JP3812225B2 - インクジェット記録用紙 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、インクジェット記録用紙(以下、単に記録用紙ともいう)に関し、特に耐水性、保存性、白地、被膜強度に優れたインクジェット記録用紙に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、インクジェット記録は急速に画質が向上してきており、写真に画質が迫りつつある。この様な写真同等画質(以下、写真画質と称す)をインクジェット記録で達成するために、記録用紙の面でも改善が進んでおり、高平滑性の支持体上に微小な空隙層を設けた記録用紙は、高インク吸収性や高乾燥性であることから最も写真画質に近いものの一つになりつつある。
【0003】
この様な高画質化に伴い、記録用紙に要求される特性も一段と高まっているが、特に支持体が非吸水性支持体で、その上にインク吸収層が設けられているインクジェット記録用紙は、インクジェット記録時に支持体が高い平滑性を維持するので高品位のプリントが得られ好ましい。
【0004】
又、インクジェット記録においては、通常、水溶性染料が色材として用いられるが、この水溶性染料は親水性が高いため、通常、記録後に高湿下に長期間保存したり、又は記録面上に水滴が付着した場合に染料が滲み易い傾向がある。
【0005】
この問題を解決するために、染料固着性物質をインク受容層中に添加しておくことが一般的に行われており、そのような染料固着剤としては、表面がカチオン性である無機顔料(アルミナ微粒子等)や分子内に第4級アンモニウム塩基を有するカチオン性ポリマー等が挙げられる。
【0006】
しかしながら、インク吸収層が空隙層であることは、高インク吸収性でインクジェット記録時にムラのない均質な画像が得られる反面、多孔質皮膜であるが故に酸素の透過性が大きく、インク吸収層中に含まれる成分の劣化を促進し、好ましくない現象を発現させることがある。一般に、染料の固着に使用されるカチオン性のポリマーでは経時でのステインの発生が問題となっている。
【0007】
特開昭62−178384号公報及び特公平3−24905号公報には、シランカップリング剤で表面処理したシリカ粒子を含有する色材受容層を有する記録材料が開示されている。このようなシリカ粒子を用いた記録材料では、シリカ粒子の表面活性が低下し、耐候性は向上するものの、シリカ粒子間の結合性も弱めるため、色材受容層の皮膜強度を弱めてしまう。
【0008】
また、特開平8−34160号公報及び特開平11−115308号公報では、シリカ粒子を含む色材受容層を形成させた後、第4級アンモニウム塩構造を有するシランカップリング剤を塗布、乾燥して記録層を形成させる記録用シートが開示されている。この方法では、シリカと水溶性樹脂を支持体上に塗布乾燥させているため、シリカ粒子間にある程度の結合が生成しているものの、完全な結合状態に入る前にシランカップリング剤を塗布してしまうため、やはり十分な膜強度は得られない。特に前記特許では、色材を固定するカチオン成分をシランカップリング剤で供給しているため、シランカップリング剤の量が大量に必要になるため、色材受容層を形成後のシリカ粒子同士の結合を抑制してしまう。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は上記の実態に鑑みてなされたものであって、本発明が解決しようとする課題は、保存性、白地、被膜強度に優れたインクジェット記録用紙を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明の上記目的は、以下の構成により達成される。
【0011】
(1)支持体上に色材受容層が設けられてなるインクジェット記録用紙において、該色材受容層が、1次粒子の平均粒径が7nm〜30nmの超微粒子シリカ、親水性バインダー、カチオン性樹脂およびシランカップリング剤を含有し、親水性バインダーに対する該超微粒子シリカの重量比が2〜20であり、且つ、該超微粒子シリカに対するシランカップリング剤の重量比が、0.01〜0.0001である塗布液を塗工してなり、膜面pHが3〜6.5であることを特徴とするインクジェット記録用紙。
【0012】
(2)前記シランカップリング剤が4級アンモニウム構造を有することを特徴とする前記(1)記載のインクジェット記録用紙。
【0013】
(3)前記カチオン性樹脂の数平均分子量が5万以下であることを特徴とする前記(1)又は(2)記載のインクジェット記録用紙。
【0014】
(4)支持体上に色材受容層が設けられてなるインクジェット記録用紙において、該色材受容層が1次粒子の平均粒径が7nm〜30nmの超微粒子シリカ、親水性バインダーとカチオン性樹脂を含有してなる塗布液を該支持体上に塗工した後、シランカップリング剤を該超微粒子シリカに対するシランカップリング剤の重量比が0.01〜0.0001になるように含浸させてなり、膜面pHが3〜6.5であることを特徴とするインクジェット記録用紙。
【0017】
以下、本発明を詳細に説明する。
【0018】
本発明のインクジェット記録用紙には1次粒子の平均粒径が7nm〜30nmの超微粒子シリカが用いられる。以下、1次粒子の平均粒径が7nm〜30nmの超微粒子シリカを本発明の無機微粒子或いは単に無機微粒子ともいう。
【0019】
これら本発明の無機微粒子は、1次粒子のまま用いても、又、2次凝集粒子を形成した状態で使用することもできるが、高い光沢性と速い吸収性を有する観点から、皮膜中で0.2〜0.01μmのサイズになるような無機微粒子を使用することが好ましい。
【0021】
