JP3737547B2 - 熱可塑性樹脂組成物及びその用途 - Google Patents

熱可塑性樹脂組成物及びその用途 Download PDF

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Description

【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は、ガスバリヤー性、耐衝撃性、耐ピンホール性、延伸性、絞り性、透明性等に優れた熱可塑性樹脂組成物及びその用途に関する。
【0002】
【従来の技術及びその問題点】
ビニルアルコール含有量の高いエチレン・ビニルアルコール共重合体は、透明性、ガスバリヤー性等に優れているところから、食品包装材料として広く使用されている。しかしながら該共重合体は、柔軟性、加工性、延展性等に乏しいため、単層フィルムとして使用されることは少ない。例えばこの共重合体をインフレーション法によりフィルム成形する場合、ピンチロール前後で縦しわが入りやすく、満足すべき製品を得るための成形条件の許容範囲が狭いという欠点がある。またフィルムに繰り返し折り曲げ等の変形を受けた場合、ピンポールを生じやすいという欠点も有している。このような欠点は、柔軟性、加工性に優れたエチレン重合体等を配合することによって改善できるが、多くの場合、エチレン・ビニルアルコール共重合体が有する透明性を大きく損なう結果となり、広く採用されるまでには至っていない。
【0003】
例えば特開昭49−107351号公報には、エチレン・ビニルアルコール共重合体にアイオノマーを配合することにより柔軟性が改良されることが開示されている。そしてこの提案の目的は、該共重合体のポリオレフィンへの接着性の改良にあるため、さらに相当量のポリアミドを配合する技術を開示している。この提案では、透明性に関する配慮は全くなされておらず、またアイオノマーの組成についても全く言及されていない。
【0004】
同様にポリオレフィンとの接着性に着目した発明が、特開昭50−103582号公報に開示されており、先の提案よりもポリアミドの配合量が少ない以外は同様の組成物とポリオレフィンとの積層容器を開示している。同様に透明性に関する配慮は全くなされておらず、またアイオノマーについても、亜鉛アイオノマーやナトリウムアイオノマーが使用可能としているものの、その詳細についての開示はされていない。具体的にはサーリン1652を使用した例が示されているにすぎない。
【0005】
本発明者らの検討によれば、エチレン・ビニルアルコール共重合体にアイオノマーを配合すれば、柔軟性、加工性は改良されるが透明性が著しく損なわれること、また特開昭50−103582号公報の具体例として示されているように、エチレン・ビニルアルコール共重合体にサーリン1652とポリアミドを配合した系においても、柔軟性、加工性は改良されるが、透明性が著しく損なわれることを知った。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
そこで、本発明者らは、エチレン・ビニルアルコール共重合体の上記欠点を改善し、しかも透明性をそれ程損なうことのない処方について鋭意検討を行った。その結果、不飽和カルボン酸含有量の高いエチレン・不飽和カルボン酸共重合体のアイオノマーとポリアミドを所定量配合したときに、透明性をそれ程犠牲にすることなく柔軟性、加工性、耐衝撃性、引き裂き強度、耐ピンホール性等の改善が達成できることを知った。
【0007】
したがって、本発明の目的は、エチレン・ビニルアルコール共重合体の透明性をそれ程損なうことなく、その欠点を改善することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明は、エチレン・ビニルアルコール共重合体50〜85重量部、不飽和カルボン酸含有量が5.3〜12モル%のエチレン・不飽和カルボン酸共重合体のアイオノマー10〜40重量部及びポリアミド1〜25重量部からなる熱可塑性樹脂組成物に関する。
【0009】
【作用】
