JP4647065B2 - エチレン−ビニルアルコール共重合体からなる樹脂組成物およびそれを用いた多層構造体 - Google Patents

エチレン−ビニルアルコール共重合体からなる樹脂組成物およびそれを用いた多層構造体 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、接着性に非常に優れ、且つゲル・ブツの発生が少なく外観に優れ、ロングラン性および回収性が良好で回収時の着色が少ないエチレン−ビニルアルコール共重合体からなる樹脂組成物およびそれを用いた多層構造体に関する。
【0002】
【従来の技術】
エチレン−ビニルアルコール共重合体(以下、EVOHと略すことがある)は酸素遮蔽性、耐油性、非帯電性、機械強度等に優れた有用な高分子材料であり、フィルム、シート、容器などに成形され、各種包装材料などとして広く用いられる。かかる成形にあたっては通常溶融成形が行われるため、EVOHには溶融成形時のロングラン性(長時間の成形においてもフィッシュアイやスジのない成形物が得られる)、外観性(ゲル・ブツの発生が見られない成形物)が要求される。また、近年においてはリサイクル性も重要な課題となっており、EVOH成形物を回収して再び溶融成形を行い熱履歴を重ねる場合にも、回収性(回収したEVOHの成形性)が良好であり、かつ回収時の着色の少ないEVOHが求められている。
【0003】
また、一般的にはEVOH成形物に機械強度、耐湿性、ヒートシール性などを付与するためにポリオレフィン系樹脂等の基材と接着剤層を介して共押出されて多層構造体とすることが多いため、EVOHには高い層間接着性が要求される。かかる層間接着性を改善するために、(1)EVOHに微量成分、特にアルカリ金属を添加する方法、が知られている。また、上記のロングラン性、ゲル・ブツに代表される外観を改善するために、(2)周期律表第II属の金属塩を0.0005〜0.05重量%(金属元素換算)、pKa3.5以上で沸点が180℃以上の酸を0.002〜0.2重量%およびpKa3.5以上で沸点が120℃以下の酸を0.01〜0.2重量%含有させ、かつ特定の流動特性を示すEVOH組成物が開示されている(特開昭64−66262号公報)。
また、他の先行技術として、溶融成形時のロングラン性、外観性および層間接着性にすぐれたEVOHとして、(3)EVOH100重量部に対して、ホウ素化合物(D)0.001〜1重量部(ホウ素元素換算)、酢酸0.05重量部以下および酢酸塩0.001〜0.05重量部(金属元素換算)を含有してなる樹脂組成物が開示されている(特開平11−43571号公報)。さらに、該公報には比較例5として、EVOH100重量部に対して、ホウ酸0.03重量部(ホウ素元素換算)、酢酸0.009重量部および酢酸ナトリウム0.08重量部(ナトリウム換算)を含有してなる樹脂組成物が開示されているが、かかる樹脂組成物を成形してなるフィルムは層間接着性は優れるものの、スジおよびフィッシュアイが多発し外観性に問題があり、かつ延伸ムラが多い旨が記載されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記に示すような開示技術(1)および(2)ではEVOHの層間接着性を充分に向上させることが出来ず、更なる改良が求められている。さらに、これまではEVOHとの接着能が低いナイロン用の接着性樹脂などは、EVOHの多層構造体に用いることが出来なかった。そのため、EVOHをポリオレフィン系樹脂等の基材に積層するためには、EVOH専用の、高性能かつ高価格の接着性樹脂を用いる必要があり、接着性樹脂の選択肢の幅は少ないものであった。
【0005】
また、上記に示すような開示技術(3)では、EVOHは高い層間接着性を有するが、外観や延伸ムラ等に問題が残っている。このように、高度な層間接着性と成形物の外観を両立させることは非常に困難とされており、かかる要求を満たすEVOHからなる樹脂組成物の開発が強く望まれていた。さらに成形機の長期間の運転および成形加工時に発生するバリ等の再利用という観点から、該樹脂組成物は、層間接着性と外観に加え、ロングラン性、回収性に優れ、回収時の着色の少ないことが望まれていた。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記に示した課題は、酢酸(A)を10〜500ppm、アルカリ金属塩(B)を金属元素換算で500〜000ppm、リン酸化合物(C)をリン酸根換算で10〜300ppm含有する、エチレン含有量が20〜6モル%のエチレン−ビニルアルコール共重合体からなる樹脂組成物によって解決される。
【0007】
すなわち、本発明は酢酸(A)を10〜500ppm、アルカリ金属塩(B)を金属元素換算で500〜000ppm、リン酸化合物(C)をリン酸根換算で10〜300ppm含有する、エチレン含有量が20〜6モル%のエチレン−ビニルアルコール共重合からなる樹脂組成物に関する。
【0008】
好ましい実施態様では、本発明の樹脂組成物はホウ素化合物(D)を20〜000ppm含有してなる。
【0009】
好ましい実施態様では、本発明の樹脂組成物はアルカリ金属塩(B)の含有量(金属元素換算:ppm)が、酢酸(A)の含有量(ppm)3〜20倍である。
【0011】
さらに、好適な実施態様では、本発明の樹脂組成物は共押出成形用樹脂組成物である。
【0012】
また、本発明は、上記樹脂組成物からなる層を少なくとも一層含む多層構造体に関する。
【0013】
【発明の実施の形態】
本発明の酢酸(A)を10〜500ppm、アルカリ金属塩(B)を金属元素換算で500〜000ppm、リン酸化合物(C)をリン酸根換算で10〜300ppm含有するエチレン−ビニルアルコール共重合体からなる樹脂組成物は、非常に高い層間接着性を有しているため、EVOH用接着性樹脂と非常に強固に接着する。このため、該樹脂組成物は特に共押出成形に好適であるが、これに限定されない。
