JP3813323B2 - 浴槽水濾過装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、浴槽内の水を循環させて浄化する浴槽水濾過装置に関し、特に、この装置に設けられた濾過槽に所定温度以上の湯を流して、濾過槽を熱殺菌することができる手段を備えた浴槽水濾過装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来から、浴槽内の水(以下浴槽水という)を循環させて濾過する浴槽水濾過装置が存在する。浴槽水は、浴槽水濾過装置の循環路に導かれ、その循環路に設けられた濾過槽を通過し、濾過槽によって浄化された後、浴槽内に戻される。
【0003】
この濾過槽は、例えば、浴槽水と共に循環する髪の毛やゴミなどを捕獲するフィルタや、湯の中に含まれる人の汗や脂肪、その他アンモニアなどの有機物を吸着するための活性炭などの濾過材を備えている。
【0004】
このように、循環路を循環する浴槽水は、循環路に設けられた濾過槽を通ることによって浄化されて再度浴槽に戻されるので、浴槽内での雑菌の繁殖及び雑菌の繁殖による浴槽への水垢の付着などが防止され、浴槽内を衛生的に維持することができる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
一方、濾過槽には、それによって捕獲、吸着されたゴミ、有機物が付着しているため、そこに雑菌が繁殖しやすい。雑菌の中には、レジオネラ属菌のような人体に悪影響のある悪性菌が存在するので、濾過槽を定期的に殺菌処理し、衛生的に維持する必要がある。そして、濾過槽の殺菌処理には、一般的に、塩素などの薬剤による殺菌処理、又は高温の湯による熱殺菌処理が行われる。
【0006】
薬剤による殺菌処理を行うには、塩素などの薬剤の取り扱いに専門的な知識が必要となる上、薬剤の費用がかかるので、メンテナンスが面倒である。
【0007】
一方、熱殺菌処理は、浴槽水濾過装置の循環路に接続された外付けの温水発生手段から循環路に供給される上記所定温度以上の高温の湯を濾過槽に通すことによって行われる。従って、上記薬剤による殺菌処理と比較してメンテナンスが容易である。
【0008】
このとき、従来において、この熱殺菌に用いた高温の湯は、熱殺菌が行われた後、排水されていた。しかしながら、この高温の湯は、殺菌処理に用いられた湯であるので、湯内には、雑菌は繁殖しておらず、本来衛生的な湯である。
【0009】
従って、殺菌に利用した湯を排水することは、省エネルギー及び節水の観点から好ましくなく、また、浴槽水濾過装置の目的である省エネルギー及び節水という趣旨にも反する。
【0010】
そこで、本発明の目的は、熱殺菌に利用した湯を浴槽の湯に再利用することができる浴槽水濾過装置を提供することにある。
【0011】
上記目的を達成するための本発明の第一の構成は、両端が浴槽に接続され、一端から流入した該浴槽の水を他端から該浴槽に注入する循環路と、該循環路に設けられ、該循環路を流れる該浴槽の水を濾過する濾過手段と、高温の湯を生成する温水生成手段と、前記濾過手段より上流側の前記循環路と該温水生成手段とを接続し、該温水生成手段からの湯を前記循環路に供給する温水供給路とを備え、該温水生成手段から供給される湯が該濾過手段を流れることによって、該濾過手段の熱殺菌が行われる浴槽水濾過装置において、
前記温水生成手段から所定温度の湯が供給されるとき、該湯を前記浴槽に注入して浴槽水温を設定温度又はその近傍に昇温するのに必要な注入量の該湯を、前記濾過手段に流し、さらに、前記濾過手段通過後に前記浴槽に注入する制御手段を有し、
温水生成手段から供給される湯量を調節する水量調節弁が設けられ、前記制御手段は、前記注入量の湯を所定の熱殺菌時間をかけて前記温水生成手段から供給するように、該水量調節弁の開度を調節することを特徴とする浴槽水濾過装置である。
【0012】
本構成により、熱殺菌に用いられた湯が排水されることなく、浴槽に注入され、さらに、浴槽水温を設定温度近傍に昇温することが可能となる。
【0014】
