粘度と分子量分布を表1に示した。次いで、該ペレットを用い、実施例1と同様の方法でフィルムを得た。その評価結果を表2に示す。
【0047】
実施例4〜6 比較例7〜11
照射前のEVOHのエチレン含量を27モル%、ケン化度99.5%にし、極限粘度、含水率、電離性放射線線量を表3に示すように変更した以外は実施例1と同様の条件で電子線照射EVOHチップおよびフィルムを得た。その評価結果を表4にまとめて示す。
【0048】
実施例7〜9 比較例12〜16
照射前のEVOHのエチレン含量を44モル%、ケン化度99.5%にし、極限粘度、含水率、電離性放射線線量を表5に示すように変更した以外は実施例1と同様の条件で電子線照射EVOHチップおよびフィルムを得た。その評価結果を表6にまとめて示す。
【0049】
【表1】
Figure 0003828218
【0050】
【表2】
Figure 0003828218
【0051】
【表3】
Figure 0003828218
【0052】
【表4】
Figure 0003828218
【0053】
【表5】
Figure 0003828218
【0054】
【表6】
Figure 0003828218
【0055】
【発明の効果】
本発明によれば、極限粘度0.7〜3.0dl/g、分子量分布(Mw/Mn)2.6以上、かつ溶融成形可能なエチレン−ビニルアルコール共重合体を得ることができ、この共重合体は製膜性が良好で、フィルムのスリップ性および熱成形性に優れている。

Claims (6)

  1. 電離性放射線照射に由来する架橋点を有し、含水フェノール(水/フェノール=15重量%/85重量%)への不溶解率が5重量%以下、分子量分布(Mw/Mn)が2.6以上、かつ同上含水フェノール中30℃における極限粘度が0.7〜3.0dl/gである、エチレン含量10〜90モル%、ケン化度60モル%以上のエチレン−ビニルアルコール共重合体。
  2. 極限粘度が1.3〜3.0dl/gである請求項1記載のエチレン−ビニルアルコール共重合体。
  3. 請求項1または2に記載のエチレン−ビニルアルコール共重合体からなる層を少なくとも1層以上含むフィルムまたはシート。
  4. 請求項1または2に記載のエチレン−ビニルアルコール共重合体からなる層を最外層に配置する構成で少なくとも1層以上含み、20℃、65%RHにおけるエチレン−ビニルアルコール共重合体表面のスリップ角が60度以下であるフィルムまたはシート。
  5. 請求項3または4に記載のフィルムまたはシートを熱成形してなる熱成形容器。
  6. 含水率10重量%以上のエチレン−ビニルアルコール共重合体に電離性放射線を0.5〜15Mrad照射することを特徴とする、含水フェノール(水/フェノール=15重量%/85重量%)への不溶解率5重量%以下、分子量分布(Mw/Mn)2.6以上、かつ同上含水フェノール中30℃における極限粘度が0.7〜3.0dl/gである、エチレン含量10〜90モル%、ケン化度60モル%以上のエチレン−ビニルアルコール共重合体の製法。
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