本発明のインクジェット記録用紙は、支持体上に多孔質のインク吸収層が設けられたものであることが好ましく、この多孔質のインク吸収層の形成方法には、従来、数多くの方法が知られているが、特に多孔質のインク吸収層は、無機顔料と少量の親水性バインダーから空隙層が形成されているものが好ましい。
【0022】
本発明のインクジェット記録用紙には、記録後の耐水性、滲み耐性を向上させるために、カチオン性樹脂を使用するが、カチオン性樹脂には従来インクジェット記録用紙で公知のカチオン性ポリマーの中から任意に選択して使用することが出来る。
【0023】
従来公知のカチオン性樹脂は、経時で着色してしまうものが多く、本発明の無機微粒子を使用したインク吸収層ではその着色が加速される傾向にあった。この理由は定かではないが、微細な空隙内部の微粒子表面では、酸素の関与する劣化反応が促進され、カチオン樹脂に含まれる第3級アミンの酸化が促進されるためではないかと推定される。殆どのアミン成分が4級化されているカチオン性樹脂においても、極くわずかには、第3級アミン成分が混在してしまうため、酸素による劣化の激しい空隙内部の微粒子表面において、着色成分の生成が生じ、インクジェット記録用紙の白地を劣化させてしまう。
【0024】
本発明者等は、本発明の無機微粒子に対してシランカップリング剤を重量比で0.01〜0.0001の割合で添加することにより、この着色が大きく抑制されることを見いだし本発明に至った。
【0025】
本発明の無機微粒子は、ゾルの状態で塗布、乾燥されたものは、ゾル−ゲル反応により徐々に粒子間の結合を強めて、強固な膜構造を生成するものと考えられるが、シランカップリング剤等、粒子表面の水酸基と反応してしまうものは、その強固な膜構造の生成を阻害してしまうため、無機粒子に対して0.01を越える量の添加は好ましく無い。また、少なすぎても粒子表面での酸化活性を抑えることができないため、使用するシランカップリング剤の量は、無機粒子に対して重量比で0.01〜0.0001の範囲でのみ膜強度を保ったまま、カチオン性樹脂の着色を抑えることができる。より好ましくは0.001〜00005の範囲である。
【0026】
また、カチオン樹脂の経時着色は、pHも大きく影響しており、pHが高い程着色が大きくなる傾向があるが、pHを低くした場合、記録画像の耐候性が悪化してしまうため、膜面のpHとして3〜6.5になっていることが好ましい。より好ましい膜面pHは4〜5.5の範囲である。
【0027】
本発明のカチオン性ポリマーは好ましくは第4級アンモニウム塩基を有するポリマーであり、特に好ましくは第4級アンモニウム塩基を有するモノマーの単独重合体または他の共重合し得る1または2以上のモノマーとの共重合体であり、特に好ましいものは、重量平均分子量が2000〜10万のものである。
【0028】
第4級アンモニウム塩基を有するモノマーの例としては例えば以下の例を挙げることが出来る。
【0029】
【化1】
Figure 0003812225
【0030】
【化2】
Figure 0003812225
【0031】
上記第4級アンモニウム塩基と共重合し得るモノマーはエチレン性不飽和基を有する化合物であり、例えば以下の具体例を挙げることが出来る。
【0032】
【化3】
Figure 0003812225
【0033】
特に第4級アンモニウム塩基を有するカチオン性ポリマーが共重合体である場合、カチオン性モノマーの比率は10モル%以上が好ましく、より好ましくは20モル%以上、特に好ましくは30モル%以上である。
【0034】
第4級アンモニウム塩基を有するモノマーは単一でも2種類以上であっても良い。
【0035】
以下に本発明のカチオン性ポリマーの具体例を挙げるが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0036】
【化4】
Figure 0003812225
【0037】
【化5】
Figure 0003812225
【0038】
【化6】
Figure 0003812225
【0039】
【化7】
Figure 0003812225
【0040】
上記第4級アンモニウム塩基を有するカチオン性ポリマーは第4級アンモニウム塩基のために水溶性が一般に高いが、共重合する第4級アンモニウム塩基を含まないモノマーの組成や比率によっては水に充分に溶解しないことがあるが、水混和性有機溶媒と水との混合溶媒に溶解させることにより溶解し得るもので有れば本発明に使用できる。また、カチオン性ポリマーとして、第4級アンモニウム塩構造を有するシランカップリング剤を加水分解して、重縮合させたものを使用することもできる。
【0041】
ここで水混和性有機溶媒とは、メタノール、エタノール、イソプロパノール、n−プロパノールなどのアルコール類、エチレングリコール、ジエチレングリコール、グリセリンなどのグリコール類、酢酸エチル、酢酸プロピル等のエステル類、アセトン、メチルエチルケトン等のケトン類、N,N−ジメチルホルムアミド等のアミド類など、水に対して通常10%以上溶解し得る有機溶媒を言う。この場合、有機溶媒の使用量は水の使用量以下であることが好ましい。
【0042】
本発明のカチオン性ポリマーは数平均分子量(Mn)が10万以下であることが好ましい。
【0043】
ここで数平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーから求められたポリエチレングリコール値に換算した値である。
【0044】
