JP4489986B2 - インクジェット記録用キャスト光沢紙及びその製造方法 - Google Patents
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Description
【発明が属する技術分野】
本発明は、インクジェット記録用キャスト光沢紙に関して、特に優れたインクジェット記録適性と記録画像の保存性を有するインクジェット記録用キャスト光沢紙に関する。
【0002】
【従来の技術】
インクジェット記録方式は、騒音が少なく、現像や定着等のプロセスが不要であり、なおかつ容易にフルカラー印刷できることから、各種プリンター等に利用され、近年急速に普及してきている。それゆえ、インクジェット記録媒体の需要も急激な増加傾向にある。
【0003】
最近では、水性インクを使用したインクジェット方式のプリンターの高性能化に伴なって、被記録用シートに対しても高吸収性、忠実なドットの再現性、耐水性等の特性的な要求がされるようになり、インク受容層を支持体上に設けたコート紙が開発されてきている。
【0004】
また、インクジェット方式プリンターの高性能化の他に、デジタルカメラやスキャナーといった周辺機器の充実化と普及化に伴って、記録媒体であるインクジェット記録シートには更なる性能の向上が要求されてきている。すなわち、インクジェット記録の高速化、記録画像の高精細化、フルカラー化といった用途が広範化する現在、良好なインクジェット印字適性の他に、表面光沢が高く、優れた外観を有するインクジェット記録用紙が要求されてきている。それに付加されうる要求としては、光沢、色相、手触り感といった外観や性質も銀塩写真の印画紙や印刷用紙に類似することも要求されてきている。
【0005】
一般的に、表面光沢の高い用紙としては、中空のプラスチックピグメントや板状または微細粒子の無機顔料を塗工後、キャレンダー処理により塗工紙表面を加工することで、高い平滑性を得た塗工紙や、高い吸収性と優れた成膜性を有する合成樹脂を塗被したタイプの塗工紙、あるいは、湿潤塗工層を、鏡面を有する加熱ドラム面に圧着、乾燥することにより、その鏡面を写し取ることによって得られる、キャスト塗工紙等が知られている。
【0006】
このキャスト塗工紙は、スーパーキャレンダー等の塗工紙表面を平滑化処理された通常の塗工紙よりも、さらに高い表面光沢と平滑性を有し、優れた印刷適性が得られる理由により、印刷物の中でもハイグレードな印刷用紙として利用されることが多い。しかしながら、このキャスト塗工紙をインクジェット記録用紙として使用した場合には不具合な点もいくらかある。
【0007】
そのいくつかの不利な点を挙げる。まず、通常はキャスト塗工紙の場合には、鏡面ドラム面を転写させることで光沢が発現するが、高い光沢を得るためにはカゼインやポリビニルアルコール、ウレタンといった成膜性物質の存在が不可欠であり、かつ、多量に使用しなくてはいけない。
しかしながら、これら成膜性物質は、インクジェットインクの塗工紙への吸収を阻害してしまい、その結果、印字面が滲んだり、インクの乾燥性が著しく悪化したりする因子ともなり得る。逆に、この成膜性物質の使用量を低減させると、インク吸収性は向上するが、光沢値が低下してしまう。
【0008】
また、キャスト塗料に使用されている顔料やバインダーは、ノニオン性かアニオン性のものが主流であり、この構成物では、インクジェットのインクを充分には定着することができず、その結果、記録画像部の耐水性不良や印字濃度が低いものとなる。
【0009】
こうしたインクジェット記録用紙の耐水性不良や印字濃度の低下には、一般的に、有機カチオン剤を塗工層中に導入することでインクの定着性を改善し、上記問題を解消することができる。
しかしながら、キャスト塗工液中において、カチオン性の物質は、アニオン性である離型剤やアルカリ変性させたバインダーなどとの相溶性が乏しく、増粘や凝集を起こしてしまうこともある。このように、カチオン性物質のキャスト塗工紙への適用は、そのカチオン性物質の種類や添加量、また調液時の添加順など、適切な条件を選ばないといけない。
【0010】
