JP3822425B2 - 床塗膜積層工法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は床面に対する塗膜の積層仕上げ工法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、工場、倉庫等建築構造物の屋内床面、あるいは一般歩道、歩道橋、プラットホーム等の屋外床面を、床用仕上材によって塗装し、美観性を向上させ、さらには防塵性、ノンスリップ性、耐薬品性等の機能を付与することが行われている。
【0003】
このような床用仕上材としては、バインダーとしてメタクリル酸メチル(以下、「MMA」ともいう。)モノマー及び/またはオリゴマーを用いた仕上材(以下、「MMA系仕上材」ともいう。)が、速硬性、強度の高さ、低温施工性等に優れるなどの理由から注目されている。このMMA系仕上材は、MMAモノマー及び/またはオリゴマー、パラフィン及び/またはワックス、骨材、着色剤等からなる主剤と、重合触媒等からなる硬化剤からなり、使用時にこの両者を混合することによって、MMAモノマー及び/またはオリゴマーの重合が行われるものである。このとき、成分中のパラフィン及び/またはワックスは、塗膜表面に膜を形成することで、大気中の酸素が重合反応を阻害しないようシールしている。このようにして、塗膜中では重合反応が進行し、高分子ポリマー塗膜を形成することができる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
このようなMMA系仕上材を床面に塗装する際には、下地との密着性及び空気遮断性等を確保するため、湿気硬化形ウレタン樹脂系、エポキシ樹脂系、変性フェノール樹脂系、変性ポリエステル系等の下塗材を塗装した後に、仕上材を施す方法が用いられている。
しかしながら、MMA系仕上材は、成分中のパラフィン及び/またはワックスが塗膜表面に膜を形成した状況下で、MMAモノマー等の低分子量の成分をラジカル重合で架橋させるため、その塗膜は非常に緻密で硬化収縮が大きく、下地の水蒸気等を完全に遮断する。このため、下地の強度が弱いときは、膨れ、剥離、反り、割れ等が発生し、十分な物性を有する塗膜を形成できない場合がある。
【0005】
また、デッキプレート上のコンクリートスラブ面においては、コンクリート打設時の水分や、その後に生じた湿気が、コンクリート硬化後において逃げ場を失い、デッキプレートとコンクリートとの境界付近に残存するため、含水率が高くなりやすい。このような高含水率の面にMMA系仕上材を塗装した場合には、経時的に膨れ、剥離等の問題が発生しやすくなる。
このような問題に対し、特公平6−21512号公報では、骨材を結合する水硬性セメントと消泡剤を添加しないポリマーディスパージョンからなる下地層を形成させることが提案されている。ここでの作用機構は、下地層が連続的多孔性通気路を形成し、コンクリートの含有水分が該通気路に誘導され、外部に逸散されることで、膨れの発生を抑制するというものである。
【0006】
しかしながら、特公平6−21512号公報の下地層は、水分の拡散効果はあるものの強度が弱い。このため、このような下地層に対して、MMA系仕上材を塗装しても、下地層が人や物の荷重に耐え切れずに割れを生じたり、塗装された端部から反りを生じたり、あるいは、仕上材が密着不良を起こす等の問題が発生しやすく、実用的なものを得ることはできない。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明はこのような課題に鑑みなされたもので、MMA系仕上材を用いた塗装仕上において、塗膜が膨れ、剥離、反り、割れ等を生じず、密着性に優れ、人や物の荷重に耐えることができ、特に水分を多く含有する下地に対しても十分に適用可能な床塗膜積層工法を提供することを目的とするものである。
【0008】