【0014】
また、 ナイロン用接着性樹脂はEVOHとの接着性に問題があるとされ、これまでEVOHとの多層構造体には用いることが出来なかったが、本発明の樹脂組成物はその優れた層間接着性から、ナイロン用接着性樹脂との多層構造体、特に共押出多層構造体にも好適に用いることが出来る。このように、使用可能な接着性樹脂の選択肢の増加という観点からも、本発明の意義は大きい。
【0015】
本発明に用いられるEVOHとしては、エチレン−ビニルエステル共重合体をケン化して得られるものが好ましい。ガスバリア性と溶融成形性に優れた成形物を得るという観点からは、エチレン含有量は20〜6モル%であることが必要であり、さらに好適には25〜60モル%であるものが好ましい。さらに、ビニルエステル成分のケン化度の下限は好ましくは80%以上であり、ガスバリア性に優れた成形物を得るという観点からは、より好ましくは95%以上、更に好ましくは98%以上であり、特に好ましくは99%以上である。エチレン含有量が70モル%を超える場合は、バリア性や印刷適性等が不足する虞がある。また、ケン化度が80%未満では、バリア性、熱安定性、耐湿性が悪くなる虞がある。
【0017】
EVOH製造時に用いるビニルエステルとしては酢酸ビニルが代表的なものとしてあげられるが、その他の脂肪酸ビニルエステル(プロピオン酸ビニル、ピバリン酸ビニルなど)も使用できる。また、EVOHは共重合成分としてビニルシラン化合物0.0002〜0.2モル%を含有することができる。ここで、ビニルシラン系化合物としては、たとえば、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリ(β−メトキシ−エトキシ)シラン、γ−メタクリルオキシプロピルメトキシシランが挙げられる。なかでも、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシランが好適に用いられる。
【0018】
以下にEVOHの製造方法を具体的に説明する。エチレンと酢酸ビニルの重合は溶液重合に限るものではなく、溶液重合、懸濁重合、乳化重合、バルク重合のいずれであっても良く、また連続式、回分式のいずれであってもよいが、例えば、回分式の溶液重合の場合の重合条件は次の通りである。
【0019】
溶媒;アルコール類が好ましいが、その他エチレン、ビニルエステルおよびエチレン−ビニルエステル共重合体を溶解し得る有機溶剤(ジメチルスルホキシドなど)を用いることができる。アルコール類としてはメチルアルコール、エチルアルコール、プロピルアルコール、n−ブチルアルコール、t−ブチルアルコール等を用いることができ、特にメチルアルコールが好ましい。
触媒;2,2−アゾビスイソブチロニトリル、2,2−アゾビス−(2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2−アゾビス−(4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2−アゾビス−(2−シクロプロピルプロピオニトリル)等のアゾニトリル系開始剤およびイソブチリルパーオキサイド、クミルパーオキシネオデカノエイト、ジイソプロピルパーオキシカーボネート、ジ−n−プロピルパーオキシジカーボネート、t−ブチルパーオキシネオデカノエイト、ラウロイルパーオキサイド、ベンゾイルパーオキサイド、t−ブチルハイドロパーオキサイド等の有機過酸化物系開始剤等を用いることができる。
温度;20〜90℃、好ましくは40℃〜70℃。
時間;2〜15時間、好ましくは3〜11時間。
重合率;仕込みビニルエステルに対して10〜90%、好ましくは30〜80%。
重合後の溶液中の樹脂分;5〜85%、好ましくは20〜70%。
共重合体中のエチレン含有率;20〜6モル%、さらに好ましくは25〜60モル%。
【0020】
なお、エチレンと酢酸ビニル以外にこれらと共重合し得る単量体、例えば、プロピレン、イソブチレン、α−オクテン、α−ドデセン等のα−オレフィン;アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、マレイン酸、イタコン酸等の不飽和酸またはその無水物、塩、あるいはモノまたはジアルキルエステル等;アクリロニトリル、メタクリロニトリル等のニトリル類;アクリルアミド、メタクリルアミド等のアミド類;エチレンスルホン酸、アリルスルホン酸、メタアリルスルホン酸等のオレフィンスルホン酸またはその塩;アルキルビニルエーテル類、ビニルケトン、N−ビニルピロリドン、塩化ビニル、塩化ビニリデン等を少量共存させることも可能である。
【0021】
所定時間の重合後、所定の重合率に達した後、必要に応じて重合禁止剤を添加し、未反応のエチレンガスを蒸発除去した後、未反応酢酸ビニルを追い出す。エチレンを蒸発除去したエチレン−酢酸ビニル共重合体から未反応の酢酸ビニルを追い出す方法としては、例えば、ラシヒリングを充填した塔の上部から該共重合体溶液を一定速度で連続的に供給し、塔下部よりメタノール等の有機溶剤蒸気を吹き込み塔頂部よりメタノール等の有機溶剤と未反応酢酸ビニルの混合蒸気を流出させ、塔底部より未反応酢酸ビニルを除去した該共重合体溶液を取り出す方法などが採用される。
【0022】
未反応酢酸ビニルを除去した該共重合体溶液にアルカリ触媒を添加し、該共重合体中の酢酸ビニル成分をケン化する。ケン化方法は連続式、回分式いずれも可能である。アルカリ触媒としては水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、アルカリ金属アルコラートなどが用いられる。例えば、回分式の場合のケン化条件は次の通りである。
