JP2000179622A - 摩擦ブッシュ - Google Patents

摩擦ブッシュ

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JP2000179622A JP10355751A JP35575198A JP2000179622A JP 2000179622 A JP2000179622 A JP 2000179622A JP 10355751 A JP10355751 A JP 10355751A JP 35575198 A JP35575198 A JP 35575198A JP 2000179622 A JP2000179622 A JP 2000179622A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 摩擦部材と他の回転部材との係合において両
者間に回転方向の隙間を生じにくくする。 【解決手段】 第2ブッシュ15は、リテーニングプレ
ート4に形成された孔4cに係合することでリテーニン
グプレート4と一体回転し、他の部材と摺動することで
摩擦を発生するための部材である。第2ブッシュ15
は、環状の本体部15aとスナップ突起15cとを備え
ている。本体部15aは他の部材に当接する摩擦面を有
している。スナップ突起15cは、本体部15aの摩擦
面と反対側から突出し、孔4cに対して回転方向に弾性
変形した状態で係合している。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、摩擦ブッシュ、特
に、一方の回転部材に形成された孔に係合することでそ
の回転部材と一体回転し他方の回転部材と摺動すること
で摩擦を発生するための摩擦ブッシュに関する。
【0002】
【従来の技術】たとえば車両のクラッチディスクック組
立体に用いられるダンパー機構は、一対の円板状入力側
プレートと、外周にフランジを有する出力側ハブと、一
対の入力側プレートとフランジとを回転方向に弾性的に
連結するトーションスプリングと、入力側プレートと出
力側ハブとの間に配置された摩擦発生機構とを備えてい
る。
【0003】摩擦発生機構は、たとえば、出力側ハブの
フランジに当接する摩擦部材と、摩擦部材と入力側プレ
ートの一方との間に配置され摩擦部材をフランジに対し
て押圧するためのコーンスプリングとを有している。摩
擦部材は、環状の本体と、入力側プレートと一体回転す
るように本体から軸方向に突出する複数の突起を有して
いる。各突起は入力側プレートに形成された孔に挿入さ
れ係合している。すなわち、突起の回転方向両端は孔の
回転方向両端に当接しており、これにより摩擦部材は入
力側プレートに対して軸方向に移動可能であるが回転方
向には移動不能となっている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】前記従来の摩擦発生機
構における摩擦部材は樹脂製であるため、突起と孔の係
合部分において突起が摩耗することがあり得る。その場
合は、突起の回転方向幅が孔の回転方向幅より小さくな
り、所定角度内で突起が入力側プレートに対して相対回
転可能となる。この結果、その回転方向隙間の大きさだ
け、摩擦部材は他方の入力側プレートに対して滑らず、
コーンスプリングと入力側プレートとが互いに摺動す
る。すなわち回転方向隙間の領域においては所望のヒス
テリシストルクが発生せず、その結果安定したヒステリ
シストルクが得られない。これにより車両の音・振動減
衰機能を十分なレベルとすることができない。
【0005】本発明の課題は、摩擦部材と他の回転部材
との係合において両者間に回転方向の隙間を生じにくく
することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】請求項1に記載の摩擦ブ
ッシュは、第1回転部材に形成された1つの孔に係合す
ることで第1回転部材と一体回転し、第2回転部材と摺
動することで摩擦を発生するためのものである。摩擦ブ
ッシュは環状の本体と係合部とを備えている。本体には
第2回転部材に当接する摩擦面が形成されている。係合
部は、本体の摩擦面と反対側から突出し、1つの孔に対
