JP2021028356A - ペレット及びそれからなる溶融成形体、並びにその製造方法 - Google Patents

ペレット及びそれからなる溶融成形体、並びにその製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】着色耐性や溶融成形時のロングラン性に優れ、かつ、吸湿したEVOHペレットを再乾燥した場合にも、揮発性のカルボン酸含有量の変動が抑制され、かつ溶融成形時のロングラン性に優れたエチレン−ビニルアルコール共重合体ペレットを提供する。【解決手段】エチレン−ビニルアルコール共重合体(A)を主成分とするペレットであって、エチレン−ビニルアルコール共重合体(A)のエチレン単位含有量が15〜60モル%、けん化度が85モル%以上であり、アルカリ金属イオン(B)を50〜500ppm、2価金属イオン(C)を10〜100ppm、及び沸点150℃未満のカルボン酸(D)を20〜400ppm含有し、示差走査熱量測定で測定される該ペレットの融解熱量ΔHpと該ペレットを融解し再凝固した後に測定される融解熱量ΔHmとの融解熱量差(ΔHp−ΔHm)が5J/g以上であるペレット。【選択図】なし

Description

本発明は、揮発性のカルボン酸含有量の変動が抑制され、かつ溶融成形時のロングラン性に優れたエチレン−ビニルアルコール共重合体ペレット、及びそれから得られる溶融成形体並びにその製造方法に関する。
エチレン−ビニルアルコール共重合体(以下、EVOHと略称することがある)は、その優れたガスバリア性等の性質から、フィルム、シート、容器等の各種包装材として広く用いられている。これらの包装材は、通常、溶融成形法により成形されるため、EVOHには、外観特性、即ち透明性に優れると共に黄変等の着色が少ないことや、ゲル及びブツの発生が生じていないことや、ロングラン性、即ち長時間の成形においても粘度等の物性が極端に変化せず、フィッシュアイやスジ等のないことが求められる。
EVOHに要求されている上述の諸特性を向上するために、特許文献1〜3には、種々のカルボン酸や金属イオンといった添加剤を含有するEVOH組成物により、外観特性及びロングラン性が改善されることが記載されている。また、特許文献4には、特定の条件で熱処理を行うことにより、外観特性及びロングラン性を損なうことなく、機械的強度が改善されることが記載されている。
特開昭64−66262号公報 国際公開第2002/053639号 国際公開第2011/118648号 特開2006−282833号公報
一方、EVOHは親水性が高く、空気中の水分を吸収しやすい特性を有している。吸湿したEVOHを溶融成形した場合には、発泡等の成形不良が起きるため、EVOHペレットの製造の際は、十分な乾燥により揮発分を下げた後に、アルミニウム箔や蒸着層を有する防湿包装材により包装されるのが一般的である。このような包装環境下においては、EVOHペレットの吸湿速度は十分に小さく、比較的長期間にわたって安定した品質を保持できる。しかしながら、溶融成形の現場においては、防湿包装材を開放した状態でEVOHペレットが長時間わたって放置される場合があり、その間に吸湿が進み、その後の溶融成形において発泡等の成形不良を引き起こすことがある。このような問題は、特に高温多湿な気候の地域で発生しやすい。吸湿したEVOHペレットを溶融成形に供するためには、事前に十分な再乾燥により揮発分を下げておく必要があるが、この際に一部のカルボン酸も水分とともに揮発して消失してしまうため、添加剤のバランスが崩れ、外観特性やロングラン性を低下させるおそれや、得られる溶融成形体の品質が不均一となるおそれがある。
本発明の課題は、着色耐性や溶融成形時のロングラン性に優れ、かつ、吸湿したEVOHペレットを再乾燥した場合にも、揮発性のカルボン酸含有量の変動が抑制されたエチレン−ビニルアルコール共重合体ペレットを提供することである。
本発明者らは上記課題について鋭意検討した結果、EVOHペレットの融解熱を大きくすることで、吸湿したEVOHペレットを再乾燥した場合にも、揮発性のカルボン酸含有量の変動が抑制されることを見出した。さらに、特定量の2価金属イオンを含有することで、溶融成形時のロングラン性に優れ、外観特性にも優れた成形体が得られることを見出し、本発明を完成させるに至った。すなわち、上記課題は、
[1]エチレン−ビニルアルコール共重合体(A)を主成分とするペレットであって、
エチレン−ビニルアルコール共重合体(A)のエチレン単位含有量が15〜60モル%、けん化度が85モル%以上であり、アルカリ金属イオン(B)を50〜500ppm、2価金属イオン(C)を10〜100ppm、及び沸点150℃未満のカルボン酸(D)を20〜400ppm含有し、示差走査熱量測定で測定される該ペレットの融解熱量ΔHpと該ペレットを融解し再凝固した後に測定される融解熱量ΔHmとの融解熱量差(ΔHp−ΔHm)が5J/g以上であるペレット;
[2]融解熱量差(ΔHp−ΔHm)が10J/g以上である、[1]のペレット;
[3]融解熱量ΔHpが85J/g以上である、[1]又は[2]のペレット;
[4]さらにリン酸化合物(E)をリン酸根換算で5〜200ppm含有する、[1]〜[3]のいずれかのペレット;
[5]さらにホウ素化合物(F)をホウ素元素換算で50〜400ppm含有する、[1]〜[4]のいずれかのペレット;
[6]さらにエステル結合又はアミド結合を有するヒンダードフェノール系化合物(G)を5000〜50000ppm含有する、[1]〜[5]のいずれかのペレット;
[7]黄色度が30未満である、[1]〜[6]のいずれかのペレット;
[8][1]〜[7]のいずれかのペレットから任意に選ばれる5つのペレットについて示差走査熱量測定で測定される融解熱量ΔHpの最大値と最小値の差が5J/g未満である、ペレット;
[9]エチレン−ビニルアルコール共重合体(A)、アルカリ金属イオン(B)、2価金属イオン(C)及び沸点150℃未満のカルボン酸(D)を含有し、揮発分の含有量が0.5質量%未満である未熱処理ペレットを、エチレン−ビニルアルコール共重合体(A)の融点より15〜25℃低い温度で、1〜5時間熱処理を行う工程を含む、[1]〜[8]
のいずれかのペレットの製造方法;
[10]酸素濃度が1000ppm以下の窒素雰囲気下で熱処理を行う、[9]のペレットの製造方法;
[11]ペレットを流動させながら熱処理を行う、[9]又は[10]のペレットの製造方法;
[12][1]〜[8]のいずれかのペレットからなる溶融成形体;
を提供することで解決される。
本発明のEVOHペレットは、吸湿したEVOHペレットを再乾燥した場合にも、揮発性のカルボン酸含有量の変動が抑制され、かつ溶融成形時のロングラン性に優れるため、吸湿したEVOHペレットを安定に再使用できる。
以下、本発明の実施形態について説明する。なお、以下の説明において特定の機能を発現するものとして具体的な材料(化合物等)を例示する場合があるが、本発明はこのような材料を使用した態様に限定されない。また、例示される材料は、特に記載がない限り、単独で用いてもよいし、組み合わせて用いてもよい。
<EVOH(A)>
