JP3818750B2 - 浴槽水濾過装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、浴槽内の水を循環させて浄化する浴槽水濾過装置に関し、特に、この装置に設けられた濾過槽に高温の湯を流して、濾過槽を熱殺菌することができる手段を備えた浴槽水濾過装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来から、浴槽内の水(以下浴槽水という)を循環させて濾過する浴槽水濾過装置が存在する。浴槽水は、浴槽水濾過装置の循環路に導かれ、その循環路に設けられた濾過槽を通過し、濾過槽によって浄化された後、浴槽内に戻される。
【0003】
この濾過槽は、例えば、浴槽水と共に循環する髪の毛やゴミなどを捕獲するフィルタや、湯の中に含まれる人の汗や脂肪、その他アンモニアなどの有機物を吸着するための活性炭などの濾過材を備えている。
【0004】
このように、循環路を循環する浴槽水は、循環路に設けられた濾過槽を通ることによって浄化されて再度浴槽に戻されるので、浴槽内での雑菌の繁殖及び雑菌の繁殖による浴槽への水垢の付着などが防止され、浴槽内を衛生的に維持することができる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
一方、濾過槽には、それによって捕獲、吸着されたゴミ、有機物が付着しているため、そこに雑菌が繁殖しやすい。雑菌の中には、レジオネラ属菌のような人体に悪影響のある悪性菌が存在するので、濾過槽を定期的に殺菌処理し、衛生的に維持する必要がある。そして、濾過槽の殺菌処理には、一般的に、塩素などの薬剤による殺菌処理、又は高温の湯による熱殺菌処理が行われる。
【0006】
薬剤による殺菌処理を行うには、塩素などの薬剤の取り扱いに専門的な知識が必要となる上、薬剤の費用がかかるので、メンテナンスが面倒である。
【0007】
一方、熱殺菌処理は、浴槽水濾過装置の循環路に設けられたヒーターによって、循環する湯を加熱し、所定温度以上の高温の湯を濾過槽に通すことによって行われ、上記薬剤による殺菌処理と比較してメンテナンスが容易である。
【0008】
このとき、従来において、この熱殺菌に用いた高温の湯は、熱殺菌が行われた後、排水されていた。しかしながら、この高温の湯は、殺菌処理に用いられた湯であるので、湯内には、雑菌は繁殖しておらず、本来衛生的な湯である。
【0009】
従って、殺菌に利用した湯を排水することは、省エネルギー及び節水の観点から好ましくなく、また、浴槽水濾過装置の目的である省エネルギー及び節水という趣旨にも反する。
【0010】
そこで、本発明の目的は、熱殺菌に利用した湯を浴槽の湯に再利用することができる浴槽水濾過装置を提供することにある。
【0011】
上記目的を達成するための本発明の構成は、両端が浴槽に接続され、一端から流入した該浴槽の水を他端から該浴槽に注入する循環路と、該循環路に設けられ、該循環路を流れる水を濾過する濾過手段と、前記循環路を流れる水を加熱する加熱手段と、前記浴槽を経由させずに前記循環路内の水を循環させるバイパス路と、該バイパス路を経由して前記循環路を循環する湯を、前記加熱手段によって熱殺菌に必要な最低温度以上に加熱し、前記濾過手段内に流すことによって、前記濾過手段の熱殺菌処理を行う制御手段とを備えた浴槽水濾過装置において、該制御手段は、該熱殺菌処理時に、前記湯が前記浴槽に注入されると浴槽水温が設定温度又はその近傍に昇温するのに必要な所定温度まで前記湯を加熱し、加熱された前記湯を、熱殺菌に必要な所定時間経過後に前記浴槽に注入し、前記制御手段は、前記湯が前記最低温度に達したときから前記所定時間を計測することを特徴とする浴槽水濾過装置である。
【0012】
本構成により、熱殺菌に用いられた湯が排水されることなく、浴槽に注入され、さらに、浴槽水温を設定温度近傍に昇温することが可能となる。
【0014】
