JP2010105240A - インクジェット記録用紙 - Google Patents

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Abstract

【課題】
本発明の課題は、インクジェットプリンター印字後の滲みがなく、断裁時の紙粉及び断裁面の毛羽立ちが少なく経済性も優れた性能を有するインクジェット記録用紙を提供することである。
【解決手段】
本発明に係わる手段は、紙支持体とこの紙支持体上に形成され、かつ非晶質シリカ及び水酸化アルミニウムの併用で用いられる顔料と接着剤とを含む少なくとも1層の記録層と、前記記録層上に形成された光沢層とを有するインクジェット記録用紙であり、該紙支持体が木材パルプを主成分とし、かつ、ポリアクリルアミドに澱粉誘導体がグラフト重合したグラフト化澱粉共重合体が該紙支持体の紙力増強剤として使用されており、記録層と光沢層を合わせた塗工層の厚みが11μm以上23μm以下であることを特徴とする。
【選択図】なし

Description

本発明は、インクジェット記録用紙に関するものであり、インクジェットプリンター印字後の滲みがなく、断裁時の紙粉及び断裁面の毛羽立ちが少なく更には経済性にも有利なインクジェット記録用紙に関するものである。
近年、コンピューター技術やデジタルカメラの飛躍的な進歩とその低価格化によってデジタル画像の取り扱いが極めて容易になり、それに伴って高性能なパーソナルプリンターが開発されて広く普及しており、銀塩写真並みのフルカラー印刷を手軽に行うことが可能になった。現在、パーソナルプリンターとして最も普及しているのは、インクジェットプリンターであり、インクジェット方式の利点としては、多色化が容易なこと、高速印刷が可能であること、非接触型で低騒音であること、装置が小型で安価なことが挙げられる。
インクジェット方式の画像形成システムを、次に示す。すなわち、シアン、マゼンタ、イエロー、ブラック等の各色のインクを、サーマル方式やピエゾ方式等によってノズルから微小な液滴として吐出し、記録媒体上に画像を形成せしめる。
インクジェット記録用紙に要求される特性としては、インク吸収容量が大きくインク吸収速度が速いこと、発色が鮮やかで均一であること、滲みが少なく解像度が高いこと等が挙げられる。
また、近年インクジェット記録方式が一般大衆へ普及するに伴い、はがきにも採用されるようになってきた。これに伴いインクジェット記録用紙への断裁作業性及び切り口の毛羽立ちなどに対する精度への要求が高まっている。はがきに関する文献が開示(特許文献1〜3)されているがこれらの要求を満たすものは無い。
はがき以外の一般に使用されるインクジェット記録用紙についても切り口が不良となった場合、インクジェットプリンターでの印字の際に白抜けや、プリンターローラー部への紙粉の付着などにより搬送性不良も引き起こす原因となる。
しかし、断裁紙粉及び毛羽立ちを抑制する為に支持体、記録層及び光沢層の接着剤を増量する方法を選択するとインクジェット印字品質が悪くなる。また透気性が低くなることによりキャスト時にピットと呼ばれる微小欠点が発生し品質に悪影響を与えていた。
一方、インクジェット記録用シートの断裁紙粉及び毛羽立ちを抑制する方法として、塗工面と反対面にアルキルケテンダイマーおよびポリエチレンエマルジョンを含有する塗液で塗工処理がなされていることを特徴とする製造方法が提案されている(特許文献4)。しかし、紙そろえなどの断裁適性に一応の改善がみられるものの、紙の断裁面の切り口に対しての改善は十分なレベルに達していない。
他にも、インクジェット記録体のカッター断裁時の紙粉を抑制する方法として、第一塗工層の無機顔料及び接着剤並びに第二塗工層の無機顔料及びポリビニルアルコールと架橋性を有する化合物を第一及び第二塗工層に含有することを特徴とすることが提案されている(特許文献5)。しかし、断裁時に発生する紙粉を満足できるレベルに抑えることができない。
更には、インクジェットプリンタの普及及び高解像度化に伴い、いわゆる塗工面側には写真ライクな高精細な画像が望まれている。
