JP3827915B2 - 圧電材料およびその製造方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、例えば、車載用機器、各種電装品用のアクチュエータ、センサ等に用いられる圧電セラミック材料に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
圧電材料は、電気的エネルギーを機械的エネルギーに(あるいは機械的エネルギーを電気的エネルギーに)変換する作用を有しており、これを応用したアクチュエータ等が知られている。圧電アクチュエータは、印加電圧に応じた変位を発生し、高応答であることから、例えば、流量制御用のバルブ、インジェクタ等の駆動部として用いられて、流量や噴射量の精密な制御を可能にしている。また、圧電素子の超音波振動を駆動源とする超音波モータは、小型電装品用として有用であり、さらに、加速度による力を電気信号として検出する加速度センサ、超音波を送受信し、物体の検知や距離測定を行う超音波センサ等、多様な用途で実用化されている。
【0003】
セラミック系の圧電材料は、一般に、A(2価)B(4価)O3 で表される複合ペロブスカイト構造を有し、その代表的な例として、Pb(Ti、Zr)O3 、いわゆるPZTが知られている。また、このPZTのAサイトまたはBサイトの一部を特定の元素で置換したり、種々の添加物を添加したものがあり、その一例として、特公平8−728号公報には、Pbの一部をLaで置換し、MnO2 を1.0重量%以下添加することにより、圧電特性を改善した組成物が開示されている。その他、例えば、AサイトをSr、Ba、Ca等で、BサイトをNi、Nb等で置換したり、Cr2 3 等を添加して、圧電特性の向上を図ることが試みられている。
【0004】
このような圧電材料は、通常、大きく2種類に分類される。1つは高圧電定数(高d)材料(ソフト材)であり、その特徴としては、▲1▼圧電定数が高い、▲2▼誘電損失が大きい、▲3▼キュリー点が100〜150℃程度と低い、等が挙げられる。もう1つはキュリー点が高い材料(ハード材)であり、一般に、▲1▼圧電定数が小さい、▲2▼誘電損失が小さい、▲3▼キュリー点が高い、等を特徴として有している。
【0005】
ここで、圧電定数は変位量を左右する大きな要因であり、高圧電定数であるソフト材は、高変位を得るには有望な材料系であるといえる。ところが、誘電損失が大きいため、与えた電気的エネルギーが有効に機械的エネルギーに変換されず、変位量が小さくなる。なおかつ、損失されたエネルギーが熱エネルギーとして現れるので、材料自体の温度が上昇し、特にキュリー点近傍にまで及ぶと分極が消失し、変位がなくなるおそれがある。
【0006】
一方、ハード材は、誘電損失が小さく、電気機械変換効率が高い利点があるものの、圧電定数dが小さいことから、所望の変位量とするために高駆動電圧が必要となる。
【0007】
低駆動電圧で高変位を得るためには、圧電定数dが大きく、誘電損失が小さいことが望ましい。しかしながら、上述したように、ソフト材は後者の特性に、ハード材は前者の特性に難がある。一方、誘電損失が小さいハード材であっても、誘電損失がゼロにはならないため、発熱がなくなることはなく、また、キュリー点近傍では、変位量に影響する誘電率が大きく上昇する。よって、使用温度範囲で安定した圧電特性を示すためには、キュリー点の高い材料であることも要求される。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
本発明者等は、高キュリー点、高変位量が期待される材料系として、Pb(Ti、Zr、Y、Nb)O3 で表される複合酸化物のAサイトに、2価の置換原子、例えばSrを導入することを検討した。ところが、Srを高変位量を得るのに必要な置換量とするとキュリー点が大きく低下し、逆にキュリー点の低下を抑制すると、十分な変位量が得られなかった。このため、キュリー点を大きく低下させることなく、高変位が得られる圧電材料の開発が望まれている。
【0009】
本発明の目的は、高キュリー点で高温安定性に優れ、かつ低駆動電圧で高変位を示す圧電材料を得ることを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
このような実情に鑑み、本発明者等は、Pb(Ti、Zr、Y、Nb)O3 系の複合酸化物のAサイトに導入する置換原子と、その置換割合、各成分比等の最適値につき種々検討を行った。
そして、高変位量、高キュリー点を得るために、次の一般式(1)