また、キャスト塗工液の凝固剤として、ギ酸カルシウムなどの金属塩を使用(例えば特開平10−6639号公報参照)する方法が開示されているが、この使用量が少ないと、光沢を付与させるキャスト塗工液のゲル化が不十分となり、光沢度と印字濃度の低い塗工紙となるし、多すぎると記録画像部のインク色素の変質が問題となる。また、このような金属塩だけでは、記録画像部の耐水性が十分には付与されない。
【0011】
次に、キャスト塗工液の凝固剤として、カチオン性ポリマーなどの有機カチオン剤を使用する報告例は多数あるが、その使用により耐水性が付与されるという点と、使用量の増大に伴う記録画像部の色調が変化してくるといった点が特徴的である。また、問題点としてはその使用量の増大に伴い、インク吸収性が劣るようになる点と、耐水性が付与される分、耐光性が劣ってくる傾向が顕著になることが挙げられる。
【0012】
以上により、有機カチオン剤を凝固液として使用する場合、キャスト塗工液のゲル化度合いの他に、記録画像部の印字濃度、色調、さらには、耐水性や耐光性といった記録画像部の保存性をも鑑みて、その種類と使用量を決定していかなくてはいけない。一般的には、有機カチオン剤のゲル化強度は、金属塩よりも弱いのが欠点であるし、単品種の有機カチオン剤だけで、記録画像部の印字品質をバランス良く、全ての改善必須項目を向上させることは至難の技である。
【0013】
有機カチオン剤は多種多様であり、その中にはインク定着性に優れ、耐水性が特に良好なものや、耐水性が劣るもののインクの発色性や耐光性に優れるもの等がある。概して、耐水性の良い有機カチオン剤は、耐光性に劣り、耐光性の良いものは耐水性に劣るという傾向がある。インクジェット記録適性を改良するには、これら種々異なる有機カチオン剤をバランス良くブレンドして耐水性と耐光性を同時に向上させる必要があり、単品種有機カチオン剤のみで機能性を多角化するのには既に限界がある。また、化学的組成や物理的構造の変化によりその機能性は大幅に変わるし、その他、分子量、pHなどによってもインクジェット記録適性に大きな影響を及ぼす。
【0014】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、高い平滑性と光沢性を有するキャスト光沢紙に関して、特にインクジェット染料インクを用いて、高品質な記録画像と優れた保存性が得られるインクジェット記録用キャスト光沢紙を提供することにある。
【0015】
【発明が解決するための手段】
本発明に係るインクジェット記録用キャスト光沢紙は、原紙の少なくとも一方の面に、インク受容層を設け、該インク受容層の上に、光沢付与させるための顔料及び結着剤を含有する光沢層となる塗工層を形成し、該塗工層は凝固剤を用いて凝固処理した塗布面であり、かつ前記塗工層が湿潤状態にあるうちに該塗工層を加熱された鏡面仕上げの金属面に圧着してなるキャスト光沢紙であって、前記塗工層はコロイダルシリカを含有し、該コロイダルシリカの粒子径が20nm以下であり、かつ前記塗工層中の結着剤は水溶性であり、その結着剤の重量がコロイダルシリカ100重量部に対して、5〜30重量部であり、上記凝固剤として金属塩と2種類以上の化学的組成の異なる、または分子量の異なる有機カチオン剤を併用し、少なくともこのうちの1種類以上がジメチルアミンエピクロルヒドリン系であることを特徴とするものである。
【0016】
請求項1記載のインクジェット記録用キャスト光沢紙において、凝固剤液中の金属塩は水溶性であり、2価の金属塩を含み、その重量濃度が0.5〜5.0重量%であることを特徴とするものである。
【0017】
請求項1又は2記載のインクジェット記録用キャスト光沢紙において、凝固剤液中の有機カチオン剤は、2種類以上の化学的組成または、物理的構造の異なる水溶性高分子電解質を混合してなるものであり、その総重量濃度が1.0〜5.0重量%であることを特徴とするものである。
【0019】
請求項1、2又は3記載のインクジェット記録用キャスト光沢紙において、凝固剤液中の金属塩は、ギ酸が配位した2価のアルカリ土類金属または、遷移金属であることを特徴とするものである。
【0020】
