JP2020082495A - 蒸着フィルム、包装材、及び真空断熱体 - Google Patents

蒸着フィルム、包装材、及び真空断熱体 Download PDF

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【課題】製膜性、延伸性、及び低温での耐衝撃性に優れる蒸着フィルム、並びにこのような蒸着フィルムを用いた包装材及び真空断熱体の提供。【解決手段】エチレン単位含有量20〜60モル%のエチレン−ビニルアルコール共重合体(A)及びホウ素化合物(B)を含有する樹脂組成物から形成される基材フィルム(X)と、基材フィルム(X)の少なくとも一方の面側に積層される無機蒸着層(Y)とを備える蒸着フィルムであって、前記ホウ素化合物(B)が遊離ホウ酸(C)を含み、前記樹脂組成物における前記エチレン−ビニルアルコール共重合体(A)に対する前記ホウ素化合物(B)の含有量がオルトホウ酸換算で100ppm以上5000ppm以下であり、前記ホウ素化合物(B)中の前記遊離ホウ酸(C)の割合がオルトホウ酸換算で0.1質量%以上10質量%以下である、蒸着フィルム。【選択図】なし

Description

本発明は、蒸着フィルム、包装材、及び真空断熱体に関する。
エチレン−ビニルアルコール共重合体(以下「EVOH」と略記する場合がある)はガスバリア性、耐油性、非帯電性、機械強度等に優れた高分子材料であり、フィルム、容器等の各種包装材として広く用いられている。
EVOHを用いたフィルムの一つとして、EVOH製の基材フィルムにアルミニウム蒸着層やシリカ蒸着層等の無機蒸着層を積層した蒸着フィルムが知られている(特許文献1参照)。このような蒸着フィルムは、高いガスバリア性などを活かし、真空断熱体の芯材を封入する外包材などとして利用されている。
一方、これまでにEVOHを各種包装材料として用いるに際し、溶融成形が比較的容易なEVOH樹脂組成物が提案されている。特許文献2には、EVOH及びホウ素化合物を特定量含む樹脂組成物を製造するにあたり、含水率20〜80質量%のEVOHをホウ素化合物水溶液と接触させ、かつホウ素化合物水溶液中のホウ素化合物の含有量をEVOHに含有される水とホウ素化合物水溶液に含有される水の合計量100質量部に対して0.001〜0.5質量部とすることで、溶融成形性に優れ、特に多層積層体製造時においてフィッシュアイ等の発生を抑制でき、かつロングラン成形性も良好であるEVOH樹脂組成物が得られることが記載されている。
特許文献3には、ホウ素化合物をオルトホウ酸(HBO)換算で100〜5000ppm、カルボン酸及び/またはその塩をカルボン酸換算で100〜1000ppm、及びアルカリ金属塩を金属換算で50〜300ppm含有する、EVOH樹脂組成物層、及びそれに隣接するカルボン酸変性ポリオレフィン樹脂層からなる溶融多層体を共押出ししてなる多層構造体が開示され、高温製造時の熱安定性(ロングラン性)及び共押出製膜安定性が改善されると記載されている。
特開2002−310385号公報 特開平11−293078号公報 国際公開第2000/020211号
しかしながら、前記従来のEVOH樹脂組成物を用いて蒸着フィルムの基材フィルムを製造する場合、製膜性などが十分といえるものではない。具体的には、EVOH樹脂組成物の製膜の際には、ネックインやフィッシュアイの発生などが問題となることがある。ネックインとは、Tダイによるフィルム成形において、ダイの有効幅より押し出されたフィルムの幅の方が小さくなる現象である。また、フィッシュアイは、局所的にホウ酸架橋が進み部分的に高粘度化した架橋構造体であり、外観やガスバリア性の低下等の要因となる。
さらに、EVOH樹脂組成物を製膜して得られるフィルムには、強度等の改善のために延伸処理がなされることがあるが、延伸の際にフィルムにスジ状のムラが生じることがある。このような延伸ムラは、外観やガスバリア性の低下等の要因となる。特に、上述のフィッシュアイや延伸ムラは、比較的高温高速で、また、長時間連続で製膜した場合に、発生しやすくなる傾向がある。
また、蒸着フィルムは、真空断熱体等の包装材に使用される場合、低温下や高温下でも、その良好なガスバリア性が維持できることが必要となる。特に、例えばEVOH製の基材フィルムを備える蒸着フィルムが外装材として用いられた真空断熱体を低温下で輸送等した場合、基材フィルムが低温で硬くなり、衝撃に対してクラック等が生じやすくなるという不都合を有する。クラック等が生じると、ガスバリア性等の低下を引き起こすこととなる。このため、包装材などとして用いられる蒸着フィルムには、低温環境下においても耐衝撃性が良好であることが求められる。
本発明は、以上のような事情に基づいてなされたものであり、その目的は、製膜性、延伸性、及び低温での耐衝撃性に優れる蒸着フィルム、並びにこのような蒸着フィルムを用いた包装材及び真空断熱体を提供することである。
すなわち、本発明は
[1]エチレン単位含有量20〜60モル%のエチレン−ビニルアルコール共重合体(A)(以下、「EVOH(A)」と略記する場合がある)及びホウ素化合物(B)を含有する樹脂組成物から形成される基材フィルム(X)と、基材フィルム(X)の少なくとも一方の面側に積層される無機蒸着層(Y)とを備える蒸着フィルムであって、ホウ素化合物(B)が遊離ホウ酸(C)を含み、前記樹脂組成物におけるEVOH(A)に対するホウ素化合物(B)の含有量がオルトホウ酸換算で100ppm以上5000ppm以下であり、ホウ素化合物(B)中の遊離ホウ酸(C)の割合がオルトホウ酸換算で0.1質量%以上10質量%以下である、蒸着フィルム;
[2]前記樹脂組成物がリン酸化合物をリン酸根換算で1ppm以上500ppm以下含む、[1]の蒸着フィルム;
[3]前記樹脂組成物がカルボン酸及び/またはカルボン酸イオンをカルボン酸根換算で0.01μmol/g以上20μmol/g以下含む、[1]または[2]の蒸着フィルム;
[4]前記樹脂組成物における190℃、2160g荷重下でASTM D1238に準じて測定したメルトインデックスが0.1〜15g/10分である、[1]〜[3]のいずれかの蒸着フィルム;
[5]基材フィルム(X)の両面側にそれぞれ無機蒸着層(Y)が積層されている、[1]〜[4]のいずれかの蒸着フィルム;
[6]無機蒸着層(Y)の平均厚みが15nm以上150nm以下である、[1]〜[5]のいずれかの蒸着フィルム;
[7][1]〜[6]のいずれかの蒸着フィルムを備える包装材;
[8][1]〜[6]のいずれかの蒸着フィルムを備える真空断熱体;
を提供することにより達成される。
本発明によれば、製膜性、延伸性、及び低温での耐衝撃性に優れる蒸着フィルム、並びにこのような蒸着フィルムを用いた包装材及び真空断熱体を提供できる。
実施例で使用したホットカッターを示す側面透視説明図である。
<蒸着フィルム>
本発明の蒸着フィルムは、EVOH(A)及びホウ素化合物(B)を含有する樹脂組成物から形成される基材フィルム(X)と、基材フィルム(X)の少なくとも一方の面側に積層される無機蒸着層(Y)とを備える蒸着フィルムであって、ホウ素化合物(B)が遊離ホウ酸(C)を含み、前記樹脂組成物におけるEVOH(A)に対するホウ素化合物(B)の含有量がオルトホウ酸換算で100ppm以上5000ppm以下であり、ホウ素化合物(B)中の遊離ホウ酸(C)の割合がオルトホウ酸換算で0.1質量%以上10質量%以下である蒸着フィルムである。
本発明の蒸着フィルムにおいては、基材フィルム(X)が、所定量のホウ素化合物(B)を含有し且つ所定割合の遊離ホウ酸(C)を含む樹脂組成物から形成されているため、製膜性、延伸性、及び低温での耐衝撃性に優れる。なお、「低温での耐衝撃性」とは、低温環境下における衝撃に対する耐性をいう。本発明の蒸着フィルムの製造においては、製膜の際のネックインが抑制され、長時間連続製膜においてもフィッシュアイの発生が抑制されるため、本発明の蒸着フィルムは、外観やガスバリア性等に優れる。また、本発明の蒸着フィルムの製造においては、比較的高温高速での、または長時間連続での製膜に亘って優れた製膜性が維持されるため、生産性が高い。また、本発明の蒸着フィルムは、基材フィルム(X)が延伸されている場合も、延伸に伴うスジ状のムラの発生が少なく、外観に優れ、十分なガスバリア性が発揮される。さらに本発明の蒸着フィルムは、低温での耐衝撃性に優れるため、低温下で衝撃が加わった場合も、良好なガスバリア性が維持される。また、本発明の蒸着フィルムは、温度変化が激しい環境下で使用された場合も、良好なガスバリア性が維持される。
<基材フィルム(X)>
本発明の蒸着フィルムに備わる基材フィルム(X)は、EVOH(A)及びホウ素化合物(B)を含有し、ホウ素化合物(B)は遊離ホウ酸(C)を含む樹脂組成物から形成されているフィルムである。以下、樹脂組成物の各成分について説明する。
(EVOH(A))
EVOH(A)は、エチレン単位とビニルアルコール単位とを有し、エチレン単位含有量が20〜60モル%の共重合体である。EVOH(A)は、通常、エチレン−ビニルエステル共重合体のケン化により得られ、エチレン−ビニルエステル共重合体の製造及びケン化は公知の方法により行うことができる。ビニルエステルとしては酢酸ビニルが代表的であるが、ギ酸ビニル、プロピオン酸ビニル、バレリン酸ビニル、カプリン酸ビニル、ラウリン酸ビニル、ステアリン酸ビニル、ピバリン酸ビニル及びバーサティック酸ビニル等のその他の脂肪族カルボン酸ビニルエステルであってもよい。
EVOH(A)のエチレン単位含有量は20モル%以上であり、25モル%以上が好ましく、27モル%以上がより好ましい。EVOH(A)のエチレン単位含有量は60モル%以下であり、55モル%以下が好ましく、50モル%以下がより好ましい。エチレン単位含有量が20モル%未満では、溶融押出時の熱安定性が低下し、ゲル化しやすくなり、ストリーク、フィッシュアイが発生する傾向にある。特に一般的な条件よりも高温または高速で長時間運転する際に顕著である。エチレン単位含有量が60モル%を超えると、ガスバリア性が低下するする傾向にある。
EVOH(A)のケン化度は90モル%以上が好ましく、95モル%以上がより好ましく、99モル%以上がさらに好ましい。EVOH(A)のケン化度が90モル%以上であると、樹脂組成物や蒸着フィルムにおけるガスバリア性、熱安定性、耐湿性が良好となる傾向がある。また、ケン化度は100モル%以下であっても、99.97モル%以下であっても、99.94モル%以下であってもよい。
また、EVOH(A)は、本発明の目的が阻害されない範囲で、エチレン、ビニルエステル及びそのケン化物以外の他の単量体由来の単位を有していてもよい。EVOH(A)が前記他の単量体由来の単位を有する場合、前記他の単量体由来の単位のEVOH(A)の全構造単位に対する含有量は30モル%以下が好ましく、20モル%以下がより好ましく、10モル%以下がさらに好ましく、5モル%以下がよりさらに好ましく、1モル%以下がよりさらに好ましいこともある。また、EVOH(A)が前記他の単量体由来の単位を有する場合、その含有量は0.05モル%以上であっても、0.10モル%以上であってもよい。前記他の単量体は、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、イタコン酸等の不飽和カルボン酸またはその無水物、塩、またはモノ若しくはジアルキルエステル等;アクリロニトリル、メタクリロニトリル等のニトリル;アクリルアミド、メタクリルアミド等のアミド;ビニルスルホン酸、アリルスルホン酸、メタアリルスルホン酸等のオレフィンスルホン酸またはその塩;ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリ(β−メトキシ−エトキシ)シラン、γ−メタクリルオキシプロピルメトキシシラン等のビニルシラン化合物;アルキルビニルエーテル類、ビニルケトン、N−ビニルピロリドン、塩化ビニル、塩化ビニリデン等が挙げられる。
また前記他の単量体由来の単位は下記式(I)で表される構造単位(I)、下記式(II)で表される構造単位(II)、及び下記式(III)で表される構造単位(III)の少なくともいずれか一種であってもよい。
