JP5709395B2 - 多層フィルムおよび多層延伸フィルム - Google Patents
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Description
しかしながら、かかる多層シュリンクフィルムは、被包装物を包装した後に熱収縮させた際の収縮率に、未だ改善の余地が残るものであった。これは、EVOH系樹脂が収縮しにくいために結晶性を低下させた変性ポリエステル系樹脂も収縮しにくくなったためと推測される。
さらに、変性EVOH系樹脂層と、変性ポリエステル系樹脂層との熱収縮スピードの差が小さくなるよう、各層の変性量を調節することにより、多層延伸フィルムの層間剥離防止能がより向上し、収縮後の多層延伸フィルムの外観がさらに良好となるという優れた効果が発揮されるものである。
<エチレン−ビニルエステル系共重合体ケン化物(A)層について>
本発明の製造方法で用いられる多層フィルムのエチレン−ビニルエステル系共重合体ケン化物(A)層は、下記(1)式で示される側鎖1,2−ジオール単位を含有するエチレン−ビニルエステル系共重合体ケン化物(A)からなる層である。
上記結合鎖である場合は、例えば、アルキレン、アルケニレン、アルキニレン、フェニレン、ナフチレン等の炭化水素鎖(これらの炭化水素はフッ素、塩素、臭素等のハロゲン等で置換されていても良い)の他、−O−、−(CH2O)m−、−(OCH2)m−、−(CH2O)nCH2−等のエーテル結合部位を含む構造単位;−CO−、−COCO−、−CO(CH2)mCO−、−CO(C6H4)CO−等のカルボニル基を含む構造単位;−S−、−CS−、−SO−、−SO2−等の硫黄原子を含む構造単位;−NR−、−CONR−、−NRCO−、−CSNR−、−NRCS−、−NRNR−等の窒素原
子を含む構造単位;−HPO4−等のリン原子を含む構造などのヘテロ原子を含む構造単位;−Si(OR)2−、−OSi(OR)2−、−OSi(OR)2O−等の珪素原子を含む構造単位;−Ti(OR)2−、−OTi(OR)2−、−OTi(OR)2O−等のチタン原子を含む構造単位;−Al(OR)−、−OAl(OR)−、−OAl(OR)O−等のアルミニウム原子等の金属原子を含む構造単位などが挙げられる。これらの構造単位中、Rは各々独立して任意の置換基であり、水素原子、アルキル基であることが好ましい。またmは自然数であり、通常1〜30、好ましくは1〜15、特に好ましくは1〜10である。これらのうち、製造時あるいは使用時の安定性の点から、炭素数1〜10の炭化水素鎖が好ましく、さらには炭素数1〜6の炭化水素鎖、特に炭素数1の炭化水素鎖が好ましい。
ここで、側鎖1、2−ジオール構造単位の含有量は、1H−NMRの測定結果より算出することができる。
また、3,4−ジアセトキシ−1−ブテンの連鎖移動定数は、Cx(3,4−ジアセトキシ−1−ブテン)=0.003(65℃)である。〔2〕の方法で用いるビニルエチレンカーボネートのCx(ビニルエチレンカーボネート)=0.005(65℃)や、〔3〕の方法で用いる2,2−ジメチル−4−ビニル−1,3−ジオキソランのCx(2,2−ジメチル−4−ビニル−1,3−ジオキソラン)=0.023(65℃)と比較すると、3,4−ジアセトキシ−1−ブテンの連鎖移動定数が小さく、重合度が上がりにくくなったり、重合速度低下の原因となりにくいことがわかる。
エチレン構造単位の含有量が異なるものを併せて用いる場合、その他の構造単位は同じであっても異なっていてもよいが、そのエチレン含有量差は通常1モル%以上、好ましくは2モル%以上、特に好ましくは2〜20モル%である。かかるエチレン含有量差が大きすぎると延伸性が不良となる場合がある。
本発明においては、側鎖1,2−ジオール含有EVOH系樹脂(A)層に側鎖1,2−ジオール単位を含有していないEVOH系樹脂が混合されないことが好ましい。より微細な視点から見た場合、側鎖1,2−ジオール含有EVOH系樹脂と、未変性EVOH系樹脂は延伸特性が異なるため、側鎖1,2−ジオール含有EVOH系樹脂の優れた延伸性が、十分に現れない場合があるからである。