して回転方向に弾性変形した状態で係合可能である。
【0007】この摩擦ブッシュは、第1回転部材と一体
回転し、第2回転部材に摺動して摩擦を発生する。ここ
では、係合部が孔に対して回転方向に弾性変形した状態
で係合しているため、両者間に回転方向隙間はなく、ま
た係合部に摩耗が生じても係合部は孔に対して当接し続
けるため両者間に回転方向の隙間は生じにくい。
【0008】請求項2に記載の摩擦ブッシュは、請求項
1において、係合部は回転方向に並んだ1対の突起であ
り、1対の突起は1つの孔に係合した状態において孔の
回転方向両縁に当接して弾性変形している。
【0009】この摩擦ブッシュでは、係合部が一対の突
起からなるため弾性変形しやすく係合部を孔に挿入する
作業が容易である。
【0010】請求項3に記載の摩擦ブッシュは、請求項
2において、1対の突起は、1つの孔との係合から外れ
た自由状態において、回転方向両側に広がるように延
び、先端部の回転方向幅が孔の回転方向幅より大きく、
根元部の回転方向幅が孔の回転方向幅より小さい。
【0011】この摩擦ブッシュでは、根元部の回転方向
幅が孔の回転方向幅より小さいため、一対の突起は孔に
対して所望の軸方向位置までスムーズに挿入され得る。
【0012】請求項4に記載の摩擦ブッシュでは、請求
項2又は3において、一対の突起の先端は回転方向外側
が面取りされている。
【0013】この摩擦ブッシュでは、一対の突起が孔に
挿入される際に、孔の縁は、一対の突起の面取りされた
部分に当接して、次に面取り部分に当接しながら一対の
突起を回転方向内側に弾性変形させていく。このように
して一対の突起の1つの孔への挿入が容易になる。
【0014】請求項5に記載の摩擦ブッシュでは、請求
項2〜4のいずれかにおいて、一対の突起は第1回転部
材と第2回転部材が相対回転して第2回転部材から摩擦
ブッシュに作用する摩擦によってたわまない程度の剛性
を有している。
【0015】
【発明の実施の形態】図1に示す本発明の一実施形態に
よるクラッチディスク組立体1は、図1の左側に配置さ
れたエンジン(図示せず)からのトルクを図1の右側に
配置されたトランスミッション(図示せず)に伝達及び
遮断するための装置である。図1においては、O−Oが
クラッチディスク組立体1の回転軸線である。また、図
2においてR1がクラッチディスク組立体1の回転方向
(円周方向)であり、R2がその反対方向である。
【0016】クラッチディスク組立体1は、主に、出力
側部材としてのハブ2と、入力側部材としてのクラッチ
プレート3及びリテーニングプレート4と、中間部材と
してのハブフランジ5と、ハブフランジ5とハブ2とを
回転方向に弾性的に連結するための小トーションスプリ
ング6と、プレート3,4とハブフランジ5とを回転方
向に弾性的に連結するための大トーションスプリング7
と、プレート3,4とハブ2との間で相対回転が生じる
ときに所定の摩擦を発生するための摩擦発生機構8とか
ら構成されている。
【0017】ハブ2は、クラッチディスク組立体1の中
心に配置され、トランスミッションの軸(図示せず)に
連結される。ハブ2は、軸方向に延びる円筒状のボス2
aと、ボス2aの外周に一体形成されたフランジ2bと
から構成されている。フランジ2bの外周には、図2〜
図4に示すように、複数の突起2cが回転方向に等間隔
で形成されている。図3に示すように、フランジ2bの
径方向に対向する2カ所には、後述する小トーションス
プリング6の回転方向両端を受けるための切欠き2dが
形成されている。また、ボス2aの内周側には、トラン
スミッションの軸にスプライン係合するスプライン孔2
eが形成されている。
【0018】ハブフランジ5は、円板状のプレートであ
り、ハブ2のフランジ2bの外周に配置されている。ハ
ブフランジ5は、図2から明らかなように、半径方向外
方に延びる4つの突出部5aを有している。各突出部5
aには、回転方向に延びる窓孔5bが形成されている。
各突出部5aの間には外側切欠き5cが形成されてい
る。ハブフランジ5の内周側には、ハブ2の突起2cの
間に対応する部分に内側突起5dが形成されている。突
起2cと内側突起5dとの間には回転方向に所定の隙間
が確保されており、これによりハブ2とハブフランジ5