該共重合体溶液濃度;10〜50%。
反応温度;30〜60℃。
触媒使用量;0.02〜0.6当量(酢酸ビニル成分当り)。
時間;1〜6時間。
ケン化反応後のケン化度は目的により異なるが、ケン化度の下限は、好ましくは80%以上であり、より好ましくは95%以上、更に好ましくは98%以上であり、特に好ましくは99%以上である。ケン化度は条件によって任意に調整できる。
【0023】
反応後のエチレン−ビニルアルコール共重合体はアルカリ触媒、副生塩類、その他不純物等を含有するため、これらを必要に応じて中和、洗浄することにより除去することが好ましい。
【0024】
本発明のEVOHからなる樹脂組成物中の酢酸(A)の含有量は、10〜500ppmである。酢酸(A)の含有量が10ppm未満の場合、溶融時の着色が著しい。また500ppmを超える場合は共押出成形において接着性樹脂との接着力の改善効果が不充分となる。酢酸(A)の含有量の下限は好適には30ppm以上であり、さらに好適には50ppm以上である。また、酢酸(A)の含有量の上限は好適には200ppm以下であり、さらに好適には150ppm以下である。
【0025】
本発明のEVOHからなる樹脂組成物中のアルカリ金属塩(B)の含有量は、金属元素換算で500〜000ppmである。ここでアルカリ金属塩(B)の含有量が500ppm(金属元素換算)を超えることが極めて重要であり、かかる構成を採用することにより、EVOHに非常に優れた接着性を付与することが出来る。
【0026】
アルカリ金属塩(B)が500ppm以下の場合、接着性の改善効果が不満足なものとなる。特に、共押出成形においてナイロン用接着性樹脂のような低性能の接着性樹脂との接着力が不足する。また000ppmを超える場合は溶融時の着色が著しい。アルカリ金属塩(B)は特に限定されるものではないが、ナトリウム塩、カリウム塩等が挙げられる。
本発明の樹脂組成物におけるアルカリ金属塩(B)の含有量の下限は好適には510ppm以上であり、より好適には520ppm以上であり、特に好適には530ppm以上である。また、アルカリ金属塩(B)の含有量の上限は好適には750ppm以下である。
【0027】
本発明のEVOHからなる樹脂組成物中のアルカリ金属塩(B)の含有量(金属元素換算:ppm)が、酢酸(A)の含有量(ppm)の3〜20倍になることが、本発明の実施態様として特に好ましい。本発明のEVOHからなる樹脂組成物は通常のEVOHより多くのアルカリ金属塩を含有するため、成形物の着色およびゲル・ブツの発生が激しくなる虞があるが、酢酸(A)の含有量を適切に調整し、樹脂のpHを一定の範囲とすることで、着色やゲル・ブツの発生を効果的に抑制することが出来る。アルカリ金属塩(B)の含有量(金属元素換算:ppm)が、酢酸(A)の含有量(ppm)の4倍以上になることがより好ましく、5倍以上になることがさらに好ましい。また、アルカリ金属塩(B)の含有量(金属元素換算:ppm)が、酢酸(A)の含有量(ppm)の10倍以下になることがより好ましく、7.5倍以下になることがさらに好ましい。3倍未満の場合は本発明の樹脂組成物の接着力、特にナイロン用接着性樹脂(EVOHに対して低接着能の接着性樹脂)との接着力が不足する虞があり、20倍を超える場合は、樹脂溶融時の着色が著しくなる虞がある。
【0028】
本発明のEVOHからなる樹脂組成物中のリン酸化合物(C)の含有量はリン酸根換算で10〜300ppmである。リン酸化合物(C)としては、リン酸、亜リン酸等の各種の酸やその塩等が例示されるが、これらに限定されない。リン酸塩としては第1リン酸塩、第2リン酸塩、第3リン酸塩のいずれの形で含まれていても良く、そのカチオン種も特に限定されるものではないが、上述のようなアルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩であることが好ましい。中でもリン酸2水素ナトリウム、リン酸2水素カリウム、リン酸水素2ナトリウム、リン酸水素2カリウムの形でリン酸化合物(C)を添加することが好ましい。
【0029】
本発明のEVOHからなる樹脂組成物は、通常のEVOHよりも多くのアルカリ金属塩を含有するため、リン酸化合物(C)を適切に添加しない場合、成形物の着色およびゲル・ブツの発生が激しくなる。リン酸化合物(C)の添加による上記の改善効果はロングラン成形時および成形物の回収時に特に顕著である。リン酸化合物(C)の含有量の下限は、リン酸根換算で50ppm以上であることが好ましく、より好ましくは70ppm以上である。また、リン酸化合物(C)の含有量の上限は、リン酸根換算で300ppm以下であることが必要であり、200ppm以下であることがより好ましい。かかる範囲のリン酸化合物(C)を含有することで、より着色が少なく、ゲル化しにくいエチレン−ビニルアルコール共重合体からなる樹脂組成物を得ることができる。リン酸化合物(C)の含有量が10ppm未満の場合、溶融成形時の着色が激しく外観性が低下する。特に、熱履歴を重ねるときにその傾向が顕著であるために、樹脂組成物は回収性に乏しいものとなる。また、リン酸化合物(C)の含有量が500ppmを超える場合は成形物のゲル・ブツの発生が顕著になり、外観性が低下する。
【0030】
本発明のEVOHからなる樹脂組成物には、樹脂組成物のロングラン性、溶融成形性をさらに改善する観点から、ホウ素化合物(D)を添加することが好適である。EVOHからなる樹脂組成物にホウ素化合物(D)を添加した場合、低重合度のEVOHを用いた場合でも、溶融粘度を高めることが可能であり、かかる低重合度のEVOHを用いることによって、通常のEVOHよりもゲル・ブツの発生を抑制し、ロングラン性を向上させることが可能である。ホウ素化合物(D)の添加によりEVOHからなる樹脂組成物の溶融粘度が改善される理由は不明であるが、おそらくはEVOHが有する水酸基がホウ素化合物(D)と擬似的な架橋を形成するためと思われる。しかし、本発明者らの詳細な検討の結果、EVOHとの接着能の低い接着性樹脂(例えば、ナイロン用接着性樹脂)に対しては、EVOHにホウ素化合物(D)を添加することによってEVOHと該接着性樹脂との接着能が低減することが明らかとなった。
