JP3818168B2 - 車両用電子キー装置および回転拘束装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、乗員が携帯する電子キーと車載装置との間で無線通信を行い、IDを照合してドアの施解錠やエンジンの始動を行う車両用電子キー装置に関し、特に電子キーおよびイグニッションノブロックユニットのIDを照合するID照合装置と、エンジン始動時に操作されるイグニッションノブの回動操作を禁止するイグニッションノブロック装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
車両に備えられた車載装置と、乗員が携帯する電子キーとの間で無線通信を行ってIDを照合し、照合結果に基づいて車両ドアの施解錠やエンジン始動を行う車両用電子キー装置が知られている(例えば、特開平2001−349117号公報)。この車両用電子キー装置では、防盗性の向上のため、乗員によるイグニッションノブ操作を検出すると、車載装置に含まれるID照合装置と電子キーとの間でID照合を行い、正規の電子キーであると判定されると、さらにID照合装置とイグニッションノブロックユニットとの間でID照合を行った後にイグニッションノブの回動を許可するようにしている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、従来の車両用電子キー装置では、工場などにおいて、上述したID照合装置やイグニッションノブロックユニットの組み付け時に、電子キーとID照合装置、および、イグニッションノブロックユニットとID照合装置との間のIDが登録されていない状態が存在するために、その後の組立・検査工程が制約されるという不都合があった。すなわち、ID照合装置と電子キーとの間のID照合、およびID照合装置とイグニッションノブロックユニットとの間でのID照合が一致しなければイグニッションノブの回動を許可しない構成となっているので、IDの登録処理が完了するまでは、イグニッションノブをON位置まで回動することができず、イグニッションノブをON位置まで回動しなければ成立しない組立・検査工程を行うことができなかった。
【0004】
本発明の目的は、回転拘束装置との間のIDが未登録でも回転操作装置を回転操作することができる回転拘束装置および回転拘束装置を備えた車両用電子キー装置を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
一実施の形態を示す図1〜図3を参照して本発明を説明する。
(1)請求項1の発明は、回転操作により車両を起動させる回転操作装置30と、回転操作装置30の回転操作を拘束する回転拘束装置16と、少なくとも車両のドアの施解錠を行う携帯機20との間のID照合および回転拘束装置16との間のID照合を行うID照合装置11,16とを備え、回転拘束装置16は、ID照合装置11,16との間のIDが登録されるまでは、回転操作装置30の回転操作を拘束しないことにより、上記目的を達成する。
(2)請求項2の発明は、請求項1の車両用電子キー装置において、ID照合装置11,16は、携帯機20のIDが登録されるまでは、回転拘束装置16のID登録を行わないことを特徴とする。
(3)請求項3の発明は、請求項2の車両用電子キー装置において、ID照合装置11,16は、携帯機20のIDおよび回転拘束装置16のIDが未登録の場合に携帯機20のIDを登録すると、携帯機20との間のID照合を行うことなく回転拘束装置16のID登録を行うことを特徴とする。
(4)請求項4の発明は、請求項2または3の車両用電子キー装置において、ID照合装置11,16は、携帯機20のIDおよび回転拘束装置16のIDが登録されている場合に回転拘束装置16のIDを再登録する場合には、携帯機20のID照合を行ってから回転拘束装置16のID登録を行うことを特徴とする。
(5)請求項5の発明は、回転操作により車両を起動させる回転操作装置30の回転操作を拘束する回転拘束装置において、車両に搭載されるID照合装置11,16との間で回転拘束装置16のID登録が行われた後は、少なくとも車両のドアの施解錠を行う携帯機20とID照合装置11,16との間のID照合結果および回転拘束装置16とID照合装置11,16との間のID照合結果に基づいて、回転操作装置30の回転拘束を解除し、ID照合装置11,16との間で回転拘束装置16のID登録が行われるまでは、回転操作装置30の回転操作を拘束しないことにより、上記目的を達成する。