従ってこれら配合剤は、通常30重量%未満であり、好ましくは20重量%未満であり、特に好ましくは10重量%未満である。
ポリエステル樹脂とは、周知のように、テレフタル酸に代表されるジカルボン酸構造単位と、炭素数1〜5の鎖状ジオールに代表されるジオール構造単位とが1:1(すなわち、ポリマー全組成を100モル%とした場合、全ジカルボン酸構造単位50モル%:全ジオール構造単位50モル%となる)重縮合した共重合体である。
具体的には、ジカルボン酸構造単位が主としてテレフタル酸構造単位であり、ジオール構造単位が主として炭素数1〜5の鎖状ジオール構造単位のポリエステル系樹脂において、ジオール構造単位中に炭素数5〜20のジオール構造単位を含む、および/または、ジカルボン酸構造単位中にテレフタル酸以外の炭素数8〜15の芳香族ジカルボン酸構造単位を含み、かかる炭素数5〜20のジオール構造単位および/またはテレフタル酸以外の炭素数8〜15の芳香族ジカルボン酸構造単位の含有量の和が、全ジカルボン酸構造単位と全ジオール構造単位の合計モル量(すなわち、全ジカルボン酸構造単位を50モル%、全ジオール構造単位50モル%として合計100モル%として)に対して、0.1モル%以上15モル%未満であるものである。
また、変性ポリエステル系樹脂(B)のジオール構造単位は、主として炭素数1〜5の鎖状ジオールであり、好ましくは炭素数2〜5の鎖状ジオールである。また、通常直鎖状ジオールである。例えば具体的には、エチレングリコール、ジエチレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール等の鎖状ジオールが挙げられる。経済的な点から、好ましくはエチレングリコール、ジエチレングリコールである。これらは単体でも複数を同時に用いてもよい。その含有量は(炭素数1〜5の鎖状ジオールを複数用いる場合はすべて足し合わせた総量にて)通常35〜50モル%、好ましくは35〜45モル%、特に好ましくは35〜42モル%である。
また、テレフタル酸以外の炭素数8〜15の芳香族ジカルボン酸とは、収縮性および市場入手性の点で好ましくは炭素数8〜12の芳香族ジカルボン酸であり、例えばイソフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸等が挙げられる。中でも、収縮性および市場入手性点から好ましくは2,6−ナフタレンジカルボン酸、イソフタル酸であり、特に好ましくはイソフタル酸である。
また、示差走査熱量計(昇温速度:10℃/分)で測定したガラス転移点が通常60〜79℃、好ましくは65〜75℃である。かかるガラス転移点が低すぎると延伸による残留応力が緩和されやすくなり熱収縮性が低下する傾向があり、逆に高すぎると延伸時の応力負荷が大きく高倍率での延伸が困難になる傾向がある。
さらにJIS K7206(B50法 試験荷重50N、昇温速度50℃/h)に準拠した方法で測定したビカット軟化点が通常60〜83℃、好ましくは65〜82℃である。かかるビカット軟化点が低すぎると延伸による残留応力が緩和されやすくなり熱収縮性が低下する傾向があり、逆に高すぎると延伸時の応力負荷が大きく高倍率での延伸が困難になる傾向がある。
本発明における変性ポリエステル系樹脂(B)層の変性ポリエステル系樹脂(B)の含有量は、通常70重量%以上であり、好ましくは80重量%以上となる量である。
変性EVOH樹脂(A)の側鎖1,2−ジオール構造単位含有量(モル%)をα、変性ポリエステル系樹脂(B)の炭素数5〜20のジオール構造単位および/またはテレフタル酸以外の炭素数8〜15の芳香族ジカルボン酸構造単位含有量(モル%)をβすると、α/βは通常7×10-3〜300であり、好ましくは8×10-3〜100であり、特に好ましくは0.01〜50、殊に好ましくは0.01〜1である。
