JP5826207B2 - 記録媒体 - Google Patents
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Description
以下、本発明の記録媒体を構成する各成分について、それぞれ説明する。
本発明の記録媒体のインク受容層は、気相法シリカ及びバインダーを含有し、更に、支持体側から順に、スルホニル基を有するカチオン性ポリマーを含有しない第2の層と第1の層がスルホニル基を有するカチオン性ポリマーを含有する第1の層とを有する。本発明のインク受容層の構成を、図1を用いて説明する。図1における(a)が支持体であり、(b)が第2の層であり、(c)が第1の層である。本発明においては、第1の層の上部や第1の層と第2の層の間に、その他の層を有していてもよい。
本発明において、インク受容層の第1の層は、スルホニル基を有するカチオン性ポリマーを含有する。第1の層の膜厚(図1における(c)の膜厚)は、5μm以上30μm以下であることが好ましく、10μm以上25μm以下であることがより好ましい。第1の層の膜厚が、10μmより小さいと、画像の耐オゾン性の向上効果が十分に得られない場合があり、25μmより大きいと、インク受容層のクラックの発生の抑制効果が十分に得られない場合がある。
本発明において、インク受容層の第2の層は、(1)スルホニル基を有するカチオン性ポリマーを含有しない、又は、(2)スルホニル基を有するカチオン性ポリマーを含有しても、その含有量が前記気相法シリカ100質量部に対し、0.1質量部以下である。第2の層の膜厚(図1における(b)の膜厚)は、インク受容層のクラックの発生の抑制の観点から、10μm以上35μm以下であることが好ましい。本発明においては、第1の層以外のインク受容層が全て第2の層であることが好ましい。
本発明において、インク受容層は第1の層及び第2の層共に気相法シリカを含有する。気相法シリカは、ハロゲン化珪素の高温気相加水分解による方法(火炎加水分解法)、ケイ砂とコークスとを電気炉中でアークによって加熱還元気化し、これを空気で酸化する方法(アーク法)によって無水シリカを得る方法などによって得られる。具体的に、気相法シリカとしては、アエロジル(日本アエロジル製)、レオロシールQSタイプ(トクヤマ製)などが挙げられる。
本発明において、インク受容層は第1の層及び第2の層共にバインダーを含有する。バインダーとしては、上記気相法シリカを結着し、被膜を形成する能力のある材料であって、かつ、本発明の効果を損なわないものであれば、特に制限なく利用することができる。
本発明において、インク受容層は、架橋剤を含有することができる。架橋剤としては、例えば、アルデヒド系化合物、メラミン系化合物、イソシアネート系化合物、ジルコニウム系化合物、アミド系化合物、アルミニウム系化合物、ホウ酸、及びホウ酸塩などが挙げられる。これらの架橋剤は、必要に応じて1種又は2種以上を用いることができる。上記した架橋剤の中でも、インク受容層のクラックの発生を抑制する効果の大きい、ホウ酸及びホウ酸塩を用いることが好ましい。
本発明において、インク受容層の第1の層はスルホニル基を有するカチオン性ポリマーを含有する。スルホニル基を有するカチオン性ポリマーは、ジアリルアミン塩酸塩、メチルジアリルアミン塩酸塩、ジアリルジメチルアンモニウムクロリドなどのカチオン性モノマーと、二酸化硫黄の共重合により得られる。具体的に、スルホニル基を有するカチオン性ポリマーとしては、下記一般式(1)で表される化合物及び下記一般式(2)で表される化合物が挙げられる。
本発明において、グリコールとは、鎖式又は環式脂肪族炭化水素の2つの炭素原子に1つずつヒドロキシル基が置換している構造を持つ化合物を意味する。具体的に、グリコールとしては、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、イソプレングリコール、ヘキシレングリコール、及び1,3−ブチレングリコール、1,2−ヘキサンジオールなどが挙げられる。
