JP3645707B2 - 摩擦ワッシャー組立体 - Google Patents

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【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、摩擦ワッシャー、特に、回転部材に係止され回転方向の振動を減衰するために摩擦を発生させる摩擦ワッシャーに関する。
【0002】
【従来の技術】
車輌のクラッチに用いられるクラッチディスク組立体(ダンパーディスク組立体)は、フライホイールに連結及び連結解除するためのクラッチ機能と、フライホイールから伝達された捩り振動を吸収・減衰するためのダンパー機能とを有している。クラッチディスク組立体は、クラッチディスクと、クラッチディスクに固定された1対の入力プレートと、入力プレートの内周側に配置されたハブと、ハブと入力プレートとを回転方向に弾性的に連結する弾性部材とを備えいてる。弾性部材は入力プレートとハブとの間に配置され両者が相対回転すると回転方向に圧縮されるようになっている。クラッチディスクがフライホイールに連結されると、フライホイールからクラッチディスク組立体の入力プレートにトルクが入力される。トルクは弾性部材を介してハブに伝達され、さらにトランスミッションから延びるシャフトに出力される。エンジンからのトルク変動がクラッチディスク組立体に入力されると、1対の入力プレートとハブとの間で相対回転が生じ、弾性部材が円周方向に繰り返し圧縮される。
【0003】
クラッチディスク組立体は摩擦機構をさらに備えている。摩擦機構は、入力プレートとハブとの間に配置され、両部材が相対回転するときに摩擦抵抗を発生する。摩擦機構は複数のワッシャーや付勢部材から構成されている。
分離ハブ型クラッチディスク組立体は、ハブの従来のフランジをボスから分離してハブフランジ(分離フランジ)にするとともに、ボスとハブフランジを低剛性の弾性部材により回転方向に連結したものである。このクラッチディスク組立体では、入力プレートとハブとの捩り角度が広くなり、さらに2段階の剛性(低剛性・高剛性)が得られる。
【0004】
前記従来の分離ハブ型クラッチディスク組立体では、例えば、リテーニングプレート(1対の入力プレートの一方)とハブのボスとの間に小摩擦機構が設けられ、リテーニングプレートとハブフランジとの間に大摩擦機構が設けられている。大摩擦機構は、ハブフランジに当接しさらにリテーニングプレートに相対回転不能にかつ軸方向に移動可能に係合する第1摩擦部材と、第1摩擦部材とリテーニングプレートとの間に配置され第1摩擦部材をハブフランジ側に付勢する第1付勢部材とから構成されている。小摩擦機構は、ハブのフランジに当接しかつリテーニングプレートに相対回転不能にかつ軸方向に移動可能に係合する第2摩擦部材と、第2摩擦部材とリテーニングプレートとの間に配置され第2摩擦部材をフランジ側に付勢する第2付勢部材とから構成されている。一般に、第1摩擦部材は第2摩擦部材より摩擦係数が高く、第1付勢部材は第2付勢部材より付勢力が大きく設定されている。このため、大摩擦機構は小摩擦機構より大きな摩擦(高ヒステリシストルク)を発生する。
【0005】
ハブフランジとハブとが相対回転する1段目の捩り角度範囲では、低剛性の弾性部材が圧縮され、 小摩擦機構において第2摩擦部材がボスのフランジに対して摺動する。ここでは、低剛性・低ヒステリシストルクの特性が得られる。ハブフランジがボスと一体回転しだすと、それ以後はハブフランジと1対の入力プレートとの間で相対回転が生じる。この2段目範囲では、高剛性の弾性部材がハブフランジと1対の入力プレートとの間で圧縮され、大摩擦機構において第2摩擦部材がハブフランジに対して摺動する。そのため、高剛性・高ヒステリシストルクの特性が得られる。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
前記従来のクラッチディスク組立体における樹脂製の摩擦ワッシャーには、軸方向に突出し例えばリテーニングプレートに相対回転不能に係合するための突起が形成されている。突起は円周方向両端がプレートの孔又は切り欠きに係合し、プレートから摩擦ワッシャーにトルクが伝達されるようになっている。突起にはリテーニングプレートに対して摩擦ワッシャーが軸方向に係止されるための爪部が形成されている。爪部はリテーニングプレートの軸方向外側に当接している。
【0007】
このように突起は、リテーニングプレートからのトルク伝達を行う係合部の役割とともに、摩擦ワッシャーをリテーニングプレートに軸方向に離脱しないように係止させる係止部としての役割も有している。
トルク伝達を行うために突起は所定の高い剛性を持っている必要がある。しかし、このように剛性が高い突起は、サブアッシー組立時にはプレートの孔等に弾性変形させて挿入するときに、破損しやすい。また、剛性の高い突起を変形させるために圧入機が必要であり、組み付け作業が容易でない。
【0008】
本発明の目的は、摩擦ワッシャーに設けられたトルク伝達用の係合部を破損しにくくすることにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
請求項1に記載の摩擦ワッシャー組立体は、回転部材と摩擦ワッシャーとを備えている。摩擦ワッシャーは、回転部材とトルク伝達を行うように係合しトルクが入力されるようになっており、回転方向の振動を減衰するために摩擦を発生させる樹脂製の部材である。摩擦ワッシャーは環状部と係合部と係止部とを備えている。係合部は、環状部と一体に形成され、回転部材とトルク伝達を行うように回転部材に係合する。係止部は、環状部と一体に形成され、回転部材に軸方向に係止されつつも回転部材との回転方向間に隙間を確保している。
【0010】
請求項1に記載の摩擦ワッシャー組立体では、トルク伝達を行う係合部と摩擦ワッシャーを回転部材に対して軸方向に係止するための係止部とが別々に設けられている。このため、係合部は従来とは異なり弾性変形を行う必要がなく、係合部は剛性の高い状態を維持していても破損しにくい。
請求項2に記載の摩擦ワッシャー組立体では、請求項1において、係止部は係合部より剛性が低い。そのため、係止部は回転部材に係止又は係止解除する際に破損しにくい。
【0011】
請求項3に記載の摩擦ワッシャー組立体では、請求項1において、係止部は係合部より細くたわみやすい。したがって、係止部は組み付け又は取り外しの際に破損しにくい。
請求項4に記載の摩擦ワッシャー組立体は、請求項1〜3のいずれかにおいて、係止部は弾性変形させることで回転部材に対して係止及び係止解除可能である。