本発明では、アイオノマーの内でも、不飽和カルボン酸含有量の比較的高いアイオノマー、即ち不飽和カルボン酸含有量が5.3〜12モル%のエチレン・不飽和カルボン酸共重合体を選択し、これをポリアミドとの組合せでエチレン・ビニルアルコール共重合体に配合することが顕著な特徴である。
【0010】
即ち、上記成分の配合により、エチレン・ビニルアルコール共重合体の透明性をあまり低下させることなく、柔軟性、耐衝撃性、加工性等を改善することができる。
【0011】
本発明で用いるアイオノマーは、不飽和カルボン酸含有量が5.3〜12モル%の範囲内にあることが、優れた透明性を維持し、耐衝撃性を向上させる上で特に重要である。
不飽和カルボン酸含有量が上記範囲よりも低いと、透明性や耐衝撃性が低下する傾向があり(後述する比較例1,2及び比較例10参照)、また不飽和カルボン酸含有量があまり高くなるとやはり耐衝撃性が低下する傾向がある。
【0012】
一方、本発明で用いるポリアミドは、エチレン・ビニルアルコール共重合体とアイオノマーとを相溶化させるための成分であり、アイオノマーとポリアミドとの組み合わせにより、透明性等の光学的性質をあまり低下させることなく、柔軟性、耐衝撃性、加工性等を向上させることができる。
【0013】
即ち、エチレン・ビニルアルコール共重合体にアイオノマー単独を配合した場合(後述する比較例6参照)には、未配号のものに比して、透明性や耐衝撃性の低下が大きく、また、ポリアミド単独を配合した場合(後述する比較例7参照)には、耐衝撃性や加工性も殆ど改善されないが、両者を組み合わせで配合することにより(後述する実施例1〜参照)、透明性を大きく低下させずに機械的特性や加工性の顕著な改善が可能となるのである。
【0014】
本発明では、エチレン・ビニルアルコール共重合体を50〜85重量部、アイオノマーを10〜40重量部及びポリアミドを1〜25重量部の量で用いることも重要であり、アイオノマーの使用量が上記範囲よりも少ない場合(後述する比較例3参照)には、耐衝撃性や加工性の改善が不十分であり、一方上記範囲よりも多い場合(後述する比較例4参照)には耐気体透過性が低下する。
また、ポリアミドの使用量が上記範囲よりも少ない場合(後述する比較例6参照)には、耐衝撃性が低下し、一方上記範囲よりも多い場合(後述する比較例5参照)には組成物の加工が困難となる外、熱安定性が悪くなると云う欠点が生ずる。
【0015】
本発明によれば、以上のように、エチレン・ビニルアルコール共重合体に特定のアイオノマーとポリアミドを所定量配合することにより、該共重合体の有する優れたガスバリヤー性、透明性等をそれ程犠牲にしないで、耐衝撃性、柔軟性、加工性、耐ピンホール性、深絞り性等を改善することができる。
【0016】
【発明の好適態様】
本発明で用いるエチレン・ビニルアルコール共重合体は、ビニルアルコール含有量を40〜85モル%、好ましくは50〜75モル%の割合で含有するものであり、他の単量体は10モル%以下程度であれば含有されていてもよい。かかる共重合体を得る最善の方法は、酢酸ビニル含有量が40〜85モル%、好ましくは50〜75モル%のエチレン・酢酸ビニル共重合体を95%以上、好ましくは98%以上のケン化度となるようにケン化を行う方法である。共重合体中のビニルアルコール含有量が前記範囲より多くなると、耐熱性、加工性が悪くなり、また前記範囲より少なくなるとガスバリヤー性が低下するので好ましくない。エチレン・ビニルアルコール共重合体としてはまた、210℃、2160g荷重におけるメルトフローレートが0.5〜50g/10分、とくに1〜20g/10分のものを用いるのが好ましい。
【0017】
本発明で用いるアイオノマーは、組成物の透明性を考慮すると、ベースとなるエチレン・不飽和カルボン酸共重合体の不飽和カルボン酸含有量が5.3〜12モル%、好ましくは6〜10モル%の範囲内にあるものである。
不飽和カルボン酸含有量が上記範囲より少ないものを用いた場合には、透明性に優れた組成物を得ることは難しい。
不飽和カルボン酸含有量が高いものを用いるほど組成物の透明性は向上する傾向にあるが、耐衝撃性が若干低下する場合があるので、上記のような酸含有量のものを用いるのが好ましい。
このような共重合体中には、12モル%以下、好ましくは8モル%以下程度の他の単量体が共重合されたものであってもよい。