上記目的を達成するための本発明の第二の構成は、両端が浴槽に接続され、一端から流入した該浴槽の水を他端から該浴槽に注入する循環路と、該循環路に設けられ、該循環路を流れる該浴槽の水を濾過する濾過手段と、高温の湯を生成する温水生成手段と、前記濾過手段より上流側の前記循環路と該温水生成手段とを接続し、該温水生成手段からの湯を前記循環路に供給する温水供給路とを備え、該温水生成手段から供給される湯が該濾過手段を流れることによって、該濾過手段の熱殺菌が行われる浴槽水濾過装置において、
前記温水生成手段から所定温度の湯が供給されるとき、該湯を前記浴槽に注入して浴槽水温を設定温度又はその近傍に昇温するのに必要な注入量の該湯を、前記濾過手段に流し、さらに、前記濾過手段通過後に前記浴槽に注入する制御手段を有し、
前記制御手段は、前記注入量が熱殺菌に必要な所定量より小さいとき、濾過手段を前記湯に暴露するのに十分な湯量を確保できないので、前記温水生成手段からの湯の供給を待機し、前記注入量が前記所定量以上になったとき、前記湯の供給を行うことを特徴とする浴槽水濾過装置である
【0015】
上記目的を達成するための本発明の第三の構成は、両端が浴槽に接続され、一端から流入した該浴槽の水を他端から該浴槽に注入する循環路と、該循環路に設けられ、該循環路を流れる該浴槽の水を濾過する濾過手段と、高温の湯を生成する温水生成手段と、前記濾過手段より上流側の前記循環路と該温水生成手段とを接続し、該温水生成手段からの湯を前記循環路に供給する温水供給路とを備え、該温水生成手段から供給される湯が該濾過手段を流れることによって、該濾過手段の熱殺菌が行われる浴槽水濾過装置において、
前記温水生成手段から所定温度の湯が供給されるとき、該湯を前記浴槽に注入して浴槽水温を設定温度又はその近傍に昇温するのに必要な注入量の該湯を、前記濾過手段に流し、さらに、前記濾過手段通過後に前記浴槽に注入する制御手段を有し、
前記制御手段は、前記注入量が熱殺菌に必要な所定湯量より小さいとき、濾過手段を前記湯に暴露するのに十分な湯量を確保できないとして、前記温水生成手段からの湯の供給を行わないことを特徴とする浴槽水濾過装置である
【0016】
さらに、上記目的を達成するための本発明の第の構成は、両端が浴槽に接続され、一端から流入した該浴槽の水を他端から該浴槽に注入する循環路と、該循環路に設けられ、該循環路を流れる該浴槽の水を濾過する濾過手段と、高温の湯を生成する温水生成手段と、前記濾過手段より上流側の前記循環路と該温水生成手段とを接続し、該温水生成手段からの湯を前記循環路に供給する温水供給路とを備え、該温水生成手段から供給される第一の温度以上の湯が該濾過手段を流れることによって、該濾過手段の熱殺菌が行われる浴槽水濾過装置において、
前記温水生成手段から所定量の湯が供給されるとき、該湯を前記浴槽に注入して浴槽水温を設定温度又はその近傍に昇温するのに必要な温度の該湯を、前記濾過手段に流し、さらに、前記濾過手段通過後に前記浴槽に注入する制御手段を有し、
温水生成手段から供給される湯量を調節する水量調節弁が設けられ、前記制御手段は、前記温度の湯を所定の熱殺菌時間をかけて前記温水生成手段から供給するように、該水量調節弁の開度を調節することを特徴とする浴槽水濾過装置。
【0017】
本構成により、熱殺菌に用いられた湯が排水されることなく、浴槽に注入され、さらに、浴槽水温を設定温度近傍に昇温することが可能となる。
【0019】
上記目的を達成するための本発明の第五の構成は、両端が浴槽に接続され、一端から流入した該浴槽の水を他端から該浴槽に注入する循環路と、該循環路に設けられ、該循環路を流れる該浴槽の水を濾過する濾過手段と、高温の湯を生成する温水生成手段と、前記濾過手段より上流側の前記循環路と該温水生成手段とを接続し、該温水生成手段からの湯を前記循環路に供給する温水供給路とを備え、該温水生成手段から供給される第一の温度以上の湯が該濾過手段を流れることによって、該濾過手段の熱殺菌が行われる浴槽水濾過装置において、
前記温水生成手段から所定量の湯が供給されるとき、該湯を前記浴槽に注入して浴槽水温を設定温度又はその近傍に昇温するのに必要な温度の該湯を、前記濾過手段に流し、さらに、前記濾過手段通過後に前記浴槽に注入する制御手段を有し、
前記制御手段は、前記温度が熱殺菌に必要な所定温度より低いとき、濾過手段を熱殺菌に必要な温度に暴露できないので、前記温水生成手段からの湯の供給を待機し、前記温度が前記所定温度以上になったとき、前記湯の供給を行うことを特徴とする浴槽水濾過装置である
【0020】
上記目的を達成するための本発明の第六の目的は、両端が浴槽に接続され、一端から流入した該浴槽の水を他端から該浴槽に注入する循環路と、該循環路に設けられ、該循環路を流れる該浴槽の水を濾過する濾過手段と、高温の湯を生成する温水生成手段と、前記濾過手段より上流側の前記循環路と該温水生成手段とを接続し、該温水生成手段からの湯を前記循環路に供給する温水供給路とを備え、該温水生成手段から供給される第一の温度以上の湯が該濾過手段を流れることによって、該濾過手段の熱殺菌が行われる浴槽水濾過装置において、
前記温水生成手段から所定量の湯が供給されるとき、該湯を前記浴槽に注入して浴槽水温を設定温度又はその近傍に昇温するのに必要な温度の該湯を、前記濾過手段に流し、さらに、前記濾過手段通過後に前記浴槽に注入する制御手段を有し、
前記制御手段は、前記温度が熱殺菌に必要な所定温度より低いとき、濾過手段を熱殺菌に必要な温度に暴露できないので、前記温水生成手段からの湯の供給を行わないことを特徴とする浴槽水濾過装置である
【0021】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について図面に従って説明する。しかしながら、本発明の技術的範囲がこの実施の形態に限定されるものではない。
【0022】
図1は、本発明の第一の実施の形態である浴槽水濾過装置の構成図である。図1によれば、浴槽10には、この浴槽水が循環する循環路20の両端が接続されており、循環路20の一端20aから引き込まれた浴槽水は、循環路20に設けられたポンプ21によって矢印A方向に循環路20内を流れ、循環路20の他端20bから再度浴槽10に注入される。そして、ポンプ21より下流側の循環路20には、循環する水を濾過する濾過槽22及び濾過槽22から流れ出る水の温度を検出する温度センサ23が設けられている。
【0023】
さらに、ポンプ21より下流側であって、濾過槽22より上流側の循環路20には、循環方向Aへ順に、三方弁K及び四方弁Mが設けられ、さらに、温度センサ23より下流側の循環路20には、四方弁Yが設けられている。
【0024】
また、本実施の形態の浴槽水濾過装置は、例えばマイクロコンピュータのような図示されない制御手段を備え、以下に説明する濾過運転及び熱殺菌処理は、この制御手段の制御のもとで行われる。
【0025】
浴槽水濾過装置の通常の濾過運転により、浴槽水が濾過されるとき、ポンプ21を通過した水は、三方弁Kの出入口1から出入口2へ流れ、さらに、四方弁Mの出入口1から出入口2を通って、濾過槽22内を流れる。濾過槽22を流れる湯は、濾過槽22内の濾過材によって、ゴミや有機物が除去され、浄化された湯として濾過槽22から流出する。
【0026】
さらに、濾過槽22を通り浄化された湯は、三方弁Yの出入口1から出入口2を通って、浴槽10に戻される。
【0027】
また、本実施の形態における浴槽水濾過装置は、上述のように浴槽水が濾過槽22を流れることによって濾過槽22に付着するゴミなどを洗い流し、排出するための逆洗浄回路30を備えている。この逆洗浄回路30を用いて濾過槽22を洗浄する場合、まず、四方弁Mにおける流路が出入口1から出入口4の方向へ設定され、循環路20を流れる湯は逆洗浄回路30に導かれる。そして、逆洗浄回路30を矢印B方向に流れる湯は、三方弁Yの出入口4から出入口1へ流れ、濾過槽22へ矢印C方向に流入する。そして、濾過槽22内を浴槽水を浄化するための通常の循環方向(矢印D)と反対方向(矢印C)に湯が流れることによって、濾過槽22に付着したゴミなどが洗浄され、さらに、濾過槽22から矢印C方向に流れ出る。このとき、四方弁Mの流路は、四方弁Mの出入口2から出入口3の方向に設定され、濾過槽22から流れ出た湯は、四方弁Mの出入口2から出入口3を通って、排水される。
【0028】
