JP3826161B2 - バナジウム含有触媒およびその製造方法、並びに、その使用方法 - Google Patents

バナジウム含有触媒およびその製造方法、並びに、その使用方法 Download PDF

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Description

技術分野
本発明は、酸化反応をはじめとする各種触媒反応に用いられるバナジウム含有触媒に関するものである。詳しくは、芳香族炭化水素、複素環式化合物、脂肪族飽和化合物、脂肪族不飽和化合物、およびそれらの誘導体の酸化反応、例えば、o-キシレンやナフタレンからの無水フタル酸の合成、デュレンからの無水ピロメリット酸の合成、ベンゼンやn-ブタンからの無水マレイン酸の合成、(置換)トルエンからの(置換)ベンズアルデヒドの合成、トルエンからの安息香酸の合成、ピコリン、ルチジン、キノリンなどの酸化によるピリジンカルボン酸類の合成、メタンからのホルムアルデヒドの合成、(メタ)アクロレインからの(メタ)アクリル酸の合成などの各種の部分酸化反応;プロパン、ブタン類の酸化脱水素によるプロピレン、ブテン類の合成、メタノールからのホルムアルデヒドおよびギ酸メチル合成などの各種の酸化脱水素反応;トルエンのアンモ酸化によるベンゾニトリルの合成、プロパン、イソブタンのアンモ酸化によるアクリロニトリル、メタクリロニトリルの合成など各種のアンモ酸化反応;さらにSO2の酸化による硫酸の合成など無機化合物の酸化反応;窒素酸化物のアンモニアによる還元脱硝;有機ハロゲン化物の分解反応;さらに水素化反応;脱水素反応;水素化脱硫反応;異性化反応;アルキル化反応;脱水反応;重合反応;光触媒反応など種々の反応に好適に供されるバナジウムを主要成分として含有する触媒およびその製造方法、並びに、該触媒の使用方法としての無水フタル酸の製造方法、イソブテンの製造方法、ギ酸メチルの製造方法、ベンズアルデヒドの製造方法、安息香酸の製造方法、アニスアルデヒドの製造方法、プロピレンの製造方法、およびアクリロニトリルの製造方法に関するものである。
背景技術
従来より、バナジウムを主要成分として含有する触媒は、例えば、o-キシレンやナフタレンの酸化による無水フタル酸の合成、デュレンの酸化による無水ピロメリット酸の合成、ベンゼンやn-ブタンの酸化による無水マレイン酸の合成、トルエンのアンモ酸化によるベンゾニトリルの合成、置換トルエンの酸化による置換ベンズアルデヒドの合成、アクロレインの酸化によるアクリル酸の合成、メタノールの酸化脱水素によるホルムアルデヒドの合成、プロパン、ブタン類の酸化脱水素によるプロピレン、ブテン類の合成、プロパン、イソブタンのアンモ酸化によるアクリロニトリル、メタクリロニトリルの合成、SO2の酸化による硫酸の合成、窒素酸化物のアンモニアによる還元脱硝、有機ハロゲン化物の分解等の種々の反応に工業的に使用され、あるいは研究されている。
上記従来の触媒では、バナジウムは、酸化物、または他成分との複合酸化物の形で存在し、これらを成型した成型触媒として、あるいはこれらを担体に担持された形の担持触媒として使用されることが多い。しかし、上記の触媒の調製は、メタバナジン酸アンモニウムや蓚酸バナジル等の水に可溶な塩の水溶液、あるいはこれらの水に可溶な塩や五酸化バナジウムを蓚酸、塩酸等の鉱酸で溶解して得られた水溶液を使用し、担体への含浸、他成分との混合等を行う方法が今日まで採用されている。
しかしながら、上記従来のバナジウム含有触媒は、バナジウム成分を含む溶液を、例えば、蒸発乾固等して、強制的に担持あるいは固化させているだけであり、担体あるいは他成分との相互作用が弱く、乾燥時の物質移動により、不均一な担持あるいは不均質な混合がさけられない。従って、触媒活性成分の分散性、均一性や熱的安定性が悪く、反応収率が十分でない、あるいは触媒寿命が十分でない等、十分な触媒性能が得られないという問題点を有している。
例えば、V25−TiO2を必須とする触媒系を用いて、o-キシレン酸化による無水フタル酸合成等が行われている。この場合、理想的には、アナターゼ型チタニアの表面に、V25の単分子層を形成させた触媒系が好ましいとされている。しかし、上記従来の触媒調製法では、このような理想的な分散状態の実現は困難である。
また、V25−TiO2を含む触媒系を用いて、NOxのNH3による還元脱硝が行われている。しかし、この場合にも、やはり上記従来の触媒調製法によって得られる触媒では、熱的安定性に限界があり、低温領域では使用されているが、500℃を超えるような高温領域では、使用することができない。
また、例えば、V−Mg複合酸化物触媒系は、プロパン、ブタン類の酸化脱水素に有効であるとされている。しかし、この場合には、従来、最終段階で固相で高温焼成を行うことにより、有効とされる相形成が行われている。しかし、この場合にも、成分の不均一な混合のために、相形成の制御は、甚だ困難であり、工業的実施可能なレベルに達していない。
さらに、上記従来のバナジウム含有触媒の調製法においては、原料として用いたバナジウム塩の残基や有機物等の残留物を除去するために、高温での焼成が不可欠であり、触媒の調製条件が制約されていた。ひいては、触媒の性能が制約されていた。
また、特殊な調製法としては、バナジルアルコキシドを使用したゾルゲル法、VOCl8等による液相担持法、あるいはCVD(Chemical Vapor Deposition;ケミカルベーバーデポジョン)法等が挙げられる。しかし、これらは、原料が高価である、あるいは特殊な装置が必要である、大規模な生産に向いていない等の問題があり、実用化されていない。
従って、分散性、均一性、熱的安定性に優れ、高い触媒性能を持つバナジウム含有触媒が、種々の反応において求められている。即ち、本発明は、上記従来の問題点に鑑み、なされたものであり、その目的は、分散性、均一性、熱的安定性に優れ、高い触媒性能を持つ新規なバナジウム含有触媒を、種々の反応分野に対し、提供することにある。本発明の他の目的は、分散性、均一性、熱的安定性に優れ、高い触媒性能を持つバナジウム含有触媒を製造することができるバナジウム含有触媒の製造方法を提供することにある。本発明のさらに他の目的は、バナジウム含有触媒を用いて、無水フタル酸、イソブテン、ギ酸メチル、ベンズアルデヒド、安息香酸、アニスアルデヒド、プロピレン、またはアクリロニトリルを効率的に製造することができる製造方法を提供することにある。
発明の開示
本願発明者等は、新規なバナジウム含有触媒を提供すべく鋭意検討した。その過程で、我々は、ポリバナジン酸が、強い吸着作用を示し、固体表面やコロイド粒子に強く結合することを見出し、また、その強い反応性により他の金属と安定な化合物を作ることを見出したことから、これをバナジウム含有触媒の調製に応用した。その結果、バナジウム源としてポリバナジン酸を使用してなるバナジウム含有触媒が、分散性、均一性、熱的安定性に優れ、芳香族炭化水素、複素環式化合物、脂肪族飽和化合物、脂肪族不飽和化合物、およびそれらの誘導体の酸化反応、例えば、o-キシレンやナフタレンからの無水フタル酸の合成、デュレンからの無水ピロメリット酸の合成、ベンゼンやn-ブタンからの無水マレイン酸の合成、(置換)トルエンからの(置換)ベンズアルデヒドの合成、トルエンからの安息香酸の合成、ピコリン、ルチジン、キノリンなどの酸化によるピリジンカルボン酸類の合成、メタンからのホルムアルデヒドの合成、(メタ)アクロレインからの(メタ)アクリル酸の合成などの各種の部分酸化反応;プロパン、ブタン類の酸化脱水素によるプロピレン、ブテン類の合成、メタノールからのホルムアルデヒドおよびギ酸メチル合成などの各種の酸化脱水素反応;トルエンのアンモ酸化によるベンゾニトリルの合成、プロパン、イソブタンのアンモ酸化によるアクリロニトリル、メタクリロニトリルの合成など各種のアンモ酸化反応;さらにSO2の酸化による硫酸の合成など無機化合物の酸化反応;窒素酸化物のアンモニアによる還元脱硝;有機ハロゲン化物の分解反応;さらに水素化反応;脱水素反応;水素化脱硫反応;異性化反応;アルキル化反応;脱水反応;重合反応;光触媒反応など種々の反応に好適に供することができることを見出し、本発明を完成させるに至った。
即ち、本発明のバナジウム含有触媒は、上記の課題を解決するために、バナジウム源としてポリバナジン酸を使用してなることを特徴としている。上記構成において、上記ポリバナジン酸は、バナジウム以外の触媒構成成分またはその前駆体と共に使用されるのが好ましい。
また、上記バナジウム以外の触媒構成成分またはその前駆体は、Ti、Zr、Nb、Ta、Cr、Mo、W、Mn、Re、Fe、Co、Ni、Ru、Rh、Pd、Ir、Pt、Cu、Ag、Zn、B、Al、Ga、In、Tl、Si、Ge、Sn、Pb、P、Sb、Bi、Se、Te、Na、K、Rb、Cs、Mg、Ca、La、およびCeからなる群より選ばれる少なくとも1つの元素の化合物であるのが好ましい。