【0006】
なお、上記課題を解決するための手段の項では、本発明をわかりやすく説明するために実施の形態の図1〜図3と対応づけたが、これにより本発明が実施の形態に限定されるものではない。
【0007】
【発明の効果】
本発明によれば、次のような効果を奏する。
(1)請求項1〜5の発明によれば、IDの登録が完了していない状態では、回転操作装置の回転操作を拘束しないので、IDの未登録の状態で回転操作装置の回転操作を行って検査を行う必要のある部品の検査等を行うことができる。
(2)請求項2の発明によれば、携帯機との間のID登録が完了するまでは、回転拘束装置との間のID登録を行わないので、携帯機および回転拘束装置の双方のID登録を行うまでは、回転操作装置の回転操作は拘束されず、IDの未登録の状態で回転操作装置の回転操作を行って検査を行う必要のある部品の検査等を行うことができる。
(3)請求項3の発明によれば、携帯機および回転拘束装置の双方のIDが未登録の場合に、携帯機との間のIDを登録すると携帯機との間のID照合を行うことなく回転拘束装置との間のID登録を行うので、工場等でのID登録の作業負荷を低減することができる。
(4)請求項4の発明によれば、回転拘束装置との間のIDの再登録を行う場合には、携帯機との間のID照合を行ってから回転拘束装置との間のID登録を行うので、防盗性を向上させることができる。
【0008】
【発明の実施の形態】
図1は、車両用電子キー装置に用いられる一実施の形態の車載装置の構成を示す。図2は、車両用電子キー装置に用いられる一実施の形態の携帯用電子キーの構成を示す。図3は、エンジン始動時などに用いられるイグニッションノブを示す。本実施の形態における車両用電子キー装置は、少なくとも図1に示す車載装置と、図3に示すイグニッションノブを備える。
【0009】
図2に示すように、電子キー20にはアンテナ21、電子キーコントローラ22およびバッテリ23などが内蔵されている。電子キーコントローラ22はCPU22aと不揮発性メモリ22bなどの周辺部品から構成され、アンテナ21を介して車載装置1と無線通信を行う。不揮発性メモリ22bには、車両の運行を許された者を識別するためのIDが記憶されている。バッテリ23は電子キーコントローラ22に電力を供給するための交換可能な電池である。
【0010】
また、電子キー20には、不図示のドアロックボタン及びドアアンロックボタンが備えられ、これらのボタンが操作されると不揮発性メモリ22bからIDが読み出され、読み出されたIDとロック要求信号またはアンロック要求信号が車載装置1に送信される。さらに電子キー20は、車載装置1から送信される、IDを要求するID要求信号を受信した場合には、車載装置1にIDを送信する。
【0011】
電子キー20には従来のイグニッションキーのようなキープレートがなく、乗員が携帯しやすい例えばカード型に形成されている。また、車載装置1には電子キー20を収納するキーシリンダーユニットが設置されず、乗員は車両に搭乗しても電子キー20を携帯したままでよい。そのため、この一実施の形態では、図3に示すように、従来の車両用電子キー装置のキーシリンダーユニットに代えて、ドライバがエンジン始動等の指令を入力するイグニッションノブ30が設けられている。さらに、イグニッションノブ30の回動をロックするイグニッションノブロックユニット16が、運転席側のインストルメントパネルに設置される。従って、エンジン始動時には、従来のようにイグニッションキーを挿入して回動させる手順は必要ない。
【0012】
イグニッションノブロックユニット16は、イグニッションノブ30をロックして回転操作を禁止するためのノブ回転禁止ラッチ(不図示)を有し、この回転禁止ラッチを解除側に駆動することによってイグニッションノブ30とステアリングホイールの回転操作が可能になる。このイグニッションノブロックユニット16はIDを記憶するメモリ16aを備える。メモリ16aへのIDの記憶(登録)は、イグニッションノブロックユニット16およびパッシブコントロールユニット11によって後述する手順により行われる。イグニッションノブ30の回動操作は、電子キー20と後述するパッシブコントロールユニット11との間のID照合、およびイグニッションノブロックユニット16とパッシブコントロールユニット11との間のID照合結果がOK(IDが一致)である場合に許可される。
【0013】
