JP3752902B2 - インクジェット記録用紙及びその製造方法並びにカラーインクジェット記録方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明はインクジェット記録用紙及びその製造方法並びにカラーインクジェット記録方法に関し、詳しくは、多孔質のインク吸収層を有し高湿下でのインクの滲みとプリント後のブロンジングが改良されたインクジェット記録用紙及びその製造方法並びにカラーインクジェット記録方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、インクジェット記録は急速に画質が向上してきており、写真に画質が迫りつつある。この様な写真同等画質(以下、写真画質と称す)をインクジェット記録で達成するために、記録用紙の面でも改善が進んでおり、高平滑性の支持体上に微小な空隙層を設けた記録用紙は、高インク吸収性や高乾燥性であることから最も写真画質に近いものの一つになりつつある。
【0003】
この様な高画質化に伴い、記録用紙に要求される特性も一段と高まっているが、特に支持体が非吸水性支持体で、その上にインク吸収層が設けられているインクジェット記録用紙は、インクジェット記録時に支持体が高い平滑性を維持するので高品位のプリントが得られ好ましい。
【0004】
又、インクジェット記録においては、通常、水溶性染料が色材として用いられるが、この水溶性染料は親水性が高いため、通常、記録後に高湿下に長期間保存したり、又は記録面上に水滴が付着した場合に染料が滲み易い傾向がある。
【0005】
この問題を解決するために、染料固着性物質をインク受容層中に添加しておくことが一般的に行われており、そのような染料固着剤としては、表面がカチオン性である無機顔料(アルミナ微粒子等)や分子内に第4級アンモニウム塩基を有するカチオン性ポリマー等が挙げられる。
【0006】
また、別の手段として、インク吸収層中に水溶性多価金属イオンを含有させることが知られており、この両方の手段を併用することで染料の滲みはかなり改善される。
【0007】
ところで、プリント後にプリント部にブロンジングが起こることがある。ブロンジングとは、プリント部が金属光沢調(ブロンズ色)に見える現象でインク中の染料がインク吸収層に吸収されずにインク吸収層の表面で凝集、結晶化するためと思われる。
【0008】
滲み改良のため前記カチオンポリマーを添加し過ぎるとインク吸収速度が遅くなり、染料によっては前記ブロンジングが加速される場合がある。このカチオンポリマーによる加速ははさらに前記多価金属イオンの添加によってさらに促進されることが多く、染料の滲みとブロンジングを共に改良することは従来難しかった。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は高湿下でのインクの滲みとブロンジングが共に改良されたインクジェット記録用紙及びその製造方法並びにカラーインクジェット記録方法
を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明の上記目的は、以下の構成により達成される。
1.非吸水性支持体上に少なくとも1層以上の親水性バインダー及び無機微粒子からなる多孔質性インク吸収層を有するインクジェット記録用紙において、前記インク吸収層の少なくとも1層が、少なくとも下記〔A〕に示される2種類以上のカチオンポリマーを同一層に含有すると共に該同一層中の2種以上のカチオンポリマーの混合比率は、混合比率の最も少ないカチオンポリマーが5重量%以上であり、且つ前記多孔質性インク吸収層が記録用紙1m当たり0.1〜10ミリモルの水溶性多価金属イオンを含有することを特徴とするインクジェット記録用紙。
〔A〕
それぞれが互いに異なる組成を有するカチオンポリマーであり、それぞれのカチオンポリマーが、互いに異なる構造の第4級アンモニウム塩基を有するモノマー単位、または、第4級アンモニウム塩基を有するモノマー単位と第4級アンモニウム塩基を有さない互いに異なる構造であり10モル%以上のモノマー単位を含有すること。
2.非吸水性支持体上に少なくとも1層以上の親水性バインダー、無機微粒子、水溶性多価金属イオンを含有する多孔質性インク吸収層を有するインクジェット記録用紙の製造方法において、前記インク吸収層が2以上の複数層からなり、該インク吸収層の少なくとも1層が、少なくとも下記〔A〕に示される2種類以上のカチオンポリマーを同一層に含有すると共に該同一層中の2種以上のカチオンポリマーの混合比率は、混合比率の最も少ないカチオンポリマーが5重量%以上であり、該2種類以上のカチオンポリマーを含有するインク吸収層を含む全てのインク吸収層を同時重層塗布することを特徴とするインクジェット記録用紙の製造方法。
〔A〕
それぞれが互いに異なる組成を有するカチオンポリマーであり、それぞれのカチオンポリマーが、互いに異なる構造の第4級アンモニウム塩基を有するモノマー単位、または、第4級アンモニウム塩基を有するモノマー単位と第4級アンモニウム塩基を有さない互いに異なる構造であり10モル%以上のモノマー単位を含有すること。