また、上記構成において、前記所定時間は、前記湯が前記最低温度から前記所定温度まで昇温するまでの第二の時間と前記所定温度に達してからの第三の時間の和であって、該第三の時間は、一回の熱殺菌処理に必要な熱殺菌量と第二の時間に行われる熱殺菌処理の熱殺菌量との差分に基づいて設定され、前記湯が前記所定温度で一定のとき熱殺菌に必要な第一の時間より短い。さらに、前記湯が前記所定温度まで加熱される前に、前記所定時間が経過するとき、前記制御手段は、前記湯が所定温度に加熱されてから、前記湯を前記浴槽に注入する。これによって、浴槽水温を設定温度またはその近傍に昇温することができる。
【0015】
また、上記構成の浴槽水濾過装置において、前記所定温度が前記最低温度より低いとき、前記熱殺菌処理が待機され、前記所定温度が前記最低温度以上になったとき、前記熱殺菌処理が行われてもよい。または、前記所定温度が前記最低温度より低いとき、前記熱殺菌処理が行われなくともよい。
【0016】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について図面に従って説明する。しかしながら、本発明の技術的範囲がこの実施の形態に限定されるものではない。
【0017】
図1は、本発明の実施の形態の浴槽水濾過装置の構成図である。図1によれば、浴槽10には、浴槽水が循環する循環路20の両端20a及び20bが接続されており、浴槽水は、循環路20に設けられたポンプ21によって矢印A方向に循環路20内を流れる。さらに、ポンプ21より下流側の循環路20には、循環方向へ順に、循環する湯の温度を検出する温度センサ24、循環する湯を加熱するヒータ23、及び濾過槽22が設けられている。
【0018】
そして、濾過槽22より下流側の循環路20には、四方弁Yが設けられ、また、ポンプ21より上流側の循環路20には、三方弁Sが設けられている。さらに、図示されるように、四方弁Yの出入口4と三方弁Sの出入口3に接続されるバイパス路30が設けられている。
【0019】
また、本実施の形態の浴槽濾過装置は、例えばマイクロコンピュータのような図示されない制御手段を備え、以下に説明する濾過運転及び熱殺菌処理は、この制御手段の制御のもとで行われる。
【0020】
浴槽水濾過装置の通常の濾過運転により、浴槽10の湯が濾過されるとき、循環路20に引き込まれた浴槽水は、三方弁Sの出入口1から出入口2を通って、ポンプ21を矢印A方向に流れる。そして、浴槽の湯は、ヒータ23によって加熱されずに、濾過槽22に入り、そこで浄化される。さらに、濾過槽22によって濾過された浴槽水は、四方弁Yの出入口1から出入口2を通って、浴槽10に戻される。
【0021】
このような浴槽水濾過装置において、濾過槽22の熱殺菌処理が行われる場合、四方弁Yの流路が出入口1から出入口4の方向に設定され、濾過槽22から流れ出た浴槽水は、バイパス路30に導かれる。そして、三方弁Sの流路が出入口3から出入口2の方向に設定されることによって、循環路20内の湯が浴槽10を経由せず、バイパス路30を経由して循環路20を循環する回路が構成される。
【0022】
さらに、熱殺菌処理時においては、ヒータ23がオンされ、バイパス路30を経由して循環路20内を流れる湯は、所定の熱殺菌温度(例えば65度)以上まで加熱され上記殺菌湯とされる。そして、所定の熱殺菌時間(湯温が65度以上の場合、例えば10分以上)の間、この殺菌湯を循環させて、殺菌湯に濾過槽22を暴露することによって、濾過槽22の殺菌が行われる。
【0023】
ここで、所定の熱殺菌時間が経過し、上記濾過槽22の殺菌が終了すると、従来においては、四方弁Yの流路が出入口1から出入口3に設定され、循環路20内の湯は、排水路31を通って排水されていた。しかしながら、濾過漕22内を流れた殺菌湯は、上述したように、本来衛生上問題のない湯であるゆえ、排水することは、省エネルギー及び節水の観点から好ましくない。
【0024】
従って、本実施の形態においては、省エネルギー及び節水の観点から、濾過槽22の殺菌に用いられた殺菌湯を浴槽10に戻す。即ち、熱殺菌終了時において、四方弁Yの流路は、出入口1から出入口2の方向に設定され、殺菌湯は排水されずに浴槽10に戻される。これによって、浴槽10の湯が減少せず、足し湯をする必要がなくなり、節水が達成される。そして、一般的な浴槽水の設定温度(40度付近)より高い温度の湯が供給されるため、浴槽水を保温するのに必要なエネルギーも節約できるので、省エネルギーが達成される。