さらに、上記バナジウム以外の触媒構成成分またはその前駆体の少なくとも一つは、無機多孔質体であるのが好ましい。上記無機多孔質体は、金属酸化物および/または金属水酸化物からなるのが好ましい。上記金属酸化物および/または金属水酸化物が、Ti、Zr、Nb、Al、Si、Sn、Sb、Mo、W、Mn、Ce、およびMgからなる群より選ばれる少なくとも1つの金属の酸化物および/または水酸化物であるのが好ましい。さらに好ましくは、Ti、Zr、Nb、Al、Si、およびMgからなる群より選ばれる少なくとも1つの金属の酸化物および/または水酸化物である。
その上、上記ポリバナジン酸は、メタバナジン酸塩水溶液をプロトン型陽イオン交換樹脂でイオン交換した後、さらに縮重合してなるのが好ましい。
また、本発明のバナジウム含有触媒は、上記の課題を解決するために、メタバナジン酸塩水溶液をプロトン型陽イオン交換樹脂でイオン交換した後、さらに縮重合して得られるポリバナジン酸ゾルを、バナジウム以外の触媒構成成分またはその前駆体と混合した後、さらに乾燥および/または焼成することにより得られることを特徴としている。
上記の構成によれば、バナジウム含有触媒は、従来のバナジウム含有触媒と比較して、分散性、均一性や熱的安定性に優れており、触媒性能に優れ、かつ寿命が長い。これにより、該バナジウム含有触媒は、温和な反応条件で触媒活性を充分に発揮することができ、芳香族炭化水素、複素環式化合物、脂肪族飽和化合物、脂肪族不飽和化合物、およびそれらの誘導体の酸化反応、例えば、o-キシレンやナフタレンからの無水フタル酸の合成、デュレンからの無水ピロメリット酸の合成、ベンゼンやn-ブタンからの無水マレイン酸の合成、(置換)トルエンからの(置換)ベンズアルデヒドの合成、トルエンからの安息香酸の合成、ピコリン、ルチジン、キノリンなどの酸化によるピリジンカルボン酸類の合成、メタンからのホルムアルデヒドの合成、(メタ)アクロレインからの(メタ)アクリル酸の合成などの各種の部分酸化反応;プロパン、ブタン類の酸化脱水素によるプロピレン、ブテン類の合成、メタノールからのホルムアルデヒドおよびギ酸メチル合成などの各種の酸化脱水素反応;トルエンのアンモ酸化によるベンゾニトリルの合成、プロパン、イソブタンのアンモ酸化によるアクリロニトリル、メタクリロニトリルの合成など各種のアンモ酸化反応;さらにSO2の酸化による硫酸の合成など無機化合物の酸化反応;窒素酸化物のアンモニアによる還元脱硝;有機ハロゲン化物の分解反応;さらに水素化反応;脱水素反応;水素化脱硫反応;異性化反応;アルキル化反応;脱水反応;重合反応;光触媒反応など種々の反応に好適に供することができる。
さらに本発明のバナジウム含有触媒の調製方法の概要を以下に記載する。まず、バナジン酸塩を水に溶解して水溶液とし、当該溶液をイオン交換樹脂に通過させ、プロトン型のバナジン酸水溶液を得る。次いで、得られたプロトン型のバナジン酸水溶液を縮重合することにより、ポリバナジン酸が得られる。これは本発明のバナジウム含有触媒の前駆体の一形態である。
場合によっては、バナジウム以外の触媒構成成分またはその前駆体を共存させることもでき、共存させる方法としては、ポリバナジン酸とバナジウム以外の触媒構成成分またはその前駆体とを混合、練りこみ、共沈、担持等の手段を用いる。これにより、ポリバナジン酸と、バナジウム以外の触媒構成成分またはその前駆体とを、共存あるいは複合化することができる。
上記手順により得られたポリバナジン酸を使用してなるバナジウム含有触媒の前駆体を、必要に応じて乾燥、焼成することにより、バナジウム含有触媒とすることができる。
さらに、上記触媒は、適当な形状および粒子径等に成形、分級等することにより、使用対象反応に応じて形態にすることができる。
なお、上記の方法が単なる概要であり、原料の種類および濃度、イオン交換樹脂並びに反応条件および該共存条件等の変更により上記手段は適宜変更して使用することができる。以下に、各工程及び原料等について詳述する。
本発明のバナジウム含有触媒の製造方法は、上記の課題を解決するために、ポリバナジン酸を、バナジウム以外の触媒構成成分またはその前駆体と混合するステップと、得られた混合物を乾燥および/または焼成するステップとを含んでなることを特徴としている。
上記方法によれば、従来のバナジウム含有触媒と比較して、触媒活性が高く、かつ、寿命が長く、しかも、分散性や熱的安定性に優れており、高温で用いても劣化しないバナジウム含有触媒を製造することができる。従って、上記バナジウム含有触媒は、温和な反応条件で触媒活性を充分に発揮することができ、前述の種々の反応に好適に供することができる。
本発明の無水フタル酸の製造方法は、上記の課題を解決するために、o-キシレンと、酸素、空気、酸素と不活性ガスとの混合気体等の分子状酸素とを含む混合気体を、バナジウム源としてポリバナジン酸を使用してなるバナジウム含有触媒に接触させることを特徴としている。上記方法によれば、無水フタル酸を効率的に製造することができる。
本発明のイソブテンの製造方法は、上記の課題を解決するために、イソブタンと分子状酸素とを含む混合気体を、バナジウム源としてポリバナジン酸を使用してなるバナジウム含有触媒に接触させることを特徴としている。上記方法によれば、イソブテンを効率的に製造することができる。
本発明のギ酸メチルの製造方法は、上記の課題を解決するために、メタノールと分子状酸素とを含む混合気体を、バナジウム源としてポリバナジン酸を使用してなるバナジウム含有触媒に接触させることを特徴としている。上記方法によれば、ギ酸メチルを効率的に製造することができる。
本発明のベンズアルデヒドの製造方法は、上記の課題を解決するために、トルエンと分子状酸素とを含む混合気体を、バナジウム源としてポリバナジン酸を使用してなるバナジウム含有触媒に接触させることを特徴としている。上記方法によれば、ベンズアルデヒドを効率的に製造することができる。
本発明の安息香酸の製造方法は、上記の課題を解決するために、トルエンと分子状酸素とを含む混合気体を、バナジウム源としてポリバナジン酸を使用してなるバナジウム含有触媒に接触させることを特徴としている。上記方法によれば、安息香酸を効率的に製造することができる。
本発明のアニスアルデヒドの製造方法は、上記の課題を解決するために、p-メトキシトルエンと分子状酸素とを含む混合気体を、バナジウム源としてポリバナジン酸を使用してなるバナジウム含有触媒に接触させることを特徴としている。上記方法によれば、アニスアルデヒドを効率的に製造することができる。
本発明のプロピレンの製造方法は、上記の課題を解決するために、プロパンと分子状酸素とを含む混合気体を、バナジウム源としてポリバナジン酸を使用してなるバナジウム含有触媒に接触させることを特徴としている。上記方法によれば、プロピレンを効率的に製造することができる。
本発明のアクリロニトリルの製造方法は、上記の課題を解決するために、プロパン、分子状酸素、およびアンモニアを含む混合気体を、バナジウム源としてポリバナジン酸を使用してなるバナジウム含有触媒に接触させることを特徴としている。上記方法によれば、アクリロニトリルを効率的に製造することができる。
以下に本発明を詳しく説明する。尚、本発明において、「ポリバナジン酸」とは、バナジン酸(HVO3)が、少なくとも2個以上、好ましくは10個以上縮重合してなるポリ酸を示す。また、「(置換)」とは、置換基を有していても有していなくてもよいことを示す。
本発明にかかるバナジウム含有触媒は、バナジウム源としてポリバナジン酸を使用してなっている。
上記のポリバナジン酸は、原料として用いたバナジウム塩の残基や有機物等の不純物を排除するために、バナジン酸塩水溶液をプロトン型陽イオン交換樹脂でイオン交換した後、さらに縮重合してなることが好ましい。
尚、バナジン酸塩は、特に限定されるものではないが、バナジン酸イオン(陰イオン)はメタバナジン酸イオンが好ましく、対イオン(陽イオン)はアルカリ金属イオンおよび/またはアンモニウムイオンが好ましい。上記バナジン酸塩としては、具体的には、例えば、メタバナジン酸アンモニウム、メタバナジン酸ナトリウム、メタバナジン酸カリウム等が挙げられる。
上記のバナジン酸塩水溶液の濃度は、特に限定されるものではないが、その下限値は、バナジウムイオンとして0.01モル/Lが好ましく、0.03モル/Lがより好ましく、0.05モル/Lがさらに好ましい。バナジン酸塩水溶液の濃度が0.01モル/Lよりも低い場合には、重合反応の速度が低下し、触媒調製に時間がかかり過ぎるため、好ましくない。また、上限値は、水に飽和状態で溶解する量であり、例えばメタバナジン酸アンモニウム水溶液では凡そ0.8モル/Lであり、0.4モル/Lが好ましく、0.2モル/Lがより好ましい。