数平均分子量が10万を越える場合には、カチオン性ポリマーの溶液を表面がアニオン性である無機微粒子を含有する分散液に添加した際に凝集物の発生が激しく、またその後分散処理を施しても均一な分散液に成りにくく粗大粒子が多数存在して均一な分散液に成りにくい。このようなカチオン性ポリマーと無機微粒子を含有する複合微粒子分散液を使用してインクジェット記録用紙を作製した場合、高い光沢性が得られにくい。特に好ましい数平均分子量は5万以下である。
【0045】
数平均分子量の下限は染料の耐水性の点から通常2000以上である。
【0046】
上記無機微粒子とカチオン性ポリマーの比率は、無機微粒子の種類や粒径、あるいはカチオン性ポリマーの種類や数平均分子量で変わり得る。
【0047】
本発明において、上記比率は無機微粒子の表面がカチオン性に置き換わって安定化させる必要があることから、1:0.01〜1:1であることが好ましい。
【0048】
本発明において、表面がアニオン性である無機微粒子のアニオン部分をカチオン性ポリマーのカチオン部分で徐々に置き換え最終的にカチオン部分を過剰にすることが好ましく、そのため、無機微粒子の分散液とカチオン性ポリマーの添加方法には注意が必要であり、カチオン性ポリマー溶液中に無機微粒子の分散液を添加することが好ましい。
【0049】
この逆に、無機微粒子の分散液中にカチオン性ポリマー溶液を撹拌しながら添加した場合には、途中で液全体が一つの巨大な固まりになり撹拌が殆ど難しくなる。この理由は初めの液全体がアニオン性になっている中にカチオン性ポリマーが徐々に添加されてくると、アニオンが徐々に減少し、途中で電荷的に中性領域を通過するために液全体が巨大な固まりに成りやすいためではないかと推定される。この様な場合であっても、カチオン性ポリマーが充分存在すれば、撹拌を時間をかけて充分行えば最終的には徐々に液状化してくるが生産効率上あまり好ましいことではない。
【0050】
カチオン性ポリマー溶液中に、無機微粒子分散液を徐々に添加することで、液全体は常にカチオン性を維持されるため分散液が得られ好ましい。
【0051】
この際、無機微粒子分散液を添加する過程では十分な撹拌を行うことが好ましく、場合によっては、添加中又は添加後に分散機を併用するなどするのが生産効率上好ましい。
【0052】
このようにして得られた混合液は、ミクロ的に見た場合、微小のダマ状凝集物が多数存在している。これは無機微粒子分散液が添加された箇所では局所的には無機微粒子の分散液に対してカチオン性ポリマーが不足するために、電荷的に不安定な状態が形成される為と推定される。
【0053】
このような微小ダマ状凝集物はその後の分散処理を行うことにより軽減される。そのような分散処理を行うことにより、元々の1次粒子状態の無機微粒子の粒子径を有するカチオン変換された無機微粒子の分散液が得られる。
【0054】
この分散処理方法としては、高速回転分散機、媒体撹拌型分散機(ボールミル、サンドミルなど)、超音波分散機、コロイドミル分散機、ロールミル分散機、高圧分散機等従来公知の各種の分散機を使用することが出来るが、本発明では形成されるダマ状微粒子の分散を効率的に行うという点から超音波分散機または高圧分散機が好ましく用いられる。
【0055】
超音波分散機は通常は20〜25kHzの超音波を照射することで固液界面にエネルギーを集中させることで分散するものであり非常に効率的に分散されるが、大量の分散液を調製する必要がある場合にはあまり適当ではない。
【0056】
一方、高圧分散機は3個または5個のピストンを持った高圧ポンプの出口に、ねじまたは油圧によってその間隙を調整できるようになっている均質バルブを1個または2個備えられたものであり、高圧ポンプにより送液された液媒体が均質バルブによりその流れが絞られて圧力がかかり、この均質バルブを通過される瞬間に微小なダマ物質が粉砕される。
【0057】
この分散処理方法は連続的に多量の液を分散できるために、多量の液を製造する場合特に好ましい方法である。均質バルブに加えられる圧力は通常50〜1000kg/cm2であり、分散は1回のパスで済ますことも多数回繰り返して行うことも出来る。
【0058】
上記の分散処理方法は2種以上を併用することも可能である。
【0059】
上記の分散液を調製する際には、各種の添加剤を添加して調製することが出来る。
【0060】
例えば、ノニオン性またはカチオン性の各種の界面活性剤(アニオン性界面活性剤は凝集物を形成するために好ましくない)、消泡剤、ノニオン性の親水性ポリマー(ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリエチレンオキサイド、ポリアクリルアミド、各種の糖類、ゼラチン、プルラン等)、ノニオン性またはカチオン性のラテックス分散液、水混和性有機溶媒(酢酸エチル、メタノール、エタノール、イソプロパノール、n−プロパノール、アセトンなど)、無機塩類、pH調整剤など、必要に応じて適宜使用することが出来る。
【0061】
特に水混和性有機溶媒は、無機微粒子とカチオン性ポリマーを混合した際の微小なダマの形成が抑制されるために好ましい。そのような水混和性有機溶媒は分散液中に好ましくは0.1〜20重量%、特に好ましくは0.5〜10重量%使用される。
【0062】
カチオン性分散液を調製する際のpHは無機微粒子の種類やカチオン性ポリマーの種類、各種の添加剤等により広範に変化し得るが、一般的にはpHが1〜8であり、特に2〜7が好ましい。
【0063】