3.少なくとも1種の基準色に対して、2種以上の異なるインクにより記録する記録装置で、前記1に記載の記録用紙に記録することを特徴とするカラーインクジェット記録方法。
【0011】
本発明の多孔質性インク吸収層は、層の中に空隙を有し、インクの吸収が、インク吸収層を形成する親水性バインダーの膨潤によって起こるのではなく、主として空隙にインクが収容されることによってインクを吸収する層である。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を詳細に説明する。
【0013】
本発明のインクジェット記録用紙は、非吸水性支持体上に多孔質のインク吸収層が設けられたものであり、この多孔質のインク吸収層の形成方法には、従来、数多くの方法が知られているが、特に多孔質のインク吸収層は、無機顔料と少量の親水性バインダーから空隙層が形成されているものが好ましい。
【0014】
この多孔質のインク吸収層は、無機微粒子と少量の親水性バインダーから基本的に構成され、そのような無機微粒子の例としては、例えば軽質炭酸カルシウム、重質炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、カオリン、クレー、タルク、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、二酸化チタン、酸化亜鉛、水酸化亜鉛、硫化亜鉛、炭酸亜鉛、ハイドロタルサイト、珪酸アルミニウム、珪藻土、珪酸カルシウム、珪酸マグネシウム、合成非晶質シリカ、コロイダルシリカ、アルミナ、コロイダルアルミナ、擬ベーマイト、水酸化アルミニウム、リトポン、ゼオライト、水酸化マグネシウム等の白色無機顔料を挙げることができる。
【0015】
これら無機微粒子は、1次粒子のまま用いても、又、2次凝集粒子を形成した状態で使用することもできるが、高い光沢性と速い吸収性を有する観点から、皮膜中で0.1〜0.01μmのサイズになるような無機微粒子を使用することが好ましい。
【0016】
本発明においては、低コストであることや高い反射濃度が得られる低屈折率の微粒子であること等から、表面がアニオン性の無機微粒子としては、気相法で合成されたシリカ又はコロイダルシリカが好ましい。又、表面がカチオン性である無機微粒子としては、カチオン表面処理された気相法シリカ、カチオン表面処理されたコロイダルシリカ、及びアルミナ、コロイダルアルミナ、擬ベーマイト等も用いることが出来る。
【0017】
多孔質性インク吸収層に用いられる親水性バインダーとしては、例えばポリビニルアルコール、ゼラチン、ポリエチレンオキサイド、ポリビニルピロリドン、ポリアクリル酸、ポリアクリルアミド、ポリウレタン、デキストラン、デキストリン、カラギーナン(κ、ι、λ等)、寒天、プルラン、水溶性ポリビニルブチラール、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース等が挙げられる。これらの親水性ポリマーは2種以上併用することも可能である。
【0018】
本発明で好ましく用いられる親水性ポリマーは、ポリビニルアルコールである。このポリビリルアルコールには、ポリ酢酸ビニルを加水分解して得られる通常のポリビニルアルコールの他に、末端をカチオン変性したポリビニルアルコールやアニオン性基を有するアニオン変性ポリビニルアルコール等の変性ポリビニルアルコールも含まれる。
【0019】
酢酸ビニルを加水分解して得られるポリビニルアルコールは、平均重合度が1000以上のものが好ましく用いられ、特に平均重合度が1500〜5000のものが好ましい。鹸化度は70〜100%のものが好ましく、80〜99.5%のものが特に好ましい。
【0020】
カチオン変性ポリビニルアルコールとしては、例えば特開昭61−10483号に記載されるような、第1〜3級アミノ基や第4級アンモニウム基を、上記ポリビニルアルコールの主鎖又は側鎖中に有するポリビニルアルコールであり、カチオン性基を有するエチレン性不飽和単量体と酢酸ビニルとの共重合体を鹸化することにより得られる。
【0021】
カチオン性基を有するエチレン性不飽和単量体としては、例えばトリメチル・(2−アクリルアミド−2,2−ジメチルエチル)アンモニウムクロライド、トリメチル・(3−アクリルアミド−3,3−ジメチルプロピル)アンモニウムクロライド、N−ビニルイミダゾール、N−ビニル−2−メチルイミダゾール、N−(3−ジメチルアミノプロピル)メタクリルアミド、ヒドロキシルエチル・トリメチルアンモニウムクロライド、トリメチル・(メタクリルアミドプロピル)アンモニウムクロライド、N−(1,1−ジメチル−3−ジメチルアミノプロピル)アクリルアミド等が挙げられる。
【0022】
カチオン変性ポリビニルアルコールのカチオン変性基含有単量体の比率は、酢酸ビニルに対して0.1〜10モル%、好ましくは0.2〜5モル%である。
【0023】
アニオン変性ポリビニルアルコールは、例えば特開平1−206088号に記載される様なアニオン性基を有するポリビニルアルコール、特開昭61−237681号、同63−307979号等に記載される様なビニルアルコールと水溶性基を有するビニル化合物との共重合体、及び特開平7−285265号に記載されるような水溶性基を有する変性ポリビニルアルコール等が挙げられる。
