JP4342112B2 - インクジェット記録用キャスト光沢紙 - Google Patents
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Description
【発明が属する技術分野】
本発明は、インクジェット記録用キャスト光沢紙及びその製造方法に関して、優れたインクジェット記録適性、中でも特に優れた記録画像濃度を有するインクジェット記録用キャスト光沢紙及びその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
インクジェット記録方式は、騒音が少なく、現像や定着等のプロセスが不要であり、なおかつ容易にフルカラー印刷できることから、各種プリンター等に利用され、近年急速に普及してきている。それゆえ、インクジェット記録媒体の需要も急激な増加傾向にある。
【0003】
最近では、水性インクを使用したインクジェット方式のプリンターの高性能化に伴なって、被記録用シートに対しても高吸収性、忠実なドットの再現性、耐水性等の特性的な要求がされるようになり、インク受容層を支持体上に設けたコート紙が開発されてきている。
【0004】
また、インクジェット方式プリンターの高性能化の他に、デジタルカメラやスキャナーといった周辺機器の充実化と普及化に伴って、記録媒体であるインクジェット記録シートには更なる性能の向上が要求されてきている。すなわち、インクジェット記録の高速化、記録画像の高精細化、フルカラー化といった用途が広範化する現在、良好なインクジェット印字適性の他に、表面光沢が高く、優れた外観を有するインクジェット記録用紙が要求されてきている。それに付加され得る要求としては、光沢、色相、手触り感といった外観や性質も銀塩写真の印画紙や印刷用紙に類似することも要求されてきている。
【0005】
一般的に、表面光沢の高い用紙としては、中空のプラスチックピグメントや板状または微細粒子の無機顔料を塗工後、キャレンダー処理によりコート紙表面を加工することで、高い平滑性を得たコート紙や、高い吸収性と優れた成膜性を有する合成樹脂を塗被したタイプのコート紙、あるいは、湿潤キャスト光沢層を、鏡面を有する加熱ドラム面に圧着、乾燥することにより、その鏡面を写し取ることによって得られる、キャストコート紙等が知られている。
【0006】
このキャストコート紙は、スーパーキャレンダー等のコート紙表面を平滑化処理された通常のコート紙よりも、さらに高い表面光沢と平滑性を有し、優れた印刷適性が得られる理由により、印刷物の中でもハイグレードな印刷用紙として利用されることが多い。しかしながら、このキャストコート紙をインクジェット記録用紙として使用した場合には不具合な点もいくらかある。
【0007】
そのいくつかの不利な点を挙げる。まず、通常はキャストコート紙の場合には、鏡面ドラム面を転写させることで光沢が発現するが、高い光沢を得るためにはカゼインやポリビニルアルコール、ウレタンといった成膜性物質の存在が不可欠であり、かつ、多量に使用しなくてはいけない。しかしながら、これら成膜性物質は、インクジェットインクのコート紙への吸収を阻害してしまい、その結果、印字面が滲んだり、インクの乾燥性が著しく悪化したりする因子ともなり得る。逆に、この成膜性物質の使用量を低減させると、インク吸収性は向上するが、光沢値が低下してしまう。
【0008】
また、通常のキャスト塗料に使用されている顔料やバインダーは、ノニオン性かアニオン性のものが主流であり、この構成物では、インクジェットのインクを充分には定着することができず、その結果、記録画像部の耐水性不良や印字濃度が低下してしまう。
【0009】
このようなインクジェット記録用紙の耐水性不良や印字濃度の低下には、一般的に、有機カチオン剤をキャスト光沢層中に導入することでインクの定着性を改善し、上記問題を解消することができる。しかしながら、キャスト塗工液中において、カチオン性の物質は、アニオン性である離型剤や増粘剤、アルカリ変性させたバインダーなどとの相溶性が乏しく、時として、増粘や凝集を起こしてしまう。このような、塗工液を調製する困難さから、カチオン性物質のキャストコート紙への適用は凝固剤液中への添加により行われることが多い。
【0010】