バナジン酸塩水溶液をプロトン型陽イオン交換樹脂でイオン交換する際の処理方法は、特に限定されるものではない。該処理方法としては、例えば、該バナジン酸塩水溶液をプロトン型陽イオン交換樹脂に滴下、若しくは、通液等して両者を接触させ、陽イオン交換させればよい。これにより、プロトン型のバナジン酸水溶液が容易に得られる。尚、プロトン型陽イオン交換樹脂の種類は、特に限定されるものではないが、強酸性のプロトン型陽イオン交換樹脂が、好ましい。尚、処理時間や処理温度等の各種処理条件は、特に限定されるものではない。上記のプロトン型陽イオン交換樹脂は、例えば塩酸等を用いて再生処理することにより、繰り返し使用することができる。
イオン交換したバナジン酸は、イオン交換直後において、既に、大半が、バナジン酸が10個縮重合したデカバナジン酸となっており、これをポリバナジン酸として使用することも可能であるが、好ましくは、さらに縮重合させてから使用する。
この縮重合が進んだ段階で、ポリバナジン酸のコロイド粒子が形成され、ゾルの状態となる。このコロイド粒子は、少なくとも10Å以上の粒径を有し、1個のコロイド粒子を構成する平均的なバナジウム原子の数は、1000個以上になる。系中の全バナジウム原子の約8割が、コロイド粒子を形成した段階(残りの約2割は、デカバナジン酸として存在する)でほぼ組成の安定したポリバナジン酸ゾルが得られ、本発明の触媒の調製に好適に使用される。
イオン交換したバナジン酸水溶液を縮重合させる際の反応条件は、特に限定されるものではない。バナジン酸は、例えば、室温で長時間、放置することにより、自然に縮重合が進行するが、加熱によって、その重合速度を加速することもできる。加熱する場合における反応温度は、100℃以下が好ましい。
組成の安定したポリバナジン酸ゾルを得るための反応時間は、反応温度やバナジン酸水溶液の濃度にもよるが、例えば室温で縮重合させる場合には、1日以上が好ましく、7日以上がより好ましい。また、例えば80℃で縮重合させる場合には、3時間〜4時間程度で十分である。これにより、組成の安定したポリバナジン酸ゾルが容易に得られる。
イオン交換したバナジン酸の濃度が、0.2モル/Lを上回る場合、縮重合が進行すると、ゲル状態のものが得られる。そのままでも、本発明の触媒の調製に使用することはできるが、水で分散させ、ゾルの状態で使用することが好ましい。
バナジウム源としてのポリバナジン酸の使用方法は、特に限定されるものではないが、バナジウム以外の触媒構成成分またはその前駆体と共に使用されるのが好ましい。上記バナジウム以外の触媒構成成分またはその前駆体は、Ti、Zr、Nb、Ta、Cr、Mo、W、Mn、Re、Fe、Co、Ni、Ru、Rh、Pd、Ir、Pt、Cu、Ag、Zn、B、Al、Ga、In、Tl、Si、Ge、Sn、Pb、P、Sb、Bi、Se、Te、Na、K、Rb、Cs、Mg、Ca、La、およびCeからなる群より選ばれる少なくとも1つの元素の化合物であるのが好ましい。
バナジウム源としてのポリバナジン酸をバナジウム以外の触媒構成成分またはその前駆体と共に使用する方法は、特に限定されるものではないが、例えば、ポリバナジン酸の水溶液またはゾルを、触媒構成成分である無機多孔質体に含浸させる方法;ポリバナジン酸の水溶液またはゾルを、無機多孔質体の前駆体であるゲル、ゾル等と混合する方法;ポリバナジン酸の水溶液またはゾルと、触媒構成成分の均一溶液とを混合して反応させる方法等が挙げられる。
本発明のバナジウム含有触媒の調製方法としては、ポリバナジン酸ゾルを、バナジウム以外の触媒構成成分またはその前駆体と混合した後、さらに乾燥および/または焼成する方法が好ましい。
ポリバナジン酸ゾルを、本発明のバナジウム含有触媒の調製に用いる際には、そのまま使用してもよく、濃縮して使用してもよい。また、水、その他の溶媒で希釈して溶液にして使用してもよい。
上記バナジウム以外の触媒構成成分またはその前駆体(以下、適宜、単に触媒構成成分と記す)の少なくとも一つは、無機多孔質体であるのが好ましい。この触媒構成成分またはその前駆体としての無機多孔質体の中には、一般に担体と呼ばれる耐熱性不活性物質が含まれるが、それには限定されるものではなく、触媒活性を有するもの、あるいは、バナジウムと複合化合物を作るもの等も含まれる。
上記の無機多孔質体を形成する化合物は、特に限定されるものではなく、金属酸化物、金属水酸化物、窒化物、炭化物等が挙げられるが、金属酸化物および/または金属水酸化物が特に好ましい。また、上記の無機多孔質体の比表面積は、特に限定されるものではないが、0.1m2/g以上、1000m2/g以下が好ましく、1m2/g以上、500m2/g以下がさらに好ましい。
上記の金属酸化物および/または金属水酸化物は、特に限定されるものではないが、Ti、Zr、Nb、Al、Si、Sn、Sb、Mo、W、Mn、Ce、およびMgからなる群より選ばれる少なくとも1つの金属の酸化物および/または水酸化物であることが好ましい。さらに好ましくは、Ti、Zr、Nb、Al、Si、およびMgからなる群より選ばれる少なくとも1つの金属の酸化物および/または水酸化物である。尚、本発明において、無機多孔質体には、これらの前駆体も含まれるものとする。上記の前駆体とは、例えば、これら金属化合物の水和物のゾルまたはゲル、あるいは、スラリー状の金属化合物等であり、乾燥焼成等によって無機多孔質体に転じるものを示す。
ポリバナジン酸ゾルまたは水溶液を無機多孔質体と共に使用して本発明のバナジウム含有触媒を調製する場合、加熱を行うと、ポリバナジン酸の吸着作用が促進されるため、好ましい。また、触媒活性成分と共に使用する場合にも、加熱を行うと、ポリバナジン酸との反応が促進されるため、好ましい。加熱の温度は、特に限定されないが、50〜100℃で充分効果が発揮される。
本発明にかかるバナジウム含有触媒は、無機多孔質体以外の触媒構成成分(以下、他の触媒構成成分と称する)を含有していてもよい。このような他の触媒構成成分を形成する金属としては、特に限定されるものではなく、Ti、Zr、Nb、Ta、Cr、Mo、W、Mn、Re、Fe、Co、Ni、Ru、Rh、Pd、Ir、Pt、Cu、Ag、Zn、B、Al、Ga、In、Tl、Si、Ge、Sn、Pb、P、Sb、Bi、Se、Te、Na、K、Rb、Cs、Mg、Ca、La、およびCeからなる群より選ばれる少なくとも1つの金属であればよい。このような金属化合物をバナジウムと共存させることにより、バナジウム含有触媒の触媒性能を向上させることができる。
これら他の触媒構成成分の導入に用いる他の触媒構成成分またはその前駆体としては、具体的には、例えば、焼結炭化ケイ素等の非孔質固体;硝酸塩、硫酸塩、酢酸塩、塩化物等の各種金属塩の溶液;有機金属化合物;金属アルコキシド;金属塩化物等の液状あるいは気体状の化合物が挙げられる。
これら他の触媒構成成分の導入方法については、特に限定されないが、例えば、ポリバナジン酸ゾルまたは水溶液と、これら他の触媒構成成分またはその前駆体とを混合し、その混合溶液を無機多孔質体等に接触させることもできるし、予めポリバナジン酸ゾルまたは水溶液を前述の方法で無機多孔質体等に担持させたものを、他の触媒構成成分またはその前駆体を含む溶液に浸漬し、担持させることもできる。後者の場合、吸着担持されたポリバナジン酸は、無機多孔質体等に強固に固定されているので、続いて他の触媒構成成分を担持させる際にも脱落、移動等の影響を受けない。
本発明にかかるバナジウム含有触媒は、バナジウム以外の触媒構成成分またはその前駆体とポリバナジン酸との混合物、あるいは、ポリバナジン酸そのものを乾燥および/または焼成することにより得られる。
上記乾燥の温度は、特に限定されないが、好ましくは0℃以上150℃未満、より好ましくは20℃以上120℃以下の温度が選ばれる。また、上記焼成の温度は、特に限定されないが、好ましくは150℃以上1000℃以下、より好ましくは200℃以上800℃以下の温度が選ばれる。上記の乾燥や焼成の雰囲気は、特に限定されないが、通常、乾燥や焼成は大気中または窒素中で行われる。
上記乾燥(および焼成)を行う際、ポリバナジン酸が、前述のイオン交換により得たものである場合、余計な残基や有機物を含まないため、これらを除去するために、必ずしも高温で焼成する必要がなく、乾燥するだけでも充分な触媒作用が得られ、好適に用いることができる。したがって、乾燥(および焼成)の温度は、制約がなくなり、広い温度範囲の中から、触媒の用途等に応じて、最適の温度を選択することができる。
一方、ポリバナジン酸が、前述のイオン交換により得たものでない場合には、余計な残基や有機物を含むため、これらを除去するために、高温で焼成する必要がある。