他の熱可塑性樹脂としては、(A)および(B)以外の熱可塑性樹脂であり、例えば、ポリエチレン、αオレフィン変性ポリエチレン(αオレフィンとしては、炭素数3〜20のエチレン性不飽和結合を有する炭化水素化合物)等のポリエチレン系樹脂、ポリプロピレン、αオレフィン変性ポリプロピレン(αオレフィンとしては、プロピレンを除く炭素数2〜20のエチレン性不飽和結合を有する炭化水素化合物)等のポリプロピレン系樹脂、ポリブテン系樹脂、ポリペンテン系樹脂等の脂肪族炭化水素系樹脂、ポリスチレン、ポリアリルベンゼン等の芳香族炭化水素系樹脂、及び/又はこれらを不飽和カルボン酸又はそのエステルでグラフト変性したもの等の炭化水素系樹脂;アイオノマー、ポリアクリル酸系樹脂、ポリアクリル酸エステル系樹脂、ポリアミド系樹脂(共重合ポリアミドも含む)、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、アクリル系樹脂、ポリウレタンエラストマー、塩素化ポリエチレン、塩素化ポリプロピレン、芳香族または脂肪族ポリケトン、更にこれらを還元して得られるポリアルコール類が挙げられる。
本発明の多層フィルムおよび多層延伸フィルムに用いられる接着性樹脂について説明する。
本発明の方法で用いる接着性樹脂は、公知一般の接着性樹脂が挙げられる。変性ポリエステル系樹脂(B)層と側鎖1,2−ジオール構造単位含有EVOH系樹脂(A)層との接着層の役割から、通常は変性ポリエステル系樹脂(B)や側鎖1,2−ジオール構造単位含有EVOH系樹脂(A)層と親和性を有するような極性基を有する樹脂が好ましく用いられる。
カルボン酸変性樹脂に含有される不飽和カルボン酸又はその無水物の量は、通常0.001〜3重量%であり、好ましくは0.01〜1重量%、特に好ましくは0.03〜0.5重量%である。該変性物中の変性量が少ないと、接着性が不充分となることがあり、逆に多いと架橋反応を起こし、成形性が悪くなる傾向がある。
本発明の多層フィルムは、上記側鎖1,2−ジオール構造単位含有EVOH系樹脂(A)層と、変性ポリエステル系樹脂(B)層とが、場合によって接着性樹脂層を介して積層されたものである。
例えば溶融成形法として具体的には、EVOH樹脂(A)のフィルム、シート等に変性ポリエステル系樹脂(B)層を溶融押出ラミネートする方法、逆に変性ポリエステル系樹脂(B)のフィルム、シートにEVOH樹脂(A)層を溶融押出ラミネートする方法、また、EVOH樹脂(A)層と変性ポリエステル系樹脂(B)層とを共押出する方法が挙げられる。
また、溶液状態からの成形法としては、例えば具体的には、EVOH樹脂(A)のフィルム、シート等に変性ポリエステル系樹脂(B)を良溶媒に溶解した溶液を溶液コートする方法、逆に変性ポリエステル系樹脂(B)のフィルム、シートにEVOH樹脂(A)を良溶媒に溶解した溶液を溶液コートする方法が挙げられる。
中でも、多層フィルムの延伸性が良好な点で溶融成形法が好ましく、特には共押出法が好ましい。
溶融押出時の溶融成形温度は、通常150〜300℃である。
本発明の多層フィルムおよび多層延伸フィルムの層の数は、通常2〜10層であり、好ましくは3〜7層である。EVOH系樹脂(A)層のガスバリア性能の低下を抑制するためには、EVOH系樹脂(A)層が中間層であることが好ましい。
また、本発明の多層フィルムおよび多層延伸フィルムは任意の位置に、(A)、(B)以外の異なる熱可塑性樹脂層を設けても良い。
多層フィルムの各層の厚みは、層構成、用途や包装形態、要求される物性などにより一概に言えないが、EVOH系樹脂(A)層の厚みは通常通常1〜1000μm、好ましくは5〜500μm、より好ましくは10〜200μmである。
変性ポリエステル系樹脂(B)層の厚みは通常10〜8000μm、好ましくは30〜4000μm、より好ましくは50〜800μmである。
接着性樹脂層を設ける場合、その厚みは通常2〜1000μm、好ましくは5〜500μm、より好ましくは10〜200μmである。
また、EVOH系樹脂(A)層と変性ポリエステル系樹脂(B)層の厚みは、多層フィルム中の同じ樹脂層の厚みを全て足し合わせた状態で、通常、変性ポリエステル系樹脂(B)層の方が厚く、EVOH系樹脂(A)層/変性ポリエステル系樹脂(B)層として、通常1/2〜1/100、好ましくは1/3〜1/40である。
本発明の多層延伸フィルムは、上記のような多層フィルムを延伸処理すればよい。