また、キャスト塗工液の凝固剤として、ギ酸カルシウムなどの金属塩を使用(例えば特開平10−6639号公報)する方法が開示されているが、この使用量が少ないと、光沢を付与させるキャスト塗工液のゲル化が不十分となり、光沢度と印字濃度の低いコート紙となるし、多すぎると記録画像部のインク色素の変質が問題となる。また、このような金属塩だけでは、記録画像部の耐水性が十分には付与されない。
【0011】
次に、キャスト塗工液の凝固剤として、カチオン性ポリマーなどの有機カチオン剤を使用する報告例は多数あるが、使用量における問題点は金属塩とほぼ同様である。金属塩に対して特異な性質があるとすれば、その使用により耐水性が付与されるという点と、使用量の増大に伴う記録画像部の色調が変化してくるといった点である。また、問題点としてはその使用量の増大に伴い、インク吸収性が劣るようになる点と、耐水性が付与される分、耐光性が劣ってくる傾向が顕著になることが挙げられる。
【0012】
以上により、有機カチオン剤を凝固液として使用する場合、キャスト塗工液のゲル化度合いの他に、記録画像部の印字濃度、色調、さらには、耐水性や耐光性といった記録画像部の保存性をも鑑みて、その種類と使用量を決定していかなくてはいけない。
【0013】
さて、インクジェット記録用紙の印字適性の中でも、最も基本的で重要な特性に記録画像濃度がある。しかしながら、印字濃度が際立って高いインクジェット記録用紙は未だに無い。
【0014】
さて、この凝固法によるキャストコート紙の製造においては、インク受容層の透明度の上昇に伴い、記録画像濃度は向上する。従って、その特性に着目して、インク受容層の透明性を高めることで記録画像濃度の改善を行い、さらにその具体策としてのインク受容層を構成するバインダーとピグメントの選定及び、その組み合わせに関する検討は工業的に見ても意義深い。
【0015】
【本発明が解決しようとする課題】
本発明は、高い平滑性と光沢性を有するキャストコート紙に関して、特にインクジェット染料インクを用いて、高品質な記録画像、特に高い記録画像濃度が得られるインクジェット記録用キャスト光沢紙及びその製造方法を提供する。また、本発明に係るインクジェット記録用キャスト光沢紙は表面強度が強く、インク滲みが無い特徴も有する。
【0016】
【発明が解決するための手段】
本発明の上記の諸目的は、原紙の少なくとも一方の面に、顔料及び透明性結着剤からなるインク受容層を設け、該インク受容層の上に、光沢付与させるための顔料及び結着剤を含有するキャスト光沢層を形成し、該キャスト光沢層は凝固剤を用いて凝固処理されており、かつ、前記キャスト光沢層が湿潤状態にあるうちに該キャスト光沢層を加熱された鏡面仕上げの金属面に圧着してなるキャストコート紙であって、上記インク受容層の塗工量が5〜15g/m2 であり、インク受容層のヘイズが70%以下であり、インク受容層の顔料が2〜15μmの粒子径である多孔性合成シリカであり、インク受容層の結着剤がPVA、PVP、ゼラチン、ポリビニルアセタール、アクリル、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ウレタン、ポリエステルから少なくとも1種類以上選ばれる透明性の高い高分子であり、かつ、上記結着剤の含有量は顔料100重量部に対して、10〜100重量部であり、光沢付与させるための前記キャスト光沢層の最表層は、コロイダルシリカを含有し、その粒子径が20nm以下であり、そのキャスト光沢層は結着剤としてカゼイン、ゼラチンから選ばれる1種以上を含み、かつ、そのキャスト光沢層の結着剤の含有量がコロイダルシリカ100重量部に対して、5〜30重量部であり、前記キャスト光沢層を凝固処理する凝固剤であるゲル化液は、ギ酸カルシウム若しくはギ酸亜鉛を含み、かつ、有機カチオン剤が混合された水溶液であることを特徴とするインクジェット記録用キャスト光沢紙によって達成された。このように、インク受容層自体のヘイズを70%以下にすることで、記録画像濃度と画像品質を向上させることができ、インク受容層の塗工量を5〜15g/m2の範囲に設定することで、インク滲みを悪化させず、また記録画像濃度を低下させずに済む。また、本発明に係るインクジェット記録用キャスト光沢紙では、前記インク受容層の結着剤がPVAだけであることが好ましい。
【0017】