とが所定角度まで回転可能となっている。ハブフランジ
5の内周側においてハブ2の切欠き2dに対応する2カ
所には内側切欠き5eが形成されている。これらの切欠
き2dと内側切欠き5e内には小トーションスプリング
6が配置されている。なお、図2に示す中立状態では突
起2cは内側突起5d間で回転方向R2側にずれて配置
されている。すなわち、ハブ2がハブフランジ5に対し
て所定角度R2側にねじれている。
【0019】クラッチプレート3及びリテーニングプレ
ート4はハブフランジ5の両側方に配置されている。ク
ラッチプレート3及びリテーニングプレート4は、概ね
円板状の一対の部材であり、ハブ2のボス2aの外周方
に回転自在に配置されている。クラッチプレート3及び
リテーニングプレート4は外周部で当接ピン11により
互いに固定されている。この当接ピン11は、ハブフラ
ンジ5に形成された外側切欠き5c内を挿通している。
当接ピン11と外側切欠き5cとには回転方向に所定の
隙間が確保されているため、プレート3,4とハブフラ
ンジ5とは所定角度または相対回転可能である。
【0020】クラッチプレート3の外周には摩擦連結部
10(クラッチディスク)が配置されている。摩擦連結
部10は、主に、クッショニングプレート12と、クッ
ションニングプレート12の軸方向両側に固定された円
環状の摩擦フェーシング13とから構成されている。ク
ッショニングプレート12は、円環状に連続する環状部
12aと、環状部12aから外周側に突出して形成され
た複数のクッショニング部12bとを有している。環状
部12aはその一部が内周側に突出しており、その突出
した部分が当接ピン11によりクラッチプレート3に固
定されている。
【0021】クラッチプレート3及びリテーニングプレ
ート4には、それぞれハブフランジ5の窓孔5bに対応
した位置に窓孔3a及び窓孔4aが形成されている。こ
れら窓孔3a及び窓孔4a内に大トーションスプリング
7が配置されている。各窓孔3a及び窓孔4aの半径方
向両側には軸方向外方に切り起こされた押さえ部3b、
押さえ部4bが形成されている。大トーションスプリン
グ7は、それぞれ二組の第1スプリング組立体7aと第
2スプリング組立体7bとから構成されている。第1ス
プリング組立体7aは、半径方向に対向するハブフラン
ジ5の窓孔5b内に各々配置されており、大径のトーシ
ョンスプリングとその内側に配置された小径のトーショ
ンスプリングとから構成されている。第1スプリング組
立体7aの回転方向両端はハブフランジ5の窓孔5bの
回転方向両端、クラッチプレート3の窓孔3aの回転方
向両端及びリテーニングプレート4の窓孔4aの回転方
向両端に当接している。第2スプリング組立体7bは、
半径方向対向するハブフランジ5の窓孔5b内に配置さ
れており、トーションスプリングとその内側に配置され
たフロートラバー7cとから構成されている。第2スプ
リング組立体7bのトーションスプリングの回転方向両
端は、ハブフランジ5の窓孔5bの回転方向両端、クラ
ッチプレート3の窓孔3aの回転方向両端及びリテーニ
ングプレート4の窓孔4aの回転方向両端に当接してい
る。ただし、フロートラバー7cの長さは各窓孔の回転
方向両端間より短くなっている。すなわち、フロートラ
バー7cは各窓孔の回転方向両端間で回転方向に移動自
在である。
【0022】次に、摩擦発生機構8について説明する。
【0023】摩擦発生機構8は、図1及び図5に示すよ
うに、クラッチプレート3の内周部とリテーニングプレ
ート4の内周部との間でかつボス2aの外周側に配置さ
れている。なお、図1と図5とは摩擦発生機構8を異な
る方向から見た図である。この摩擦発生機構8は、第1
ブッシュ14と第2ブッシュ15と第1コーンスプリン
グ16と第2コーンスプリング17と第3ブッシュ18
とを有している。第1〜第3ブッシュ14、15,18
はそれぞれナイロン系の樹脂で形成されている。
【0024】第1ブッシュ14は樹脂製円板状プレート
である。第1ブッシュ14は、図5〜図7に示すよう
に、内周端がボス2aに近接しており、一側面がハブ2
のフランジ2b及び突起2cのトランスミッション側の
側面に当接している。第1ブッシュ14は、円板状部1