上述したように、このような構成では、工場などで電子キー20およびイグニッションノブロックユニット16のID登録が完了していない状態において、イグニッションノブ30の回動操作を行うことができない。従って、イグニッションノブ30を後述するイグニッションオン位置まで回して行う検査などが不可能となる。本実施の形態では、イグニッションノブロックユニット16とパッシブコントロールユニット11との間のID登録が完了するまでは、イグニッションノブロックユニット16がイグニッションノブ30の回転操作を拘束できないようにしておく。これにより、IDが未登録の状態でもイグニッションノブ30の回動操作が可能となる。
【0014】
乗員が車両のエンジンを始動する時は、イグニッションノブ30の押し込み操作を行った後、回動操作を行う必要がある。図3に示すように、ステアリングホイールのロック(LOCK)位置にあるイグニッションノブ30を押し込むとプッシュスイッチ5がオンする。また、イグニッションノブ30をエンジンを作動させるイグニッションオン(ON)位置に回すとイグニッションスイッチ6がオンする。さらに、図示しないスタータによりエンジンを始動するエンジンスタート(START)位置に回すとエンジンスタート・スイッチ7がオンする。
【0015】
スイッチ8は、車両のドアの開閉状態を検出するスイッチであり、ドアが開放されるとオンし、閉じられるとオフする。また、スイッチ9は、運転席ドアのドアロック動作を開始させるためのドアロックスイッチであり、図示しない運転席ドアのドアアウトサイドハンドル周辺の車外に設けられている。乗員が車外から車両のドアをロック/アンロックするときにドアロックスイッチ9を操作する(押す)と、ドアロックスイッチ9はオフからオンとなる。
【0016】
車載装置1は、電子キー20との間で無線通信を行うための送受信機2、3、12を備えている。送信機2に接続されている車内アンテナ2aは車内に設置され、車内へID要求信号を送信する。送信機3およびアンテナ3aは、運転席ドアのドアアウトサイドハンドルの周辺に設置され、車外の所定のエリア(例えば運転席ドア近傍)へID要求信号を送信する。
【0017】
受信機12は車両後部のリアパーセルに設置され、アンテナ12aを介して電子キー20から送られる”ロック要求信号”、”アンロック要求信号”、IDなどを受信する。受信したこれらの信号は、パッシブコントロールユニット11に送信される。電子キー20からドアのロック/アンロック要求信号とIDが送信されてきた時は、パッシブコントロールユニット11は、電子キー20のID照合を行い、IDが一致すると判定すると、ドアロックアクチュエータ14にアンロック/ロック命令を出力する。ドアロックアクチュエータ14は、この命令に基づいて、運転席ドア、助手席ドアおよび後部座席ドアのロック、アンロックを行う。
【0018】
エンジンコントローラ15は、CPU15aと不揮発性メモリ15bなどを備え、スロットルバルブ制御装置(不図示)、燃料噴射装置(不図示)および点火装置(不図示)を駆動制御してエンジン2の回転速度と出力トルクを制御する。
【0019】
パッシブコントロールユニット11は、CPU11aと予め登録された電子キー20のIDが格納された不揮発性メモリ11bと、イグニッションノブロックユニット16のIDが格納された不揮発性メモリ11cと、後述する工場モードフラグを記憶するメモリ11dとを備えている。
【0020】
CPU11aは、ドアロックスイッチ9の動作状態に基づいて送信機3およびアンテナ3aを介してID要求信号を車室外の所定のエリア(例えば運転席ドアの近傍)へ送信し、受信機12を介して電子キー20から送信されたロック要求信号またはアンロック要求信号、IDを受信して、受信したIDとメモリ11bに格納されたIDとを照合する。CPU11aは、この照合結果とロック要求信号/アンロック要求信号、ドアのロック状態(ドアがロックされているか否か)に基づいてドアロックアクチュエータ14を制御してドアのロック/アンロックを行う。
【0021】
また、CPU11aは、イグニッションノブ30の押し込み操作に基づいて送信機2およびアンテナ2aを介してID要求信号を車室内へ送信し、受信機12を介して電子キー20から送信されたIDを受信して、受信したIDとメモリ11bに格納されたIDとを照合すると共に、メモリ11cに記憶されているIDと、イグニッションノブロックユニット16のメモリ16aに格納されているIDとを照合する。CPU11aは、電子キー20から送信されたIDとメモリ11bに格納されたIDとが一致し、かつイグニッションノブロックユニット16のメモリ16aに格納されているIDとメモリ11cに記憶されているIDとが一致した場合にイグニッションノブロックユニット16のノブ回転禁止ラッチを解除して、イグニッションノブ30の回動を許可する。なお、CPU11aは、イグニッションノブロックユニット16のメモリ16aにIDが記憶されていない場合には、ノブ回転禁止ラッチによるイグニッションノブ30のロックを禁止する。