本発明のバナジウム含有触媒のバナジウム含有率は、特に限定されないが、バナジウム含有触媒が含有しているバナジウムの量をV25に換算した重量が、バナジウム含有触媒の総重量に対して0.1〜80重量%の範囲内であることが好ましく、0.3〜50重量%であることがより好ましい。
上記のバナジウム含有触媒の形状は、特に限定されるものではない。固定床として使用する場合には、反応管の形状に応じて、所定の形状にするのが好ましい。あるいは、上記成型品を破砕する等して適当なメッシュの粒径に揃えるのが好ましい。
本発明にかかるバナジウム含有触媒は、有機物の部分酸化、有機物の酸化脱水素、有機物のアンモ酸化、二酸化硫黄の酸化による硫酸の合成(SO2→SO3(→H2SO4))等のような無機物の部分酸化等の各種の酸化反応;窒素酸化物のアンモニアによる還元脱硝(NOx+NH3→N2,H2O);石油(原油)ハイドロクラッキング等の有機物の水素化反応;有機物の脱水素反応(酸化的でない);石油水素化脱硫反応等の有機物の水素化脱硫反応;有機ハロゲン化物の分解反応(RX→CO2,H2O,HX,X2,etc)等の分解反応;有機物の異性化反応;有機物のアルキル化反応;アルコール類の脱水反応;スチレンの重合、1-ブテンの重合等の有機物の重合反応;プロパンからのアセトンの合成、プロピレンからのアクロレインの合成等の有機物の光触媒反応;一酸化窒素の分解(NO→N2,O2)等の無機物の光触媒反応など種々の反応に対して、温和な反応条件で触媒活性を充分に発揮する。
上記有機物の部分酸化としては、芳香族炭化水素の部分酸化、複素環式化合物の部分酸化、脂肪族飽和炭化水素の部分酸化、脂肪族不飽和炭化水素の部分酸化、および、それらの化合物の誘導体の部分酸化等が上げられる。
芳香族炭化水素の部分酸化としては、具体的には、例えば、o-キシレンの部分酸化による無水フタル酸の合成、ナフタレンの部分酸化による無水フタル酸の合成、デュレンの部分酸化による無水ピロメリット酸の合成、ベンゼンの部分酸化による無水マレイン酸の合成、トルエンやp-メトキシトルエン等の(置換)トルエンの部分酸化によるベンズアルデヒドやアニスアルデヒド等の(置換)ベンズアルデヒドの合成、トルエンやp-ヒドロキシトルエン等の(置換)トルエンの部分酸化による安息香酸やp-ヒドロキシ安息香酸等の(置換)安息香酸の合成、ベンゼンの部分酸化によるベンゾキノンの合成、ナフタレンの部分酸化によるナフトキノンの合成、アンスラセンの部分酸化によるアンスラキノンの合成、ベンゼンの部分酸化によるフェノールの合成等が挙げられる。
複素環式化合物の部分酸化としては、具体的には、例えば、ピコリン、ルチジン、キノリン等のピリジン骨格を有する複素環式化合物の部分酸化によるピリジンカルボン酸類の合成等が挙げられる。
脂肪族飽和炭化水素の部分酸化としては、具体的には、例えば、メタンの部分酸化によるホルムアルデヒドの合成、メタンの部分酸化によるメタノールの合成、エタンの部分酸化によるアセトアルデヒドの合成、エタンの部分酸化による酢酸の合成、プロパンの部分酸化によるアクロレインの合成、プロパンの部分酸化によるアクリル酸の合成、n-ブタンの酸化による無水マレイン酸の合成、イソブタンの部分酸化によるメタクロレインの合成、イソブタンの部分酸化によるメタクリル酸の合成等が挙げられる。
脂肪族不飽和炭化水素の部分酸化としては、具体的には、例えば、エチレンの部分酸化によるアセトアルデヒドの合成、プロピレンの部分酸化によるアセトンの合成、プロピレンの部分酸化によるアクロレインの合成、n-ブテンの部分酸化による無水マレイン酸の合成、ブタジエンの部分酸化による無水マレイン酸の合成、イソブテンの部分酸化によるメタクロレインの合成等が挙げられる。
上記各化合物(芳香族炭化水素、複素環式化合物、脂肪族飽和炭化水素、または、脂肪族不飽和炭化水素)の誘導体の部分酸化としては、具体的には、例えば、アクロレインの部分酸化によるアクリル酸の合成、メタクロレインの部分酸化によるメタクリル酸の合成、フルフラールの部分酸化による無水マレイン酸の合成等のアルデヒドの部分酸化が挙げられる。
上記有機物の酸化脱水素としては、芳香族炭化水素の酸化脱水素、複素環式化合物の酸化脱水素、脂肪族飽和炭化水素の酸化脱水素、脂肪族不飽和炭化水素の酸化脱水素、および、それらの誘導体の酸化脱水素等が挙げられる。
芳香族炭化水素の酸化脱水素としては、具体的には、例えば、エチルベンゼンの酸化脱水素によるスチレンの合成等のようなアルキルベンゼンの酸化脱水素によるアルケニルベンゼンの合成、アルキルナフタレンの酸化脱水素によるアルケニルナフタレンの合成等が挙げられる。
複素環式化合物の酸化脱水素としては、具体的には、例えば、ピコリン、ルチジン等のアルキルピリジンの酸化脱水素によるアルケニルピリジンの合成等が挙げられる。
脂肪族飽和炭化水素の酸化脱水素としては、具体的には、例えば、エタンの酸化脱水素によるエチレンの合成、プロパンの酸化脱水素によるプロピレンの合成、n-ブタンの酸化脱水素によるブテン類の合成、イソブタンの酸化脱水素によるイソブテンの合成等が挙げられる。
脂肪族不飽和炭化水素の酸化脱水素としては、具体的には、例えば、ブテンの酸化脱水素によるブタジエンの合成等が挙げられる。
上記各化合物の誘導体の酸化脱水素としては、具体的には、例えば、メタノールの酸化脱水素(酸化脱水素二量化反応)によるギ酸メチルの合成、メタノールの酸化脱水素によるホルムアルデヒドの合成、エタノールの酸化脱水素によるアセトアルデヒドの合成等のアルコールの酸化脱水素;乳酸エステルの酸化によるピルビン酸エステルの合成;イソ酪酸エステルの酸化によるメタクリル酸エステルの合成等が挙げられる。
上記有機物のアンモ酸化としては、芳香族炭化水素のアンモ酸化、複素環式化合物のアンモ酸化、脂肪族飽和炭化水素のアンモ酸化、脂肪族不飽和炭化水素のアンモ酸化等が挙げられる。
芳香族炭化水素のアンモ酸化としては、具体的には、例えば、ベンゼンのアンモ酸化によるベンゾニトリルの合成、キシレンのアンモ酸化によるフタロニトリルの合成等が挙げられる。
複素環式化合物のアンモ酸化としては、具体的には、例えば、ピコリン、ルチジン等のアンモ酸化によるシアノピリジンの合成等が挙げられる。
脂肪族飽和炭化水素のアンモ酸化としては、具体的には、例えば、プロパンのアンモ酸化によるアクリロニトリルの合成、イソブタンのアンモ酸化によるメタクリロニトリルの合成等が挙げられる。
脂肪族不飽和炭化水素のアンモ酸化としては、具体的には、例えば、プロピレンのアンモ酸化によるアクリロニトリルの合成、イソブテンのアンモ酸化によるメタクリロニトリルの合成等が挙げられる。
本発明にかかるバナジウム含有触媒は、上記例示の反応のうち、特に、芳香族炭化水素の部分酸化、複素環式化合物の部分酸化、脂肪族飽和炭化水素の部分酸化、アルデヒドの部分酸化、脂肪族飽和炭化水素の酸化脱水素、アルコールの酸化脱水素、芳香族炭化水素のアンモ酸化、脂肪族飽和炭化水素のアンモ酸化、二酸化硫黄の酸化(硫酸合成)、窒素酸化物のアンモニアによる還元脱硝、有機ハロゲン化物の分解反応に好適であり、これらの中でも、芳香族炭化水素の部分酸化、脂肪族飽和炭化水素の酸化脱水素、アルコールの酸化脱水素、芳香族炭化水素のアンモ酸化、脂肪族飽和炭化水素のアンモ酸化、二酸化硫黄の酸化(硫酸合成)、窒素酸化物のアンモニアによる還元脱硝、有機ハロゲン化物の分解反応に特に好適である。
さらに、本発明にかかるバナジウム含有触媒は、これらの反応の中でも、o-キシレンの部分酸化による無水フタル酸の合成、トルエンの部分酸化によるベンズアルデヒドの合成、トルエンの部分酸化による安息香酸の合成、p-メトキシトルエンの部分酸化によるアニスアルデヒドの合成、プロパンの酸化脱水素によるプロピレンの合成、イソブタンの酸化脱水素によるイソブテンの合成、メタノールの酸化脱水素によるギ酸メチルの合成、プロパンのアンモ酸化によるアクリロニトリルの合成に最も好適である。
具体的には、例えば、無水フタル酸は、o-キシレンと分子状酸素とを含む混合気体を、本発明にかかるバナジウム含有触媒に接触させる方法により、効率的に製造される。ベンズアルデヒドは、トルエンと分子状酸素とを含む混合気体を、本発明にかかるバナジウム含有触媒に接触させる方法により、効率的に製造される。安息香酸は、トルエンと分子状酸素とを含む混合気体を、本発明にかかるバナジウム含有触媒に接触させる方法により、効率的に製造される。アニスアルデヒドは、p-メトキシトルエンと分子状酸素とを含む混合気体を、本発明にかかるバナジウム含有触媒に接触させる方法により、効率的に製造される。また、ギ酸メチルは、メタノールと分子状酸素とを含む混合気体を、本発明にかかるバナジウム含有触媒に接触させる方法により、効率的に製造される。