上述したように、インクジェット記録用紙はインクジェットプリンターでの印字品質だけにとどまらず、断裁などの機械的シェアにも対応するなど要求される特性は多岐に渡り、従来技術ではこれらの特性を十分に満足させるまでには至っていなかった。
特開2003−127528号公報 特許第3253259号公報 特許第3996106号公報 特許第4096907号公報 特開2007−290339号公報
従って、本発明の目的は、インクジェット記録用紙に関するものであり、詳しくはインクジェットプリンター印字後の滲みがなく、断裁時の紙粉及び断裁面の毛羽立ちが少なく経済性にも有利なインクジェット記録用紙に関するものである。
本発明者らは鋭意検討の結果、紙支持体と、この紙支持体上に形成され、かつ、非晶質シリカ、及び水酸化アルミニウムの併用で用いられる顔料と接着剤とを含む少なくとも1層の記録層と、前記記録層上に形成された光沢層とを有するインクジェット記録用紙であって
(1)該紙支持体が木材パルプを主成分とし、ポリアクリルアミドに澱粉誘導体がグラフト重合したグラフト化澱粉共重合体(以下グラフト化澱粉と略す)が該紙支持体の紙力増強剤として使用されており、(2)記録層と光沢層を合わせた塗工層の厚みが11μm以上23μm以下であることにより、インクジェットプリンター印字後の滲みがなく、断裁時の紙粉及び断裁面の毛羽立ちが少なく経済性にも有利なインクジェット記録用紙を完成するに至った。
本発明のインクジェット記録用紙は、インクジェットプリンター印字後の滲みがなく、断裁時の紙粉及び断裁面の毛羽立ちが少なく経済性にも有利な性能を有する。
本発明について、次に詳細に説明する。本発明の紙支持体の原紙に用いられるパルプとしては、広葉樹漂白サルファイトパルプ(LBSP)、広葉樹漂白クラフトパルプ(LBKP)、針葉樹漂白サルファイトパルプ(NBSP)、針葉樹漂白クラフトパルプ(NBKP)、脱墨パルプなどが有利に用いられる。また、必要に応じて、木材パルプ以外に、非木材パルプ、合成パルプ或いは合成繊維などを用いてもよい。
本発明において紙支持体中の填料の含有率は、1〜15質量%が好ましい。填料の含有率が1質量%以上であれば紙基材の不透明度が良好となり市場のニーズが高くなる、填料の含有率が15質量%以下であれば断裁時の紙粉及び断裁時の毛羽立ちが少なく充分な紙力が得られる。填料の種類としては、水和珪酸、ホワイトカーボン、タルク、カオリン、クレー、炭酸カルシウム、酸化チタン、アルミノケイ酸塩、焼成クレー、合成樹脂填料等の公知の填料を併用することができる。
本発明におけるグラフト化澱粉とは、ポリアクリルアミドに澱粉誘導体がグラフト重合したグラフト化澱粉共重合体であり、好ましくはアニオン架橋ポリアクリルアミドにカチオン化澱粉誘導体、例えば第四窒素カチオン化澱粉、特に好ましくは四級アンモニウム澱粉、イミニウム澱粉、ジアゾニウム等をグラフト重合させたものである。アニオン架橋ポリアクリルアミドとグラフト成分のカチオン化澱粉誘導体とは0.8:1.5〜2.0:0.5、好ましくは1.0:1.2〜1.5:0.8、特に好ましくは0.9:1.1〜1.1:0.9、中でも1:1の質量比でグラフト共重合させたものが使用される。しかし、本発明では使用される紙質、厚み等によっては特にこれに制限されない。従来から使用される澱粉系の紙力増強剤では高添加率としても断裁時の紙粉や断裁面の毛羽立ちを抑制することはできなかった。本発明で使用されるグラフト共重合体のグラフト成分のカチオン化澱粉の量が多いとこの傾向が現れる。また、従来から紙力増強剤として使用されるポリアクリルアミドは一般的な強度、例えば引張り強度、内部結合強度等は向上することが出来るが、紙の嵩が出にくく又紙自体が硬くなるため断裁の際抵抗が大きくなり毛羽立ちの発生に繋がっている。グラフト共重合体の幹成分のアニオン架橋ポリアクリルアミドの割合が多すぎるとこの傾向が僅かにある。本発明で使用されるグラフト共重合体は好ましくは50〜500万、好ましくは80〜400万、特に好ましくは100万〜300万、中でも150〜250万の分子量を有している。前記の通り、従来から使用されていた澱粉系及びポリアクリルアミドである紙力増強剤は、上記の欠点を有し本発明の課題を解決することができなかったが、上に規定した本発明のグラフト化澱粉は本発明の課題を解決した。