【0012】
請求項5に記載の摩擦ワッシャー組立体では、請求項1〜4のいずれかにおいて、係合部は環状部から軸方向に延びている。係止部は環状部から半径方向に延びさらに軸方向に延びている。係止部は軸方向に延びる部分が回転部材の孔等に半径方向に付勢することで軸方向に係止されている。この場合は、係止部の係止及び係止解除が簡単である。
【0013】
請求項6に記載の摩擦ワッシャー組立体では、請求項1〜5のいずれかにおいて、係止部は回転部材に係止された状態で回転部材に付勢力を与えている。このようにして係止部は回転部材に対して簡単には離脱しないようになっている
【0015】
【発明の実施の形態】
図1〜図5に、本発明の一実施形態としてのクラッチディスク組立体1を示す。クラッチディスク組立体1は車輌のクラッチに用いられる。図3〜図5のクラッチディスク組立体の左側には図示しないエンジン及びフライホイールが配置され、図3〜図5の右側には図示しないトランスミッションが配置されている。以後、図3〜図5の左側を第1軸方向側(エンジン側)と呼び、図3〜図5の右側を第2軸方向側(トランスミッション側)と呼ぶ。各図のO−Oはクラッチディスク組立体1の回転軸線すなわち回転中心であり、図1に示す矢印R1はフライホイール及びクラッチディスク組立体1の回転方向(正側)であり、R2はその反対回転方向(負側)である。
【0016】
概略説明
クラッチディスク組立体1は、図6の機械回路図に示すように、主に、入力回転体2と、ハブ3(出力回転体)と、その中間に配置されたダンパー機構4とから構成されている。ダンパー機構4は、さらに、捩り角度の2段目特性をもたらす第1ダンパー機構5と、捩り特性の1段目の特性をもたらす第2ダンパー機構6とから構成されている。第1ダンパー機構5と第2ダンパー機構6とは間にハブフランジ18(中間プレート)を介して入力回転体2とハブ3との間に直列に作用するように配置されている。
【0017】
第1ダンパー機構5は、第1バネ16やバネ17からなる第1弾性機構7と、ハブフランジ18と入力回転体2とが相対回転するときに摩擦を発生する第1摩擦機構8と、ハブフランジ18と入力回転体2との相対回転角度を規制するための機構であり捩じり角度θ2+θ3だけ入力回転体2とハブフランジ18との相対回転を許容している第1ストッパー11とから構成されている。第1弾性機構7、第1摩擦機構8及び第1ストッパー11はハブフランジ18と入力回転体2との間に並列に作用するように配置されている。
【0018】
第2ダンパー機構6は、主に、第2弾性機構9と、第2摩擦機構10と、第2ストッパー12とから構成されている。第2弾性機構9の第2バネ21は第1弾性機構7の第1バネ16よりバネ定数が小さく設定されている。第2摩擦機構10は第1摩擦機構8で発生する摩擦より小さな摩擦を発生するように設定されている。第2ストッパー12はハブ3とハブフランジ18との相対回転を規制するための機構であり、捩り角度θ1だけハブ3とハブフランジ18との相対回転を許容している。第2弾性機構9,第2摩擦機構10及び第2ストッパー12はハブ3とハブフランジ18との間で並列に作用するように配置されている。
【0019】
詳細説明
次に、クラッチディスク組立体1の各構造について詳細に説明する。
入力回転体2は、クラッチプレート31と、リテーニングプレート32と、クラッチディスク33とから構成されている。クラッチプレート31及びリテーニングプレート32は円板状又は環状のプレート部材であり、互いに対して軸方向に所定距離だけ離れて配置されている。クラッチプレート31は第1軸方向側に配置されており、リテーニングプレート32は第2軸方向側に配置されている。クラッチプレート31とリテーニングプレート32の外周部は円周方向に並んで配置された複数のストップピン40により互いに固定されている。これにより、クラッチプレート31とリテーニングプレート32との軸方向距離が定められ、さらに両プレート31, 32は一体回転する。クラッチプレート31の外周部には、クラッチディスク33のクッショニングプレート41が複数のリベット43により固定されている。クッショニングプレート41の両側に環状の摩擦フェーシング42が固定されている。
【0020】
クラッチプレート31及びリテーニングプレート32には、円周方向に等間隔で複数の第1収容部34が形成されている。第1収容部34は軸方向に僅かに膨らんだ部分であり、円周方向両側に第1支持部35を有している。第1支持部35は円周方向に互いに対向している。さらに、クラッチプレート31及びリテーニングプレート32には、円周方向に等間隔で複数の第2収容部36が形成されている。第2収容部36は各第1収容部34のR1側に隣接して配置されている。第2収容部36は円周方向両側に第2支持部37を有している。各第2収容部36は第1収容部34に対して半径方向及び円周方向に長く形成されている。
【0021】
リテーニングプレート32の外周縁には第2軸方向側に折り曲げられた複数の折り曲げ部51が形成されている。折り曲げ部51はストップピン40に対応して形成されている。折り曲げ部51によりストップピン40周辺及びストップピン40の強度が向上している。このためストップピン40をクラッチプレート31及びリテーニングプレート32に対して最も半径方向外側に配置でき、その結果ストッパートルクを高くできる。さらに折り曲げ部51はリテーニングプレート32の半径方向を長くしないため、従来の同じ強度のものに比べて半径方向のスペースを小さくできる。半径方向のスペースを従来と同様に保つ場合には、ストップピンを従来よりさらに半径方向外方に配置できる。折り曲げ部51は部分的にしか形成されていないため、板金材料を節約できる。
【0022】
ハブフランジ18はクラッチプレート31及びリテーニングプレート32の間すなわち両部材の軸方向間に配置されている。ハブフランジ18は入力回転体2とハブ3との間の中間部材として機能する。ハブフランジ18はプレート31, 32に比べて厚肉の円板状又は環状の部材である。ハブフランジ18には、第1収容部34に対応して第1窓孔57が形成されている。第1窓孔57は第1収容部34に対して形成されている。第1窓孔57の円周方向角度は第1収容部34の第1支持部35間の円周方向角度より小さくなっている。そして第1窓孔57の回転方向中心は第1収容部34の回転方向中心とほぼ一致している。このため、第1窓孔57の円周方向両端と第1収容部34の第1支持部35との間には円周方向両側にそれぞれ捩り角度θ2だけの隙間が確保されている。第1窓孔57内にはバネ17が配置されている。バネ17はコイルスプリングであり、円周方向両端が第1窓孔57の円周方向両端に当接している。この状態で、バネ17の円周方向両端は第1収容部34の第1支持部35に対してそれぞれ捩り角度θ2だけ隙間をあけている。