さらに、プロピレンは、プロパンと分子状酸素とを含む混合気体を、本発明にかかるバナジウム含有触媒に接触させる方法により、効率的に製造される。イソブテンは、イソブタンと分子状酸素とを含む混合気体を、本発明にかかるバナジウム含有触媒に接触させる方法により、効率的に製造される。
また、アクリロニトリルは、プロパン、分子状酸素、およびアンモニアを含む混合気体を、本発明にかかるバナジウム含有触媒に接触させる方法により、効率的に製造される。
尚、該バナジウム含有触媒を用いて各種反応を行う際の反応装置は、特に限定されるものではないが、固定床流通式の装置が好ましい。また、各種反応を行う際の温度、圧力、基質濃度、流量、触媒量等の反応条件は、特に限定されるものではない。
本発明のさらに他の目的、特徴、および優れた点は、以下に示す記載によって十分わかるであろう。また、本発明の利益は、次の説明で明白になるであろう。
発明を実施するための最良の形態
以下、実施例および比較例により、本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれらにより何ら限定されるものではない。
尚、転化率、選択率、および収率は、それぞれ下記式により定義される。
転化率(モル%)
=(反応した基質のモル数/供給した基質のモル数)×100
選択率(モル%)
=(各生成物のモル数/反応した基質のモル数)
×(各生成物の炭素数/供給した基質の炭素数)×100
収率(モル%)=(転化率×選択率)/100
〔実施例1〕
バナジン酸塩水溶液であるメタバナジン酸アンモニウム水溶液(濃度0.15モル/L)を、陽イオン交換樹脂(ダウ・ケミカル株式会社製、DOWEX「登録商標」、50W−X4、50メッシュ〜100メッシュ)の層に通し、陽イオン交換を行ってプロトン型のバナジン酸水溶液とした。その後、この水溶液を室温で2週間放置することにより、該バナジン酸を自然重合させ、暗赤色で高粘度のポリバナジン酸ゾルを得た。
次に、上記のポリバナジン酸ゾル152mLを水で200mLに希釈した。次いで、このゾルに、無機多孔質体であるアナターゼ型の二酸化チタン粉末(特級、和光純薬工業株式会社製、比表面積19m2/g)50gを加え、70℃で4時間攪拌した後、90℃に昇温して水分を蒸発させながら攪拌を続けてペースト状の組成物を得た。この組成物を100℃で一晩乾燥させた後、250℃で2時間焼成し、さらに、500℃で4時間焼成することにより、バナジウム含有触媒を得た。以上のようにして得たバナジウム含有触媒を所定の方法により分析したところ、該触媒は、V25換算で4.0重量%のバナジウムを含有していた。
次に、上記のバナジウム含有触媒を用いて、o-キシレンの酸化による無水フタル酸の合成を行った。即ち、先ず、バナジウム含有触媒の粒度を9メッシュ〜16メッシュに揃えた。次に、固定床流通式で反応を行うために、上記のバナジウム含有触媒4.08gを、内径10mmのステンレス製反応管に充填した。そして、この反応管に、o-キシレンを1.2%含有する空気を、250ml/minの速度で通過させた。反応条件は、常圧、温度320℃とした。
反応開始8時間後から30分間の反応ガス、つまり、反応管を通過した空気をサンプリングし、ガスクロマトグラフィーを用いて生成物を分析した。その結果、o-キシレンの転化率は99.5%であった。また、生成物である無水フタル酸の選択率は73.6%であり、収率は73.2%であった。
〔比較例1〕
公知の方法により、比較用のバナジウム含有触媒を調製した。即ち、メタバナジン酸アンモニウム2.68gに水200mLを加え、加熱・攪拌してスラリーとした。次に、このスラリーに蓚酸5.77gを徐々に添加して、緑色ないし青色の均一水溶液を得た。次いで、この水溶液に、実施例1で用いたアナターゼ型の二酸化チタン粉末50gを加え、実施例1と同様にして処理することにより、比較用のバナジウム含有触媒を得た。以上のようにして得た比較用のバナジウム含有触媒は、V25換算で4.0重量%のバナジウムを含有していた。
次に、上記比較用のバナジウム含有触媒を用いて、実施例1と同様の反応条件下で、o-キシレンの酸化による無水フタル酸の合成を行った。そして、生成物を分析した結果、o-キシレンの転化率は99.9%であったが、生成物である無水フタル酸の選択率は66.9%であり、収率は66.8%であった。
上記実施例1および比較例1の結果から明らかなように、本発明にかかるバナジウム含有触媒は、従来のバナジウム含有触媒と比較して、無水フタル酸の選択率および収率が高いことがわかった。
〔実施例2〕
メタバナジン酸アンモニウム水溶液(濃度0.1モル/L)を、陽イオン交換樹脂(ダウ・ケミカル株式会社製、DOWEX「登録商標」、50W−X4、50メッシュ〜100メッシュ)の層に通し、陽イオン交換を行ってプロトン型のバナジン酸水溶液とした。その後、この水溶液を室温で2週間放置することにより、該バナジン酸を自然重合させ、暗赤色で高粘度のポリバナジン酸ゾルを得た。
水酸化アルミニウム(関東化学株式会社製、鹿特級)を350℃で6時間焼成して得た無機多孔質体であるベーマイト粉末(比表面積320m2/g)10.0gを、水1Lに分散し、70℃に加熱・攪拌しているところに、上記のポリバナジン酸ゾル88mLを滴下し、1時間攪拌を続けた。暗赤色のゾルの色は消え、淡黄色のスラリーとなった。このスラリーをろ過すると、ろ液は無色透明であり、固体分は黄色であった。この固体を100℃で一晩乾燥させた後、500℃で3時間焼成することにより、バナジウム含有触媒を得た。以上のようにして得たバナジウム含有触媒を所定の方法により分析したところ、該触媒は、V25換算で8.6重量%のバナジウムを含有していた。尚、上記ろ液には、バナジウムは、含まれていなかった。
次に、上記のバナジウム含有触媒を用いて、イソブタンの酸化脱水素によるイソブテンの合成を行った。即ち、まず、バナジウム含有触媒の粒度を9メッシュ〜16メッシュに揃えた。次に、固定床流通式で反応を行うために、上記のバナジウム含有触媒0.64gをガラスビーズで4mLに希釈したものを、内径10mmのステンレス製反応管に充填した。そして、この反応管に、イソブタンと酸素と窒素を1:0.068:3.3で混合してなる混合気体を、248ml/minの速度で通過させた。反応条件は、常圧、温度540℃とした。
反応開始30分後から30分間の反応ガスをサンプリングし、ガスクロマトグラフィーを用いて生成物を分析した。その結果、イソブタンの転化率は7.0%、イソブテン選択率は63.6%であった。
〔比較例2〕
公知の方法により、比較用のバナジウム含有触媒を調製した。即ち、メタバナジン酸アンモニウム1.03gに水50mLを加え、加熱・攪拌してスラリーとした。次に、このスラリーに蓚酸2.22gを徐々に添加して、均一の水溶液を得た。次いで、この水溶液に、実施例2で用いたベーマイト粉末10gを加え、70℃で4時間攪拌した後、90℃に昇温して水分を蒸発させながら攪拌を続けて、ペースト状の組成物を得た。この組成物を100℃で一晩乾燥させた後、500℃で3時間焼成することにより、比較用のバナジウム含有触媒を得た。以上のようにして得たバナジウム含有触媒を所定の方法により分析したところ、該触媒は、V25換算で8.6重量%のバナジウムを含有していた。
次に、上記比較用のバナジウム含有触媒を用いて、実施例2と同様の反応条件下で、イソブタンの酸化脱水素によるイソブテンの合成を行った。そして、生成物を分析した結果、イソブタンの転化率は6.9%、イソブテン選択率は54.7%であった。
上記実施例2および比較例2の結果から明らかなように、本発明にかかるバナジウム含有触媒は、従来のバナジウム含有触媒と比較して、イソブタンの酸化脱水素によるイソブテン生成の選択率が高いことがわかった。
〔実施例3〕
ベーマイト粉末の代わりに実施例1で用いたアナターゼ型二酸化チタン粉末10.0gを使用し、ポリバナジン酸ゾルの使用量を26.9mLとし、最終焼成温度を550℃とした以外は、実施例2と同様にしてバナジウム含有触媒を調製した。該触媒は、V25換算で2.4重量%のバナジウムを含有していた。
次に、上記のバナジウム含有触媒を用いて、メタノールからのギ酸メチルの合成を行った。即ち、まず、バナジウム含有触媒の粒度を9メッシュ〜16メッシュに揃えた。次に、固定床流通式で反応を行うために、上記のバナジウム含有触媒3.0gを内径10mmのステンレス製反応管に充填した。そして、この反応管に、メタノール/空気=1/5.2(モル比)からなる混合気体を、75ml/minの速度で通過させた。反応条件は、常圧、温度180℃とした。
反応開始30分後から30分間の反応ガスをサンプリングし、ガスクロマトグラフィーを用いて生成物を分析した。結果を表1に示す。
〔比較例3〕