本発明においてグラフト化澱粉の添加量は木材パルプ100重量部に対してグラフト化澱粉添加量(乾燥質量)が0.2〜2.0質量部の範囲が好ましく、特に0.25〜1.9質量部、中でも0.4〜1.5の範囲の範囲が好ましい。0.2質量部に満たない場合は紙粉や毛羽立ちを抑える効果が乏しく、はがきなどに使用された場合、印刷強度が不足し紙剥けなどに繋がる。2.0質量部を超えると薬品コストが高くなり実用的でなくなるか、又抄紙工程特に原料工程やプレスパート等の用品汚れにも繋がる。
本発明においてグラフト化澱粉以外の紙力増強剤を、効果を損なわない程度に添加しても良い。紙力増強剤としてはカチオン化澱粉、両性澱粉、ポリアクリルアミド、ポリアミドポリアミン−エピクロルヒドリン樹脂、メラミン樹脂、尿素ホルムアルデヒド樹脂等の公知の資材を併用することができる。
所定のフリーネスに叩解されたパルプスラリーは、長網抄紙機、ツインワイヤー抄紙機、または、丸網抄紙機等の抄紙機により単層若しくは多層で抄造される。この際、効果を損なわない程度に分散助剤、サイズ剤、定着剤等の諸添加物を必要に応じて添加することが可能である。更に、必要であればpH調節剤、染料、有色顔料、および蛍光増白剤等も添加することが可能である。
本発明では、上記のようにして抄造された紙支持体に塗工液を塗布するが、ポリアクリルアミド以外に添加剤を、効果を損なわない程度に添加しても良い。サイズ液として混合する添加剤としては酸化澱粉、自家変成澱粉、尿素リン酸化澱粉等の公知の資材を使用することができる。必要であればサイズ剤、pH調節剤、染料、有色顔料、および蛍光増白剤等も添加することが可能である。
サイズ液の原紙への含浸量は、ポリアクリルアミドを片面当たり0.5〜2.5g/mの範囲が好ましく、特に1.0〜2.0g/mの範囲が好ましい。0.5g/mに満たない場合は紙粉や毛羽立ちを抑える効果が乏しく、はがきなどに使用された場合、印刷強度が不足し紙剥けなどに繋がる。2.5g/mを超えると薬品コストが高くなり実用的でなくなり、又サイズ液固形分を上げる必要が出てくるため工程汚れにも繋がる。
塗工方式としては、コンベンショナルサイズプレス、ゲートロールサイズプレス、フィルムトランスファー方式のサイズプレスやエアナイフコーター、ロッドコーター等を用いることができる。
また必要に応じてフィルムトランスファー方式サイズプレスやエアナイフコーター、ロッドコーター等を用いてインク記録層側の面に塗布してもよい。
このようにして製造された原紙(紙支持体)に直接にインク受理層を設けても良いが、予め原紙表面を平滑化する目的で、マシンカレンダー、ソフトカレンダー、ラスターなどによる処理を施すのが好ましい。
記録層に用いる顔料としては、非晶質シリカ及び水酸化アルミニウムが併用される。非晶質シリカ、水酸化アルミニウムは、インク吸収性の点で優れており、この2種類の顔料を併用することでインク吸収性に優れ断裁時の紙粉及び断裁面の毛羽立ちが少なく経済的にバランスのとれた記録層を形成しやすい。単独の使用では、断裁時の紙粉及び断裁面の毛羽立ちが少なくなる効果が劣る。
本発明の記録層にはエチレン酢酸ビニル共重合体及びポリビニルアルコールの他に以下のようなバインダー(接着剤)を、効果を損なわない程度に添加しても良い。例えば、変性ポリビニルアルコール、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース等のセルロース誘導体、ポリビニルピロリドン、ポリビニルピリジン、ポリアクリルアミド、ポリエチレンオキサイド、ポリプロピレンオキサイド、でんぷん、変性でんぷん、ポリアクリル酸、ポリアクリル酸ソーダ、アルギン酸ソーダ、ポリスチレンスルホン酸ソーダ、カゼイン、ゼラチン、テルペン等の水溶性バインダーや、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリイソブチレン、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリ酢酸ビニル、ポリビニルアセタール、ポリアクリルアミド、ポリアクリル酸エチル、ポリメタクリル酸メチル、ポリアクリロニトリル、ポリテトラフルオロエチレン、ポリ弗化ビニリデン、ポリブタジエン、ポリイソプレン、ポリクロロプレン、ナイロン、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリカーボネート、ポリアセタール、ポリビスクロロメチルオキサシクロブタン、ポリフェニレンオキサイド、ポリスルフォン、ポリ−p−キシリレン、ポリイミド、ポリベンズイミダゾール、フェノール樹脂、尿素樹脂、メラミン樹脂、エポキシ樹脂、アルキド樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ジアリルフタレート樹脂、スチレン−ブタジエン共重合体、変性スチレン−ブタジエン共重合体、アクリロニトリル−ブタジエン共重合体、メチルメタアクリレート−ブタジエン共重合体、アクリル酸エステル−メタアクリル酸エステル共重合体、酢酸ビニル−マレイン酸エステル共重合体、酢酸ビニル−アクリル共重合体、エチレン−酢酸ビニル−アクリル共重合体等のエマルジョン型バインダー、ウレタン樹脂バインダーを例示することができる。これらのバインダーの重合度やケン化度、Tg、MFTは限定されない。また、これらの分子鎖中に架橋性の官能基を付加しても構わない。
該塗工液組成中の接着剤の添加量は、顔料100質量部に対して50〜80質量部、特に52〜78質量部であることが好ましい。接着剤が顔料100質量部に対して50質量部より少ないと紙粉が多くなり毛羽立ちも目立つ。また塗工層の脱落などの問題が発生するため好ましくない。また、80質量部を超えるとインクジェット印字品質が劣り、塗工性の悪化や顔料を被覆してしまうことで顔料の特性を阻害するため好ましくない。
またポリビニルアルコール(PVA)とエチレン酢酸ビニル共重合体(EVA)の比率は1:2〜1:6、特に1:2.2〜1:5.8が好ましい。この比率が1:2を超えると毛羽立ちが多くなり、1:6を下回るとインクジェット印字濃度の低下が発生する。
本発明の記録層にはインクジェットインクの定着性と発色性を向上させるために、カチオン性高分子を主成分とする以下のようなインク定着剤を用いる。このようなカチオン性ポリマーとしてはポリエチレンイミン、エピクロルヒドリン変性ポリアルキルアミン、ポリアミンポリアミドエピクロルヒドリン、ジメチルアミンアンモニウムエピクロルヒドリン、ポリビニルベンジルトリメチルアンモニウムハライド、ポリジアクリルジメチルアンモニウムハライド、ポリジメチルアミノエチルメタクリレート塩酸塩、ポリビニルピリジウムハライド、カチオン性ポリアクリルアミド、カチオン性ポリスチレン共重合体、ジアリルジメチルアンモニウムクロライド重合物、ジアリルジメチルアンモニウムクロライド二酸化硫黄共重合物、ジアリルジメチルアンモニウムクロライドアミド共重合物、ジシアンジアミドホルマリン重縮合物、ジシアンジアミドジエチレントリアミン重縮合物、ポリアリルアミン、ポリアリルアミン塩酸塩、ポリアクリルアミド系樹脂、ポリアミドエポキシ樹脂、メラミン樹脂酸コロイド、尿素系樹脂、カチオン変性PVA、アミノ酸型両性界面活性剤、ベタイン型化合物、その他第4級アンモニウム塩類及びポリアミン等が用いられる。
本発明の記録層に用いる塗工液には、必要に応じて分散剤、消泡剤、pH調整剤、湿潤剤、保水剤、増粘剤、架橋剤、離型剤、防腐剤、柔軟剤、ワックス、導電防止剤、帯電防止剤、サイズ剤、耐水化剤、可塑剤、蛍光増白剤、着色顔料、着色染料、還元剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、香料、脱臭剤等を適宜選定して添加することができる。また例えばシリカスラリーに含有させる、あるいは接着剤に含有させる等、これらを添加する場所、方法については限定されない。
記録層に関しては一般の塗工機、例えば、ブレードコーター、ロールコーター、エアナイフコーター、ロッドコーター、リップコーター、カーテンコーター、スプレーコーター、ダイコーター、チャンブレックスコーター、チップブレードコーターなどによってオフマシンあるいはオンマシンで塗工、乾燥する。さらに、必要に応じて記録層の乾燥後に一定の平滑性を出すためにマシンカレンダー、スーパーカレンダー、ソフトカレンダー、ラスターなどの公知のカレンダー装置によって処理することも可能である。