【0025】
また、上記実施の形態においては、排水路31を通して殺菌湯は排水されないので、浴槽水濾過装置の四方弁Yに代わって、四方弁Yにおける出入口3を有さず、出入口1、2及び4を備えている三方弁が用いられてもよい。
【0026】
そして、本発明の実施の形態においては、熱殺菌処理時に循環する殺菌湯の温度(以下、熱殺菌温度という)は、浴槽10の水温(以下、浴槽水温という)及び浴槽10の水量(以下、浴槽水量という)に基づいて調節される。さらに具体的には、熱殺菌処理時において、バイパス路30を通って循環路20を循環する所定の配管容量(例えば30リットル)の湯が浴槽10に戻されたときに、浴槽水温が設定温度になる熱殺菌温度が求められる。そして、殺菌湯はヒータ23によってその熱殺菌温度まで加熱され、熱殺菌終了後、浴槽10に戻される。
【0027】
図2は、熱殺菌処理前の浴槽水温と、その浴槽水温を設定温度にするのに必要な熱殺菌湯の温度の関係を示す図である。浴槽水量が170リットルであって、30リットルの湯量が循環路20を循環する場合の浴槽水温と熱殺菌温度との関係を示す図である。図2の横軸は、熱殺菌処理が行われる前の浴槽水温である。また、縦軸は、浴槽水温を設定温度(図2においては44度)にするのに必要な熱殺菌温度である。
【0028】
例えば、図2の点Rに示すように、熱殺菌処理前の浴槽水温(横軸)が40度であるとき、図から、浴槽水温を設定温度にするのに必要な熱殺菌温度は67度となる。従って、熱殺菌処理が行われるとき、バイパス路30を経由して循環路20を循環する湯は、ヒータ23によってその熱殺菌温度まで加熱され、その後、所定の熱殺菌時間の間循環する。そして、循環した湯は、熱殺菌処理が終了した後、浴槽10に戻される。これによって、浴槽水温は設定温度まで上昇する。即ち、熱殺菌処理と同時に、浴槽10の昇温処理も行うことができる。
【0029】
図3は、上述の実施の形態に基づいた本発明の第一の実施の形態における熱殺菌処理のフローチャートである。図3を参照しながら、上記実施の形態をさらに詳しく説明する。図3によれば、ステップS1において通常の濾過運転が行われているとき、ステップS2に示すように、熱殺菌を指示する熱殺菌信号をマイクロコンピュータなどの制御手段が受信することよって熱殺菌が開始される。熱殺菌信号は、例えば使用者が図示されないリモコンなどを操作することによって発信される。また、制御手段が有する時計機能により所定時刻毎に自動的に熱殺菌信号が出され、熱殺菌処理が行われるようにしてもよい。
【0030】
ステップS2において、制御手段であるマイクロコンピュータが熱殺菌信号を受信すると、ステップS3において、マイクロコンピュータは、浴槽水温、浴槽水量と浴槽水温の設定温度から熱殺菌温度を求める。具体的には、例えば、上記図2に示したグラフが、浴槽水温及び設定温度毎にマイクロコンピュータのROMのようなメモリに格納されている。そして、検出される浴槽水温及び浴槽水量から熱殺菌温度が読み出される。
【0031】
このとき、浴槽水温は、循環路20を流れる水温と同じであるので、温度センサ23によって検出することができる。また、浴槽水量は、例えば、図1に図示されない浴槽水位センサによって検出された水位と、あらかじめ求められている浴槽の底面積を掛け合わせることによって求めることができる。また、設定温度は、リモコンなどにより設定される。
【0032】
また、マイクロコンピュータは、演算によっても熱殺菌温度を求めることもできる。即ち、次の(1)式に示す熱量の関係式から熱殺菌温度Tk を求める(2)式が得られる。
Qk ×Tk +QB ×TB =(Qk +QB )×Ts ・・・(1)
Tk =Ts +(Ts −TB )×QB /Qk ・・・(2)
