JP3825190B2 - 摩擦ブッシュ - Google Patents

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【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、摩擦ブッシュ、特に、一方の回転部材に形成された孔に係合することでその回転部材と一体回転し他方の回転部材と摺動することで摩擦を発生するための摩擦ブッシュに関する。
【0002】
【従来の技術】
たとえば車両のクラッチディスクック組立体に用いられるダンパー機構は、一対の円板状入力側プレートと、外周にフランジを有する出力側ハブと、一対の入力側プレートとフランジとを回転方向に弾性的に連結するトーションスプリングと、入力側プレートと出力側ハブとの間に配置された摩擦発生機構とを備えている。
【0003】
摩擦発生機構は、たとえば、出力側ハブのフランジに当接する摩擦部材と、摩擦部材と入力側プレートの一方との間に配置され摩擦部材をフランジに対して押圧するためのコーンスプリングとを有している。摩擦部材は、環状の本体と、入力側プレートと一体回転するように本体から軸方向に突出する複数の突起を有している。各突起は入力側プレートに形成された孔に挿入され係合している。すなわち、突起の回転方向両端は孔の回転方向両端に当接しており、これにより摩擦部材は入力側プレートに対して軸方向に移動可能であるが回転方向には移動不能となっている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
前記従来の摩擦発生機構における摩擦部材は樹脂製であるため、突起と孔の係合部分において突起が摩耗することがあり得る。その場合は、突起の回転方向幅が孔の回転方向幅より小さくなり、所定角度内で突起が入力側プレートに対して相対回転可能となる。この結果、その回転方向隙間の大きさだけ、摩擦部材は他方の入力側プレートに対して滑らず、コーンスプリングと入力側プレートとが互いに摺動する。すなわち回転方向隙間の領域においては所望のヒステリシストルクが発生せず、その結果安定したヒステリシストルクが得られない。これにより車両の音・振動減衰機能を十分なレベルとすることができない。
【0005】
本発明の課題は、摩擦部材と他の回転部材との係合において両者間に回転方向の隙間を生じにくくすることにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
請求項1に記載の摩擦ブッシュは、ダンパー機構のトーションスプリングを支持するための第1回転部材に形成された少なくとも1つの孔に係合することで第1回転部材と一体回転し、トーションスプリングが変形する際に第2回転部材と摺動することで摩擦を発生するためのものである。摩擦ブッシュは環状の本体と係合部とを備えている。本体には第2回転部材に当接する摩擦面が形成されている。係合部は、本体の摩擦面と反対側から突出し、孔に係合している。係合部は回転方向に並んだ一対の突起を含んでおり、一対の突起は1つの孔に係合した状態において孔の回転方向両縁に当接して弾性変形している。
【0007】
この摩擦ブッシュは、第1回転部材と一体回転し、第2回転部材に摺動して摩擦を発生する。ここでは、係合部が孔に対して回転方向に弾性変形した状態で係合しているため、両者間に回転方向隙間はなく、また係合部に摩耗が生じても係合部は孔に対して当接し続けるため両者間に回転方向の隙間は生じにくい。
【0009】
また、この摩擦ブッシュでは、係合部が一対の突起からなるため弾性変形しやすく係合部を孔に挿入する作業が容易である。
【0010】
請求項2に記載の摩擦ブッシュは、請求項1において、一対の突起は、との係合から外れた自由状態において、回転方向両側に広がるように延び、先端部の回転方向幅が孔の回転方向幅より大きく、根元部の回転方向幅が孔の回転方向幅より小さい。
【0011】
この摩擦ブッシュでは、根元部の回転方向幅が孔の回転方向幅より小さいため、一対の突起は孔に対して所望の軸方向位置までスムーズに挿入され得る。
【0012】
請求項3に記載の摩擦ブッシュでは、請求項1又は2において、一対の突起の先端は回転方向外側が面取りされている。
【0013】
この摩擦ブッシュでは、一対の突起が孔に挿入される際に、孔の縁は、一対の突起の面取りされた部分に当接して、次に面取り部分に当接しながら一対の突起を回転方向内側に弾性変形させていく。このようにして一対の突起の1つの孔への挿入が容易になる。
【0014】