記録層の厚みが7〜19μmであることが好ましく、特に10〜15μmの範囲がより好ましい。記録層の厚みが7μmを下回るとインクジェット印字品質が低下するだけでなく光沢層を得るための塗工液が沈み込み等により制御が難しくなり、その結果光沢感を初めとする要求される品質が得られなくなる。記録層の厚みは19μmを上回ると断裁紙粉が発生しやすくなり、塗工層の脱落なども発生し支障をきたす。更にははがき用紙として使用する場合、宛名面の印刷時にエッジ部からの粉落ち原因になる。当然薬品費も掛かる為コスト面でも不利となる。
前記記録層上に光沢層を形成する方法としてキャストコート法が挙げられる。このキャスト方法としてはウエット法、リウエット法、ゲル化法等の公知の方法を適宜使用すればよい。光沢層を得るための塗料塗工方式は特に限定されるものではなく、一般の塗工方式、例えば、ブレードコーター、ロールコーター、リバースロールコーター、エアーナイフコーター、ダイコーター、バーコーター、グラビアコーター、カーテンコーター、チャンブレックスコーター、リップコーター、ロッドコーターなどの塗工方式を採用することができる。さらに、必要に応じて記録層の乾燥後に一定の平滑性を出すためにマシンカレンダー、スーパーカレンダー、ソフトカレンダー、ラスターなどの公知のカレンダー装置によって処理することも可能である。
光沢層を形成する塗工液で用いられる白色顔料としては公知の白色顔料を一種以上用いることができる。例えば、軽質炭酸カルシウム、重質炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、水酸化マグネシウム、カオリン、焼成カオリン、タルク、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、二酸化チタン、酸化亜鉛、炭酸亜鉛、硫化亜鉛、サチンホワイト、珪酸アルミニウム、ケイソウ土、珪酸カルシウム、珪酸マグネシウム、珪酸リチウム、合成シリカ、コロイダルシリカ、アルミナ、コロイダルアルミナ、擬ベーマイト、水酸化アルミニウム、ゼオライトなどの無機顔料、及びプラスチックピグメントなどの有機顔料が挙げられる。特に合成シリカの内のコロイダルシリカ、気相法シリカ、またはアルミナなどが好ましい。
該塗工液で用いられる接着剤としては接着力が強く、用紙間でブロッキングを起こさない樹脂が好ましく、エマルジョン、ラテックス、天然高分子等を単独または組み合わせて使用できる。このような接着剤としては、スチレン−ブタジエン共重合体、変性スチレン−ブタジエン共重合体、アクリロニトリル−ブタジエン共重合体、メチルメタアクリレート−ブタジエン共重合体、クロロプレンラテックス、アクリル酸エステル及びメタアクリル酸エステルの重合体又は共重合体、エチレン酢酸ビニル共重合体、酢酸ビニル−マイレン酸エステル共重合体、アクリル−酢酸ビニル共重合体、酢酸ビニル共重合体、ポリウレタン樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、でんぷん、酸化でんぷん、エステル化でんぷん、酵素変性でんぷん、カチオン化でんぷん、ポリビニルアルコール、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース等のセルロース誘導体、ポリアクリルアミド類、ポリビニルピリジン、ポリエチレンオキサイド、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアセタール、ポリビニルブチラール、カゼイン、アルギン酸ソーダ、ポリスチレンスルホン酸ソーダ、でんぷん−アクリロニトリルグラフトポリマー加水分解物、スルホン化キチン、カルボキシル化キチン、及びキトサンとそれらの誘導体等を例示することができる。