本発明において、インク受容層には多価金属を含有することが好ましい。本発明において、「多価金属」は、多価金属イオンの形態や多価金属塩の形態を含む。多価金属としては、二価以上の金属が挙げられる。二価の金属としては、ベリリウム、マグネシウム、カルシウム、ストロンチウム、バリウム、ジルコニウム及びラジウムなどのアルカリ土類金属、三価以上の金属としてはアルミニウム、イットリウム、ジルコニウム、鉄やその他の遷移金属が挙げられる。本発明において、前記多価金属は水酸化物、塩化物、硝酸塩などの水溶性の塩の形態でインク受容層用の塗工液に添加することが好ましい。尚、本発明において、水溶性とは、常温常圧下で水に1質量%以上溶解することを意味する。
本発明において、インク受容層は、これまで述べてきた材料以外のその他の材料を含有してもよい。その他の材料としては、pH調整剤、増粘剤、流動性改良剤、消泡剤、抑泡剤、界面活性剤、離型剤、浸透剤、着色顔料、着色染料、蛍光増白剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、防腐剤、防黴剤、耐水化剤、染料定着剤、硬化剤、耐候材料などが挙げられる。
本発明の記録媒体に用いる支持体は、特に限定されず、上質紙、中質紙、コート紙、アート紙、キャストコート紙などの紙類、合成紙、白色プラスチックフィルム、透明プラスチックフィルム、又は半透明プラスチックフィルム、樹脂被覆紙などを用いることができる。
本発明において、記録媒体を製造する方法は、特に限定されないが、インク受容層用の塗工液を支持体に塗工する工程を有する記録媒体の製造方法が好ましい。以下、記録媒体の製造方法について説明する。
本発明の記録媒体において、支持体の作製方法としては、一般的に用いられている紙の作製方法を適用することができる。抄紙装置としては、例えば長網抄紙機、丸網抄紙機、円胴、ツインワイヤーなどが挙げられる。
本発明の記録媒体において、支持体上にインク受容層を形成する方法としては、気相法シリカ及びバインダーと、必要に応じてその他の材料を混合し、塗工液を作製し、塗工液を支持体上に塗工し、乾燥する方法が好ましい。本発明においては、2種類の塗工液を作製し、順次塗工し乾燥する逐次塗工法や、2種類の塗工液を同時に塗工する同時多層塗工法であってもよい。具体的には、気相法シリカ及びバインダーを含有し、かつ、(1)スルホニル基を有するカチオン性ポリマーを含有しない、又は、(2)スルホニル基を有するカチオン性ポリマーを含有しても、その含有量が前記気相法シリカ100質量部に対し、0.1質量部以下である塗工液を支持体上に塗工する工程と、その上から更に、気相法シリカ、バインダー、スルホニル基を有するカチオン性ポリマー及びグリコールを含有する塗工液を塗工する工程とを有する方法や、気相法シリカ及びバインダーを含有し、かつ、(1)スルホニル基を有するカチオン性ポリマーを含有しない、又は、(2)スルホニル基を有するカチオン性ポリマーを含有しても、その含有量が前記気相法シリカ100質量部に対し、0.1質量部以下である塗工液と、気相法シリカ、バインダー、スルホニル基を有するカチオン性ポリマー及びグリコールを含有する塗工液とを同時に塗工する方法が挙げられる。特に、スライドビード方式やスライドカーテン方式などの同時多層塗工法は、生産性が高く好ましい。塗工液の塗工量は、乾燥固形分換算で、5g/m2以上45g/m2以下が好ましい。5g/m2以上とすることで、インク吸収性を良好なものとすることができる。また、45g/m2以下とすることで、コックリングの発生を抑制できる。また、インク受容層形成後に、記録媒体の表面を平滑にするために、カレンダー処理、熱カレンダー処理、スーパーカレンダー処理などを行ってもよい。
<支持体の作製>
下記条件にて支持体を作製した。まず、下記組成の紙料を固形分濃度が3質量%となるように水で調製した。
・パルプ 100部
(濾水度450mlCSF(Canadian Standarad Freeness)の、広葉樹晒しクラフトパルプ(LBKP)80部、及び濾水度480mlCSFの、針葉樹晒しクラフトパルプ(NBKP)20部)
・カチオン化澱粉 0.60部
・重質炭酸カルシウム 10部
・軽質炭酸カルシウム 15部
・アルキルケテンダイマー 0.10部
・カチオン性ポリアクリルアミド 0.03部