【0031】
ところが、本発明の酢酸(A)を10〜500ppm、アルカリ金属塩(B)を金属元素換算で500〜000ppm、リン酸化合物(C)をリン酸根換算で10〜300ppm含有するEVOHからなる樹脂組成物を用いることにより、ホウ素化合物(D)を添加した場合においても、非常に高い接着性を維持しつつ、ホウ素化合物(D)の添加によるロングラン性および溶融成形性の改善効果を得ることが可能となった。接着能の改善は特にホウ素添加系における効果が大きく、かかる観点からも本発明の意義は大きい。
【0032】
ホウ素化合物(D)としては、ホウ酸類、ホウ酸エステル、ホウ酸塩、水素化ホウ素類等が挙げられるが、これらに限定されない。具体的には、ホウ酸類としては、オルトホウ酸、メタホウ酸、四ホウ酸などが挙げられ、ホウ酸エステルとしてはホウ酸トリエチル、ホウ酸トリメチルなどが挙げられ、ホウ酸塩としては上記の各種ホウ酸類のアルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩、ホウ砂などが挙げられる。これらの化合物の中でもオルトホウ酸(単にホウ酸と表示)が好ましい。
ホウ素化合物(D)の含有量はホウ素元素換算で20〜000ppmであることが好ましく、50〜1000ppmであることがより好ましい。10ppm未満ではホウ素化合物(D)を添加することによるロングラン性の改善効果が得られない虞があり、1000ppmを超えるとゲル化しやすく、成形性不良となる虞がある。
【0033】
ホウ素化合物(D)の添加により接着能が低下する理由は定かではないが、アルカリ金属塩(B)の含有量が金属元素換算で300ppm未満の場合(本願比較例3)に顕著に本発明のEVOHからなる樹脂組成物の接着能が低減することから、何らかの理由で、アルカリ金属塩(B)の添加による接着能の改善効果を抑制しているものと考えられる。このため、特にホウ素化合物(D)を添加した系ではアルカリ金属(B)の含有量が金属元素換算で510ppm以上であることが特に好ましく、520ppm以上であることがさらに好ましく、530ppm以上であることが特に好ましい。
【0034】
本発明のEVOHからなる樹脂組成物には、アルカリ土類金属塩(E)を添加することも好適である。アルカリ土類金属塩(E)を添加した場合、耐着色性の改善効果が若干低下するが、該樹脂組成物を用いた溶融成形時における、熱劣化した樹脂の成形機のダイ付着量をさらに低減することが可能である。アルカリ土類金属塩(E)は特に限定されないが、マグネシウム塩、カルシウム塩、バリウム塩、ベリリウム塩など挙げられ、特にマグネシウム塩とカルシウム塩が好適である。アルカリ土類金属塩(E)のアニオン種も特に限定されるものではないが、酢酸アニオンやリン酸アニオンが好適である。アルカリ土類金属の含有量は金属元素換算で10〜200ppmが好適であり、より好適には10〜100ppmである。アルカリ土類金属の含有量が10ppm未満の場合はロングラン性の改善効果が不充分となる虞があり、200ppmを超えると樹脂溶融時の着色が激しくなる。
【0035】
本発明で得られたエチレン−ビニルアルコール共重合体の好適なメルトフローレート(MFR)(190℃、2160g荷重下で測定;ただし、融点が190℃付近あるいは190℃を超えるものは2160g荷重下、融点以上の複数の温度で測定し、片対数グラフで絶対温度の逆数を横軸、メルトフローレートを縦軸(対数)としてプロットし、190℃に外挿した値)は0.1〜200g/10min.、最適には0.2〜100g/10min.である。
【0036】
また、本発明のEVOHからなる組成物を窒素雰囲気下220℃にて加熱処理した時、加熱処理時間が10時間〜100時間におけるMFR(230℃―10.9kgにて測定)の最大値(MFRmaxと定義)と該加熱処理を施していない樹脂のMFR(230℃―10.9kgにて測定。MFR0と定義)の関係は下記式(1)を満足することが好ましい。
0.1<MFRmax/MFR0<10 (1)
MFRmax/MFR0の下限は0.5以上であることがより好ましく、1以上であることがさらに好ましい。また、 MFRmax/MFR0の上限はより好ましくは8以下であり、さらに好ましくは5以下である。かかる構成を採用することにより、本発明の樹脂組成物のロングラン性改善効果がさらに向上する。MFRmax/MFR0が0.1未満の場合はEVOHのゲル化によるブツ発生の抑制効果が不満足になる虞がある。また、MFRmax/MFR0が10を超える場合ではEVOHの分解、およびそれに引き続き起こるゲル化が促進される虞があり、ロングラン性に問題が生じる虞が有る。
なお、熱処理はステンレス製パイプ(内径2.2cm、長さ12.5cm、内容積50cm3)の中に、樹脂を3〜4g入れ、ステンレスパイプ内を窒素ガスにて十分に置換を行った後、220℃にて実施した。また、樹脂のMFRは、メルトインデクサー中で、樹脂を230℃で6分間加熱した後、10.9kgで荷重を行い測定した。
【0037】
また、本発明のEVOHからなる樹脂組成物に、本発明の効果を阻害しない範囲で、重合度、エチレン含有率およびケン化度の異なるエチレン−ビニルアルコール共重合体をブレンドし溶融成形することも可能である。また、該樹脂組成物に他の各種可塑剤、安定剤、界面活性剤、色剤、紫外線吸収剤、スリップ剤、帯電防止剤、乾燥剤、架橋剤、金属塩、充填剤、各種繊維等の補強剤等を適量添加することも可能である。