該塗工液には、必要に応じて分散剤、消泡剤、離型剤、PH調整剤、潤滑剤、保水剤、増粘剤、耐水化剤、防腐剤、界面活性剤、紫外線吸収剤、蛍光増白剤、着色顔料、着色染料、流動改良剤などを適宜選定して添加することができる。このようにして調整された塗工液をキャストコート法で塗工層を設けることで光沢層を設けることが出来るが、光沢層の厚みは片面あたりの光沢層の厚みが4〜13μmとなるように塗工される。光沢層の厚みが4μm以上とすることにより紙表面を十分に被覆し高い白紙光沢が得られやすく、インク吸収性も十分なものとなる。また光沢層の厚みが多すぎると紙粉及び毛羽立ちの発生が多くなり、更には印字濃度低下やコスト高となる恐れがあるため、13μm以下とすることが好ましい。特に5〜11μmが、断裁時の紙粉及び断裁面の毛羽立ちが少なく好ましい。
塗料の記録層厚みと光沢層厚みを合わせた塗工層の厚みが11μm以上23μm以下であることが好ましく、特に13μm以上21μm以下の範囲がより好ましい。塗工層の厚みが11μmを下回るとインクジェット印字品質が低下するだけではなくキャスト処理時の光沢面を形成しにくくなり、その結果光沢感を初めとする要求する品質が得られなくなる。記録層の厚みが23μmを上回ると断裁紙粉が発生しやすくなり、塗工層の脱落なども発生しやすくなる。当然薬品費も掛かる為コスト面でも不利となる。
光沢発現層表面に塗布される処理液は、再湿潤法の場合、塗工層の接着剤を可塑性化する作用をもつものを含む処理液であればよく特に限定されるものではない。ゲル化法の場合、ゲル化剤としてギ酸、硼酸、イタコン酸、リンゴ酸、酢酸、クエン酸、酒石酸、乳酸、アクリル酸、塩酸、硫酸等のカルシウム、ナトリウム、アンモニウム、亜鉛、マグネシウム等の各種の塩が用いられるが、特にこれらに限定されるものではない。特に品質、操業性から考えて接着剤がポリビニールアルコール及び/又はシラノール変性ポリビニールアルコールの場合は、処理液としてはホウ酸化合物が好ましく、ホウ酸及び/またはホウ砂がより好ましい。接着剤がカゼインの場合はギ酸カルシウムが好ましい。
[実施例]
以下に、本発明の実施例を挙げて説明するが、本発明はこれらの例に限定されるものではない。また、「部」及び「%」は、特に明示しない限り質量部及び質量%を示す。尚、配合において示す部数は実質成分の数量である。
<紙支持体の作成>
広葉樹漂白クラフトパルプ(ろ水度520ml)100部に対してグラフト化澱粉(DG4204:星光PMC社製:グラフト成分の自家変性タピオカ澱粉と幹成分のアニオン架橋ポリアミドとが1:1でグラフト重合された分子量200万のグラフト化澱粉共重合体)1.0部(乾燥質量)、酸性ロジンサイズ剤0.2部、液体硫酸バンド1.0部及び灰分5%になるようなタルク(商品名:タルクNTL、日本タルク社製)添加量を調整配合して、紙料を長網抄紙機にて抄造し、坪量180g/mのインクジェット用紙支持体を製造した。
<サイズ液の調製>
ポリアクリルアミド(ST5000::星光PMC社製)を固形分5%となるように水で調製しサイズ液を得た。
<サイズ液の塗布>
得られたサイズ液を紙支持体の両面に乾燥塗工量が片面当たり1.5g/mとなるようにサイズプレスで塗布し、シリンダードライヤーで乾燥した。スチールカレンダーを用いて線圧40kg/cm、25℃、2ニップ1パスの条件で表面処理を行った。
<記録層用塗工液の調製>
合成非晶質シリカ(ニップジェルBY400:東ソーシリカ社製)85部と水酸化アルミニウム(ハイジライトH−42:昭和電工株式会社製)15部に、水とpH調整剤として酢酸0.5部を添加し、カウレス分散機で28%の顔料スラリーを調製した。この顔料スラリーにポリビニルアルコール(PVA)12部(PVA−117:クラレ社製)及びエチレン酢酸ビニル共重合体(EVA)バインダー60部(ポリゾールAD−13−50、昭和高分子社製)、及びインク定着剤15部(SR1001:住化ケムテックス社製)を添加・攪拌し、さらに水を添加し、固形分濃度が20%の塗工液を得た。
<記録層の形成>
得られた塗工液を紙支持体に記録層の厚みが11μmとなるようにエアナイフコーターで塗工し、エアドライヤーで熱風乾燥した。さらに、ソフトカレンダーを用いて線圧30kg/cm、25℃、2ニップ1パスの条件で表面処理を行った。