Figure 2020082495
前記構造単位(I)、構造単位(II)及び構造単位(III)中、R、R、R、R、R、R、R、R、R、R10及びR11は、それぞれ独立して、水素原子、炭素数1〜10の脂肪族炭化水素基、炭素数3〜10の脂環式炭化水素基、炭素数6〜10の芳香族炭化水素基または水酸基を表す。また、R、R及びRのうちの一対、RとR、RとRは結合していてもよい。前記炭素数1〜10の脂肪族炭化水素基、炭素数3〜10の脂環式炭化水素基及び炭素数6〜10の芳香族炭化水素基が有する水素原子の一部または全部は、水酸基、アルコキシ基、カルボキシル基またはハロゲン原子で置換されていてもよい。前記構造単位(III)中、R12及びR13は、それぞれ独立して、水素原子、ホルミル基または炭素数2〜10のアルカノイル基を表す。
EVOH(A)が前記構造単位(I)、(II)または(III)を有する場合、樹脂組成物の柔軟性及び加工特性が向上し、得られる基材フィルム等における延伸性及び熱成形性等が良好になる傾向がある。
前記構造単位(I)、(II)または(III)において、前記炭素数1〜10の脂肪族炭化水素基としてはアルキル基、アルケニル基等が挙げられ、炭素数3〜10の脂環式炭化水素基としてはシクロアルキル基、シクロアルケニル基等が挙げられ、炭素数6〜10の芳香族炭化水素基としてはフェニル基等が挙げられる。
前記構造単位(I)において、前記R、R及びRは、それぞれ独立に水素原子、メチル基、エチル基、水酸基、ヒドロキシメチル基及びヒドロキシエチル基であることが好ましく、中でも、得られる多層構造体等における延伸性及び熱成形性をさらに向上させることができる観点から、それぞれ独立に水素原子、メチル基、水酸基及びヒドロキシメチル基であることがより好ましい。
EVOH(A)中に前記構造単位(I)を含有させる方法は特に限定されず、例えば、前記エチレンとビニルエステルとの重合において、構造単位(I)に誘導される単量体を共重合させる方法等が挙げられる。構造単位(I)に誘導される単量体としては、例えばプロピレン、ブチレン、ペンテン、ヘキセン等のアルケン;3−ヒドロキシ−1−プロペン、3−アシロキシ−1−プロペン、3−アシロキシ−1−ブテン、4−アシロキシ−1−ブテン、3,4−ジアシロキシ−1−ブテン、3−アシロキシ−4−ヒドロキシ−1−ブテン、4−アシロキシ−3−ヒドロキシ−1−ブテン、3−アシロキシ−4−メチル−1−ブテン、4−アシロキシ−2−メチル−1−ブテン、4−アシロキシ−3−メチル−1−ブテン、3,4−ジアシロキシ−2−メチル−1−ブテン、4−ヒドロキシ−1−ペンテン、5−ヒドロキシ−1−ペンテン、4,5−ジヒドロキシ−1−ペンテン、4−アシロキシ−1−ペンテン、5−アシロキシ−1−ペンテン、4,5−ジアシロキシ−1−ペンテン、4−ヒドロキシ−3−メチル−1−ペンテン、5−ヒドロキシ−3−メチル−1−ペンテン、4,5−ジヒドロキシ−3−メチル−1−ペンテン、5,6−ジヒドロキシ−1−ヘキセン、4−ヒドロキシ−1−ヘキセン、5−ヒドロキシ−1−ヘキセン、6−ヒドロキシ−1−ヘキセン、4−アシロキシ−1−ヘキセン、5−アシロキシ−1−ヘキセン、6−アシロキシ−1−ヘキセン、5,6−ジアシロキシ−1−ヘキセン等の水酸基あるいはエステル基を有するアルケンが挙げられる。中でも、共重合反応性、及び得られるフィルム等の加工性、ガスバリア性の観点からは、プロピレン、3−アシロキシ−1−プロペン、3−アシロキシ−1−ブテン、4−アシロキシ−1−ブテン、3,4−ジアシロキシ−1−ブテンが好ましい。なお、“アシロキシ”はアセトキシであることが好ましく、具体的には3−アセトキシ−1−プロペン、3−アセトキシ−1−ブテン、4−アセトキシ−1−ブテン及び3,4−ジアセトキシ−1−ブテンが好ましい。エステルを有するアルケンの場合は、ケン化反応の際に、前記構造単位(I)に誘導される。
前記構造単位(II)において、R及びRは共に水素原子であることが好ましい。特にR及びRが共に水素原子であり、前記R及びRのうちの一方が炭素数1〜10の脂肪族炭化水素基、他方が水素原子であることがより好ましい。この脂肪族炭化水素基は、アルキル基及びアルケニル基が好ましい。得られる多層構造体におけるガスバリア性を特に重視する観点からは、R及びRのうちの一方がメチル基またはエチル基、他方が水素原子であることがより好ましい。また前記R及びRのうちの一方が(CHOHで表される置換基(但し、hは1〜8の整数)、他方が水素原子であることがさらに好ましい。(CHOHで表される置換基において、hは1〜4の整数であることが好ましく、1または2であることがより好ましく、1であることがさらに好ましい。
EVOH(A)中に前記構造単位(II)を含有させる方法については、特に限定されず、ケン化反応によって得られたEVOH(A)に一価エポキシ化合物を反応させることにより含有させる方法等が用いられる。一価エポキシ化合物としては、下記式(IV)〜(X)で示される化合物が好適に用いられる。
Figure 2020082495
前記式(IV)〜(X)中、R14、R15、R16、R17及びR18は、それぞれ独立して、水素原子、炭素数1〜10の脂肪族炭化水素基(アルキル基、アルケニル基等)、炭素数3〜10の脂環式炭化水素基(シクロアルキル基、シクロアルケニル基等)または炭素数6〜10の脂肪族炭化水素基(フェニル基等)を表す。また、i、j、k、p及びqは、それぞれ独立して、1〜8の整数を表す。ただし、R17が水素原子であった場合、R18は水素原子以外の置換基を有する。
前記式(IV)で表される一価エポキシ化合物としては、例えばエポキシエタン(エチレンオキサイド)、エポキシプロパン、1,2−エポキシブタン、2,3−エポキシブタン、3−メチル−1,2−エポキシブタン、1,2−エポキシペンタン、3−メチル−1,2−エポキシペンタン、1,2−エポキシヘキサン、2,3−エポキシヘキサン、3,4−エポキシヘキサン、3−メチル−1,2−エポキシヘキサン、3−メチル−1,2−エポキシヘプタン、4−メチル−1,2−エポキシヘプタン、1,2−エポキシオクタン、2,3−エポキシオクタン、1,2−エポキシノナン、2,3−エポキシノナン、1,2−エポキシデカン、1,2−エポキシドデカン、エポキシエチルベンゼン、1−フェニル−1,2−エポキシプロパン、3−フェニル−1,2−エポキシプロパン等が挙げられる。前記式(V)で表される一価エポキシ化合物としては、各種アルキルグリシジルエーテル等が挙げられる。前記式(VI)で表される一価エポキシ化合物としては、各種アルキレングリコールモノグリシジルエーテルが挙げられる。前記式(VII)で表される一価エポキシ化合物としては、各種アルケニルグリシジルエーテルが挙げられる。前記式(VIII)で表される一価エポキシ化合物としては、グリシドール等の各種エポキシアルカノールが挙げられる。前記式(IX)で表される一価エポキシ化合物としては、各種エポキシシクロアルカンが挙げられる。前記式(X)で表される一価エポキシ化合物としては、各種エポキシシクロアルケンが挙げられる。
前記一価エポキシ化合物の中では炭素数が2〜8のエポキシ化合物が好ましい。特に化合物の取り扱いの容易さ、及び反応性の観点から、一価エポキシ化合物の炭素数は2〜6がより好ましく、2〜4がさらに好ましい。また、一価エポキシ化合物は前記式(IV)または式(V)で表される化合物であることが特に好ましい。具体的には、EVOH(A)との反応性及び得られるフィルム等の加工性、ガスバリア性等の観点からは、1,2−エポキシブタン、2,3−エポキシブタン、エポキシプロパン、エポキシエタンまたはグリシドールが好ましく、中でもエポキシプロパンまたはグリシドールがより好ましい。
前記構造単位(III)において、R、R、R10及びR11は水素原子または炭素数1〜5の脂肪族炭化水素基であることが好ましく、かかる脂肪族炭化水素基は、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基またはn−ペンチル基が好ましい。
EVOH(A)中に前記構造単位(III)を含有させる方法については、特に限定されず、例えば、特開2014−034647号公報に記載の方法が挙げられる。
EVOH(A)は、1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。ガスバリア性等の観点から、EVOH(A)が前記樹脂組成物に占める割合は70質量%以上が好ましく、80質量%以上がさらに好ましく、90質量%以上が特に好ましい。一方、前記樹脂組成物に占めるEVOH(A)の割合は、例えば99.9質量%以下であってよく、99質量%以下であってもよい。
(ホウ素化合物(B))
前記樹脂組成物は、後述する遊離ホウ酸(C)を含むホウ素化合物(B)をオルトホウ酸(HBO)換算で100ppm以上5000ppm以下含有する。ホウ素化合物(B)のオルトホウ酸換算含有量は前記樹脂組成物中に含まれる全ホウ素原子のオルトホウ酸換算含有量と同義である。ホウ素化合物(B)の定量はICP発光分析等公知の方法によって行うことができ、具体的には実施例記載の方法で測定できる。なお、ppmは質量基準である。
ホウ素化合物(B)としては、例えばオルトホウ酸(HBO)、メタホウ酸、四ホウ酸等のホウ酸;メタホウ酸ナトリウム、四ホウ酸ナトリウム、五ホウ酸ナトリウム、ホウ砂、ホウ酸リチウム、ホウ酸カリウム等のホウ酸塩;ホウ酸トリエチル、ホウ酸トリメチル等のホウ酸エステル等が挙げられ、ホウ素化合物(B)とホウ素化合物(B)以外の成分(例えばEVOH(A))とが反応した化合物もホウ素化合物(B)に含まれる。中でもオルトホウ酸、ホウ砂及びこれらの誘導体を用いることがコスト面及び溶融成形性向上の観点から好ましい。なお、誘導体とは、そのエステルやアミドなど、オルトホウ酸等と反応して得られる化合物をいう。
EVOH(A)に対するホウ素化合物(B)の含有量は、オルトホウ酸換算で100ppm以上であり、500ppm以上が好ましく、700ppm以上がより好ましく、1000ppm以上がより好ましいこともある。ホウ素化合物(B)の含有量が100ppm未満であると、製膜の際にネックインが起こり易い傾向にある。
一方、ホウ素化合物(B)の含有量は、オルトホウ酸換算で5000ppm以下であり、2500ppm以下が好ましく、1500ppm以下がより好ましい。ホウ素化合物(B)の含有量が5000ppmを超えると、延伸性が低下する傾向にある。
(遊離ホウ酸(C))
ホウ素化合物(B)は、「未反応のホウ酸またはその塩」である遊離ホウ酸(C)を含む。通常、ホウ素化合物(B)のうち、遊離ホウ酸(C)以外の大部分は架橋ホウ酸である。一方、遊離ホウ酸(C)は、架橋していない状態で前記樹脂組成物中に存在する。前記樹脂組成物中の遊離ホウ酸(C)の定量は、ホウ酸と錯イオンを形成し得る配位性化合物、例えば、2−エチル−1,3−ヘキサンジオールと遊離ホウ酸(C)とを反応させた後、反応生成物を定量して算出でき、具体的には実施例記載の方法で定量できる。
ホウ素化合物(B)中の遊離ホウ酸(C)の割合は、ホウ素化合物(B)に対してオルトホウ酸換算で0.1質量%以上であり、0.3質量%以上が好ましく、0.5質量%以上がより好ましい。ホウ素化合物(B)の含有量が同じであっても、ホウ素化合物(B)に対する遊離ホウ酸(C)の割合が0.1質量%未満では、低温での耐衝撃性が低下し、低温下で衝撃を加えた後のガスバリア性が低下する傾向がある。この理由は定かではないが、所定量の遊離ホウ酸(C)の存在が、低温でのフィルムの脆化を抑制していることなどが推測される。
また、ホウ素化合物(B)中の遊離ホウ酸(C)の割合は、ホウ素化合物(B)に対してオルトホウ酸換算で10質量%以下であり、7質量%以下が好ましく、3質量%以下がより好ましく、1.5質量%以下又は1質量%以下がさらに好ましいこともある。ホウ素化合物(B)に対する遊離ホウ酸(C)の割合が10質量%超では、遊離ホウ酸(C)に起因する局所的な架橋反応が進行し、製膜時にフィッシュアイが発生しやすくなり、延伸性も低下する傾向となる。これらは、長時間連続して製膜を行った場合に顕著になる。また、ホウ素化合物(B)中の遊離ホウ酸(C)の割合が10質量%超の場合、製膜時にネックインが発生しやすくなったり、局所的な架橋により生じるゲル状ブツが増えたり、低温での耐衝撃性が低下したりすることもある。なお、ホウ素化合物(B)中の遊離ホウ酸(C)の割合は、後述する樹脂組成物の製造方法により調整できる。