本発明のインクジェット記録用紙に用いられるシランカップリング剤としては、従来公知のものが広く使用できる。例えば、メチルトリメトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−(トリメトキシシリル)プロピルジメチルオクタデシルアンモニウムクロライド、N−β−(N−ビニルベンジルアミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−(トリメトキシシリル)プロピルジメチルヒドロキシエチルアンモニウムクロライド、3−グリシジルオキシプロピルトリメトキシシラン、3−トリメトキシシリルプロピルアクリレート、3−シアノエチルトリメトキシシラン等があげられるが、これらに限定されるものでは無い。また、より耐水性を向上させるためには、第4級アンモニウム基を有するカチオン性のシランカップリング剤を使用することが好ましい。
【0064】
シランカップリング剤の添加方法としては、無機微粒子とカチオン性樹脂を含む塗布液の中に添加して、支持体に塗布することもできるし、無機微粒子とカチオン性樹脂を含む塗布液を支持耐に塗布、乾燥しインク受容層を形成させた後、シランカップリング剤を含む溶液をインク受容層に含浸させることもできる。
【0065】
シランカップリング剤を含む溶液としては、例えばエタノール、メタノール、イソプロピルアルコール等の溶剤にシランカップリング剤を溶解するか、シランカップリング剤を水に溶解あるいは分散したもので、好ましくは0.1〜20%の濃度に調整したものが用いられる。
【0066】
インク受容層へのシランカップリング剤を含む溶液の含浸は、例えばエアードクターコーター、ブレッドコーター、ロッドコーター、ナイフコーター、スクイズコーター、リバースロールコーター、バーコーター等の公知の方法で行うことができる。
【0067】
本発明のインクジェット記録用紙は好ましくは多孔質のインク吸収層を形成していて、多孔質のインク吸収層は、本発明の無機微粒子と少量の親水性バインダーから基本的に構成される。
【0068】
インク吸収層に用いられる親水性バインダーとしては、例えばポリビニルアルコール、ゼラチン、ポリエチレンオキサイド、ポリビニルピロリドン、ポリアクリル酸、ポリアクリルアミド、ポリウレタン、デキストラン、デキストリン、カラギーナン(κ、ι、λ等)、寒天、プルラン、水溶性ポリビニルブチラール、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース等が挙げられる。これらの親水性ポリマーは2種以上併用することも可能である。
【0069】
本発明で好ましく用いられる親水性ポリマーは、ポリビニルアルコールである。このポリビリルアルコールには、ポリ酢酸ビニルを加水分解して得られる通常のポリビニルアルコールの他に、末端をカチオン変性したポリビニルアルコールやアニオン性基を有するアニオン変性ポリビニルアルコール等の変性ポリビニルアルコールも含まれる。
【0070】
酢酸ビニルを加水分解して得られるポリビニルアルコールは、平均重合度が1000以上のものが好ましく用いられ、特に平均重合度が1500〜5000のものが好ましい。鹸化度は70〜100%のものが好ましく、80〜99.5%のものが特に好ましい。
【0071】
カチオン変性ポリビニルアルコールとしては、例えば特開昭61−10483号に記載されるような、第1〜3級アミノ基や第4級アンモニウム基を、上記ポリビニルアルコールの主鎖又は側鎖中に有するポリビニルアルコールであり、カチオン性基を有するエチレン性不飽和単量体と酢酸ビニルとの共重合体を鹸化することにより得られる。
【0072】
カチオン性基を有するエチレン性不飽和単量体としては、例えばトリメチル・(2−アクリルアミド−2,2−ジメチルエチル)アンモニウムクロライド、トリメチル・(3−アクリルアミド−3,3−ジメチルプロピル)アンモニウムクロライド、N−ビニルイミダゾール、N−ビニル−2−メチルイミダゾール、N−(3−ジメチルアミノプロピル)メタクリルアミド、ヒドロキシルエチル・トリメチルアンモニウムクロライド、トリメチル・(メタクリルアミドプロピル)アンモニウムクロライド、N−(1,1−ジメチル−3−ジメチルアミノプロピル)アクリルアミド等が挙げられる。
【0073】
カチオン変性ポリビニルアルコールのカチオン変性基含有単量体の比率は、酢酸ビニルに対して0.1〜10モル%、好ましくは0.2〜5モル%である。
【0074】
アニオン変性ポリビニルアルコールは、例えば特開平1−206088号に記載される様なアニオン性基を有するポリビニルアルコール、特開昭61−237681号、同63−307979号等に記載される様なビニルアルコールと水溶性基を有するビニル化合物との共重合体、及び特開平7−285265号に記載されるような水溶性基を有する変性ポリビニルアルコールが挙げられる。
【0075】
又、ノニオン変性ポリビニルアルコールとしては、例えば特開平7−9758号に記載される様な、ポリアルキレンオキサイド基をビニルアルコールの一部に付加したポリビニルアルコール誘導体、特開平8−25795号に記載される、疎水性基を有するビニル化合物とビニルアルコールとのブロック共重合体等が挙げられる。
【0076】
ポリビニルアルコールは、重合度や変性の種類違いなど2種類以上を併用することもできる。
【0077】
インク吸収層に用いられる無機微粒子の添加量は、要求されるインク吸収容量、空隙層の空隙率、無機微粒子の種類、親水性バインダーの種類に大きく依存するが、一般には記録用紙1m2当たり概ね5〜30g、好ましくは10〜25gである。
【0078】
又、インク吸収層に用いられる無機微粒子と親水性バインダーの比率は、重量比で概ね2:1〜20:1であり、特に3:1〜10:1が好ましい。
【0079】
本発明の記録用紙に用いられる非吸水性支持体は、透明支持体あるいは不透明支持体がある。
【0080】