請求項4に記載の摩擦ブッシュでは、請求項1〜3のいずれかにおいて、一対の突起は第1回転部材と第2回転部材が相対回転して第2回転部材から摩擦ブッシュに作用する摩擦によってたわまない程度の剛性を有している。
【0015】
【発明の実施の形態】
図1に示す本発明の一実施形態によるクラッチディスク組立体1は、図1の左側に配置されたエンジン(図示せず)からのトルクを図1の右側に配置されたトランスミッション(図示せず)に伝達及び遮断するための装置である。図1においては、O−Oがクラッチディスク組立体1の回転軸線である。また、図2においてR1がクラッチディスク組立体1の回転方向(円周方向)であり、R2がその反対方向である。
【0016】
クラッチディスク組立体1は、主に、出力側部材としてのハブ2と、入力側部材としてのクラッチプレート3及びリテーニングプレート4と、中間部材としてのハブフランジ5と、ハブフランジ5とハブ2とを回転方向に弾性的に連結するための小トーションスプリング6と、プレート3,4とハブフランジ5とを回転方向に弾性的に連結するための大トーションスプリング7と、プレート3,4とハブ2との間で相対回転が生じるときに所定の摩擦を発生するための摩擦発生機構8とから構成されている。
【0017】
ハブ2は、クラッチディスク組立体1の中心に配置され、トランスミッションの軸(図示せず)に連結される。ハブ2は、軸方向に延びる円筒状のボス2aと、ボス2aの外周に一体形成されたフランジ2bとから構成されている。フランジ2bの外周には、図2〜図4に示すように、複数の突起2cが回転方向に等間隔で形成されている。図3に示すように、フランジ2bの径方向に対向する2カ所には、後述する小トーションスプリング6の回転方向両端を受けるための切欠き2dが形成されている。また、ボス2aの内周側には、トランスミッションの軸にスプライン係合するスプライン孔2eが形成されている。
【0018】
ハブフランジ5は、円板状のプレートであり、ハブ2のフランジ2bの外周に配置されている。ハブフランジ5は、図2から明らかなように、半径方向外方に延びる4つの突出部5aを有している。各突出部5aには、回転方向に延びる窓孔5bが形成されている。各突出部5aの間には外側切欠き5cが形成されている。ハブフランジ5の内周側には、ハブ2の突起2cの間に対応する部分に内側突起5dが形成されている。突起2cと内側突起5dとの間には回転方向に所定の隙間が確保されており、これによりハブ2とハブフランジ5とが所定角度まで回転可能となっている。ハブフランジ5の内周側においてハブ2の切欠き2dに対応する2カ所には内側切欠き5eが形成されている。これらの切欠き2dと内側切欠き5e内には小トーションスプリング6が配置されている。なお、図2に示す中立状態では突起2cは内側突起5d間で回転方向R2側にずれて配置されている。すなわち、ハブ2がハブフランジ5に対して所定角度R2側にねじれている。
【0019】
クラッチプレート3及びリテーニングプレート4はハブフランジ5の両側方に配置されている。クラッチプレート3及びリテーニングプレート4は、概ね円板状の一対の部材であり、ハブ2のボス2aの外周方に回転自在に配置されている。クラッチプレート3及びリテーニングプレート4は外周部で当接ピン11により互いに固定されている。この当接ピン11は、ハブフランジ5に形成された外側切欠き5c内を挿通している。当接ピン11と外側切欠き5cとには回転方向に所定の隙間が確保されているため、プレート3,4とハブフランジ5とは所定角度または相対回転可能である。
【0020】
クラッチプレート3の外周には摩擦連結部10(クラッチディスク)が配置されている。摩擦連結部10は、主に、クッショニングプレート12と、クッションニングプレート12の軸方向両側に固定された円環状の摩擦フェーシング13とから構成されている。クッショニングプレート12は、円環状に連続する環状部12aと、環状部12aから外周側に突出して形成された複数のクッショニング部12bとを有している。環状部12aはその一部が内周側に突出しており、その突出した部分が当接ピン11によりクラッチプレート3に固定されている。
【0021】