【0022】
さらにCPU11aは、不図示の外部装置と接続可能とされ、外部装置に接続されることによって、電子キー20のIDをメモリ11bに登録したり、メモリ11cのIDをイグニッションノブロックユニット16のメモリ16aに登録する登録モードへ切り替え可能となっている。なお、メモリ11cのIDをイグニッションノブロックユニット16のメモリ16aに登録する際には、CPU11aが登録モードとされ、かつ、メモリ11dの工場モードフラグがセットされている必要があるが、詳細については後述する。また、CPU11aは、イグニッションスイッチ5〜7の動作状態に応じてエンジンコントローラ15を制御し、エンジンの始動/停止を行う。
【0023】
図4,図5は、電子キー20および/またはイグニッションノブロックユニット16のIDを登録する処理手順を示す一実施の形態のフローチャートである。これらの制御は、車載装置1のパッシブコントロールユニット11で行われる。
【0024】
ステップS10では、パッシブコントロールユニット11に接続された図示しない外部装置から、登録モードである旨の信号が入力されたか否かを判定する。登録モードであると判定するとステップS20に進み、登録モードではないと判定すると本制御プログラムを終了する。ステップS20では、工場モードであるか否かを判定する。工場モードとは、工場で電子キー20およびイグニッションノブロックユニット16のID登録を行う場合の登録モードのことであり、メモリ11dに工場モードフラグがセットされているか否かにより、工場モードであるか否かを判定する。電子キー20およびイグニッションノブロックユニット16のIDが未登録で工場にパッシブコントロールユニット11が納入される時には、メモリ11dに工場モードフラグがセットされた状態で納入される。工場モードであると判定するとステップS30に進み、工場モードではないと判定するとステップS110に進む。
【0025】
ステップS30では、イグニッションスイッチ6からの信号に基づいて、イグニッションスイッチ6がオンされたか否かを判定する。イグニッションスイッチ6がオンされたと判定するとステップS40に進み、オンされていないと判定するとステップS30で待機する。ステップS40では、電子キー20のIDを受信したか否かを判定する。このIDは、電子キー20から送信されてアンテナ12aで受信されて、パッシブコントロールユニット11に送られてくる。電子キー20のIDを受信したと判定するとステップS50に進み、受信していないと判定するとステップS90に進む。
【0026】
ステップS90では、イグニッションスイッチ6からの信号に基づいて、イグニッションスイッチ6がオフされたか否かを判定する。イグニッションスイッチ6がオフされたと判定するとステップS30に戻り、オフされていないと判定するとステップS40に戻る。
【0027】
ステップS50では、ステップS40で受信した電子キー20のIDを登録する。すなわち、受信した電子キー20のIDをメモリ11bに記憶する。以後、電子キー20のIDの再登録などが行われない限り、登録されたIDを有する電子キー20以外の電子キーを用いて、イグニッションノブ30の回動操作、すなわち、エンジンの始動操作を行うことはできない。電子キー20のIDを登録するとステップS60に進む。
【0028】
ステップS60では、電子キー20のID登録が完了したか否かを判定する。この判定は、例えば、パッシブコントロールユニット11に接続された図示しない外部装置から登録完了信号が入力されたか否かにより行う。また、電子キー20のIDは、複数登録することができるので、予め定めた規定数のIDの登録が行われたか否かに基づいて判定してもよい。電子キー20のID登録が完了したと判定するとステップS70に進み、完了していないと判定するとステップS40に戻る。
【0029】
ステップS70では、パッシブコントロールユニット11とイグニッションノブロックユニット16との間でID照合を行うためのIDをメモリ11cから読み出してイグニッションノブロックユニット16に送信する。IDを送信するとステップS80に進む。ステップS80では、工場にパッシブコントロールユニット11が納入されてきた時にメモリ11dにセットされている工場モードフラグをリセットして、本制御プログラムを終了する。