このような、濾過槽22内に反対方向(矢印C)の水を流して濾過槽22を洗浄する逆洗によって、濾過槽22に付着したゴミや有機物のほとんどは除去されるが、濾過槽22に繁殖した悪性菌は除去されない。従って、本実施の形態における浴槽水濾過装置は、さらに、これらの悪性菌を熱殺菌するための高温の湯を濾過槽22に供給するための温水生成手段である温水熱源機40が外付けで設けられている。温水熱源器40は例えば給湯器である。
【0029】
温水熱源機40によって生成された所定温度(例えば65度)以上の湯(以下殺菌湯という)は、開閉弁Vが設けられた温水供給路41を通って循環路20に供給される。温水供給路41は、三方弁Kの出入口3に接続されており、温水供給路41内に流れ込んだ湯は、三方弁の出入口3から出入口2を通って循環路20内に供給される。三方弁Kの出入口2から流出する殺菌湯は、四方弁Mの出入口1から出入口2を通って、濾過槽22内を流れる。そして、所定の熱殺菌時間(湯温が65度以上の場合、例えば10分以上)の間、温水熱源機40から殺菌湯が供給され続け、殺菌湯に濾過槽22を暴露することによって、濾過槽22の殺菌が行われる。また、温水熱源機40から供給される湯量は、例えばギアモータで構成される水量調節弁42によって調節可能である。
【0030】
ここで、従来において、熱殺菌処理時に、四方弁Yの流路が出入口1から出入口3の方向に設定されていたため、濾過槽22から流出した殺菌湯は、排水路31を通って、排水されていた。しかしながら、濾過槽22内を流れた殺菌湯は、上述したように、本来衛生上問題のない湯であるゆえ排水することは、省エネルギー及び節水の観点から好ましくない。
【0031】
従って、本発明の実施の形態においては、熱殺菌処理時おいて、四方弁Yの流路が、通常の濾過運転と同じである出入口1から出入口2の方向に設定され、濾過槽22の殺菌に用いられた殺菌湯は、排水されずに浴槽10に注入される。これによって、殺菌湯を浴槽水として再利用することが可能となり、節水が達成される。そして、浴槽10には、新たな湯が供給されるため、足し湯をする必要がなくなり、使用者の負荷(手動による注湯)を低減することができる。また、一般的な浴槽水の設定温度(40度付近)より高い温度の湯が供給されるため、保温のためのエネルギーが節約され、省エネルギーにも貢献する。
【0032】
また、本発明の実施の形態においては、排水路31を通して殺菌湯は排水されないので、浴槽水濾過装置の四方弁Yに代わって、四方弁Yにおける出入口3を有さず、出入口1、2及び4を備えている三方弁が用いられてもよい。
【0033】
そして、本発明の実施の形態においては、温水熱源機40から供給される殺菌湯の湯量(以下、殺菌湯量という)は、浴槽10の水温(以下、浴槽水温という)及び浴槽10の水量(以下、浴槽水量という)に基づいて調節される。さらに具体的には、熱殺菌処理時において、温水熱源機40から供給される湯の温度を熱殺菌に必要な温度(例えば65度)又はそれ以上に固定し、浴槽水温が設定温度又はその近傍になるような殺菌湯量が、温水熱源機40から供給され、濾過槽22を通過した後、浴槽10に注入される。但し、その殺菌湯量は、後に詳述するように、濾過槽22内の湯温を熱殺菌温度(例えば65度)未満に低下させない程度の流量で、最低熱殺菌時間(例えば10分間)流したときに最低限必要な湯量(Qmin )以上であることが必要である。
【0034】
図2は、温水熱源機40から供給される殺菌湯の温度が、あらかじめ固定された温度である65度のときの浴槽水温及び浴槽水量と殺菌湯量との関係を示す図である。図2の横軸は、熱殺菌処理が行われる前の浴槽水温である。また、縦軸は、浴槽水温を設定温度(図2においては44度)にするのに必要な熱殺菌湯量である。
【0035】
例えば、図2の点Pに示すように、熱殺菌処理前の浴槽水温(横軸)が36度、浴槽水量が100リットルであるとき、図から、浴槽水温を設定温度にするのに必要な熱殺菌湯量は約38リットルとなる。従って、熱殺菌処理が行われるとき、所定の熱殺菌時間をかけて、求められた熱殺菌湯量が供給されるように、水量調節弁42の開度が調節され、温水熱源機40から図から求められた湯量(ここでは38リットル)が供給される。例えば、熱殺菌温度が65度のときの熱殺菌時間が10分であるとき、水量調節弁42の開度は、3.8リットル/分に設定される。そして、熱殺菌湯は、上述同様に温水供給路41、濾過漕22を通って浴槽10に注入される。これによって、浴槽水温は設定温度まで上昇する。即ち、熱殺菌と同時に、浴槽10の昇温処理も行うことができる。