EVOH(A)は、本発明のペレットの主成分である。EVOH(A)は、主構造単位として、エチレン単位及びビニルアルコール単位を有する共重合体である。EVOH(A)は、通常、エチレンとビニルエステルとを重合し、得られるエチレン−ビニルエステル共重合体をけん化して得られる。なお主成分とは、本発明のペレットを構成する樹脂中のEVOH(A)の含有量が70質量%以上であることを示し、80質量%以上が好ましく、90質量%以上がより好ましく、95質量%以上が特に好ましく、99質量%以上であってもよい。EVOH(A)の含有量をこの範囲とすることで、得られるペレットの溶融成形性が向上し、それから得られる成形体のガスバリア性も優れたものとなる。
EVOH(A)のエチレン単位含有量、即ちEVOH(A)中の単量体単位の総数に対するエチレン単位の数の割合は15〜60モル%の範囲にある必要がある。EVOH(A)のエチレン単位含有量の下限は20モル%が好ましく、23モル%がより好ましい。一方、EVOH(A)のエチレン単位含有量の上限は55モル%が好ましく、50モル%がより好ましい。EVOH(A)のエチレン単位含有量が15モル%未満の場合、高湿度下でのガスバリア性が低下し、溶融成形性も悪化することがある。EVOH(A)のエチレン単位含有量が60モル%を超えると十分なガスバリア性が得られないことがある。
EVOH(A)のけん化度、即ちEVOH(A)中のビニルアルコール単位及びビニルエステル単位の総数に対するビニルアルコール単位の数の割合は85モル%以上である必要がある。EVOH(A)のけん化度の下限は95モル%が好ましく、99モル%がより好ましい。一方、EVOH(A)のけん化度の上限は100モル%が好ましく、99.99モル%がより好ましい。EVOH(A)のけん化度が85モル%未満の場合、十分なガスバリア性が得られないことがあり、さらに熱安定性が不十分となるおそれもある。
EVOH(A)が、エチレン単位含有量の異なる2種類以上のEVOHの混合物からなる場合には、混合質量比から算出される平均値をエチレン単位含有量とする。この場合、エチレン単位含有量が最も離れたEVOH同士のエチレン単位含有量の差が30モル%以下が好ましく、20モル%以下がより好ましく、15モル%以下がさらに好ましい。同様に、EVOH(A)が、けん化度の異なる2種類以上のEVOHの混合物からなる場合には、混合質量比から算出される平均値を混合物のけん化度とする。この場合、最も離れたEVOH同士のけん化度の差は7%以下が好ましく、5%以下がより好ましい。熱成形性及びガスバリア性が、より高いレベルでバランスがとれた樹脂組成物を所望する場合は、エチレン単位含有量が24モル%以上34モル%未満であり、けん化度が99モル%以上のEVOH(A−1)と、エチレン単位含有量が34モル%以上50モル%未満であり、けん化度が99モル%以上のEVOH(A−2)とを、配合質量比(A−1/A−2)が60/40〜90/10となるように混合し、EVOH(A)として使用することが好ましい。EVOH(A)のエチレン単位含有量及びけん化度は、核磁気共鳴(NMR)法により求めることができる。
EVOH(A)のJIS K 7210:2014に準拠したメルトフローレート(以下、単に「MFR」と略称することがある)(温度210℃、荷重2160g)の下限は0.1g/10分が好ましく、0.5g/10分がより好ましく、1g/10分がさらに好ましい。一方、EVOH(A)のMFRの上限は50g/10分が好ましく、30g/10分がより好ましく、15g/10分がさらに好ましい。EVOH(A)のMFRをこの範囲の値とすることで、得られる樹脂組成物の溶融成形性が向上する。
EVOH(A)は、本発明の目的が阻害されない範囲で、エチレン単位、ビニルアルコール単位及びビニルエステル単位以外の単量体単位を共重合単位として含有できる。前記単量体の例としては、例えばプロピレン、1−ブテン、イソブテン、4−メチル−1−ペンテン、1−ヘキセン、1−オクテン等のα−オレフィン;イタコン酸、メタクリル酸、アクリル酸、マレイン酸等の不飽和カルボン酸、その塩、その部分又は完全エステル、そのニトリル、そのアミド、その無水物;ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリ(β−メトキシエトキシ)シラン、γ−メタクリルオキシプロピルトリメトキシシラン等のビニルシラン系化合物;不飽和スルホン酸又はその塩;不飽和チオール類;ビニルピロリドン類が挙げられる。EVOH(A)中のエチレン単位、ビニルアルコール単位及びビニルエステル単位以外の単量体単位の含有量は、通常5モル%以下であり、2モル%以下が好ましく、1モル%以下がより好ましい。
<アルカリ金属イオン(B)>
本発明のペレットはアルカリ金属イオン(B)を50〜500ppmを含有する必要がある。アルカリ金属イオン(B)の含有量の下限は70ppmが好ましく、90ppmがより好ましい。一方、アルカリ金属イオン(B)の含有量の上限は400ppmが好ましく、300ppmがより好ましい。アルカリ金属イオン(B)の含有量が50ppm未満の場合、本発明のペレットを成形して得られる層を含む多層構造体の層間接着性が不十分となる場合がある。一方、アルカリ金属イオン(B)の含有量が500ppmを超える場合、熱劣化による着色が問題となる場合がある。アルカリ金属イオン(B)によって層間接着性が向上する理由は明らかではないが、EVOH(A)と隣接する層がEVOH(A)のヒドロキシ基と反応し得る官能基を有する分子を有する場合には、この結合生成反応がアルカリ金属イオン(B)によって加速されることが一因であると考えられる。また、アルカリ金属イオン(B)と、後述するカルボン酸(D)との含有比率を制御することで、得られるペレットの溶融成形性や着色耐性をさらに改善できる。
アルカリ金属イオン(B)としては、例えばリチウム、ナトリウム、カリウム、ルビジウム、セシウムのイオンが挙げられるが、工業的入手の点からはナトリウム又はカリウムのイオンが好ましい。特に、カリウムイオンを使用することで、本発明のペレットの色相、及び本発明のペレットを成形して得られる層を含む多層構造体の層間接着性を高いレベルで両立できる場合がある。これらは1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
アルカリ金属イオン(B)を与えるアルカリ金属塩としては、例えばリチウム、ナトリウム、カリウム等のアルカリ金属の脂肪族カルボン酸塩、芳香族カルボン酸塩、炭酸塩、塩酸塩、硝酸塩、硫酸塩、リン酸塩、金属錯体が挙げられる。中でも、酢酸ナトリウム、酢酸カリウム、リン酸ナトリウム、リン酸カリウムが、入手容易である点からより好ましい。
<2価金属イオン(C)>
本発明のペレットは2価金属イオン(C)を10〜100ppmを含有する必要がある。2価金属イオン(C)の含有量の下限は20ppmが好ましい。一方、2価金属イオン(C)の含有量の上限は50ppmがより好ましい。本発明のペレットは2価金属イオン(C)の含有量をこの範囲とすることで、EVOH(A)の熱劣化による着色が抑制され、長時間にわたって溶融成形を行った場合にも成形体のゲル及びブツの発生が抑制される場合がある。