4aと、円板状部14aの内周側からトランスミッショ
ン側に突出する環状突出部14bとを有している。環状
突出部14bには、環状切欠き溝14cがトランスミッ
ション側に形成されている。また、円板状部14aの外
周には、半径方向外方に延びる4つの突起14dが形成
されている。
【0025】第1ブッシュ14とリテーニングプレート
4との間には、第1コーンスプリング16が配置されて
いる。第1コーンスプリング16は外周端がリテーニン
グプレート4に支持され、内周端が第1ブッシュ14の
環状切欠き溝14cに当接している。第1コーンスプリ
ング16は、圧縮された状態で配置されており、第1ブ
ッシュ14をハブ2のフランジ2b及び突起2cに対し
て押しつけている。第1コーンスプリング16には、図
11に示すように、外周側に複数の切欠き16aが形成
されている。この切欠き16aは、第1ブッシュ14の
摩耗によって第1コーンスプリング16の姿勢が変化す
るときに、第1コーンスプリング16の付勢力の変化を
少なくするためのものである。
【0026】第2ブッシュ15は、図8〜図10から明
らかなように円板状の部材であり、第1ブッシュ14の
外周側に、第1ブッシュ14が配置された平面とほぼ同
一平面上にかつ同芯に配置されている。第2ブッシュ1
5は、円板状の本体部15aと、本体部15aの内周側
でトランスミッション側に突出する環状突出部15bと
から構成されている。本体部15aと環状突出部15b
は環状の本体を構成している。本体部15aのエンジン
側端面はハブフランジ5の内周端面に当接している。本
体部15aのエンジン側端面は摩擦面となっており、図
13に拡大して示すように、摩擦面には摩擦調整部材2
0がモールド成形により一体成形されている。摩擦調整
部材20は、摩擦係数調整用の部材であり、高摩擦係数
のたとえば、ゴム系、ガラス系の混紡若しくは含浸成形
品や、セラミック等からなる。環状突出部15bのトラ
ンスミッション側端面には、回転方向に等間隔で4つの
切欠き15eが形成されている。この切欠き15e内に
は、第1ブッシュの突起14dが回転方向に相対回転不
能にかつ軸方向に移動可能に係合している。なお、突起
14dと切欠き15eとの軸方向間には所定の隙間が確
保されている。
【0027】環状突出部15bには、切欠き15eの間
にトランスミッション側に延びる係合部としての4つの
突起が形成されている。この突起は、2つのスナップ突
起15cと2つの棒状突起15dとからなる。ここでは
同じ種類の突起同士が半径方向に対向するように配置さ
れている。スナップ突起15cは、軸方向に延びるスリ
ットにより半径方向に2分割されている。言い換える
と、スナップ突起15cは一対の突起50から構成され
ている。各突起50は回転方向に弾性変形が可能であ
る。
【0028】図16を用いてリテーニングプレート4に
組み付ける前のスナップ突起15cについてさらに詳細
に説明する。一対の突起50は根元部分50b同士が互
いに連結されている。各突起50の先端部分50aは根
本部分50bに対して回転方向外側に位置している。す
なわち各突起50は回転方向外側に開くように延びてお
り、回転方向外側端面52は傾斜している。なお、各突
起50の先端側かつ回転方向外側部分には面取り51が
形成されている。面取り51とは各突起50に形成され
た傾斜面であり、回転方向外側に傾斜する回転方向外側
端面52から回転方向内側に傾斜している。
【0029】スナップ突起15cはリテーニングプレー
ト4に形成された孔4c内に挿入されている。すなわ
ち、一対の突起50が1つの孔4c内に挿入されてい
る。図18に示すように、スナップ突起15cは孔4c
内に挿入されて状態で孔4cの回転方向両端面に当接し
て弾性変形している。より具体的には、一対の突起50
は回転方向外側端面52が孔4cの回転方向両端面に当
接して互いに接近する側にたわんでいる。この状態では
一対の突起50は回転方向に外側に広がろうとして孔4
cに対して付勢力を与えている。これにより、一対の突
起50は孔4cに対して軸方向に移動は可能であるが軸
方向に一定の荷重が作用するまでは脱落不能に係止され
ている。
【0030】棒状突起15dはリテーニングプレート4