EVOH(A)に対する遊離ホウ酸(C)の含有量の上限は、オルトホウ酸換算で500ppm(5000ppmの10%)であるが、200ppmが好ましく、100ppmがより好ましく、20ppm又は10ppmがさらに好ましいこともある。遊離ホウ酸(C)の含有量を前記上限以下とすることで、製膜性や延伸性等がより改善される。一方、この遊離ホウ酸(C)の含有量の下限は、0.1ppm(100ppmの0.1%)であるが、0.5ppmが好ましく、1ppmがより好ましく、3ppm又は5ppmがさらに好ましいこともある。遊離ホウ酸(C)の含有量を前記下限以上とすることで、低温での耐衝撃性等が高まる傾向にある。
(その他の任意成分)
前記樹脂組成物は、他の成分としてEVOH(A)以外の他の樹脂、及びホウ素化合物(B)以外の他の添加剤を、本発明の効果が阻害されない範囲で含有していてもよい。他の樹脂としては、例えばポリオレフィン等の熱可塑性樹脂が挙げられる。前記樹脂組成物が他の樹脂を含む場合、前記樹脂組成物に対する他の樹脂の含有量は10質量%以下が好ましく、5質量%以下がより好ましく、3質量%以下がさらに好ましい。
他の添加剤としては、酸化防止剤、紫外線吸収剤、可塑剤、帯電防止剤、滑剤、着色剤、充填剤、フィラー、ブロッキング防止剤、乾燥剤等の公知の添加剤を挙げることができる。これら添加剤を樹脂組成物に含有させる方法に特に制限はないが、例えば樹脂組成物を溶融させて添加剤を混合させる方法、押出機内で樹脂組成物と添加剤とを溶融ブレンドさせる方法、樹脂組成物の粉末、粒状、球状、円柱形チップ状などのペレットと、これらの添加剤の固体、液体または溶液とを混合して、樹脂組成物に含浸や展着させる方法などが挙げられる。これらの方法は、添加剤の物性や樹脂組成物への浸透性を考慮して適宜選択できる。前記他の添加剤を含有する場合、その含有量は前記樹脂組成物に対して5質量%以下が好ましく、3質量%以下がより好ましい。
酸化防止剤としては、2,5−ジ−t−ブチルハイドロキノン、2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾール、4,4’−チオビス−(6−t−ブチルフェノール、2,2’メチレン−ビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール、テトラキス−[メチレン−3−(3’,5’−ジ−t−ブチル−4’−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタン、オクタデシル−3−(3’,5’−ジ−t−ブチル−4’−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、4,4’−チオビス−(6−t−ブチルフェノール)等が挙げられる。紫外線吸収剤としては、エチル−2−シアノ−3,3−ジフェニルアクリレート、2−(2’−ヒドロキシ−5’−メチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’−t−ブチル−5’−メチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2,2’−ジヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−オクトキシベンゾフェノン等が挙げられる。可塑剤としては、フタル酸ジメチル、フタル酸ジエチル、フタル酸ジオクチル、ワックス、流動パラフィン、リン酸エステル等が挙げられる。帯電防止剤としては、ペンタエリスリットモノステアレート、ソルビタンモノパルミテート、硫酸化オレイン酸、ポリエチレンオキシド、カーボワックス等が挙げられる。滑剤としては、エチレンビスステアリルアミド、ブチルステアレート、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸亜鉛等が挙げられる。着色剤としては、カーボンブラック、フタロシアニン、キナクリドン、インドリン、アゾ系顔料、酸化チタン、ベンガラ等が挙げられる。充填剤としては、グラスファイバー、マイカ、バラストナイト等が挙げられる。
ブロッキング防止剤としては、合成シリカ、炭化カルシウム、非晶性アルミノシリケート、ゼオライト、ケイソウド土、タルク、長石、架橋ポリメチルメタクリレート等が挙げられる。ブロッキング防止剤の平均粒径としては、例えば0.5〜10μmが好ましく、1〜5μmがより好ましい。また、前記樹脂組成物中のブロッキング防止剤の含有量としては、例えば0.005〜0.5質量%が好ましく、0.01〜0.1質量%がより好ましい。
また、前記樹脂組成物は、熱安定性または粘度調整の観点から、種々の酸及び金属塩等を含有していてもよい。前記種々の酸としては、カルボン酸、リン酸化合物等が挙げられ、前記種々の金属塩としては、アルカリ金属塩又アルカリ土類金属塩等が挙げられる。なお、これらの酸及び金属塩等は、あらかじめEVOH(A)と混合して用いてもよい。
(カルボン酸及び/またはカルボン酸イオン)
前記樹脂組成物がカルボン酸及び/またはカルボン酸イオンを含むと、溶融成形時の耐着色性が向上する傾向にある。カルボン酸は、分子内に1つ以上のカルボキシ基を有する化合物である。また、カルボン酸イオンは、カルボン酸のカルボキシ基の水素イオンが脱離したものである。カルボン酸は、モノカルボン酸でもよく、分子内に2つ以上のカルボキシル基を有する多価カルボン酸化合物でもよく、これらの組み合わせであってもよい。なお、この多価カルボン酸には、重合体は含まれない。また、多価カルボン酸イオンは、多価カルボン酸のカルボキシ基の水素イオンの少なくとも1つが脱離したものである。カルボン酸のカルボキシ基はエステル構造であってもよく、カルボン酸イオンは金属と塩を形成していてもよい。
モノカルボン酸としては特に限定されず、例えばギ酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸、カプロン酸、カプリン酸、アクリル酸、メタクリル酸、安息香酸、2−ナフトエ酸等を挙げることができる。これらのカルボン酸は、ヒドロキシ基あるいはハロゲン原子を有していてもよい。また、カルボン酸イオンとしては、前記各カルボン酸のカルボキシ基の水素イオンが脱離したものが挙げられる。このモノカルボン酸(モノカルボン酸イオンを与えるモノカルボン酸も含む)のpKaとしては、前記樹脂組成物のpH調整能及び溶融成形性の点から3.5以上が好ましく、4以上がさらに好ましい。このようなモノカルボン酸としてはギ酸(pKa=3.68)、酢酸(pKa=4.74)、プロピオン酸(pKa=4.85)、酪酸(pKa=4.80)等が挙げられ、取扱い容易性等の観点から酢酸が好ましい。
また、多価カルボン酸としては、分子内に2個以上のカルボキシ基を有している限り特に限定されず、例えば、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、マレイン酸、フマル酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸等の脂肪族ジカルボン酸;フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸等の芳香族ジカルボン酸;アコニット酸等のトリカルボン酸;1,2,3,4−ブタンテトラカルボン酸、エチレンジアミン四酢酸等の4以上のカルボキシル基を有するカルボン酸;酒石酸、クエン酸、イソクエン酸、リンゴ酸、ムチン酸、タルトロン酸、シトラマル酸等のヒドロキシカルボン酸;オキサロ酢酸、メソシュウ酸、2−ケトグルタル酸、3−ケトグルタル酸等のケトカルボン酸;グルタミン酸、アスパラギン酸、2−アミノアジピン酸等のアミノ酸等が挙げられる。なお、多価カルボン酸イオンとしては、これらの陰イオンが挙げられる。中でも、コハク酸、リンゴ酸、酒石酸、クエン酸が入手容易である点から特に好ましい。
前記樹脂組成物がカルボン酸及び/またはカルボン酸イオンを含有する場合、その含有量は、溶融成形時の耐着色性の観点から、樹脂組成物中にカルボン酸根換算で0.01μmol/g以上が好ましく、0.05μmol/g以上がより好ましく、0.5μmol/g以上がさらに好ましい。また、カルボン酸根換算で20μmol/g以下が好ましく、15μmol/g以下がより好ましく、10μmol/g以下がさらに好ましい。
(リン酸化合物)
前記樹脂組成物がリン酸化合物を含有すると、溶融成形時のロングラン性が向上する傾向にある。
リン酸化合物としては特に限定されず、例えば、リン酸、亜リン酸等の各種のリンの酸素酸若しくはその塩等が挙げられる。リン酸塩としては、例えば第1リン酸塩、第2リン酸塩、第3リン酸塩のいずれの形で含まれていてもよく、その対カチオン種も特に限定されず、例えばアルカリ金属塩またはアルカリ土類金属塩が挙げられ、アルカリ金属塩が好ましい。具体的には、リン酸二水素ナトリウム、リン酸二水素カリウム、リン酸水素二ナトリウムまたはリン酸水素二カリウムが、溶融成形時のロングラン性改善の点で好ましい。
前記樹脂組成物がリン酸化合物を含有する場合、その含有量は、リン酸根換算で1ppm以上であることが好ましく、5ppm以上であることがより好ましく、8ppm以上であることがさらに好ましい。また、リン酸根換算で500ppm以下であることが好ましく、200ppm以下であることがより好ましく、50ppm以下であることがさらに好ましい。リン酸化合物の含有量が前記範囲内であると、溶融成形時のロングラン性をより向上させることができる。
(アルカリ金属塩)
前記樹脂組成物がアルカリ金属塩を含有すると、ロングラン性及び多層構造体とした際の層間接着力が向上する。アルカリ金属塩を構成するアルカリ金属としてはリチウム、ナトリウム、カリウム、ルビジウム、セシウム等が挙げられるが、工業的入手の点からはナトリウムおよびカリウムがより好ましい。
アルカリ金属塩としては、特に限定されず、例えばリチウム、ナトリウム、カリウム等の脂肪族カルボン酸塩、芳香族カルボン酸塩、前述したリン酸化合物にも包含されるリン酸塩、金属錯体等が挙げられる。具体的には、酢酸ナトリウム、酢酸カリウム、リン酸二水素ナトリウム、リン酸水素二ナトリウム、リン酸三ナトリウム、リン酸二水素カリウム、リン酸水素二カリウム、リン酸三カリウム、リン酸二水素リチウム、リン酸三リチウム、ステアリン酸ナトリウム、ステアリン酸カリウム、エチレンジアミン四酢酸のナトリウム塩等が挙げられる。この中でも、酢酸ナトリウム、酢酸カリウムおよびリン酸二水素ナトリウムが、入手容易である点から特に好ましい。
前記樹脂組成物がアルカリ金属塩を含有する場合、樹脂組成物中のアルカリ金属塩の含有量は2.5μmol/g以上が好ましく、3.5μmol/g以上がより好ましく、4.5μmol/g以上がさらに好ましい。また、アルカリ金属塩の含有量は22μmol/g以下が好ましく、16μmol/g以下がより好ましく、10μmol/g以下がさらに好ましい。アルカリ金属塩の含有量が2.5μmol/g以上であると、得られる多層構造体の層間接着性がより優れる傾向にある。また、アルカリ金属塩の含有量が22μmol/g以下であると、フィルムの外観がより良好になる傾向にある。
(アルカリ土類金属塩)
前記樹脂組成物がアルカリ土類金属塩を含有すると、樹脂組成物を含むフィルムのスクラップ回収性が向上する。アルカリ土類金属塩を構成するアルカリ土類金属としてはベリリウム、マグネシウム、カルシウム、ストロンチウム、バリウム等が挙げられるが、工業的な入手容易性の観点からはマグネシウムまたはカルシウムであることが好ましい。