2価金属イオン(C)としては、例えばベリリウム、マグネシウム、カルシウム、ストロンチウム、バリウム、鉄、銅、亜鉛のイオンが挙げられるが、着色等の影響が小さく、工業的に入手し易い点からはマグネシウム、カルシウム又は亜鉛のイオンが好ましい。少量の含有量でゲル及びブツの発生を効果的に抑制する観点では、マグネシウムイオンが特に好ましいが、色相とのバランスという観点では、カルシウムイオンや亜鉛イオン、特に亜鉛イオンが好ましい。これらは1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
2価金属イオン(C)を与える2価金属塩としては、例えばマグネシウム、カルシウム及び亜鉛等の脂肪族カルボン酸塩、芳香族カルボン酸塩、炭酸塩、塩酸塩、硝酸塩、硫酸塩、リン酸塩、金属錯体が挙げられる。中でも、酢酸マグネシウム、酢酸カルシウム、酢酸亜鉛が、入手容易である点からより好ましい。
<カルボン酸(D)>
本発明のペレットは沸点150℃未満のカルボン酸(D)を20〜400ppmを含有する必要がある。カルボン酸(D)の沸点が150℃未満であると、後述する乾燥工程でのカルボン酸(D)の含有量の制御が容易となる。カルボン酸(D)の含有量の下限は40ppmが好ましく、60ppmがより好ましい。一方、カルボン酸(D)の含有量の上限は350ppmが好ましく、300ppmがより好ましい。カルボン酸(D)の含有量が20ppm未満の場合、高温下での着色耐性や得られる溶融成形体の着色耐性が不十分となる場合がある。一方、カルボン酸(D)の含有量が400ppmを超える場合、溶融成形性が不十分となったり、臭気が問題になったりする場合がある。カルボン酸(D)の含有量は、ペレット10gを純水50mlで95℃、8時間抽出した後、得られる抽出液を滴定することで求められる。なお、ペレット中のカルボン酸(D)の含有量として、前記抽出液中に塩として存在するカルボン酸は考慮しない。また、本発明のペレットが、カルボン酸(D)以外の酸性化合物、例えば沸点150℃以上のカルボン酸や無機酸等を含有する場合には、滴定による測定値からそれらの酸性化合物の寄与分を差し引くことでペレット中のカルボン酸(D)の含有量を求めることができる。
カルボン酸(D)のpKaは3.5〜5.5であることが好ましい。カルボン酸(D)のpKaが上記範囲であると、得られるペレットを構成する樹脂組成物のpH緩衝能力が高まり、溶融成形性をさらに改善するとともに、酸性物質や塩基性物質による着色をさらに改善できる。
カルボン酸(D)としては、1価カルボン酸を挙げられ、これらは1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。 1価カルボン酸とは、分子内に1つのカルボキシル基を有する化合物である。pKaが3.5〜5.5の範囲にある沸点150℃未満の1価カルボン酸としては、特に限定されず、例えばギ酸(pKa=3.77)、酢酸(pKa=4.76)、プロピオン酸(pKa=4.85)、アクリル酸(pKa=4.25)等が挙げられる。これらのカルボン酸は沸点が150℃未満である限り、水酸基、アミノ基、ハロゲン原子等の置換基をさらに有していてもよい。中でも、安全性が高く、入手及び取扱いが容易であることから酢酸が好ましい。
<その他の成分>
本発明のペレットは本発明の効果を損なわない範囲でその他の成分を含有していてもよい。その他の成分としては、例えばリン酸化合物(E)、ホウ素化合物(F)、カルボン酸(D)以外の酸性化合物(たとえば沸点150℃以上のカルボン酸や無機酸等)、EVOH(A)以外の熱可塑性樹脂、架橋剤、乾燥剤、酸化促進剤、酸化防止剤、酸素吸収剤、可塑剤、滑剤、熱安定剤(溶融安定剤)、加工助剤、界面活性剤、脱臭剤、帯電防止剤、紫外線吸収剤、防曇剤、難燃剤、顔料、染料、フィラー、充填剤、各種繊維等の補強剤等が挙げられる。
<リン酸化合物(E)>
本発明のペレットは、リン酸化合物(E)をさらに含有してもよい。リン酸化合物(E)を含有する場合、本発明のペレット中の含有量の下限は、リン酸根換算で5ppmが好ましく、10ppmがより好ましい。一方、本発明のペレット中のリン酸化合物(E)の含有量の上限は、リン酸根換算で200ppmが好ましく、100ppmがより好ましい。この範囲でリン酸化合物(E)を含有することにより、得られるペレットや得られる溶融成形体の着色が抑制され、熱安定性が改善される場合がある。
リン酸化合物(E)としては、例えばリン酸、亜リン酸等の各種の酸やその塩等が用いられる。リン酸塩は第1リン酸塩、第2リン酸塩、第3リン酸塩のいずれであってもよい。リン酸塩のカチオン種も特に限定されないが、カチオン種がアルカリ金属、アルカリ土類金属が好ましい。中でも、リン酸化合物(E)として、リン酸二水素ナトリウム、リン酸二水素カリウム、リン酸水素二ナトリウム、及びリン酸水素二カリウムが好ましい。
<ホウ素化合物(F)>
本発明のペレットは、ホウ素化合物(F)をさらに含有してもよい。ホウ素化合物(F)を含有する場合、本発明のペレット中の含有量の下限は、ホウ素元素換算で50ppmが好ましく、100ppmがより好ましい。一方、本発明のペレット中のホウ素化合物(F)の含有量の上限は、ホウ素元素換算で400ppmが好ましく、200ppmがより好ましい。この範囲でホウ素化合物(F)を含有することにより、得られるペレットの溶融成形時の熱安定性が向上し、ゲル及びブツの発生が抑制される場合がある。また、耐ドローダウン性やペレットを溶融成形により製膜する際の耐ネックイン性が改善される場合や、得られる成形体の機械的性質が向上する場合がある。これらの効果は、EVOH(A)とホウ素化合物(F)との間にキレート相互作用が発生することに起因すると推測される。
ホウ素化合物(F)としては、例えばホウ酸、ホウ酸エステル、ホウ酸塩、水素化ホウ素が挙げられる。具体的には、オルトホウ酸(HBO)、メタホウ酸、四ホウ酸等のホウ酸;ホウ酸トリメチル、ホウ酸トリエチル等のホウ酸エステル;前記ホウ酸のアルカリ金属塩又はアルカリ土類金属塩、ホウ砂等のホウ酸塩等が挙げられる。中でもオルトホウ酸が好ましい。
<エステル結合又はアミド結合を有するヒンダードフェノール系化合物(G)>
本発明のペレットは、エステル結合又はアミド結合を有するヒンダードフェノール系化合物(G)をさらに含有してもよい。ヒンダードフェノール系化合物とは、少なくとも1つのフェノール基を含有する有機化合物であって、その芳香族部位が、置換基としてフェノールヒドロキシル基を有する炭素に直接隣接する少なくとも1つの位置、好ましくは両方の位置で置換されている、有機化合物を意味する。ヒドロキシル基に隣接する置換基は、炭素原子を1〜10個有するアルキル基から適切に選択すればよく、第3級ブチル基が好ましい。