本発明者らは鋭意検討を行い、その結果、床面に対して特定のポリマーセメント系下地調整塗材層を形成し、その後に下塗材層、MMA系仕上材層を順に積層することが有効であることを見出した。
すなわち、本発明は以下の特徴を有するものである。
【0009】
1.床面に対し、
エポキシ樹脂、エポキシ樹脂の硬化剤、セメント、及び水を必須成分とし、前記エポキシ樹脂が、平均分子量100〜4000、エポキシ当量100〜3000である液状エポキシ樹脂であり、セメント100重量部に対して、エポキシ樹脂及び硬化剤が固形分で50〜200重量部、水が10〜200重量部混合されたポリマーセメント系下地調整塗材により形成され、JIS K5400「塗料一般試験方法」8.17の水蒸気透過度が40g/m2・24h以上、JIS A6916「仕上塗材用下地調整塗材」6.13の圧縮強さが20N/mm2以上、同6.14の付着強さが1N/mm2以上となる塗膜を形成するポリマーセメント系下地調整塗材層(A)、下塗材層(B)、メタクリル酸メチルモノマー及び/またはオリゴマー、パラフィン及び/またはワックス、重合触媒を含有する仕上材によって形成される仕上材層(C)を順に積層することを特徴とする床塗膜積層工法。
【0010】
【発明の実施の形態】
[ポリマーセメント系下地調整塗材層(A)]
ポリマーセメント系下地調整塗材層は、形成される塗膜が、JIS K5400「塗料一般試験方法」8.17水蒸気透過度が40g/m2・24h以上、好ましくは40〜1000g/m2・24h、さらに好ましくは50〜500g/m2・24h、JIS A6916「仕上塗材用下地調整塗材」6.13圧縮強さが20N/mm2以上、好ましくは25N/mm2以上、同6.14付着強さが1N/mm2以上、好ましくは2N/mm2以上、であることが必要である。
【0011】
本発明では、下地調整塗材層がこのような物性値を有する場合にのみ、コンクリート中の水分による水蒸気を拡散させ、局部的な圧力上昇を抑制して、塗膜の膨れを防止でき、また、人や物の荷重に対して十分に耐えることができ、さらに、MMA系仕上材を積層した際の反り、剥離等を防止することが可能となる。
【0012】
水蒸気透過度が40g/m2・24hより低い場合には、下地調整塗材層が、コンクリート中の水分による水蒸気を十分に拡散することができずに膨れたり、剥離したりする。水蒸気透過度が大きいと、水蒸気を拡散する機能も高まるが、この値が大きすぎる場合は、塗膜強度が低下する傾向となる。一方、圧縮強さが20N/mm2、付着強さが1N/mm2より低い場合は、下地調整塗材層が人や物の荷重に耐え切れずに割れを生じたり、MMA系仕上材が塗装された際に反りを生じたりする。
【0013】
このようなポリマーセメント系下地調整塗材層は、ポリマーセメント系下地調整材を塗付することにより形成されるものである。本発明では、上述の物性値を満足するような塗膜を形成するポリマーセメント系下地調整材が使用可能であるが、特に、エポキシ樹脂、エポキシ樹脂の硬化剤、セメント、及び水を必須成分とし、必要に応じ骨材、充填材等の粉体成分を含有するポリマーセメント系下地調整塗材が好適に用いられる。このようなエポキシ樹脂含有下地調整塗材を用いることにより、十分な水蒸気拡散機能と塗膜強度を兼ね備えた塗膜層を形成することができる。
【0014】
エポキシ樹脂としては、例えば、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ノボラック型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、臭素化エポキシ樹脂、環式脂肪族エポキシ樹脂等、あるいはこれらをポリエステル樹脂、フェノール樹脂、メラミン樹脂等で変性したもの等をあげることができる。