クラッチプレート3及びリテーニングプレート4には、それぞれハブフランジ5の窓孔5bに対応した位置に窓孔3a及び窓孔4aが形成されている。これら窓孔3a及び窓孔4a内に大トーションスプリング7が配置されている。各窓孔3a及び窓孔4aの半径方向両側には軸方向外方に切り起こされた押さえ部3b、押さえ部4bが形成されている。大トーションスプリング7は、それぞれ二組の第1スプリング組立体7aと第2スプリング組立体7bとから構成されている。第1スプリング組立体7aは、半径方向に対向するハブフランジ5の窓孔5b内に各々配置されており、大径のトーションスプリングとその内側に配置された小径のトーションスプリングとから構成されている。第1スプリング組立体7aの回転方向両端はハブフランジ5の窓孔5bの回転方向両端、クラッチプレート3の窓孔3aの回転方向両端及びリテーニングプレート4の窓孔4aの回転方向両端に当接している。第2スプリング組立体7bは、半径方向対向するハブフランジ5の窓孔5b内に配置されており、トーションスプリングとその内側に配置されたフロートラバー7cとから構成されている。第2スプリング組立体7bのトーションスプリングの回転方向両端は、ハブフランジ5の窓孔5bの回転方向両端、クラッチプレート3の窓孔3aの回転方向両端及びリテーニングプレート4の窓孔4aの回転方向両端に当接している。ただし、フロートラバー7cの長さは各窓孔の回転方向両端間より短くなっている。すなわち、フロートラバー7cは各窓孔の回転方向両端間で回転方向に移動自在である。
【0022】
次に、摩擦発生機構8について説明する。
【0023】
摩擦発生機構8は、図1及び図5に示すように、クラッチプレート3の内周部とリテーニングプレート4の内周部との間でかつボス2aの外周側に配置されている。なお、図1と図5とは摩擦発生機構8を異なる方向から見た図である。この摩擦発生機構8は、第1ブッシュ14と第2ブッシュ15と第1コーンスプリング16と第2コーンスプリング17と第3ブッシュ18とを有している。第1〜第3ブッシュ14、15,18はそれぞれナイロン系の樹脂で形成されている。
【0024】
第1ブッシュ14は樹脂製円板状プレートである。第1ブッシュ14は、図5〜図7に示すように、内周端がボス2aに近接しており、一側面がハブ2のフランジ2b及び突起2cのトランスミッション側の側面に当接している。第1ブッシュ14は、円板状部14aと、円板状部14aの内周側からトランスミッション側に突出する環状突出部14bとを有している。環状突出部14bには、環状切欠き溝14cがトランスミッション側に形成されている。また、円板状部14aの外周には、半径方向外方に延びる4つの突起14dが形成されている。
【0025】
第1ブッシュ14とリテーニングプレート4との間には、第1コーンスプリング16が配置されている。第1コーンスプリング16は外周端がリテーニングプレート4に支持され、内周端が第1ブッシュ14の環状切欠き溝14cに当接している。第1コーンスプリング16は、圧縮された状態で配置されており、第1ブッシュ14をハブ2のフランジ2b及び突起2cに対して押しつけている。第1コーンスプリング16には、図11に示すように、外周側に複数の切欠き16aが形成されている。この切欠き16aは、第1ブッシュ14の摩耗によって第1コーンスプリング16の姿勢が変化するときに、第1コーンスプリング16の付勢力の変化を少なくするためのものである。
【0026】
第2ブッシュ15は、図8〜図10から明らかなように円板状の部材であり、第1ブッシュ14の外周側に、第1ブッシュ14が配置された平面とほぼ同一平面上にかつ同芯に配置されている。第2ブッシュ15は、円板状の本体部15aと、本体部15aの内周側でトランスミッション側に突出する環状突出部15bとから構成されている。本体部15aと環状突出部15bは環状の本体を構成している。本体部15aのエンジン側端面はハブフランジ5の内周端面に当接している。本体部15aのエンジン側端面は摩擦面となっており、図13に拡大して示すように、摩擦面には摩擦調整部材20がモールド成形により一体成形されている。摩擦調整部材20は、摩擦係数調整用の部材であり、高摩擦係数のたとえば、ゴム系、ガラス系の混紡若しくは含浸成形品や、セラミック等からなる。環状突出部15bのトランスミッション側端面には、回転方向に等間隔で4つの切欠き15eが形成されている。この切欠き15e内には、第1ブッシュの突起14dが回転方向に相対回転不能にかつ軸方向に移動可能に係合している。なお、突起14dと切欠き15eとの軸方向間には所定の隙間が確保されている。
【0027】
環状突出部15bには、切欠き15eの間にトランスミッション側に延びる係合部としての4つの突起が形成されている。この突起は、2つのスナップ突起15cと2つの棒状突起15dとからなる。ここでは同じ種類の突起同士が半径方向に対向するように配置されている。スナップ突起15cは、軸方向に延びるスリットにより円周方向に2分割されている。言い換えると、スナップ突起15cは一対の突起50から構成されている。各突起50は回転方向に弾性変形が可能である。