〔Pb{ 1−x1−x2−α(x1−x2)}、A1x1、A2x2
{(Tiy 、Zrz )( 1−β(x1−x2)−γ)、(Y0.5、Nb0.5 )γ}O3
・・・(1)
式中、y+z=1、1.15<z/y<1.30、0<γ<0.1
で表され、A1 、A2 、x1、x2下記( iii )を満足する複合酸化物を主成分として含有する圧電材料が有効であることを見出した。
(i):A1 =Ce、Laから選ばれる1つ以上、A2 =K
0.02≦x1 <0.08、0≦x2 ≦0.05
(ただし、0.02≦x1 +x2 ≦0.1、x1 ≧x2
α=0.5、β=0・・・条件(A)
(ii):A1 =Ce、Laから選ばれる1つ以上、A2 =K
0.02≦x1 <0.08、0≦x2 ≦0.05
(ただし、0.02≦x1 +x2 ≦0.1、x1 ≧x2
α=0、β=0.25・・・条件(B)
(iii):A1 =Sr、A2 =Ba
0.03≦x1 ≦0.05、0.03≦x2 ≦0.05
(ただし、|x1 −x2 |≦0.01)
α=0、β=0
本発明の圧電材料は、この( iii )の組成を有する複合酸化物を主成分とするものであればよい。
【0012】
一般に、置換により変位量が向上するのは、電場に対する応答が大きくなるためと考えられる。電場に対する応答を変える主要因として分極があり、分極は、例えば、電荷分布の非対称性から生じる。置換によってイオン半径の異なる原子が局所的に存在すると、電荷分布の非対称性が生じ、これにより、電荷分布があっても対称性により相殺されていた分極が、相殺されなくなる。なお、置換によるキュリー点の低下は、イオン半径の違いによる格子の歪みが要因の1つと考えられる。
【0019】
すなわち、本発明の圧電材料は、A1 =Sr、A2 =Baとし、従来のPbの位置にSrとBaを導入した組成を有する圧電材料である。これを、一般式(1′)で表す。
〔Pb{1−x1−x2)}、Srx1、Bax2
{(Tiy 、Zrz )(1−γ)、(Y0.5、Nb0.5 )γ}O3
・・・(1′
Sr、Baはいずれも2価であるので、空孔は形成されず、α=0、β=0となる。この時、Srの置換量x1 を、0.03≦x1 ≦0.05、Baの置換量x2 を、0.03≦x2 ≦0.05とし、かつ|x1 −x2 |≦0.01を満足するようにx1 、x2 を選択すると、高キュリー点と高変位量の両立が可能になる。
【0020】
Pbを2価の原子で置換すると、前述のイオン価数の違いによる空孔形成の効果がないため、キュリー点の低下が抑制される範囲の置換量では、変位を向上させる十分な効果が得られない。また、十分な変位量を得るために、置換量を多めにするとキュリー点の低下が著しい。キュリー点低下の要因としては、イオン半径の違いが挙げられる。Pbのイオン半径に比べてSrのイオン半径は小さく、またBaのイオン半径はPbのイオン半径に比べて大きい。Sr、Baの場合ともにPbで安定な位置(Aサイト)にイオン半径が異なるイオンが入るため、格子に歪みが生じ、その結果エネルギー的な安定性が低下して、圧電特性を示す結晶系の温度範囲が狭くなると考えられる。
【0021】
一方、格子の歪みから生じる分極が変位量に寄与していると考えられるので、キュリー点の低下を抑えながら変位量を向上させるには、格子の歪みを与えて分極を生じさせながら、その歪みが圧電特性を示す結晶構造を不安定にさせないようにすればよい。そのための条件として、Sr、Baの置換量x1 、x2 をほぼ同量とする。上述したように、イオン半径が異なる原子で置換することにより格子の歪みが生じるが、この際、Pbの置換原子として、Pbよりイオン半径の小さいSrと、イオン半径の大きいBaを用い、これらの置換量をほぼ同量とすれば、一部で凹型の歪みが、一部で凸型の歪みが生じ、これら格子定数の凹凸が合致することにより、格子の歪みは局部的なものとなり得る。そして、周囲のAサイトがPb原子だけからなる材料の安定性に守られ、圧電特性を示す結晶構造を不安定となるのを防止して、全体としての安定性を保持する材料を得ることができる。
【0022】
また、従来のAサイトがPb原子だけからなる材料は、圧電特性を示す結晶層の安定性が高いため、置換物による格子の凹凸が近接して相殺し、従来のAサイトがPb原子だけの構造を多く残す方が、凹凸が離れた構造よりも安定であり、上記のキュリー点の低下を抑えつつ変位量を向上することが可能である。
【0023】