ヒンダードフェノール系化合物(G)は室温付近において固体であることが好ましい。ブリードアウトを抑制する目的から、ヒンダードフェノール系化合物(G)の融点又は軟化温度は、50℃以上が好ましく、60℃以上がより好ましく、70℃以上がさらに好ましい。同様の理由から、ヒンダードフェノール系化合物(G)の分子量は、200以上が好ましく、400以上がより好ましく、600以上がさらに好ましい。また、EVOH(A)との混合を容易にする目的から、ヒンダードフェノール系化合物(G)の融点又は軟化温度は、200℃以下が好ましく、190℃以下がより好ましく、180℃以下がさらに好ましい。
ヒンダードフェノール系化合物(G)はエステル結合またはアミド結合を有する。ヒンダードフェノール系化合物(G)がエステル結合またはアミド結合を有することで、本発明のペレットを溶融成形に供する際にEVOH(A)の粘度を安定化させることができ、ゲルの発生を防止することができる。この効果は、ヒンダードフェノール系化合物(G)がアミド結合を有する場合に特に顕著となる。
ヒンダードフェノール系化合物(G)の具体的な構造としては、BASF社からイルガノックス1010として市販されているペンタエリトリトールテトラキス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオナート]、イルガノックス1076として市販されている3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオン酸ステアリル、イルガノックス1035として市販されている2,2’−チオジエチルビス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオナート]、イルガノックス1135として市販されている3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン酸オクタデシル、イルガノックス245として市販されているビス(3−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルベンゼンプロパン酸)エチレンビス(オキシエチレン)、イルガノックス259として市販されている1,6−ヘキサンジオールビス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオナート]、イルガノックス1098として市販されているN,N’−ヘキサメチレンビス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロパンアミド]等が挙げられる。中でも、アミド結合を有することから、イルガノックス1098として市販されているN,N’−ヘキサメチレンビス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロパンアミド]が特に好ましい。
本発明のペレットにおけるヒンダードフェノール系化合物(G)の含有量としては、5000〜50000ppmが好ましく、10000〜30000ppmがより好ましい。ヒンダードフェノール系化合物(G)の含有量を上記範囲とすることで、ペレットを溶融混練する際や溶融成形時にEVOHが分解したり架橋したりすることを防止でき、長時間にわたって安定した粘度を維持できる。さらに、ペレットを溶融混練する際や溶融成形時のゲルの発生を防止でき、外観に優れた成形体が製造できる。
<多価カルボン酸>
本発明のペレットは、カルボン酸(D)以外の多価カルボン酸をさらに含有してもよい。多価カルボン酸をさらに含有することで、ペレットの高温下での着色耐性や得られる溶融成形体の着色耐性をさらに改善できる場合がある。また、多価カルボン酸化合物は、3個以上のカルボキシル基を有することも好ましい。この場合、着色耐性をより効果的に向上できる場合がある。
多価カルボン酸とは、分子内に2つ以上のカルボキシル基を有する化合物である。この場合、少なくとも1つのカルボキシル基のpKaが3.5〜5.5の範囲にあることが好ましく、例えば、シュウ酸(pKa2=4.27)、コハク酸(pKa1=4.20)、フマル酸(pKa2=4.44)、リンゴ酸(pKa2=5.13)、グルタル酸(pKa1=4.30、pKa2=5.40)、アジピン酸(pKa1=4.43、pKa2=5.41)、ピメリン酸(pKa1=4.71)、フタル酸(pKa2=5.41)、イソフタル酸(pKa2=4.46)、テレフタル酸(pKa1=3.51、pKa2=4.82)、クエン酸(pKa2=4.75)、酒石酸(pKa2=4.40)、グルタミン酸(pKa2=4.07)、アスパラギン酸(pKa=3.90)等が挙げられる。
本発明のペレットは、EVOH(A)以外の熱可塑性樹脂をさらに含有してもよい。EVOH(A)以外の熱可塑性樹脂としては、例えば各種ポリオレフィン(ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ1−ブテン、ポリ4−メチル−1−ペンテン、エチレン−プロピレン共重合体、エチレンと炭素数4以上のα−オレフィンとの共重合体、ポリオレフィンと無水マレイン酸との共重合体、エチレン−ビニルエステル共重合体、エチレン−アクリル酸エステル共重合体、又はこれらを不飽和カルボン酸もしくはその誘導体でグラフト変性した変性ポリオレフィン等)、各種ポリアミド(ナイロン6、ナイロン6・6、ナイロン6/66共重合体、ナイロン11、ナイロン12、ポリメタキシリレンアジパミド等)、各種ポリエステル(ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等)、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリスチレン、ポリアクリロニトリル、ポリウレタン、ポリカーボネート、ポリアセタール、ポリアクリレート及び変性ポリビニルアルコール樹脂等が挙げられる。本発明のペレット中の前記熱可塑性樹脂の含有量は30質量%未満であり、20質量%未満が好ましく、10質量%未満がより好ましく、5質量%以下がさらに好ましく、1質量%以下であってもよい。
本発明のペレットは示差走査熱量測定で測定される該ペレットの融解熱量ΔHpと該ペレットを融解し再凝固した後に測定される融解熱量ΔHmとの融解熱量差(ΔHp−ΔHm)が5J/g以上であることが重要である。融解熱量差(ΔHp−ΔHm)は10J/g以上が好ましく、15J/g以上がさらに好ましい。融解熱量差(ΔHp−ΔHm)が上記範囲であると、ペレットの吸湿速度を低減でき、また、吸湿したペレットを再乾燥した場合にも、揮発性のカルボン酸含有量の変動を抑制できる。また、ペレットの融解熱量ΔHpは85J/g以上が好ましく、90J/g以上がさらに好ましく、95J/g以上がより好ましい。再凝固後の融解熱量ΔHmはペレットを構成する組成物、特にEVOH(A)のエチレン単位含有量及びけん化度に大きく依存するが、融解熱量差(ΔHp−ΔHm)が同一(例えば10J/g)の場合でも、ペレットの融解熱量ΔHpを上記範囲とすることで、揮発性のカルボン酸含有量の変動を抑制しやすくなる場合がある。また、本発明のペレットの黄色度は30未満が好ましく、26未満がさらに好ましく、24未満がより好ましく、22未満が特に好ましく、20未満が最も好ましい。
<ペレットの製造方法>
