JP3822875B2

JP3822875B2 - プリテンショナーのガスジェネレータ取付け構造及び取付け方法

Info

Publication number: JP3822875B2
Application number: JP2004004871A
Authority: JP
Inventors: 重次亀田; 保政三宅; 政行星
Original assignee: Sanoh Industrial Co Ltd
Current assignee: Sanoh Industrial Co Ltd
Priority date: 2004-01-13
Filing date: 2004-01-13
Publication date: 2006-09-20
Anticipated expiration: 2024-01-13
Also published as: US20050151364A1; US7089739B2; JP2005199730A

Description

本発明は、自動車等の車輌に装備されるシートベルト装置における、プリテンショナーのガスジェネレータ取付け構造及び取付け方法に関するものである。

自動車等の車輌においては、急激な加減速が発生した際に乗員を保護するものとしてシートベルト装置が設けられている。このシートベルト装置には、近年、衝突時等による衝撃を受けた場合に、乗員がシートベルトを装着している状態より、さらにシートベルトを巻取り、乗員をシートベルトに強力な力で拘束するためのプリテンショナーが設けられている。

このプリテンショナーには、種々の方式のものがあるが、その一つの方式として、自動車の衝突時等に高圧ガスを生成するガスジェネレータと、シートベルトを巻取り器に巻き取らせるボール等の駆動体と、ガスジェネレータから駆動体に高圧ガスを導くパイプとを備えたガス圧式のプリテンショナーがある（例えば、特許文献１参照）。

このような構造のプリテンショナーでは、一般に、ボール等の駆動体を収容するパイプの端部を拡管してガスジェネレータの収容部を形成し、その収容部の開口端からガスジェネレータを収容部に挿嵌し、その収容部の開口端を加締めることによって、ガスジェネレータをパイプの端部に保持している（例えば、特許文献２参照）。

特開２００１−６３５１９号公報特開２００２−３３１９１１号公報

ところで、近年においては、安全性の観点から、上記プリテンショナーによるシートベルトの巻き込み力を、より増大せる傾向にある。
しかし、従来のパイプに火薬量を増したガスジェネレータを保持させた場合には、ガスジェネレータの爆発力によってパイプの端部、即ち、加締め部が破壊され、ガスジェネレータが抜け落ちてしまう場合があった。
その対策としては、パイプに別部品を組み込み、該別部品によってガスジェネレータを固定することが考えられるが、この場合には、コストの増大を避けられない。また、パイプの肉厚を厚くし、加締め部の強度を高めることも考えられるが、その場合には、プリテンショナーの重量増加，加工の煩雑化等を招来すると共に、やはりコストも増大する。

そこで、本発明は、別部品を使用することなく、またパイプの肉厚を増大させることなく、プリテンショナーの機能アップを図る、即ち、より火薬量の増したガスジェネレータを強固に保持できる、プリテンショナーのガスジェネレータ取付け構造及び取付け方法を提供することを課題とする。

上記した課題を解決するため、請求項１のプリテンショナーのガスジェネレータ取付け構造では、パイプの端部を拡管して、ガスジェネレータの収容部を形成し、該収容部にガスジェネレータを収容し、パイプの開口端を加締めることによって、ガスジェネレータをパイプに保持させるプリテンショナーのガスジェネレータ取付け構造において、加締め部の内周縁部に、肉厚が他の加締め部よりも厚く、且つ軸方向外方に段状に突出する環状リブを形成したことを特徴としている。

また、請求項２のプリテンショナーのガスジェネレータ取付け構造では、上記請求項１の発明において、上記環状リブの外径を、上記ガスジェネレータの外径よりも大きいものとしたことを特徴としている。

さらに、請求項３のプリテンショナーのガスジェネレータ取付け構造では、上記請求項１又は２の発明において、上記環状リブの軸方向外方への突出高さを、該環状リブの厚さの０．１５倍以上のものとしたことを特徴としている。

また、請求項４のプリテンショナーのガスジェネレータ取付け方法では、上記請求項１〜請求項３に記載の環状リブを、プレス加工によって形成することを特徴としている。

上記した請求項１のプリテンショナーのガスジェネレータ取付け構造によれば、加締め部の内周縁部に、肉厚が他の加締め部よりも厚く、且つ軸方向外方に段状に突出する環状リブを形成したため、該環状リブの存在によって、加締め部の強度が高められ、別部品を使用することなく、またパイプの肉厚を増大させることなく、より火薬量の増したガスジェネレータを強固に保持することができることとなる。

また、上記請求項２のプリテンショナーのガスジェネレータ取付け構造によれば、上記環状リブの外径を、ガスジェネレータの外径よりも大きいものとしたため、該環状リブによって、ガスジェネレータの抜け落ちを効果的に阻止することができ、よりガスジェネレータを強固に保持することができる。