【0030】
工場にて電子キー20とイグニッションノブロックユニット16のIDが登録されると工場モードフラグはリセットされる(ステップS80)ため、最初に登録した電子キー20とは別の電子キーのID登録を行う場合には、ステップS20で工場モードではないと判定してステップS110に進む。図5に示すフローチャートのステップS110〜ステップS190で行われる処理は、新たに電子キー20やイグニッションノブロックユニット16のID登録を行う場合の制御手順を示すものであり、例えば、車両の整備等を行うディーラーで行われる。
【0031】
ステップS110では、ID登録を行う対象が電子キー20であるか否かを判定する。この判定は、パッシブコントロールユニット11に接続される図示しない外部装置から入力される信号に基づいて行う。電子キー20のID登録であると判定するとステップS150に進み、イグニッションノブロックユニット16のID登録であると判定するとステップS120に進む。ステップS120では、イグニッションノブ30の操作に連動するプッシュスイッチ5から送信される信号に基づいて、プッシュスイッチ5がオンされたか否かを判定する。プッシュスイッチ5がオンされたと判定するとステップS130に進み、オンされていないと判定するとオンされるまでステップS120で待機する。
【0032】
ステップS130では、電子キー20から送信されるIDに基づいて電子キー20のID照合を行い、照合結果がOKであるか否かを判定する。本実施の形態では、工場から電子キー20やイグニッションノブロックユニット16を含む車両用電子キー装置が出荷された後の市場での防盗性を向上させるため、イグニッションノブロックユニット16のID登録を行う前に、電子キー20のID照合を行い、照合結果がOKの場合にイグニッションノブロックユニット16のID登録を行う。電子キー20のID照合結果がOKであると判定するとステップS140に進み、OKではないと判定すると本制御プログラムを終了する。
【0033】
ステップS140では、パッシブコントロールユニット11とイグニッションノブロックユニット16との間でID照合を行うためのIDをメモリ11cから読み出してイグニッションノブロックユニット16に送信する。IDを送信すると本制御プログラムを終了する。
【0034】
一方、ステップS110で電子キー20のID登録であると判定してステップS150に進むと、上述した図示しない外部装置から入力される所定の登録コード(暗証コード)の照合を行い、照合結果がOKであればステップS160に進み、OKではないと判定すると本制御プログラムを終了する。すなわち、電子キー20のIDを登録する際にも、防盗性を向上させるために、所定の登録コードの照合を行い、照合結果がOKの場合にID登録を行う。
【0035】
ステップS160では、電子キー20のIDを受信したか否かを判定する。受信したと判定するとステップS170に進み、受信していないと判定するとIDを受信するまでステップS160で待機する。ステップS170では、ステップS160で受信した電子キー20のIDを登録する。すなわち、受信した電子キー20のIDをメモリ11bに記憶する。電子キー20のIDを登録するとステップS180に進む。
【0036】
ステップS180では、電子キー20のID登録が完了したか否かを判定する。
受信した電子キー20のIDがメモリ11bに記憶されて登録が完了したと判定するとステップS190に進み、完了していないと判定するとステップS160に戻る。ステップS190では、電子キー20のID登録処理が完了したか否かを判定する。この判定は、上述したステップS60で行った判定と同じ方法により行う。ID登録処理が完了したと判定すると本制御プログラムを終了し、完了していないと判定するとステップS160に戻る。
【0037】
図6は、イグニッションノブロックユニット16で行われるIDの登録手順を示す一実施の形態のフローチャートである。図4および図5に示すフローチャートのステップS70またはステップS140では、パッシブコントロールユニット11とイグニッションノブロックユニット16との間のID登録を行うために、パッシブコントロールユニット11は、イグニッションノブロックユニット16にIDを送信した。イグニッションノブロックユニット16は、このIDを受信してメモリ16aへのID登録を行う。なお、ディーラー等でイグニッションノブロックユニット16のIDを再登録する場合には、登録されているIDを事前にリセットしてから、新たなIDを登録する。