【0028】
図16を用いてリテーニングプレート4に組み付ける前のスナップ突起15cについてさらに詳細に説明する。一対の突起50は根元部分50b同士が互いに連結されている。各突起50の先端部分50aは根本部分50bに対して回転方向外側に位置している。すなわち各突起50は回転方向外側に開くように延びており、回転方向外側端面52は傾斜している。なお、各突起50の先端側かつ回転方向外側部分には面取り51が形成されている。面取り51とは各突起50に形成された傾斜面であり、回転方向外側に傾斜する回転方向外側端面52から回転方向内側に傾斜している。
【0029】
スナップ突起15cはリテーニングプレート4に形成された孔4c内に挿入されている。すなわち、一対の突起50が1つの孔4c内に挿入されている。図18に示すように、スナップ突起15cは孔4c内に挿入されて状態で孔4cの回転方向両端面に当接して弾性変形している。より具体的には、一対の突起50は回転方向外側端面52が孔4cの回転方向両端面に当接して互いに接近する側にたわんでいる。この状態では一対の突起50は回転方向に外側に広がろうとして孔4cに対して付勢力を与えている。これにより、一対の突起50は孔4cに対して軸方向に移動は可能であるが軸方向に一定の荷重が作用するまでは脱落不能に係止されている。
【0030】
棒状突起15dはリテーニングプレート4の他の孔4c内に挿入されている。
【0031】
第2コーンスプリング17は第2ブッシュ15とリテーニングプレート4との間に配置されている。第2コーンスプリング17には、図12に示すように、内周側に複数の切欠き17aが形成されている。この切欠き17aは、第2ブッシュ15の摩耗によって第2コーンスプリング17の姿勢が変化するときに、第2コーンスプリング17の付勢力変化を少なくするために形成されている。また、第2コーンスプリング17の切欠き17aは、第2ブッシュ15のスナップ突起15c、棒状突起15d及び切欠き15eに対応しており、第2コーンスプリング17とこれらの部材が互いに干渉しないようになっている。また、各突起15c、15dは切欠き17aを通過してトランスミッション側に延びており、これにより第2ブッシュ15と第2コーンスプリング17との相対回転が禁止される。第2コーンスプリング17は軸方向に圧縮された状態で配置されており、外周端がリテーニングプレート4に当接し、内周端すなわち突起17bが第2ブッシュ15の環状突出部15bのトランスミッション側の面に当接している。このようにして第2コーンスプリング17は第2ブッシュ15をハブフランジ5のトランスミッション側の面に付勢している。第2コーンスプリング17の付勢力は第1コーンスプリング16の付勢力より大きくなるように設定されている。
【0032】
以上に述べた第1ブッシュ14,第2ブッシュ15、第1コーンスプリング16及び第2コーンスプリング17は、リテーニングプレート4に組み付けられサブアッシーを構成している。これら部材は、第2ブッシュ15のスナップ突起15cとリテーニングプレート4の孔4cの係合によって、リテーニングプレート4から軸方向に外れないようになっている。
【0033】
第3ブッシュ18は、図1及び図14に示すように、クラッチプレート3の内周部とハブ2のフランジ2b及びハブフランジ5の内周端との間に配置されており、円板状の本体部18aと、本体部18aの一側面から軸方向に突出する複数のスナップ突起18bとを有している。本体部18aは、トランスミッション側の側面が摩擦面となっており、フランジ2bの側面及びハブフランジ5の内周端部側面に当接している。また、逆側の側面はクラッチプレート3に当接している。ハブフランジ5の側面に当接するトランスミッション側の摩擦面には、摩擦ケース調整用の、たとえばゴム系、ガラス系の混紡若しくは含浸成形品やセラミック等の摩擦調整部材21がモールド設計により一体設計されている。また、スナップ突起18bはクラッチプレート3に形成された孔3c内に係合している。このスナップ突起18bの形状は前述のスナップ突起15cと同様である。第3ブッシュ18の内周部には軸方向エンジン側に延びる環状の突出部18cが形成されている。この突出部18cの外周面にはクラッチプレート3の内周面が当接している。
【0034】
以上に述べた第3ブッシュ18はクラッチプレート3に組み付けられサブアッシーを構成している。
【0035】