【0036】
図3は、本発明の実施の形態における熱殺菌処理のフローチャートである。図3を参照しながら、上記実施の形態をさらに詳しく説明する。図3によれば、ステップS1において通常の濾過運転が行われているとき、ステップS2に示すように、熱殺菌を指示する熱殺菌信号をマイクロコンピュータなどの制御手段が受信することよって熱殺菌が開始される。熱殺菌信号は、例えば使用者が図示されないリモコンなどを操作することによって発信される。また、制御手段が有する時計機能により所定時刻毎に自動的に熱殺菌信号が出され、熱殺菌処理が行われるようにしてもよい。
【0037】
ステップS2において、制御手段であるマイクロコンピュータが熱殺菌信号を受信すると、ステップS3において、マイクロコンピュータは、浴槽水温、浴槽水量と浴槽水温の設定温度から熱殺菌湯量を求める。具体的には、例えば、上記図2に示したグラフが、設定温度毎にマイクロコンピュータのROMのようなメモリに格納されている。そして、検出される浴槽水温及び浴槽水量から熱殺菌湯量が読み出される。
【0038】
このとき、浴槽水温は、循環路20を流れる水温と同じであるので、温度センサ23によって検出することができる。また、浴槽水量は、例えば、図1に図示されない浴槽水位センサによって検出された水位と、あらかじめ求められている浴槽の底面積を掛け合わせることによって求めることができる。また、設定温度は、リモコンなどにより設定される。
【0039】
また、マイクロコンピュータは、演算によっても熱殺菌湯量を求めることもできる。即ち、次の(1)式に示す熱量の関係式から熱殺菌湯量Qk を求める(2)式が得られる。
Qk ×Tk +QB ×TB =(Qk +QB )×Ts ・・・(1)
Qk =QB ×(Ts −TB )/(Tk −Ts ) ・・・(2)
ここで、QB は浴槽水量、TB は浴槽水温、Ts は設定温度、Tk は熱殺菌温度(あらかじめ定められた温度であって、例えば65度)である。そして、上記(2)式が上記メモリに記憶され、熱殺菌湯量Qk は、マイクロコンピュータのCPUの演算によって求められる。
【0040】
そして、ステップS4において、求められた湯量Qk が、濾過漕23を殺菌するのに最低限必要な湯量Qmin 以上であるか否かが判断される。最低湯量Qmin は、前述したとおり、熱殺菌湯量Qk の湯を熱殺菌時間をかけて濾過槽22に流したとき、濾過槽22を熱殺菌湯に熱殺菌時間の間暴露することができる最低限の湯量である。
【0041】
例えば、浴槽水温が設定温度近くまで沸き上がっている場合は、図2から明らかなように熱殺菌湯量Qk は少ない湯量となる。かかる湯量Qk では、熱殺菌時間の間に流れる単位時間当たりの流量は非常に小さくなり、濾過槽22を熱殺菌湯に十分浸すことができず、熱殺菌処理が不十分になるおそれがある。従って、最低湯量Qmin 以上か否かの判断が行われる。
【0042】
さらに、上記図2又は上記(2)式において、浴槽水温が設定温度まで沸かし上がっているときは、熱殺菌湯を浴槽10に注入すると、浴槽水温が設定温度を超えてしまうので、熱殺菌湯量Qk はゼロとなる。
【0043】
従って、ステップS4において、ステップS3で求められた熱殺菌湯量Qk が、所定の最低湯量Qmin より小さい場合、ステップS5に進み、熱殺菌処理は待機状態になる。そして、ステップS3において求められる熱殺菌湯量Qk が最低湯量Qmin を超えるまで熱殺菌処理は待機される。
【0044】
ステップS4において、熱殺菌湯量Qk が最低湯量Qmin を超えると、ステップS6において、上記図1における各弁が切り替えられる。具体的には、三方弁Kにおける流路が出入口3から出入口2の方向に設定され、温水供給路41の開閉弁Vが開けられる。また、水量調節弁42の開度は、求められた熱殺菌湯量Qk が熱殺菌時間をかけて温水熱源機40から供給されるように設定される。即ち、水量調節弁42の開度は、熱殺菌湯量Qk /熱殺菌時間(リットル/分)に設定される。