必要な変位量を得るためには、置換量x1 、x2 を、0.03≦x1 ≦0.05、0.03≦x2 ≦0.05の範囲とする。x1 、x2 が0.05を越え、置換量の総量が0.1を越えると変位量が逆に低下するので好ましくない。また、結晶の安定性を確保するために、x1 とx2 の差が極力小さい方がよく、|x1 −x2 |が0.01を越えないようにx1 、x2 を選択することで、上記効果が得られる。
【0024】
本発明では一般式(1)におけるZr/Ti比(z/y比)が、y+z=1、1.15<z/y<1.30を満足するようにy、zを選択する。これにより、変位量が向上し、特に、z/y=1.22付近で変位量が最も大きくなる。z/yが1.15に満たなくても、1.30を越えても変位量が低下する。
【0025】
また、一般式(1)におけるBサイトにY、Nbを導入することで変位量がより向上する。ただし、その置換量の総量γが0.1以上になると変位量の向上効果が得られず、逆に変位量が低下するので、0<γ<0.1とする。
【0026】
本発明の圧電材料に、添加物としてSb2 3 、Mn2 3 、Nb2 5 のうちの少なくとも1種を添加することもでき、特にSb2 3 が好適に用いられる。この時、これら添加物の圧電材料中の含有量が0.5重量%以下、好ましくは0.3重量%以下となるようにするとよく、これにより変位量が大きく向上する。添加物を使用する場合には、圧電材料を調合する際に、調合原料とともに混合し、以下、同様の工程で、仮焼、焼成等を行えばよい。
【0027】
【実施例】
実験例1〜6、比較例1〜5)
本発明の効果を確認するために、一般式(1)におけるA1 、A2 とその置換量x1、x2を種々変更して、得られる圧電材料の圧電特性を調べた。
〔Pb{ 1−x1−x2−α(x1−x2)}、A1x1、A2x2
{(Tiy 、Zrz )( 1−β(x1−x2)−γ)、(Y0.5、Nb0.5 )γ}O3
・・・(1)
まず、圧電材料の各構成原子を含む出発原料として表1に示す化合物を使用し、表2に示す所望の組成となるように(すなわち、目的組成における各構成原子の比と出発原料における各構成原子の比が同じになるように)、これら出発原料を調合した。
【0028】
この時、上記した(i)、( ii )を満たす圧電材料(実験例1〜5)と、( iii )を満たす本発明の圧電材料(実験例6)以外に、比較のため、SrまたはKのみで置換した圧電材料(比較例1〜3)、A1 =Ce、Laでα、βの条件が(i)、(ii)を満足しない圧電材料(比較例4、5)を作製した。α、βについては、条件(A)〜(C)を次のように定義して、表中に示した(x1=x2実験例5は除く)。
条件(A):α=0.5、β=0
条件(B):α=0、β=0.25
条件(C):α=0、β=0
また、いずれも一般式(1)中、z/y=1.22、γ=0.01とし、さらに、添加物として0.3重量%(得られる圧電材料中の含有量)のSb2 3 を用いた。
なお、実験例6、および、以下に記す実験例23〜26、28、30、32が本願発明の実施例である。
【0029】
【表1】
Figure 0003827915
【0030】
【表2】
Figure 0003827915
【0031】
調合した原料を混合した後、800℃で2時間、仮焼し、粉砕したものを、ボールミルを用いて混合、造粒した。その後、フルイにかけて粒径を調整し、250μmを越える粒子を除去した。さらに、成形、焼成してペレット状のサンプルを作製した。このサンプルの両面をラップ盤で研磨し(厚さ0.5mm)、電極印刷、外周研磨(φ13mm)したものを、積層、分極処理することにより圧電体スタック(厚さ20mm)を形成した。
【0032】
得られた圧電体スタックの変位量とキュリー点をそれぞれ調べて、表2に併記した。変位量の測定法を以下の通りである。まず、圧電体スタックに350kgf(3430N)の荷重をかけながら、厚さ1mmあたり1.5kVの電圧を印加し、その時の、圧電体スタックの変位をギャップセンサにより測定した。測定点は2点で、2点の平均値をその素子の変位量とした。なお、測定は室温で行い、予め、スタック素子を駆動している状態で20分程度エージングしたものを用いた。
【0033】
また、キュリー点の測定は、上記製作工程の途中で、ペレット状のサンプルに電極印刷を終えた段階のものを用いて行った。このサンプルを端子で挟み、乾燥機中に入れて温度調整するとともに、端子をインピーダンスアナライザーに接続して静電容量を測定した。この時の温度と静電容量の関係は、例えば、図1のようになり、静電容量が最大となる温度をキュリー点とした。
【0034】