本発明では、液状エポキシ樹脂を好ましく用いることができる。このような液状エポキシ樹脂の平均分子量は100〜4000、好ましくは200〜1000である。また、エポキシ樹脂のエポキシ当量は、100〜3000であることが望ましい。
【0015】
エポキシ樹脂の硬化剤(以下「硬化剤」ともいう)としては、例えば、例えば脂肪族ポリアミン、脂環式ポリアミン、芳香族ポリアミン、ポリアミド、アミドアミン、複素環状アミンなど、またはこれらの変性物などが使用できる。
【0016】
これらのエポキシ樹脂、硬化剤については、親水性または乳化性を付与するため、エポキシ樹脂または硬化剤に親水基を導入して自己乳化形としたもの、または予め乳化剤を混合したものを好適に用いることができる。
また、エポキシ樹脂と硬化剤の混合比率は、エポキシ当量:活性水素当量が100:10〜400となるように配合されることが望ましい。
【0017】
セメントとしては、普通ポルトランドセメント、早強ポルトランドセメント、超早強ポルトランドセメント、中庸熱ポルトランドセメント、耐硫酸塩ポルトランドセメント、白色ポルトランドセメント、アルミナセメント、超速硬セメント、膨張セメント、酸性リン酸塩セメント、シリカセメント、高炉セメント、フライアッシュセメント、キーンスセメント等があげられる。
【0018】
エポキシ樹脂及び硬化剤と、セメントの混合比率は、水蒸気拡散機能と塗膜強度のバランスの点から、セメント100重量部に対して、エポキシ樹脂及び硬化剤が固形分で50〜200重量部、さらには60〜110重量部であることが望ましい。50重量部より少ない場合は十分な塗膜強度が得られず、200重量部より多い場合は水蒸気拡散機能が低下する傾向となる。
水の混合比率は、セメント100重量部に対し、10〜200重量部であることが望ましい。
【0019】
粉体成分としては、珪砂、寒水石、パーライト、バーミキュライト、スチレン樹脂発泡体、エチレン酢酸ビニル樹脂発泡体、塩化ビニル樹脂発泡体等の骨材、重質炭酸カルシウム、クレー、カオリン、タルク、沈降性硫酸バリウム、炭酸バリウム、ホワイトカーボン、珪藻土等の充填材を使用することが可能である。粉体成分の混合比率は、セメント100重量部に対し0〜600重量部、さらには100〜500重量部であることが望ましい。600重量部より多い場合は、塗膜強度が低下する傾向となる。
【0020】
この他、樹脂成分として、クロロプレンゴム、スチレン−ブタジエンゴム、アクリロニトリル−ブタジエンゴム、メタクリル酸メチル−ブタジエンゴム、ブタジエンゴム等の合成ゴムラテックス、ポリアクリル酸エステル、ポリ酢酸ビニル、塩化ビニリデン−塩化ビニル、ポリプロピオン酸ビニル、エポキシ樹脂等の熱硬化性樹脂エマルション、アスファルト、ゴムアスファルト等の瀝青質エマルションを用いることもできる。
【0021】
また、通常の下地調整塗材に使用可能な増粘剤、消泡剤、減水剤、界面活性剤等を用いることもできる。
【0022】
[下塗材層(B)]
本発明における下塗材層は、合成樹脂を主成分とする下塗材によって形成されるもので、下地調整塗材層からの酸素を遮断し、MMA系仕上材の重合が十分に行われるようにする役割を担うものである。これによりMMA系仕上材の密着性も十分に確保される。
合成樹脂としては、例えば、アクリル樹脂、ウレタン樹脂、エポキシ樹脂、ポリエステル樹脂等を用いることができる。その形態としては、1液タイプ、2液タイプのいずれでもよい。このうち、本発明では特に、湿気硬化形ウレタン樹脂が好適に用いられる。
合成樹脂以外の成分としては、重質炭酸カルシウム、クレー、カオリン、タルク、沈降性硫酸バリウム、炭酸バリウム、ホワイトカーボン、珪藻土等の顔料を使用することもできる。また通常塗料に使用する各種添加剤、例えば、可塑剤、防腐剤、防黴剤、防藻剤、消泡剤、レベリング剤、分散剤、沈降防止剤、たれ防止剤等を使用することもできる。
下塗材においては、合成樹脂が固形分換算で10重量%以上含まれることが望ましい。
【0023】
[仕上材層(C)]