このような共重合体は、高温、高圧下、エチレン、不飽和カルボン酸、あるいはさらに必要に応じ用いられる他の単量体をラジカル共重合することによって得ることができる。
【0018】
不飽和カルボン酸としては、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、エタクリル酸、マレイン酸、マレイン酸モノメチル、マレイン酸モノエチル、無水マレイン酸などであり、とくにアクリル酸もしくはメタアクリル酸が好ましい。また共重合体に含有されていてもよい他の単量体としては、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニルのようなビニルエステル、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸イソプロピル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸nブチル、アクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸イソブチル、マレイン酸ジエチルのような不飽和カルボン酸エステル、一酸化炭素などである。
【0019】
アイオノマーにおける金属イオンとしては、リチウム、ナトリウム、カリウムなどのアルカリ金属、亜鉛、マグネシウム、カルシウムなどのアルカリ土類金属であり、とくに亜鉛を用いた場合には、透明性と耐衝撃性のバランスがよく好ましい。アイオノマーにおける中和の程度は、5〜100%、好ましくは10〜90、一層好ましくは30〜70%の範囲が望ましい。
【0020】
アイオノマーとしてはまた、190℃、2160g荷重におけるメルトフローレートが、0.05〜50g/10分、とくに0.5〜5g/10分のものを使用するのがよい。
【0021】
本発明で用いるポリアミドとしては、例えばナイロン6、ナイロン66、ナイロン610、ナイロン612、ナイロン11、ナイロン12、ナイロン6・66共重合体、ナイロン6・12共重合体、ナイロン66・12共重合体、ナイロン6・610共重合体、ナイロン66・610共重合体、ナイロン6・6Tなどを例示することができる。これらはフィルム成形可能な程度の分子量を有していればよい。これらの中では、融点(DSC法)が240℃以下、とくに230℃以下のものを用いるのが好ましい。すなわちポリアミドの融点が高くなりすぎると、成形温度を高くすることが必要となり、その結果、組成物の熱劣化を増長する可能性が高まる。コポリアミドの使用は融点を下げて熱安定性を向上させる上で有利である。
【0022】
本発明においては、エチレン・ビニルアルコール共重合体、アイオノマー及びポリアミドの合計量を100重量部としたときに、エチレン・ビニルアルコール共重合体が、50〜85重量部、好ましくは60〜80重量部、アイオノマーが、10〜40重量部、好ましくは15〜35重量部、ポリアミドが1〜25重量部、好ましくは3〜15重量部で存在するのがよい。アイオノマーの使用割合が上記範囲より少なくなると、柔軟性、耐ピンポール性の改良効果が小さく、一方その配合量が上記範囲より多くなると、ガスバリヤー性の低下が無視できなくなるので好ましくない。ポリアミドは、エチレン・ビニルアルコール共重合体とアイオノマーの相容化剤として働き、透明性低下を最少に抑えるものであるが、あまり多量に用いると組成物の成形性を損なうことになるので、25重量部以下とされる。
【0023】
本発明の組成物には、必要に応じ各種添加剤を配合することができる。このような添加剤の例としては、酸化防止剤、熱安定剤、耐候安定剤、帯電防止剤、滑剤、ブロッキング防止剤などを挙げることができる。本発明の組成物にはまた、性質を損なわない範囲内において、他の重合体を配合することもできる。
【0024】
本発明の組成物は、通常の溶融混練装置により各成分を溶融混練することにより容易に得ることができる。本発明の組成物の成形品を得るには、各成分をドライブレンドし、溶融混練して直接成形することができる。しかしながら混練不足の場合には、透明性、その他物性が損なわれることがあるので、予め組成物を溶融混練してペレット状にしておき、これを各種成形に用いれば安定した性状の成形品を得ることができるので好ましい。