図15にクラッチディスク組立体1のダンパー機能に関する機械模式図を示す。図15は、入力側の部材と出力側の部材とを一回転方向にねじった場合の各部品の動作や関係を説明するための図である。図から明らかなように、ハブ2とプレート3,4との間には、小トーションスプリング6と大トーションスプリング7が直列に配置されている。小トーションスプリング6と大トーションスプリング7との間にはハブフランジ5が中間部材として配置されている。ハブ2とハブフランジ5との間には、小トーションスプリング6が圧縮される際に機能する小摩擦発生機構を構成する第1ブッシュ14が配置されている。ハブフランジ5とプレート3,4との間には、大トーションスプリング7が圧縮される際に機能する大摩擦発生機構としての第2ブッシュ15及び第3ブッシュ18の摩擦調整部材21が配置されている。ハブ2とプレート3,4との間には摩擦面18dが配置されている。
【0036】
図16〜図18は第2ブッシュ15をリテーニングプレート4に組み付ける動作を説明する図である。図16に示すように、スナップ突起15cの一対の突起50は自由状態で孔4c内に挿入された状態より回転方向に広がっている。具体的には、各一対の突起50の先端部分50aの回転方向幅W3は孔4cの回転方向幅W1より大きく、スナップ突起15cの根元部分50bの回転方向幅W2は孔4cの回転方向幅W1よりより小さくなっている。この状態で第2ブッシュ15をリテーニングプレート4側に接近させると、図17に示すように、一対の突起50の面取り51が孔4cの回転方向端縁に当接する。図17の状態からさらに第2ブッシュ15をリテーニングプレート4に接近させると、一対の突起50は互いに接近する側に押し曲げられながら孔4c内に挿入される。図18に示す状態では、一対の突起50の回転方向両側端面52が孔4cの回転方向両側端面に当接し、さらに先端部分50aはリテーニングプレート4の外側端面からさらに軸方向に突出している。この状態で根元部分50bとリテーニングプレート4の孔4cの軸方向内側部分との間には回転方向にわずかな隙間W4が確保されている。
【0037】
次に、クラッチディスク組立体1の動作について説明する。
【0038】
摩擦フェーシング13がエンジン側のフライホイール(図示せず)に押しつけられると、フライホイールのトルクがクラッチプレート3及びリテーニングプレート4に入力される。このトルクは、大トーションスプリング7、ハブフランジ5,小トーションスプリング6を介してハブ2に伝達され、さらに図示しないトランスミッション側のシャフトに出力される。
【0039】
エンジン側のフライホイール(図示せず)からクラッチディスク組立体1にトルク変動が伝達されると、プレート3,4とハブフランジ5とハブ2との間で相対回転が生じ、小トーションスプリング6又は大トーションスプリング7が回転方向に圧縮される。捩じり角度の小さな範囲では小トーションスプリング6が圧縮され、第1ブッシュ14及び第3ブッシュ18がハブ2のフランジ2b及び突起2cに対して摺動する。この結果、低剛性・小摩擦(低ヒステリシストルク)の特性が得られる。クラッチディスク組立体1の捩じり角度が大きくなると、小トーションスプリング6の圧縮が停止され、一体回転するハブフランジ5及びハブ2とプレート3,4との間で相対回転が生じる。このとき大トーションスプリング7が圧縮され、第2ブッシュ15がハブフランジ5の内周側側面に摺動し、さらに第3ブッシュ18の摩擦調整部材21がハブ2のフランジ2bのフライホイール側の面及びハブフランジ5の内周側のエンジン側面に摺動する。ここでは、小トーションスプリング6が圧縮されたときに比べて高剛性・大摩擦(高ヒステリシストルク)の特性が得られる。
【0040】
前述のように、第2ブッシュ15と第3ブッシュ18はスナップ突起15c及び18bによりリテーニングプレート4及びクラッチプレート3に対してそれぞれ相対回転不能に係止されている。特に、スナップ突起15c、18bが回転方向に弾性的に変形した状態で孔4c、3cに係合しているため、孔とスナップ突起との間には隙間がなく、またスナップ突起が摩耗した場合にもスナップ突起は孔への付勢を続け両者間には隙間が生じにくい。
【0041】
このようにして、各摩擦ブッシュがプレートに対して回転方向に隙間なく係合しておりさらにその状態が長期間にわたって維持されるため、摩擦発生機構8全体の特性が向上する。すなわち、回転方向隙間による各摩擦部材による摩擦発生の遅れが生じることはない。従来であれば、たとえば第2ブッシュ15や第3ブッシュ18とプレートとの間に回転方向隙間が形成された場合には、大トーションスプリング7が圧縮される捩じり特性2段目領域において高ヒステリシストルクの発生が回転方向隙間分だけ遅れて生じるなどの問題があった。