本発明のペレットの製造方法としては、最終的に、EVOH(A)、アルカリ金属イオン(B)、2価金属イオン(C)及びカルボン酸(D)が上述の範囲で含有されており、示差走査熱量測定による該ペレットの融解熱量ΔHpと該ペレットを融解し再凝固した後に測定される融解熱量ΔHmとの差(ΔHp−ΔHm)が5J/g以上である限り何ら制限はないが、後述する本発明の製造方法によって製造することが好ましい。
本発明のペレットにアルカリ金属イオン(B)、2価金属イオン(C)及びカルボン酸(D)を含有させる方法は特に限定されない。例えば、上記化合物が溶解している溶液にEVOH(A)を含む含水ペレットまたは未熱処理ペレットを浸漬する方法、EVOH(A)を溶融して上記化合物を混合する方法、EVOH(A)を適当な溶媒に溶解して上記化合物を混合する方法等が適用可能である。
中でも、本発明の効果をより顕著に発揮させるためには、後述するEVOH(A)を含む含水ペレットを上記化合物の溶液に浸漬させる方法が好ましい。この処理は、バッチ方式、連続方式のいずれによる操作でも実施可能である。また、その際該EVOH(A)の形状は、粉末、粒状、球状、円柱形ペレット状等の任意の形状であってよい。また、上記溶液中の各化合物の濃度は、特に限定されるものではない。また溶液の溶媒は特に限定されないが、取扱い上の容易さ及び環境への影響等から水溶液であることが好ましい。浸漬時間はEVOH(A)の形態によって異なるが、1〜10mm程度のペレットの場合には1時間以上、好ましくは2時間以上が好ましい。上記各化合物の溶液への浸漬処理は、複数の溶液に分けて浸漬してもよく、一度に処理しても構わない。上記のように溶液に浸漬して処理した場合、最後に乾燥を行い、揮発分0.5%未満の未熱処理のEVOHペレットが得られる。
本発明で用いる未熱処理ペレットとしては、従来公知の一般的なEVOHペレットの製造方法を用いることが可能である。
EVOHは、通常エチレン−ビニルエステル共重合体のけん化によって合成され、一般にはビニルエステルとしては酢酸ビニルが用いられる。また、エチレンと酢酸ビニルを共重合する際に、その他の脂肪酸ビニルエステル(プロピオン酸ビニル、ピバリン酸ビニル等)も併用することもできる。
エチレンとビニルエステルの重合は溶液重合、懸濁重合、乳化重合、バルク重合のいずれであっても良く、また連続式、回分式のいずれであってもよいが、例えば、回分式の溶液重合の場合の重合条件は次の通りである。
溶媒;アルコール類が好ましいが、その他エチレン、ビニルエステル及びエチレン−ビニルエステル共重合体を溶解し得る有機溶剤(ジメチルスルホキシド等)を用いることができる。アルコール類としてはメチルアルコール、エチルアルコール、プロピルアルコール、n−ブチルアルコール、t−ブチルアルコール等を用いることができ、特にメチルアルコールが好ましい。
触媒;2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、2,2’−アゾビス−(2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2’−アゾビス−(4−メチル−2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2’−アゾビス−(4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2’−アゾビス−(2−シクロプロピルプロピオニトリル)等のアゾニトリル系開始剤及びイソブチリルパーオキサイド、クミルパーオキシネオデカノエイト、ジイソプロピルパーオキシジカーボネート、ジ−n−プロピルパーオキシジカーボネート、t−ブチルパーオキシネオデカノエイト、ラウロイルパーオキサイド、ベンゾイルパーオキサイド、t−ブチルハイドロパーオキサイド等の有機過酸化物系開始剤等が用いられる。
温度;20〜90℃、好ましくは40℃〜70℃。
時間;2〜15時間、好ましくは3〜11時間。
重合率;仕込みビニルエステルに対して10〜90%、好ましくは30〜80%。
重合後の溶液中の樹脂分;5〜85%、好ましくは20〜70%。
なお、エチレンとビニルエステル以外にこれらと共重合し得る単量体を少量共存させることも可能である。共重合し得る単量体としては、例えばプロピレン、イソブチレン、α−オクテン、α−ドデセン等のα−オレフィン;アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、マレイン酸、イタコン酸等の不飽和酸又はその無水物、塩、あるいはモノ又はジアルキルエステル等;ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリ(β−メトキシ−エトキシ)シラン、γ−メタクリルオキシプロピルメトキシシラン等のビニルシラン類;アクリロニトリル、メタクリロニトリル等のニトリル類;アクリルアミド、メタクリルアミド等のアミド類;エチレンスルホン酸、アリルスルホン酸、メタアリルスルホン酸等のオレフィンスルホン酸又はその塩;アルキルビニルエーテル類、ビニルケトン、N−ビニルピロリドン、塩化ビニル、塩化ビニリデン等が挙げられる。
所定時間の重合後、所定の重合率に達した後、必要に応じて重合禁止剤を添加し、未反応のエチレンガスを蒸発除去した後、未反応酢酸ビニルを追い出す。エチレンを蒸発除去したエチレン−酢酸ビニル共重合体から未反応の酢酸ビニルを追い出す方法としては、例えばラシヒリングを充填した塔の上部から該共重合体溶液を一定速度で連続的に供給し、塔下部よりメタノール等の有機溶剤蒸気を吹き込み塔頂部よりメタノール等の有機溶剤と未反応酢酸ビニルの混合蒸気を留出させ、塔底部より未反応酢酸ビニルを除去した該共重合体溶液を取り出す方法等が採用される。
未反応の酢酸ビニルを除去した該共重合体溶液にアルカリ触媒を添加し、該共重合体中の酢酸ビニル成分をけん化する。けん化方法は連続式、回分式いずれも可能である。アルカリ触媒としては水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、アルカリ金属アルコラート等が用いられる。例えば、回分式の場合のけん化条件は次の通りである。
該共重合体溶液濃度;10〜50%。
反応温度;30〜60℃。
触媒使用量;0.02〜0.6当量(酢酸ビニル成分当り)。
時間;1〜6時間。
また、けん化工程の後に、酢酸等の酸を添加して残存するアルカリ触媒を中和することも一般に行われる。
造粒の操作としては、例えば(1)EVOHを含む溶液を低温の貧溶媒中に押出して析出させるか、又は凝固させその直後又はさらに冷却固化させた後にカットする方法、(2)EVOHの溶液を水蒸気と接触させて予めEVOHの含水樹脂組成物を得た後、当該含水樹脂組成物をカットする方法が挙げられる。これらの方法で得られたEVOHの含水ペレット中の含水量は、EVOH100質量部に対して、50〜200質量部が好ましく、70〜150質量部がより好ましい。