イオン交換水79.23部に対して、ポリジアリルジメチルアミン塩酸塩であるシャロールDC902P(第一工業製薬製、固形分の含有量が50質量%)を1.54部(気相法シリカ100質量部に対して、固形分換算で4質量部)を添加した。このカチオンポリマー水溶液をT.K.ホモミキサーMARKII2.5型(特殊機化工業製)で3,000rpmの回転条件で攪拌しながら気相法シリカAEROSIL300(EVONIK製)19.23部を少量ずつ添加した。更にナノマイザー(吉田機械興業製)で2回処理を行い、固形分の含有量が20質量%の気相法シリカゾルAを調製した。
ポリビニルアルコールPVA235(クラレ製、粘度平均重合度:3,500、けん化度:88mol%)をイオン交換水に溶解して、固形分の含有量が8.0質量%のバインダー溶液を得た。
気相法シリカゾルAに含まれる気相法シリカ固形分100部に対して、それぞれ固形分換算で、スルホニル基を有するカチオン性ポリマーであるジアリルジメチルアンモニウムクロリド−二酸化硫黄共重合体PAS−A−5(ニットーボーメディカル製、固形分の含有量が40質量%)1.0部、多価金属の水溶性塩である酢酸ジルコウムZA−30(第一稀元素化学工業製、固形分の含有量が30質量%)2.0部、バインダー水溶液20.0部となるように混合し、混合溶液を得た。次いで、得られた混合溶液中のポリビニルアルコール固形分100部に対して、固形分換算で20.0部となるように架橋剤であるオルトホウ酸水溶液(固形分の含有量が5質量%)を混合した。更に、界面活性剤サーフィノール465(日信化学工業製)を塗工液の全質量に対して0.1質量%となるように添加し、インク受容層用塗工液1を得た。
<インク受容層用塗工液1の調製>において、スルホニル基を有するカチオン性ポリマーであるジアリルジメチルアンモニウムクロリド−二酸化硫黄共重合体PAS−A−5を添加しなかった以外は、同様にしてインク受容層用塗工液2を調製した。
上記で得た支持体上に、インク受容層用塗工液1及び2を乾燥時の膜厚がそれぞれ25μm、40μmとなり、かつ、支持体側から順に、塗工液2の層、塗工液1の層となるように、多層スライドホッパー型塗工装置を用いて塗工し、60℃で乾燥して、参考例1の記録媒体を作製した。
参考例1の<インク受容層用塗工液1の調製>において、更に、グリコールであるプロピレングリコールを、気相法シリカゾルAに含まれる気相法シリカ固形分100部に対する固形分換算でそれぞれ2.0部、10.0部、20.0部添加した以外は、同様にして実施例1〜3の記録媒体を作製した。
参考例1の<インク受容層用塗工液1の調製>において、更に、グリコールであるエチレングリコールを、気相法シリカゾルAに含まれる気相法シリカ固形分100部に対する固形分換算で10.0部添加した以外は、同様にして実施例4の記録媒体を作製した。
参考例1の<インク受容層用塗工液1の調製>において、更に、グリコールである1,2−ヘキサンジオールを、気相法シリカゾルAに含まれる気相法シリカ固形分100部に対する固形分換算で10.0部添加した以外は、同様にして実施例5の記録媒体を作製した。
参考例1の<インク受容層用塗工液1の調製>において、更に、イソプロパノールを、気相法シリカゾルAに含まれる気相法シリカ固形分100部に対する固形分換算で10.0部添加した以外は、同様にして参考例6の記録媒体を作製した。
参考例1の<インク受容層用塗工液1の調製>において、更に、マロン酸を、気相法シリカゾルAに含まれる気相法シリカ固形分100部に対する固形分換算で10.0部添加した以外は、同様にして参考例7の記録媒体を作製した。
参考例1の<インク受容層用塗工液1の調製>において、スルホニル基を有するカチオン性ポリマーであるジアリルジメチルアンモニウムクロリド−二酸化硫黄共重合体PAS−A−5 1.0部の代わりに、メチルジアリルアミン塩酸塩−二酸化硫黄共重合体PAS−2201CL(ニットーボーメディカル製、固形分の含有量が25質量%) 1.0部を用いた以外は、同様にして実施例8の記録媒体を作製した。
参考例1の<インク受容層用塗工液1の調製>において、スルホニル基を有するカチオン性ポリマーであるジアリルジメチルアンモニウムクロリド−二酸化硫黄共重合体PAS−A−5 1.0部の代わりに、ジアリルメチルエチルアンモニウムエチルサルフェイト−二酸化硫黄共重合体PAS−2401(ニットーボーメディカル製、固形分の含有量が25質量%) 1.0部を用いた以外は、同様にして実施例9の記録媒体を作製した。