さらに、請求項３のプリテンショナーのガスジェネレータ取付け構造によれば、上記環状リブの軸方向外方への突出高さを、該環状リブの厚さの０．１５倍以上のものとしたため、環状リブ部の強度は十分なものとなり、高い強度の加締め部が確実に得られる。

請求項４のプリテンショナーのガスジェネレータ取付け方法によれば、上記環状リブの形成を、プレス加工によって行なうこととしたため、その形成が容易であり、しかも環状リブの周囲は加工硬化によって降伏強度が増大し、高い強度の加締め部が得られるため、よりガスジェネレータが抜け難いものとなる。

以下、上記した本発明に係るプリテンショナーのガスジェネレータ取付け構造及び取付け方法の実施の形態を、図面を参照しながら詳細に説明する。
ここで、図１は、本発明が適用されるプリテンショナーを概念的に示した断面図、図２は、そのプリテンショナーの要部であるガスジェネレータの取付け部を拡大して示した斜視図である。また、図３〜図６は、ガスジェネレータの取付け手順を示した概念的な断面図、図７は、完成したガスジェネレータの取付け部を示した概念的な断面図である。

図示したプリテンショナー１０は、駆動体である複数個のボール１１を収容案内するパイプ１２を備えている。このパイプ１２の一端部１２ａには、切欠き１３が形成され、該切欠き１３には、リングギヤ１４の一部が臨んで配置されている。また、パイプ１２の他端部１２ｂには、該パイプ１２を拡管して形成したガスジェネレータ収容部１５が形成されており、該収容部１５には、後述するようにして、ガスジェネレータ１６が保持されている。

上記プリテンショナー１０では、リングギヤ１４が、図示しないピンによって外歯１４ａがパイプ１２内に深く侵入した状態に位置決めされている。一方、シートベルト装置１のベルト巻取軸２に固設された従動ギヤ３が、前記リングギヤ１４内に配置されている。そして、プリテンショナー１０は、通常の状態においては、上記リングギヤ１４の内歯１４ｂと従動ギヤ３の歯３ａとが、噛合されていない。

そして、このプリテンショナー１０では、車両衝突時の信号に応じてガスジェネレータ１６の火薬が爆発し、その圧力によってボール１１がパイプ１２の一端部１２ａ方向へ加速され、そのボール１１によって、上記リングギヤ１４を位置決めしているピンが破壊され、リングギヤ１４が従動ギヤ３の方向に移動され、それによって、リングギヤ１４の内歯１４ｂと従動ギヤ３の歯３ａが噛合される。そして、リングギヤ１４が、ボール１１によってさらに回転され、それによって、リングギヤ１４の回転が、従動ギヤ３に伝達され、ベルト巻取軸２が回転され、図示しないシートベルトが巻き取られる。

ここで、上記プリテンショナー１０では、ガスジェネレータ１６のパイプ１２への取付けが、次のようにして成されている。
先ず、パイプ１２の他端部１２ｂに形成された上記ガスジェネレータ収容部１５に、図３に示したように、ガスジェネレータ１６が収容される。
この状態におけるガスジェネレータ１６は、その主要部を成す大径部１６ａが収容部１５の段部１５ａによって収容部１５内に位置決めされ、収容部１５を画成するパイプ１２の開口端１５ｂは、大径部１６ａから軸方向外方へ突出した状態にある。

次いで、収容部１５を画成するパイプ１２の開口端１５ｂを、プレス機のダイス２０ａによって、図４に示したように、先ず軸芯に対して約３０度を成すように、その全体を軸芯方向に変形させる。

次いで、プレス機のダイス２０ｂによって、図５に示したように、パイプ１２の開口端１５ｂを、さらに軸芯に対して約６０度を成すように軸芯方向に変形させると共に、内周縁部に肉盛部１５ｃを形成する。
この状態におけるパイプ１２の開口端１５ｂは、その先端が、ガスジェネレータ１６の小径部１６ｂの周面に当接した状態となる。

次いで、プレス機のダイス２０ｃによって、図６に示したように、パイプ１２の開口端１５ｂを変形させ、加締め加工を完了する。
この状態におけるパイプ１２の開口端１５ｂは、ガスジェネレータ１６の大径部１６ａと小径部１６ｂとに倣って当接し、加締め部Ａの内周側縁には、軸方向外方に突出する環状リブ１７が形成される。

この環状リブ１７は、図７に示した外径φ₁を、ガスジェネレータ１６の大径部１６ａの外径φ₀より大きいものとし、また、その突出高さＨ₁を、該環状リブ１７の厚さＨ₀の０．１５倍以上のものとすることが、強度的に優れた環状リブ１７を、プレス等による加締めによって容易に形成でき、ガスジェネレータ１６の爆発時におけるの抜け落ちを効果的に防止できるために好ましい。