ここで、QB は浴槽水量、TB は浴槽水温、Ts は設定温度、Qk は循環湯量(バイパス路30を経由して循環路20を循環する固定された湯量即ち配管容量であって、例えば30リットル)である。そして、上記(2)式が上記メモリに記憶され、熱殺菌温度Tk は、マイクロコンピュータのCPUの演算によって求められる。
【0033】
そして、ステップS4において、求められた温度Tk が、濾過漕22を殺菌するのに最低限必要な温度Tmin 以上であるか否かが判断される。一般に、熱殺菌を行うには、約60度以上の高温の湯に濾過漕22を暴露する必要がある。従って、最低温度Tmin は例えば60度である。
【0034】
例えば、浴槽水温が設定温度近くまで沸き上がっている場合は、図2から明らかなように熱殺菌温度Tk は60度より低い。かかる温度Tk では、熱殺菌に必要な温度の湯に濾過槽22を浸すことができず、熱殺菌処理が不十分になるおそれがある。
【0035】
従って、ステップS4において、ステップS3で求められた熱殺菌温度Tk が、所定の最低温度Tmin より小さい場合、ステップS5に進み、熱殺菌処理は待機状態になる。そして、ステップS3において求められる熱殺菌温度Tk が最低温度Tmin を超えるまで熱殺菌処理は待機される。
【0036】
ステップS4において、熱殺菌温度Tk が最低温度Tmin を超えると、ステップS6において、上記図1における各弁が切り替えられる。具体的には、四方弁Yの流路が出入口1から出入口4の方向に設定され、また、三方弁Sの流路が出入口3から出入口2の方向に設定される。従って、循環路20内の湯は、バイパス路30を通って、循環路20を循環する。このとき、ヒータ23がオンされる。
【0037】
そして、温度センサ24が、熱殺菌温度Tk を検知すると(ステップS7)、濾過槽22を殺菌湯に暴露する所定の熱殺菌時間を計測するために、マイクロコンピュータに内蔵されるタイマーがスタートする(ステップS8)。
【0038】
そして、所定の熱殺菌時間(熱殺菌温度Tk が65度以上のとき、例えば10分間)の間、濾過槽22は殺菌湯に暴露され、熱殺菌処理が行われる。ステップS9において、所定の熱殺菌時間が経過すると、濾過槽22の殺菌は終了し、上記ステップS6において切り替えられた各弁は、熱殺菌が行われる前の状態に戻される(ステップS10)。即ち、四方弁Yの流路は、出入口1から出入口2の方向に設定され、三方弁Sの流路は、出入口1から出入口2の方向に設定される。従って、熱殺菌温度Tk の湯が浴槽10に戻され、浴槽水温は設定温度まで昇温される。そして、再度通常の濾過運転状態に戻る(ステップS1)。このとき、ヒータ23もオフにされる。
【0039】
上記第一の実施の形態においては、浴槽水温が設定温度になるような熱殺菌温度Tk が求められた。しかしながら、その場合、上述のように、浴槽水温がすでに設定温度又はその近くまで達している場合は、浴槽水温が低下するまで、熱殺菌処理が待機されることとなる(上記図3のステップS5)。従って、熱殺菌信号が出されてからできるだけ速やかに熱殺菌処理を行うために、熱殺菌湯を浴槽に注入したときの浴槽水温が設定温度より高くなるように熱殺菌温度Tk を求めてもよい。このときの浴槽水温は、例えば設定温度+2度程度であり、設定温度の湯に対して、人が入浴したときにあまり違和感のない範囲に設定される。これによって、浴槽水温が設定温度まで沸き上がっている状態であっても、熱殺菌処理を行うことが可能である。
【0040】
また、図3のフローチャートのステップS5のような待機状態を設けず、求められた熱殺菌温度Tk が最低温度Tmin より小さいときは、熱殺菌処理を行わないようにしてもよい。
【0041】
図4フローチャートは、図3のステップS5に代わって、ステップS15が設けられる。図4のステップS15は、ステップS4において、熱殺菌温度Tk が最低温度Tmin より小さいときは、熱殺菌信号がクリアされる。従って、熱殺菌処理が行われない。
【0042】