【0038】
また、本発明の効果を阻害しない範囲で、該樹脂組成物以外の熱可塑性樹脂を適量配合することも可能である。熱可塑性樹脂としては各種ポリオレフィン(ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ1−ブテン、ポリ4−メチル−1−ペンテン、エチレン−プロピレン共重合体、エチレンと炭素数4以上のα−オレフィンとの共重合体、ポリオレフィンと無水マレイン酸との共重合体、エチレン−ビニルエステル共重合体、エチレン−アクリル酸エステル共重合体、またはこれらを不飽和カルボン酸またはその誘導体でグラフト変性した変性ポリオレフィンなど)、各種ナイロン(ナイロン−6、ナイロン−6,6、ナイロン−6/6,6共重合体など)、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリエステル、ポリスチレン、ポリアクリロニトリル、ポリウレタン、ポリアセタールおよび変性ポリビニルアルコール樹脂などが用いられる。
【0039】
エチレン−ビニルアルコール共重合体(EVOH)に酢酸(A)、アルカリ金属塩(B)、リン酸化合物(C)および必要に応じてホウ素化合物(D)、アルカリ土類金属塩(E)を含有させる方法は特に限定されない。例えば、上記化合物が溶解している溶液にEVOHを浸漬させる方法、EVOHを溶融させて上記化合物を混合する方法、EVOHを適当な溶媒に溶解させて上記化合物を混合させる方法等がある。
【0040】
なかでも、本発明の効果をより顕著に発揮させるためには、EVOHを上記化合物の溶液に浸漬させる方法が望ましい。この処理は、バッチ方式、連続方式のいずれによる操作でも実施可能である。また、その際EVOHの形状は、粉末、粒状、球状、円柱形チップ状等の任意の形状であってよい。
【0041】
EVOHを酢酸(A)、アルカリ金属塩(B)、リン酸化合物(C)、および必要に応じてホウ素化合物(D)、アルカリ土類金属塩(E)を含む溶液に浸漬する場合、上記溶液中の酢酸(A)、アルカリ金属塩(B)、リン酸化合物(C)、ホウ素化合物(D)の濃度、アルカリ土類金属塩(E)は、特に限定されるものではない。また溶液の溶媒は特に限定されないが、取扱い上の理由等から水溶液であることが好ましい。EVOHを浸漬する際の溶液の重量が、乾燥時のEVOHの重量に対して3倍以上、好ましくは20倍以上であることが望ましい。浸漬時間はエチレン−ビニルアルコール共重合体の形態によってその好適範囲は異なるが、1〜10mm程度のチップの場合には1時間以上、好ましくは2時間以上が望ましい。
【0042】
上記各種化合物の溶液への浸漬処理は、複数の溶液に分けて浸漬してもよく、一度に処理しても構わない。なかでも、酢酸(A)、アルカリ金属塩(B)、リン酸化合物(C)(さらに必要に応じてホウ素化合物(D)およびアルカリ土類金属塩(E))の全てを含む溶液で処理することが、工程の簡素化の点から好ましい。上記のように溶液に浸漬して処理した場合、最後に乾燥し目的とするエチレン−ビニルアルコール共重合体組成物が得られる。
【0043】
得られた本発明のEVOHからなる樹脂組成物は溶融成形によりフィルム、シート、容器、パイプ、繊維等、各種の成形体に成形される。これらの成形物は再使用の目的で粉砕し再度成形することも可能である。また、フィルム、シート、繊維等を一軸または二軸延伸することも可能である。溶融成形法としては押出成形、インフレーション押出、ブロー成形、溶融紡糸、射出成形等が可能である。溶融温度は該共重合体の融点等により異なるが150〜270℃程度が好ましい。
【0044】
本発明のEVOHからなる樹脂組成物は、上述した如く該樹脂組成物のみを単層とする樹脂成形物の製造以外に、本発明の組成物フィルム、シート等の成形物を少なくとも1層とする多層構造体として実用に供せられることが多い。該多層構造体の層構成としては、本発明のEVOHからなる樹脂組成物をE、接着性樹脂をAd、熱可塑性樹脂をTで表わすと、E/Ad/T、T/Ad/E/Ad/T等が挙げられるが、これらに限定されない。それぞれの層は単層であってもよいし、場合によっては多層であってもよい。
【0045】
上記に示す多層構造体を製造する方法は特に限定されない。例えば、本発明の樹脂組成物からなる成形物(フィルム、シート等)に熱可塑性樹脂を溶融押出する方法、本発明の樹脂組成物と他の熱可塑性樹脂とを共押出する方法、熱可塑性樹脂とEVOHからなる樹脂組成物を共射出する方法、更には本発明のEVOHからなる樹脂組成物より得られた成形物と他の基材のフイルム、シートとを有機チタン化合物、イソシアネート化合物、ポリエステル系化合物等の公知の接着剤を用いてラミネートする方法等が挙げられ、中でも他の熱可塑性樹脂とを共押出する方法が好ましく用いられる。本発明のEVOHからなる樹脂組成物は層間接着性に非常に優れるため、共押出成形用樹脂組成物、およびそれを用いた共押出多層構造体に好適である。
【0046】
用いられる熱可塑性樹脂としては、直鎖状低密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−プロピレン共重合体、ポリプロピレン、プロピレン−α−オレフィン共重合体(炭素数4〜20のα−オレフィン)、ポリブテン、ポリペンテン等のオレフィンの単独またはその共重合体、ポリエチレンテレフタレート等のポリエステル、ポリエステルエラストマー、ナイロン−6、ナイロン−6,6等のポリアミド樹脂、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、アクリル系樹脂、ビニルエステル系樹脂、ポリウレタンエラストマー、ポリカーボネート、塩素化ポリエチレン、塩素化ポリプロピレンなどが挙げられる。上記の中でも、ポリプロピレン、ポリエチレン、エチレン−プロピレン共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、ポリアミド、ポリスチレン、ポリエステルが好ましく用いられる。