未熱処理ペレットは、例えば上記造粒工程で得られたEVOHの含水ペレットを乾燥することで得られる。未熱処理ペレット中の揮発分は、熱処理中の膠着等を防ぐ目的から、0.5質量%未満が好ましく、0.3質量%未満がさらに好ましい。含水ペレットの乾燥方法としては、例えば静置乾燥や流動乾燥が挙げられる。これらの乾燥方法は単独で用いてもよいし、複数を組み合わせて用いてもよい。乾燥処理は連続式、バッチ式いずれの方法で行っても良い。複数の乾燥方法を組み合わせて行う場合は、各乾燥方法について連続式、バッチ式を自由に選択できる。乾燥中の酸素によるペレットの劣化を低減できる観点から、乾燥を低酸素濃度あるいは無酸素状態で行うことも好ましい。乾燥温度は通常、150℃未満である。
本発明のペレットは、例えば上記で得られた揮発分0.5質量%未満の未熱処理ペレットを、EVOH(A)の融点より15〜25℃低い温度で、1〜5時間熱処理を行うことで得られる。
熱処理を行う装置としては、加熱方式は間接加熱方式/直接加熱方式いずれも用いることができ、またバッチ式/連続式のいずれであっても良く、装置内の雰囲気や温度を一定に保つことができるものでさえあれば良い。具体的には、ホッパードライヤーや流動層乾燥機、静置式乾燥機、ロータリーキルン、タンブラー乾燥機等が挙げられるが、これらに限るものではない。温度、湿度、酸素濃度といった、熱処理中にペレットが曝される環境を均一化し、得られるペレット間の品質のバラツキを小さくする観点からは、流動層乾燥機、ロータリーキルン、タンブラー乾燥機等を用い、ペレットを流動化させながら熱処理することが好ましい。
熱処理は空気中で行ってもよいが、酸素濃度が1000ppm以下の窒素雰囲気下で熱処理を行うことで、ペレットの着色を低減できる。雰囲気酸素濃度については、より好ましくは500ppm以下、更に好ましくは200ppm以下、より更に好ましくは100ppm以下、特に好ましくは10ppm以下である。
熱処理を行う際の雰囲気酸素濃度を上記範囲に調節する方法としては特に制限はないが、例えばホッパードライヤーや流動層乾燥機等といった熱風を用いる間接加熱方式が用いられる場合は、熱風とするガスに窒素と空気の混合気体を用い、その混合比率によって調節することで酸素濃度を調整できる。また、ロータリーキルンやタンブラー乾燥機等といった直接加熱方式の場合は、間接加熱方式と同様にガスの吹き込みを行う場合は吹き込みガスの酸素濃度を調節することで酸素濃度を調整できる。
本発明においては、ここに挙げた以外の方法によって酸素濃度を調節する方法も採用できる。
未熱処理ペレットの熱処理を行う温度は、EVOH(A)の融点より15〜25℃低い温度が好ましい。この範囲より低い温度で熱処理を行う場合、本発明の効果を十分に発現するペレットを得るために非常に長時間を要し、経済的ではない。一方、上記範囲を超える高い温度で熱処理を行うと、EVOH(A)が溶融したり、ペレット間で膠着したりすることで、その後の取扱い性が低下するおそれがある。
熱処理時間は、ペレットの融解熱量ΔHpと着色度合いのバランスにより決定すればよいが、1〜5時間が好ましく、2〜4時間がより好ましい。熱処理時間が1時間未満の場合、本発明の効果を有するペレットが得られない。熱処理時間が4時間を超える場合、生産性の観点から好ましくなく、得られるペレットの色相や熱安定性が悪化することがある。
<成形体>
本発明のペレットは種々の溶融成形方法により、多様な成形体に加工できる。こうして得られる成形体も本発明の一態様である。本発明の成形体としては、例えば単層構造の成形体や、本発明のペレットの成形体からなる層と、他の層とを有する多層構造体が挙げられる。成形方法としては、例えば押出成形、熱成形、異形成形、中空成形、回転成形、射出成形が挙げられる。本発明の成形体の用途は、例えばフィルム、シート、容器、ボトル、タンク、パイプ、ホース等が好適なものとして挙げられる。
具体的な成形方法として以下の方法が例示される。フィルム、シート、パイプ、ホース等であれば押出成形により得られる。容器形状であれば射出成形により得られる。ボトルやタンク等の中空容器は中空成形や回転成形により得られる。中空成形としては、押出成形によりパリソンを得た後、これをブローして成形を行う押出中空成形と、射出成形によりプリフォームを成形し、これをブローして成形を行う射出中空成形が挙げられる。フレキシブル包装材や容器の成形方法としては、押出成形によって多層フィルム等の包装材を得る方法、押出成形によって得られた多層シートを熱成形して容器状の包装材にする方法が好適に用いられる。
<多層構造体>
本発明のペレットの成形体からなる層を含む多層構造体も本発明の好適な実施態様である。当該多層構造体は、本発明のペレットの成形体からなる層と他の層とが積層されてなる。前記樹脂組成物層以外の他の層として、EVOH(A)以外の樹脂からなる層が好ましい。また、前記多層構造体がさらに接着性樹脂からなる層を有していてもよい。当該多層構造体の層構成としては、EVOH(A)以外の樹脂からなる層をx層、本発明のペレットの成形体からなる層をy層、接着性樹脂層をz層とすると、例えばx/y、x/y/x、x/z/y、x/z/y/z/x、x/y/x/y/x、x/z/y/z/x/z/y/z/x等が挙げられる。複数のx層、y層、z層を設ける場合は、その種類は同じであっても異なっていてもよい。また、成形時に発生するトリム等のスクラップからなる回収樹脂を用いた層を別途設けてもよいし、回収樹脂をいずれかの層にブレンドしてもよい。当該多層構造体の各層の厚さや構成は、特に限定されないが、成形性及びコスト等の観点から、全層厚さに対するy層の厚さ比は通常2〜20%が好ましい。
前記x層に使用される樹脂としては、加工性等の観点から熱可塑性樹脂が好ましい。熱可塑性樹脂としては、例えば各種ポリオレフィン(ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ1−ブテン、ポリ4−メチル−1−ペンテン、エチレン−プロピレン共重合体、エチレンと炭素数4以上のα−オレフィンとの共重合体、ポリオレフィンと無水マレイン酸との共重合体、エチレン−ビニルエステル共重合体、エチレン−アクリル酸エステル共重合体、又はこれらを不飽和カルボン酸もしくはその誘導体でグラフト変性した変性ポリオレフィン等)、各種ポリアミド(ナイロン6、ナイロン6・6、ナイロン6/66共重合体、ナイロン11、ナイロン12、ポリメタキシリレンアジパミド等)、各種ポリエステル(ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等)、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリスチレン、ポリアクリロニトリル、ポリウレタン、ポリカーボネート、ポリアセタール、ポリアクリレート及び変性ポリビニルアルコール樹脂が挙げられる。かかる熱可塑性樹脂層は無延伸のものであってもよいし、一軸もしくは二軸に延伸又は圧延されたものであってもよい。中でも、耐湿性、機械的特性、経済性、ヒートシール性等に優れる観点から、ポリオレフィンが好ましく、機械的特性、耐熱性等に優れる観点から、ポリアミドやポリエステルが好ましい。