【0024】
又、ノニオン変性ポリビニルアルコールとしては、例えば特開平7−9758号に記載される様な、ポリアルキレンオキサイド基をビニルアルコールの一部に付加したポリビニルアルコール誘導体、特開平8−25795号に記載される、疎水性基を有するビニル化合物とビニルアルコールとのブロック共重合体等が挙げられる。
【0025】
ポリビニルアルコールは、重合度や変性の種類違いなど2種類以上を併用することもできる。
【0026】
多孔質性インク吸収層に用いられる無機微粒子の添加量は、要求されるインク吸収容量、空隙層の空隙率、無機微粒子の種類、親水性バインダーの種類に大きく依存するが、一般には記録用紙1m2当たり概ね5〜30g、好ましくは10〜25gである。
【0027】
又、インク吸収層に用いられる無機微粒子と親水性バインダーの比率は、重量比で概ね2:1〜20:1であり、特に3:1〜10:1が好ましい。
【0028】
本発明のインクジェト記録用紙は、光沢性に優れ、高い空隙率を皮膜の脆弱性を劣化させずに得るために、前記親水性バインダーが硬膜剤により硬膜されていることが好ましい。
【0029】
硬膜剤は、一般的には前記親水性バインダーと反応し得る基を有する化合物あるいは親水性バインダーが有する異なる基同士の反応を促進するような化合物であり、親水性バインダーの種類に応じて適宜選択して用いられる。
【0030】
硬膜剤の具体例としては、例えば、エポキシ系硬膜剤(ジグリシジルエチルエーテル、エチレングリコールジグリシジルエーテル、1,4−ブタンジオールジグリシジルエーテル、1,6−ジグリシジルシクロヘキサン、N,N−ジグリシジル−4−グリシジルオキシアニリン、ソルビトールポリグリシジルエーテル、グリセロールポリグリシジルエーテル等)、アルデヒド系硬膜剤(ホルムアルデヒド、グリオキザール等)、活性ハロゲン系硬膜剤(2,4−ジクロロ−4−ヒドロキシ−1,3,5−s−トリアジン等)、活性ビニル系化合物(1,3,5−トリスアクリロイル−ヘキサヒドロ−s−トリアジン、ビスビニルスルホニルメチルエーテル等)、ほう酸およびその塩、ほう砂、アルミ明礬等が挙げられる。
【0031】
特に好ましい親水性バインダーとしてポリビニルアルコールおよびまたはカチオン変性ポリビニルアルコールを使用する場合には、ほう酸およびその塩、およびエポキシ系硬膜剤から選ばれる硬膜剤を使用するのが好ましい。
【0032】
最も好ましいのはほう酸およびその塩から選ばれる硬膜剤である。
【0033】
本発明で、ほう酸またはその塩としては、硼素原子を中心原子とする酸素酸およびその塩のことを示し、具体的にはオルトほう酸、二ほう酸、メタほう酸、四ほう酸、五ほう酸、八ほう酸およびそれらの塩が含まれる。
【0034】
上記硬膜剤の使用量は親水性バインダーの種類、硬膜剤の種類、無機微粒子の種類や親水性バインダーに対する比率等により変化するが、通常親水性バインダー1g当たり5〜500mg、好ましくは10〜300mgである。
【0035】
上記硬膜剤は、本発明の多孔質性インク吸収層形成用水溶性塗布液を塗布する際に、該塗布液中に添加してもよく、あるいは予め硬膜剤を含有する塗布液を塗布してある支持体上に、本発明のインク吸収層形成用水溶性塗布液を塗布しても良い。また、本発明のインク吸収層形成用水溶性塗布液(硬膜剤非含有)を塗布・乾燥した後で硬膜剤溶液をオーバーコートするなどして供給することができるが、これらの中で、好ましくは製造効率の観点から、本発明のインク吸収層形成用水溶性塗布液中に硬膜剤を添加して塗布する方法が好ましい。
【0036】
本発明の多孔質性インク吸収層には、画像の耐水性や、高湿下での滲みとブロンジングを改良する目的でカチオンポリマーを含有させている。本発明に用いられるカチオンポリマーとしては1級〜3級アミノ基及び4級アンモニウム塩基を有するポリマーを用いることができ、中でも、経時での変色や耐光性の劣化が少ないこと、染料の定着性が高いこと等から、4級アンモニウム塩基を有するカチオンポリマーが好ましい。
【0037】
本発明の第4級アンモニウム塩基を有するカチオンポリマーは、ポリマー主鎖または側鎖に第4級アンモニウム塩基を有する水溶性ポリマーが好ましく、インクジェット記録用紙で公知の化合物が用いられる。本発明においては、プリント後の高湿下でインクの滲みを効率よく改良する観点から特に側鎖に第4級アンモニウム塩基を有するカチオン性の水溶性ポリマーが好ましいが、特開昭57−36692号公報、特開平10−147056号公報等に記載の塩基性ラテックスポリマーを併用することもできる。
【0038】
また、特公平2−35675号公報記載のポリアルキレンポリアミン・ジシアンジアミドアンモニウム縮合物や特開平9−254529号公報記載の4級アンモニウム塩構造を含まないポリアルキレンポリアミン・ジシアンジアミド縮合物等をカチオンポリマーとして使用することも出来る。
【0039】
ポリマー主鎖に第4級アンモニウム塩基を有するカチオン性の水溶性ポリマーの例としては、例えばエピクロルヒドリン・ジメチルアミン付加重合物、ジメチルアリルアンモニウムクロライド・SO2共重合物、ジメチルアリルアンモニウムクロライド重合物などが挙げられる。