参考例1の<インク受容層用塗工液1の調製>において、スルホニル基を有するカチオン性ポリマーであるジアリルジメチルアンモニウムクロリド−二酸化硫黄共重合体PAS−A−5 1.0部の代わりに、ジアリルアミン塩酸塩−二酸化硫黄共重合体PAS−92(ニットーボーメディカル製、固形分の含有量が20質量%) 1.0部を用いた以外は、同様にして実施例10の記録媒体を作製した。
参考例1の<インク受容層用塗工液1の調製>において、スルホニル基を有するカチオン性ポリマーであるジアリルジメチルアンモニウムクロリド−二酸化硫黄共重合体PAS−A−5の含有量をそれぞれ0.2部、0.5部、2.0部、4.0部とした以外は、同様にして実施例11〜14の記録媒体を作製した。
実施例2の<記録媒体の作製>において、インク受容層用塗工液1及び2を乾燥時の膜厚がそれぞれ5μm、35μmとなるように塗工した以外は、同様にして実施例15の記録媒体を作製した。
実施例2の<記録媒体の作製>において、インク受容層用塗工液1及び2を乾燥時の膜厚がそれぞれ10μm、30μmとなるように塗工した以外は、同様にして実施例16の記録媒体を作製した。
実施例2の<記録媒体の作製>において、インク受容層用塗工液1及び2を乾燥時の膜厚がそれぞれ25μm、15μmとなるように塗工した以外は、同様にして実施例17の記録媒体を作製した。
実施例2の<記録媒体の作製>において、インク受容層用塗工液1及び2を乾燥時の膜厚がそれぞれ30μm、10μmとなるように塗工した以外は、同様にして実施例18の記録媒体を作製した。
実施例2で得られた記録媒体の上に、更に、コロイダルシリカ クオートロンPL−3L(扶桑化学工業製、固形分の含有量が20%)と、高塩基性ポリ塩化アルミHAP25(理研グリーン製、固形分の含有量が25%)を、固形分の質量比率で100:10に混合した塗工液を、乾燥時の膜厚が0.2μmとなるようにバーコーターを用いて塗工し、記録媒体19を得た。
参考例1の<インク受容層用塗工液1の調製>において、更に、グリコールであるプロピレングリコールを、気相法シリカゾルAに含まれる気相法シリカ固形分100部に対する固形分換算で10.0部添加し、更に、<インク受容層用塗工液2の調製>において、スルホニル基を有するカチオン性ポリマーであるジアリルジメチルアンモニウムクロリド−二酸化硫黄共重合体PAS−A−5を、気相法シリカ固形分100部に対する固形分換算で0.1部添加した以外は、同様にして実施例20の記録媒体を作製した。
参考例1の<インク受容層用塗工液1の調製>において、スルホニル基を有するカチオン性ポリマーであるジアリルジメチルアンモニウムクロリド−二酸化硫黄共重合体PAS−A−5を添加しなかった以外は、同様にして比較例1の記録媒体を作製した。
実施例2の<インク受容層用塗工液1の調製>において、スルホニル基を有するカチオン性ポリマーであるジアリルジメチルアンモニウムクロリド−二酸化硫黄共重合体PAS−A−5を添加しなかった以外は、同様にして比較例2の記録媒体を作製した。
参考例1の<記録媒体の作製>において、支持体側から順に、インク受容層用塗工液1の層、インク受容層用塗工液2の層となるように、かつ、塗工液1及び2を乾燥時の膜厚がそれぞれ25μm、15μmとなるように塗工した以外は、同様にして比較例3の記録媒体を作製した。
実施例9の<記録媒体の作製>において、支持体側から順に、インク受容層用塗工液1の層、インク受容層用塗工液2の層となるように、かつ、塗工液1及び2を乾燥時の膜厚がそれぞれ25μm、15μmとなるように塗工した以外は、同様にして比較例4の記録媒体を作製した。
実施例2の<記録媒体の作製>において、支持体側から順に、インク受容層用塗工液1の層、インク受容層用塗工液2の層となるように、かつ、塗工液1及び2を乾燥時の膜厚がそれぞれ25μm、15μmとなるように塗工した以外は、同様にして比較例5の記録媒体を作製した。
実施例2の<記録媒体の作製>において、インク受容層用塗工液1を2つの層の両方に用い、それぞれの層の膜厚が支持体側から順に25μm、15μmとなるように塗工した以外は、同様にして比較例6の記録媒体を作製した。
実施例2の<インク受容層用塗工液1の調製>において、スルホニル基を有するカチオン性ポリマーであるジアリルジメチルアンモニウムクロリド−二酸化硫黄共重合体PAS−A−5 1.0部の代わりに、スルホニル基を有さないカチオン性ポリマーであるポリジアリルジメチルアミン塩酸塩であるシャロールDC902P(第一工業製薬製、固形分の含有量が50質量%) 1.0部を用いた以外は、同様にして比較例7の記録媒体を作製した。