前記樹脂組成物は、190℃、2160g荷重下でASTM D1238に準じて測定されるメルトインデックス(以下「MI」と略記する場合がある。)が、0.1〜15g/10分であることが好ましい。MIが50g/10分以下であると、フィルムの機械的強度が高まり実用性が高まる。加えて、高温での溶融成形時に溶融粘度が低くなりすぎないため、ネックインの発生が低減し、製膜性がより高まる。190℃、2160g荷重下におけるMIは15g/10分以下が好ましく、10g/10分以下がより好ましく、6.6g/10分以下がさらに好ましく、6g/10分以下がさらにより好ましく、2g/10分以下が特に好ましい。また、MIが0.1g/10分以上であると、溶融成形時の引き取り速度が高速である場合であっても、フィルムの破断や、樹脂押出時に樹脂圧力が上昇し溶融製膜が困難になることを抑制できる。さらにMIを0.1g/10分以上とすると、高温において長時間運転した場合のフィッシュアイやストリークの発生をより抑制し、アウトプット、すなわち同一エネルギーを投入して押し出した際の吐出可能樹脂量を高めることができる。これらの観点から、190℃、2160g荷重下におけるMIは0.2g/10分以上が好ましく、0.5g/10分以上がより好ましい。
(樹脂組成物の製造方法)
前記樹脂組成物は、例えば以下の工程により製造できる。
(1)エチレンとビニルエステルとの共重合を行い、エチレン−ビニルエステル共重合体(EVAc)を得る工程(重合工程)
(2)前記EVAcをケン化し、EVOH(A)を得る工程(ケン化工程)
(3)前記EVOH(A)を含む溶液またはペーストから、EVOH(A)を含むペレットを得る工程(ペレット化工程)
(4)前記ペレットを洗浄する工程(洗浄工程)
(5)前記ペレットを脱水する工程(脱水工程)
(6)前記ペレットを乾燥する工程(乾燥工程)
(1)重合工程
エチレンとビニルエステルとの共重合方法は特に限定されず、例えば溶液重合、懸濁重合、乳化重合、バルク重合等のいずれでもよく、連続式及び回分式のいずれでもよい。
重合に用いられるビニルエステルとしては、前述したものが挙げられる。また、エチレン及びビニルエステル以外の他の単量体を共重合する場合、他の単量体としては前述したものが挙げられる。
重合に用いられる溶媒としては、エチレン、ビニルエステル及びエチレン−ビニルエステル共重合体を溶解し得る有機溶媒であれば特に限定されず、例えばメタノール、エタノール、プロパノール、n−ブタノール、tert−ブタノール等のアルコール;ジメチルスルホキシドなどを用いることができる。中でも、反応後の除去分離が容易である点でメタノールが好ましい。
重合に用いられる触媒としては、例えば2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、2,2’−アゾビス−(2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2’−アゾビス−(4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2’−アゾビス−(2−シクロプロピルプロピオニトリル)等のアゾニトリル系開始剤;イソブチリルパーオキサイド、クミルパーオキシネオデカノエイト、ジイソプロピルパーオキシカーボネート、ジ−n−プロピルパーオキシジカーボネート、t−ブチルパーオキシネオデカノエイト、ラウロイルパーオキサイド、ベンゾイルパーオキサイド、t−ブチルハイドロパーオキサイド等の有機過酸化物系開始剤などが挙げられる。
重合温度は例えば20〜90℃が好ましく、40〜70℃がより好ましい。重合時間は例えば2〜15時間が好ましく、3〜11時間がより好ましい。重合率は、仕込みのビニルエステルに対して10〜90%が好ましく、30〜80%がより好ましい。重合後の溶液中の樹脂分は5〜85質量%が好ましく、20〜70質量%がより好ましい。
通常、所定時間の重合後または所定の重合率に達した後、必要に応じて重合禁止剤を添加し、未反応のエチレンを除去した後、未反応のビニルエステルを除去する。未反応のビニルエステルを除去する方法としては、例えばラシヒリング等の充填材を充填した塔の上部から反応液を一定速度で連続的に供給し、塔下部よりメタノール等の有機溶剤を蒸気として吹き込み、塔頂部よりメタノール等の有機溶剤と未反応ビニルエステルの混合蒸気を留出させ、塔底部より未反応のビニルエステルを除去した共重合体溶液を取り出す方法等が挙げられる。
(2)ケン化工程
次いで、前記工程で得られたEVAcをケン化する。ケン化方法は連続式及び回分式のいずれも可能である。ケン化の触媒は特に限定されず、アルカリ触媒が好ましく、例えば水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、アルカリ金属アルコラートなどが用いられる。
ケン化の条件としては、例えば回分式の場合、EVAc溶液中における濃度は10〜50質量%が好ましく、反応温度は30〜60℃が好ましく、触媒使用量はビニルエステル構造単位1モル当たり0.02〜0.6モルが好ましく、ケン化時間は1〜6時間が好ましい。連続式の場合は、ケン化により生成する酢酸メチルをより効率的に除去できるので、回分式の場合に比べて少ない触媒量で高いケン化度の樹脂が得られる一方、ケン化により生成するEVOH(A)の析出を防ぐため、より高い温度でケン化する必要がある。したがって、連続式の場合、例えばEVAc溶液中における濃度が10質量%以上50質量%以下、反応温度が70℃以上150℃以下、触媒使用量がビニルエステル構造単位1モル当たり0.005モル以上0.1モル以下、ケン化時間が1時間以上6時間以下とすることができる。
ケン化工程により、EVOH(A)を含む溶液またはペーストが得られる。ケン化反応後のEVOH(A)は、アルカリ触媒、酢酸ナトリウムや酢酸カリウムなどの副生塩類、その他不純物を含有するため、これらを必要に応じて中和、洗浄することにより除去してもよい。ここで、ケン化反応後のEVOH(A)を、金属イオン、塩化物イオン等をほとんど含まないイオン交換水等で洗浄する際、EVOH(A)に酢酸ナトリウム、酢酸カリウム等を一部残存させてもよい。
(3)ペレット化工程及び(4)洗浄工程
次に、得られたEVOH(A)溶液またはペーストをペレット化する。ペレット化の方法は特に限定されず、EVOH(A)溶液を冷却凝固させて切断する方法、EVOH(A)を押出機で溶融混練してから吐出して切断する方法などが挙げられる。EVOH(A)の切断方法としては、EVOH(A)をストランド状に押し出してからペレタイザーで切断する方法、ダイスから吐出したEVOH(A)をセンターホットカット方式やアンダーウォーターカット方式などで切断する方法などが具体例として挙げられる。
方法(i)
EVOH(A)溶液をストランド状に押出してペレット化する場合、EVOH(A)を析出させる凝固液としては水または水/アルコール混合溶媒、ベンゼン等の芳香族炭化水素類、アセトン、メチルエチルケトン等のケトン類、ジプロピルエーテル等のエーテル類、酢酸メチル、酢酸エチル、プロピオン酸メチル等の有機酸エステル等が用いられるが、取り扱いの容易な点で水または水/アルコール混合溶媒が好ましい。アルコールとしては、メタノール、エタノール、プロパノール等のアルコールが用いられるが、工業的にメタノールが好ましい。凝固液中の凝固液とEVOH(A)のストランドとの質量比(凝固液/EVOH(A)のストランド)は50〜10000が好ましい。前記範囲の質量比にすることにより、寸法分布が均一なEVOH(A)ペレットを得ることができる。
EVOH(A)溶液を凝固液と接触させる温度(ペレタイズ時の浴温)は−10℃以上が好ましく、0℃以上がより好ましい。また、ペレタイズ時の浴温は40℃以下が好ましく、20℃以下がより好ましく、15℃以下がさらに好ましく、10℃以下が特に好ましい。ペレタイズ時の浴温が−10℃以上であると低分子量成分の析出を抑制できる傾向にあり、40℃以下であるとEVOH(A)の熱劣化を抑制できる傾向にある。
EVOH(A)溶液は任意の形状を有するノズルにより、凝固液中にストランド状に押出される。かかるノズルの形状は特に限定されず、例えば円筒形状が好ましい。ストランドは必ずしも一本である必要はなく、数本〜数百本の間の任意の数で押出可能である。
次いで、ストランド状に押出されたEVOH(A)は凝固が十分進んでから切断され、ペレット化され、その後水洗される。かかるペレットのサイズは、例えば円柱状の場合は径が1mm以上10mm以下、長さ1mm以上10mm以下、球状の場合は径が1mm以上10mm以下とすることができる。
続いて、前記EVOH(A)ペレットを水槽中で水洗する洗浄工程を行う。かかる洗浄処理により、EVOH(A)ペレット中のオリゴマーや不純物が除去される。洗浄の際の水温は5℃以上が好ましく、80℃以下が好ましい。洗浄には酢酸水溶液やイオン交換水を用いることができるが、最終的にはイオン交換水により洗浄することが好ましい。イオン交換水による洗浄は、1時間以上の洗浄を2回以上行うことが好ましい。また、この際のイオン交換水の水温は5〜60℃の範囲が好ましく、EVOH(A)ペレットに対するイオン交換水の浴比は2以上が好ましい。
洗浄工程後、ホウ素化合物(B)を含む溶液(以下「浸漬溶液」と略記する場合がある)にペレットを浸漬させ、ホウ素化合物(B)をペレットに含有させる。この際、溶液にその他成分(例えば酸成分及び金属塩)を含ませることで、該その他成分をペレットに含有させてもよい。
浸漬溶液中のホウ素化合物(B)の濃度はオルトホウ酸換算で0.01〜2g/Lであることが、適切な量のホウ素化合物(B)を乾燥樹脂組成物ペレット中に含有させることができ好適である。浸漬溶液中のホウ素化合物(B)の濃度の下限値は、より好適には0.05g/Lであり、さらに好適には0.2g/Lである。0.01g/L以上とすると、充分な架橋効果によって樹脂組成物のMIが十分になり、ネックインがより起こりにくくなる傾向にある。ホウ素化合物(B)の濃度の上限値は、より好適には1.5g/Lであり、さらに好適には0.8g/Lである。2g/L以下とすると、樹脂組成物のゲル化が抑制され、蒸着フィルムの外観性がより高まる傾向にある。
方法(ii)
押出機を用いた溶融混練によりペレット化を行う場合、押出機内に投入される前のEVOH(A)の形状は特に限定されず、空気中に押し出された溶融樹脂を切断してペレットを用いてもよく、重合・ケン化後等のEVOH(A)の溶液やペーストが不定形な形状で凝固したクラム上の析出物等も用いることができる。
押出機内に投入される前のEVOH(A)の含水率は0.5質量%以上が好ましく、5質量%以上がより好ましく、7質量%以上が好ましい。また、押出機内に投入される前のEVOH(A)の含水率は70質量%以下が好ましく、60質量%以下がより好ましく、50質量%以下がさらに好ましい。
押出機を用いた溶融混練によるペレット化においては、EVOH(A)に対しホウ素化合物(B)を押出機内で添加できる。EVOH(A)に押出機内でホウ素化合物(B)を添加するにあたり、ホウ素化合物(B)のフィード位置は、押出機内のEVOH(A)が溶融した状態の位置で添加することが好ましく、混練部で添加することがより好ましい。特に、含水かつ溶融状態のEVOH(A)にホウ素化合物(B)を添加することが好ましい。ホウ素化合物(B)は、1箇所または2箇所以上から押出機内に添加することもでき、この際、その他成分(例えば酸成分及び金属塩)を同時に添加してもよい。
押出機内でホウ素化合物(B)を添加する場合、押出機内での供給量が樹脂組成物中の含有量となる。ホウ素化合物(B)の添加形態は特に限定されず、押出機内に乾燥粉末として添加する方法、溶媒を含浸させたペースト状で添加する方法、液体に懸濁させた状態で添加する方法、溶媒に溶解させて溶液として添加する方法などが例示されるが、添加量の制御やEVOH(A)にホウ素化合物(B)を均質に分散させる観点からは、ホウ素化合物(B)を溶媒に溶解させて溶液として添加する方法が特に好適である。かかる溶媒は特に限定されず、ホウ素化合物(B)の溶解性、経済性、取り扱いの容易性、作業環境の安全性等の観点から、水が好適である。