次に、本発明の第二の実施の形態を説明する。上述の第一の実施の形態においては、熱殺菌時間の計測は、循環路20を循環する湯の温度(以下、循環温度という)が最低温度Tmin より高い熱殺菌温度Tk に達してから開始されていた(図3ステップS8参照)。しかしながら、実際の熱殺菌行為は、循環温度が最低温度Tmin に達したときからすでに開始されている。従って、本第二の実施の形態においては、循環温度が最低温度Tmin から熱殺菌温度Tk に達するまでに行われた熱殺菌行為を考慮した熱殺菌時間を求め、その熱殺菌時間に基づいた熱殺菌処理が行われる。
【0043】
図5は、熱殺菌温度Tk と熱殺菌時間tn の関係を示す図である。図5において、横軸は熱殺菌時間tn 、縦軸は熱殺菌温度Tk を示す。図5に示すように、一般に、熱殺菌温度Tk が上記最低温度Tmin (例えば60度)以上のとき、熱殺菌温度Tk と熱殺菌時間tn には、
熱殺菌温度Tk ×熱殺菌時間tn =C(Cは定数) ・・・(2)
の関係が成立する。従って、上述において、浴槽水温を設定温度にするための熱殺菌温度Tk1が、上述の(1)式などから求められると、この熱殺菌温度Tk1に対する熱殺菌時間tn1が、上記(2)式から求められる。ここで、上記定数Cを一回の熱殺菌処理に必要な熱殺菌量と定義すると、熱殺菌量Cは一定であるので、熱殺菌温度Tk が、図示されるように、Tk2、Tk3さらにTk4と順に高くなると、それぞれ熱殺菌時間tn2、tn3さらにtn4と短くなる。
【0044】
図6は、本第二の実施の形態を模式的に示した図である。図6において、横軸は時間、縦軸は循環温度Ta を示す。そして、上記第一の実施の形態においては、熱殺菌量Cを確保するため、循環温度Ta が熱殺菌温度Tk に達した時刻t1 から熱殺菌時間tn の間熱殺菌が処理が行われる。そして、熱殺菌時間tn 経過した時刻t3 で熱殺菌処理が終了する。即ち、時刻t1 から時刻t3 の間の熱殺菌量C1は、
となり、熱殺菌処理に必要な熱殺菌量Cに等しい。また、この熱殺菌量C1は、図6において面積S1として表される。
【0045】
一方、上述のように、熱殺菌行為は、循環温度Ta がTmin (例えば60度)を超えた時刻t0 から始まっている。即ち、循環温度Ta が、最低温度Tmin に達する時間t0 から熱殺菌温度Tk に達する時刻t1 までの時間tp も熱殺菌処理が行われている。
【0046】
従って、本第二の実施の形態においては、時間tp 間に行われる熱殺菌の熱殺菌量ΔCを考慮して、時刻t0 から行われている熱殺菌処理が熱殺菌量Cに達する時間tm (以下、有効熱殺菌時間という)を求める。まず、循環温度Ta が最低温度Tmin から熱殺菌温度Tk になるまでの時間tp 間の熱殺菌量ΔCは、図6における面積ΔSで表される。従って、熱殺菌量ΔCは、
ΔC=tp ×(Tk −Tmin )×1/2 ・・・(4)
として表される。ここで、循環温度Ta の上昇速度、即ちヒータ23の能力をHt(度/分)とすると、時間tp は、
tp =(Tk −Tmin )/Ht ・・・(5)
で表されるので、この(5)式から上記(4)式の熱殺菌量ΔCは、
ΔC=(Tk −Tmin )2 / 2Ht ・・・(6)
となる。
【0047】
そして、本第二の実施の形態において、熱殺菌量Cを確保するために、図6の時刻t1 からさらに必要な熱殺菌量をC2とすると、
C2=C−ΔC ・・・(7)
として表される。熱殺菌量C2は、図6において面積S2として表される。そして、時刻t1 から熱殺菌温度Tk で熱殺菌量C2の熱殺菌を行うのに必要な時間tr は、
【0048】
で表される。そして、上記(9)式に、上記(3)、(6)式を代入することによって、
【0049】
tr =tn −(Tk −Tmin )/2Ht ・・・(10)
として表される。そして、有効熱殺菌時間tm =tp +tr であるので、この式に、上記(5)、(10)式を代入して整理すると、
【0050】
tm =tn +(Tk −Tmin )/2Ht ・・・(11)