本発明のインク受容層に含まれる顔料としては、カオリン、タルク、炭酸カルシウム、乳酸カルシウム、ハイドロキシアパタイト、ゼオライト、マイカ、二酸化チタン、クレー、酸化亜鉛、酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、酸化アルミニウム、チタン酸バリウム、硫酸バリウム、チタン酸鉛、各種層状化合物、ウッドセラミックス微粉体、及び無定形シリカ、非晶質シリカ等の合成シリカ等が挙げられるが、本発明においては、これらの顔料の中から適宜少なくても1種類以上を選択して用いることができる。
【0018】
本発明のキャストコート紙を特にインクジェット記録用紙と限定するならば、使用する顔料は上記のうちでもそのインク吸収性より、多孔性である合成シリカの微粉体の使用が好ましい。さらに、光沢面の平滑性を考慮して2〜15μmの粒子径である多孔性合成シリカが良いといえる。なお、このシリカの合成法については、沈降式、ゲル式、CVD法、PVD法、MBE法、水熱合成法、ゾルーゲル法等、多数あるが限定されるものではない。
【0019】
そして、本発明のインク受容層に含まれる透明性結着剤としては、ポリビニルアルコール、ポリビニルアセタール、ポリアクリロニトリル、ポリウレタン等が挙げられる。本発明においては、これらの結着剤の中から適宜選択して使用することができ、2種以上を併用しても良いが、そのインク吸収性と結着力、さらに透明性からポリビニルアルコールの使用が、特に望ましい。
【0020】
本発明におけるインク受容層を形成する塗工液並びに、該インク受容層の上に形成するキャスト塗工液は通常、水性塗工液として調製される。この塗工液中の顔料と結着剤の混合比については、顔料種と結着剤種、塗工条件や目的とするコート紙の付加されるべき物性等のコート紙設計の思想にも依るが、得られるコート紙の物性が要求される範疇にあるならば、特に限定されるものではない。
【0021】
本発明における塗工液には必要に応じて以下のような助剤を添加することもできる。
すなわち、分散剤、保水剤、増粘剤、消泡剤、防腐剤、染料、耐水化剤、蛍光染料、保存剤、紫外線吸収剤、離型剤、潤滑剤及び有機カチオン剤の各種助剤を添加することができる。
【0022】
塗工方式は以下のものが挙げられる。
ブレードコーター、エアーナイフコーター、ロールコーター、コンマコーター、カーテンコーター、バーコーター、スピンコーター等の塗工方式は適宜選択して用いることができる。
【0023】
塗工後の乾燥工程において、その乾燥方式は以下のものが挙げられる。
赤外線乾燥、熱風乾燥、常温乾燥等があるが、上記の乾燥方式は、適宜選択して用いることができる。
【0024】
本発明におけるインク受容層の塗工量に関しては、インク受容層の塗工量が少ない場合にはインク吸収不良によるインク滲みが起こるようになり、また多い場合には、記録画像部の印字濃度が低下するようになるし、乾燥工程における乾燥負荷増大などの理由から生産性低下が生ずる。さらには、経済的不利益を被るようになる。従って、インク受容層の塗工量は、5〜15g/m2が望ましい。
【0025】
また、キャスト塗工液は、コロイダルシリカを含有しており、その粒子径は20nm以下であることが望ましい。なお、この粒子径が上記範囲を逸脱する場合には、光沢感のないマット調のキャストコート紙になる場合が多い。コート紙表面の平滑性が低下すれば、外観上、高級感が失せると共に、忠実なドットの再現性が確保できない故、印字品質を大きく損ねる結果ともなる。
【0026】
そして、このキャスト塗工液中のコロイダルシリカの結着剤としては、カゼイン、ゼラチン、ウレタン、ポリビニルアルコール、メチルセルロースなどといったものから少なくとも1種以上を選ぶことができる。ゲル化や操業性、光沢層の得易さ等を総合して考慮すれば、カゼインがより好ましい材料と言える。また、この量については、コロイダルシリカ100重量部に対して、5〜30部が望ましい。
【0027】
この結着剤の量が上記範囲より少ないと、光沢面が形成されない。また、逆に多すぎると、光沢面はできるが印字品質が悪化する。すなわち、印字濃度が低下したり、記録画像部の画線部境界のシャープネスが損なわれる。さらに、キャスト塗工時にゲル化されないキャスト塗工液が出てくるようになり、乾燥負荷の点から、過剰な熱エネルギーの供給を余儀なくされて、かつ、生産性の低下をも招くようになる。
【0028】