表2に明らかなように、PbをSrのみで置換した従来の組成では、置換量x1 =0.04の変位量が15.9μmと低く(比較例2)、x1 を2倍以上とした比較例3でも20μm以下である。これに対し、A1 を2価以外の元素、例えば、A1 =Ceとすると、変位量が22.8μm(実験例1)、25.2μm(実験例2)に向上し、キュリー点も320℃と大きく向上している。また、A1 =Laの実験例3、4では、キュリー点を低下させることなく、29μm以上の高変位量が得られている。
【0037】
また、Sr置換のみの比較例2、3に対して、A2 としてBaを同量添加した実験例6(本発明実施例)では、比較例2、3に比べキュリー点はやや低下しているものの(置換量0.04〜0.09の範囲)、変位量が顕著に大きくなっている。つまり、Sr置換量、すなわちAサイト置換量を0.04から0.09と多くしても及ばない大きな変位量が得られる。よって、A1 =Sr、A2 =Baで、SrとBaの置換量をほぼ同量とすることで、圧電特性を示す結晶系の安定性を著しく低下させることなく、変位量を向上させるのに有効であることがわかる。
【0042】
実験例11〜26、比較例13〜20)
次に、一般式(1)におけるz/y比と変化量の関係を調べた。A1=Ce、条件(B)の上記実験例2の組成について、z/y比(Zr/Ti比)を1.15から1.30の範囲で表5のように変化させ、同様の方法で圧電材料を制作して、その変化量を実験例1と同様に測定した。結果を表5に併記する(実験例2の結果とも)。また、A1=La、条件(A)の上記実験例3の組成、A1=La、条件(B)の上記実験例4の組成と、A1=Sr、A2=Baの上記実験例6の組成についても、同様にしてz/y比を変えた圧電材料を作成し、変化量を測定した。結果をそれぞれ表6〜8に示す。
【0043】
【表5】
Figure 0003827915
【0044】
【表6】
Figure 0003827915
【0045】
【表7】
Figure 0003827915
【0046】
【表8】
Figure 0003827915
【0047】
さらに、表5に記載したデータに基づき、A1 =Ce(条件(B))の時の、変位量のz/y比(Zr/Ti比)依存性を図2に示した。図示のように、z/y比が1.15より大きくなるに従って変位量が徐々に大きくなり、1.20を越えると急増して1.22付近で最大となっている。z/y比がさらに大きくなると変位量が再び低下し、1.30に至ると変位量低下が著しい。よって、良好な特性を示すのは、1.15<z/y<1.30の範囲である。
【0048】
また、表6に記載したデータに基づき、A1 =La(条件(A))の時の、変位量のz/y比(Zr/Ti比)依存性を図3に示した。同様に、表7、8のデータに基づいて、A1 =La(条件(B))の時の、変位量のz/y比(Zr/Ti比)依存性を図4に、A1 =Sr、A2 =Baの時の、変位量のz/y比(Zr/Ti比)依存性を図5にそれぞれ示した。いずれも、z/y=1.22付近で変位量が最大となり、1.15<z/y<1.30の範囲で変位量が高くなる、同様の傾向が見られた。
【0049】
ここで、図6に、z/y比=1.22における変位量の温度依存性を示す、図は、実験例3(A1=La、条件(A))、実験例4(A1=La、条件(B))、実験例6(A1=Sr、A2=Ba)の圧電材料について、室温から120℃まで温度を上昇させた時の変位量の変化を示すもので、いずれも高温になると変位量がやや大きくなっているものの温度依存性は比較的小さい。変位量の温度依存性が小さいと、使用条件下で常時一定の変位を得るのに付与する条件の範囲が小さくなる。これは環境温度変化の大きい、例えば自動車等に使用された場合駆動回路の簡素化につながるという利点がある。
【0050】
また、図7には、A1=La(条件(A)でz/y比を変化させた実験例3および実験例15〜18について、変位量の温度依存性を調べた結果を示す。図からz/y比が1.18から1.22までのものは、温度依存性が小さく、z/y=1.18、1.20の材料は、変化量は1.22の材料に比較すると小さいが、上述したような駆動回路の簡素化の利点がある。一方、z/y=1.24、1.26の材料は、高温になる程変位量が大きくなり、120℃ではz/y=1.22の材料より変位量が大きい。この場合は、温度依存性が小さい利点はないものの、変位量が大きく向上することから、高温で使用される場合には、大きな効果を発揮する。
【0051】
以上より、z/y比を本発明の範囲とすることで(1.15<z/y<1.30)、変位量を向上し、または温度依存性を小さくする効果が得られ、圧電特性の向上に有用であることがわかる。