【0040】
ポリマー側鎖中に第4級アンモニウム塩基を有するカチオン性の水溶性ポリマーとしては、ポリアリルアミン塩の重合物、或いは下記一般式(1)または(2)で表される繰り返し単位を有するポリマーが挙げられる。
【0041】
【化1】
Figure 0003752902
【0042】
式中、RおよびR′は水素原子または炭素原子数が1〜4のアルキル基を表し、R1、R2、R3、R1′、R2′およびR3′はそれぞれアルキル基を表し、AおよびJは2価の連結基を表す。X1 -およびX2 -はアニオンを表す。mは1〜6の整数を表す。
【0043】
更に、具体的には、一般式(1)、(2)において、RおよびR′は水素原子または炭素原子数が1〜4のアルキル基であり、好ましくは水素原子またはメチル基である。
【0044】
1、R2、R3、R1′、R2′およびR3′はそれぞれアルキル基を表し、好ましくはメチル基またはエチル基である。このアルキル基はそれぞれ置換基を有していてもよい。
【0045】
AおよびJは2価の連結基を表すが、Aは単なる結合手、−CONH−または−COO−であることが好ましい。またJは単なる結合手または−CON(R″)−基であることが好ましい(R″は水素原子、または置換基を有していてもよいアルキル基を表す)。
【0046】
1 -およびX2 -はアニオン(ハロゲンイオン、メチル硫酸イオン、p−トルエンスルホン酸イオン等)を表す。
【0047】
分子内に第4級アンモニウム塩基を有するカチオン性の水溶性ポリマーとしては特に上記一般式(1)または一般式(2)で表される繰り返し単位を有するポリマーが好ましく、一般式(1)または一般式(2)で表される繰り返し単位から構成される単独重合体であってもよく、また、第4級アンモニウム塩基を含まない繰り返し単位との共重合体であってもよい。
【0048】
また、第4級アンモニウム塩基を有する繰り返し単位は一般式(1)と一般式(2)で表される繰り返し単位の両者を含むものであってもよく、更に一般式(1)または一般式(2)で表される繰り返し単位が各々2種以上繰り返し単位を含むものであっても良い。
【0049】
一般式(1)または一般式(2)と共に共重合される第4級アンモニウム塩基を有しない繰り返し単位に用いられる単量体としては、例えば、スチレン、ブタジエン、メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、ブチルメタクリレート、メチルアクリレート、エチルアクリレート、ブチルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、2−エチルヘキシルメタクリレート、ヒドロキシルエチルメタクリレート、酢酸ビニル、ビニルエーテル、アクリルアミド、N−メチルアクリルアミド、N−ブチルアクリルアミド、N−ビニルイミダゾール、4−ビニルピリジン、N−ビニルピロリドン等が挙げられる。
【0050】
上記水溶性ポリマーが共重合体である場合、一般式(1)または一般式(2)で表される繰り返し単位はモル比で20〜100モル%が好ましく、30〜100モル%が特に好ましい。
【0051】
上記第4級アンモニウム塩基を有するカチオンポリマーは第4級アンモニウム塩基を有するために水溶性であるが、共重合する第4級アンモニウム塩基を含まないモノマーの組成や共重合体の比率によっては完全に水に溶解しないことがあり、水混和性の有機溶媒と水との混合溶媒に溶解させることにより溶解し得るもので有れば本発明には使用できる。
【0052】
ここで水混和性有機溶媒とは、メタノール、エタノール、イソプロパノール、n−プロパノールなどのアルコール類、エチレングリコール、ジエチレングリコール、グリセリンなどのグリコール類、酢酸エチル、酢酸プロピル等のエステル類、アセトン、メチルエチルケトン等のケトン類、N,N−ジメチルホルムアミド等のアミド類など、水に対して概ね10%以上溶解し得る有機溶媒を言う。この場合、有機溶媒の使用量は水の使用量以下であることが好ましい。
【0053】
次に本発明の分子内に第4級アンモニウム塩基を有するカチオンポリマーの具体例を示すが、本発明はこれらに限定されるものではない。但し、P−16は本発明外の参考例である。
【0054】
【化2】
Figure 0003752902
【0055】
【化3】
Figure 0003752902
【0056】
【化4】
Figure 0003752902
【0057】
【化5】
Figure 0003752902
【0058】
【化6】
Figure 0003752902
【0059】
【化7】
Figure 0003752902
【0060】
【化8】
Figure 0003752902
【0061】
上記カチオンポリマーの数平均分子量は2000〜10万のものが好ましく、3000〜7万ものが特に好ましい。ここでの数平均分子量はゲルパーミエーションクロマトグラフィーで求めたPEG換算値である。
【0062】