上記した本発明に係るプリテンショナーのガスジェネレータ取付け方法によって、外径φ₁が１９．０ｍｍ（ガスジェネレータ１６の大径部１６ａの外径φ₀は１６．９ｍｍ）、突出高さＨ₁が０．４５ｍｍ〔環状リブ１７の厚さＨ₀（２．２０ｍｍ）の０．２０倍〕の環状リブ１７を有する本発明に係るプリテンショナーのガスジェネレータ取付け構造を実現したプリテンショナーを６個作製した。

この６個のプリテンショナーの内、３個のプリテンショナーについて、ガスジェネレータの爆破試験を実施したところ、３個の全てにおいて、ガスジェネレータがパイプから抜け落ちることはなく、また加締め部Ａにおける異常も全く見受けられなかった。
なお、ガスジェネレータの火薬量は、近年使用されている上限量とした。

また、残りの３個のプリテンショナーについて、ガスジェネレータの引抜き試験を実施したところ、３個の全てにおいて、ガスジェネレータがパイプから引き抜かれることはなく、パイプが自体がその途中において破断した。このパイプの破断荷重は、平均で約３６ｋＮであった。

一方、比較例として、環状リブ１７が存在しない以外は、上記実施例と同一の加締め部Ａの肉厚，加締め部Ａの幅のプリテンショナーを６個作製した。
この６個のプリテンショナーの内、３個のプリテンショナーについて、火薬量を上記実施例と同量にして爆破試験を行った結果、１個のプリテンショナーにおいて、ガスジェネレータがパイプから抜け落ち、残りの２個のプリテンショナーにおいても、加締め部Ａが起き上がり、ガスジェネレータが収容部内においてガタ付いていた。
また、残りの３個のプリテンショナーについて、ガスジェネレータの引抜き試験を実施したところ、３個の全てにおいて、ガスジェネレータがパイプから引き抜かれてしまい、その引抜き荷重は、平均で約３１ｋＮであった。

本発明に係るガスジェネレータ取付け構造が適用されるプリテンショナーを概念的に示した断面図である。図１のプリテンショナーにおけるガスジェネレータの取付け部を拡大して示した部分斜視図である。図１のプリテンショナーにおけるガスジェネレータの取付け手順を示したもので、ガスジェネレータをパイプの収容部に装填させた状態の断面図である。図１のプリテンショナーにおけるガスジェネレータの取付け手順を示したもので、プレスの第１行程を示した断面図である。図１のプリテンショナーにおけるガスジェネレータの取付け手順を示したもので、プレスの第２行程を示した断面図である。図１のプリテンショナーにおけるガスジェネレータの取付け手順を示したもので、プレスの第３行程を示した断面図である。本発明に係るガスジェネレータの取付け部を拡大して示した部分断面図である。

符号の説明

１シートベルト装置
２ベルト巻取軸
３従動ギヤ
３ａ従動ギヤの歯
１０プリテンショナー
１１ボール（駆動体）
１２パイプ
１２ａパイプの一端部
１２ｂパイプの他端部
１３切欠き
１４リングギヤ
１４ａリングギヤの外歯
１４ｂリングギヤの内歯
１５ガスジェネレータ収容部
１５ａ収容部の段部
１５ｂ収容部の開口端
１５ｃ肉盛部
１６ガスジェネレータ
１６ａガスジェネレータの大径部
１６ｂガスジェネレータの小径部
１７環状リブ
Ａ加締め部
φ₁ 環状リブの外径
φ₀ ガスジェネレータの外径
Ｈ₁ 環状リブの突出高さ
Ｈ₀ 環状リブの厚さ

Claims

パイプの端部を拡管して、ガスジェネレータの収容部を形成し、該収容部にガスジェネレータを収容し、パイプの開口端を加締めることによって、ガスジェネレータをパイプに保持させるプリテンショナーのガスジェネレータ取付け構造において、加締め部の内周縁部に、肉厚が他の加締め部よりも厚く、且つ軸方向外方に段状に突出する環状リブを形成したことを特徴とする、プリテンショナーのガスジェネレータ取付け構造。
上記環状リブの外径を、上記ガスジェネレータの外径よりも大きいものとしたことを特徴とする、請求項１に記載のプリテンショナーのガスジェネレータ取付け構造。
上記環状リブの軸方向外方への突出高さを、該環状リブの厚さの０．１５倍以上のものとしたことを特徴とする、請求項１又は２に記載のプリテンショナーのガスジェネレータ取付け構造。
上記請求項１〜請求項３に記載の環状リブを、プレス加工によって形成することを特徴とする、プリテンショナーのガスジェネレータ取付け方法。