【0023】
ハブフランジ18には、第2収容部36に対応した位置に第2窓孔56が形成されている。第2窓孔56は半径方向及び円周方向長さが第2収容部36にほぼ一致している。第1バネ16は第2窓孔56内に配置されている。第1バネ16は2組のコイルスプリングが組み合わされてなる弾性部材であり、円周方向両端が第2窓孔56の円周方向両端に当接している。また、第1バネ16の円周方向両端は第2収容部36の第2支持部37に当接している。ハブフランジ18の内周部には、軸方向両側に延びる筒状部59が形成されている。筒状部59には、半径方向内側に延びる複数の内周歯61が形成されている。
【0024】
ハブ3は、プレート31, 32及びハブフランジ18の内周部すなわち各部材の中心孔内に配置された筒状の部材である。ハブ3は主に筒状のボス62から構成されている。ボス62の中心孔には複数のスプライン63が形成されている。このスプライン63がトランスミッションから延びるシャフトのスプラインに係合することで、ハブ3からシャフトに出力が可能となっている。ボス62には半径方向外方に延びるフランジ64が形成されている。この実施形態ではフランジ64の半径方向幅は僅かである。フランジ64には、さらに半径方向外方に延びている複数の外周歯65が形成されている。外周歯65はボス62から半径方向外側に延びるフランジの一部を形成していると考えてもよい。外周歯65はハブフランジ18の筒状部59に対応する半径方向長さを有している。外周歯65は内周歯61の円周方向間に延びており、円周方向両側にそれぞれ所定の捩じり角度θ1だけ隙間を有している。また、外周歯65から見てそのR2側の捩り角度θ1はR1側の捩り角度θ1に比べてやや大きく設定されている。内周歯61及び外周歯65はそれぞれ半径方向先端に向かって円周方向幅が狭くなる形状である。
【0025】
内周歯61と外周歯65は円周方向全体にわたって形成されており、両者の当接可能な面積が増大している。つまり従来とは異なり、歯の一部を省略して低剛性弾性部材配置用の切欠きを形成していない。この結果、内周歯61と外周歯65との接触面積が増大している。すなわち、両部材間での面圧が下がり、摩耗や破損が生じにくくなっている。このため歯の一部を切り欠いたものに対し、省スペースで高トルクの特性を実現できる。
【0026】
次に第2ダンパー機構6について説明する。第2ダンパー機構6は、ハブ3とハブフランジ18との間でトルクを伝達するとともに、捩り振動を吸収・減衰するためのものである。第2ダンパー機構6の第2弾性機構9は主に第2バネ21から構成されている。第2ダンパー機構6の第2摩擦機構10はブッシュ19と、固定プレート20と第2コーンスプリング78とから構成されている。すなわち、第2ダンパー機構6はハブ3とハブフランジ18の係合部である内周歯61及び外周歯65から軸方向にずれた位置にある。より具体的に述べると、第2ダンパー機構6は内周歯61及び外周歯65からトランスミッション側にずれて配置されている。これにより外周歯65と内周歯61の接触面積を充分に確保できる。また、第2ダンパー機構6が内周歯61と外周歯65との間に配置されていないため、従来とは異なり、第2バネ21の掛かり代を充分に確保できる。この結果、スプリングシートを省略でき、そのため第2バネ21の組み付け性が向上している。
【0027】
固定プレート20は、第2ダンパー機構6において入力側の部材として機能する。すなわち、固定プレート20はハブフランジ18からのトルクが入力される部材である。固定プレート20は、ハブフランジ18の内周部とリテーニングプレート32の内周部との間に配置された板金製の薄肉プレート部材である。固定プレート20は、図8〜11に示すように、第1円板状部71と、第1円板状部71の内周縁から第2軸方向(トランスミッション側)に延びる筒状部72と、筒状部72からさらに半径方向内側に延びる第2円板状部73とから構成されている。
【0028】
固定プレート20の第1円板状部71とハブフランジ18との間にはスペーサ80が配置されている。スペーサ80は、ハブフランジ18に固定プレート20を回転方向に連結するとともに、固定プレート20からハブフランジ18側へ作用する力を受ける役割を有している。スペーサ80は環状の樹脂製部材であり、軽量化のために多数の肉抜き部を有している。スペーサ80は、環状部81と、環状部81から半径方向外側に突出する複数の突出部82とを有している。突出部82には、外周縁に2つの切欠き83が形成されている。また、突出部82から第1軸方向側に延び、ハブフランジ18に形成された係合孔58に挿入された突起84が延びている。突起84は、係合孔58に対して半径方向には僅かに移動可能にかつ回転方向には相対移動不能に係合している。
【0029】
固定プレート20の第1円板状部71には、円周方向に等間隔で半径方向外方に突出する複数の突出部74が形成されている。この突出部74は、スペーサ80の突出部82に対応して形成されている。固定プレート20の突出部74には、スペーサ80の突出部82に形成された切欠き83に係合する爪75が形成されている。以上に述べた構造において、固定プレート20はスペーサ80を介してハブフランジ18に相対回転不能となるようにすなわちハブフランジ18からトルクが入力され得るようになっている。また、固定プレート20はスペーサ80を介してハブフランジ18に第1軸方向側を支持されるようになっている。なお、固定プレート20はスペーサ80及びハブフランジ18から第2軸方向側には移動可能となっている。
【0030】
次に、固定プレート20とリテーニングプレート32との間に形成された第1摩擦機構8について説明する。第1摩擦機構8は、第1摩擦ワッシャー48と、第1コーンスプリング49とから構成されている。第1摩擦ワッシャー48は、リテーニングプレート32に対して相対回転不能かつ軸方向に移動自在に係合し、固定プレート20に対して摺動することで摩擦を発生するための摩擦部材である。第1摩擦ワッシャー48は主に環状の樹脂部材からなる。第1摩擦ワッシャー48は樹脂製の環状部85を有している。
【0031】
樹脂の種類としては一般にゴム系樹脂とナイロン系樹脂とがあるが、環状部85に用いられている樹脂はポリアミド系ナイロン樹脂であるPPS(ポリフェニレンスルフィド)又はPA46である。モールドを行わない場合にはPPSが好ましく、モールドを行う場合にはPA46が好ましい。なお、以上の樹脂の説明は以下に記載の他の環状樹脂部材に適用できる。