【0045】
そして、温水熱源機40から所定の熱殺菌温度Tk の殺菌湯が温水供給路41を通って循環路20に供給される。こうして、温度センサ23が、熱殺菌温度Tk を検知すると(ステップS7)、濾過槽22を殺菌湯に暴露する所定時間を計測するために、マイクロコンピュータに内蔵されるタイマーがスタートする(ステップS8)。
【0046】
そして、所定の熱殺菌時間(熱殺菌温度Tk が65度以上のとき、例えば10分間)の間、濾過槽22は殺菌湯に暴露され、熱殺菌処理が行われる。ステップS9において、所定の熱殺菌時間が経過すると、濾過槽22の殺菌は終了し、上記ステップS6において切り替えられた各弁は、熱殺菌が行われる前の状態に戻される(ステップS10)。即ち、三方弁Kの流路は、出入口1から出入口2の方向に設定され、温水供給路41の開閉弁Vは閉じられる。こうして、再度通常の濾過運転状態に戻る。
【0047】
上記本発明の実施の形態においては、浴槽水温が設定温度になるような熱殺菌湯量Qk が求められた。しかしながら、その場合、上述のように、浴槽水温がすでに設定温度又はその近くまで達している場合は、浴槽水温が低下するまで、熱殺菌処理が待機されることとなる(上記図3のステップS5)。従って、熱殺菌信号が出されてからできるだけ速やかに熱殺菌処理を行うために、熱殺菌湯を浴槽に注入したときの浴槽水温が設定温度より高くなるように熱殺菌湯量Qk を求めてもよい。このときの浴槽水温は、例えば設定温度+2度程度であり、設定温度の湯に対して、人が入浴したときにあまり違和感のない範囲に設定される。これによって、浴槽水温が設定温度まで沸き上がっている状態であっても、熱殺菌処理を行うことが可能である。
【0048】
[変形例]
また、本発明の実施の形態においては、熱殺菌湯量Qk を上記最低湯量Qmin 又はそれ以上の所定量に固定し、浴槽水温が設定温度になるような熱殺菌温度Tk を求めてもよい。上記(1)式から熱殺菌温度Tk を求める次の(3)式が得られる。
Tk =Ts +(Ts −TB )×QB /Qk ・・・(3)
または、マイクロコンピュータは、図2に類似した熱殺菌温度Tk のグラフを所定湯量ごとにメモリに記憶してもよい。このグラフの例を図4に示す。図4は、浴槽水量が170リットルのときに、温水熱源機40から30リットルの湯が供給される場合の浴槽水温と熱殺菌温度(高温殺菌温度)との関係を示す図である。図4の横軸は、熱殺菌処理が行われる前の浴槽水温である。また、縦軸は、浴槽水温を設定温度(図4においては44度)にするのに必要な熱殺菌温度Tk である。
【0049】
例えば、図4によれば、図4の点Rに示すように、熱殺菌処理前の浴槽水温(横軸)が40度のとき、図から、浴槽水温を設定温度(例えば44度)にするのに必要な熱殺菌温度Tk は67度として求められる。
【0050】
そして、熱殺菌温度Tk を求められると(図3のステップS3カッコ書き)、求められた温度Tk が熱殺菌を行うのに必要な最低限の温度Tmin か否かが判断される(図3のステップ4カッコ書き)。一般に、熱殺菌を行うには、約60度以上の湯に濾過漕22を暴露する必要がある。従って、最低温度Tmin は例えば60度である。そして、熱殺菌温度Tk が最低温度Tmin より低いときは、上記図3のフローチャートのステップS5と同様に熱殺菌処理を待機する。ここで、温水熱源機40は、上記最低温度Tmin 以上の任意の温度の湯を生成することができるものとする。
【0051】
また、ステップS9における熱殺菌時間は、熱殺菌温度Tk によって異なる。一般に、熱殺菌温度Tk が高いほど、熱殺菌時間は短くてよい。従って、ステップS6における弁切り替えにおいて、水量調節弁42の開度は、固定された熱殺菌湯量Qk が求められた熱殺菌温度Tk に対応する熱殺菌時間をかけて温水熱源機40から供給されるように設定される。即ち、水量調節弁42の開度は、熱殺菌湯量Qk /熱殺菌時間(リットル/分)に設定される。