【0038】
ステップS200では、IDが既にメモリ16aに登録済みであるか否かを判定する。IDが登録済みであると判定すると本制御プログラムを終了し、登録済みではないと判定するとステップS210に進む。ステップS210では、イグニッションスイッチ6からパッシブコントロールユニット11を介して入力される信号に基づいて、イグニッションスイッチ6がオンされているか否かを判定する。イグニッションスイッチ6がオンされていると判定するとステップS220に進み、オンされていないと判定するとオンされるまでステップS210で待機する。
【0039】
ステップS220では、パッシブコントロールユニット11から送信されるIDを受信したか否かを判定する。このIDは、図4および図5に示すフローチャートのステップS70またはステップS140において、パッシブコントロールユニット11から送信されたものである。登録するためのIDを受信したと判定するとステップS230に進み、受信していないと判定すると受信するまでステップS220で待機する。
【0040】
ステップS230では、ステップS220で受信したIDを登録する。すなわち、メモリ16aに受信したIDを記憶する。IDを登録するとステップS240に進む。ステップS240では、IDの登録処理が完了したか否かを判定する。この判定は、例えば、パッシブコントロールユニット11に接続された図示しない外部装置から、パッシブコントロールユニット11を介して登録完了信号が入力されたか否かにより行う。IDの登録処理が完了したと判定するとステップS250に進み、完了していないと判定するとステップS220に戻る。
【0041】
ステップS250では、イグニッションノブ30の回動操作のロックの禁止を解除する。すなわち、上述したように、イグニッションノブロックユニット16とパッシブコントロールユニット11との間のID登録が完了するまでは、イグニッションノブロックユニット16は解除状態に保持されていた。これは、イグニッションノブ30の回動操作を拘束(ロック)させないようにしていたのであるが、ステップS250では、イグニッションノブ30の回動操作をロックできるようにする。これにより、例えばエンジンを始動させる時には、電子キー20のID照合とイグニッションノブロックユニットのID照合の結果がOKとならない限り、イグニッションノブ30の回動操作が行えないようにロックされた状態が保たれる。イグニッションノブ30の回動操作をロックできるようにすると、本制御プログラムを終了する。
【0042】
上述した一実施の形態によれば、パッシブコントロールユニット11とイグニッションノブロックユニット16との間のIDが登録されるまでは、イグニッションノブロックユニット16を解除状態にしておく。これにより、IDが未登録の状態である工場などにおいて、ID登録前でもイグニッションノブ30の回動操作が可能となる。すなわち、イグニッションノブ30の回動操作によりイグニッションスイッチをオンにしなければ行うことができない部品等の検査が可能となる。
【0043】
また、工場モードフラグがセットされている工場モード時では、電子キー20のID登録が完了(ステップS60)してから、イグニッションノブロックユニット16のIDを登録し(ステップS70,ステップS230)、その後、イグニッションノブ30の回動操作をロックできるようにしている(ステップS250)。これにより、電子キー20のID登録とイグニッションノブロックユニット16のID登録の双方が完了するまでは、イグニッションノブ30の回動操作が可能であるので、いずれか片方のID登録により、イグニッションノブ30の回動操作がロックされて、イグニッションスイッチをオンにしなければ行うことができない部品等の検査を行うことができなくなるという不都合を回避することができる。
【0044】
さらに、工場モード時には、電子キー20のID登録が完了すると(ステップS60)、電子キー20のID照合を行うことなくイグニッションノブロックユニット16のID登録が行える(ステップS70)ので、工場でのID登録の作業負荷を低減することができる。一方、ディーラー等で行われるID登録の際には、イグニッションノブロックユニット16のID登録(ステップS140)の際には電子キー20のID照合を行い(ステップS130)、電子キー20のID登録(ステップS170)の際には、外部装置を用いた所定の登録コードの照合を行う(ステップS150)ので、第三者が無断でIDの書き換えを行うのを防ぐ等、防盗性を向上させることができる。