多層フィルムの延伸温度は延伸時の多層フィルムの中央部において、フィルムから垂直方向へ1cm離れた位置における雰囲気温度を熱伝対式温度計で測定した温度を意味する。
延伸温度は、通常側鎖1,2−ジオール構造単位含有EVOH系樹脂(A)の融点及び変性ポリエステル系樹脂(B)の融点よりも低い温度である。好ましくは、変性ポリエステル系樹脂(B)の融点未満〜融点−170℃である。本発明の多層フィルムは、通常、変性ポリエステル系樹脂(B)層がもっとも厚い層となるため、多層フィルムの延伸倍率は変性ポリエステル系樹脂(B)の延伸性要因に支配される割合が高くなるからである。
具体的な延伸温度としては、通常50〜130℃、好ましくは60〜110℃、特に好ましくは70〜90℃である。延伸温度が低すぎる場合には、各層が延伸されにくくなり、ひどい場合には各層のフィルム破断が起こることがある。逆に延伸温度が高い場合は、延伸時にフィルムにかかる歪が小さくなり、収縮率が不十分になることがある。
延伸方法は特に限定せず、公知の延伸方法、例えば、ロール延伸法、テンター延伸法、チューブラー延伸法等を採用できる。延伸は、チャック、プラグ、圧空力等を利用して行うことができる。
多層延伸フィルムのEVOH系樹脂(A)層は通常0.1〜100μm、好ましくは0.5〜50μm、より好ましくは1〜30μmである。
変性ポリエステル系樹脂(B)層は通常1〜250μm、好ましくは3〜180μm、より好ましくは8〜80μmである。接着性樹脂層は通常0.1〜100μm、好ましくは0.5〜50μm、より好ましくは1〜30μmの範囲から選択される。
また、EVOH系樹脂(A)層と接着性樹脂層の厚み比、EVOH系樹脂(A)層の厚み総計と、変性ポリエステル系樹脂(B)層の厚み総計比は延伸前後で大きく変化するものではなく、上記した多層フィルムと同様の値となる。
シュリンク包装とは、被包装物を多層延伸フィルムからなる袋に収納した後、減圧下にして袋内の空気を除去し、袋の開口部を密閉してから通常50〜130℃、好ましくは70〜120℃で、通常2〜300秒程度の熱処理を行って、該フィルムを熱収縮させて被包装物に密着させることで包装するものである。
この操作手順により外観性に優れた包装体を得ることが出来る。該包装袋内を炭酸ガスや窒素ガス等によって置換して包装することもできる。更にトレーに盛られた商品を熱収縮包装する、いわゆるストレッチシュリンク包装にも好適に用いることができる。
熱収縮後の多層延伸フィルムのEVOH系樹脂(A)層の厚みは通常1〜150μm、好ましくは2〜100μm、より好ましくは4〜50μmである。変性ポリエステル系樹脂(B)層は通常4.5〜500μm、好ましくは5〜300μm、より好ましくは10〜100μmである。
接着性樹脂層が存在する場合は通常1〜150μm、好ましくは2〜100μm、より好ましくは4〜50μmである。
また、EVOH系樹脂(A)層と接着性樹脂層の厚み比、EVOH系樹脂(A)層の厚み総計と、変性ポリエステル系樹脂(B)層の厚み総計比は収縮前後で大きく変化するものではなく、上記した多層フィルムおよび多層延伸フィルムと同様の値となる。
なお、実施例中「部」とあるのは特に断りのない限り重量基準である。
側鎖1,2−ジオール構造単位含有EVOH樹脂(A)としてエチレン−酢酸ビニル共重合体ケン化物樹脂(A1)[エチレン含有量38モル%、ケン化度99.8モル%、側鎖1,2−ジオール構造単位(1a)含有量1.5モル%、MFR4.0g/10分(210℃、2160g)]を用いた。また、変性ポリエステル系樹脂(B)として、イーストマンケミカル社製の「EMBRACE 21214」(1,4−シクロヘキサンジメタノール:10モル%、エチレングリコール:35.5モル%、ジエチレングリコール:4.5%、テレフタル酸:50モル%;ピクノメーター法で測定した密度1.3g/cm3、示差走査型熱量計で測定したガラス転移点75℃、ビカット軟化温度測定試験装置で測定したビカット軟化点74℃)を用いた。