【0052】
また、上記本発明の実施の形態において、図3のフローチャートのステップS5のような熱殺菌処理の待機状態を避けるため、例えば上記最低湯量Qmin 及び上記最低温度Tmin の湯による熱殺菌処理を行い、その湯を浴槽10に注入する。その後、浴槽水温が設定温度になるように、例えば冷水が浴槽10に供給されてもよい。
【0053】
また、図3のフローチャートのステップS5のような待機状態を設けず、求められた熱殺菌湯量Qk 及び熱殺菌温度Tk がそれぞれ最低湯量Qmin 及び最低温度Tmin より小さいときは、熱殺菌処理を行わないようにしてもよい。
【0054】
図5は、本発明の別の実施の形態のフローチャートである。図5のフローチャートは、図3のステップS5に代わって、ステップS15が設けられる。図5のステップS15は、ステップS4において、熱殺菌湯量Qk 及び熱殺菌温度Tk がそれぞれ最低湯量Qmin 及び最低温度Tmin より小さいときは、熱殺菌信号がクリアされる。従って、熱殺菌処理が行われない。
【0055】
【発明の効果】
本発明によれば、浴槽水濾過装置に設けられた濾過槽が熱殺菌されるとき、熱殺菌に用いられた湯(熱殺菌湯)が排水されずに浴槽に注入される。従って、熱殺菌湯が無駄にされず、浴槽水として再利用され、節水及び省エネルギーを達成することができる。
【0056】
また、熱殺菌湯量及び熱殺菌温度が可変であるので、浴槽水温を任意の温度(例えば設定温度)になるように熱殺菌湯量及び熱殺菌温度に設定することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態の浴槽水濾過装置の構成図である。
【図2】浴槽の水温及び水量と殺菌湯量との関係を示す図である。
【図3】本発明の実施の形態のフローチャートである。
【図4】浴槽水温と高温殺菌温度との関係を示す図である。
【図5】本発明の別の実施の形態のフローチャートである。
【符号の説明】
10 浴槽
20 循環路
21 循環ポンプ
22 濾過槽
23 温度センサ
40 温水熱源機
41 温水供給路
42 水量調節弁

Claims (6)

  1. 両端が浴槽に接続され、一端から流入した該浴槽の水を他端から該浴槽に注入する循環路と、該循環路に設けられ、該循環路を流れる該浴槽の水を濾過する濾過手段と、高温の湯を生成する温水生成手段と、前記濾過手段より上流側の前記循環路と該温水生成手段とを接続し、該温水生成手段からの湯を前記循環路に供給する温水供給路とを備え、該温水生成手段から供給される湯が該濾過手段を流れることによって、該濾過手段の熱殺菌が行われる浴槽水濾過装置において、
    前記温水生成手段から所定温度の湯が供給されるとき、該湯を前記浴槽に注入して浴槽水温を設定温度又はその近傍に昇温するのに必要な注入量の該湯を、前記濾過手段に流し、さらに、前記濾過手段通過後に前記浴槽に注入する制御手段を有し、
    温水生成手段から供給される湯量を調節する水量調節弁が設けられ、前記制御手段は、前記注入量の湯を所定の熱殺菌時間をかけて前記温水生成手段から供給するように、該水量調節弁の開度を調節することを特徴とする浴槽水濾過装置。
  2. 両端が浴槽に接続され、一端から流入した該浴槽の水を他端から該浴槽に注入する循環路と、該循環路に設けられ、該循環路を流れる該浴槽の水を濾過する濾過手段と、高温の湯を生成する温水生成手段と、前記濾過手段より上流側の前記循環路と該温水生成手段とを接続し、該温水生成手段からの湯を前記循環路に供給する温水供給路とを備え、該温水生成手段から供給される湯が該濾過手段を流れることによって、該濾過手段の熱殺菌が行われる浴槽水濾過装置において、
    前記温水生成手段から所定温度の湯が供給されるとき、該湯を前記浴槽に注入して浴槽水温を設定温度又はその近傍に昇温するのに必要な注入量の該湯を、前記濾過手段に流し、さらに、前記濾過手段通過後に前記浴槽に注入する制御手段を有し、
    前記制御手段は、前記注入量が熱殺菌に必要な所定量より小さいとき、前記温水生成手段からの湯の供給を待機し、前記注入量が前記所定量以上になったとき、前記湯の供給を行うことを特徴とする浴槽水濾過装置。