の他の孔4c内に挿入されている。
【0031】第2コーンスプリング17は第2ブッシュ
15とリテーニングプレート4との間に配置されてい
る。第2コーンスプリング17には、図12に示すよう
に、内周側に複数の切欠き17aが形成されている。こ
の切欠き17aは、第2ブッシュ15の摩耗によって第
2コーンスプリング17の姿勢が変化するときに、第2
コーンスプリング17の付勢力変化を少なくするために
形成されている。また、第2コーンスプリング17の切
欠き17aは、第2ブッシュ15のスナップ突起15
c、棒状突起15d及び切欠き15eに対応しており、
第2コーンスプリング17とこれらの部材が互いに干渉
しないようになっている。また、各突起15c、15d
は切欠き17aを通過してトランスミッション側に延び
ており、これにより第2ブッシュ15と第2コーンスプ
リング17との相対回転が禁止される。第2コーンスプ
リング17は軸方向に圧縮された状態で配置されてお
り、外周端がリテーニングプレート4に当接し、内周端
すなわち突起17bが第2ブッシュ15の環状突出部1
5bのトランスミッション側の面に当接している。この
ようにして第2コーンスプリング17は第2ブッシュ1
5をハブフランジ5のトランスミッション側の面に付勢
している。第2コーンスプリング17の付勢力は第1コ
ーンスプリング16の付勢力より大きくなるように設定
されている。
【0032】以上に述べた第1ブッシュ14,第2ブッ
シュ15、第1コーンスプリング16及び第2コーンス
プリング17は、リテーニングプレート4に組み付けら
れサブアッシーを構成している。これら部材は、第2ブ
ッシュ15のスナップ突起15cとリテーニングプレー
ト4の孔4cの係合によって、リテーニングプレート4
から軸方向に外れないようになっている。
【0033】第3ブッシュ18は、図1及び図14に示
すように、クラッチプレート3の内周部とハブ2のフラ
ンジ2b及びハブフランジ5の内周端との間に配置され
ており、円板状の本体部18aと、本体部18aの一側
面から軸方向に突出する複数のスナップ突起18bとを
有している。本体部18aは、トランスミッション側の
側面が摩擦面となっており、フランジ2bの側面及びハ
ブフランジ5の内周端部側面に当接している。また、逆
側の側面はクラッチプレート3に当接している。ハブフ
ランジ5の側面に当接するトランスミッション側の摩擦
面には、摩擦ケース調整用の、たとえばゴム系、ガラス
系の混紡若しくは含浸成形品やセラミック等の摩擦調整
部材21がモールド設計により一体設計されている。ま
た、スナップ突起18bはクラッチプレート3に形成さ
れた孔3c内に係合している。このスナップ突起18b
の形状は前述のスナップ突起15cと同様である。第3
ブッシュ18の内周部には軸方向エンジン側に延びる環
状の突出部18cが形成されている。この突出部18c
の外周面にはクラッチプレート3の内周面が当接してい
る。
【0034】以上に述べた第3ブッシュ18はクラッチ
プレート3に組み付けられサブアッシーを構成してい
る。
【0035】図15にクラッチディスク組立体1のダン
パー機能に関する機械模式図を示す。図15は、入力側
の部材と出力側の部材とを一回転方向にねじった場合の
各部品の動作や関係を説明するための図である。図から
明らかなように、ハブ2とプレート3,4との間には、
小トーションスプリング6と大トーションスプリング7
が直列に配置されている。小トーションスプリング6と
大トーションスプリング7との間にはハブフランジ5が
中間部材として配置されている。ハブ2とハブフランジ
5との間には、小トーションスプリング6が圧縮される
際に機能する小摩擦発生機構を構成する第1ブッシュ1
4が配置されている。ハブフランジ5とプレート3,4
との間には、大トーションスプリング7が圧縮される際
に機能する大摩擦発生機構としての第2ブッシュ15及
び第3ブッシュ18の摩擦調整部材21が配置されてい
る。ハブ2とプレート3,4との間には摩擦面18dが
配置されている。
【0036】図16〜図18は第2ブッシュ15をリテ
ーニングプレート4に組み付ける動作を説明する図であ
る。図16に示すように、スナップ突起15cの一対の