前記z層に使用される接着性樹脂としては、各層を接着できるものであれば特に限定されず、ポリウレタン系又はポリエステル系の一液型又は二液型硬化性接着剤、カルボン酸変性ポリオレフィン等が好適に用いられる。カルボン酸変性ポリオレフィンとしては、例えば不飽和カルボン酸又はその無水物(無水マレイン酸等)を共重合成分として含むポリオレフィン系共重合体;又は不飽和カルボン酸又はその無水物をポリオレフィンにグラフトさせて得られるグラフト共重合体等が挙げられる。
本発明のペレットの成形体からなる層を含む多層構造体を得る方法としては、例えば共押出成形、共押出中空成形、共射出成形、押出ラミネート、共押出ラミネート、ドライラミネート、溶液コート等が挙げられる。なお、このような方法で得られた多層構造体に対して、さらに真空又は圧空深絞成形、ブロー成形、プレス成形等の方法により、EVOH(A)の融点以下の範囲で再加熱後に二次加工成形を行い、目的とする成形体にしてもよい。また、多層構造体に対して、ロール延伸法、パンタグラフ延伸法、インフレーション延伸法等の方法により、EVOH(A)の融点以下の範囲で再加熱後に一軸又は二軸延伸して、延伸された多層構造体を得ることもできる。
実施例
以下、実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例によって何ら限定されない。なお、本実施例における各分析及び評価は以下の方法で行った。
(1)ペレットの融解熱量ΔHp及びそのばらつき、並びにペレットを融解し再凝固した後の融解熱量ΔHm
各実施例及び比較例で得られたペレットについて、示差走査熱量分析計(TA Instrument社製「Q2000」)を用いて20℃から220℃まで10℃/分の速度にて昇温した後、10℃/分の速度にて20℃まで冷却し、再度20℃から220℃まで10℃/分の速度にて昇温した際の吸熱量を測定した。1度目の昇温時の吸熱量をペレットの融解熱量ΔHpとし、2度目の昇温時の吸熱量をペレットを融解し再凝固した後の融解熱量ΔHmとした。測定は任意の5つのペレットについて行い、その平均値を結果に用いた。また、ペレットの融解熱量ΔHpのばらつきについて、5つのペレットの各測定値の最大値と最小値の差異が5J/g未満の場合をA判定、5J/g以上の場合をB判定として評価した。
(2)ペレットの黄色度
各実施例及び比較例で得られたペレットの黄色度(YI)を、分光測色計(HunterLab社製「LabScan XE Sensor」)を用いて測定した。なお、YI値は対象物の黄色みを表す指標であり、YI値が高いほど黄色度が強く、一方、YI値が低いほど黄色度が弱く、着色が少ないことを表す。
(3)EVOH(A)の融点
(1)における2度目の昇温時の吸熱ピークの極大値の温度を、各実施例及び比較例のEVOH(A)の融点とした。
(4)EVOH(A)のエチレン単位含有量及びけん化度
各実施例及び比較例で得られたペレットを、内部標準物質としてテトラメチルシラン(TMS)、添加剤としてトリフルオロ酢酸(TFA)を含む重ジメチルスルホキシド(DMSO−d)に溶解し、500MHzのH−NMR(日本電子社製「GX−500」)を用いて80℃で測定し、エチレン単位、ビニルアルコール単位、ビニルエステル単位のピーク強度比よりエチレン単位含有量及びけん化度を求めた。
(5)アルカリ金属イオン(B)、2価金属イオン(C)、りん酸化合物(E)及びホウ素化合物(F)の含有量
各実施例及び比較例で得られたペレット0.5gをテフロン(登録商標)製圧力容器に入れ、ここに濃硝酸5mLを加えて室温で30分間分解させた。分解後に、前記容器に蓋をしてから、湿式分解装置により150℃で10分間、次いで180℃で5分間加熱することでさらに分解を行い、その後室温まで冷却した。この処理液を50mLのメスフラスコに移し純水でメスアップした。この溶液をICP発光分光分析装置(Perkin Elmer社製「Optima 4300DV」)により測定することで、ペレット中のアルカリ金属イオン、2価金属イオン、りん酸化合物及びホウ素化合物の含有量を定量した。
(6)カルボン酸(D)の含有量
各実施例及び比較例で得られたペレット10gと純水50mLを共栓付き100mL三角フラスコに投入し、冷却コンデンサーを付け、95℃で8時間撹拌した。得られた抽出液を20℃まで冷却した後、フェノールフタレインを指示薬として、0.02モル/Lの水酸化ナトリウム水溶液で滴定することにより、カルボン酸(D)の含有量を定量した。
(7)再乾燥後のカルボン酸(D)の含有量
各実施例及び比較例で得られたペレット1kgを40℃90%RHの恒温恒湿機(エスペック社製「PR−4J」)に保管し、経時的に揮発分を測定し、揮発分量を5±0.2質量%に調整した。このペレットを流動層乾燥機を用いて100℃で12時間、再度乾燥した。次いで、再度乾燥した後のペレット10gと純水50mLを共栓付き100mL三角フラスコに投入し、冷却コンデンサーを付け、95℃で8時間撹拌した。得られた抽出液を20℃まで冷却した後、フェノールフタレインを指示薬として、0.02モル/Lの水酸化ナトリウム水溶液で滴定することにより再乾燥後のカルボン酸(D)の含有量を定量した。
(7)加工時のロングラン性(ダイリップ付着量)
各実施例及び比較例で得られたペレットを単軸押出機(東洋精機製作所社製「D2020」、口径20mmφ、L/D20)を用いて、以下の条件で厚み20μmの単層製膜を5時間行った後、スクリュー回転数を50rpmに上げ、500gの高密度ポリエチレンで押出機内をパージ(洗浄)した。次に、ダイスを分解し、リップ部に付着している熱劣化樹脂を採取して秤量し、加工時のロングラン性(ダイリップ付着量)を評価した。なお、リップ部に付着している熱劣化樹脂は、製膜時にゲルやブツなどの欠点の原因になりやすく、その蓄積量が小さいことは長時間にわたって安定に溶融成形可能なことを意味する。
スクリュー径:20mmφ(L/D=20、圧縮比=3.5、フルフライト型)
スクリュー回転数:20rpm
押出温度:供給部/圧縮部/計量部/ダイ=180/220/220/250℃
ダイ:300mm幅コートハンガーダイ
引取りロール温度:80℃
引取り速度:約1.5m/分(厚みを20μmとするために調整)
[実施例1]
エチレン含有量32モル%、けん化度99.95モル%、融点182℃、揮発分110質量%の含水EVOHペレットを酢酸ナトリウム、酢酸マグネシウム、及び酢酸を含有する水溶液に25℃で6時間浸漬し攪拌した。なお、浸漬処理における水溶液の酢酸ナトリウム、酢酸マグネシウム及び酢酸の濃度は、得られるペレット中のナトリウム、マグネシウム及び酢酸の含有量がそれぞれ160ppm、35ppm、約250ppmとなる濃度とした。浸漬処理後、水溶液と含水ペレットを遠心脱水することで分離して脱液した後、熱風乾燥機に入れて80℃で3時間、次いで110℃で35時間乾燥を行い、揮発分0.1質量%の未熱処理ペレットを得た。なお、含水EVOHペレット及び未熱処理ペレットの揮発分は、ハロゲン水分率分析装置(メトラー・トレド社製「HX204」)を用い、乾燥温度180℃、乾燥時間20分、サンプル量10gの条件で重量測定法により測定した。ただし、本明細書における揮発分は、乾燥重量基準の質量%とする。得られた未熱処理ペレットを流動層乾燥機を用いて空気中で、162℃で3.5時間熱処理を行い、本発明のペレットを得た。得られたペレットについて上述の各種評価を行った。結果を表1及び表2に示す。