【0025】
本発明の組成物は、前述した特性を活かして各種包装材料に使用することができる。このような包装材料は、フィルム(未延伸フィルム、シュリンクフィルム、その他)、シート、カップ、トレイ、ボトル、チューブ、缶、紙カートン、バッグインボックスなどの形で使用することができる。これらの成形品は周知の成形方法、例えば押出成形、射出成形、中空成形、圧空成形などの成形方法により、容易に製造することができる。これらの成形温度は、使用原料によっても異なるが、通常、190〜240℃、特に200〜230℃の範囲が好ましい。
【0026】
かかる成形品においては、本発明の組成物のみで構成されていてもよく、また他の各種基材と2層以上の多層構成になっていてもよい。積層しうる他の基材としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ−1−ブテン、ポリ−4−メチル−1−ペンテンのようなポリオレフィン類、エチレン・酢酸ビニル共重合体、エチレン・(メタ)アクリル酸エステル共重合体、エチレン・(メタ)アクリル酸共重合体もしくはそのアイオノマー、エチレン・(メタ)アクリル酸・(メタ)アクリル酸エステル共重合体もしくはそのアイオノマー、エチレン・(メタ)アクリル酸エステル・無水マレイン酸共重合体のようなエチレン共重合体類、ポリアミド、ポリエステル、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリスチレン、紙、アルミニウム箔、アルミ蒸着フィルムなどを例示することができる。これらの中では、上記ポリオレフィン類やエチレン共重合体類などのオレフィン重合体を少なくとも1層とする基材との積層包装材料が、とくに有用である。オレフィン重合体の積層に際し、オレフィン重合体の一部または全部を予め無水マレイン酸のような接着性付与のモノマーでグラフト変性させておいてもよく、またこのようなグラフト変性オレフィン重合体を接着層に用いて未変性のオレフィン重合体を積層させてもよい。本発明の樹脂組成物を中間層とし、オレフィン系樹脂等の低吸湿性樹脂の内層及び外層でこれをサンドイッチさせると、中間層の吸湿による悪影響(ガスバリアー性の吸湿による低下等)が抑止されるので有利である。
【0027】
より具体的には、本発明の組成物をC、上記オレフィン重合体をPO、変性オレフィン重合体を変性PO、ポリアミドをPA、ポリエチレンテレフタレートをPET、ポリスチレンをPS、ポリ塩化ビニルをPVCとそれぞれ表示するときに、PO/C、PO/変性PO/C、PO/C/PO、PO/変性PO/C/変性PO/PO、PET/C/PET、PS/C/PS、PO/PA/C、PO/C/PA/PO、PO/紙/PO/C/POのごとき積層構成することができる。
【0028】
【実施例】
以下、本発明を実施例により説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
【0029】
まず、本発明での樹脂組成物調製方法、フィルム加工方法、フィルム物性評価方法について以下に説明する。
【0030】
(1)樹脂組成物調製方法
表1,2に記載した各組成樹脂を表3記載の組成比に従いブレンドした。そのブレンド方法としては、各樹脂ペレットを常温度下、固体状態のままブレンダー等により均一に混ぜ合わせる方法(以下、ドライブレンドと称する)、または各樹脂を一軸スクリュー混練機を用いて加熱混練混合しながら押出し、ペレット化する方法(以下、メルトブレンドと称する)をとった。尚、上記メルトブレンドの際の樹脂押出条件は下記のとおりである。
押出機口径:40mmφ,樹脂温度:230℃,樹脂押出量:10kg/hr
【0031】
(2)フィルム加工方法
上記(1)の方法によってブレンドした各組成物を押出機口径30mmまたは50mmのインフレーションフィルム加工法によって作成した。尚、インフレーション加工は下記の条件で行った。
Figure 0003737547
【0032】
(3)フィルム物性評価方法
前記(2)の方法によって作成したフィルムを用いて、下記諸物性を各々の方法、規格に従い測定した。尚、下記評価はすべて23℃、50%相対温度雰囲気条件下で行っており、各測定結果は表3にまとめて記載した。