本発明において、高湿下でのインクの滲みとブロンジングを共に改良するためには、少なくとも2種類以上のこれらカチオンポリマーを同一層に含有することが必要である。これは塗布液としては別に含有していても重層塗布、特に同時重層塗布した結果、乾燥過程での拡散等により結果として同一層に含有していれば構わない。
【0063】
2種類以上のカチオンポリマーとは、それぞれが互いに異なる組成を有するカチオンポリマーであり、それぞれのカチオンポリマーが、互いに異なる構造の第4級アンモニウム塩基を有するモノマー単位、または、第4級アンモニウム塩基を有するモノマー単位と第4級アンモニウム塩基を有さない互いに異なる構造であり10モル%以上のモノマー単位を含有することである。
【0064】
また同一層中の2種類以上のカチオンポリマーの混合比率、混合比率の最も少ないカチオンポリマーが5重量%以上であり、好ましくは10重量%以上含有されると本発明の効果は大きい。
【0065】
2種類以上のカチオンポリマーを同一層に含有することで滲みと共にブロンジングが改良される理由は必ずしも明らかではないが、構造の異なるカチオンポリマーが染料等の色材(着色剤)と共存することでの結晶化が抑制されるものと思われる。
【0066】
本発明に用いられるカチオンポリマーの添加量は、トータルでインクジェット記録用紙1m当たり通常0.1〜10g、好ましくは0.2〜5gの範囲で用いられる。添加量が多すぎるとインク吸収性が悪くなりプリントがまだら状になったり、ブロンジングが悪くなることがある。逆に少なすぎるとプリントの耐水性や高湿下での滲みが悪くなることがある。
【0067】
本発明に好ましく用いられる水溶性多価金属イオンとしては、2〜4価の多価金属イオンがあり、具体的にはCa2 +、Mg2 +、Zn2 +、Cu2 +、Fe3 +、Ni2 +、Co2 +、Al3 +等が挙げられるが、特にCa2 +、Mg2 +、Zn2 +、Al3 +が好ましい。
【0068】
その様な多価金属イオンの添加量は、記録用紙1m2当たり概ね0.1〜10ミリモルである。0.1ミリモル未満の場合は耐水性、高湿下での滲みに対する効果が少なく、又、10ミリモルを超えると染料の凝集が促進され、表面でのブロンジングが起こり易くなる。特に好ましくは0.2〜2ミリモルである。
【0069】
本発明のインクジェト記録用紙のインク吸収層及び必要に応じて設けられるその他の層には、前記した以外に各種の添加剤を添加することができる。
【0070】
例えば、ポリスチレン、ポリアクリル酸エステル類、ポリメタクリル酸エステル類、ポリアクリルアミド類、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、又はこれらの共重合体、尿素樹脂、又はメラミン樹脂等の有機ラテックス微粒子;カチオン又はノニオンの各種界面活性剤;特開昭57−74193号、同57−87988号及び同62−261476号に記載の紫外線吸収剤;特開昭57−74192号、同57−87989号、同60−72785号、同61−146591号、特開平1−95091号及び同3−13376号等に記載されている褪色防止剤;特開昭59−42993号、同59−52689号、同62−280069号、同61−242871号及び特開平4−219266号等に記載されている蛍光増白剤;硫酸、リン酸、クエン酸、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸カリウム等のpH調整剤;消泡剤、防腐剤、増粘剤、帯電防止剤、マット剤等の公知の各種添加剤を含有させることもできる。
【0071】
本発明の記録用紙に用いられる非吸水性支持体は、透明支持体あるいは不透明支持体がある。
【0072】
透明支持体としては、ポリエステル系樹脂、ジアセテート系樹脂、トリアセテート系樹脂、アクリル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂、ポリイミド系樹脂、セロハン、セルロイド等の材料から成るフィルム等が挙げられ、中でもOHPとして使用された時の輻射熱に耐える性質のものが好ましく、ポリエチレンテレフタレートが特に好ましい。この様な透明な支持体の厚さとしては、約10〜200μmが好ましい。
【0073】
又、不透明支持体としては、例えば基紙の少なくとも一方に白色顔料等を添加したポリオレフィン樹脂被覆層を有する樹脂被覆紙(所謂RCペーパー)、ポリエチレンテレフタレートに硫酸バリウム等の白色顔料を添加して成る所謂ホワイトペットが好ましい。
【0074】
上記各種支持体とインク吸収層の接着強度を大きくする等の目的で、インク吸収層の塗布に先立って、支持体にコロナ放電処理や下引処理等を行うことが好ましい。更に、本発明の記録シートは、必ずしも無色である必要はなく、着色された記録シートであってもよい。
【0075】
本発明のインクジェット記録用紙では、原紙支持体の両面をポリエチレンでラミネートした紙支持体を用いることが、記録画像が写真画質に近く、しかも低コストで高品質の画像が得られるため特に好ましい。その様なポリエチレンでラミネートした紙支持体について以下に説明する。
【0076】