ベーマイト粉末の代わりに実施例1で用いたアナターゼ型二酸化チタン粉末10.0gを使用し、メタバナジン酸アンモニウムの使用量を0.315g、蓚酸の使用量を0.678gとし、最終焼成温度を550℃とした以外は、比較例2と同様にして比較用のバナジウム含有触媒を調製した。該触媒は、V25換算で2.4重量%のバナジウムを含有していた。
次に、上記の比較用のバナジウム含有触媒を用いて、実施例3と同様の反応条件下でメタノールからのギ酸メチルの合成を行った。結果を表1に示す。
〔実施例4〕
ポリバナジン酸ゾルの使用量を45.8mLとし、担持後の処理において、100℃での乾燥後に焼成を行わなかった以外は、実施例3と同様にしてバナジウム含有触媒を調製した。該触媒は、V25換算で4.0重量%のバナジウムを含有していた。
次に、上記のバナジウム含有触媒を用いて、実施例3と同様の反応条件下でメタノールからのギ酸メチルの合成を行った。結果を表1に示す。
〔比較例4〕
メタバナジン酸アンモニウムの使用量を0.536g、蓚酸の使用量を1.155gとし、担持後の処理において、100℃での乾燥後に焼成を行わなかった以外は、比較例3と同様にして比較用のバナジウム含有触媒を調製した。該触媒は、V25換算で4.0重量%のバナジウムを含有していた。
次に、上記の比較用のバナジウム含有触媒を用いて、実施例3と同様の反応条件下でメタノールからのギ酸メチルの合成を行った。結果を表1に示す。
〔実施例5〕
無機多孔質体である水酸化チタンを以下の方法により調製した。
四塩化チタン水溶液(和光純薬工業株式会社製、Ti16.5%含有)181.7gを、氷浴中のビーカーに入れた2Lの水にゆっくりと滴下し、攪拌した。次に、アンモニア水(関東化学株式会社製、鹿1級、NH829%含有)141mLをゆっくりと滴下していくと、ゲル化が進行し、白色の沈澱が生成した。これを濾過し、白色のケーキを得た。このケーキに、水2.5Lを加えて30分間攪拌した後に濾過するという洗浄操作を5回繰り返すと、濾液中にCl-イオンが検出されなくなり、洗浄を終了した。最終的に得られたケーキを110℃で1晩乾燥し、水酸化チタン52.5gを得た。得られた水酸化チタンは、蛍光X線分析の結果によれば、Tiを48.9重量%含有しており、TiO2として42.8gに相当するものであった。この水酸化チタンをボールミルにより粉砕し、100メッシュ以下のサイズの粉末を得た。この水酸化チタン粉末の比表面積は、376m2/gであった。
この水酸化チタン粉末10.0gをベーマイト粉末の代わりに使用し、ポリバナジン酸ゾルの使用量を38.2mLとしたことと、最終焼成温度を600℃とした以外は、実施例2と同様にしてバナジウム含有触媒を調製した。該触媒は、V25換算で4.1重量%のバナジウムを含有していた。
次に、上記のバナジウム含有触媒を用いて、反応温度を170℃とし、ガス流量を56ml/minとした以外は、実施例3と同様の反応条件下でメタノールからのギ酸メチルの合成を行った。結果を表1に示す。
〔比較例5〕
無機多孔質体である水酸化チタン粉末は、実施例5で調製したものを用いた。この水酸化チタン粉末10.0gをベーマイト粉末の代わりに使用し、メタバナジン酸アンモニウムの使用量を0.447g、蓚酸の使用量を0.963gとし、最終焼成温度を600℃とした以外は、比較例2と同様にして比較用のバナジウム含有触媒を調製した。該触媒は、V25換算で4.1重量%のバナジウムを含有していた。
次に、上記の比較用のバナジウム含有触媒を用いて、実施例5と同様の反応条件下でメタノールからのギ酸メチルの合成を行った。結果を表1に示す。
〔実施例6〕
無機多孔質体である水酸化ジルコニウムを以下の方法により調製した。
硝酸ジルコニル(三津和化学薬品株式会社製、特級)100.0gを、2.5Lの水に加え、攪拌して溶解させた。次に、アンモニア水(関東化学株式会社製、鹿1級、NH329%含有)58mLをゆっくりと滴下していくと、ゲル化が進行し、白色の沈澱が生成した。これを濾過し、白色のケーキを得た。このケーキに、水2.5Lを加えて30分間攪拌した後に濾過するという洗浄操作を5回繰り返し、洗浄を終了した。最終的に得られたケーキを110℃で1晩乾燥し、水酸化ジルコニウム42.8gを得た。得られた水酸化ジルコニウムは、蛍光X線分析の結果によれば、Zrを57.3重量%含有しており、ZrO2として33.1gに相当するものであった。この水酸化ジルコニウムをボールミルにより粉砕し、100メッシュ以下のサイズの粉末を得た。この水酸化ジルコニウム粉末の比表面積は、27.5m2/gであった。
この水酸化ジルコニウム粉末10.0gをベーマイト粉末の代わりに使用し、ポリバナジン酸ゾルの使用量を67.2mLとした以外は、実施例2と同様にしてバナジウム含有触媒を調製した。該触媒は、V25換算で7.4重量%のバナジウムを含有していた。
次に、上記のバナジウム含有触媒を用いて、反応温度を170℃とした以外は、実施例3と同様の反応条件下でメタノールからのギ酸メチルの合成を行った。結果を表1に示す。
〔比較例6〕
無機多孔質体である水酸化ジルコニウム粉末は、実施例6で調製したものを用いた。この水酸化ジルコニウム粉末10.0gをベーマイト粉末の代わりに使用し、メタバナジン酸アンモニウムの使用量を0.786g、蓚酸の使用量を1.695gとした以外は、比較例2と同様にして比較用のバナジウム含有触媒を調製した。該触媒は、V25換算で7.4重量%のバナジウムを含有していた。
次に、上記の比較用のバナジウム含有触媒を用いて、実施例6と同様の反応条件下でメタノールからのギ酸メチルの合成を行った。結果を表1に示す。
〔実施例7〕
ベーマイト粉末の代わりに無機多孔質体であるニオブ酸粉末(CBMM社製、Nb2580.4%含有、比表面積166m2/g)10.0gを使用し、ポリバナジン酸ゾルの使用量を39.9mLとした以外は、実施例2と同様にしてバナジウム含有触媒を調製した。該触媒は、V25換算で4.3重量%のバナジウムを含有していた。
次に、上記のバナジウム含有触媒を用いて、実施例3と同様の反応条件下でメタノールからのギ酸メチルの合成を行った。結果を表1に示す。
〔比較例7〕
ベーマイト粉末の代わりに実施例7で用いたニオブ酸粉末10.0gを使用し、メタバナジン酸アンモニウムの使用量を0.467g、蓚酸の使用量を1.006gとした以外は、比較例2と同様にして比較用のバナジウム含有触媒を調製した。該触媒は、V25換算で4.3重量%のバナジウムを含有していた。
次に、上記の比較用のバナジウム含有触媒を用いて、実施例3と同様の反応条件下でメタノールからのギ酸メチルの合成を行った。結果を表1に示す。
Figure 0003826161
上記実施例3〜7および比較例3〜7の結果から明らかなように、本発明にかかるバナジウム含有触媒は、従来のバナジウム含有触媒と比較して、メタノールからのギ酸メチルの合成の活性、選択性が高いことがわかった。
〔実施例8〕
最終焼成温度を500℃とした以外は、実施例3と同様にしてバナジウム含有触媒を調製した。該触媒は、V25換算で2.4重量%のバナジウムを含有していた。
次に、上記のバナジウム含有触媒を用いて、トルエンの酸化によるベンズアルデヒドおよび安息香酸の合成を行った。即ち、まず、バナジウム含有触媒の粒度を9メッシュ〜16メッシュに揃えた。次に、固定床流通式で反応を行うために、上記のバナジウム含有触媒0.77gをガラスビーズで4mLに希釈したものを、内径10mmのステンレス製反応管に充填した。そして、この反応管に、トルエンを0.9%含有する空気を、533ml/minの速度で通過させた。反応条件は、常圧、温度320℃とした。
反応開始30分後から30分間の反応ガスをサンプリングし、ガスクロマトグラフィーを用いて生成物を分析した。その結果、トルエンの転化率は16.1%、ベンズアルデヒドの選択率は22.9%、安息香酸の選択率は30.1%であった。
〔比較例8〕
最終焼成温度を500℃とした以外は、比較例3と同様にしてバナジウム含有触媒を調製した。該触媒は、V25換算で2.4重量%のバナジウムを含有していた。
次に、上記の比較用のバナジウム含有触媒を用いて、実施例8と同様の反応条件下でトルエンの酸化によるベンズアルデヒドおよび安息香酸の合成を行った。その結果、トルエンの転化率は10.9%、ベンズアルデヒドの選択率は19.4%、安息香酸の選択率は25.4%であった。
上記実施例8および比較例8の結果から明らかなように、本発明にかかるバナジウム含有触媒は、従来のバナジウム含有触媒と比較して、トルエンの酸化によるベンズアルデヒド合成、安息香酸合成ともに、活性、選択性が高いことがわかった。
〔実施例9〕