本発明における仕上材層は、MMAモノマー及び/またはオリゴマー、パラフィン及び/またはワックス、重合触媒を含有する仕上材によって形成されるもので、MMAモノマー及び/またはオリゴマーのラジカル反応により、高強度の塗膜を形成できるものである。このとき、成分中のパラフィン及び/またはワックスは、塗膜表面に膜を形成することで、大気中の酸素が重合反応を阻害しないようシールしている。このようにして、塗膜中では重合反応が進行し、高分子ポリマー塗膜を形成することができる。
【0024】
樹脂成分としては、MMAモノマー及び/またはオリゴマーを含有することが必須であるが、この他にも、例えば、メタクリル酸エチル、メタクリル酸n−ブチル、メタクリル酸i−ブチル、メタクリル酸t−ブチル、メタクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸ラウリル、メタクリル酸シクロヘキシル、メタクリル酸ベンジル等のメタクリル酸エステル;アクリル酸エチル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸i−ブチル、アクリル酸t−ブチル、アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸ラウリル、アクリル酸シクロヘキシル、アクリル酸ベンジル等のアクリル酸エステル;メタクリル酸2−ヒドロキシエチル、アクリル酸2−ヒドロキシエチル、メタクリル酸2−ヒドロキシプロピル、アクリル酸2−ヒドロキシプロピル等のヒドロキシ基含有(メタ)アクリレート;メタクリル酸N,N−ジメチルアミノエチル、アクリル酸N,N−ジメチルアミノエチル等のアミノ基含有(メタ)アクリレート;エチレングリコールジメタクリレート、エチレングリコールジアクリレート等のアルカンジオール化合物;ジエチレングリコールジメタクリレート、ジエチレングリコールジアクリレート等のポリオキシアルキレングリコール化合物;メタクリル酸、アクリル酸、クロトン酸、マレイン酸、イタコン酸等のカルボキシル基含有化合物;メタクリルアミド、アクリルアミド等のアミド基含有化合物;スチレン、ビニルトルエン等の芳香族ビニル化合物;塩化ビニル、塩化ビニリデン等のハロゲン化ビニル化合物等を使用することもできる。
【0025】
パラフィン及び/またはワックスとしては、パラフィンワックス、ポリエチレンワックスや、ステアリン酸、1,2−ヒドロキシステアリン酸等の高級脂肪酸等があげられる。
重合触媒としては、ベンゾイルパーオキシド、メチルエチルケトンパーオキシド等があげられる。
【0026】
各成分の配合比率は、樹脂成分100重量部に対し、パラフィン及び/またはワックスが0.5〜10重量部、重合触媒が0.1〜5重量部であることが望ましい。
【0027】
仕上材においては、上記成分の他、着色剤、充填剤、骨材、重合促進剤等を配合することもできる。着色剤としては、各種無機顔料、有機顔料、着色骨材等、充填剤としては、重質炭酸カルシウム、タルク、珪砂、金属粉等の無機粉体等、骨材としては、パーライト、バーミキュライト、ガラスバルーン、シラスバルーン、珪石、寒水石、陶磁器片、樹脂粒子等があげられる。重合促進剤としては、芳香族アミン化合物、またはその誘導体等があげられる。また、各種添加剤として、可塑剤、防腐剤、防黴剤、防藻剤、消泡剤、レベリング剤、分散剤、沈降防止剤、増粘剤、乾燥調整剤、繊維、紫外線吸収剤、酸化防止剤等、通常塗料に使用するものを添加することもできる。
【0028】
[適用面]
本発明は、工場、倉庫等建築構造物の屋内床面、あるいは一般歩道、歩道橋、プラットホーム等の屋外床面を対象とし、コンクリート、モルタル、アスファルト等の下地に適用される。
【0029】
[積層方法]
本発明では、前述の下地調整塗材層(A)、下塗材層(B)、仕上材層(C)を順に塗付することにより積層する。