本発明に係るインクジェット記録用キャスト光沢紙の製造方法は、原紙の少なくとも一方の面に、インク受容層を形成した後、そのインク受容層の上に、さらに、光沢付与させるための顔料として粒子径が20nm以下のコロイダルシリカ及び水性結着剤を、その結着剤の重量がコロイダルシリカ100重量部に対して、5〜30重量部の配合で、含有する光沢層塗工液(キャスト塗工液ともいう)を塗布して塗工層を形成し、該塗工層を形成した後に、金属塩と2種類以上の異種有機カチオン剤を併用してなる凝固剤を溶解した凝固液を用いて、塗工面を凝固処理し、塗工層が湿潤状態にあるうちに該塗工層を加熱された鏡面仕上げの金属面に圧着して光沢層を得るようにしたことを特徴とするものである。
【0021】
従来は、この凝固法によるインクジェット記録用キャスト光沢紙の製造においては、キャスト塗工液の凝固液には、単品種の金属塩や有機カチオン剤の水溶液、または、単品種の金属塩と有機カチオン剤の組み合せが使用されてきたが、更なる印字品質の向上を目的に有機カチオン剤の複数種の組み合せを適用した例は無い。
【0022】
本発明において、凝固剤として金属塩を使用する場合、ギ酸、酢酸、クエン酸、酒石酸、乳酸、塩酸、硝酸、および硫酸のカルシウム、亜鉛、マグネシウム及びアルミニウム等の各塩、さらには、硼砂、硼酸などから選ばれる金属塩の少なくとも一種を含有する水溶液が適用できるが、水への溶解度や塩析効果、凝固能などの総合評価により、ギ酸が配位した2価のアルカリ土類金属または、遷移金属が好ましく、さらに好適にはギ酸カルシウムかギ酸亜鉛の使用が望ましい。
【0023】
凝固剤としての金属塩の濃度は、塗工液の処方、固形分や塗工量等によって調整する必要があるが、本発明においては、塗工紙の品質、保存性、キャスト塗工適性に支障のない範囲として以下の条件が挙げられる。
すなわち、凝固液中において、0.5〜5.0重量%が好ましく、さらに好適には1.0〜3.0重量%である。
【0024】
本発明において、凝固剤として、有機カチオン剤を金属塩と併用する場合、有機カチオン剤には、ポリビニルベンジルトリメチルアンモニウムハライド、ポリジアリルジメチルアンモニウムハライド、ポリジメチルアミノエチルメタクリレート塩酸塩、ポリエチレンイミン、ジシアンアミドホルマリン縮合物、エピクロルドヒドリン変性ポリアルキルアミン、ポリビニルピリジニウムハライドやポリエチレンポリアミン、ポリプロピレンポリアミンなどのポリアルキレンポリアミン類または、その誘導体、第3級アミノ基や第4級アンモニウム基を有するアクリル樹脂、ジアクリルアミン等のカチオン性樹脂を添加できる。ここで、有機カチオン剤の望むべく性状は、キャスト塗工操業性上、水系にて電離し易いアンモニウム塩の形態である。
【0025】
本発明において、凝固剤としての有機カチオン剤の濃度は、併用するギ酸カルシウムの濃度や、組み合わせるカチオン剤の種類やブレンド比にも依るが、2種類以上の化学的組成、または物理的構造の異なる有機カチオン剤の総重量濃度は、塗工紙の品質、保存性、キャスト塗工適性に支障のない範囲として以下の条件が挙げられる。すなわち、凝固液中において、1.0〜5.0重量%が好ましい。
【0026】
以上のような範囲で有機カチオン剤を凝固剤として用いると、塗工紙の基本的物性である塗工層表面強度や光沢度は優れた性質となる。また、記録画像部の印字品質も印字濃度、色調、記録画像部の保存性も良好なものとなる。しかしながら、有機カチオン剤の量がこの範囲の下限未満であると、印字濃度の低下や耐水性が劣るようになる。
【0027】
逆に、有機カチオン剤の量がこの範囲の上限を超えると、色調やインク吸収性不良や耐光性が劣るようになる。また、キャスト塗工操業時におけるキャストドラムへの貼りつき現象が起こってくる。
【0028】
また、キャスト塗工液は、コロイダルシリカを含有しており、そのコロイダルシリカの粒子径は20nm以下であることが望ましい。なお、この粒子径が上記範囲を逸脱する場合には、光沢感のないマット調のキャスト塗工紙になる場合が多い。塗工紙表面の平滑性が低下すれば、外観上、高級感が失せると共に、忠実なドットの再現性が確保できない故、印字品質を大きく損ねる結果ともなる。