【0047】
本発明のEVOHからなる樹脂組成物と熱可塑性樹脂とを積層するに際し、接着性樹脂を使用する場合があり、この場合の接着性樹脂としてはカルボン酸変性ポリオレフィンからなる接着性樹脂が好ましい。カルボン酸変性ポリオレフィンとは、オレフィン系重合体にエチレン性不飽和カルボン酸またはその無水物を化学的(たとえば付加反応、グラフト反応により)結合させて得られるカルボキシル基を含有する変性オレフィン系重合体が好適である。ここでオレフィン系重合体とはポリエチレン(低圧、中圧、高圧)、直鎖状低密度ポリエチレン、ポリプロピレン、ボリブテンなどのポリオレフィン、オレフィンと該オレフィンとを共重合し得るコモノマー(ビニルエステル、不飽和カルボン酸エステルなど)との共重合体、たとえばエチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−アクリル酸エチルエステル共重合体などを意味する。このうち直鎖状低密度ポリエチレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体(酢酸ビニルの含有量5〜55重量%)、エチレン−アクリル酸エチルエステル共重合体(アクリル酸エチルエステルの含有量8〜35重量%)が好適であり、直鎖状低密度ポリエチレン及びエチレン−酢酸ビニル共重合体が特に好適である。エチレン性不飽和カルボン酸またはその無水物とはエチレン性不飽和モノカルボン酸、そのエステル、エチレン性不飽和ジカルボン酸、そのモノまたはジエステル、その無水物があげられ、このうちエチレン性不飽和ジカルボン酸無水物が好適である。具体的にはマレイン酸、フマル酸、イタコン酸、無水マレイン酸、無水イタコン酸、マレイン酸モノメチルエステル、マレイン酸モノエチルエステル、マレイン酸ジエチルエステル、フマル酸モノメチルエステルなどが挙げられ、なかんずく、無水マレイン酸が好適である。
【0048】
エチレン性不飽和カルボン酸またはその無水物のオレフィン系重合体への付加量またはグラフト量(変性度)はオレフィン系重合体に対し0.0001〜15重量%、好ましくは0.001〜10重量%である。エチレン性不飽和カルボン酸またはその無水物のオレフィン系重合体への付加反応、グラフト反応は、たとえば溶媒(キシレンなど)、触媒(過酸化物など)の存在下でラジカル重合法などにより得られる。このようにして得られたカルボン酸変性ポリオレフィンの190℃で測定したメルトフローレート(MFR)は0.2〜30g/10分であることが好ましく、より好ましくは0.5〜10g/10 分である。これらの接着性樹脂は単独で用いてもよいし、また二層以上を混合して用いることもできる。
【0049】
これらのような接着性樹脂の中でも、今まではEVOHとの接着性が不充分であり、EVOHとの多層構造体、特に共押出多層構造体に用いることの出来なかったナイロン用接着性樹脂をEVOHとの多層構造体に用いることが出来るようになった観点からも、本発明の意義は大きいと言える。かかるEVOHからなる樹脂組成物が開発されたことにより、EVOHとの共押出成形に用いることのできる接着性樹脂の選択肢が拡大された。また、本発明のEVOHからなる樹脂組成物は、もちろん従来のEVOH用接着性樹脂と極めて高い接着能を示すため、成形物の性能を阻害しない範囲で、従来よりも接着性樹脂層の厚みを減らすことも可能であり、かかる観点からも本発明の意義は大きい。
【0050】
本発明の組成物と熱可塑性樹脂との共押出の方法は、マルチマニホールド合流方式Tダイ法、フィードプロック合流方式Tダイ法、インフレーション法のいずれでもよい。
【0051】
このようにして得られた共押出多層構造体を二次加工することにより、各種成形品(フィルム、シート、チューブ、ボトルなど)を得ることができ、たとえば以下のようなものが挙げられる。
(1)多層構造体(シート又はフィルムなど)を一軸または二軸方向に延伸、又は二軸方向に延伸、熱処理することによる多層共延伸シート又はフィルム
(2)多層構造体(シート又はフィルムなど)を圧延することによる多層圧延シート又はフィルム
(3)多層構造体(シート又はフィルムなど)真空成形、圧空成形、真空圧空成形、等熱成形加工することによる多層トレーカップ状容器
(4)多層構造体(パイプなど)からのストレッチブロー成形等によるボトル、カップ状容器
このような二次加工法には特に制限はなく、上記以外の公知の二次加工法(ブロー成形など)も採用できる。
【0052】
このようにして得られた共押出多層構造体、共射出多層構造体はフィッシュアイが少なく、透明で、スジが少ないので、食品容器の材料、たとえば深絞り容器、カップ状容器、ボトル等の材料として好適に用いられる。
【0053】
【実施例】
以下、実施例によりを本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこの実施例に限定されるものではない。以下「%」、「部」とあるのは特に断わりのない限り重量基準である。尚、水はすべてイオン交換水を使用した。
【0054】
(1)酢酸(A)の含有量の定量
試料とする乾燥チップ20gをイオン交換水100mlに投入し、95℃で6時間加熱抽出した。抽出液にフェノールフタレインを指示薬としてN/50のNaOHで中和滴定し、酢酸(A)の含有量を定量した。
【0055】
(2)アルカリ金属塩(B)およびアルカリ土類金属塩(E)の定量(Na、K、Mgイオンの定量)