【0032】
環状部85において固定プレート20側には摩擦材86がモールド又は接着されている。摩擦材86は第1摩擦ワッシャー48と固定プレート20との間の摩擦係数を高めるための部材であり、環状又は円板状に延びている。環状部85の内周部には、第2軸方向側に延びる複数の回転方向係合部87が形成されている。回転方向係合部87は、リテーニングプレート32の中心孔52(内周縁)に形成された複数の切欠き53内に挿入されている。これにより、第1摩擦ワッシャー48はリテーニングプレート32に対して相対回転不能にかつ軸方向に移動自在に係合している。さらに、環状部85には、外周縁から半径方向外側に延びさらにそこから第2軸方向側に延びる係合部88が形成されている。係合部88は比較的細い形状であり、先端に爪部が形成されている。係合部88はリテーニングプレート32に形成された孔54内に挿入され、爪部がリテーニングプレート32に係合している。係合部88は係合状態で半径方向外方に自らを付勢しており、孔54に圧接している。このためサブアッシー組み付け後にも第1摩擦ワッシャー48はリテーニングプレート32から外れにくい。このように第1摩擦ワッシャー48においてトルクを伝達するための係合部(回転方向係合部87)とリテーニングプレート32に対して部材を仮止めするための係合部(係合部88)とを別々に設け、係合部88を細く撓み可能な形状にしている。係合部88は剛性が低いためサブアッシー時に折れにくい。このため、回転方向係合部87にはサブアッシー組立時に力が作用せず、従来の樹脂製摩擦ワッシャーにおいて半径方向係合部にリテーニングプレートへの係合の爪部を持たせたものに比べても破損しにくい。また、サブアッシー組立時に圧入機が不要になり、設備費が低減できる。
【0033】
第1コーンスプリング49は、第1摩擦ワッシャー48とリテーニングプレート32の内周部との間に配置されており、両部材間で軸方向に圧縮された配置となっている。第1コーンスプリング49は、外周端がリテーニングプレート32に支持され、内周端が第1摩擦ワッシャー48の環状部85に当接している。第1コーンスプリング49の内周側には、複数の切欠き49aが形成されている。この切欠き49aによって複数の突起が内周縁に形成されていると見なしてもよい。切欠き49a内には第1摩擦ワッシャー48の回転方向係合部87の外周側に形成された突起部分が挿入されている。これにより、第1コーンスプリング49は第1摩擦ワッシャー48と相対回転不能に係合している。
【0034】
固定プレート20の第2円板状部73には、円周方向に等間隔で複数の切り起こし部76が形成されている。切り起こし部76は、第2円板状部73の内周側から軸方向に切り起こされた形状であり、第2円板状部73における他の部分に比べて第2軸方向側に配置されている。この切り起こし部76が形成された部分には、第2円板状部73において切欠き部分が形成されている。切欠き部分の円周方向両端には支持部77が形成されている。
【0035】
ブッシュ19は、第2ダンパー機構6において出力側の部材として機能し、ハブ3に相対回転不能に係合している。さらに詳細に説明すると、ブッシュ19は、ハブフランジ18の内周歯61及びハブ3の外周歯65の第2軸方向側で固定プレート20の筒状部72の内周側、さらにはボス62の第2軸方向側部分の外周側の空間に配置された環状の樹脂製部材である。ブッシュ19は、図12〜19に示すように環状部89から主に構成されている。環状部89には、第2軸方向側面に円周方向に等間隔で複数のバネ収容部90が形成されている。バネ収容部90は固定プレート20の切り起こし部76すなわち切欠き部分に対応して形成されている。バネ収容部90はブッシュ19の第2軸方向側面に形成された凹部である。この凹部は図14及び15に示すように断面で円の一部を構成するように滑らかに形成されている。また、各バネ収容部90の半径方向及び円周方向中心には軸方向に貫通する孔が形成されている。さらには、環状部89の内周部には、第2軸方向側に延びる筒状の内周支持部91が形成されている。この内周支持部91を含めたブッシュ19の内周面91aは、ボス62の外周面に当接又は近接している。さらに、ブッシュ19の環状部89に形成された第2軸方向側面89aは固定プレート20の第2円板状部73の第1軸方向側面に当接している。ここでは、ブッシュ19の環状部89と固定プレート20の第2円板状部73との間で第2摩擦機構10が形成されている。
【0036】
各バネ収容部90内には第2バネ21が配置されている。第2バネ21は、第1バネ16やバネ17に対して小型のコイルスプリングであり、バネ定数が小さい。第2バネ21は、バネ収容部90内に配置され、円周方向両端がバネ収容部90の円周方向両端に当接又は近接している。第2バネ21は、バネ収容部90内において、ブッシュ19によって軸方向内側(第1軸方向側)及び内周側を支持されている。
【0037】
第2バネ21の円周方向両端には、固定プレート20の支持部77が回転方向に係合(当接)している。これにより、固定プレート20からのトルクは第2バネ21を介してブッシュ19に伝達されるようになっている。第2バネ21の円周方向端面はバネ収容部90の円周方向端部によって第1軸方向側が全面的に支持されている。また、第2バネ21の円周方向端面は支持部77が半径方向にわたって支持している。このように第2バネ21は円周方向両端の掛かり代が大きくなっている。言い換えると、第2バネ21の円周方向両端において支持される部分の面積が増えている。これは第2バネを従来のハブとハブフランジの間から軸方向にずらした位置に配置することで可能になっている。以上の結果スプリングシートを廃止することができ、部品点数が減っている。
【0038】
また、第2バネ切り起こし部76は第2バネ21の軸方向外側(第2軸方向側)を支持するように配置されている。このようにして、第2バネ21は固定プレート20によって外周側及び軸方向外側を支持されている。
ブッシュ19には、環状部89から第1軸方向側に延びる係合部99が形成されている。係合部99は第2軸方向側に延びる突起であり、ブッシュ19のトルクをハブ3に伝達するための構成である。係合部99は断面が外周歯65間の隙間に合った形状をしており、ハブ3の外周歯65の間に挿入され各外周歯65に対して円周方向に移動不能に係合している。
【0039】