【0029】
そして、このキャスト塗工液中のコロイダルシリカの結着剤としては、カゼイン、ゼラチン、ウレタン、ポリビニルアルコール、メチルセルロースなどといったものから少なくとも1種以上を選ぶことができる。ゲル化や操業性、光沢層の得易さ等を総合して考慮すれば、カゼインがより好ましい材料と言える。また、この結着剤の量については、コロイダルシリカ100重量部に対して、5〜30部が望ましい。
【0030】
この結着剤の量が上記範囲より少ないと、光沢面が形成されない。また、逆に多すぎると、光沢面はできるが印字品質が悪化する。すなわち、印字濃度が低下したり、記録画像部の画線部境界のシャープネスが損なわれる。さらに、乾燥負荷の点から、過剰な熱エネルギーの供給を余儀なくされて、かつ、生産性の低下をも招くようになる。
【0031】
本発明のインクジェット記録用キャスト光沢紙の製造におけるキャスト液の塗工はいわゆる、湿潤法または凝固法を採用しているキャストコーターにて製造する。
【0032】
支持体上のインク受容層の上に塗工液を塗布して得た塗工層の最表面を形成させた後に、得られた最表面の塗膜を、加熱した鏡面の仕上げ面に圧着するまでの間に、本発明においては、2種類以上の有機カチオン剤と金属塩を含む水溶液を該塗膜に散布、塗布する。その後、キャストされてインクジェット記録用キャスト光沢紙を得る。
【0033】
本発明のインクジェット記録用キャスト光沢紙は光沢層である塗工層の下にインク受容層を有する。本発明のインク受容層に含まれる顔料としては、カオリン、タルク、炭酸カルシウム、乳酸カルシウム、ハイドロキシアパタイト、ゼオライト、マイカ、二酸化チタン、クレー、酸化亜鉛、酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、酸化アルミニウム、チタン酸バリウム、硫酸バリウム、チタン酸鉛、及び無定形シリカ、非晶質シリカ等の合成シリカ等が挙げられるが、本発明においては、これらの顔料の中から適宜少なくても1種類以上を選択して用いることができる。本発明のキャスト塗工紙では、使用する顔料は上記のうちでもそのインク吸収性より、多孔性である合成シリカの微粉体の使用が好ましい。
なお、このシリカの合成法については、沈降式、ゲル式、CVD法、PVD法、MBE法、水熱合成法、ゾルーゲル法等、多数あるが限定されるものではない。
【0034】
そして、本発明のインク受容層に含まれる結着剤としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリイソブチレン、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリエチレン酢酸ビニル、ポリ酢酸ビニル、ポリビニルアルコール、ポリビニルアセタール、ポリアクリル酸エチル、ポリメタクリル酸メチル、ポリアクリロニトリル、ポリテトラフルオロエチレン、ポリクロロトリフルオロエチレン、ポリ弗化ビニリデン、ポリブタジエン、ポリイソプレン、ポリクロロプレン、ナイロンー6、ナイロンー6,6、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリカーボネート、ポリアセタール、ポリ(ビスクロロメチルオキサシクロブタン)、ポリエチレンオキシド、ポリプロピレンオキシド、ポリフェニレンオキシド、ポリスルホン、ポリーp−キシリレン、ポリイミド、ポリベンズイミダゾール、ポリシロキサン、フェノール樹脂、尿素樹脂、メラミン樹脂、アルキド樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ジアリルフタレート樹脂、エポキシ樹脂、ポリウレタン、テルペン等が挙げられる。本発明においては、これらの結着剤の中から適宜選択して使用することができ、2種以上を併用しても良いが、そのインク吸収性と結着力等を鑑みて、ポリエチレン酢酸ビニル樹脂やポリビニルアルコールの使用が、特に望ましい。
【0035】