さらに、接着性樹脂としては、旭化成製カルボン酸変性水添スチレン―エチレン・ブチレン―スチレンブロック共重合体樹脂「タフテック M1943」とαオレフィン変性直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)をM1943/LLDPE=20/80の割合で混合して用いた。
[熱収縮(シュリンク)性]
得られた多層延伸フィルムを10cmx10cmの正方形に切りだして、90℃の熱水に30秒間浸漬して熱収縮させ、面積収縮率(%)を下記の様に算出した。
面積収縮率(%)={(S−s)/S}×100
S:熱収縮前のフィルムの面積(100cm2)
s:熱収縮後のフィルムの面積(cm2)
多層延伸フィルムを10cmx10cmの正方形に切りだして、90℃の熱水に30秒間浸漬して熱収縮させた。
フィルムの層間剥離が起こった場合、熱収縮後のフィルムの端部からフィルムの中心部に向かってフィルムの透明性が著しく失われている様子が認められる。かかる層間剥離箇所(透明性が著しく失われている範囲)の辺からの距離を測定した。
参考例1において、側鎖1,2−ジオール構造単位含有EVOH樹脂(A)としてエチレン−酢酸ビニル共重合体ケン化物樹脂(A2)[エチレン含有量38モル%、ケン化度99.8モル%、側鎖1,2−ジオール構造単位(1a)含有量0.7モル%、MFR4.0g/10分(210℃、2160g)]を用いた以外は同様にして多層延伸フィルムを作成し、同様に評価を行った。
参考例1において、側鎖1,2−ジオール構造単位含有EVOH樹脂(A1)の代わりに未変性EVOH樹脂[エチレン含有量38モル%、ケン化度99.8モル%、MFR3.2g/10分(210℃、2160g)]を用いた以外は同様に多層延伸フィルムを作成し、同様に評価を行った。
結果を表1に示す。
これに対して、1,4−シクロヘキサンジメタノールで変性することによって結晶性を低下させた変性ポリエステル系樹脂(B)層に、側鎖1,2−ジオール構造単位を0.7モル%含有するEVOH(A)層を積層した実施例2の多層延伸フィルムは、同時二軸延伸したフィルムを熱収縮した場合の面積収縮率が79%であり、逐次二軸延伸したフィルムを熱収縮した場合の面積収縮率が83%と、優れた熱収縮性を示した。
さらに、1,4−シクロヘキサンジメタノールで変性することによって結晶性を低下させた変性ポリエステル系樹脂(B)層に、側鎖1,2−ジオール構造単位を1.5モル%含有するEVOH(A)層を積層した実施例1の多層延伸フィルムは、同時二軸延伸したフィルムを熱収縮した場合の面積収縮率が81%であり、逐次二軸延伸したフィルムを熱収縮した場合の面積収縮率が84%と、より優れた熱収縮性を示した。
参考例1において、変性ポリエステル系樹脂(B)として、三菱化学社製の「ノバペックス IG226S」(イソフタル酸:12モル%、テレフタル酸:38モル%、エチレングリコール:50モル%;ピクノメーター法で測定した密度1.4g/cm3、示差走査型熱量計で測定したガラス転移点71℃、ビカット軟化温度測定試験装置で測定したビカット軟化点81℃)を用いた。さらに、接着性樹脂には三井化学社製「アドマー SF731を用いた以外は同様にして多層延伸フィルムを作成し、同様に評価を行った。
参考例3において、側鎖1,2−ジオール構造単位含有EVOH樹脂(A)としてエチレン−酢酸ビニル共重合体ケン化物樹脂(A2)[エチレン含有量38モル%、ケン化度99.8モル%、側鎖1,2−ジオール構造単位(1a)含有量3.0モル%、MFR4.0g/10分(210℃、2160g)]を用いた以外は同様に多層延伸フィルムを作成し、同様に評価を行った。
参考例3において、側鎖1,2−ジオール構造単位含有EVOH樹脂(A1)の代わりに未変性EVOH樹脂[エチレン含有量38モル%、ケン化度99.8モル%、MFR3.2g/10分(210℃、2160g)]を用いた以外は同様に多層延伸フィルムを作成し、同様に評価を行った。