として表される。従って、本第二の実施の形態においては、循環温度Ta が最低温度Tmin に達する時刻t0 から時間tm 経過時の時刻t2 で、熱殺菌処理が終了する。また、上記(10)式から明らかなように、時間tr は、熱殺菌時間tnより短いので、上記時刻t2 は、上記第一の実施の形態において熱殺菌処理が終了する時刻t3 より早い。
【0051】
このように、本第二の実施の形態においては、熱殺菌量Cの熱殺菌を行うのに必要な時間を、循環温度Ta が最低温度Tmin を超えたときから計測するので、、循環温度Ta が熱殺菌温度Tk に達したときから計測する場合より、早く熱殺菌を終了することができる。
【0052】
図7は、本第二の実施の形態における熱殺菌処理のフローチャートである。図7によれば、図3と同様に、ステップS21において通常の濾過運転が行われているとき、ステップS22に示すように、熱殺菌を指示する熱殺菌信号をマイクロコンピュータなどの制御手段が受信することよって熱殺菌が開始される。そして、ステップS23において、マイクロコンピュータのメモリに記憶された上記図2に示したグラフ、又は上記(3)式から熱殺菌温度Tk が得られる。そして、本第二の実施の形態においては、さらに、上記有効熱殺菌時間tm が上記(11)式から求められる。
【0053】
そして、ステップS24において、上記ステップS4同様に、求められた熱殺菌温度Tk が、濾過漕22を殺菌するのに最低限必要な温度Tmin 以上であるか否かが判断される。さらに、ステップS24において、ステップS23で求められた熱殺菌温度Tk が、所定の最低温度Tmin より小さい場合、ステップS5同様に、ステップS25に進み、熱殺菌処理は待機状態になる。そして、ステップS23において求められる熱殺菌温度Tk が最低温度Tmin を超えるまで熱殺菌処理は待機される。または、上記図4に示したステップS15のように、熱殺菌信号がクリアされてもよい。
【0054】
そして、ステップS23で求められる熱殺菌温度Tk が最低温度Tmin を超えると、ステップS26において、上記図1における各弁が、図3のステップS6と同様に切り替えられる。また、ヒータ23がオンされる。
【0055】
そして、ステップS27においては、図3のステップS7と異なり、温度センサ23が、最低温度Tmin を検知すると、上記ステップS23で求められた有効熱殺菌時間tm を計測するために、マイクロコンピュータに内蔵されるタイマーがスタートする(ステップS28)。
【0056】
そして、有効熱殺菌時間tm の間、濾過槽22は殺菌湯に暴露され、熱殺菌処理が行われる。さらに、ステップS29において、有効熱殺菌時間tm が経過すると、濾過槽22の殺菌は終了し、上記ステップS26において切り替えられた各弁は、図3のステップS10と同様に熱殺菌が行われる前の状態に戻される(ステップS30)。このとき、ヒータ23もオフにされる。こうして、再度通常の濾過運転状態に戻る。
【0057】
また、図8は、上記第二の実施の形態の変形例を説明するための図である。この変形例では、熱殺菌温度Tk が最低温度Tmin よりかなり高く、循環温度Ta が最低温度Tmin から熱殺菌温度Tk に達するまでの熱殺菌量ΔC(面積ΔS)が、熱殺菌に必要な熱殺菌量C(面積S)以上になる。即ち、図8に示されるように、循環温度Ta が熱殺菌温度Tk に達する時刻t5 より早い時刻t4 に、熱殺菌量がC(面積S)に達する。従って、この変形例の場合は、循環温度Ta が熱殺菌温度Tk に達した後に熱殺菌処理をする必要がない。
【0058】
但し、このような場合に、上記(11)式に基づいて有効熱殺菌時間tm を求めると、循環温度Ta が熱殺菌温度Tk に達する時間tpより短い時間となってしまう。従って、熱殺菌温度Tk より低い温度の湯が浴槽10に戻されるので、浴槽水温が設定温度に達しない。そこで、図8において、このような場合は、熱殺菌量Cに達した時刻t4 後もヒータ23の加熱が続けられる。そして、循環温度Ta が熱殺菌温度Tk に達した時刻t5 経過時に、熱殺菌処理を終了し、熱殺菌に利用された湯を浴槽10に戻す。即ち、図7のステップS29において、有効熱殺菌時間tm に代わって、循環温度Ta が最低温度Tmin から熱殺菌時間Tk になるまでの時間tp が用いられる。なお。時間tp は上記(5)式より求められる。また、この変形例の場合は、図7のステップS28において、タイマー計測を行わず、温度センサ24により循環温度Ta が熱殺菌温度Tk に達したことを検知して、図7におけるステップS30に進んでもよい。