下地調整塗材は、水蒸気透過度が40g/m2・24h以上となる塗膜を形成することが必要であるが、通常、塗付量0.3〜2.5kg/m2で塗装される。乾燥時間は6〜24時間程度である。塗装器具としては、コテ、リシンガン、ローラー、刷毛等が用いられる。下地に不陸等がある場合は、部分的に補修を行うこともできる。
また、塗装を行う床面において、目地や溝を設けるなどして、下地調整塗材層の水蒸気を逃がすようにすれば、膨れ防止効果を一段と高めることができる。
【0030】
次に、下塗材は塗付量0.1〜0.5kg/m2で塗装され、2〜6時間程度乾燥させる。塗装器具としては、スプレーガン、ローラー、刷毛等が用いられる。
【0031】
下塗材乾燥後、仕上材が塗装される。仕上材は1層のみでもよいし、2層以上を積層してもよい。また、仕上形態として、平滑に仕上げることもできるし、目地型枠等を用いて模様を表出した仕上にすることもできる。
仕上材を1層で平滑にする場合は、塗付量0.3〜3kg/m2で塗装し、24時間以上乾燥させる。塗装器具としては、コテ、スプレーガン、リシンガン、ローラー、刷毛等が用いられる。
目地型枠を用いて模様を表出しようとする場合は、例えば、まず仕上材Aとして着色顔料を含有したものを用い、塗付量0.3〜3kg/m2にてコテ、スプレーガン、リシンガン、ローラー、刷毛等で塗装し、1.5〜3時間程度乾燥させる。この仕上材Aは目地色となるものである。次に、仕上材A上に、所望の模様が形成できるように目地型枠を貼付けた後、着色骨材を含有する仕上材Bを塗付量3〜5kg/m2にてコテ、リシンガン、スタッコガン等で塗装し、1.5〜3時間程度乾燥させる。続いて、目地型枠を除去し、透明塗膜を形成する仕上材Cを塗付量0.3〜0.5kg/m2にてローラー、スプレーガン、刷毛、コテ等で塗装し、24時間以上乾燥させる。このように仕上材A、B、Cを積層することにより、所望の模様を表出することができ、さらに耐候性等にも優れた塗膜を得ることができる。
【0032】
【実施例】
以下に実施例及び比較例を示し、本発明の特徴をより明確にする。
【0033】
(下地調整塗材の製造)
表1の原料を使用して、表2の配合によって下地調整塗材を製造した。
【0034】
【表1】
【0035】
【表2】
【0036】
(下塗材の製造)
湿気硬化形ウレタン樹脂49.0重量部に対し、メチルエチルケトン25.5重量部、トルエン25.5重量部を加えて、下塗材▲1▼を製造した。
【0037】
(仕上材の製造)
表3の原料を使用して、表4の配合によって仕上材を製造した。
【0038】
【表3】
【0039】
【表4】
【0040】
(実施例1)
【0041】
○耐膨れ性試験
裏面および側面をエポキシ樹脂にて完全にシールした300×300×60mmのコンクリート板を、20%の含水率に調整後、残った表面に、まず下地調整材組成物を塗付量1000g/m2にて塗付後、16時間後に下塗材組成物を塗付量200g/m2にて塗付し、さらに4時間後に仕上材を塗付し、20℃、相対湿度65%において7日間養生させ、試験体を作製した。
作製した試験体に対し、水浸漬18時間→−20℃3時間→80℃3時間の温冷繰返し試験を30サイクル行ない、塗膜の状態の変化を目視にて観察した。
このとき膨れが見られないものを○、膨れがやや見られるものを△、非常に膨れが見られるものを×として評価を行った。
【0042】
○耐衝撃性試験
大きさ240×120×20mmのコンクリート板の表面に、まず下地調整材組成物を塗付量1000g/m2にて塗付後、16時間後に下塗材組成物を塗付量200g/m2にて塗付し、さらに4時間後に仕上げ材を塗付し、20℃、相対湿度65%において7日間養生したものを試験体とした。
作製した試験体を、砂を敷き詰めた上に塗装面が上向きとなるように置いた後、塗装面に1メートルの高さから1kgの鉄球を落下させ、塗膜の状態の変化を目視にて観察した。