本発明におけるキャスト光沢層の塗工量に関しては、キャスト光沢層の塗工量が少ない場合には良好な光沢面が得られず、また多い場合には、キャスト光沢層の凝固不良を生じ、乾燥工程における乾燥負荷増大などの理由から生産性低下が生ずる。さらには、経済的不利益を被るようになる。従って、キャスト光沢層の塗工量は、5〜15g/m2が望ましいが、さらなる好適条件は、5〜10g/m2である。しかしながら、この条件については、原紙のサイズ度、透気度、吸収量、平滑度、米坪、密度等の条件やインク受容層の吸収量、気泡率、透気度、表面粗さ、キャスト光沢層密度と厚み、さらには、キャスト塗工液の組成、固形分、保水性、粘度、温度、SP値などの影響を受けるので、上記範囲は絶対的なものではない。
【0029】
本発明におけるキャスト光沢層を形成するときに使用される凝固剤として、金属塩を使用する場合、カルシウム、亜鉛、マグネシウム及びアルミニウム等から選ばれる金属塩の少なくとも一種を含有する水溶液が適用できるが、水への溶解度や塩析効果、凝固能などの総合評価により、ギ酸が配位した2価のアルカリ土類金属または、遷移金属が好ましく、さらに好適にはギ酸カルシウムかギ酸亜鉛の使用が望ましい。
【0030】
前記凝固剤としての金属塩の濃度は、塗工液の処方、固形分や塗工量等によって調整する必要があるが、本発明においては、コート紙の品質、保存性、キャスト塗工適性に支障のない範囲として以下の条件が挙げられる。
すなわち、凝固液中において、0.5〜5.0重量%が好ましく、さらに好適には1.0〜3.0重量%である。
【0031】
前記凝固剤として、有機カチオン剤を金属塩と併用する場合、有機カチオン剤には、ポリビニルベンジルトリメチルアンモニウムハライド、ポリジアリルジメチルアンモニウムハライド、ポリジメチルアミノエチルメタクリレート塩酸塩、ポリエチレンイミン、ジシアンアミドホルマリン縮合物、エピクロルドヒドリン変性ポリアルキルアミン、ポリビニルピリジニウムハライドやポリエチレンポリアミン、ポリプロピレンポリアミンなどのポリアルキレンポリアミン類または、その誘導体、第3級アミノ基や第4級アンモニウム基を有するアクリル樹脂、ジアクリルアミン等のカチオン性樹脂を添加できる。ここで、有機カチオン剤の望むべく性状は、キャスト塗工操業性上、水系にて電離し易いアンモニウム塩の形態である。
【0032】
前記凝固剤としての有機カチオン剤の濃度は、併用するギ酸カルシウムの濃度や、組み合わせるカチオン剤の種類やブレンド比にも依るが、有機カチオン剤の総重量濃度は、コート紙の品質、保存性、キャスト塗工適性に支障のない範囲として以下の条件が挙げられる。
すなわち、凝固液中において、1.0〜5.0重量%が好ましい。
【0033】
以上のような範囲で有機カチオン剤を凝固剤として用いると、コート紙の基本的物性であるキャスト光沢層表面強度や光沢度は優れた性質となる。また、記録画像部の印字品質も印字濃度、色調、記録画像部の保存性も良好なものとなる。しかしながら、有機カチオン剤の量がこの範囲未満であると、印字濃度の低下や耐水性が劣るようになる。
【0034】
逆に、有機カチオン剤の量がこの範囲を超えると、色調やインク吸収性不良や耐光性が劣るようになる。また、キャスト塗工操業時におけるキャストドラムへの貼りつき現象が起こってくる。
【0035】
なお、塗工に際してベースとなる原紙は、一般のコート紙に使用される酸性紙、中性紙等が適宜使用される。そして、使用目的にも依るが、インクジェットの印字適性を考えるならば、そのインク吸収性を考慮してパルプにより構成される紙ベースが好ましい。パルプ種としては、LBP、NBKP、GP、TMP、CGPや、DIP等の木材パルプ、また、ケナフやコットンなど非木材パルプ等が挙げられ、このパルプシートにバインダー及びサイズ剤や歩留まり向上剤、紙力増強剤等の各種添加剤を一種以上用いて混合したものが使用できる。さらに、パルプについては、環境問題の点から、ECFやTCFパルプの使用が望ましい。
【0036】
【実施例】
以下に本発明の実施例を挙げて説明するが、本発明はこれらの例に限定されるものではない。また、実施例において示す部及び%は、特に言及しない限り、固形分の重量部及び重量%を示す。
<支持体の内容>
支持体となる原紙は以下の仕様である。米坪127g/m2、紙厚130μm、ベック平滑度50秒、透気度16.3秒であり木材パルプより構成されている。