本発明におけるインク受容層の塗工液並びに、キャスト塗工液は通常水性塗工液として調製される。この塗工液中の顔料と結着剤の混合比については、顔料種と結着剤種、塗工条件や目的とする塗工紙の付加されるべき物性等の塗工紙設計の思想にも依るが、得られる塗工紙の物性が要求される範疇にあるならば、特に限定されるものではない。
【0036】
本発明におけるインク受容層の塗工液には必要に応じて以下のような助剤を添加してもよい。すなわち、分散剤、保水剤、増粘剤、消泡剤、防腐剤、染料、耐水化剤、蛍光染料、保存剤、紫外線吸収剤、離型剤、潤滑剤及び有機カチオン剤を必要に応じて添加することが出来る。
【0037】
インク受容層の塗工方式は以下のものが挙げられる。ブレードコーター、エアーナイフコーター、ロールコーター、コンマコーター、カーテンコーター、バーコーター、スピンコーター等の塗工方式は適宜選択して用いることができる。
【0038】
インク受容層を形成するために支持体上に塗工する塗工液を塗工後の乾燥工程において、その乾燥方式は以下のものが挙げられる。赤外線乾燥、熱風乾燥、常温乾燥、凍結真空乾燥等があるが、上記の乾燥方式は、適宜選択して用いることができる。
【0039】
本発明におけるインク受容層の塗工量に関しては、塗工層の塗工量が少ない場合にはインク吸収不良によるインク滲みが起こるようになり、また多い場合には、記録画像部の印字濃度が低下するようになるし、乾燥工程における乾燥負荷増大などの理由から生産性低下が生ずる。さらには、経済的不利益を被るようになる。従って、インク受容層の塗工量は、3〜15g/m2が望ましいが、さらなる好適条件は、5〜10g/m2である。
【0040】
本発明における光沢層となる塗工層の塗工量に関しては、塗工層の塗工量が少ない場合には良好な光沢面が得られず、また多い場合には、光沢層となる塗工層の凝固不良を生じ、乾燥工程における乾燥負荷増大などの理由から生産性低下が生ずる。さらには、経済的不利益を被るようになる。従って、インク受容層の塗工量は、5〜20g/m2が望ましいが、さらなる好適条件は、5〜10g/m2である。しかしながら、この条件については、原紙のサイズ度、透気度、吸収量、平滑度、米坪、密度等の条件やインク受容層の吸収量、気泡率、透気度、表面粗さ、塗工層密度と厚み、さらには、キャスト塗工液の組成、固形分、保水性、粘度、温度、SP値などの影響を受けるので、上記範囲は絶対的なものではない。
【0041】
なお、塗工に際してベースとなる原紙は、一般の塗工紙に使用される酸性紙、中性紙等が適宜使用される。そして、インクジェットの印字適性を考え、かつ、そのインク吸収性を考慮するならば、木材パルプより構成される紙ベースが好ましい。パルプ種としては、LBP、NBKP、GP、TMP、CGPや、DIP等の木材パルプ、また、ケナフやコットンなど非木材パルプ等が挙げられ、このパルプシートにバインダー及びサイズ剤や歩留まり向上剤、紙力増強剤等の各種添加剤を一種以上用いて混合したものが使用できる。さらに、パルプについては、環境問題の点から、ECFやTCFパルプの使用が望ましい。
【0042】
【実施例】
以下に本発明の実施例を挙げて説明するが、本発明はこれらの例に限定されるものではない。
また、実施例において示す部及び%は、特に言及しない限り、固形分の重量部及び重量%を示す。
【0043】
<支持体の内容>
支持体となる原紙は以下の仕様である。
米坪127g/m2、紙厚130μm、ベック平滑度50秒、透気度16.3秒であり木材パルプより構成されている。
【0044】
<インク受容層の塗工>
支持体上に多孔質無機顔料とバインダーを主構成物とする塗工組成物を塗工し、インク受容層を得た。塗工組成物は、多孔質無機顔料として市販の合成非晶質シリカ(ミズカシルP−78D:水澤化学社製)を100部、バインダーとして市販のポリビニルアルコール(PVA−117:クラレ社製)10部とエチレン酢酸ビニル(EVA AD−6K:昭和高分子社製)40部を混合して得た。
該塗工組成物の固形分濃度は15%である。該塗工組成物をエアーナイフコーターにて絶乾重量5g/m2となるように支持体上に塗工、その後エアードライヤーにて乾燥しインク受容層を得た。
【0045】
実施例1
<光沢層塗工液の調製>