透明支持体としては、ポリエステル系樹脂、ジアセテート系樹脂、トリアセテート系樹脂、アクリル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂、ポリイミド系樹脂、セロハン、セルロイド等の材料から成るフィルム等が挙げられ、中でもOHPとして使用された時の輻射熱に耐える性質のものが好ましく、ポリエチレンテレフタレートが特に好ましい。この様な透明な支持体の厚さとしては、約10〜200μmが好ましい。
【0081】
又、不透明支持体としては、例えば基紙の少なくとも一方に白色顔料等を添加したポリオレフィン樹脂被覆層を有する樹脂被覆紙(所謂RCペーパー)、ポリエチレンテレフタレートに硫酸バリウム等の白色顔料を添加して成る所謂ホワイトペットが好ましい。
【0082】
上記各種支持体とインク受像層の接着強度を大きくする等の目的で、インク受容層の塗布に先立って、支持体にコロナ放電処理や下引処理等を行うことが好ましい。更に、本発明の記録シートは、必ずしも無色である必要はなく、着色された記録シートであってもよい。
【0083】
本発明のインクジェット記録用紙では、原紙支持体の両面をポリエチレンでラミネートした紙支持体を用いることが、記録画像が写真画質に近く、しかも低コストで高品質の画像が得られるため特に好ましい。その様なポリエチレンでラミネートした紙支持体について以下に説明する。
【0084】
紙支持体に用いられる原紙は、木材パルプを主原料とし、必要に応じて木材パルプに加えてポリプロピレン等の合成パルプあるいはナイロンやポリエステル等の合成繊維を用いて抄紙される。木材パルプとしては、LBKP,LBSP,NBKP,NBSP,LDP,NDP,LUKP,NUKPの何れも用いることが出来るが、短繊維分の多いLBKP,NBSP,LBSP,NDP,LDPをより多く用いることが好ましい。ただし、LBSP及び/又はLDPの比率は1070重量%が好ましい。
【0085】
上記パルプは、不純物の少ない化学パルプ(硫酸塩パルプや亜硫酸塩パルプ)が好ましく用いられ、又、漂白処理を行って白色度を向上させたパルプも有用である。
【0086】
原紙中には、高級脂肪酸、アルキルケテンダイマー等のサイズ剤、炭酸カルシウム、タルク、酸化チタンなどの白色顔料、スターチ、ポリアクリルアミド、ポリビニルアルコール等の紙力増強剤、蛍光増白剤、ポリエチレングリコール類等の水分保持剤、分散剤、4級アンモニウム等の柔軟化剤などを適宜添加することが出来る。
【0087】
抄紙に使用するパルプの濾水度は、CSFの規定で200〜500ccが好ましく、又、叩解後の繊維長がJIS−P−8207に規定される24メッシュ残分重量%と42メッシュ残分重量%との和が30〜70%が好ましい。尚、24メッシュ残分の重量%は20重量%以下であることが好ましい。
【0088】
原紙の坪量は30〜250gが好ましく、特に50〜200gが好ましい。原紙の厚さは40〜250μmが好ましい。
【0089】
原紙は、抄紙段階又は抄紙後にカレンダー処理して高平滑性を与えることも出来る。原紙密度は0.7〜1.2g/m2(JIS−P−8118)が一般的である。更に、原紙剛度はJIS−P−8143に規定される条件で20〜200gが好ましい。
【0090】
原紙表面には表面サイズ剤を塗布してもよく、表面サイズ剤としては、前記原紙中添加できるサイズ剤と同様のサイズ剤を使用できる。
【0091】
原紙のpHは、JIS−P−8113で規定された熱水抽出法により測定された場合、5〜9であることが好ましい。
【0092】
原紙表面及び裏面はを被覆するポリエチレンは、主として低密度のポリエチレン(LDPE)及び/又は高密度のポリエチレン(HDPE)であるが、他のLLDPEやポリプロピレン等も一部使用することが出来る。
【0093】
特に、インク受容層側のポリエチレン層は、写真用印画紙で広く行われている様にルチル又はアナターゼ型の酸化チタンをポリエチレン中に添加し、不透明度及び白色度を改良したものが好ましい。酸化チタン含有量は、ポリエチレンに対して概ね3〜20重量%、好ましくは4〜13重量%である。
【0094】
ポリエチレン被覆紙は、光沢紙として用いることも、又、ポリエチレンを原紙表面上に溶融、押し出してコーティングする際に、いわゆる型付け処理を行って、通常の写真印画紙で得られる様なマット面や絹目面を形成したものも本発明で使用できる。
【0095】
原紙の表裏のポリエチレンの使用量は、インク受容層やバック層を設けた後で低湿及び高湿化でのカールを最適化する様に選択されるが、概ねインク受容層側のポリエチレン層が20〜40μm、バック層側が10〜30μmの範囲である。
【0096】
更に、上記ポリエチレン被覆紙支持体は、以下の特性を有していることが好ましい。
【0097】
1)引っ張り強さ:JIS−P−8113で規定される強度で縦方向が2〜30kg、横方向が1〜20kg
2)引き裂き強度:JIS−P−8116による規定方法で縦方向が10〜200g,横方向が20〜200g
3)弾性:圧縮弾性率≧103kgf/cm2
4)面ベック平滑度:JIS−P−8119に規定される条件で20秒以上(光沢面)、型付け品ではこれ以下も可
5)不透明度:直線光入射/拡散光透過条件の測定条件で、可視域の光線での透過率が20%以下(特に15%以下)。
【0098】
本発明の記録用紙は、非吸収性支持体上のインク吸収層に褪色防止剤として水溶性還元剤、含硫黄化合物又は疎水性酸化防止剤の乳化分散物を添加することもできる。
【0099】