【0045】
本発明は、上述した一実施の形態に限定されることはない。例えば、図4に示すフローチャートのステップS30では、電子キー20のID登録を行う際にイグニッションスイッチ6をオンするようにしているが、イグニッションスイッチ6の代わりにプッシュスイッチ5をオンさせるようにしてもよいし、イグニッションスイッチ6をオンさせずにID登録を行うようにしてもよい。また、本発明によるイグニッションノブロックユニット16を含む車両用電子キー装置が適用される車両は、ガソリン車に限られず、ハイブリッド車、電気自動車などにも適用することができる。
【0046】
特許請求の範囲の構成要素と一実施の形態の構成要素との対応関係は次の通りである。すなわち、イグニッションノブ30が回転操作装置を、イグニッションノブロックユニット16が回転拘束装置を、パッシブコントロールユニット11とイグニッションノブロックユニット16とがID照合装置を、電子キー20が携帯機をそれぞれ構成する。なお、本発明の特徴的な機能を損なわない限り、各構成要素は上記構成に限定されるものではない。
【図面の簡単な説明】
【図1】一実施の形態の車載装置の構成を示す図
【図2】一実施の形態の電子キーの構成を示す図
【図3】一実施の形態のイグニッションノブを示す図
【図4】パッシブコントロールユニットで行われるIDの登録手順を示す一実施の形態のフローチャート
【図5】パッシブコントロールユニットで行われるIDの登録手順を示す一実施の形態のフローチャート
【図6】イグニッションノブロックユニットで行われるIDの登録手順を示す一実施の形態のフローチャート
【符号の説明】
1…車載装置、2,3…送信機、2a…室内アンテナ、3a…ドアアンテナ、5…プッシュスイッチ、6…イグニッションオンスイッチ、7…スタートスイッチ、8…ドアハンドルスイッチ、9…ドアロックスイッチ、11…パッシブコントロールユニット、11a…CPU、11b…メモリ、12…受信機、12a…アンテナ、14…ドアロックアクチュエータ、15…エンジンコントローラ、15a…CPU、15b…メモリ、16…イグニッションノブロックユニット、20…電子キー、21…アンテナ、22…電子キーコントローラ、22a…CPU、22b…メモリ、23…バッテリ、30…イグニッションノブ
Claims (5)
- 回転操作により車両を起動させる回転操作装置と、
前記回転操作装置の回転操作を拘束する回転拘束装置と、
少なくとも車両のドアの施解錠を行う携帯機との間のID照合および前記回転拘束装置との間のID照合を行うID照合装置とを備え、
前記回転拘束装置は、前記ID照合装置との間のIDが登録されるまでは、前記回転操作装置の回転操作を拘束しないことを特徴とする車両用電子キー装置。 - 請求項1に記載の車両用電子キー装置において、
前記ID照合装置は、前記携帯機のIDが登録されるまでは、前記回転拘束装置のID登録を行わないことを特徴とする車両用電子キー装置。 - 請求項2に記載の車両用電子キー装置において、
前記ID照合装置は、前記携帯機のIDおよび前記回転拘束装置のIDが未登録の場合に前記携帯機のIDを登録すると、前記携帯機との間のID照合を行うことなく前記回転拘束装置のID登録を行うことを特徴とする車両用電子キー装置。 - 請求項2または3に記載の車両用電子キー装置において、
前記ID照合装置は、前記携帯機のIDおよび前記回転拘束装置のIDが登録されている状態で前記回転拘束装置のIDを再登録する場合には、前記携帯機のID照合を行ってから前記回転拘束装置のID登録を行うことを特徴とする車両用電子キー装置。 - 回転操作により車両を起動させる回転操作装置の回転操作を拘束する回転拘束装置において、
車両に搭載されるID照合装置との間で前記回転拘束装置のID登録が行われた後は、少なくとも車両のドアの施解錠を行う携帯機と前記ID照合装置との間のID照合結果および前記回転拘束装置と前記ID照合装置との間のID照合結果に基づいて、前記回転操作装置の回転拘束を解除し、前記ID照合装置との間で前記回転拘束装置のID登録が行われるまでは、前記回転操作装置の回転操作を拘束しないことを特徴とする回転拘束装置。
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