<光沢層用塗工液の調製>
顔料として凝集体形状を持つコロイダルシリカ(HS−M−20、1次粒子径25nm、凝集体粒子径280nm:日産化学社製)100部、ポリビニルアルコール(PVA117:クラレ社製)10部、離型剤としてステアリン酸カルシウム(ノプコートC−104HS:サンノプコ社製)1部を用いて固形分20%の塗工液を光沢層塗料として得た。
<光沢層の形成>
この塗工液をエアーナイフコーターで前記記録層上に光沢層の厚みが6μmとなるように塗工し、次いで硼砂3%水溶液を塗布して凝固処理を行ったのち、得られた塗工層表面が湿潤状態にあるうちに表面温度100℃のキャストドラムに圧着し、インクジェット記録用紙を作成した。
紙支持体に使用する木材パルプ100部に対してのグラフト化澱粉添加量を0.3部とした以外は実施例1に準じインクジェット記録用紙を得た。
紙支持体に使用する木材パルプ100部に対してのグラフト化澱粉添加量を1.8部とした以外は実施例1に準じインクジェット記録用紙を得た。
記録層の厚みを7μmとしそして光沢層の厚みを4μmとしたこと以外は実施例1に準じインクジェット記録用紙を得た。
記録層の厚みを7μmとしそして光沢層の厚みを15μmとしたこと以外は実施例1に準じインクジェット記録用紙を得た。
記録層の厚みを19μmとしそして光沢層の厚みを4μmとしたこと以外は実施例1に準じインクジェット記録用紙を得た。
記録層の厚みを10μmとしそして光沢層の厚みを10μmとしたこと以外は実施例1に準じインクジェット記録用紙を得た。
記録層の厚みを15μmとしそして光沢層の厚みを5μmとしたこと以外は実施例1に準じインクジェット記録用紙を得た。
記録層の接着剤含有量を顔料100部に対して53部(PVA10部、EVA43部)としたこと以外は実施例1に準じインクジェット記録用紙を得た。
記録層の接着剤含有量を顔料100部に対して77部(PVA15部、EVA62部)としたこと以外は実施例1に準じインクジェット記録用紙を得た。
記録層の接着剤含有比をPVA:EVA=1:2.5(PVA15部、EVA37部)としたこと以外は実施例1に準じインクジェット記録用紙を得た。
記録層の接着剤含有比をPVA:EVA=1:5.5(PVA8部、EVA44部)としたこと以外は実施例1に準じインクジェット記録用紙を得た。
サイズ液の乾燥塗工量が紙支持体の両面に片面当たり0.7g/mとなるようにサイズプレスで塗布しこと以外は実施例1に準じインクジェット記録用紙を得た。
サイズ液の乾燥塗工量が紙支持体の両面に片面当たり2.3g/mとなるようにサイズプレスで塗布しこと以外は実施例1に準じインクジェット記録用紙を得た。
紙支持体の填料含有率を2%としたこと以外は実施例1に準じインクジェット記録用紙を得た。
紙支持体の填料含有率を14%としたこと以外は実施例1に準じインクジェット記録用紙を得た。
比較例1:
記録層中の合成非晶質シリカを100質量部とし、そして水酸化アルミニウム0質量部としたこと以外は実施例1に準じインクジェット記録用紙を得た。
比較例2:
紙支持体に使用する木材パルプ100部に対して、グラフト化澱粉に代えてポリアクリルアミド系紙力増強剤(ポリストロン117:荒川化学工業株式会社)0.3部を使用した以外は実施例1に準じインクジェット記録用紙を得た。
比較例3:
記録層の厚みを5μmとしそして光沢層の厚みを5μmとしたこと以外は実施例1に準じインクジェット記録用紙を得た。
比較例4:
記録層の厚みを20μmとしそして光沢層の厚みを5μmとしたこと以外は実施例1に準じインクジェット記録用紙を得た。
以上の実施例及び比較例において得られたインクジェット記録用紙について、表1に塗工層の厚み、インクジェット印刷適性、断裁紙粉及び断裁面毛羽立ち評価、薬品資材費及び工程汚れや塗工層脱落等の生産性の評価結果を示す。
<評価方法>
得られたインクジェット記録用はがきについて、23℃−50%RHの恒温恒湿室で24時間調湿後、同環境下でそれぞれ次の方法により、評価を行った。
<塗工層の厚み>