【0052】
実験例27〜30)
上記実験例3、6と同じ方法で、添加物の種類と添加量のみを変更した圧電材料を作製し、添加物の効果を調べた。それぞれ、添加物としてSbに代えて、Mn、Nb、を用い、添加量を0.5重量%として同様の方法で圧電材料を作製し、キュリー点、変位量を測定した。結果を表9に示す。表に明らかなように、いずれも25μm以上の高変位量が得られ、キュリー点も上記実験例3、6と同等ないしそれ以上であった。
【0053】
【表9】
Figure 0003827915
【0054】
実験例31〜32,比較例31〜34)
次に、一般式(1)におけるγ(Y+Nb量)と変位量の関係を調べた。上記実験例3、6の組成について、γの値を0から0.1の範囲で表10のように変化させた圧電材料を同様の方法で作成して、その変位量を測定した。結果を表10に併記する。表10より、γ=0の比較例31、33に比べ、γ=0.01、0.05の実験例3、6、31、32では、変位量を向上させる明らかな効果が見られる。ただし、γ=0.1の比較例32、34ではγ=0の場合より変位量が小さくなっている。以上より、変位量の向上には、0<γ<0.1の範囲の材料が有用である。
【0055】
【表10】
Figure 0003827915
【0056】
実験例33)
さらに、添加量の最適値を知るために、上記実験例3と同じ方法で、Sbの添加量を0から0.7重量%の範囲で変化させた圧電材料を作製し、変位量を測定した。変位量とその温度依存性を図8に示す。図示のように、添加量を0.5重量%以下、特に0.3重量%以下で変位量は大きな値を示しており、0.7重量%では変位量が急激に低下する。またSbの添加によって温度依存性が小さくなり、特に、添加量が0.15重量%付近でその効果が大きい。また、添加量が0.5重量%では、変化量は比較的小さいものの温度依存性が小さいことから、環境温度変化が大きい用途での使用に適するその効果が大きい。
【図面の簡単な説明】
【図1】静電容量に基づくキュリー点の測定方法を説明するための図である。
【図2】A1 =Ce(条件(B))での変位量のz/y比依存性を示す図である。
【図3】A1 =La(条件(A))での変位量のz/y比依存性を示す図である。
【図4】A1 =La(条件(B))での変位量のz/y比依存性を示す図である。
【図5】A1 =Sr、A2 =Baでの変位量のz/y比依存性を示す図である。
【図6】変位量の温度依存性(z/y:一定)を示す図である。
【図7】z/y比を変化させた時の変位量の温度依存性を示す図である。
【図8】添加物の添加量と変位量の関係を示す図である。

Claims (4)

  1. 一般式
    Pb {1− x 1 x 2 )}、 Srx 1 Bax 2
    {( Tiy Zrz )(1−γ)、( Y 0.5 Nb 0.5 )γ} O 3
    式中、0.03≦x 1 ≦0.05、0.03≦x 2 ≦0.05
    (ただし、|x 1 −x 2 |≦0.01)
    y+z=1、1.15<z/y<1.30
    0<γ<0.1
    で表される複合酸化物を主成分として含有することを特徴とする圧電材料。
  2. Sb 2 3 、Mn 2 3 、Nb 2 5 のうちの少なくとも1種を0.5重量%以下の範囲で含有する請求項1記載の圧電材料。
  3. 一般式
    Pb {1− x 1 x 2 )}、 Srx 1 Bax 2
    {( Tiy Zrz )(1−γ)、( Y 0.5 Nb 0.5 )γ} O 3
    において、0.03≦x 1 ≦0.05、0.03≦x 2 ≦0.05
    (ただし、|x 1 −x 2 |≦0.01)
    y+z=1、1.15<z/y<1.30
    0<γ<0.1
    を満足するように、出発原料となる各成分元素の化合物を調合し、混合、焼成することを特徴とする圧電材料の製造方法。
  4. 調合原料に、Sb 2 3 、Mn 2 3 、Nb 2 5 のうちの少なくとも1種を、得られる圧電材料中の含有量が0.5重量%以下となる範囲で添加する請求項3記載の圧電材料の製造方法。
JP2000138529A 2000-05-11 2000-05-11 圧電材料およびその製造方法 Expired - Fee Related JP3827915B2 (ja)

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