EVOH(A)に対してホウ素化合物(B)を溶液として添加する際には、前記溶液の添加量は、EVOH(A)の乾燥質量100質量部に対して1質量部以上が好ましく、3質量部以上がより好ましく、5質量部以上が特に好ましい。また、前記溶液の添加量は、EVOH(A)の乾燥質量100質量部に対して50質量部以下が好ましく、30質量部以下がより好ましく、20質量部以下が特に好ましい。前記溶液の添加量が1質量部未満の場合は、一般に溶液の濃度が高くなるため、ホウ素化合物(B)の分散性が低下する傾向がある。また、50質量部を超える場合はEVOH(A)の含水率の制御が困難となる傾向があり、押出機内で樹脂と樹脂に含有される水が相分離を起こしやすくなる傾向がある。また、溶液のオルトホウ酸濃度は0.2g/Lから57g/Lの範囲で、EVOH(A)の乾燥重量に対して含有させるべきオルトホウ酸量と溶液の添加量によって適宜調整される。
押出機内における樹脂温度は、70〜170℃であることが好ましい。樹脂温度が70℃未満の場合は、EVOH(A)が完全に溶融しない場合があり、添加するホウ素化合物(B)の分散性が不充分となる場合がある。樹脂温度は80℃以上がより好ましく、90℃以上がさらに好ましい。また、樹脂温度が170℃を超える場合は、EVOH(A)が熱劣化を受けやすい傾向がある。さらに、ホウ素化合物(B)を水溶液として添加する場合は、樹脂温度が170℃を超える場合は水分の蒸発が激しくなるため、好適な水溶液濃度でEVOH(A)と前記水溶液を混合することが困難となる傾向がある。押出機内における樹脂温度は150℃以下がより好ましく、130℃以下がさらに好ましい。かかる樹脂温度の調整方法は特に限定されず、押出機内シリンダの温度を好適に設定する方法が特に好ましい。なお、本発明において樹脂温度とは、押出機内シリンダに設置した温度センサーにより検出した温度をいい、検出個所は押出機先端部吐出口付近の温度を示す。
押出機吐出直後の樹脂組成物の含水率は5〜40質量%が好ましく、5〜35質量%がより好ましい。押出機吐出直後の樹脂組成物の含水率が40質量%を超える場合は、樹脂と樹脂に含有される水が相分離を起こしやすくなる傾向があり、その結果、押出機吐出後のストランドが発泡しやすくなる傾向がある。また、押出機吐出直後の樹脂組成物の含水率が5質量%未満の場合は、EVOH(A)の加熱による劣化の抑制が不充分となる傾向があり、得られるペレットの耐着色性に劣る傾向がある。
押出機から吐出された樹脂組成物をペレット化する方法は特に限定されず、樹脂組成物をダイスから空気中に押出し、適切な長さに切断する方法が例示される。ペレットの取り扱いの容易性の観点から、ダイスの口径は2〜5mmφ(φは直径。以下同様。)が好適であり、ストランドを1〜5mm程度の長さで切断することが好ましい。
押出機を用いた溶融混練によるペレット化を行う場合、洗浄工程は方法(i)と同様の工程でもよいが、押出機内で洗浄を行う工程を設けてもよい。押出機内で洗浄を行う場合、押出機内に洗浄液を注入して樹脂を洗浄した後、押出機下流から洗浄液を排出する方法等が挙げられる。
(5)脱水工程
前記樹脂組成物におけるホウ素化合物(B)中の遊離ホウ酸(C)の割合は、例えばホウ素化合物(B)を含有した含水ペレットを熱せずに物理的な手段で水分を除去した後、乾燥することにより調整できる。水分を除去する方法としては、例えば遠心脱水(分離)方法、減圧篩(ハイドロシーブ)、ガス流動等が挙げられ、ペレットに付着している水を優先的に除去することが好ましく、かかる点で遠心脱水方法が工業的に好適に用いられる。
かかる遠心脱水方法は、回分式及び連続式のいずれでもよく、工業的には連続式が好適に用いられる。回分式及び連続式のいずれも、目皿孔あるいはスリットをもつバケット状の回転体を有し、連続式はペレットの形状変化がなく連続排出できる構造を有するものであれば、遠心脱水装置(遠心分離装置)は限定されない。除去する水分の調整は、目皿孔径、回転数、処理量(処理時間)等で行い、目皿孔径はペレット径より小さければよく、好ましくは0.1〜3mm程度である。目皿孔径が0.1mm未満では水の除去能力が不足し、さらに微粉による目詰まりが発生しやすく、一方3mmを越えると水の除去能力の調整が難しい。回転数は装置により異なるが500〜20000rpmが好ましく、処理時間は10秒以上15分以内が好ましい。回転数が少なすぎると残存する遊離ホウ酸(C)の割合が高まる傾向にある。一方、回転数が多すぎると残存する遊離ホウ酸(C)の割合が低くなる傾向にある。同様に、処理時間が10秒より少ないと得られる樹脂組成物中に残存する遊離ホウ酸(C)の割合が増加する原因となる。処理時間は45秒以上が好ましく、1分以上がより好ましい。処理時間が15分を超えると得られる樹脂組成物中の遊離ホウ酸(C)の割合が減少する傾向にある。処理時間は13分以下が好ましく、10分以下がより好ましい。
(6)乾燥工程
脱水工程を終えたペレットは乾燥工程に供される。乾燥は、乾燥後のEVOH(A)ペレットの含水率を0.08質量%以下とすることが好ましい。含水率が0.08質量%を超えた場合は、架橋ホウ酸量が少なくなり、遊離ホウ酸(C)の量が増加する傾向がある。前記含水率は好ましくは0.05質量%以下である。乾燥方法は特に限定されず、空気乾燥もしくは窒素乾燥と組合せた静置乾燥法、流動乾燥法、または真空乾燥法などが挙げられるが、幾つかの乾燥方法を組み合わせた多段階の乾燥が好ましく、予備乾燥と本乾燥を備える多段乾燥であることがより好ましい。ここで予備乾燥とは、乾燥時における高含水率の樹脂組成物同士の熱融着を抑制するために、比較的高い含水率から含水率10質量%程度までの乾燥に用いられ、本乾燥と比較して低温で行う乾燥を意味する。一方、本乾燥とは、予備乾燥後の比較的低い含水率を有する樹脂組成物の含水率を下げるために用いられ、予備乾燥と比較して高温で行う乾燥を意味する。予備乾燥は、加熱ガス(熱風等)、赤外線やマイクロ波などを用いることができる。予備乾燥の温度及び時間は特に限定されず、例えば60℃以上100℃以下で、1時間以上12時間以下の乾燥時間に供することで、目的の含水率を有する樹脂組成物を得ることができる。本乾燥は、上述した一般的な乾燥手段を用いることができるが、中でも真空乾燥が、遊離ホウ酸(C)を特定量とするために好適である。真空乾燥以外の方法では、遊離ホウ酸(C)の特定量への制御がやや難しくなる傾向となる。
本乾燥の温度(雰囲気温度)の下限は70℃が好ましく、100℃がより好ましく、110℃がさらに好ましく、120℃が特に好ましい。一方、上限は160℃が好ましく、150℃がより好ましく、130℃がさらに好ましい。本乾燥の温度を前記下限以上とすると、効率的に十分な本乾燥を行うことができ、本乾燥の時間を短くできる。一方、本乾燥の温度を前記上限以下とすると、EVOH(A)の熱劣化を抑制できる。また、本乾燥の温度を前記範囲内とすると、遊離ホウ酸(C)を適切な量に調整しやすくなる。例えば、本乾燥の温度を低くすることにより、遊離ホウ酸(C)の割合が低くなる傾向がある。また、特定の本乾燥の温度における乾燥時間は特に限定されないが、例えば80℃で30時間以上160時間以下、120℃で15時間以上100時間以下、150℃で0.5時間以上20時間以下とすると、目的の含水率を有する樹脂組成物が得られる。
(基材フィルム(X)の形状等)
基材フィルム(X)は、前記樹脂組成物から、溶融成形等により形成されている。基材フィルム(X)は、前記樹脂組成物の層のみからなる単層フィルムであってもよく、多層フィルムであってもよい。基材フィルム(X)の平均厚みは、例えば1μm以上300μm未満であり、5μm以上100μm未満であることが好ましい。
基材フィルム(X)の、JIS B0601に準拠して測定される少なくとも一方の表面の算術平均粗さ(Ra)は1.0μm以下が好ましく、0.8μm以下がより好ましく、0.6μm以下がさらに好ましく、0.4μm以下が特に好ましい。基材フィルム(X)の、少なくとも一方の表面の算術平均粗さ(Ra)は0.05μm以上が好ましく、0.10μm以上がより好ましく、0.15μm以上がさらに好ましく、0.20μm以上が特に好ましい。基材フィルム(X)の少なくとも一方の表面の算術平均粗さ(Ra)を前記範囲とすると、耐破断性がより優れる。
基材フィルム(X)の、JIS B0601に準拠して測定される少なくとも一方の表面の輪郭曲線要素の平均長さ(RSm)は1000μm以下が好ましく、800μm以下がより好ましく、600μm以下がさらに好ましく、400μm以下が特に好ましい。基材フィルム(X)の、少なくとも一方の表面の輪郭曲線要素の平均長さ(RSm)は50μm以上が好ましく、100μm以上がより好ましく、150μm以上がさらに好ましく、200μm以上が特に好ましい。基材フィルム(X)の少なくとも一方の表面の輪郭曲線要素の平均長さ(RSm)を前記範囲とすると、耐破断性がより優れる。なお前記したJIS B0601とは例えばJIS B0601:2001を表す。
基材フィルム(X)は、未延伸フィルムであってもよいが、延伸されていることが好ましい。延伸されていることで強度等が向上する。さらに、基材フィルム(X)が延伸フィルムである場合、延伸に伴って生じうるスジ状のムラの発生が少ないため、外観やガスバリア性も良好であり、積層される無機蒸着層(Y)のムラが低減される。
<基材フィルム(X)の製造方法>
基材フィルム(X)は、公知の方法で製造できる。フィルム形成方法としては特に限定されず、例えば溶融法、溶液法、カレンダー法等が挙げられ、溶融法が好ましい。溶融法としては、Tダイ法(キャスト法)、インフレーション法が挙げられ、キャスト法が好ましい。特に基材フィルム(X)を構成する樹脂組成物をキャスティングロール上に溶融押出するキャスト成形工程、及び前記樹脂組成物から得られる未延伸フィルムを延伸する工程を備える方法で製造することが好ましい。溶融法の際の溶融温度はEVOH(A)の融点等により異なるが、150〜300℃程度が好ましい。
延伸は一軸延伸でも二軸延伸でもよく、二軸延伸が好ましい。二軸延伸は、逐次二軸延伸及び同時二軸延伸のいずれでもよい。面積換算の延伸倍率の下限は6倍が好ましく、8倍がより好ましい。延伸倍率の上限は15倍が好ましく、12倍がより好ましい。延伸倍率が上記範囲であると、フィルムの厚みの均一性、ガスバリア性及び機械的強度の点を向上させることができる。また、延伸温度としては、例えば60℃以上120℃以下とすることができる。
基材フィルム(X)の製造方法は、延伸工程の後に、延伸されたフィルムを熱処理する工程を備えていてもよい。熱処理温度は、通常、延伸温度よりも高い温度に設定され、例えば120℃超200℃以下とすることができる。
<無機蒸着層(Y)>
無機蒸着層(Y)は、本発明の蒸着フィルムにおいて主としてガスバリア性を確保するものである。無機蒸着層(Y)は、基材フィルム(X)上に積層されている。無機蒸着層(Y)は、基材フィルム(A)の片面側のみに積層されていてもよいが、基材フィルム(A)の両面側にそれぞれ積層されていることが好ましい。無機蒸着層(Y)を基材フィルム(A)の両方のそれぞれの面側に積層することで、ガスバリア性をより向上させ、ガスバリアの安定性が得られる。すなわち、一方の無機蒸着層(Y)に物理的衝撃等により欠陥が生じても、他方の無機蒸着層(Y)がバリア性を維持するので、蒸着フィルムとしてのガスバリア性が好適に維持される。なお、無機蒸着層(Y)は、基材フィルム(A)の面に対して他の層を介して積層されていてもよいが、基材フィルム(A)の片面又は両面に直接積層されていることが好ましい。
無機蒸着層(Y)を形成する材料としては、例えばアルミニウム、珪素、マグネシウム、亜鉛、錫、ニッケル、チタン、これら1種又は2種以上の酸化物、炭化物、窒化物等が挙げられ、アルミニウムを単独又は併用することが好ましい。アルミニウムを使用すると、軽く、柔軟性及び光沢性に富む蒸着フィルムを得ることができる。