紙支持体に用いられる原紙は、木材パルプを主原料とし、必要に応じて木材パルプに加えてポリプロピレン等の合成パルプあるいはナイロンやポリエステル等の合成繊維を用いて抄紙される。木材パルプとしては、LBKP,LBSP,NBKP,NBSP,LDP,NDP,LUKP,NUKPの何れも用いることが出来るが、短繊維分の多いLBKP,NBSP,LBSP,NDP,LDPをより多く用いることが好ましい。ただし、LBSP及び/又はLDPの比率は1070重量%が好ましい。
【0077】
上記パルプは、不純物の少ない化学パルプ(硫酸塩パルプや亜硫酸塩パルプ)が好ましく用いられ、又、漂白処理を行って白色度を向上させたパルプも有用である。
【0078】
原紙中には、高級脂肪酸、アルキルケテンダイマー等のサイズ剤、炭酸カルシウム、タルク、酸化チタンなどの白色顔料、スターチ、ポリアクリルアミド、ポリビニルアルコール等の紙力増強剤、蛍光増白剤、ポリエチレングリコール類等の水分保持剤、分散剤、4級アンモニウム等の柔軟化剤などを適宜添加することが出来る。
【0079】
抄紙に使用するパルプの濾水度は、CSFの規定で200〜500mlが好ましく、又、叩解後の繊維長がJIS−P−8207に規定される24メッシュ残分重量%と42メッシュ残分重量%との和が30〜70%が好ましい。尚、24メッシュ残分の重量%は20重量%以下であることが好ましい。
【0080】
原紙の坪量は30〜250gが好ましく、特に50〜200gが好ましい。原紙の厚さは40〜250μmが好ましい。
【0081】
原紙は、抄紙段階又は抄紙後にカレンダー処理して高平滑性を与えることも出来る。原紙密度は0.7〜1.2g/m2(JIS−P−8118)が一般的である。更に、原紙剛度はJIS−P−8143に規定される条件で20〜200gが好ましい。
【0082】
原紙表面には表面サイズ剤を塗布してもよく、表面サイズ剤としては、前記原紙中添加できるサイズ剤と同様のサイズ剤を使用できる。
【0083】
原紙のpHは、JIS−P−8113で規定された熱水抽出法により測定された場合、5〜9であることが好ましい。
【0084】
原紙表面及び裏面はを被覆するポリエチレンは、主として低密度のポリエチレン(LDPE)及び/又は高密度のポリエチレン(HDPE)であるが、他のLLDPEやポリプロピレン等も一部使用することが出来る。
【0085】
特に、インク吸収層側のポリエチレン層は、写真用印画紙で広く行われている様にルチル又はアナターゼ型の酸化チタンをポリエチレン中に添加し、不透明度及び白色度を改良したものが好ましい。酸化チタン含有量は、ポリエチレンに対して概ね3〜20重量%、好ましくは4〜13重量%である。
【0086】
ポリエチレン被覆紙は、光沢紙として用いることも、又、ポリエチレンを原紙表面上に溶融、押し出してコーティングする際に、いわゆる型付け処理を行って、通常の写真印画紙で得られる様なマット面や絹目面を形成したものも本発明で使用できる。
【0087】
原紙の表裏のポリエチレンの使用量は、インク吸収層やバック層を設けた後で低湿及び高湿化でのカールを最適化する様に選択されるが、概ねインク吸収層側のポリエチレン層が20〜40μm、バック層側が10〜30μmの範囲である。
【0088】
更に、上記ポリエチレン被覆紙支持体は、以下の特性を有していることが好ましい。
1)引っ張り強さ:JIS−P−8113で規定される強度で縦方向が2〜30kg、横方向が1〜20kg。
2)引き裂き強度:JIS−P−8116による規定方法で縦方向が10〜200g,横方向が20〜200g。
3)弾性:圧縮弾性率≧103kgf/cm2
4)面ベック平滑度:JIS−P−8119に規定される条件で20秒以上(光沢面)。型付け品ではこれ以下も可。
5)不透明度:直線光入射/拡散光透過条件の測定条件で、可視域の光線での透過率が20%以下(特に15%以下)。
【0089】
本発明の多孔質性のインク吸収層は2層以上から構成されてもよく、この場合、それらのインク吸収層の構成はお互いに同じであっても異なってもよい。
【0090】
本発明の記録用紙のインク吸収層及び下引層など、必要に応じて適宜設けられる各種の親水性層を支持体上に塗布する方法は、公知の方法から適宜選択して行うことができる。
【0091】
本発明において好ましい方法は、各層を構成する塗布液を支持体上に塗設・乾燥して得られる。この場合、2層以上を同時に塗布することもでき、特に下引層やインク吸収層を含む全ての親水性バインダー層を1回の塗布で済ます同時重層塗布が好ましい。
【0092】
塗布方式としては、ロールコーティング法、ロッドバーコーティング法、エアナイフコーティング法、スプレーコーティング法、カーテン塗布方法又は米国特許2,681,294号に記載のホッパーを使用する、エクストルージョンコート法が好ましく用いられる。特に、スライドホッパー又は押出しホッパーを用いるエクストルージョンコート法が好ましい。
【0093】
本発明のインクジェット記録用紙を用いて画像記録する際には、水性インクを用いた記録方法が好ましく用いられる。
【0094】
本発明で言う水性インクとは、好ましくは、下記着色剤及び溶媒、その他の添加剤から成る記録液体である。
【0095】
着色剤としては、インクジェットで公知の直接染料、酸性染料、塩基性染料、反応性染料又は食品用色素等の水溶性染料又は水分散性顔料が使用できる。これらを単独あるいは複数種類を併用してもよい。