Figure 0003737547
【0033】
実施例1、比較例8
実施例1では、表1、2に示す各種アイオノマー、EVOH、ポリアミドをそれぞれ重量で21%、70%、9%の組成比で、(1)の樹脂組成物調製方法に記載のメルトブレンド法によって調製した組成物を、(2)のフィルム加工方法(加工機−1条件)に従いフィルムを作成した。そのものの光学性(ヘイズ、グロス、トランス)、酸素透過度、フィルムインパクト、真空深絞り加工性、モデュラスについて、(3)のフィルム物性評価方法に従って測定した。一方、比較例8では、表2に示したEVOH樹脂単身を上記実施例1と同一の方法で評価した。得られた結果を表3に示す。
その結果、実施例1の樹脂組成フィルムは、比較例8のEVOH単身フィルムとほぼ同一の光学性及び酸素透過度を示しつつ、フィルムインパクト、真空深絞り加工性、モデュラス(柔軟性)に於いて大幅な改良効果が認められた。
【0034】
実施例3、5、比較例1、2及び10
組成アイオノマー種類を表3に示したように変えた他はすべて上記実施例1と同一の方法によって評価した。
実施例3,5では、実施例1と同様の各改良効果がみられる一方で、比較例1,2及び10では、フィルム光学性が悪く、比較例1,2では、更にフィルムインパクトが悪かった
【0035】
実施例2,4
各樹脂組成物をドライブレンド法によって調製した以外は、実施例2は実施例1に、実施例4は実施例3に全く同じである。フィルムインパクト、酸素透過度、真空深絞り加工性、モデュラスは実施例1と同様な改良効果がみられるが、光学性がメルトブレンド法で調製したものと比較してやや悪い傾向にある。
【0036】
実施例6
各樹脂組成比を表3の通り変更した他はすべて実施例1と同一である。
【0037】
【表1】
Figure 0003737547
【0038】
【表2】
Figure 0003737547
【0039】
比較例3〜5
各樹脂組成比を表3記載の様に変更し、実施例1と同一の評価を実施した。
EVOHに対し、アイオノマー及びポリアミド組成量(合計)が少な過ぎると、比較例3のごとく溶融延伸性及びフィルムインパクトが低下し、それとは逆にアイオノマー及びポリアミド組成量が多くなってくると、比較例4のごとく酸素透過度が大幅に増加してしまい、さらにポリアミド量が多くなると比較例5のごとくフィルム成形性が低下と加工不能状態になり、何れも好ましくない結果となった。
【0040】
比較例6
ポリアミドを組成樹脂から除外し、EVOHとアイオノマーの2成分組成物とした。その結果、光学性及びフィルムインパクトが大幅に低下し、好ましくない結果となった。
【0041】
比較例7
アイオノマーを組成樹脂から除外し、EVOHとポリアミドの2者組成物とした。その結果、フィルムインパクトが低下、真空深絞り加工性が不能、モデュラスがEVOHよりも増加した。
【0042】
実施例7
実施例1と全く同一の樹脂組成物を、押出機口径50mmのインフレーション加工機を使用し、(2)フィルム加工方法(加工機ー2)に従い、フィルムを作成した。
押出機スケールが大きくなってもフィルム諸物性は実施例1と同一のレベルを示し、良好なインフレーションフィルム加工性及び物性が認められた。
【0043】
実施例8
実施例2と全く同一の樹脂組成物を、実施例7のフィルム加工方法と同一の方法で行った。
押出機スケールが大きくなってもフィルム諸物性は実施例2と同一のレベルを示し、良好なインフレーションフィルム加工性が認められた。
【0044】
比較例9
比較用として、表2記載のEVOH樹脂を実施例7と同一のフィルム加工法で作成しフィルム諸物性を評価した。
【0045】
尚、実施例7,8及び比較例9では、タイピンホール性の測定を、(3)フィルム物性評価方法欄記載の方法に従って実施した。
その結果、比較例9と比較し、実施例7,8ではピンホール発生屈曲回数が大幅に増加し、耐ピンホール性の改良効果が確認された。
【0046】
【表3】
Figure 0003737547
【0047】
実施例9
実施例1のナイロンを6−Nyから6,12−Ny(UBE)に変更した以外は、実施例1と同様にして樹脂組成フィルムを作成した。