このとき塗膜の割れ、剥離等が見られないものを○、塗膜の割れ、剥離等が見られるものを×として評価を行った。
【0043】
○塗膜の反り返り試験
大きさ240×120×20のアスファルトブロックの表面に、まず下地調整材組成物を塗付量1000g/m2にて塗付後、16時間後に下塗材組成物を塗付量200g/m2にて塗付し、さらに4時間後に仕上げ材を塗付し、20℃、相対湿度65%において7日間養生したものを試験体とした。
作製した試験体に対し、水浸漬18時間→−20℃3時間→80℃3時間の温冷繰返し試験を30サイクル行ない、塗膜の反り返り等を観察した。
反りが見られないものを○、反りが見られるものを×として評価を行った。
【0044】
○試験結果
塗材の組合せ、及び試験結果を表5に示す。
耐膨れ性試験、耐衝撃性試験、塗膜の反り返り試験いずれにおいても、良好な結果となった。
【0045】
【表5】
【0046】
(実施例2)
下地調整塗材、下塗材、仕上材を表5に示す組合せにした以外は、実施例1と同様にして試験を行った。なお、仕上材は3層とし、仕上材▲2▼を塗付し、2時間後型紙を貼り、仕上材▲3▼を塗付し、さらに2時間後、型紙を除去して仕上材▲4▼を塗付することにより形成させた。
試験では、耐膨れ性試験、耐衝撃性試験、塗膜の反り返り試験いずれにおいても、良好な結果となった。
【0047】
(比較例1)
下地調整塗材、下塗材、仕上材を表5に示す組合せにした以外は、実施例1と同様にして試験を行ったところ、下地調整塗材の水蒸気透過度が低く、耐膨れ性に劣る結果となった。
【0048】
(比較例2)
下地調整塗材、下塗材、仕上材を表5に示す組合せにした以外は、実施例2と同様にして試験を行ったところ、下地調整塗材の水蒸気透過度が低く、耐膨れ性に劣る結果となった。
【0049】
(比較例3)
下地調整塗材、下塗材、仕上材を表5に示す組合せにした以外は、実施例1と同様にして試験を行ったところ、下地調整塗材の付着強さが低く、耐膨れ性、塗膜の反り返り性に劣る結果となった。
【0050】
(比較例4)
下地調整塗材、下塗材、仕上材を表5に示す組合せにした以外は、実施例2と同様にして試験を行ったところ、下地調整塗材の圧縮強さが低く、耐衝撃性に劣る結果となった。
【0051】
(比較例5)
下地調整塗材、下塗材、仕上材を表5に示す組合せにした以外は、実施例1と同様にして試験を行ったところ、下地調整塗材の付着強さ及び圧縮強さが低く、耐膨れ性、耐衝撃性、塗膜の反り返り性に劣る結果となった。
【0052】
【発明の効果】
本発明によれば、MMA系仕上材を用いた塗装仕上において、塗膜が膨れ、剥離、反り、割れ等を生じず、密着性に優れ、人や物の荷重に耐えることができ、特に水分を多く含有する下地に対しても十分に適用可能な床塗膜積層工法を得ることができる。
Claims (1)
- 床面に対し、
エポキシ樹脂、エポキシ樹脂の硬化剤、セメント、及び水を必須成分とし、前記エポキシ樹脂が、平均分子量100〜4000、エポキシ当量100〜3000である液状エポキシ樹脂であり、セメント100重量部に対して、エポキシ樹脂及び硬化剤が固形分で50〜200重量部、水が10〜200重量部混合されたポリマーセメント系下地調整塗材により形成され、JIS K5400「塗料一般試験方法」8.17の水蒸気透過度が40g/m2・24h以上、JIS A6916「仕上塗材用下地調整塗材」6.13の圧縮強さが20N/mm2以上、同6.14の付着強さが1N/mm2以上となる塗膜を形成するポリマーセメント系下地調整塗材層(A)、下塗材層(B)、メタクリル酸メチルモノマー及び/またはオリゴマー、パラフィン及び/またはワックス、重合触媒を含有する仕上材によって形成される仕上材層(C)を順に積層することを特徴とする床塗膜積層工法。
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