【0096】
本発明に用いることができる着色剤ついては、特願平10−112691号の段落番号[0022]第2行〜[0044]を参照できる。
【0097】
水性インクの溶媒としては、水及び水溶性の各種有機溶剤、例えばメチルアルコール、i−プロピルアルコール、ブチルアルコール、t−ブチルアルコール、i−ブチルアルコール等のアルコール類;ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド等のアミド類;アセトン、ジアセトンアルコール等のケトン又はケトンアルコール類;テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル類;ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール等のポリアルキレングリコール類;エチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、トリエチレングリコール、1,2,6−ヘキサントリオール、チオジグリコール、ヘキシレングリコール、ジエチレングリコール、グリセリン、トリエタノールアミン等の多価アルコール類;エチレングリコールメチルエーテル、ジエチレングリコールメチル(又はエチル)エーテル、トリエチレングリコールモノブチルエーテル等の多価アルコールの低級アルキルエーテル類等が挙げられる。
【0098】
これらの多くの水溶性有機溶剤の中でも、ジエチレングリコール、トリエタノールアミンやグリセリン等の多価アルコール類、トリエチレングリコールモノブチルエーテルの多価アルコールの低級アルキルエーテル類は好ましいものである。
【0099】
その他、水性インクの添加剤としては、例えばpH調節剤、金属封鎖剤、防黴剤、粘度調整剤、表面張力調整剤、湿潤剤、界面活性剤及び防錆剤などが挙げられる。
【0100】
水性インク液は、記録用紙に対する濡れ性を良好にするため、20℃において25〜60dyn/cm、好ましくは30〜50dyn/cmの範囲内の表面張力を有することが好ましい。
【0101】
また、本発明においては、濃淡インクを使用した記録装置で記録すると、本発明の効果が顕著に現れる。例えば、従来のカラー記録装置は、Y、M、C、Kの4つの基準色に対して、各1種類のインクを使用する方法が主流であるが、ある基準色については2種以上のインクを使用した場合、多階調化や、低濃度部のざらつき感を向上できる。特にある基準色(例えばY、M、C、K)が2種類以上の吸光度の異なるインク(濃淡インク)を使用することであり、低濃度部は主として淡色(吸光度の低い)のインクを使用しざらつき感を低減し、また、高濃度部は主として濃色(吸光度の高い)のインクを使用し、十分な最大濃度が出るような構成が知られている。淡色インクと濃色インクが同じ染料を使用していても構わないし、異なる染料を使用していても、複数の異なる染料の組み合わせなどでも構わない。このような基準色について濃淡インクを使用している記録装置としては、例えばPM−700C、750C(セイコーエプソン)、Picty300(NEC)、Photo Smart(ヒューレットパッカード)等の商品名で市販されており、Y、M、C、Kのほかに淡色のM、淡色のCのインクの計6種のインクにより出力することが特徴である。また、同様の方式の記録装置の例としてBJC−700J(キャノン社製)も挙げられる。
【0102】
【実施例】
以下に本発明の実施例を挙げて具体的に説明するが、本発明の実施態様はこれらの例に限定されるものではない。
【0103】
なお、実施例中で「%」は特に断りのない限り絶乾重量%を示す。
参考例1
「塗布液の調製」
例示カチオンポリマーP−1の12%水溶液1000mlと気相法シリカ(日本アエロジル株式会社製:アエロジル300)の18%水分散液4500mlを室温で攪拌しながら添加した。次にホウ酸とホウ砂の1:1混合水溶液(ホウ酸及びホウ砂がそれぞれ5重量%含有)350mlを攪拌しながら徐々に添加した。
【0104】
次いで、高圧ホモジナイザー(三和機械株式会社製)で400Kg/cm2の条件で分散し均一でほぼ透明な分散液を得た(分散液B1)。
同様にしてカチオンポリマーP−2〜P−30を用いて得た分散液をそれぞれB2〜B30とする。また、カチオンポリマーを未添加で同様に得た分散液をB0とする。
【0105】
次に上記分散液を用いて下記の3種類の塗布液を40℃で調整した。
第1層用塗布液
分散液B3 620ml
ポリビニルアルコール(株式会社クラレ、PVA235)
5%水溶液 270ml
純水 全量を1000mlに仕上げる
第2層用塗布液
分散液B3 620ml
ポリビニルアルコール(株式会社クラレ、PVA235)
5%水溶液 270ml
純水 全量を1000mlに仕上げる
第3層用塗布液
分散液B3 310ml
分散液B13 310ml
ポリビニルアルコール(株式会社クラレ、PVA235)
5%水溶液 270ml
純水 全量を1000mlに仕上げる
「記録用紙の作製」