参考例3において、変性ポリエステル系樹脂(B)「ノバペックス IG226S」の代わりに、三菱化学社製の未変性ポリエステル系樹脂「ノバペックス GG500」(イソフタル酸:0モル%、テレフタル酸:50モル%、エチレングリコール:50モル%;ピクノメーター法で測定した密度1.4g/cm3、示差走査型熱量計で測定したガラス転移点80℃、ビカット軟化温度測定試験装置で測定したビカット軟化点84℃)を用いた以外は同様に多層延伸フィルムを作成し、同様に評価を行った。
結果を表2に示す。
テル系樹脂(B)層に、側鎖1,2−ジオール構造単位を1.5モル%含有するEVOH
(A)層を積層した参考例3の多層延伸フィルムは、同時二軸延伸したフィルムを熱収縮
した場合の面積収縮率が86%であり、逐次二軸延伸したフィルムを熱収縮した場合の面
積収縮率も86%と、比較例2と同程度であるものの、各辺からの層間剥離部位が1.5
mmと小さく良好な値であった。
これは、(A)層が(B)層へ追随することが可能となり、かつ(A)層および(B)層の収縮スピードの差が小さいために、層間剥離が防止されたものであると推測される。
参考例3で使用した多層フィルムについて、二軸延伸機にて(1)縦4倍、横4倍同時二軸延伸、(2)縦4.5倍、横4.5倍同時二軸延伸を、それぞれ80℃で延伸速度100mm/分にて行った後、20℃の冷風にてフィルムを冷却固定し、多層延伸フィルムを得た。熱収縮後の面積、及び面積収縮率については、実施例1と同様にして評価を行った。また、(1)(2)の延伸条件で各5回延伸処理を実施した際の延伸成功率(%)を下記のように算出して、高倍率延伸性の指標とした。
[延伸成功率]
延伸成功率(%)={(5―Z)/5}×100
Z:延伸途中でチャック部の破断が発生して、良好な延伸フィルムが得られなかった回数(回)
参考例4において、変性ポリエステル系樹脂(B)「ノバペックス IG226S」の代わりに、三菱化学社製の未変性ポリエステル系樹脂「ノバペックス GG500」を用いた以外は同様に多層延伸フィルムを作成し、同様に評価を行った。
結果を表3に示す。
従って、本発明の多層フィルムおよび多層延伸フィルムを用いることにより、高度なガスバリア性、熱収縮性、且つ外観に対する要求も高い、食品や医薬品等の包装用フィルムとして好適である。
Claims (5)
- 下記(1)式で表わされる側鎖1,2−ジオール構造単位を含有するエチレン−ビニルエステル系共重合体ケン化物(A)層の少なくとも片面に、ジカルボン酸構造単位が主としてテレフタル酸構造単位であり、ジオール構造単位が主として炭素数1〜5の鎖状ジオール構造単位であり、
該エチレン−ビニルエステル系共重合体ケン化物(A)における、下記(1)式で表わされる側鎖1,2−ジオール構造単位の含有量が、2〜5モル%であって、
かつジオール構造単位中に炭素数5〜20のジオール構造単位を含む、および/または、ジカルボン酸構造単位中にテレフタル酸以外の炭素数8〜15の芳香族ジカルボン酸構造単位を含み、それらの含有量の和が、全ジカルボン酸構造単位と全ジオール構造単位の合計量に対して、8モル%以上15モル%未満である変性ポリエステル系樹脂(B)層が存在する多層フィルムであって、
該多層フィルムを延伸処理することを特徴とする多層延伸フィルム。
- 変性ポリエステル系樹脂(B)が、ジカルボン酸構造単位が主としてテレフタル酸構造単位であり、ジオール構造単位が主として炭素数1〜5の鎖状ジオール構造単位であり、かつジオール構造単位中に炭素数5〜10のジオール構造単位を含む、および/または、ジカルボン酸構造単位中にテレフタル酸以外の炭素数8〜12の芳香族ジカルボン酸構造単位を含み、それらの含有量の和が、全ジカルボン酸構造単位と全ジオール構造単位の合計量に対して、0.1モル%以上15モル%未満である変性ポリエステル系樹脂(B)であることを特徴とする請求項1記載の多層延伸フィルム。
- 延伸倍率が面積比にて4〜50倍であることを特徴とする請求項1または2記載の多層延伸フィルム。
- 厚みが、3〜300μmであることを特徴とする請求項1〜3いずれか記載の多層延伸フィルム。
- 熱収縮率が面積収縮率にて80%以上であることを特徴とする請求項1〜4いずれか記載の多層延伸フィルム。
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