無機蒸着層(Y)の平均厚みの下限は15nmが好ましく、20nmがより好ましく、30nmがさらに好ましい。無機蒸着層(Y)の平均厚みの上限は150nmが好ましく、130nmがより好ましく、100nmがさらに好ましい。無機蒸着層(Y)の平均厚みが上記下限未満であると、ガスバリア性が不十分になるおそれがある。一方、蒸着層の平均厚みが上記上限を超えると、ヒートブリッジが発生し易くなり、断熱効果が低下するおそれがある。なお、蒸着層が複数の層から構成される場合、各層の平均厚みが上記範囲であることが好ましく、複数の層の厚みの総和が上記範囲であることがさらに好ましい。ここで、無機蒸着層(Y)の平均厚みとは、電子顕微鏡により測定される無機蒸着層(Y)断面の任意の10点における厚みの平均値である。
無機蒸着層(Y)の蒸着は、公知の方法で行うことができる。蒸着を行う際の基材フィルム(X)の表面温度は60℃以下とすることが好ましく、55℃以下がより好ましく、50℃以下がさらに好ましい。蒸着を行う際の基材フィルム(X)の表面温度を60℃以下とすることで、粒径の小さい蒸着粒子からなる無機蒸着層(Y)が形成され、ガスバリア性をより高めることなどができる。蒸着時の基材フィルム(X)の表面温度の下限は特に限定されないが、0℃が好ましく、10℃がより好ましく、20℃がさらに好ましい。
<樹脂コート層>
本発明の蒸着フィルムは、無機蒸着層(Y)を被覆する樹脂コート層をさらに備えていてもよい。この樹脂コート層は、無機蒸着層(Y)の基材フィルム(X)とは反対の面側に積層される。樹脂コート層は、蒸着後の工程、例えばラミネーション等のフィルム加工における屈曲等による無機蒸着層(Y)の損傷を抑制する。このような樹脂コート層を備える蒸着フィルムはガスバリア性の低下を抑制できる。樹脂コート層は、ビニルアルコール系重合体を含み、必要に応じて、膨潤性無機層状ケイ酸塩を含んでいてもよい。ビニルアルコール系重合体としては、ポリビニルアルコール、EVOH等が挙げられる。膨潤性無機層状ケイ酸塩としては、例えば膨潤性モンモリロナイト、膨潤性合成スメクタイト、膨潤性フッ素雲母系鉱物等が挙げられる。樹脂コート層の平均厚みの下限は特に限定されないが、効果的なガスバリア性を得るためには0.001μm以上が好ましい。樹脂コート層の平均厚みの上限は特に限定されないが、10μm以下が好ましく、2μm以下がより好ましい。
無機蒸着層(Y)に樹脂コート層を積層する方法は特に限定されないが、コーティング法、ラミネートが好ましい。コーティング方法としては、例えばダイレクトグラビア法、リバースグラビア法、マイクログラビア法、2本ロールビートコート法、ボトムフィード3本リバースコート法等のロールコーティング法;ドクターナイフ法;ダイコート法;ディップコート法;バーコーティング法;これらを組み合わせたコーティング法などが挙げられる。また、無機蒸着層(Y)と樹脂コート層との界面は、コロナ処理、アンカーコート剤等による処理などが施されていてもよい。
<その他の層>
本発明の蒸着フィルムは、基材フィルム(X)、無機蒸着層(Y)及び樹脂コート層以外のその他の層をさらに有していてもよい。その他の層としては、例えば熱可塑性樹脂を主体とする層(以下「熱可塑性樹脂層」という)、紙層等が挙げられる。ここで、「主体とする」とは、複数の成分を含む場合に最も含有量が多いことを意味し、例えば熱可塑性樹脂を50質量%以上含むことを意味する。熱可塑性樹脂層を形成する熱可塑性樹脂としては、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン、ポリエチレンテレフタレート等のポリエステル、ポリアミド、エチレン−ビニルアルコール共重合体などが挙げられる。
その他の層は、基材フィルム(X)、無機蒸着層(Y)及び樹脂コート層のいずれに積層されていてもよく、接着層として機能する層であってもよい。またその他の層は、延伸フィルムから形成されていてもよく、未延伸フィルムから形成されていてもよく、コーティングにより形成されていてもよい。
<用途>
本発明の蒸着フィルムは、製膜性、延伸性、及び低温での耐衝撃性に優れ、良好なガスバリア性を有する。また、本発明の蒸着フィルムは、外観も良好であり、温度変化が激しい環境下で使用された場合も、良好なガスバリア性が維持されるため、例えば包装材、真空断熱体等の様々な用途に適用できる。
<包装材>
本発明の包装材は、本発明の蒸着フィルムを備える。本発明の包装材は、本発明の蒸着フィルムを備えるため、外観や低温での耐衝撃性に優れる。従って、衝撃がかかる環境下での低温での保存でも、長期間ガスバリア性が持続する。また、製膜性に優れる本発明の蒸着フィルムが用いられているため、本発明の包装材は、生産性にも優れる。
本発明の包装材は、蒸着フィルムのみから構成されるものであってよい。本発明の包装材は、多層構造体であってもよい。なお、多層構造体の層数は、2層以上であればよく、3層以上が好ましい。一方、この層数の上限としては、1000層であってもよく、100層であってもよく、10層であってもよい。また、多層構造体は、樹脂以外から形成される層、例えば紙層、金属層等をさらに有していてもよい。
多層構造体の層構造は特に限定されず、本発明の蒸着フィルムをE、接着性樹脂から得られる層をAd、熱可塑性樹脂から得られる層をTで表わす場合、T/E/T、E/Ad/T、T/Ad/E/Ad/T等の構造が挙げられる。これらの各層は単層であっても多層であってもよい。なお、接着性樹脂から得られる層Adは、熱可塑性樹脂から形成される熱可塑性樹脂層に含まれる場合もある。なお、前記多層構造体中の蒸着フィルムEは、基材フィルム(A)及び無機蒸着層(Y)のみから構成されるフィルム、又は基材フィルム(A)、無機蒸着層(Y)及び樹脂コート層のみから構成されるフィルムであることが好ましい。
多層構造体を製造する方法は特に限定されず、例えば本発明の蒸着フィルムに熱可塑性樹脂を溶融押出する方法、本発明のフィルムと他の熱可塑性樹脂層とを有機チタン化合物、イソシアネート化合物、ポリエステル系化合物等の公知の接着剤を用いてラミネートする方法等が挙げられる。
前記熱可塑性樹脂は直鎖状低密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−プロピレン共重合体、ポリプロピレン、プロピレン−α−オレフィン(炭素数4〜20のα−オレフィン)共重合体、ポリブテン、ポリペンテン等のオレフィンの単独またはその共重合体、ポリエチレンテレフタレート等のポリエステル、ポリエステルエラストマー、ナイロン−6、ナイロン−66等のポリアミド、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、アクリル系樹脂、ビニルエステル系樹脂、ポリウレタンエラストマー、ポリカーボネート、塩素化ポリエチレン、塩素化ポリプロピレン等が挙げられる。中でも、ポリプロピレン、ポリエチレン、エチレン−プロピレン共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、ポリアミド、ポリスチレン、ポリエステルが好ましく用いられる。
前記接着性樹脂としては、ガスバリア層及びその他の熱可塑性樹脂層との接着性を有していれば特に限定されず、カルボン酸変性ポリオレフィンを含有する接着性樹脂が好ましい。カルボン酸変性ポリオレフィンとしては、オレフィン系重合体にエチレン性不飽和カルボン酸、そのエステルまたはその無水物を化学的に結合させて得られるカルボキシル基を含有する変性オレフィン系重合体を好適に用いることができる。ここでオレフィン系重合体とは、ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテン等のポリオレフィン、オレフィンと他のモノマーとの共重合体を意味する。中でも、直鎖状低密度ポリエチレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−アクリル酸エチルエステル共重合体が好ましく、直鎖状低密度ポリエチレン及びエチレン−酢酸ビニル共重合体が特に好ましい。
本発明の包装材は、フィルムの形状のままのものであってもよいし、フィルム又は多層構造体が二次加工されたものであってもよい。二次加工することで得られる包装材としては例えば、(1)フィルム又は多層構造体を真空成形、圧空成形、真空圧空成形等、熱成形加工することにより得られるトレーカップ状容器、(2)フィルム又は多層構造体にストレッチブロー成形等を行って得られるボトル、カップ状容器、(3)フィルム又は多層構造体をヒートシールすることにより得られる袋状容器等が挙げられる。なお、二次加工法は、前記に例示した各方法に限定されることなく、例えば、ブロー成形等の前記以外の公知の二次加工法を適宜用いることができる。
本発明の包装材は、例えば食品、飲料物、農薬や医薬等の薬品、医療器材、機械部品、精密材料等の産業資材、衣料などを包装するために使用される。特に、本発明の包装材は、酸素に対するバリア性が必要となる用途、包装材の内部が各種の機能性ガスによって置換される用途に好ましく使用される。本発明の包装材は、用途に応じて種々の形態、例えば縦製袋充填シール袋、真空包装袋、スパウト付パウチ、ラミネートチューブ容器、容器用蓋材等に形成される。
<真空断熱体>
本発明の真空断熱体は、本発明の蒸着フィルムを備える。真空断熱体は、保冷や保温が必要な用途に使用される。真空断熱体において、通常、本発明の蒸着フィルムは、外包材として用いることができ、例えば外包材内にポリウレタンフォーム等の芯材が真空状態で封入されるものが挙げられる。外包材は、例えば少なくとも1つの本発明の蒸着フィルムと、少なくとも1層の他の層とを積層して形成される一対の積層フィルムを、ヒートシールすることで形成される。外包材は、本発明の蒸着フィルムのみから形成されていてもよい。
外包材に用いられる他の層としては、例えばポリエステル層、ポリアミド層、ポリオレフィン層、接着層等が挙げられ、ヒートシール可能な層であるポリオレフィン層を含むことが好ましい。
外包材における層数及び積層順には特に制限はないが、最外層がヒートシール可能な層(例えばポリオレフィン(PO)層)とされることが好ましい。外包材の層構成としては、蒸着フィルム/ポリアミド層/PO層、ポリアミド層/蒸着フィルム/PO層、蒸着フィルム/ポリエステル層/PO層、ポリエステル層/蒸着フィルム/PO層等が好ましく、層間に接着層を設けてもよい。また、基材フィルム(X)の片面にのみ無機蒸着層(Y)が形成されている蒸着フィルムを適用する場合、無機蒸着層(Y)が基材フィルム(X)よりも外側に配置されるように積層されていても、無機蒸着層(Y)が基材フィルム(X)より内側に配置されるように積層されていてもよい。外装材中の蒸着フィルムは、基材フィルム(A)及び無機蒸着層(Y)のみから構成されるフィルム、又は基材フィルム(A)、無機蒸着層(Y)及び樹脂コート層のみから構成されるフィルムであることが好ましい。
本発明の真空断熱体は、外包材が本発明の蒸着フィルムを備えるために、外包材のガスバリア性に優れる。また、本発明の真空断熱体は、本発明の蒸着フィルムが用いられているため、衝撃がかかる環境下での低温での使用や、温度変化が激しい環境下での使用でも、長期間外包材のガスバリア性が持続され、その結果、断熱性が維持される。また、製膜性に優れる本発明の蒸着フィルムが用いられているため、本発明の真空断熱体は、生産性にも優れる。
本発明の真空断熱体は、冷蔵庫、給湯設備、炊飯器等の家電製品用の断熱材;壁部、天井部、屋根裏部、床部等に用いられる住宅用断熱材;車両屋根材;自動販売機等の断熱パネルなどに利用できる。
以下、実施例等により本発明を詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されない。なお、得られた樹脂組成物の評価は以下のように行った。
(1)樹脂組成物中のホウ素化合物(B)の定量
製造例で得られた乾燥樹脂組成物ペレットを凍結粉砕により粉砕した。得られた粉末0.5gに和光純薬工業株式会社製の精密分析用硝酸5mLを添加し、Speedwave MWS−2(BERGHOF社製)により湿式分解した。得られた液をイオン交換水で希釈して全液量を50mLとして試料溶液を調製し、ICP発光分光分析装置(「Optima 4300 DV」、株式会社パーキンエルマージャパン製)を用いてホウ素元素の定量分析を行い、ホウ素化合物(B)の量をオルトホウ酸換算値として算出した(B1)。なお、定量に際しては、原子吸光分析用:ホウ素標準原液(1000ppm)(関東化学株式会社製)を使用して作成した検量線を用いた。