実施例2の<インク受容層用塗工液1の調製>において、スルホニル基を有するカチオン性ポリマーであるジアリルジメチルアンモニウムクロリド−二酸化硫黄共重合体PAS−A−5 1.0部の代わりに、スルホニル基を有さないカチオン性ポリマーであるアリルアミン塩酸塩重合体PAA−HCL−05(ニットーボーメディカル製、固形分の含有量が40質量%) 1.0部を用いた以外は、同様にして比較例8の記録媒体を作製した。
実施例2の<インク受容層用塗工液1の調製>において、スルホニル基を有するカチオン性ポリマーであるジアリルジメチルアンモニウムクロリド−二酸化硫黄共重合体PAS−A−5 1.0部の代わりに、スルホニル基を有さないカチオン性ポリマーであるメチルジアリルアミン重合体PAS−M−1(ニットーボーメディカル製、固形分の含有量が50質量%) 1.0部を用いた以外は、同様にして比較例9の記録媒体を作製した。
実施例2の<インク受容層用塗工液1の調製>において、スルホニル基を有するカチオン性ポリマーであるジアリルジメチルアンモニウムクロリド−二酸化硫黄共重合体PAS−A−5 1.0部の代わりに、スルホニル基を有さないカチオン性ポリマーであるジアリルジメチルアンモニウムクロリド−アクリルアミド共重合体PAS−J−81(ニットーボーメディカル製、固形分の含有量が25質量%) 1.0部を用いた以外は、同様にして比較例10の記録媒体を作製した。
本発明においては下記の各評価項目の評価基準において、A〜Cを好ましいレベルとし、D及びEを許容できないレベルとした。尚、下記の各評価においては、インクカートリッジBCI−321(キヤノン製)を装着したインクジェット記録装置PIXUS MP990(キヤノン製)を用いた。記録条件は、温度:23℃、相対湿度:50%とした。また、上記インクジェット記録装置では、解像度600dpi×600dpiで1/600インチ×1/600インチの単位領域に約11ngのインクを1滴付与する条件で記録された画像を、記録デューティが100%であると定義するものである。
上記で得られた各記録媒体のインク受容層表面を目視で観察し、インク受容層のクラック抑制効果を評価した。評価基準は以下の通りである。評価結果を表2に示す。
A:クラックが発生していなかった
B:微小なクラックが発生していた
C:一部にクラックが発生していたが、目立つレベルではなかった
D:全面にクラックが発生していた
E:大きなクラックが発生しており、インク受容層が支持体から剥がれている部分があった。
上記で得られた各記録媒体に対して、上記インクジェット記録装置を用いて、「光沢プロ プラチナグレード」モードにて、ブラックパッチ(2.5cm×2.5cm)を、光学濃度が1.0±0.1になるように記録した。得られた画像を、オゾン曝露試験機OMS−H(スガ試験機製)に入れて、温度:23℃、相対湿度:50%の条件で濃度2.5ppmのオゾンに100時間曝露した。そして、分光光度計Spectrolino(Gretag Macbeth製)を用いて、曝露試験前後のブラックパッチの光学濃度を測定し、以下の式により、シアン、マゼンタ、イエローの各成分の濃度残存率を算出した。
濃度残存率(%)=(試験後の画像濃度/試験前の画像濃度)×100
A:シアン成分の濃度残存率が82%以上であった
B:シアン成分の濃度残存率が79%以上82%未満であった
C:シアン成分の濃度残存率が76%以上79%未満であった
D:シアン成分の濃度残存率が73%以上76%未満であった
E:シアン成分の濃度残存率が73%未満であった。
上記で得られた各記録媒体に対して、上記インクジェット記録装置を用いて、「光沢プロ プラチナグレード、色補正なし」モードにて、2.5cm×2.5cmのシアンのベタ画像(記録デューティが100%の画像)を記録した。得られた画像を目視で観察することで、画像の耐ブロンズ性を評価した。評価基準は以下の通りである。評価結果を表2に示す。
A:ブロンズが観察されなかった
B:ごく僅かに赤味のブロンズが観察された
C:僅かに赤味のブロンズが観察されたが、目立たないレベルであった