第2コーンスプリング92は第2摩擦機構10において第2円板状部73と環状部89とを軸方向に互いに付勢するための付勢部材である。第2コーンスプリング92は、ハブ3の外周歯65及びハブフランジ18の内周歯61とブッシュ19との軸方向間に配置されている。第2コーンスプリング92は内周部がハブ3のフランジ64に支持され、外周部がブッシュ19の環状部89に当接している。第2コーンスプリング92は軸方向に圧縮された状態であり、ブッシュ19を第2軸方向側に付勢している。この結果、ブッシュ19の環状部89の第2軸方向側面89aと固定プレート20の第2円板状部73の第1軸方向側面とが所定の力で軸方向に互いに付勢されている。第2コーンスプリング92は第1コーンスプリング49に比べて内外径共に小さく、厚みも大幅に小さい。このようにして第2コーンスプリング92は第1コーンスプリング49に対して付勢力が大幅に小さくなっている。第2コーンスプリング92の内周縁には複数の切欠き92aが形成されている。切欠き92aによって内周縁に複数の突起が形成されていると見なしてもよい。前述の係合部99は切欠き92a内を延びている。
【0040】
以上に述べたように、固定プレート20は、第2ダンパー機構6において第2バネ21に係合する入力側の部材及び第2摩擦機構10を構成する部材として、さらには第1摩擦機構8を構成する部材として機能している。以下に、この固定プレート20を用いた利点について説明する。固定プレート20は、前述のように、第2ダンパー機構6において第2バネ21の円周方向両端を支持する支持部材及び第2摩擦機構10を構成する部材として機能している。このように1つの部材で2つの機能を実現しているために部品点数が少なくなる。さらには、固定プレート20は第2バネ21の軸方向外側をも支持している。さらには、固定プレート20は、捩り特性の1段目で摺動して摩擦を発生する第2摩擦機構10と、捩り特性の2段目で摺動して摩擦を発生する第1摩擦機構8の両方の摩擦面を構成している。このように1つの部材で両摩擦面を形成しているため、両摩擦面の摩擦特性を調整・管理するのが容易になっている。具体的には、従来のようにボスのフランジ及びハブフランジの両方の摺動面を管理する必要がなくなる。特に、固定プレート20は従来のハブやハブフランジとは異なり小型で単純な構成であるため摩擦面の管理が容易である。以上に述べた固定プレート20は板金製であり、プレス加工により所望の形状を容易に実現でき、安価に実現可能である。
【0041】
次に、ブッシュ19の利点について説明する。ブッシュ19は樹脂製であり所望の形状を容易に実現できる。特に、樹脂製であるため係合部99を一体成形でき、製造が容易である。係合部99はハブ3の外周歯65の円周方向間に係合しているため、ハブ3に係合のための特別な孔や凹部等を形成する必要がない。このため、ハブ3の加工工程が増えることはない。ブッシュ19は、第2ダンパー機構6の出力側の部材として機能し、第2バネ21の円周方向両側に係合するとともに第2摩擦機構10の一部を構成している。このように単一の部材でトルク伝達と摩擦発生部を実現しているため、全体の部品点数が少なくなる。
【0042】
第2摩擦機構10において摩擦面同士を軸方向に付勢する部材としての第2コーンスプリング78はハブ3のフランジ64に支持されている。このように第2コーンスプリング78が従来のようにリテーニングプレートに支持されているのでなく他の部材によって支持されることにより、1段目の特性におけるヒステリシストルクが安定する。このため1段目のヒステリシストルクの調整が容易である。従来は第1付勢部材と第2付勢部材の両方がリテーニングプレートにより支持されていたため、第1弾性部材の付勢力によってリテーニングプレートの変形が起こる可能性があり、そのため第2付勢部材の姿勢が変化し第2付勢部材の付勢力が安定しないという問題があった。この実施形態では、第1コーンスプリング49の付勢力と第2コーンスプリング78の付勢力は固定プレート20に対して軸方向に互いに反対に働いている。すなわち、第1コーンスプリング49は第1摩擦ワッシャー48を介して固定プレート20を第1軸方向側に付勢し、第2コーンスプリング78はブッシュ19を介して固定プレート20を第2軸方向側に付勢している。
【0043】
第2ストッパー12はトルクの大きな領域では第2ダンパー機構6の各部材にトルクを作用させない構造である。捩じり特性の2段目範囲ではブッシュ19,第2バネ21及び固定プレート20にはトルクが作用しない。このため各部材の強度を極端に大きくする必要がなく、設計が容易である。
次に、クラッチプレートの内周側に設けられたブッシュ93について説明する。ブッシュ93はクラッチプレート31の内周部に設けられ、ハブ3の外周面、フランジ64の端面、外周歯65,ハブフランジ18の筒状部59及び内周歯61に当接する部材である。ブッシュ93の機能としては、摩擦を発生して回転方向の振動を減衰する、クラッチプレート31をハブ3に対して半径方向に位置決めする、ハブフランジ18をハブ3に対して半径方向に位置決めするなどがある。ブッシュ93は、図20〜22に示すように、主に、樹脂製の環状部94から主に構成されている。環状部94は半径方向に所定の幅を有し軸方向の厚みが薄い円板状の部材である。環状部94はクラッチプレート31の内周部とハブフランジ18の内周部との軸方向間に配置されている。環状部94の第2軸方向側には環状の摩擦部材95がモールド若しくは接着又は単に配置されている。摩擦部材95は環状であり、半径方向に所定の幅を有し軸方向の厚みが薄い円板状の部材である。摩擦部材95は高摩擦係数の例えばゴム系、ガラス系の混紡もしくは含浸成形品や、セラミック等からなる。摩擦部材95はブッシュ93に高摩擦係数の特性をもたらものであり、また材料を選択することで摩擦の大きさを調整できる。
【0044】
図20の平面図で示すように、環状部94及び摩擦部材95は内外径が円形となっている。摩擦部材95は、環状部94の第2軸方向側面に当接するように配置されていると見なしても良いし、環状部94の第2軸方向側面に形成された溝内に配置されていると見なしても良い。すなわち、環状部94の内周縁には第2軸方向側に延びる筒状部96が形成され、外周縁には第2軸方向側に延びる筒状部97が形成されている。筒状部96,97に囲まれた環状の空間が環状部94の溝を構成している。この溝は内外径が円であり、この溝内に摩擦部材95は配置されている。
【0045】
筒状部96はハブ3のフランジ64の第1軸方向側面に当接している。この部分が1段目の捩じり範囲で摺動するようになっている。摩擦部材95は、ハブフランジ18の筒状部59及び内周歯61の第1軸方向側端面に当接している。この部分が2段目の捩じり範囲で摺動するようになっている。摩擦部材95とハブ3の外周歯65の第1軸方向側面との間にはわずかな隙間が確保されている。ハブフランジ18の筒状部59及び内周歯61の第1軸方向側端面は摩擦部材95にのみ軸方向に当接している。