実施例2で用いたのと同じポリバナジン酸ゾル(0.1モル/L)500mLに、無機多孔質体である珪藻土セライト(ジョンズ・マンビル・プロダクト社製、比表面積28m2/g)6.0gを加え、70℃で30分間攪拌した。続いて、リン酸(関東化学株式会社製試薬、特級、H3PO485%濃度)1.73gを加え、30分間攪拌を続け、さらに、硝酸セシウム(和光純薬工業株式会社製、純度99.9%)3.90gと硝酸銀(和光純薬工業株式会社製試薬、特級)0.85gとを水50mLで溶解してなる水溶液を加え、70℃に保って2時間攪拌した。その後、90℃に温度を上げ、水分を蒸発させながら攪拌を続けてペースト状の組成物を得た。この組成物を120℃で14時間かけて乾燥した後、230℃で4時間焼成し、さらに600℃で3時間焼成することにより、バナジウム含有触媒を得た。該触媒は、V25換算で30.3重量%のバナジウムを含有しており、V/P/Cs/Agのモル比は、1/0.3/0.4/0.1であった。
次に、上記のバナジウム含有触媒を用いて、p-メトキシトルエン(p-メチルアニソール)の酸化によるアニスアルデヒドの合成を行った。即ち、まず、バナジウム含有触媒の粒度を9メッシュ〜16メッシュに揃えた。次に、固定床流通式で反応を行うために、上記のバナジウム含有触媒5.0gを、内径10mmのステンレス製反応管に充填した。そして、この反応管に、p-メトキシトルエンを1%含有する空気を、350ml/minの速度で通過させた。反応条件は、常圧、温度420℃とした。
反応開始30分後から30分間の反応ガスをサンプリングし、ガスクロマトグラフィーを用いて生成物を分析した。その結果、p-メトキシトルエンの転化率は95.2%であり、生成物であるアニスアルデヒドの選択率は86.5%であった。
〔比較例9〕
水500mLにメタバナジン酸アンモニウム5.85gを加え、70℃に加熱・攪拌して溶解させ、これに85%リン酸1.73gを加え、硝酸セシウム3.90gと硝酸銀0.85gとを水50mLで溶解してなる水溶液を加え、70℃に保って1時間攪拌した。次いで、これに実施例9で用いた珪藻土セライト6.0gを加え、70℃に保って2時間攪拌を続けた。その後、90℃に温度を上げ、水分を蒸発させながら攪拌を続けてペースト状の組成物を得た。この組成物を120℃で14時間かけて乾燥した後、230℃で4時間焼成し、さらに、600℃で3時間焼成することにより、比較用のバナジウム含有触媒を得た。該触媒は、V25換算で30.3重量%のバナジウムを含有しており、V/P/Cs/Agのモル比は、1/0.3/0.4/0.1であった。
次に、上記の比較用のバナジウム含有触媒を用いて、実施例9と同様の反応条件でp-メトキシトルエンの酸化によるアニスアルデヒドの合成を行った。その結果、p-メトキシトルエンの転化率は94.8%、アニスアルデヒドの選択率は80.1%であった。
上記実施例9および比較例9の結果から明らかなように、本発明にかかるバナジウム含有触媒は、従来のバナジウム含有触媒と比較して、p-メトキシトルエンの酸化によるアニスアルデヒド合成において、高い選択性を示すことがわかった。
〔実施例10〕
原料となる無機多孔質体である酸化マグネシウムを以下のようにして調製した。硝酸マグネシウム六水和物(関東化学株式会社製試薬、特級)97.7gを水300mLに溶かした。次いで、炭酸アンモニウム(関東化学株式会社製試薬、特級)を液のpHが7になるまで加えていき、生成した白色沈澱を濾過した後、250mLの水による5分間の攪拌洗浄を4回繰り返した。濾過によって最終的に得られたケーキを、120℃で14時間乾燥したあと、700℃で3時間焼成した。これをボールミルで粉砕し、酸化マグネシウムの粉末を得た。この酸化マグネシウム粉末の比表面積は、59m2/gであった。
実施例2で使用したのと同じポリバンジン酸ゾル174mLに水130mLを加え、70℃に加熱・攪拌しているところに、上記の酸化マグネシウム粉末3.0gを加え、2時間攪拌した後、90℃に温度を上げ、6時間加熱・攪拌することにより濃縮を行った。得られたペーストを120℃で14時間乾燥した後、550℃で6時間焼成することにより、バナジウム含有触媒を得た。該触媒は、V25換算で24.0重量%のバナジウムを含有していた。
次に、上記のバナジウム含有触媒を用いて、プロパンの酸化脱水素によるプロピレンの合成を行った。即ち、まず、バナジウム含有触媒の粒度を9メッシュ〜16メッシュに揃えた。次に、固定床流通式で反応を行うために、上記のバナジウム含有触媒0.60gをガラスビーズで4mLに希釈したものを、内径10mmのステンレス製反応管に充填した。そして、この反応管に、プロパンを2%含有する空気を、100ml/minの速度で通過させた。反応条件は、常圧、温度510℃とした。
反応開始30分後から30分間の反応ガスをサンプリングし、ガスクロマトグラフィーを用いて生成物を分析した。その結果、プロパンの転化率は25.5%、生成物であるプロピレンの選択率は41.3%であった。
〔比較例10〕
メタバンジン酸アンモニウム2.033gに水300mLを加え、70℃に加熱・攪拌しているところへ、実施例10で調製した酸化マグネシウム粉末5.0gを加え、2時間攪拌した後、以下実施例10と同様にして比較用のバナジウム含有触媒を調製した。該触媒は、V25 換算で24.0重量%のバナジウムを含有していた。
次に、上記の比較用のバナジウム含有触媒を用いて、実施例10と同様の反応条件でプロパンの酸化脱水素によるプロピレンの合成を行った。その結果、プロパンの転化率は25.7%、プロピレンの選択率は32.7%であった。
上記実施例10および比較例10の結果から明らかなように、本発明にかかるバナジウム含有触媒は、従来のバナジウム含有触媒と比較して、プロパンの酸化脱水素によるプロピレンの合成において、高い選択性を示すことがわかった。
〔実施例11〕
攪拌器および冷却管を備えたフラスコに、無機多孔質体の前駆体であるアルミナゾル(商品名「A−200」、日産化学工業株式会社製、Al23濃度10.5%)152.4gおよびシリカゾル(商品名「スノーテックスO」、日産化学工業株式会社製、SiO2濃度20.5%)19.5gと、水120mLとを加え、80℃で加熱・攪拌(混合)した。これに、三酸化アンチモン粉末(キシダ化学株式会社製試薬、特級、Sb23純度98%)18.14gに水300mLを加えた懸濁液に、酒石酸73.2gを加えて加熱溶解させた均一液を添加し、さらに、実施例2で用いたのと同じポリバナジン酸ゾル(濃度0.1モル/L)244mLを加えた後、90℃に温度を上げ、17時間かけて加熱還流処理を行った。その後、液をビーカーに移し、90℃で6時間加熱・攪拌を行い、水分を蒸発させることにより濃縮を行った。得られたペーストを120℃で14時間乾燥した後、230℃で4時間焼成し、さらに、550℃で3時間焼成することにより、バナジウム含有触媒を得た。該触媒は、V25換算で5.5重量%のバナジウムを含有しており、V/Sbのモル比は1/5であった。
次に、上記のバナジウム含有触媒を用いて、プロパンのアンモ酸化を行った。即ち、まず、バナジウム含有触媒の粒度を9メッシュ〜16メッシュに揃えた。次に、固定床流通式で反応を行うために、上記のバナジウム含有触媒4.0gを内径10mmのステンレス製反応管に充填した。そして、この反応管に、C38/NH3/O2/N2/H2O=1/2/4/7.5/4(モル比)からなる混合気体を、75ml/minの速度で通過させた。反応条件は、常圧、温度500℃とした。
反応開始30分後から30分間の反応ガスをサンプリングし、ガスクロマトグラフィーを用いて生成物を分析した。その結果、プロパンの転化率は63.2%であった。また、生成物であるアクリロニトリルの選択率は40.1%、プロピレンの選択率は11.4%、HCNの選択率は10.5%であった。
〔比較例11〕
ポリバナジン酸ゾルを用いた代わりに、メタバンジン酸アンモニウム2.86gに水200mLを加え加熱・攪拌したスラリーに、蓚酸6.15gを加えて溶解させた均一液を用いた以外は、実施例11と同様にして比較用のバナジウム含有触媒を調製した。該触媒は、V25換算で5.5重量%のバナジウムを含有しており、V/Sbのモル比は1/5であった。
次に、上記の比較用のバナジウム含有触媒を用いて、実施例11と同様の反応条件でプロパンのアンモ酸化を行った。その結果、プロパンの転化率は56.1%、アクリロニトリルの選択率は35.9%、プロピレンの選択率は10.1%、HCNの選択率は10.4%であった。
上記実施例11および比較例11の結果から明らかなように、本発明にかかるバナジウム含有触媒は、従来のバナジウム含有触媒と比較して、プロパンのアンモ酸化によるアクリロニトリル合成において、高い選択性を示すことがわかった。