【0059】
【発明の効果】
本発明によれば、浴槽水濾過装置に設けられた濾過槽が熱殺菌されるとき、熱殺菌に用いられた湯(熱殺菌湯)が排水されずに浴槽に注入される。従って、熱殺菌湯が無駄にされず、浴槽水として再利用され、節水及び省エネルギーを達成することができる。
【0060】
また、熱殺菌温度が可変であるので、浴槽水温を任意の温度(例えば設定温度)になるように熱殺菌温度に設定することができる。
【0061】
さらに、熱殺菌処理が行われる時間を、循環路を循環する湯の温度が熱殺菌温度に達する前の熱殺菌に必要な最低温度に達したときから計測するので、迅速な熱殺菌処理が行われる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第一の実施の形態の浴槽水濾過装置の構成図である。
【図2】熱殺菌処理前の浴槽水温と、その浴槽水温を設定温度にするのに必要な熱殺菌湯の温度の関係を示す図である。
【図3】本発明の第一の実施の形態のフローチャートである。
【図4】本発明の第一の実施の形態の変形例を示すフローチャートである。
【図5】熱殺菌温度Tk と熱殺菌時間tn の関係を示す図である。
【図6】本発明の第二の実施の形態を模式的に示した図である。
【図7】本発明の第二の実施の形態における熱殺菌処理のフローチャートである。
【図8】本発明の第二の実施の形態の変形例を説明するための図である。
【符号の説明】
10 浴槽
20 循環路
21 ポンプ
22 濾過槽
23 ヒータ
24 温度センサ
30 バイパス路
Claims (5)
- 両端が浴槽に接続され、一端から流入した該浴槽の水を他端から該浴槽に注入する循環路と、該循環路に設けられ、該循環路を流れる水を濾過する濾過手段と、前記循環路を流れる水を加熱する加熱手段と、前記浴槽を経由させずに前記循環路内の水を循環させるバイパス路と、該バイパス路を経由して前記循環路を循環する湯を、前記加熱手段によって熱殺菌に必要な最低温度以上に加熱し、前記濾過手段内に流すことによって、前記濾過手段の熱殺菌処理を行う制御手段とを備えた浴槽水濾過装置において、
該制御手段は、該熱殺菌処理時に、前記湯が前記浴槽に注入されると浴槽水温が設定温度又はその近傍に昇温するのに必要な所定温度まで前記湯を加熱し、加熱された前記湯を、熱殺菌に必要な所定時間経過後に前記浴槽に注入し、
前記制御手段は、前記湯が前記最低温度に達したときから前記所定時間を計測することを特徴とする浴槽水濾過装置。 - 請求項1において、
前記所定時間は、前記湯が前記最低温度から前記所定温度まで昇温するまでの第二の時間と前記所定温度に達してからの第三の時間の和であって、該第三の時間は、一回の熱殺菌処理に必要な熱殺菌量と第二の時間に行われる熱殺菌処理の熱殺菌量との差分に基づいて設定され、前記湯が前記所定温度で一定のとき熱殺菌に必要な第一の時間より短いことを特徴とする浴槽水濾過装置。 - 請求項1において、
前記湯が前記所定温度まで加熱される前に、前記所定時間が経過するとき、前記制御手段は、前記湯が所定温度に加熱されてから、前記湯を前記浴槽に注入することを特徴とする浴槽水濾過装置。 - 請求項1乃至3のいずれかにおいて、
前記制御手段は、前記所定温度が前記最低温度より低いとき、前記熱殺菌処理を待機し、前記所定温度が前記最低温度以上になったとき、前記熱殺菌処理を行うことを特徴とする浴槽水濾過装置。 - 請求項1乃至3のいずれかにおいて、
前記制御手段は、前記所定温度が前記最低温度より低いとき、前記熱殺菌処理を行わないことを特徴とする浴槽水濾過装置。
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