【0046】
摩擦部材95には円周方向に並んだ複数の孔95aが形成されており、この孔95a内に環状部94から突起94aが挿入されている。これにより、環状部94と摩擦部材95の回り止めが実現されている。特に、摩擦部材95は円形であるため、このような回り止めが重要な役割を果たす。従来であれば摩擦部材が円形の場合にはSPCCからなる裏板に接着しても剥離等の強度に関する問題が生じる可能性があった。そのため摩擦部材を四角形状化することで回り止めを図っていた。本願に係る摩擦部材95では、摩擦部材95を円形という簡単な構造に保ったまま、剥離等の問題も解消している。特に、摩擦部材95の孔95aの形成、及び樹脂製環状部94の突起94aの形成はともに容易であり、コスト低減が実現されている。
【0047】
なお、この実施形態では摩擦部材95は環状部94に対して固定されておらず、軸方向に離脱可能である。このため接着等の作業が不要である。ただし、本願発明の構成においても摩擦部材95と環状部94とを接着等していてもよい。
さらには、環状部94には円周方向に並んだ複数の孔94bが形成されている。孔94bは軸方向に延び環状部94の第1軸方向側と第2軸方向側とを連絡しており、摩擦部材95の第1軸方向側面の一部を露出させている。また、クラッチプレート31の内周部には、孔94bに対応して孔13が形成されている。孔13は孔94bより大径で孔94bの周囲にさらに広がっている。このように同一位置に形成された孔94b及び孔13によって摩擦部材95の一部がクラッチディスク組立体1の外部に露出している。このため、摩擦部材95は充分に冷却され、すなわち摩擦部材95はクラッチプレート31側への大気にも放熱し、摩擦部材95の摩擦熱による摩擦特性の変化等が抑えられる。さらに、摩擦部材95の耐久強度が向上し、またハブ3及びハブフランジ18の硬度低下が防止される。さらに突起94aには軸方向に延び貫通する孔94cが形成されている。孔94cは環状部94の第1軸方向側と第2軸方向側とを貫通させている。孔94b,94cはブッシュ93全体の体積を低減しており、これにより樹脂の使用量が減り、コストが低減されている。
【0048】
環状部94の内周縁には、第1軸方向側に延びる筒状部98が形成されている。筒状部96,98は内周面がボス62の外周面に当接している。これにより、クラッチプレート31及びリテーニングプレート32のハブ3に対する半径方向の位置決め(芯出し)が行われている。また、筒状部98の外周面には、クラッチプレート31の内周縁に形成された複数の突起に係合する溝98aが形成されている。これにより、ブッシュ93はクラッチプレート31と一体回転してハブ3のフランジ64、さらにハブフランジ18の筒状部59に摺動可能である。
【0049】
筒状部97には複数の切り欠き97aが形成されている。筒状部97の半径方向内側面は、ハブフランジ18の筒状部59の第1軸方向側外周面に当接している。すなわち、ハブフランジ18はこのブッシュ93の筒状部97によってハブ3及びクラッチプレート31及びリテーニングプレート32に半径方向の位置決めをされている。
【0050】
環状部94の外周縁には第1軸方向に延びる複数の係合部14が形成されている。係合部14は円周方向に等間隔で形成されている。係合部14は爪形状を有しており、クラッチプレート31に形成された孔15に係合している。これにより、ブッシュ93はクラッチプレート31に対して軸方向に仮止めされている。以上に述べたブッシュ93は、ボス62の外周面に当接することでクラッチプレート31をハブ3に対して半径方向の位置決めをし、フランジ64及び筒状部59にそれぞれ当接する摩擦面を有することで1段目と2段目のヒステリシストルクを発生する。このように1つの部材に複数の機能をもたすことで全体の部品点数が減っている。
【0051】
入力回転体2のクラッチディスク33が図示しないフライホイールに押し付けられると、クラッチディスク組立体1にトルクが入力される。トルクは、クラッチプレート31及びリテーニングプレート32から第1バネ16,ハブフランジ18,スペーサ80,固定プレート20,第2バネ21,ブッシュ19の順番で伝達され、最後にハブ3から図示しないシャフトに出力される。
【0052】
エンジンからのトルク変動がクラッチディスク組立体1に入力されると、入力回転体2とハブ3との間で捩り振動すなわち相対回転が生じ、第1バネ16,バネ17及び第2バネ21が回転方向に圧縮される。
次に、図6の機械回路図及び図7の捩り特性線図を用いてクラッチディスク組立体1のダンパー機構としての動作を説明する。図6に示す機械回路図は、入力回転体2とハブ3との間に形成されるダンパー機構4を模式的に描いたものであり、例えばハブ3を入力回転体2に対して一回転方向(例えばR2方向)に捩じったときの各部材の動作関係を説明するための図である。
【0053】
ハブ3を入力回転体2に対してR2側に捩って行くと、捩り角度θ1までの角度では主に第2ダンパー機構6が作動する。すなわち、第2バネ21が回転方向に圧縮され、第2摩擦機構10で摺動が生じる。ここでは、第1摩擦機構8で摺動が生じないために、高ヒステリシストルクの特性となることはない。この結果、低剛性・低ヒステリシストルクの1段目特性が得られる。捩り角度が捩り角度θ1を超えると、第2ストッパー12が当接し、ハブ3とハブフランジ18との相対回転が停止する。すなわち、捩り角度θ1以上では第2ダンパー機構6が作動しない。このように捩り角度θ1以上では第2バネ21が圧縮されないため、第2バネ21の破損が生じにくい。また第2バネ21の強度を心配しなくて良くなるので設計が容易になる。捩り特性の2段目では第1ダンパー機構5が作動する。すなわち、第1バネ16がハブフランジ18と入力回転体2との間で回転方向に圧縮され、第1摩擦機構8で摺動が生じる。この結果、高剛性・高ヒステリシストルクの2段目特性が得られる。捩り角度がθ1+θ2を超えると、バネ17の円周方向端部が第2収容部36の第2支持部37に当接する。すわなち、第2ダンパー機構6において第1バネ16とバネ17とが並列に圧縮される。この結果、3段目では2段目より高い剛性が得られる。捩り角度がθ1+θ2+θ3となると第1ストッパー11が当接し、入力回転体2とハブ3との相対回転が停止する。
【0054】
捩り特性の負側においても各捩り角度θ1〜θ3の大きさは異なるものの同様の特性が得られる。