[実施例2〜5]
熱処理の時間を表2の通りとした以外は、実施例1と同様にペレットを得て、各種評価を行った。結果を表1及び表2に示す。
[実施例6]
流動層乾燥機の代わりに静置式乾燥機を用いた以外は、実施例1と同様の操作によりペレットを製造して、分析及び評価を行った。実施例6のペレットでは、ペレットの融解熱量ΔHpのばらつきが大きかった。結果を表1及び表2に示す。
[実施例7]
流動層乾燥機を用いて、酸素濃度500ppmの窒素雰囲気下で熱処理を行った以外は、実施例1と同様にしてペレットを得て、各種評価を行った。得られたペレットは黄色度が小さく、外観が特に良好であった。結果を表1及び表2に示す。
[実施例8,9]
酢酸マグネシウムの添加量を表1の通りに変更した以外は、実施例1と同様にしてペレットを得て、各種評価を行った。結果を表1及び表2に示す。
[実施例10]
酢酸マグネシウムの代わりに酢酸カルシウムを用い、添加量を表1の通りに変更した以外は、実施例1と同様にしてペレットを得て、各種評価を行った。結果を表1及び表2に示す。
[実施例11]
酢酸マグネシウムの代わりに酢酸亜鉛を用い、添加量を表1の通りに変更した以外は、実施例1と同様にしてペレットを得て、各種評価を行った。結果を表1及び表2に示す。
[実施例12]
酢酸ナトリウムの代わりに酢酸カリウムを用い、添加量を表1の通りに変更した以外は、実施例1と同様にしてペレットを得て、各種評価を行った。結果を表1及び表2に示す。
[実施例13]
酢酸の代わりにプロピオン酸を用い、添加量を表1の通りに変更した以外は、実施例1と同様にしてペレットを得て、各種評価を行った。得られたペレットを用いて単層製膜を行った際には特有の臭気が感じられた。結果を表1及び表2に示す。
[実施例14]
浸漬処理の際にさらにリン酸を表1に記載の割合となる濃度で添加した以外は、実施例1と同様にしてペレットを得て、各種評価を行った。得られたペレットでは、実施例1のペレットに比べ、ペレットの黄色度がやや良好であった。結果を表1及び表2に示す。
[実施例15]
さらにホウ酸を表1に記載の割合で添加した以外は、実施例1と同様にしてペレットを得て、各種評価を行った。得られたペレットを用いて単層成膜を行った際には、実施例1のペレットを用いて単層製膜を行った場合に比べてネックインが軽減された。結果を表1及び表2に示す。
[実施例16]
実施例1で得た未熱処理ペレットを熱処理する前に、アミド結合を有するヒンダードフェノール系化合物(BASF社製「イルガノックス1098」、融点160℃、分子量637)を2軸押出機を用いて220℃で溶融混練してペレットを得た後に熱処理を行った以外は、実施例1と同様にしてペレットを得て、各種評価を行った。得られたペレットを用いて単層成膜を行った際にはダイリップ付着量が低減された。結果を表1及び表2に示す。
[実施例17]
エチレン含有量44モル%、けん化度99.95モル%、融点165℃の含水EVOHペレットを用い、熱処理温度を145℃に変更した以外は、実施例1と同様にしてペレットを得て、各種評価を行った。得られたペレットは実施例1と比較して黄色度が小さく、外観が良好であり、これを用いて単層成膜を行ったところ、得られた単層膜の酸素透過度はやや高いものの、ダイリップ付着量が低減された。結果を表1及び表2に示す。
[比較例1]
熱処理を行わなかった以外は、実施例1と同様にしてペレットを得て、各種評価を行った。結果を表1及び表2に示す。
[比較例2]
酢酸マグネシウムを用いなかった以外は、比較例1と同様にしてペレットを得て、各種評価を行った。結果を表1及び表2に示す。
[比較例3]
酢酸マグネシウムを用いなかった以外は、実施例1と同様にしてペレットを得て、各種評価を行った。結果を表1及び表2に示す。
[比較例4、5]
酢酸マグネシウムの添加量を表1の通りに変更した以外は、実施例1と同様にしてペレットを得て、各種評価を行った。結果を表1及び表2に示す。
[比較例6]
酢酸マグネシウムを用いなかった以外は、実施例7と同様にしてペレットを得て、各種評価を行った。結果を表1及び表2に示す。
[比較例7]
酢酸ナトリウムの添加量を表1の通りに変更した以外は、実施例1と同様にしてペレットを得て、各種評価を行った。結果を表1及び表2に示す。
[比較例8]
酢酸の添加量を表1の通りに変更した以外は、実施例1と同様にしてペレットを得て、各種評価を行った。結果を表1及び表2に示す。


Claims (12)

  1. エチレン−ビニルアルコール共重合体(A)を主成分とするペレットであって、
    エチレン−ビニルアルコール共重合体(A)のエチレン単位含有量が15〜60モル%、けん化度が85モル%以上であり、
    アルカリ金属イオン(B)を50〜500ppm、2価金属イオン(C)を10〜100ppm、及び沸点150℃未満のカルボン酸(D)を20〜400ppm含有し、
    示差走査熱量測定で測定される該ペレットの融解熱量ΔHpと該ペレットを融解し再凝固した後に測定される融解熱量ΔHmとの融解熱量差(ΔHp−ΔHm)が5J/g以上であるペレット。
  2. 融解熱量差(ΔHp−ΔHm)が10J/g以上である、請求項1に記載のペレット。
  3. 融解熱量ΔHpが85J/g以上である、請求項1又は2に記載のペレット。
  4. さらにリン酸化合物(E)をリン酸根換算で5〜200ppm含有する、請求項1〜3のいずれかに記載のペレット。
  5. さらにホウ素化合物(F)をホウ素元素換算で50〜400ppm含有する、請求項1〜4のいずれかに記載のペレット。
  6. さらにエステル結合又はアミド結合を有するヒンダードフェノール系化合物(G)を5000〜50000ppm含有する、請求項1〜5のいずれかに記載のペレット。
  7. 黄色度が30未満である、請求項1〜6のいずれかに記載のペレット。
  8. 請求項1〜7のいずれかに記載のペレットから任意に選ばれる5つのペレットについて示差走査熱量測定で測定される融解熱量ΔHpの最大値と最小値の差が5J/g未満である、ペレット。
  9. エチレン−ビニルアルコール共重合体(A)、アルカリ金属イオン(B)、2価金属イオン(C)及び沸点150℃未満のカルボン酸(D)を含有し、揮発分の含有量が0.5質量%未満である未熱処理ペレットを、エチレン−ビニルアルコール共重合体(A)の融点より15〜25℃低い温度で、1〜5時間熱処理を行う工程を含む、請求項1〜8のいずれかに記載のペレットの製造方法。
  10. 酸素濃度が1000ppm以下の窒素雰囲気下で熱処理を行う、請求項9に記載のペレットの製造方法。
  11. ペレットを流動させながら熱処理を行う、請求項9又は10に記載のペレットの製造方法。
  12. 請求項1〜8のいずれかに記載のペレットからなる溶融成形体。
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