(2)樹脂組成物中の遊離ホウ酸(C)の定量
(i)試料溶液の調製
製造例で得られた乾燥樹脂組成物ペレットを凍結粉砕により粉砕した。得られた粉末を、呼び寸法1mmのふるい(標準フルイ規格JIS Z−8801準拠)でふるい分けし、ふるいを通過した樹脂組成物の粉末1000mgの測定試料を、2−エチル−1,3−ヘキサンジオール/クロロホルム混合溶液(体積比:10/90)3.5mLと混合し、室温で24時間放置後0.2μmのフィルターを用いて濾過し、濾液を得た。
(ii)遊離ホウ酸(C)の定量
装置名:ICP発光分析装置iCAP6300(Thermo Fisher Scientific社製)
測定波長:208.893nm、208.959nm、249.773nm
検量線:原子吸光分析用:ホウ素標準原液(1000ppm)関東化学株式会社製を用いて作成
測定試料:濾液0.6g相当を量り取り、エタノールで10mLに定容した。
得られたホウ素含量は全て遊離ホウ酸(C)に由来するものと見なし、オルトホウ酸換算値として算出した(B2)。
(iii)遊離ホウ酸(C)の割合の算出
前記測定により求めたホウ素化合物(B)の測定結果(B1)及び遊離ホウ酸(C)の測定結果(B2)を用いて、下記式により算出した。
遊離ホウ酸(C)の割合(質量%)=遊離ホウ酸(C)の測定結果(B2)/ホウ素化合物(B)の測定結果(B1)×100
(3)樹脂組成物のメルトインデックス(MI)
ASTM−D1238に準じ、メルトインデクサーを使用し、温度190℃、荷重2160gの条件にて測定した。
(4)樹脂組成物中の金属塩及び酸成分の定量
(リン酸化合物/金属イオンの定量)
(1)と同様に試料溶液を調製し、株式会社パーキンエルマージャパン製ICP発光分光分析装置Optima 4300 DVを用いて以下の各観測波長で定量分析して、金属イオン及びリン酸化合物の量を定量した。リン酸化合物の量はリン元素を定量し、リン酸根換算値で算出した。定量に際しては各種標準液を希釈して作成した検量線を用いた。
Na :589.592nm
K :766.490nm
P :214.914nm
(カルボン酸及びカルボン酸イオンの定量)
製造例で得られた乾燥樹脂組成物を凍結粉砕により粉砕した。得られた粉砕樹脂組成物を、呼び寸法1mmのふるい(標準フルイ規格JIS Z8801−1〜3準拠)でふるい分けし、ふるいを通過した樹脂組成物の粉末10gとイオン交換水50mLを共栓付き100mL三角フラスコに投入し、冷却コンデンサーを付けて、95℃で10時間撹拌した。得られた溶液を2mL取り、イオン交換水8mLで希釈した。希釈溶液を、横河電機株式会社製イオンクロマトグラフィー「ICS−1500」を用い、下記測定条件に従ってカルボン酸及びカルボン酸イオンを定量した。なお、定量に際してはモノカルボン酸または多価カルボン酸を用いて作成した検量線を用いた。
測定条件
カラム:DIONEX社製「IonPAC ICE−AS1(9φ×250mm、電気伝導度検出器)」
溶離液:1.0mmol/L オクタンスルホン酸水溶液
測定温度:35℃
溶離液流速:1mL/分
分析量:50μL
製造例1
耐圧100kg/cmの重合槽に酢酸ビニル19600部、メタノール2180部、AIBN(2,2’−アゾビスイソブチロニトリル)7.5部を仕込み、撹拌しながら窒素置換後、昇温、昇圧し内温60℃、エチレン圧力35.5kg/cmに調整した。3.5時間その温度、圧力を保持し重合させた後、ハイドロキノン5部を添加し、重合槽を常圧に戻し、エチレンを蒸発除去した。引き続きこのメタノール溶液を、ラシヒリングを充填した追出塔の塔上部より連続的に流下させ、一方、塔底部よりメタノール蒸気を吹き込んで未反応酢酸ビニル単量体をメタノール蒸気とともに塔頂部より放出させコンデンサーを通して除去することにより、未反応酢酸ビニル0.01%以下のエチレン−酢酸ビニル共重合体の45%メタノール溶液を得た。この時の重合率は仕込み酢酸ビニルに対して47%、エチレン含有率は32モル%であった。次に、エチレン−酢酸ビニル共重合体のメタノール溶液をケン化反応器に仕込み、水酸化ナトリウム/メタノール溶液(80g/L)を共重合体中の酢酸ビニル成分に対し、0.4当量となるように添加し、メタノールを添加して共重合体濃度が20%になるように調整した。60℃に昇温し反応器内に窒素ガスを吹き込みながら約4時間反応させた。その後、酢酸で中和し反応を停止させ、円形の開口部を有する金板から水中に押し出して析出させ、切断することで直径約3mm、長さ約5mmのペレットを得た。得られたペレットは遠心分離機で脱液しさらに大量の水を加え洗浄・脱液する操作を繰り返し、洗浄済みの含水ペレットを得た。得られたEVOHのケン化度は99.7モル%であった。前記洗浄済み含水ペレット300gをオルトホウ酸0.06g/L、酢酸0.1g/L、リン酸二水素カリウム0.3g/Lを添加した浸漬液0.5Lに分散させ、4時間攪拌した。その後、得られたペレットを取り出し、遠心分離機(目皿径1mm、回転数4000rpm、処理時間15分)で脱水を行った後、予備乾燥として熱風乾燥器を用いて、空気雰囲気下、80℃、3時間乾燥を行った。遠心分離前のペレットの含水率は乾燥質量基準で200質量%、15分間の遠心脱水後の含水率は78質量%、予備空気乾燥後の含水率は10質量%であった。その後、本乾燥として真空乾燥機を用いて、真空条件下、80℃、142時間乾燥を行った。本乾燥後のペレット中の含水率が0.08質量%以下になるまで真空乾燥し、樹脂組成物1を得た。樹脂組成物1について、前記(4)の記載の方法に従い、金属成分及び酸成分の定量を行った。測定の結果、樹脂組成物に含まれる酢酸及びその塩が酢酸根換算で600ppm(10μmol/g)、アルカリ金属塩が金属換算で150ppm、リン酸化合物がリン酸根換算で35ppmであった。
製造例2〜24、製造例C1〜C14
使用したEVOHのエチレン単位含有量(Et)、洗浄後の含水ペレットを浸漬する浸漬液のオルトホウ酸濃度、遠心脱水条件(処理時間、及び遠心脱水後含水率)、及び本乾燥の処理温度を表1に示すように変更したこと以外は製造例1と同様にして樹脂組成物2〜24及び樹脂組成物C1〜C14を製造した。いずれの製造例も、ペレット中の含水率が0.08質量%以下になるまで表1に示す処理時間の本乾燥を行った。なお、遠心脱水を行わなかった製造例においては、遠心脱水後含水率の欄に記載した値は、予備乾燥を行う前の含水率である(以下、同様)。
Figure 2020082495
製造例C15〜C17
洗浄後の含水ペレットを浸漬する浸漬液のオルトホウ酸濃度、及び遠心脱水条件(処理時間、及び遠心脱水後含水率)を表2に記載の通りとし、本乾燥として空気雰囲気下の熱風乾燥機の温度を表2に記載の条件でペレット中の含水率が0.08質量%以下になるまで空気乾燥した以外は、製造例1と同様にして樹脂組成物C15〜C17を製造した。
Figure 2020082495
製造例C18〜C20
洗浄後の含水ペレットを浸漬する浸漬液のオルトホウ酸濃度、及び遠心脱水条件(処理時間、及び遠心脱水後含水率)を表3に記載の通りとし、本乾燥として窒素雰囲気下の熱風乾燥機(機内酸素濃度200ppm)で温度を表3に記載の条件でペレット中の含水率が0.08質量%以下になるまで窒素乾燥した以外は、製造例1と同様にして樹脂組成物C18〜C20を製造した。
Figure 2020082495
製造例25
ケン化工程までは製造例1と同様にし、EVOHの濃度20%のメタノール溶液を得た。続いて塔型棚段式反応容器の上部からEVOHのメタノール溶液を導入し、反応容器底部から水蒸気を導入し、塔内温度130℃、塔内圧力3kg/cmの条件下でメタノールを水で置換することで、塔底から濃度50%のEVOH含水組成物を得た。続いて得られた含水組成物を、水分排出のためのスリットを有する押出機に導入し、ダイス温度118℃で押出し、センターホットカッターで切断造粒することで、ペレット状のEVOHを得た。得られたペレットを塔型向流洗浄装置の上部から導入し、下部から50℃の純水を導入しペレットを向流洗浄後、塔底部から取り出しウェットシフターで固液分離することで、エチレン含有率32モル%、ケン化度99.7モル%、含水率35質量%のEVOHを得た。得られたEVOHを二軸押出機に投入し、吐出口の樹脂温度を100℃とし、吐出口側先端部微量成分添加部より、酢酸/オルトホウ酸/酢酸ナトリウム/リン酸二水素カリウム水溶液からなる処理液を添加した。EVOHの単位時間当たりの投入量は10kg/hr(含有される水の質量を含む)、処理液の単位時間当たりの投入量は0.65L/hrであり、処理液の組成は酢酸を4.3g/L、オルトホウ酸を5.3g/L、酢酸ナトリウムを4.6g/L、リン酸二水素カリウムを1.4g/L含有する水溶液であった。
形式 二軸押出機
L/D 45.5
口径 30mmφ
スクリュー 同方向完全噛合型
回転数 300rpm
モーター容量 DC22KW
ヒーター 13分割タイプ
ダイスホール数 5穴(3mmφ)
ダイス内樹脂温度 105℃
二軸押出機の吐出口から押出された樹脂組成物は、図1の形態のホットカッター10によって切断し、ペレットとした。具体的には、図1のホットカッター10においては、二軸押出機の吐出口11から吐出された樹脂組成物がダイ12から押し出され、回転刃13によって切断される。回転刃13は、この回転刃13に直結する回転軸14と共に回転する。カッター箱15内には冷却水供給口16から冷却水17が供給される。冷却水17により形成された水膜18により、切断された直後のペレットが冷却され、ペレット排出口19から冷却水及びペレット20が排出される。排出されたペレットは扁平球状であり、その含水率は80質量%であった。得られたペレットを取り出し、遠心分離機(目皿径1mm、回転数4000rpm、処理時間2分)で脱水を行った後、予備乾燥として熱風乾燥器を用いて、空気雰囲気下、80℃、11時間乾燥を行い含水率4.2質量%まで減少させた。続いて本乾燥として、真空条件下、120℃、16時間乾燥を行い、含水率0.08質量%以下として樹脂組成物25を得た。樹脂組成物25について前記(4)の記載の方法に従い金属成分及び酸成分の定量を行った。酢酸及びその塩の含有量は酢酸根換算で300ppm(5μmol/g)、リン酸化合物の含有量はリン酸根換算で100ppm、アルカリ金属塩の含有量はカリウムが金属換算で40ppm、ナトリウムが金属換算で130ppmであった。
製造例26〜30、製造例C21及びC22
押出機に添加するオルトホウ酸濃度、遠心脱水条件(処理時間及び遠心脱水後含水率)、及び本乾燥の処理温度を表4に示すように変更した以外は製造例25と同様にして樹脂組成物26〜30、樹脂組成物C21及びC22を製造した。いずれの製造例も、ペレット中の含水率が0.08質量%以下になるまで表4に示す処理時間の本乾燥を行った。
Figure 2020082495
製造例31〜34
浸漬液のオルトホウ酸濃度、遠心脱水条件(処理時間、及び遠心脱水後含水率)、並びに本乾燥の雰囲気、温度及び時間を表5の通り変更した以外は、製造例1と同様の方法で樹脂組成物31〜34を製造した。
製造例C23
浸漬液の成分をオルトホウ酸1.66g/L、水酸化カリウム0.11g/Lを添加した浸漬液0.5Lに変更した以外は、製造例C2と同様の方法で樹脂組成物C23を製造した。前記(4)に記載の方法に従い金属成分及び酸成分の定量を行った。酢酸およびその塩は酢酸根換算で0ppm、アルカリ金属塩が金属換算で160ppm、リン酸化合物はリン酸根換算で0ppmであった。
Figure 2020082495
<実施例1〜37、比較例1〜24>
(a)製膜性
製造例で得られた樹脂組成物のペレット100質量部に対して、合成シリカ(富士シリシア化学株式会社製の「サイリシア310P」;レーザー法で測定された平均粒子径2.7μm)0.03質量部を、タンブラーでドライブレンドした。得られた混合物(合成シリカを含む樹脂組成物)を260℃にて溶融し、幅1200mmのダイからキャスティングロール上に押し出すと同時にエアーナイフを用いて空気を風速30m/秒で吹き付け、引取り速度100m/minで巻き取ることで、未延伸フィルムを得た。得られた各未延伸フィルムについて以下のように評価した。