厚さ170g/m2の原紙の両面をポリエチレンで被覆したポリエチレンコート紙(インク吸収層側のポリエチレン中の8重量%のアナターゼ型酸化チタン含有;インク吸収層側に0.05g/m2のゼラチン下引き層、反対側にTgが約80℃のラテックス性ポリマーをバック層0.2g/m2として有する)に、前記インク吸収層側から第1層(50μm)、第2層(50μm)、第3層(50μm)の順になるようにスライドホッパーで同時重層塗布を行い、塗布直後に0℃に保たれた冷却ゾーンで20秒間冷却後、60℃の風で3分間乾燥し記録用紙−1を得た。
次に記録用紙−1の分散液を表1に示すように変更した以外は記録用紙−1と同様にして記録用紙−2〜13を作成した。
【0106】
得られたインクジェット記録用紙について以下の項目について評価した。
(1)ブロンジング
セイコーエプソン株式会社製のインクジェットプリンターPM750Cで記録用紙に黒ベタ印字し、23℃、80%RH下に24時間保存後、黒ベタ印字部を下記のように評価した。
【0107】
印字部にブロンジングの発生が見られないものをA、発生面積が全体の10%未満のものをB、10〜20%未満のものをC、20〜50%未満のものをD、50%〜全面に発生が見られるものをEとした。
(2)画像滲み
上記(1)と同じプリンターでY.M.C.K(イエロー、マゼンタ、シアン、ブラック)の各ラインを幅約0.3mmで印字し、23℃80%RH下で1週間保存後、各ラインの線幅をマイクロデンシトメーターで測定して線幅の拡がり率(元の線幅に対する保存後の線幅の比率)を求めた。
【0108】
得られた結果を表1に示す。
【0109】
【表1】
Figure 0003752902
【0110】
この結果から、2種類のカチオンポリマーを同一層に併用することによりブロンジングが改良されることがわかる。また、このような層が最上層にある方がよいこと、2種類のカチオンポリマーの混合比率の高い方、カチオンモノマー以外のモノマー成分比率が高い方がブロンジングがより改良されることがわかる。
実施例
参考例1の記録用紙−1(参考例)に、表2に示す水溶性多価金属塩を添加した記録用紙−20〜29及び記録用紙−7(比較例)に水溶性多価金属塩を添加した記録用紙−30を同様にして作成した。
【0111】
得られたインクジェット記録用紙を参考例1と同様にして評価した。結果を表2に示す。
【0112】
【表2】
Figure 0003752902
【0113】
この結果から、水溶性多価金属塩を添加することによってブロンジングは劣化傾向だが、本発明の記録用紙に添加することによってブロンジングが大きく劣化されることなく、画像滲みがさらに改良されることがわかる。
【0114】
【発明の効果】
本発明の多孔質性インク吸収層を有するインクジェット記録用紙は、高湿下でのインクの滲みとプリント後のブロンジングの両方において、その改良に優れた効果を発揮する。

Claims (3)

  1. 非吸水性支持体上に少なくとも1層以上の親水性バインダー及び無機微粒子からなる多孔質性インク吸収層を有するインクジェット記録用紙において、前記インク吸収層の少なくとも1層が、少なくとも下記〔A〕に示される2種類以上のカチオンポリマーを同一層に含有すると共に該同一層中の2種以上のカチオンポリマーの混合比率は、混合比率の最も少ないカチオンポリマーが5重量%以上であり、且つ前記多孔質性インク吸収層が記録用紙1m当たり0.1〜10ミリモルの水溶性多価金属イオンを含有することを特徴とするインクジェット記録用紙。
    〔A〕
    それぞれが互いに異なる組成を有するカチオンポリマーであり、それぞれのカチオンポリマーが、互いに異なる構造の第4級アンモニウム塩基を有するモノマー単位、または、第4級アンモニウム塩基を有するモノマー単位と第4級アンモニウム塩基を有さない互いに異なる構造であり10モル%以上のモノマー単位を含有すること。
  2. 非吸水性支持体上に少なくとも1層以上の親水性バインダー、無機微粒子、水溶性多価金属イオンを含有する多孔質性インク吸収層を有するインクジェット記録用紙の製造方法において、前記インク吸収層が2以上の複数層からなり、該インク吸収層の少なくとも1層が、少なくとも下記〔A〕に示される2種類以上のカチオンポリマーを同一層に含有すると共に該同一層中の2種以上のカチオンポリマーの混合比率は、混合比率の最も少ないカチオンポリマーが5重量%以上であり、該2種類以上のカチオンポリマーを含有するインク吸収層を含む全てのインク吸収層を同時重層塗布することを特徴とするインクジェット記録用紙の製造方法。
    〔A〕
    それぞれが互いに異なる組成を有するカチオンポリマーであり、それぞれのカチオンポリマーが、互いに異なる構造の第4級アンモニウム塩基を有するモノマー単位、または、第4級アンモニウム塩基を有するモノマー単位と第4級アンモニウム塩基を有さない互いに異なる構造であり10モル%以上のモノマー単位を含有すること。
  3. 少なくとも1種の基準色に対して、2種以上の異なるインクにより記録する記録装置で、請求項1に記載の記録用紙に記録することを特徴とするカラーインクジェット記録方法。
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