なお、捩り特性の1段目では、ブッシュ93とハブ3のフランジ64及び外周歯65との間で摩擦が発生している。さらには、2段目及び3段目ではブッシュ93とハブフランジ18の内周部との間で摩擦が生じている。
【0055】
第2ダンパー機構6において環状部89と第2円板状部73とによる摩擦面でブッシュ19の摩耗が進むと、ブッシュ19が他の部材に対して第2軸方向側に移動することが考えられる。この場合は、第2コーンスプリング78の姿勢が変化し、具体的には起き上がった状態になる。このため、第2コーンスプリング78の付勢力(セット荷重)が変化し、具体的には一旦増加した後に減少する。このように第2摩擦機構10におけるヒステリシストルクの大きさが変化し安定しない。
【0056】
しかし、本願発明では、第1コーンスプリング49により固定プレート20を第1軸方向側に付勢し、その付勢力はハブフランジ18及びブッシュ93に作用している。そのため、第2摩擦機構10での摩耗量とブッシュ93とハブフランジ18との間の摩擦面での摩耗量とが対応又は一致していると、次のような効果が得られる。ブッシュ93においてハブフランジ18の筒状部59に対応する部分(摩擦部材95)か摩耗すると、その摩耗量だけハブフランジ18、スペーサ80、固定プレート20及び第1摩擦ワッシャー48は第1軸方向側に移動する。このため、第2摩擦機構10の摩擦面においても第2円板状部73が第1軸方向側へと移動する。ブッシュ19のハブ3に対する軸方向の位置はほとんど変化せず、その結果フランジ64とブッシュ19との間に配置された第2コーンスプリング78の姿勢もほとんど変化しない。このようにハブフランジ18や第1摩擦機構8を用いた摩耗追従機構により、第2摩擦機構10の摩擦面での摩耗に関わらず第2コーンスプリング78の姿勢を一定に維持し、その結果第2摩擦機構10でのヒステリシストルクを安定的に発生させることができる。この結果、経時変化の少ないヒステリシストルクが得られ、音振性能が向上する。また、第2コーンスプリング78の摩耗代を考慮する必要が少なくなるため、第2コーンスプリング78の設計自由度が増大する。具体的には、第2コーンスプリング78の応力を低くかつ荷重を高く設計することができる。
【0057】
第2コーンスプリング78のセット荷重をコーンスプリングにおける荷重特性のピーク付近に設定されている。ブッシュ19での摩耗量とブッシュ93での摩耗量が同等に維持される場合は、第2コーンスプリング78の荷重は最大付近に維持される。ブッシュ19での摩耗量とブッシュ93での摩耗量が異なる場合にはセット荷重は荷重特性のピークから両側に多少ずれる。この場合でもセット荷重の変化量は最小限になるように設定されており、またその変化は予測可能である。
[他の実施例]
図23に示すように、前記実施形態のスペーサを廃止して、固定プレート20をハブフランジ18に直接係合させてもよい。固定プレート20の第1円板状部71はハブフランジ18の筒状部59に直接支持されている。また、第1円板状部71の外周縁からは、ハブフランジ18の係合孔58内に係合爪28が延びている。この構成では、スペーサを省略でき部品点数が少なくなっている。
【0058】
さらには、図6の機械回路図においてスペーサ80の位置に他の弾性部材すわなちバネを配置してもよい。この場合は、全体で4段の特性が得られる。
この実施形態の説明で、「一体回転するように係合している」又は「相対回転不能に係合している」などは、両部材が円周方向にトルク伝達可能となっている構成を意味している。すなわち、両部材の間に回転方向に隙間等が形成され所定角度までは両部材がトルク伝達を行わない場合も含む。
〔第1摩擦ワッシャー48〕
次に、図24〜図27を用いて、第1摩擦ワッシャー48についてさらに詳細に説明する。第1摩擦ワッシャー48は、リテーニングプレート32に対して相対回転不能にかつ軸方向に移動可能に係合し、固定プレート20に対して摺動することで摩擦を発生するための摩擦部材である。第1摩擦ワッシャー48は主に環状の樹脂部材からなる。
【0059】
第1摩擦ワッシャー48は樹脂製の環状部85を有している。環状部85において固定プレート20側には摩擦板86が配置されている。摩擦板86は第1摩擦ワッシャー48と固定プレート20との間に形成される摩擦面の摩擦係数を高めるための部材である。摩擦板86は図25に示すように環状または円板状に延びている。摩擦板86は外径及び内径が円である円形状となっている。摩擦板86は環状部85において固定プレート20側の面に形成された環状の溝85a内に配置されている。すなわち摩擦板86は溝85aを形成する外周側の壁と内周側の壁とにより半径方向への移動を規制されている。さらに、摩擦板86には円周方向に並んだ複数の孔86aが形成されており、この孔86a内には環状部85から固定プレート20側に帯びる突起85bが挿入されている。この突起85bと孔86aとの係合により、摩擦板86は環状部85に対して回り止めすなわち一体回転するように構成されている。この実施形態では摩擦板86は環状部85に対してモールド成形されている。ただし正ついた86は環状部85に対して接着等他の方法で固定されていてもよいし、軸方向に離脱可能となっていてもよい。
【0060】
環状部85の内周部には、第2軸方向側に延びる複数の係合部87が形成されている。係合部87は軸方向に延びる棒状の部材であり、リテーニングプレート32の中心孔52(内周縁)に形成された複数の切り欠き53内に挿入されている。係合部87の円周方向両端は切り欠き53の円周方向両端に隙間なく当接しているが、必要に応じてはわずかな隙間が確保されていてもよい。この係合により、第1摩擦ワッシャー48はリテーニングプレート32に対して相対回転不能にかつ軸方向に移動可能となっている。なお、係合部87は弾性変形することなく切り欠き53内に軸方向から挿入されている。
【0061】
環状部85には、外周縁から延びる複数の係止部88が形成されている。係止部88は、リテーニングプレート32に係止されることにより、第1摩擦ワッシャー48全体をリテーニングプレート32に係止するためのものである。ここで用いる「係止」とは、両部材が離脱可能ではある(離脱不能に固定されているのではない)が容易には外れず、持ち運びやクラッチ組立体全体の組立の際には1つのサブアッシー構成を実現していることをいう。すなわち、係止部88により、リテーニングプレート32、第1摩擦ワッシャー48及び第1コーンスプリング49がサブアッセンブリーとなっている。
【0062】