ここでは、6−Nyよりも低融点の6,12−Ny(UBE)を用いることにより、押出機の樹脂圧やモーター負荷を殆ど増加させることなく、メルトブレンドとフィルム加工時に於ける樹脂温度を230℃から210℃に下げることが出来た。
これは、樹脂組成物成形時の長期運転に於ける熱劣化や熱架橋を低減させるのに効果的である。
作成したフィルムの光学性、酸素透過度、フィルムインパクト、耐ピンホール性、真空深絞り加工性について、(3)フィルム物性評価方法に従って測定した。
結果は、表4に示すように、比較例8のEVOH単味フィルムとほぼ同一の酸素透過度を示しつつ、フィルムインパクト、耐ピンホール性、真空深絞り加工性において大幅な改良効果が認められた。
【0048】
【表4】
Figure 0003737547
【0049】
実施例10
実施例1のナイロンを6−Nyから6,12−Ny(EMS)に変更した以外は、実施例1と同様にして樹脂組成フィルムを作成し、得られたフィルムを(3)フィルム物性評価方法に従って測定した。
結果は、表4に示すように、比較例8のEVOH単味フィルムとほぼ同一の酸素透過度を示しつつ、フィルムインパクト、耐ピンホール性、真空深絞り加工性において大幅な改良効果が認められた。
【0050】
実施例11,12
実施例1と同様にして調製したEVOH樹脂組成物を外層とし、中間層を無水マレイン酸変性ポリオレフィン樹脂(三井石油化学工業(株)製アドマーNF520)、内層を表5記載の樹脂とする3層キャストフィルム(厚み比15/10/30の55μm厚積層フィルム)を、多層共押出キャスト成型法を用い、表5記載の成形条件により製作した。
これらのフィルムの光学性、酸素透過度を(3)フィルム物性評価方法に従って測定した結果を表5に示す。
本発明のEVOH樹脂組成物はEVOHと同様に通常の成型法によって多層フィルムの作成が可能であるだけでなく、単層フィルム(実施例1)の場合と同様に、良好な光学性、酸素透過度を示すことが確認された。
【0051】
【表5】
Figure 0003737547
a)押出機シリンダー口径:外層/中間層/内層用=50/50/65mmφ、T−ダイ:500mm幅 コートハンガータイプ。
b)直鎖状低密度ポリエチレン(三井石油化学工業(株)製ウルトゼックス202IL。)
【0052】
【発明の効果】
本発明によれば、エチレン・ビニルアルコール共重合体に特定のアイオノマーとポリアミドを所定量配合することにより、該共重合体の有する優れたガスバリヤー性、透明性等をそれ程犠牲にしないで、耐衝撃性、柔軟性、加工性、耐ピンホール性、深絞り性等を改善することができる。本発明の組成物は、かかる特性を活かし、押出成形、射出成形、中空成形、真空成形、圧空成形等の各種成形方法により、フィルム、シート、容器等に成形することができる。

Claims (7)

  1. エチレン・ビニルアルコール共重合体50〜85重量部、不飽和カルボン酸含有量が5.3〜12モル%のエチレン・不飽和カルボン酸共重合体のアイオノマー10〜40重量部及びポリアミド1〜25重量部からなる熱可塑性樹脂組成物。
  2. エチレン・ビニルアルコール共重合体が、ビニルアルコール含有量が40〜85モル%のエチレン・ビニルアルコール共重合体である請求項1記載の熱可塑性樹脂組成物。
  3. ポリアミドが、融点が240℃以下であるポリアミド又はコポリアミドである請求項1記載の熱可塑性樹脂組成物。
  4. アイオノマーが、金属種が亜鉛、アルカリ金属又はアルカリ土類金属から選ばれ、中和度が10〜90%のアイオノマーである請求項1記載の熱可塑性樹脂組成物。
  5. エチレン・ビニルアルコール共重合体50〜85重量部、不飽和カルボン酸含有量が5.3〜12モル%のエチレン・不飽和カルボン酸共重合体のアイオノマー10〜40重量部及びポリアミド1〜25重量部を溶融混練して得られる熱可塑性樹脂組成物ペレット。
  6. 請求項1乃至4の何れかに記載の熱可塑性樹脂組成物からなる少なくとも一層を有することを特徴とする包装材料。
  7. 少なくとも一層のオレフィン重合体層を含む請求項6記載の包装材料。
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