水溶性還元剤としては、特開平8−300807号、同8−150773号、同8−108617号、同9−267544号等に記載されており、例えば亜硫酸塩、亜硝酸塩、亜燐酸塩、チオ硫酸塩、アスコルビン酸又はその塩、ヒドロキシルアミン誘導体(N,N−ジエチルヒドロキシルアミン、N,N−ジスルホエチルヒドロキシルアミン・ナトリウム塩、N−ヒドロキシフタルイミド、N,N−ジカルボキシエチルヒドロキシルアミン・ナトリウム塩等)、グルコース等が挙げられる。
【0100】
含硫黄化合物としては、特開昭61−177279号、同61−163886号、同64−36479号、特開平7−314883号、同7−314882号、同1−115677号等に記載されており、例えばチオシアン酸塩、チオ尿素、2−メルカプトベンズイミダゾール、2−メルカプトベンズチアゾール、2−メルカプトベンズオキサゾール、5−メルカプト−1−メチルテトラゾール、2,5−ジメルカプト−1,3,4−トリアゾール、2,4,6−トリメルカプトシアヌル酸、チオサリチル酸、チオウラシル、1,2−ビス(2−ヒドロキシエチルチオ)エタン等が挙げられる。
【0101】
疎水性酸化防止剤としては、例えば特開昭57−74192号、同57−87989号、特開平1−115667号、同3−13376号等に記載されている様な公知の酸化防止剤が利用できる。特に好ましい酸化防止剤は、水酸基のオルト位の少なくとも一方が3級アルキル基で置換されている所謂ヒンダードフェノール系酸化防止剤、窒素原子に連結する二つの炭素原子がアルキル基で共に置換されているピペリジン系酸化防止剤(所謂ヒンダードアミン類)、フェノール類又はポリヒドロキシベンゼン類の少なくとも一つの水酸基がアルキル基によりエーテル化されている酸化防止剤である。
【0102】
上記疎水性酸化防止剤は、好ましくは疎水性高沸点有機溶媒(ジ−2−エチルヘキシルフタレート、ジ−i−デシルフェタレート、トリクレジルホスフェート、トリ−2−エチルヘキシルホスフェート等)と共に親水性バインダー中に乳化分散された状態で添加される。この疎水性酸化防止剤をアセトンやメタノール等の有機溶媒に溶解して添加したり、あるいは湿式粉砕法で添加した場合には、褪色防止の持続効果が小さい。
【0103】
疎水性酸化防止剤と高沸点有機溶媒の比率は、重量比で概ね1:5〜10:1である。
【0104】
また、本発明のインクジェット記録用紙に、滲みの悪化を防止するために、インク吸収層中に硼酸もしくはその塩、又は水溶性多価金属イオンを含有させておくと滲みが改善される。
【0105】
硼酸もしくはその塩としては、硼素原子を中心原子とする酸素酸及びその塩のことを示し、具体的にはオルト硼酸、二硼酸、メタ硼酸、四硼酸、五硼酸、八硼酸及びそれらの塩が含まれる。
【0106】
これらの硼酸又はその塩は、記録用紙1m2当たり0.05〜2g、好ましくは0.1〜1gの範囲で用いられる。
【0107】
又、水溶性多価金属イオンとしては、2〜4価の多価金属イオンであり、具体的にはCa2+、Mg2+、Zn2+、Cu2+、Fe3+、Ni2+、Co2+、Al3+等が挙げられるが、特にCa2+、Mg2+、Zn2+、Al3+が好ましい。
【0108】
その様な多価金属イオンの添加量は、記録用紙1m2当たり概ね0.1〜10ミリモルである。0.1ミリモル未満の場合は効果が少なく、又、10ミリモルを超えると染料の凝集が促進され、表面でのブロンジング現象を起こし易くなる。特に好ましいのは0.2〜2ミリモルである。
【0109】
本発明のインクジェット記録用紙のインク吸収層及び必要に応じて設けられるその他の層には、前記した以外に各種の添加剤を添加することができる。
【0110】
例えば、ポリスチレン、ポリアクリル酸エステル類、ポリメタクリル酸エステル類、ポリアクリルアミド類、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、又はこれらの共重合体、尿素樹脂、又はメラミン樹脂等の有機ラテックス微粒子;カチオン又はノニオンの各種界面活性剤;特開昭57−74193号、同57−87988号及び同62−261476号に記載の紫外線吸収剤;特開昭57−74192号、同57−87989号、同60−72785号、同61−146591号、特開平1−95091号及び同3−13376号等に記載されている褪色防止剤;特開昭59−42993号、同59−52689号、同62−280069号、同61−242871号及び特開平4−219266号等に記載されている蛍光増白剤;硫酸、燐酸、枸櫞酸、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸カリウム等のpH調整剤;消泡剤、防腐剤、増粘剤、帯電防止剤、マット剤等の公知の各種添加剤を含有させることもできる。
【0111】
多孔質のインク吸収層は2層以上から構成されてもよく、この場合、それらのインク吸収層の構成はお互いに同じであっても異なってもよい。
【0112】
本発明の記録用紙のインク吸収層及び下引層など、必要に応じて適宜設けられる各種の親水性層を支持体上に塗布する方法は、公知の方法から適宜選択して行うことができる。好ましい方法は、各層を構成する塗布液を支持体上に塗設・乾燥して得られる。この場合、2層以上を同時に塗布することもでき、特に全ての親水性バインダー層を1回の塗布で済ます同時塗布が好ましい。
【0113】
塗布方式としては、ロールコーティング法、ロッドバーコーティング法、エアナイフコーティング法、スプレーコーティング法、カーテン塗布方法又は米国特許2,681,294号に記載のホッパーを使用する、エクストルージョンコート法が好ましく用いられる。
【0114】
本発明のインクジェット記録用紙を用いて画像記録する際には、水性インクを用いた記録方法が好ましく用いられる。