【0042】
なお、一対の突起50は、各ブッシュが相手側部材に対して摩擦摺動する際にその部材から受ける摩擦によって大きくたわまない程度の剛性を有している必要がある。
【0043】
本発明に係る摩擦ブッシュはクラッチディスク組立体の摩擦機構のみならず他の摩擦機構にも適応可能である。
【0044】
また、前記実施形態では、スナップ突起(各スナップ突起は一対の突起からなる)は半径方向に対向する2カ所に設けられていたが、その個数及び位置は前記実施形態に限定されない。例えばスナップ突起は孔のすべてに対して設けられていてもよいし、1カ所だけでもよい。
【0045】
また、本発明に係る摩擦ブッシュは、たとえば捩じり特性2段目の高剛性・高ヒステリシストルクの領域において微小捩じり振動に対して高ヒステリシストルクを発生させないための回転方向隙間を設けたダンパー機構に用いると効果を発揮する。そのようなダンパー機構では摩擦ブッシュとプレートとの間に回転方向隙間が生じると、高ヒステリシストルクが発生しない角度が大きくなる恐れがあるからである。
【0046】
【発明の効果】
本発明に係る摩擦ブッシュでは、係合部が孔に対して回転方向に弾性変形した状態で係合しているため、両者間に回転方向隙間はなく、また係合部に摩耗が生じても両者間に回転方向の隙間は生じることがない。
【0047】
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態によるクラッチディスク組立体の縦断面概略図。
【図2】一部が切りかかれた図1におけるII矢視図。
【図3】ハブの平面図。
【図4】図3のIV―IV断面図。
【図5】図1の円A部分の拡大図。
【図6】第1ブッシュの平面図。
【図7】図6のVI―VI断面図。
【図8】第2ブッシュの平面図。
【図9】図8のXI―XI断面図。
【図10】図8のX―X断面図。
【図11】第1コーンスプリングの平面図。
【図12】第2コーンスプリングの平面図。
【図13】図1の部分拡大図。
【図14】図1の部分拡大図。
【図15】クラッチディスク組立体の機械模式図。
【図16】ブッシュのスナップ突起とプレートの孔との係合を説明するための図。
【図17】ブッシュのスナップ突起とプレートの孔との係合を説明するための図。
【図18】ブッシュのスナップ突起とプレートの孔との係合を説明するための図。
【符号の説明】
1 クラッチディスク組立体
2 ハブ
3 クラッチプレート
3c 孔
4 リテーニングプレート
4c 孔
5 ハブフランジ
6 小トーションスプリング
7 大トーションスプリング
8 摩擦発生機構
14 第1ブッシュ
15 第2ブッシュ
15c スナップ突起
16 第1コーンスプリング
17 第2コーンスプリング
20,21 摩擦調整部材
50 突起
50a 先端部分
50b 根元部分
51 面取り

Claims (4)

  1. ダンパー機構のトーションスプリングを支持するための第1回転部材に形成された少なくとも1つの孔に係合することで前記第1回転部材と一体回転し、前記トーションスプリングが変形する際に第2回転部材と摺動することで摩擦を発生するための摩擦ブッシュであって、
    前記第2回転部材に当接する摩擦面が形成された環状の本体と、
    前記本体の前記摩擦面と反対側から突出し前記孔に係合する係合部とを備え
    前記係合部は、回転方向に並んだ一対の突起を含み、
    前記一対の突起は、1つの前記孔に係合した状態において前記孔の回転方向両縁に当接して弾性変形している、
    摩擦ブッシュ。
  2. 前記一対の突起は、前記孔との係合から外れた自由状態において、回転方向両側に広がるように延び、先端部の回転方向幅が前記孔の回転方向幅より大きく、根元部の回転方向幅が前記孔の回転方向幅より小さい、
    請求項1に記載の摩擦ブッシュ。
  3. 前記一対の突起は先端の回転方向外側が面取りされている、
    請求項1又は2に記載の摩擦ブッシュ。
  4. 前記一対の突起は、前記第1回転部材と前記第2回転部材が相対回転したときに前記第2回転部材から前記摩擦ブッシュに作用する摩擦によってたわまない程度の剛性を有している、
    請求項1〜3のいずれかに記載の摩擦ブッシュ。
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