突起50は自由状態で孔4c内に挿入された状態より回
転方向に広がっている。具体的には、各一対の突起50
の先端部分50aの回転方向幅W3は孔4cの回転方向
幅W1より大きく、スナップ突起15cの根元部分50
bの回転方向幅W2は孔4cの回転方向幅W1よりより
小さくなっている。この状態で第2ブッシュ15をリテ
ーニングプレート4側に接近させると、図17に示すよ
うに、一対の突起50の面取り51が孔4cの回転方向
端縁に当接する。図17の状態からさらに第2ブッシュ
15をリテーニングプレート4に接近させると、一対の
突起50は互いに接近する側に押し曲げられながら孔4
c内に挿入される。図18に示す状態では、一対の突起
50の回転方向両側端面52が孔4cの回転方向両側端
面に当接し、さらに先端部分50aはリテーニングプレ
ート4の外側端面からさらに軸方向に突出している。こ
の状態で根元部分50bとリテーニングプレート4の孔
4cの軸方向内側部分との間には回転方向にわずかな隙
間W4が確保されている。
【0037】次に、クラッチディスク組立体1の動作に
ついて説明する。
【0038】摩擦フェーシング13がエンジン側のフラ
イホイール(図示せず)に押しつけられると、フライホ
イールのトルクがクラッチプレート3及びリテーニング
プレート4に入力される。このトルクは、大トーション
スプリング7、ハブフランジ5,小トーションスプリン
グ6を介してハブ2に伝達され、さらに図示しないトラ
ンスミッション側のシャフトに出力される。
【0039】エンジン側のフライホイール(図示せず)
からクラッチディスク組立体1にトルク変動が伝達され
ると、プレート3,4とハブフランジ5とハブ2との間
で相対回転が生じ、小トーションスプリング6又は大ト
ーションスプリング7が回転方向に圧縮される。捩じり
角度の小さな範囲では小トーションスプリング6が圧縮
され、第1ブッシュ14及び第3ブッシュ18がハブ2
のフランジ2b及び突起2cに対して摺動する。この結
果、低剛性・小摩擦(低ヒステリシストルク)の特性が
得られる。クラッチディスク組立体1の捩じり角度が大
きくなると、小トーションスプリング6の圧縮が停止さ
れ、一体回転するハブフランジ5及びハブ2とプレート
3,4との間で相対回転が生じる。このとき大トーショ
ンスプリング7が圧縮され、第2ブッシュ15がハブフ
ランジ5の内周側側面に摺動し、さらに第3ブッシュ1
8の摩擦調整部材21がハブ2のフランジ2bのフライ
ホイール側の面及びハブフランジ5の内周側のエンジン
側面に摺動する。ここでは、小トーションスプリング6
が圧縮されたときに比べて高剛性・大摩擦(高ヒステリ
シストルク)の特性が得られる。
【0040】前述のように、第2ブッシュ15と第3ブ
ッシュ18はスナップ突起15c及び18bによりリテ
ーニングプレート4及びクラッチプレート3に対してそ
れぞれ相対回転不能に係止されている。特に、スナップ
突起15c、18bが回転方向に弾性的に変形した状態
で孔4c、3cに係合しているため、孔とスナップ突起
との間には隙間がなく、またスナップ突起が摩耗した場
合にもスナップ突起は孔への付勢を続け両者間には隙間
が生じにくい。
【0041】このようにして、各摩擦ブッシュがプレー
トに対して回転方向に隙間なく係合しておりさらにその
状態が長期間にわたって維持されるため、摩擦発生機構
8全体の特性が向上する。すなわち、回転方向隙間によ
る各摩擦部材による摩擦発生の遅れが生じることはな
い。従来であれば、たとえば第2ブッシュ15や第3ブ
ッシュ18とプレートとの間に回転方向隙間が形成され
た場合には、大トーションスプリング7が圧縮される捩
じり特性2段目領域において高ヒステリシストルクの発
生が回転方向隙間分だけ遅れて生じるなどの問題があっ
た。
【0042】なお、一対の突起50は、各ブッシュが相
手側部材に対して摩擦摺動する際にその部材から受ける
摩擦によって大きくたわまない程度の剛性を有している
必要がある。
【0043】本発明に係る摩擦ブッシュはクラッチディ
スク組立体の摩擦機構のみならず他の摩擦機構にも適応
可能である。
【0044】また、前記実施形態では、スナップ突起
(各スナップ突起は一対の突起からなる)は半径方向に