なお、発明を実施するための最良の形態の項においてなした具体的な実施態様または実施例は、あくまでも、本発明の技術内容を明らかにするものであって、そのような具体例にのみ限定して狭義に解釈されるべきものではなく、本発明の精神と次に記載する特許請求の範囲内で、いろいろと変更して実施することができるものである。
産業上の利用の可能性
本発明のバナジウム含有触媒は、以上のように、バナジウム源としてポリバナジン酸を使用してなる構成である。また、本発明のバナジウム含有触媒は、以上のように、メタバナジン酸塩水溶液をプロトン型陽イオン交換樹脂でイオン交換した後、さらに縮重合して得られるポリバナジン酸ゾルを、バナジウム以外の触媒構成成分またはその前駆体と混合した後、さらに乾燥および/または焼成することにより得られる構成である。
上記のバナジウム含有触媒は、従来のバナジウム含有触媒と比較して、触媒活性が高く、かつ、寿命が長い。しかも、分散性や熱的安定性に優れており、高温で用いても劣化しない。これにより、バナジウム含有触媒は、温和な反応条件で触媒活性を充分に発揮することができ、芳香族炭化水素、複素環式化合物、脂肪族飽和炭化水素、脂肪族不飽和炭化水素、およびそれらの誘導体の酸化反応、例えば、o-キシレンやナフタレンからの無水フタル酸の合成、デュレンからの無水ピロメリット酸の合成、ベンゼンやn-ブタンからの無水マレイン酸の合成、(置換)トルエンからの(置換)ベンズアルデヒドの合成、トルエンからの安息香酸の合成、ピコリン、ルチジン、キノリンなどの酸化によるピリジンカルボン酸類の合成、メタンからのホルムアルデヒドの合成、(メタ)アクロレインからの(メタ)アクリル酸の合成などの各種の部分酸化反応;プロパン、ブタン類の酸化脱水素によるプロピレン、ブテン類の合成、メタノールからのホルムアルデヒドおよびギ酸メチル合成などの各種の酸化脱水素反応;トルエンのアンモ酸化によるベンゾニトリルの合成、プロパン、イソブタンのアンモ酸化によるアクリロニトリル、メタクリロニトリルの合成など各種のアンモ酸化反応;さらにSO2の酸化による硫酸の合成など無機化合物の酸化反応;窒素酸化物のアンモニアによる還元脱硝;有機ハロゲン化物の分解反応;さらに水素化反応;脱水素反応;水素化脱硫反応;異性化反応;アルキル化反応;脱水反応;重合反応;光触媒反応など種々の反応に好適に供することができるという効果を奏する。
本発明のバナジウム含有触媒の製造方法は、以上のように、ポリバナジン酸を、バナジウム以外の触媒構成成分またはその前駆体と混合するステップと、得られた混合物を乾燥および/または焼成するステップとを含んでいる方法である。上記方法によれば、従来のバナジウム含有触媒と比較して、触媒活性が高く、かつ、寿命が長く、しかも、分散性や熱的安定性に優れており、高温で用いても劣化しないバナジウム含有触媒を製造することができるという効果を奏する。従って、上記バナジウム含有触媒は、温和な反応条件で触媒活性を充分に発揮することができ、前述の種々の反応に好適に供することができる。
本発明の無水フタル酸の製造方法は、以上のように、o-キシレンと分子状酸素とを含む混合気体を、バナジウム源としてポリバナジン酸を使用してなるバナジウム含有触媒に接触させる方法である。上記方法によれば、無水フタル酸を効率的に製造することができるという効果を奏する。
本発明のイソブテンの製造方法は、以上のように、イソブタンと分子状酸素とを含む混合気体を、バナジウム源としてポリバナジン酸を使用してなるバナジウム含有触媒に接触させる方法である。上記方法によれば、イソブテンを効率的に製造することができるという効果を奏する。
本発明のギ酸メチルの製造方法は、以上のように、メタノールと分子状酸素とを含む混合気体を、バナジウム源としてポリバナジン酸を使用してなるバナジウム含有触媒に接触させる方法である。上記方法によれば、ギ酸メチルを効率的に製造することができるという効果を奏する。
本発明のベンズアルデヒドの製造方法は、以上のように、トルエンと分子状酸素とを含む混合気体を、バナジウム源としてポリバナジン酸を使用してなるバナジウム含有触媒に接触させる方法である。上記方法によれば、ベンズアルデヒドを効率的に製造することができるという効果を奏する。
本発明の安息香酸の製造方法は、以上のように、トルエンと分子状酸素とを含む混合気体を、バナジウム源としてポリバナジン酸を使用してなるバナジウム含有触媒に接触させる方法である。上記方法によれば、安息香酸を効率的に製造することができるという効果を奏する。
本発明のアニスアルデヒドの製造方法は、以上のように、p-メトキシトルエンと分子状酸素とを含む混合気体を、バナジウム源としてポリバナジン酸を使用してなるバナジウム含有触媒に接触させる方法である。上記方法によれば、アニスアルデヒドを効率的に製造することができるという効果を奏する。
本発明のプロピレンの製造方法は、以上のように、プロパンと分子状酸素とを含む混合気体を、バナジウム源としてポリバナジン酸を使用してなるバナジウム含有触媒に接触させる方法である。上記方法によれば、プロピレンを効率的に製造することができるという効果を奏する。
本発明のアクリロニトリルの製造方法は、以上のように、プロパン、分子状酸素、およびアンモニアを含む混合気体を、バナジウム源としてポリバナジン酸を使用してなるバナジウム含有触媒に接触させる方法である。上記方法によれば、アクリロニトリルを効率的に製造することができるという効果を奏する。

Claims (12)

  1. バナジウム源としてポリバナジン酸を使用してなる気相酸化用のバナジウム含有触媒であって、
    上記ポリバナジン酸が、メタバナジン酸塩水溶液をプロトン型陽イオン交換樹脂でイオン交換した後、さらに縮重合してなることを特徴とするバナジウム含有触媒。
  2. バナジウム源としてポリバナジン酸を使用してなる気相酸化脱水素用のバナジウム含有触媒であって、
    上記ポリバナジン酸が、メタバナジン酸塩水溶液をプロトン型陽イオン交換樹脂でイオン交換した後、さらに縮重合してなることを特徴とするバナジウム含有触媒。
  3. 上記ポリバナジン酸が、バナジウム以外の触媒構成成分またはその前駆体と共に使用されてなることを特徴とする請求の範囲1または2のいずれか1項に記載のバナジウム含有触媒。
  4. 上記バナジウム以外の触媒構成成分またはその前駆体が、Ti、Zr、Nb、Ta、Cr、Mo、W、Mn、Re、Fe、Co、Ni、Ru、Rh、Pd、Ir、Pt、Cu、Ag、Zn、B、Al、Ga、In、Tl、Si、Ge、Sn、Pb、P、Sb、Bi、Se、Te、Na、K、Rb、Cs、Mg、Ca、La、およびCeからなる群より選ばれる少なくとも1つの元素の化合物であることを特徴とする請求の範囲3に記載のバナジウム含有触媒。
  5. 上記バナジウム以外の触媒構成成分またはその前駆体の少なくとも一つが、無機多孔質体であることを特徴とする請求の範囲3または4に記載のバナジウム含有触媒。
  6. 気相酸化用のバナジウム含有触媒の製造方法であって、
    メタバナジン酸塩水溶液をプロトン型陽イオン交換樹脂でイオン交換した後、さらに縮重合してポリバナジン酸を生成させるステップを含んでいることを特徴とするバナジウム含有触媒の製造方法。
  7. 気相酸化脱水素用のバナジウム含有触媒の製造方法であって、
    メタバナジン酸塩水溶液をプロトン型陽イオン交換樹脂でイオン交換した後、さらに縮重合してポリバナジン酸を生成させるステップを含んでいることを特徴とするバナジウム含有触媒の製造方法。
  8. 上記ポリバナジン酸がゾルの状態であることを特徴とする請求の範囲6または7に記載のバナジウム含有触媒の製造方法。
  9. 上記メタバナジン酸塩水溶液が、バナジウムイオンの濃度が0.01〜0.8モル/Lの範囲内であることを特徴とする請求の範囲6から8のいずれか1項に記載のバナジウム含有触媒の製造方法。
  10. ポリバナジン酸を、バナジウム以外の触媒構成成分またはその前駆体と混合するステップと、
    得られた混合物を乾燥および/または焼成するステップとをさらに含むことを特徴とする請求の範囲6から9のいずれか1項に記載のバナジウム含有触媒の製造方法。
  11. メタバナジン酸塩水溶液をプロトン型陽イオン交換樹脂でイオン交換した後、さらに縮重合してなるポリバナジン酸をバナジウム源として使用してなるバナジウム含有触媒に対して、反応基質と分子状酸素とを含む混合気体を接触させることを特徴とする気相酸化方法。
  12. 有機物の気相酸化脱水素方法であって、
    メタバナジン酸塩水溶液をプロトン型陽イオン交換樹脂でイオン交換した後、さらに縮重合してなるバナジウム含有触媒に対して、
    有機物と分子状酸素とを含む混合気体を接触させることを特徴とする気相酸化脱水素方法。
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