係止部88の構成について詳細に説明する。係止部88は、環状部85の外周縁から半径方向外側に延びさらにそこから第2軸方向側に延びている。係止部88は係合部87に比べて細く、係合部87に比べて剛性が大幅に低くなっている。係止部88は、半径方向に延びる第1部分88aと、88aから第2軸方向側に延びる第2部分88bとから構成されている。以上に述べた形状により、係止部88は半径方向にたわみやすくなっている。第1摩擦ワッシャー48がリテーニングプレート32に係止された状態において、第2部分88bは半径方向内側に弾性変形しており、孔54に対して半径方向外方に付勢力を与えている。言い換えると、複数の係止部88が各々がリテーニングプレート32に対して半径方向に突っ張った状態を維持している。このようにして、第1摩擦ワッシャー48はリテーニングプレート32に対して軸方向に外れにくくなっている。さらに、係止部88の第2部分88bの先端には半径方向外側に僅かに突出するフック形状の爪部88cが形成されている。爪部88cはリテーニングプレート32の第2軸方向側面に当接可能であり、その場合には第1摩擦ワッシャー48はリテーニングプレート32から軸方向により外れにくい。
【0063】
係止部88の第2部分88bの円周方向両端と孔54の円周方向両端との間にはそれぞれ隙間が確保されている。このようにしてリテーニングプレート32のトルクは係止部88には伝達されないようになっている。
以上の述べたように、第1摩擦ワッシャー48においてトルクを伝達するための係合部(係合部87)とリテーニングプレート32に対して第1摩擦ワッシャー48全体を容易に離脱しないように組み付けるための係止部(係止部88)とを別々に設けている。このため、以下の利点が生じる。
(1)係合部87は弾性変形する必要がないため、剛性を高く維持しても破損の可能性が少ない。
(2)係止部88はトルク伝達を行う必要がないため、剛性を低く維持できる。この結果サブアッシー組み付け時の作業が容易になり、さらにその作業時に又は作業後使用時に係止部88が破損しにくい。さらに、この実施形態では、サブアッシー組立時に圧入機が不要になり、設備費を低減できる。
【0064】
また、この第1摩擦ワッシャー48において、係合部87及び係止部88は環状部85と一体に形成されたものであり、樹脂製であるため加工が容易である。摩擦ワッシャーに形成された係合部及び係止部の形状、数及び配置については本実施形態に限定されない。
また、環状部85には摩擦板86が設けられていなくてもよい。その場合には環状部85に摩擦面が形成され、あるいは環状部85に摩擦係数を調整するためのコーティングが施されていてもよい。
〔他の実施形態〕
摩擦板86は必ずしも外径及び内径が円である円形状となっていなくてもよい。例えば、環状の摩擦板に外周縁に複数の直線部が形成されていてもよい。その場合は摩擦板は環状樹脂において複数の直線部が形成された環状溝内に配置される。直線部同士が係合することで、摩擦板は環状樹脂部に対して回り止めされている。
【0065】
【発明の効果】
本発明に係る摩擦ワッシャーでは、トルク伝達を行う係合部と摩擦ワッシャーを回転部材に対して軸方向に係止するための係止部とが別々に設けられている。このため、係合部は従来とは異なり弾性変形を行う必要がなく、係合部は剛性の高い状態を維持していても破損しにくい。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態としてのクラッチディスク組立体の平面図。
【図2】図1の部分拡大図。
【図3】図1のIII −III 断面図。
【図4】図1の0-IV断面図。
【図5】図1のO-V 断面図。
【図6】本発明のクラッチディスク組立体のダンパー機構としての機械回路図。
【図7】クラッチディスク組立体の捩り特性線図。
【図8】固定プレートの平面図。
【図9】図8のIX-IX 断面図。
【図10】図8のX 矢視図。
【図11】図8のXI矢視図。
【図12】ブッシュの平面図。
【図13】図12のXIII矢視図。
【図14】図12のXIV-XIV 矢視図。
【図15】図14の部分拡大図。
【図16】図17のXVI-XVI 断面図。
【図17】ブッシュの裏面図。
【図18】図17のXVII矢視図。
【図19】図17のXIX 矢視図。
【図20】摩擦ブッシュの平面図。
【図21】図20のXXI-XXI 断面図。
【図22】図21の部分拡大図。
【図23】他の実施形態における図3に対応する図。
【図24】第1摩擦ワッシャーの平面図。
【図25】第1摩擦ワッシャーの裏面図。
【図26】図24のXXVI−XXVI断面図。
【図27】図26の部分拡大図。
【符号の説明】
1 クラッチディスク組立体
2 入力回転体
3 ハブ
4 ダンパー機構
5 第1ダンパー機構
6 第2ダンパー機構
7 第1弾性機構
8 第1摩擦機構
9 第2弾性機構
10 第2摩擦機構
16 第1バネ
18 ハブフランジ
19 ブッシュ
20 固定プレート
21 第2バネ
31 クラッチプレート
32 リテーニングプレート
48 第1摩擦ワッシャー
49 第1コーンスプリング
78 第2コーンスプリング
48 第1摩擦ワッシャー
85 環状部
87 係合部
88 係止部
88a 第1部分
88b 第2部分

Claims (6)

  1. 回転部材と、前記回転部材とトルク伝達を行うように係合しており、回転方向の振動を減衰するために摩擦を発生させる樹脂製の摩擦ワッシャーとからなる摩擦ワッシャー組立体であって、摩擦ワッシャーは、
    環状部と、
    前記環状部と一体に形成され、前記回転部材とトルク伝達を行うように前記回転部材に係合する係合部と、
    前記環状部と一体に形成され、前記回転部材に軸方向に係止されつつも前記回転部材との回転方向間に隙間を確保している係止部とを有している、摩擦ワッシャー組立体
  2. 前記係止部は前記係合部より剛性が低い、請求項1に記載の摩擦ワッシャー組立体
  3. 前記係止部は前記係合部より細くたわみやすい、請求項1又は2に記載の摩擦ワッシャー組立体
  4. 前記係止部は弾性変形させることで前記回転部材に係止及び係止解除可能である、請求項1〜3のいずれかに記載の摩擦ワッシャー組立体
  5. 前記係合部は前記環状部から軸方向に延びており、
    前記係止部は前記環状部から半径方向に延びさらに軸方向に延びている、請求項1〜4のいずれかに記載の摩擦ワッシャー組立体
  6. 前記係止部は前記回転部材に係止された状態で前記回転部材に自ら圧接している、請求項1〜5のいずれかに記載の摩擦ワッシャー組立体
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