【0037】
実施例1
<インク受理層の塗工>
該支持体上に多孔質無機顔料とバインダーを主構成物とする塗工組成物を塗工し、インク受理層を得た。塗工組成物は、多孔質無機顔料として市販の合成非晶質シリカ(サイリシア470:富士シリシア社製)を100部、バインダーとして市販のポリビニルアルコール(PVA−117:クラレ社製)60部を混合して得た。該塗工組成物の固形分濃度は16%である。該塗工組成物をエアーナイフコーターにて絶乾重量10g/m2となるように支持体上に塗工、その後エアードライヤーにて乾燥しインク受理層を得た。
【0038】
<キャスト光沢層塗工液の調製>
顔料として、コロイダルシリカ(シリカドール20:日本化学工業社製、粒子径10〜15nm)100部、結着剤としてカゼイン10部、離型剤としてステアリン酸カルシウム(サンノプコ社製、ノプコートC104)2部、ロート油2部を調合して、濃度20%のキャスト液を得た。
【0039】
<キャスト光沢層塗工液の塗工>
該キャスト光沢層塗工液をロールコーターにて絶乾重量10g/m2になるように支持体上に塗工し、加熱した仕上げ面に圧着するまでの間にカチオン剤を含む凝固液を該塗工膜に塗布する。その後、キャストし、インクジェット記録用の光沢紙を得た。
【0040】
<凝固液の組成>
ギ酸カルシウム1%、ジメチルアミンエピクロルヒドリン系樹脂(商品名:パピオゲンP−103、センカ社製)5%を混合した水溶液である。
【0041】
実施例2
インク受容層に、市販の多孔性合成シリカにP−78F(水澤化学社製)を選んで使用した以外は実施例1に準ずる。
【0042】
実施例3
インク受容層を5g/m2に変更した以外は実施例1に準ずる。
【0043】
実施例4
インク受容層を15g/m2に変更した以外は実施例1に準ずる。
【0044】
実施例5
インク受容層において、ポリビニルアルコールを10部と変更した以外は実施例1に準ずる。
【0045】
実施例6
インク受容層において、ポリビニルアルコールを100部と変更した以外は実施例1に準ずる。
【0046】
実施例7
インク受容層において、ポリビニルアルコール60部をゼラチン(商品名:CLV、新田ゼラチン社製)60部に代替した以外は実施例1に準ずる。
【0047】
実施例8
インク受容層において、ポリビニルアルコール60部をウレタン(商品名:IJ-2、大日本インキ社製)60部に代替した以外は実施例1に準ずる。
【0048】
実施例9
キャスト塗工液中のコロイダルシリカをシリカドール40(日本化学工業社製、粒子径15〜20nm)に変更した以外は実施例1に準ずる。
【0049】
実施例10
キャスト塗工液中のカゼインを5部と変更した以外は実施例1に準ずる。
【0050】
実施例11
キャスト塗工液中のカゼインを30部と変更した以外は実施例1に準ずる。
【0051】
実施例12
キャスト塗工液中のカゼインをゼラチン(商品名:CLV、新田ゼラチン社製)5部と代替した以外は実施例1に準ずる。
【0052】
実施例13
キャスト塗工液中のカゼインをゼラチン(商品名:CLV、新田ゼラチン社製)30部と代替した以外は実施例1に準ずる。
【0053】
実施例14
凝固液組成をギ酸亜鉛1%、ジメチルアミンエピクロルヒドリン系樹脂(商品名:パピオゲンP−103、センカ社製)5%を混合した水溶液とした以外は実施例1に準ずる。
【0054】
比較例1
インク受容層で多孔性合成シリカにサイリシア430(富士シリシア社製)を選んで使用した以外は実施例1に準ずる。
【0055】
比較例2
インク受容層に、市販の多孔性合成シリカにP−78D(水澤化学社製)を選んで使用した以外は実施例1に準ずる。
【0056】
比較例3
インク受容層に、市販の多孔性合成シリカにBY−001(日本シリカ社製)を選んで使用した以外は実施例1に準ずる。
【0057】
比較例4
インク受容層に、バインダー構成がPVA−117を10部とエチレン酢酸ビニル(EVA AD−6、昭和高分子社製)40部と変更した以外は実施例1に準ずる。
【0058】
比較例5
インク受容層に、バインダー構成がPVA−117を5部と変更した以外は実施例1に準ずる。
【0059】
比較例6
インク受容層に、バインダー構成がPVA−117を150部と変更した以外は実施例1に準ずる。
【0060】
比較例7