【0115】
本発明で言う水性インクとは、下記着色剤及び液媒体、その他の添加剤から成る記録液体である。
【0116】
着色剤としては、インクジェットで公知の直接染料、酸性染料、塩基性染料、反応性染料又は食品用色素等の水溶性染料又は水分散性顔料が使用できる。中でも、特に効果が大きいのは、フタロシアニン系の染料をシアン染料として含有するものである。フタロシアニン系染料は、シアン系染料の中でも特に広く知られ、かつ用いられているものである。
【0117】
水性インクの溶媒としては、水及び水溶性の各種有機溶剤、例えばメチルアルコール、i−プロピルアルコール、ブチルアルコール、t−ブチルアルコール、i−ブチルアルコール等のアルコール類;ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド等のアミド類;アセトン、ジアセトンアルコール等のケトン又はケトンアルコール類;テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル類;ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール等のポリアルキレングリコール類;エチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、トリエチレングリコール、1,2,6−ヘキサントリオール、チオジグリコール、ヘキシレングリコール、ジエチレングリコール、グリセリン、トリエタノールアミン等の多価アルコール類;エチレングリコールメチルエーテル、ジエチレングリコールメチル(又はエチル)エーテル、トリエチレングリコールモノブチルエーテル等の多価アルコールの低級アルキルエーテル類等が挙げられる。
【0118】
これらの多くの水溶性有機溶剤の中でも、ジエチレングリコール、トリエタノールアミンやグリセリン等の多価アルコール類、トリエチレングリコールモノブチルエーテルの多価アルコールの低級アルキルエーテル類は好ましいものである。
【0119】
その他、水性インクの添加剤としては、例えばpH調節剤、金属封鎖剤、防黴剤、粘度調整剤、表面張力調整剤、湿潤剤、界面活性剤及び防錆剤などが挙げられる。
【0120】
水性インク液は、記録用紙に対する濡れ性を良好にするため、20℃において25〜60dyn/cm、好ましくは30〜50dyn/cmの範囲内の表面張力を有することが好ましい。
【0121】
【実施例】
以下に実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらの例に限定されるものではない。なお、実施例中で「%」は特に断りのない限り絶乾重量%を示す。
【0122】
実施例1
「シリカ分散液−1の調製」
1次粒子の平均粒径が約0.007μmの気相法シリカ(日本アエロジル工業株式会社製:A300)125kgを、三田村理研工業株式会社製のジェットストリーム・インダクターミキサーTDSを用いて、硝酸でpH=2.5に調整した620Lの純水中に室温で吸引分散した後、全量を694Lに純水で仕上げてシリカ分散液−1を調製した。
【0123】
「シリカ分散液−2の調製」
カチオン性ポリマー(P−10)を1.29kg、エタノール4.2L、n−プロパノール1.5Lを含有する溶液(pH=2.5)18Lに、シリカ分散液−1の69.4Lを撹拌しながら添加し、ついで、ホウ酸260gとホウ砂230gを含有する水溶液7.0Lを添加し、消泡剤(SN381:サンノプコ社製)を1g添加した。
【0124】
この混合液を三和工業株式会社製高圧ホモジナイザーで250kg/cm2の圧力で2回分散し、全量を純水で97Lに仕上げてほぼ澄明なシリカ分散液−2を調製した。
【0125】
「シランカップリング剤5%溶液」の調製
3−(トリメトキシシリル)プロピルジメチルオクタデシルアンモニウムクロライド5gをメタノール80mlに溶解、pHを4.5に調整した後メタノールで100mlに仕上げてシランカップリング剤5%溶液を調製した。
【0126】
「塗布液の調製」
塗布液:
シリカ分散液−2の650mlに40℃で撹拌しながら、以下の添加剤を順次混合した。
【0127】
(1)ポリビニルアルコール(クラレ工業株式会社製:PVA203)
の10%水溶液: 0.6ml
(2)ポリビニルアルコール(クラレ工業株式会社製:PVA235)
の5%水溶液: 270ml
(3)シランカップリング剤5%溶液 15ml
(4)純水で全量を1000mlに仕上げる。
【0128】
ついで両面をポリエチレンで被覆した紙支持体(厚みが220μmでインク吸収層面のポリエチレン中にはポリエチレンに対して13重量%のアナターゼ型酸化チタンを含有)に、上記塗布液を湿潤膜厚で180μで塗布した。
【0129】
塗布はそれぞれの塗布液を40℃でスライドホッパーで塗布を行い、塗布直後に0℃に保たれた冷却ゾーンで20秒間冷却した後、20〜30℃の風で60秒間、45℃の風で60秒間、50℃の風で60秒間順次乾燥して記録用紙−1を得た。
【0130】
記録用紙−1の膜面pHは約4.6であった。また、この塗布液において、シリカ粒子とシランカップリング剤の重量比は0.009である。
【0131】
記録用紙−2:塗布液の調製において、シランカップリング剤溶液の添加量を1.5mlに変えた以外は記録用紙−1と同様にして作製した。
【0132】
記録用紙−2の膜面pHは約4.6であった。また、この塗布液において、シリカ粒子とシランカップリング剤の重量比は0.0009である。
【0133】
記録用紙−3:塗布液の調製において、シランカップリング剤溶液の添加量を0.15mlに変えた以外は記録用紙−1と同様にして作製した。