顔料として、コロイダルシリカ(シリカドール20:日本化学工業社製、粒子径10〜15nm)100部、結着剤としてカゼイン10部、離型剤としてステアリン酸カルシウム(サンノプコ社製、ノプコートC104)2部、ロート油2部を調合して、濃度20%の光沢層塗工液を得た。
【0046】
<光沢層の塗工>
光沢層塗工液をロールコーターにて絶乾重量10g/m2になるように支持体上に塗工し、加熱した仕上げ面に圧着するまでの間にカチオン剤を含む凝固液を該塗工膜に塗布する。その後、インクジェット記録用キャスト光沢紙を得た。
【0047】
凝固液として、ギ酸カルシウム3%、ジメチルアミンエピクロルヒドリン系樹脂(商品名:パピオゲンP−103、センカ社製、分子量3万)1%、ジメチルアミンエピクロルヒドリン系樹脂(商品名:パラコンPJ、大原パラヂウム社製、分子量1万以下)2%の混合比率より構成される水溶液を使用し、キャスト液の凝固を行い、塗工紙を得た。
【0048】
実施例2
凝固液のギ酸カルシウムを0.5%とした以外は、実施例1に記載した通りの条件で塗工紙を得た。
【0049】
実施例3
凝固液のギ酸カルシウム5%とした以外は、実施例1に記載した通りの条件で塗工紙を得た。
【0050】
実施例4
凝固液のギ酸カルシウム3%とした以外は、実施例1に記載した通りの条件で塗工紙を得た。
【0051】
実施例5
凝固液として、ギ酸カルシウム3%、ジメチルアミンエピクロルヒドリン系樹脂(商品名:パピオゲンP−103、センカ社製)3%、ジメチルアミンエピクロルヒドリン系樹脂(商品名:パラコンPJ、大原パラヂウム社製)2%の混合比率より構成される水溶液を使用し、キャスト液の凝固を行い、キャストにより塗工紙を得た。
【0052】
実施例6
キャスト液中のカゼインが5重量部である以外は実施例1と同等である。
【0053】
実施例7
キャスト液中のカゼインが30重量部である以外は実施例1と同等である。
【0054】
実施例8
凝固液として、ギ酸カルシウム3%、ジアクリルアミンアクリルアミド系樹脂(商品名:スミレーズレジン1001、住友化学工業社製)1%、ジメチルアミンエピクロルヒドリン系樹脂(商品名:パラコンPJ、大原パラヂウム社製)2%の混合比率より構成される水溶液を使用し、光沢層塗工液の凝固を行い、塗工紙を得た。
【0055】
実施例9
凝固液として、ギ酸カルシウム3%、ポリジメチルジアリルアンモニウムクロライド系樹脂(商品名:ハイマックスSC−600L、ハイモ社製)1%、ジメチルアミンエピクロルヒドリン系樹脂(商品名:パラコンPJ、大原パラヂウム社製)2%の混合比率より構成される水溶液を使用し、光沢層塗工液の凝固を行い、塗工紙を得た。
【0056】
実施例10
凝固液として、ギ酸カルシウム3%、ポリアミン系樹脂(商品名:JK−14、明成化学社製)1%、ジメチルアミンエピクロルヒドリン系樹脂(商品名:パラコンPJ、大原パラヂウム社製)2%の混合比率より構成される水溶液を使用し、光沢層塗工液の凝固を行い、塗工紙を得た。
【0057】
実施例11
凝固液として、ギ酸カルシウム3%、ポリオキシエチレンアルキルアミン(商品名:アミート105、花王社製)1%、ジメチルアミンエピクロルヒドリン系樹脂(商品名:パラコンPJ、大原パラヂウム社製)2%の混合比率より構成される水溶液を使用し、光沢層塗工液の凝固を行い、塗工紙を得た。
【0058】
実施例12
凝固液として、ギ酸亜鉛3%、ジメチルアミンエピクロルヒドリン系樹脂(商品名:パピオゲンP−103、センカ社製)1%、ジメチルアミンエピクロルヒドリン系樹脂(商品名:パラコンPJ、大原パラヂウム社製)2%の混合比率より構成される水溶液を使用し、光沢層塗工液の凝固を行い、塗工紙を得た。
【0059】
比較例1
凝固液として、ギ酸カルシウム0.3%水溶液を使用し、光沢層塗工液の凝固を行い、塗工紙を得た。
【0060】
比較例2
凝固液として、ギ酸カルシウム6%水溶液を使用し、光沢層塗工液の凝固を行い、塗工紙を得た。
【0061】
比較例3
凝固液として、乳酸カルシウム3%、ジメチルアミンエピクロルヒドリン系樹脂(商品名:パピオゲンP−103、センカ社製)3%の混合比率より構成される水溶液を使用し、光沢層塗工液の凝固を行い、塗工紙を得た。