D:赤味のブロンズが観察された
E:金属光沢調のブロンズが観察された。
上記で得られた各記録媒体を、温度:90℃、相対湿度:50%の高温条件で48時間保存し、保存試験前後の記録媒体の白紙部分について、分光光度計Spectrolino(Gretag Macbeth製)を用いて、L*値、a*値、及びb*値を測定し、以下の式により△Eを算出した。
△E={(試験前の記録物のL*値−試験後の記録物のL*値)2+(試験前の記録物のa*値−試験後の記録物のa*値)2+(試験前の記録物のb*値−試験後の記録物のb*値)2}1/2
A:△Eが2.3未満であった
B:△Eが2.3以上2.6未満であった
C:△Eが2.6以上2.9未満であった
D:△Eが2.9以上3.2未満であった
E:△Eが3.2以上であった。
Claims (9)
- 支持体と第2のインク受容層と第1のインク受容層とをこの順に有する記録媒体において、
前記第1のインク受容層が、気相法シリカ、バインダー、スルホニル基を有するカチオン性ポリマー及びグリコールを含有し、
前記第2のインク受容層が、気相法シリカ及びバインダーを含有し、かつ、(1)スルホニル基を有するカチオン性ポリマーを含有しない、又は、(2)スルホニル基を有するカチオン性ポリマーを含有しても、その含有量が前記気相法シリカ100質量部に対し、0.1質量部以下であることを特徴とする記録媒体。 - 前記第1のインク受容層に占める、前記グリコールの含有量が、前記スルホニル基を有するカチオン性ポリマーの含有量に対し、質量比率で2.0倍以上20.0倍以下である請求項1に記載の記録媒体。
- 前記スルホニル基を有するカチオン性ポリマーが、下記一般式(1)で表される化合物を含む請求項1又は2に記載の記録媒体。
(一般式(1)において、R1及びR2は水素原子又はアルキル基を表す。尚、R1とR2が同時に水素原子となる場合を除く。X−は、ハロゲンイオン、硫酸イオン、スルホン酸イオン、アルキルスルホン酸イオン、酢酸イオン、アルキルカルボン酸イオン、又はリン酸イオンを表す。nは整数である。) - 前記第1のインク受容層に占める、前記スルホニル基を有するカチオン性ポリマーの含有量が、前記気相法シリカ100質量部に対し、0.2質量部以上4.0質量部以下である請求項1乃至3の何れか1項に記載の記録媒体。
- 前記第1のインク受容層に占める、前記グリコールの含有量が、前記気相法シリカ100質量部に対し、2.0質量部以上20.0質量部以下である請求項1乃至4の何れか1項に記載の記録媒体。
- 前記グリコールが、鎖式又は環式脂肪族炭化水素の2つの炭素原子に1つずつヒドロキシル基が置換している構造を持つ化合物である請求項1乃至5の何れか1項に記載の記録媒体。
- 前記グリコールが、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、イソプレングリコール、ヘキシレングリコール、及び1,3−ブチレングリコール及び1,2−ヘキサンジオールから選択される少なくとも1種である請求項1乃至5の何れか1項に記載の記録媒体。
- 請求項1乃至7の何れか1項に記載の記録媒体の製造方法であって、
気相法シリカ及びバインダーを含有し、かつ、(1)スルホニル基を有するカチオン性ポリマーを含有しない、又は、(2)スルホニル基を有するカチオン性ポリマーを含有しても、その含有量が前記気相法シリカ100質量部に対し、0.1質量部以下である塗工液を支持体上に塗工する工程と、
その上から更に、気相法シリカ、バインダー、スルホニル基を有するカチオン性ポリマー及びグリコールを含有する塗工液を塗工する工程とを有することを特徴とする記録媒体の製造方法。 - 請求項1乃至7の何れか1項に記載の記録媒体の製造方法であって、
気相法シリカ及びバインダーを含有し、かつ、(1)スルホニル基を有するカチオン性ポリマーを含有しない、又は、(2)スルホニル基を有するカチオン性ポリマーを含有しても、その含有量が前記気相法シリカ100質量部に対し、0.1質量部以下である塗工液と、気相法シリカ、バインダー、スルホニル基を有するカチオン性ポリマー及びグリコールを含有する塗工液とを同時に塗工する工程を有することを特徴とする記録媒体の製造方法。
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