  3. 両端が浴槽に接続され、一端から流入した該浴槽の水を他端から該浴槽に注入する循環路と、該循環路に設けられ、該循環路を流れる該浴槽の水を濾過する濾過手段と、高温の湯を生成する温水生成手段と、前記濾過手段より上流側の前記循環路と該温水生成手段とを接続し、該温水生成手段からの湯を前記循環路に供給する温水供給路とを備え、該温水生成手段から供給される湯が該濾過手段を流れることによって、該濾過手段の熱殺菌が行われる浴槽水濾過装置において、
    前記温水生成手段から所定温度の湯が供給されるとき、該湯を前記浴槽に注入して浴槽水温を設定温度又はその近傍に昇温するのに必要な注入量の該湯を、前記濾過手段に流し、さらに、前記濾過手段通過後に前記浴槽に注入する制御手段を有し、
    前記制御手段は、前記注入量が熱殺菌に必要な所定湯量より小さいとき、前記温水生成手段からの湯の供給を行わないことを特徴とする浴槽水濾過装置。
  4. 両端が浴槽に接続され、一端から流入した該浴槽の水を他端から該浴槽に注入する循環路と、該循環路に設けられ、該循環路を流れる該浴槽の水を濾過する濾過手段と、高温の湯を生成する温水生成手段と、前記濾過手段より上流側の前記循環路と該温水生成手段とを接続し、該温水生成手段からの湯を前記循環路に供給する温水供給路とを備え、該温水生成手段から供給される第一の温度以上の湯が該濾過手段を流れることによって、該濾過手段の熱殺菌が行われる浴槽水濾過装置において、
    前記温水生成手段から所定量の湯が供給されるとき、該湯を前記浴槽に注入して浴槽水温を設定温度又はその近傍に昇温するのに必要な温度の該湯を、前記濾過手段に流し、さらに、前記濾過手段通過後に前記浴槽に注入する制御手段を有し、
    温水生成手段から供給される湯量を調節する水量調節弁が設けられ、前記制御手段は、前記温度の湯を所定の熱殺菌時間をかけて前記温水生成手段から供給するように、該水量調節弁の開度を調節することを特徴とする浴槽水濾過装置。
  5. 両端が浴槽に接続され、一端から流入した該浴槽の水を他端から該浴槽に注入する循環路と、該循環路に設けられ、該循環路を流れる該浴槽の水を濾過する濾過手段と、高温の湯を生成する温水生成手段と、前記濾過手段より上流側の前記循環路と該温水生成手段とを接続し、該温水生成手段からの湯を前記循環路に供給する温水供給路とを備え、該温水生成手段から供給される第一の温度以上の湯が該濾過手段を流れることによって、該濾過手段の熱殺菌が行われる浴槽水濾過装置において、
    前記温水生成手段から所定量の湯が供給されるとき、該湯を前記浴槽に注入して浴槽水温を設定温度又はその近傍に昇温するのに必要な温度の該湯を、前記濾過手段に流し、さらに、前記濾過手段通過後に前記浴槽に注入する制御手段を有し、
    前記制御手段は、前記温度が熱殺菌に必要な所定温度より低いとき、前記温水生成手段からの湯の供給を待機し、前記温度が前記所定温度以上になったとき、前記湯の供給を行うことを特徴とする浴槽水濾過装置。
  6. 両端が浴槽に接続され、一端から流入した該浴槽の水を他端から該浴槽に注入する循環路と、該循環路に設けられ、該循環路を流れる該浴槽の水を濾過する濾過手段と、高温の湯を生成する温水生成手段と、前記濾過手段より上流側の前記循環路と該温水生成手段とを接続し、該温水生成手段からの湯を前記循環路に供給する温水供給路とを備え、該温水生成手段から供給される第一の温度以上の湯が該濾過手段を流れることによって、該濾過手段の熱殺菌が行われる浴槽水濾過装置において、
    前記温水生成手段から所定量の湯が供給されるとき、該湯を前記浴槽に注入して浴槽水温を設定温度又はその近傍に昇温するのに必要な温度の該湯を、前記濾過手段に流し、さらに、前記濾過手段通過後に前記浴槽に注入する制御手段を有し、
    前記制御手段は、前記温度が熱殺菌に必要な所定温度より低いとき、前記温水生成手段からの湯の供給を行わないことを特徴とする浴槽水濾過装置。
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