【0134】
記録用紙−3の膜面pHは約4.6であった。また、この塗布液において、シリカ粒子とシランカップリング剤の重量比は0.00009である。
【0135】
記録用紙−4:塗布液の調製において、シランカップリング剤溶液の添加量を20mlに変えた以外は記録用紙−1と同様にして作製した。
【0136】
記録用紙−4の膜面pHは約4.6であった。また、この塗布液において、シリカ粒子とシランカップリング剤の重量比は0.012である。
【0137】
記録用紙−5:シランカップリング剤5%溶液の調製において、3−(トリメトキシシリル)プロピルジメチルオクタデシルアンモニウムクロライドを3−アミノプロピルトリメトキシシランに変えた以外は記録用紙−1と同様にして作製した。
【0138】
記録用紙−6:シランカップリング剤5%溶液の調製において、3−(トリメトキシシリル)プロピルジメチルオクタデシルアンモニウムクロライドを3−グリシジルオキシプロピルトリメトキシシランに変えた以外は記録用紙−1と同様にして作製した。
【0139】
記録用紙−7:塗布液の調製において、シランカップリング剤溶液を添加しなかった以外は記録用紙−1と同様にして作製した。
【0140】
記録用紙−8:記録用紙−7にシランカップリング剤溶液をシリカ粒子との重量比が0.001になるようにワイヤーバーで塗布して記録用紙−8を作製した。記録用紙−8の膜面pHは約4.6であった。
【0141】
記録用紙−9:記録用紙−8に希硝酸溶液を塗布して、膜面pHを約3.1に調整して記録用紙−9を作製した。
【0142】
記録用紙−10:記録用紙−8に希硝酸溶液を塗布して、膜面pHを約2.7に調整して記録用紙−10を作製した。
【0143】
記録用紙−11:記録用紙−8に希水酸化ナトリウム水溶液を塗布して膜面pHを約6.3に調整し記録用紙−11を作製した。
【0144】
記録用紙−12:記録用紙−8に希水酸化ナトリウム水溶液を塗布して膜面pHを約6.8に調整し記録用紙−12を作製した。
【0145】
記録用紙−1〜12について、以下の項目を評価した。
【0146】
(1)白地:実施例で作製した記録用紙を一ヶ月間窓際の壁に貼りステインの発生を目視評価した。
【0147】
○;ステイン発生無し、△;わずかに変色、×;明らかに変色
(2)耐光性:実施例で作製した記録用紙を、フタロシアニン系シアン染料を2重量%、グリセリンを6重量%、エチレングリコールを20重量%含有する水性インクを用い、インクジェットプリンターで吐出量を段階的に変化させて各記録用紙にプリントした。
【0148】
得られたプリント画像をXeフェード−O−メータにて約5万Luxの照度で100時間時間光照射した。光照射前後の反射濃度の比を色素残存率として耐光性の尺度とした。
【0149】
蛍光灯照射前の反射濃度が1.0になる点の蛍光灯照射後の反射濃度を色素残存率として耐光性の尺度とした。
【0150】
◎;残存率90%以上
○;残存率80%以上
△;残存率60%以上
×;残存率60%未満
(3)耐水性:
セイコーエプソン株式会社製のインクジェットプリンターPM700Cを用いて画像プリントを行った(高精細カラーデジタル標準画像データ「N5・自転車」、財団法人 日本規格協会 1995年12月発行)。
【0151】
得られたプリントを約1分間、30℃の水に浸漬したあと自然乾燥した。得られたプリントにつき染料の白地部分への流出度合いから目視で4段階評価を行った。
【0152】
◎;流出痕跡が殆どなし
○;流出痕跡があるが画像全体に与える影響は殆どない
△;部分的な流出痕跡が激しい
×;画像全体に流出痕跡が激しい
(4)膜強度
塗布サンプルを手で折り曲げ、膜面への亀裂の入り易さで相対評価した。
【0153】
○;亀裂に対する耐性が高い
△;亀裂に対する耐性が中程度
×;亀裂に対する耐性弱い
それぞれの試験に対する結果を表1にまとめた。
【0154】
【表1】
Figure 0003812225
【0155】
本発明の試料は優れた白地性、耐光性、耐水性及び膜強度を有していることが判る。
【0156】
【発明の効果】
保存性、白地、被膜強度に優れたインクジェット記録用紙を得ることができた。

Claims (4)

  1. 支持体上に色材受容層が設けられてなるインクジェット記録用紙において、該色材受容層が、1次粒子の平均粒径が7nm〜30nmの超微粒子シリカ、親水性バインダー、カチオン性樹脂およびシランカップリング剤を含有し、親水性バインダーに対する該超微粒子シリカの重量比が2〜20であり、且つ、該超微粒子シリカに対するシランカップリング剤の重量比が、0.01〜0.0001である塗布液を塗工してなり、膜面pHが3〜6.5であることを特徴とするインクジェット記録用紙。
  2. 前記シランカップリング剤が4級アンモニウム構造を有することを特徴とする請求項1記載のインクジェット記録用紙。
  3. 前記カチオン性樹脂の数平均分子量が5万以下であることを特徴とする請求項1又は2記載のインクジェット記録用紙。
  4. 支持体上に色材受容層が設けられてなるインクジェット記録用紙において、該色材受容層が1次粒子の平均粒径が7nm〜30nmの超微粒子シリカ、親水性バインダーとカチオン性樹脂を含有してなる塗布液を該支持体上に塗工した後、シランカップリング剤を該超微粒子シリカに対するシランカップリング剤の重量比が0.01〜0.0001になるように含浸させてなり、膜面pHが3〜6.5であることを特徴とするインクジェット記録用紙。
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