対向する2カ所に設けられていたが、その個数及び位置
は前記実施形態に限定されない。例えばスナップ突起は
孔のすべてに対して設けられていてもよいし、1カ所だ
けでもよい。
【0045】また、本発明に係る摩擦ブッシュは、たと
えば捩じり特性2段目の高剛性・高ヒステリシストルク
の領域において微小捩じり振動に対して高ヒステリシス
トルクを発生させないための回転方向隙間を設けたダン
パー機構に用いると効果を発揮する。そのようなダンパ
ー機構では摩擦ブッシュとプレートとの間に回転方向隙
間が生じると、高ヒステリシストルクが発生しない角度
が大きくなる恐れがあるからである。
【0046】
【発明の効果】本発明に係る摩擦ブッシュでは、係合部
が孔に対して回転方向に弾性変形した状態で係合してい
るため、両者間に回転方向隙間はなく、また係合部に摩
耗が生じても両者間に回転方向の隙間は生じることがな
い。
【0047】
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態によるクラッチディスク組
立体の縦断面概略図。
【図2】一部が切りかかれた図1におけるII矢視図。
【図3】ハブの平面図。
【図4】図3のIV―IV断面図。
【図5】図1の円A部分の拡大図。
【図6】第1ブッシュの平面図。
【図7】図6のVI―VI断面図。
【図8】第2ブッシュの平面図。
【図9】図8のXI―XI断面図。
【図10】図8のX―X断面図。
【図11】第1コーンスプリングの平面図。
【図12】第2コーンスプリングの平面図。
【図13】図1の部分拡大図。
【図14】図1の部分拡大図。
【図15】クラッチディスク組立体の機械模式図。
【図16】ブッシュのスナップ突起とプレートの孔との
係合を説明するための図。
【図17】ブッシュのスナップ突起とプレートの孔との
係合を説明するための図。
【図18】ブッシュのスナップ突起とプレートの孔との
係合を説明するための図。
【符号の説明】
1 クラッチディスク組立体 2 ハブ 3 クラッチプレート 3c 孔 4 リテーニングプレート 4c 孔 5 ハブフランジ 6 小トーションスプリング 7 大トーションスプリング 8 摩擦発生機構 14 第1ブッシュ 15 第2ブッシュ 15c スナップ突起 16 第1コーンスプリング 17 第2コーンスプリング 20,21 摩擦調整部材 50 突起 50a 先端部分 50b 根元部分 51 面取り

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】第1回転部材に形成された1つの孔に係合
    することで前記第1回転部材と一体回転し、第2回転部
    材と摺動することで摩擦を発生するための摩擦ブッシュ
    であって、 前記第2回転部材に当接する摩擦面が形成された環状の
    本体と、 前記本体の前記摩擦面と反対側から突出し前記1つの孔
    に対して回転方向に弾性変形した状態で係合可能な係合
    部と、を備えた摩擦ブッシュ。
  2. 【請求項2】前記係合部は回転方向に並んだ1対の突起
    であり、前記1対の突起は前記1つの孔に係合した状態
    において前記孔の回転方向両縁に当接して弾性変形して
    いる、請求項1に記載の摩擦ブッシュ。
  3. 【請求項3】前記1対の突起は、前記1つの孔との係合
    から外れた自由状態において、回転方向両側に広がるよ
    うに延び、先端部の回転方向幅が前記1つの孔の回転方
    向幅より大きく、根元部の回転方向幅が前記1つの孔の
    回転方向幅より小さい、請求項2に記載の摩擦ブッシ
    ュ。
  4. 【請求項4】前記1対の突起は先端の回転方向外側が面
    取りされている、請求項2又は3に記載の摩擦ブッシ
    ュ。
  5. 【請求項5】前記1対の突起は、前記第1回転部材と前
    記第2回転部材が相対回転したときに前記第2回転部材
    から前記摩擦ブッシュに作用する摩擦によってたわまな
    い程度の剛性を有している、請求項2〜4のいずれかに
    記載の摩擦ブッシュ。
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