試料とする乾燥チップ10gを0.01規定の塩酸水溶液50mlに投入し、95℃で6時間撹拌した。撹拌後の水溶液をイオンクロマトグラフィーを用いて定量分析し、Naイオン、Kイオン、Mgイオンの量を定量した。カラムは、(株)横河電機製のICS−C25を使用し、溶離液は5.0mMの酒石酸と1.0mMの2,6−ピリジンジカルボン酸を含む水溶液とした。なお、定量に際してはそれぞれ塩化ナトリウム水溶液、塩化カリウム水溶液および塩化マグネシウム水溶液で作成した検量線を用いた。こうして得られたNaイオン、Kイオン、Mgイオンの量から、乾燥チップ中のアルカリ金属塩(B)およびアルカリ土類金属塩(E)の量を金属元素換算の量で得た。
【0056】
(3)リン酸化合物(C)の定量
試料とする乾燥チップ10gを0.01規定の塩酸水溶液50mlに投入し、95℃で6時間撹拌した。撹拌後の水溶液をイオンクロマトグラフィーを用いて定量分析し、リン酸イオンの量を定量した。カラムは、(株)横河電機製のICS−A23を使用し、溶離液は2.5mMの炭酸ナトリウムと1.0mMの炭酸水素ナトリウムを含む水溶液とした。なお、定量に際してはリン酸二水素ナトリウム水溶液で作成した検量線を用いた。こうして得られたリン酸イオンの量から、リン酸化合物(C)の含有量をリン酸根換算で得た。
【0057】
(4)ホウ素化合物(D)の定量
試料とする乾燥チップ100gを磁性ルツボに入れ、電気炉内で灰化させた。得られた灰分を0.01規定の硝酸水溶液200mLに溶解し、原子吸光分析によって定量し、ホウ素元素換算の量でホウ素化合物(D)の含有量を得た。
【0058】
(5)接着性
共押出成形によって得られた3種5層フィルムの製膜直後のエチレン−ビニルアルコール共重合体/接着性樹脂間のT型剥離強度を20℃―65%RH条件下、オートグラフ(引張速度250mm/min)を用いて測定した。剥離強度の値によって以下のように判定した。
A;1000g/15mm以上 B;1000〜700g/15mm
C;700〜400g/15mm D;400g/15mm未満
【0059】
(6)単層製膜試験
(6−a)ブツ発生
試料チップを用いてEVOHの単層製膜を実施し、1時間後のフィルムのゲル状ブツ(肉眼で確認できる約100μm以上のもの)を数え、1.0m2あたりに換算した。ブツの個数によって以下のように判定した。
A;20個未満 B;20〜40個 C;40〜60個 D;60個以上
(6−b)ロングラン性
試料チップを用いてEVOHの単層製膜を実施し8時間後のフィルムのゲル状ブツ(肉眼で確認できる約100μm以上のもの)を数え、1.0m2あたりに換算した。ブツの個数によって以下のように判定した。
A;20個未満 B;20〜40個 C;40〜60個 D;60個以上
(6−c)ダイ内付着量
試料チップを用いてEVOHの単層製膜を8時間実施後、MI=1のLDPEで押出機内のEVOH樹脂を1時間かけて置換した後、ダイ内部に付着したEVOH熱劣化樹脂の重量を測定した。その重量により以下の様に判定した。
A;1g未満 B;1〜5g C;5〜10g D;10g以上
【0060】
(7)耐着色性
試料とする乾燥チップ8gを230℃に加熱した熱板(シンドー式卓上テストプレスYS−5)の間にはさみ、熱板間の間隙を5mmに保って10分間加熱し、着色度を肉眼で判定し以下のように判定した。
A;着色なし B;やや黄変 C;黄変 D;激しい着色
【0061】
(8)回収性
製膜したEVOH単層フィルム(製膜開始後2時間までの製膜品)を粉砕し、溶融して再びペレット化を行い(ペレット化温度は220℃)、該ペレットを用いて再度、単層製膜を実施した。
(8−a)耐着色性
フィルムを紙管に巻き取り、フィルム端面の着色度を肉眼で判定し以下のように判定した。
A;着色なし B;やや黄変 C;黄変 D;激しい着色
(8−b)ブツ発生
単層製膜を実施し1時間後のフィルムのゲル状ブツ(肉眼で確認できる約100μm以上のもの)を数え、1.0m2あたりに換算した。ブツの個数によって以下のように判定した。
A;20個未満 B;20〜40個 C;40〜60個 D;60個以上
【0062】
(9)固有粘度
EVOHからなる樹脂組成物の試料チップ0.20gを精秤し、これを含水フェノール(水/フェノール=15/85wt%)40mlに60℃にて3〜4時間加熱溶解させ、温度30℃にて、オストワルド型粘度計にて測定し(t0=90秒)、下式により固有(極限)粘度[η]を求めた。
[η]=(2×(ηsp−lnηrel))1/2/C (l/g)
ηsp= t/ t0−1 (specific viscosity)
ηrel= t/ t0 (relative viscosity)
C ;EVOH濃度(g/l)
・t0:ブランク(含水フェノール)が粘度計を通過する時間
・t:サンプルを溶解させた含水フェノール溶液が粘度計を通過する時間
【0063】
実施例1
エチレン含有量38モル%のエチレン−酢酸ビニル共重合体の45%メタノール溶液をケン化反応器に仕込み、苛性ソーダ/メタノール溶液(80g/L)を共重合体中の酢酸ビニル成分に対し、0.4当量となるように添加し、メタノールを添加して共重合体濃度が20%になるように調整した。60℃に昇温し反応器内に窒素ガスを吹き込みながら約4時間反応させた。4時間後、酢酸で中和し反応を停止させ、円形の開口部を有する金板から水中に押し出して析出させ、切断することで直径約3mm、長さ約5mmのチップを得た。得られたチップは遠心分離機で脱液しさらに大量の水を加え脱液する操作を繰り返した。
【0064】
こうして得られたエチレン−ビニルアルコール共重合体の含水チップ3.5kgを、酢酸0.20g/L、酢酸ナトリウム1.32g/L、リン酸二水素カリウム0.14g/L、ホウ酸0.35g/Lを含有する水溶液13Lに25℃で6時間浸漬した。浸漬後脱液し、80℃で3時間、引き続いて107℃で24時間熱風乾燥機を用いて乾燥を行い、乾燥チップを得た。