【0062】
比較例4
凝固液として、ギ酸カルシウム3%、ジメチルアミンエピクロルヒドリン系樹脂(商品名:パピオゲンP−103、センカ社製)3%の混合比率より構成される水溶液を使用し、光沢層塗工液の凝固を行い、塗工紙を得た。
【0063】
比較例5
凝固液として、ギ酸カルシウム3%、ジアクリルアミンアクリルアミド系樹脂(商品名:スミレーズレジン1001、住友化学工業社製)3%の混合比率より構成される水溶液を使用し、光沢層塗工液の凝固を行い、塗工紙を得た。
【0064】
比較例6
凝固液として、ギ酸カルシウム3%、ポリジメチルジアリルアンモニウムクロライド系樹脂(商品名:ハイマックスSC−600L、ハイモ社製)3%の混合比率より構成される水溶液を使用し、光沢層塗工液の凝固を行い、塗工紙を得た。
【0065】
比較例7
凝固液として、ギ酸カルシウム3%、ポリアミン系樹脂(商品名:JK−14、明成化学社製)3%の混合比率より構成される水溶液を使用し、光沢層塗工液の凝固を行い、塗工紙を得た。
【0066】
比較例8
凝固液として、ギ酸カルシウム3%、ポリオキシエチレンアルキルアミン(商品名:アミート105、花王社製)3%の混合比率より構成される水溶液を使用し、光沢層塗工液の凝固を行い、塗工紙を得た。
【0067】
比較例9
凝固液として、ギ酸カルシウム3%、ジメチルアミンエピクロルヒドリン系樹脂(商品名:パラコンPJ、大原パラヂウム社製)3%の混合比率より構成される水溶液を使用し、光沢層塗工液の凝固を行い、塗工紙を得た。
【0068】
比較例10
ジメチルアミンエピクロルヒドリン系樹脂(商品名:パピオゲンP−103、センカ社製)6%の水溶液を使用し、光沢層塗工液の凝固を行い、塗工紙を得た。
【0069】
比較例11
凝固液として、ジアクリルアミンアクリルアミド系樹脂(商品名:スミレーズレジン1001、住友化学工業社製)6%の水溶液を使用し、光沢層塗工液の凝固を行い、塗工紙を得た。
【0070】
比較例12
凝固液として、ポリジメチルジアリルアンモニウムクロライド系樹脂(商品名:ハイマックスSC−600L、ハイモ社製)6%の水溶液を使用し、光沢層塗工液の凝固を行い、塗工紙を得た。
【0071】
比較例13
凝固液として、ポリアミン系樹脂(商品名:JK−14、明成化学社製)6%の水溶液を使用し、光沢層塗工液の凝固を行い、塗工紙を得た。
【0072】
比較例14
凝固液として、ポリオキシエチレンアルキルアミン(商品名:アミート105、花王社製)6%の水溶液を使用し、光沢層塗工液の凝固を行い、塗工紙を得た。
【0073】
比較例15
凝固液として、ジメチルアミンエピクロルヒドリン系樹脂(商品名:パラコンPJ、大原パラヂウム社製)6%の水溶液を使用し、光沢層塗工液の凝固を行い、塗工紙を得た。
【0074】
比較例16
凝固液として、ギ酸カルシウム3%、ジメチルアミンエピクロルヒドリン系樹脂(商品名:パピオゲンP−103、センカ社製)0.2%、ジメチルアミンエピクロルヒドリン系樹脂(商品名:パラコンPJ、大原パラヂウム社製)0.3%の混合比率より構成される水溶液を使用し、光沢層塗工液の凝固を行い、塗工紙を得た。
【0075】
比較例17
凝固液として、ギ酸カルシウム3%、ジメチルアミンエピクロルヒドリン系樹脂(商品名:パピオゲンP−103、センカ社製)1%、ジメチルアミンエピクロルヒドリン系樹脂(商品名:パラコンPJ、大原パラヂウム社製)5%の混合比率より構成される水溶液を使用し、光沢層塗工液の凝固を行い、塗工紙を得た。
【0076】
比較例18
キャスト液中のカゼインが2.5重量部である以外は実施例1と同等である。
【0077】
比較例19
キャスト液中のカゼインが35重量部である以外は実施例1と同等である。
【0078】
比較例20
キャスト液中のコロイダルシリカをスノーテックスST−UP(日産化学工業社製、粒子径40〜100nm)と変更した以外は実施例1と同等である。
【0079】
このようにして得られたキャスト塗工紙の白紙光沢感、インクジェット記録適性、及び操業性の結果を表1及び表2にまとめた。なお、上記評価に関しては、下記要領、方法にて評価を行った。