(a−1)ネックイン
立ち上げ直後に得られた未延伸フィルムを10mサンプリングし、未延伸フィルムの幅を1m間隔で測定した。ダイス幅から差し引いた値をネックイン幅とし、以下の基準に従って評価した。A〜Cの場合、ネックインが抑制されていると判断した。
A:96mm未満
B:96mm以上192mm未満
C:192mm以上384mm未満
D:384mm以上
(a−2)フィッシュアイ
48時間連続運転後、96時間連続運転後にそれぞれ得られた未延伸フィルムについて、目視にて10cm四方当たりのフィッシュアイの個数を数え、以下の基準に従って評価した。A〜Cの場合、フィッシュアイの発生が抑制されていると判断した。
A:5個未満
B:5個以上20個未満
C:20個以上50個未満
D:50個以上
(b)延伸性
前記(a)で得られた未延伸フィルムを80℃の温水に10秒接触させ、テンター式同時二軸延伸設備により90℃にて縦方向に3.2倍、横方向に3.0倍延伸し、さらに170℃に設定したテンター内にて5秒間の熱処理を行い全幅3.6mの二軸延伸フィルムを作製した。なお樹脂組成物11については延伸温度83℃、熱処理温度152℃に設定し、樹脂組成物12については延伸温度93℃、熱処理温度177℃に設定した以外は同様にして二軸延伸フィルムを作製した。作製した二軸延伸フィルムを巻き返しながら、フィルム全幅における中央位置を中心にして幅80cmをスリットし、長さ4000mのロールを得た。さらに連続してフィルムを製造し、長さ4000mのロールを各樹脂組成物につき432本採取した。それぞれの延伸フィルムの平均厚みは12μmであった。
96時間運転後の未延伸フィルムから作製した二軸延伸フィルムについてスジ状の延伸ムラの発生の有無を目視観察し、以下の基準に従って評価した。A〜Cの場合、延伸性は良好と判断した。
A:延伸ムラは確認されなかった
B:うすい延伸ムラが確認された
C:明確な延伸ムラが確認された
D:断紙あるいは穴あきが発生した
(c)低温での耐衝撃性
(蒸着フィルムの作製)
実施例1〜34及び比較例1〜23について、前記(b)にて得られた各二軸延伸フィルムに対して、バッチ式蒸着設備(日本真空技術社の「EWA―105」)を用い、二軸延伸フィルムの表面温度38℃、二軸延伸フィルムの走行速度200m/分として二軸延伸フィルムの片面にアルミニウムを蒸着させることで蒸着フィルムを得た。得られた蒸着フィルムをミクロトームでカットし、露出した断面を走査型電子顕微鏡で観察し反射電子検出器をもちいて蒸着層の厚みを測定したところ、蒸着層の平均厚みは70nmであった。
実施例35及び比較例24については、上記と同様の条件で両面にアルミニウムを蒸着させ、蒸着フィルムを得た。両面の蒸着層の平均厚みはそれぞれ70nmであった。
実施例36及び実施例37については、蒸着層形成時のフィルムの走行速度を調節し、実施例36では蒸着層の平均厚みが25nm、実施例37は蒸着層の平均厚みが130nmの蒸着フィルムを得た。
(多層構造体の作製)
次いで、得られた蒸着フィルムを幅方向の中心部分からA4サイズに切り出し、表面にドライラミネート用接着剤(三井化学株式会社製タケラックA−520とタケネートA−50を6対1の質量比で混合し、固形分濃度23質量%の酢酸エチル溶液としたもの)を第一理化株式会社のバーコーターNo.12を用いてコートし、50℃で5分間熱風乾燥させた。接着剤を塗布した面にLLDPEフィルム(出光ユニテック株式会社製ユニラックスLS−760C:厚み50μm)を貼り合わせ80℃に加熱したニップロールにてラミネートを行った。さらにもう片面に無延伸ポリプロピレン(CPP)フィルム(三井化学東セロ株式会社製RXC−21:厚み50μm)を同様にして張り合わせ、40℃で5日間エージングを行って(外側)LLDPE層/接着剤層/蒸着フィルム/接着剤層/CPP層(内側)の層構成を有する多層構造体を得た。
得られた多層構造体2枚をヒートシールしてパウチ袋(真空包装袋)を成形し、下記各表6〜11に示される半径のセラミック球を球体同士が接触するように一層に敷き詰めた状態で充填し、−20℃の恒温室内で6時間冷却した後に真空包装した。内側に緩衝材を敷き詰めた段ボールに真空包装袋50袋を段ボール箱(15cm×35cm×45cm)に詰め、段ボール箱をトラックに積み東京都と岡山県の間を−20℃で10往復させる輸送試験を実施した。輸送試験後、パウチ袋を開封し、多層構造体を10cm四方に切り出した。なお、セラミック球の半径が大きいほど真空包装時の屈曲が強くなる。ホウ素化合物(B)の含有量が同じものは同じ条件で、すなわち同じ半径のセラミック球を用いて評価した。切り出した多層構造体を、モダンコントロール社製MOCON OX−TRAN 2/20(検出限界0.01mL/(m・day・atm))に接続して酸素透過度を測定し、以下の基準で評価した。測定条件は、キャリアガス側及び酸素ガス側ともに23℃・65%RHとし、酸素圧が1気圧、キャリアガス圧力が1気圧とした。A〜Cの場合、低温での耐衝撃性は良好と判断した。
A:0.05mL/(m・day・atm)未満
B:0.05mL/(m・day・atm)以上0.10mL/(m・day・atm)未満
C:0.10mL/(m・day・atm)以上0.30mL/(m・day・atm)未満
D:0.30mL/(m・day・atm)以上
(d)ヒートサイクル耐性
前記(c)と同様の方法で作製したパウチ袋を−20℃で24時間保管後、100℃の乾燥機で24時間保管した。これを1サイクルとして50サイクルの熱処理を実施した。試験後、パウチ袋を開封し、多層構造体を10cm四方に切り出した。
切り出した多層構造体を、モダンコントロール社製MOCON OX−TRAN 2/20(検出限界0.01mL/(m・day・atm))に接続して酸素透過度を測定し、以下の基準で評価した。測定条件は、キャリアガス側及び酸素ガス側ともに23℃・65%RHとし、酸素圧が1気圧、キャリアガス圧力が1気圧とした。A〜Cの場合、ヒートサイクル耐性は良好と判断した。
A:0.05mL/(m・day・atm)未満
B:0.05mL/(m・day・atm)以上0.10mL/(m・day・atm)未満
C:0.10mL/(m・day・atm)以上0.30mL/(m・day・atm)未満
D:0.30mL/(m・day・atm)以上
樹脂組成物1〜34及び樹脂組成物C1〜C23を用いた各実施例及び比較例について、前記(1)〜(3)、(a)及び(b)に記載の方法に従い、ホウ素化合物(B)及び遊離ホウ酸(C)の定量、MIの測定、並びに評価を行った。さらに、樹脂組成物1、3、5、9〜13、16、19〜21、24、26〜29、31〜34、C1〜C4、C13、C15、C17、C18、C20、C21及びC23を用いた各実施例及び比較例について、前記(c)及び(d)に記載の方法に従い評価を行った。結果を表6〜12に示す。
Figure 2020082495
Figure 2020082495
Figure 2020082495
Figure 2020082495
Figure 2020082495
Figure 2020082495
Figure 2020082495
例えば、浸漬によりホウ素添加した製造例3、9、10、19、C2及びC9(実施例3、9、10、19、比較例2、9)の比較から、遠心脱水の処理時間を長くし、また本乾燥時の温度を低くすることにより、ホウ素化合物(B)の濃度は同じでも、遊離ホウ酸(C)の割合が低くなる結果となっている。押出機でホウ酸添加した場合も、製造例26〜29、C21及びC22(実施例26〜29、比較例21、22)の比較から、同様の傾向が見て取れる。
ネックインにおいては、MIが2g/10分(190℃/2160g)未満のとき、ネックインが50mm未満(評価A)であった。MIが2g/10分(190℃/2160g)以上6g/10分(190℃/2160g)以下のとき、ネックインが50〜100mm(評価B)となり、6g/10分(190℃/2160g)超6.6g/10分(190℃/2160g)以下のとき、ネックインが100〜200mm(評価C)となっていた。ホウ素化合物(B)の含有量が少ない比較例5は、ネックインの評価Dであった。また、実施例1と比較例7の比較により、ホウ素化合物(B)は、110ppmと同一であっても、遊離ホウ酸(C)の割合が12%の比較例7においては、MIが6.7g/10分(190℃/2160g)と若干高くなり、ネックインも200mm以上(評価D)と更に悪化した。一方、ホウ素化合物(B)の含有量が多い比較例6は、MIが低く、延伸性が悪い結果となった。
遊離ホウ素(C)の含有割合に着目すると、遊離ホウ素(C)の含有割合が0.1質量%未満又は10質量%超である比較例1〜4及び7〜23は、製膜性(ネックイン及びフィッシュアイ)、延伸性及び低温での耐衝撃性のいずれかが悪い結果となった。
これらに対し、ホウ素化合物(B)の含有量及び遊離ホウ酸(C)の含有割合が所定範囲内である実施例1〜37は、いずれも製膜性、延伸性及び低温下耐衝撃性の全てが良好な結果となった。さらに、実施例1〜37は、いずれもヒートサイクル耐性も良好な結果となった。低温での耐衝撃性及びヒートサイクル耐性等の評価結果から、用いた多層構造体は、真空断熱体の外装材としても好適に用いられることがわかる。
また、実施例10、33及び34(製造例10、33、34)の比較から、本乾燥の処理温度が同じである場合、真空乾燥を行うことで、ホウ素化合物(B)の濃度は同じでも、遊離ホウ酸(C)の割合が低くなる結果となっている。また、比較例2と比較例23(製造例C2、C23)の対比から、酢酸及びリン酸等の酸成分が存在することでフィッシュアイ発生を抑制できることが読み取れる。
本発明によれば、製膜性、延伸性、及び低温での耐衝撃性に優れる蒸着フィルム、並びにこのような蒸着フィルムを用いた包装材及び真空断熱体を提供することができる。
10 ホットカッター
11 吐出口
12 ダイ
13 回転刃
14 回転軸
15 カッター箱
16 冷却水供給口
17 冷却水
18 水膜
19 ペレット排出口
20 冷却水及びペレット

Claims (8)

  1. エチレン単位含有量20〜60モル%のエチレン−ビニルアルコール共重合体(A)及びホウ素化合物(B)を含有する樹脂組成物から形成される基材フィルム(X)と、基材フィルム(X)の少なくとも一方の面側に積層される無機蒸着層(Y)とを備える蒸着フィルムであって、
    ホウ素化合物(B)が遊離ホウ酸(C)を含み、
    前記樹脂組成物におけるエチレン−ビニルアルコール共重合体(A)に対するホウ素化合物(B)の含有量がオルトホウ酸換算で100ppm以上5000ppm以下であり、ホウ素化合物(B)中の遊離ホウ酸(C)の割合がオルトホウ酸換算で0.1質量%以上10質量%以下である、蒸着フィルム。
  2. 前記樹脂組成物がリン酸化合物をリン酸根換算で1ppm以上500ppm以下含む、請求項1に記載の蒸着フィルム。
  3. 前記樹脂組成物がカルボン酸及び/またはカルボン酸イオンをカルボン酸根換算で0.01μmol/g以上20μmol/g以下含む、請求項1または2に記載の蒸着フィルム。
  4. 前記樹脂組成物における190℃、2160g荷重下でASTM D1238に準じて測定したメルトインデックスが0.1〜15g/10分である、請求項1〜3のいずれかに記載の蒸着フィルム。
  5. 基材フィルム(X)の両面側にそれぞれ無機蒸着層(Y)が積層されている、請求項1〜4のいずれかに記載の蒸着フィルム。
  6. 無機蒸着層(Y)の平均厚みが15nm以上150nm以下である、請求項1〜5のいずれかに記載の蒸着フィルム。
  7. 請求項1〜6のいずれかに記載の蒸着フィルムを備える包装材。
  8. 請求項1〜6のいずれかに記載の蒸着フィルムを備える真空断熱体。

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