【0065】
得られた乾燥チップ中の酢酸の含有量は90ppm、アルカリ金属塩の含有量は金属元素換算で550ppm、リン酸化合物(C)の含有量はリン酸根換算で80ppmであり、ホウ素化合物(D)の含有量はホウ素元素換算で280ppmだった。また、得られたチップのMFRは2.1g/10minであった。
【0066】
得られた乾燥チップを用い、LLDPE/接着性樹脂/エチレン−ビニルアルコール共重合体組成物/接着性樹脂/LLDPEの3種5層共押出フィルム(厚み50/10/10/10/50:単位はμm)を成形した。
ここでLLDPEとして、三井化学製「ウルトゼックス3520L」{MI=2.1g/10分(210℃、2160g荷重)}を、接着性樹脂として無水マレイン酸変性ポリエチレンである三井化学製「アドマーNF308」{MI=1.7g/10分(190℃、2160g荷重)、ナイロン用接着性樹脂}を用いた。
エチレン−ビニルアルコール共重合体組成物、LLDPE、接着性樹脂の押出温度はそれぞれ220℃、170℃、170℃で、ダイ温度は220℃に設定した。
各樹脂の押出機、Tダイ仕様は以下の通りである。
LLDPE;32φ押出機 GT−32−A型(プラスチック工学研究所製)
接着性樹脂;25φ押出機 P25−18AC(大阪精機製)
EVOH ;20φ押出機 ラボ機ME型CO−EXT(東洋精機製)
Tダイ ;300mm幅3種5層用 (プラスチック工学研究所製)
又、冷却ロールの温度は50℃に、引き取り速度は4m/min.に設定した。
製膜直後のエチレン−ビニルアルコール共重合体組成物/接着性樹脂間の接着性はA判定であった。
【0067】
得られた乾燥チップを用い、EVOHの単層製膜を行い、ブツ発生、ロングラン性、およびダイ付着量の試験を実施した。 EVOHの単層製膜に用いたスクリューのL/D比は20、圧縮比は4.0であった。
本試験に用いた押出機及びTダイ仕様は下記の通りである。
押出機;一軸押出機 D20/20(東洋精機製)
Tダイ;300mm幅 ストレートハンガータイプ(東洋精機製)
押出温度;C1/C2/C3/ダイ=180/220/220/220℃
ブツ発生及びロングラン性の試験結果は共にA判定であり、ダイ付着量の試験結果はB判定であった。
【0068】
得られた乾燥チップを用い、上記の方法で耐着色性の試験を行った。耐着色性の試験結果は、A判定だった。
【0069】
単層製膜試験で得られたフィルム(製膜開始後2時間までの製膜品)を用いて、上記の方法で回収性((a)耐着色性および(b)ブツ発生)の試験を行った。試験結果は、 (a)耐着色性および(b)ブツ発生のいずれの評価項目においても、回収性はA判定だった。
【0070】
実施例2〜5、比較例1〜7
ケン化、洗浄、脱液後のEVOHとして、表2に記載の固有粘度のEVOHを用い、該EVOHを浸漬する液の組成を表1にまとめて示すように変更することを除いては、実施例1と同様にして乾燥チップを作成した。乾燥チップの組成を表2に、評価結果を表3に示す。
【0071】
【表1】
Figure 0004647065
【0072】
【表2】
Figure 0004647065
【0073】
【表3】
Figure 0004647065
【0074】
実施例1〜5で得られた本発明のEVOHからなる樹脂組成物は、接着性に非常に優れ、且つゲル・ブツの発生が少なく、ロングラン性に優れ、回収性が良好で回収時の着色が少ないものであった。リン酸化合物(C)の含有量がリン酸根換算で10ppm未満の比較例1および2では、耐着色性および回収性が著しく悪かった。ホウ素化合物(D)を含有し、かつアルカリ金属(B)の含有量が金属元素換算で500ppm以下の比較例3では充分な接着性を得ることが出来なかった。ホウ素化合物(D)を含有せず、かつアルカリ金属(B)の含有量が金属元素換算で500ppm未満の比較例4では本発明の主眼である接着性の改善効果がやや劣り、ブツ発生、ロングラン性、ダイ付着量の評価項目のいずれにおいても、やや劣るものだった。アルカリ金属(B)の含有量が金属元素換算で2000ppmを超える比較例5では、耐着色性および回収性が著しく低下し、ロングラン性も不満足なものであった。また、酢酸含有量が500ppmを超える比較例6ではブツ発生、ロングラン性、ダイ付着量など、殆どの評価項目で著しい悪化が見られ、接着性も激しく低下した。さらに、酢酸含有量が10ppm未満の比較例7では、耐着色性および回収性に劣った。
【0075】
【発明の効果】
接着性に非常に優れ、且つゲル・ブツの発生が少なく、ロングラン性に優れ、回収性が良好で回収時の着色が少ないエチレン−ビニルアルコール共重合体からなる樹脂組成物およびそれを用いた多層構造体を提供することができる。かかる樹脂組成物は層間接着性に極めて優れており、ポリオレフィン等の基材との共押出成形に極めて有効である。

Claims (5)

  1. 酢酸(A)を10〜500ppm、アルカリ金属塩(B)を金属元素換算で500〜000ppm、リン酸化合物(C)をリン酸根換算で10〜300ppm含有する、エチレン含有量が20〜6モル%のエチレン−ビニルアルコール共重合体からなる樹脂組成物。
  2. ホウ素化合物(D)をホウ素元素換算で20〜000ppm含有する請求項1記載の樹脂組成物。
  3. アルカリ金属塩(B)の含有量(金属元素換算:ppm)が、酢酸(A)の含有量(ppm)の3〜20倍である請求項1または2に記載の樹脂組成物。
  4. 請求項1〜3のいずれかに記載の樹脂組成物からなる共押出成形用樹脂組成物。
  5. 請求項1〜3のいずれかに記載の樹脂組成物からなる層を少なくとも1層含む多層構造体。
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