(白紙光沢感)
目視にて評価した。
○:光沢感良好
△:光沢感やや低いが、実用上問題無いレベル
×:マット調であり、光沢感無し。
【0080】
(画像印字濃度)
ヒューレット・パッカード社の2500CPの染料インクで印字を行い、インク濃度や発色性を目視にて評価した。
◎:印字濃度と発色性とも、非常に良好
○:印字濃度良好
△:印字濃度やや低いが、実用上問題無いレベル
×:印字濃度低く、実用に耐えないレベル
【0081】
(画像耐水性)
印字後の記録紙を水中に浸漬し、30分後のインクの流れ出しや、印字濃度の変化を目視にて評価した。
○:画像耐水性良好
△:画像耐水性やや劣る
×:画像耐水性不良
【0082】
(画像耐光性)
印字後の記録紙をウェーザーメーターにて、キセノンランプを24時間光照射し、印字濃度の変化を目視にて評価した。
○:画像耐光性良好
△:画像耐光性やや劣る
×:画像耐光性不良
【0083】
(離型性)
金属の圧着面から離れる塗工紙の貼りつき具合を目視にて評価した。
○:離型性良好
△:離型性やや劣る
×:離型性不良
【0084】
【表1】
【0085】
【表2】
【0086】
【発明の効果】
表1及び表2の結果から明らかな通り、本発明に係るインクジェット記録用キャスト光沢紙及びその製造方法は、表面の光沢感が高く、インクジェット適性に優れ、なおかつ、キャスト操業性にも良好なものである。
【0087】
特に、本発明は、インクジェット記録紙の特性の中でも、記録画像部での印字濃度、耐水性や耐光性に優れているものである。その結果、記録画像部の印字品質、印字濃度、色調、記録画像部の保存性も良好である。
またキャスト塗工操業時におけるキャストドラムへの貼りつき現象もなく離型性が良好である。
Claims (5)
- 原紙の少なくとも一方の面に、インク受容層を設け、該インク受容層の上に、光沢付与させるための顔料及び結着剤を含有する光沢層となる塗工層を形成し、該塗工層は凝固剤を用いて凝固処理した塗布面であり、かつ前記塗工層が湿潤状態にあるうちに該塗工層を加熱された鏡面仕上げの金属面に圧着してなるキャスト光沢紙であって、
前記塗工層はコロイダルシリカを含有し、該コロイダルシリカの粒子径が20nm以下であり、かつ前記塗工層中の結着剤は水溶性であり、その結着剤の重量がコロイダルシリカ100重量部に対して、5〜30重量部であり、
上記凝固剤として金属塩と2種類以上の化学的組成の異なる、または分子量の異なる有機カチオン剤を併用し、少なくともこのうちの1種類以上がジメチルアミンエピクロルヒドリン系であることを特徴とするインクジェット記録用キャスト光沢紙。 - 前記凝固剤液中の金属塩は水溶性であり、2価の金属塩を含み、その重量濃度が0.5〜5.0重量%であることを特徴とする請求項1記載のインクジェット記録用キャスト光沢紙。
- 前記凝固剤液中の有機カチオン剤は、2種類以上の化学的組成または、物理的構造の異なる水溶性高分子電解質を混合してなるものであり、その総重量濃度が1.0〜5.0重量%であることを特徴とする請求項1又は2記載のインクジェット記録用キャスト光沢紙。
- 前記凝固剤液中の金属塩は、ギ酸が配位した2価のアルカリ土類金属または、遷移金属であることを特徴とする請求項1、2又は3記載のインクジェット記録用キャスト光沢紙。
- 原紙の少なくとも一方の面に、インク受容層を形成した後、そのインク受容層の上に、さらに、光沢付与させるための顔料として粒子径が20nm以下のコロイダルシリカ及び水性結着剤を、その結着剤の重量がコロイダルシリカ100重量部に対して、5〜30重量部の配合で、含有する光沢層塗工液を塗布して塗工層を形成し、該塗工層を形成した後に、金属塩と2種類以上の異種有機カチオン剤を併用してなる凝固剤を溶解した凝固液を用いて、塗工面を凝固処理し、塗工層が湿潤状態にあるうちに該塗工層を加熱された鏡面仕上げの金属面に圧着して光沢層を得るようにしたことを特徴とするインクジェット記録用キャスト光沢紙の製造方法。
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