本発明における記録層、光沢層の厚みは、紙の断面をミクロトーム又はイオンビームにより処理した後にSEMによる観察したものを等間隔で厚みを100点測定し平均したものである。塗工層の厚みとしては記録層と光沢層の厚み平均を合算して求めた。
<インクジェット印刷適性>
市販のフルカラーインクジェットプリンター(商品名:PM−900C、セイコーエプソン社製)を用いて写真画像を印刷し、画像細部のムラの他、境界部の滲み、発色の鮮やかさ等を目視観察してインクジェット印刷適性を評価した。
上記インクジェット印刷適性の評価は、下記要領によって記述することにした。
◎…優れている、○…良い(実用レベル)、△…やや劣る(実用下限レベル)、×…劣る(実用に適さない)
<断裁紙粉及び断裁面毛羽立ち評価>
全判1120mm×760mを200枚重ね、ギロチン断裁で周辺四辺を10mmずつ切り落とした後、はがき大(148mm×100mm)に55分割する。これを実施した後の断裁紙粉量と断裁面を観察した毛羽立ちの程度より評価した。
上記断裁紙粉及び断裁面毛羽立ち価は、下記要領によって記述することにした。
◎…実用レベルより良好、○…実用レベル、△…一部使用に支障あり、×…使用不可
<経済性評価>
薬品資材費の価格及び工程汚れや操業の不具合の発生し易さなどの生産効率から評価した。
◎…良好、○…実用に支障なし、△…一部使用に支障あり、×…使用不可
Figure 2010105240
本発明によりインクジェット記録用紙に関し、インクジェットプリンター印字後の滲みがなく、断裁時の紙粉及び断裁面の毛羽立ちが少なく経済性にも有利な性能を得ることが出来た。
記録層に水酸化アルミニウムを使用しなかった比較例1の場合には、断裁紙粉及び断裁面毛羽立ちが多く使用に堪えない結果であった。紙支持体において、グラフト化澱粉に代えてポリアクリルアミド系紙力増強剤を使用した比較例2の場合には、インクジェット適性、断裁紙粉及び断裁面毛羽立ちに多少の問題があり、経済性がない結果であった。塗工層の厚みが本発明の下限値11μmを下回る10μmである比較例3の場合には、インクジェット適性が劣り、そして光沢層の厚み本発明の上限値13μmを超える25μmである比較例4の場合には、断裁時の紙粉及び断裁面の毛羽立ちが多く、経済性も悪いという結果であった。

Claims (8)

  1. 紙支持体と、この紙支持体上に形成され、かつ、非晶質シリカ及び水酸化アルミニウムの併用で用いられる顔料と接着剤とを含む少なくとも1層の記録層と、前記記録層上に形成された光沢層とを有するインクジェット記録用紙であって、
    (1)該紙支持体が木材パルプを主成分とし、ポリアクリルアミドに澱粉誘導体がグラフト重合したグラフト化澱粉共重合体が該紙支持体の紙力増強剤として使用されており、
    (2)記録層と光沢層とを合わせた塗工層の厚みが11μm以上23μm以下であることを特徴とする、インクジェット記録用紙。
  2. 木材パルプ100質量部に対するポリアクリルアミドに澱粉誘導体がグラフト重合したグラフト化澱粉共重合体の添加量が0.2〜2.0質量部である、請求項1に記載のインクジェット記録用紙。
  3. 記録層の厚みが7〜19μmである、請求項1又は2に記載のインクジェット記録用紙。
  4. 記録層の接着剤の含有量が、顔料100質量部に対して50〜80質量部である、請求項1、2又は3に記載のインクジェット記録用紙。
  5. 記録層の接着剤がポリビニルアルコール(PVA)とエチレン酢酸ビニル共重合体(EVA)とで構成され、その比率がPVA:EVA=1:2〜1:6である、請求項1、2、3又は4に記載のインクジェット記録用紙。
  6. 前記支持体の表面にポリアクリルアミド0.5〜2.5g/m(片面当たり)を両面若しくはインク記録層側の面に塗工する、請求項1、2、3、4又は5に記載のインクジェット記録用紙。
  7. 前記支持体中に含有される填料含有量は15質量%以下であることを特徴とする請求項1、2、3、4、5又は6に記載のインクジェット記録用紙。
  8. 請求項1、2、3、4、5、6又は7に記載されたインクジェット記録用紙を用いたことを特徴とするはがき。
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