キャスト塗工液において、カゼインを3部と変更した以外は実施例1に準ずる。
【0061】
比較例8
キャスト塗工液において、カゼインを50部と変更した以外は実施例1に準ずる。
【0062】
比較例9
キャスト塗工液中のカゼインをゼラチン(商品名:CLV、新田ゼラチン社製)3部と代替した以外は実施例1に準ずる。
【0063】
比較例10
キャスト塗工液中のカゼインをゼラチン(商品名:CLV、新田ゼラチン社製)50部と代替した以外は実施例1に準ずる。
【0064】
比較例11
凝固液を乳酸カルシウム6%水溶液とした以外は実施例1に準ずる。
【0065】
比較例12
インク受容層を3g/m2に変更した以外は実施例1に準ずる。
【0066】
比較例13
インク受容層を20g/m2に変更した以外は実施例1に準ずる。
【0067】
比較例14
キャスト塗工液のコロイダルシリカにスノーテックスST−UP(日産化学工業社製、粒子径100nm)に変更した以外は実施例1に準ずる。
【0068】
このようにして得られたキャストコート紙の白紙光沢感、インクジェット記録適性、(画像記録濃度とインク滲み)、操業性、キャスト光沢層表面強度及びインク受容層のヘイズ測定の結果を表1にまとめた。なお、上記評価に関しては、下記要領、方法にて評価を行った。
【0069】
(白紙光沢感)
目視にて評価した。
○:光沢感良好
△:光沢感やや低いが、実用上問題無いレベル
×:マット調であり、光沢感無し。
【0070】
(画像印字濃度とインク滲み)
ヒューレット・パッカード社の2500CPの染料インクで印字を行い、インク濃度や滲みを目視にて評価した。
◎:印字濃度(または滲み)、非常に良好
○:印字濃度(または滲み)、良好
△:印字濃度やや低いが(または滲みやや悪いが)、実用上問題無いレベル
×:印字濃度低く(または滲み悪く)、実用に耐えないレベル
【0071】
(離型性)
キャスト板から離れるコート紙の貼りつき具合を目視にて評価した。
○:離型性良好
△:離型性やや劣る
×:離型性不良
【0072】
(キャスト光沢層表面強度)
セロハンテープにてインク受容層の表面強度を調べた。セロハンテープをキャスト光沢層表面に接着してから剥離させて、テープについた付着物の量より判断した。
○:表面強度良好
△:表面強度やや劣る
×:表面強度不良
【0073】
(インク受容層ヘイズ測定)
透明フィルムにインク受容層を設け、そのヘイズを日本電色工業製の濁度計(300A)にて測定した。そして、透明フィルムのヘイズを差し引いてインク受容層のヘイズ値を算出した。
【0074】
【表1】
【0075】
【発明の効果】
表1の結果から明らかな通り、本発明に係るインクジェット記録用キャスト光沢紙及びその製造方法は、表面の光沢感が高く、インクジェット適性(記録画像濃度とインク滲み)に優れ、なおかつ、キャスト操業性や表面強度も良好なものであった。特に、本発明は、インクジェット記録紙の特性の中でも、記録画像部での印字濃度に優れているものであった。
Claims (2)
- 原紙の少なくとも一方の面に、顔料及び透明性結着剤からなるインク受容層を設け、該インク受容層の上に、光沢付与させるための顔料及び結着剤を含有するキャスト光沢層を形成し、該キャスト光沢層は凝固剤を用いて凝固処理されており、かつ、前記キャスト光沢層が湿潤状態にあるうちに該キャスト光沢層を加熱された鏡面仕上げの金属面に圧着してなるキャストコート紙であって、
上記インク受容層の塗工量が5〜15g/m2 であり、インク受容層のヘイズが70%以下であり、インク受容層の顔料が2〜15μmの粒子径である多孔性合成シリカであり、インク受容層の結着剤がPVA、PVP、ゼラチン、ポリビニルアセタール、アクリル、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ウレタン、ポリエステルから少なくとも1種類以上選ばれる透明性の高い高分子であり、かつ、上記結着剤の含有量は顔料100重量部に対して、10〜100重量部であり、
光沢付与させるための前記キャスト光沢層の最表層は、コロイダルシリカを含有し、その粒子径が20nm以下であり、そのキャスト光沢層は結着剤としてカゼイン、ゼラチンから選ばれる1種以上を含み、かつ、そのキャスト光沢層の結着剤の含有量がコロイダルシリカ100重量部に対して、5〜30重量部であり、
前記キャスト光沢層を凝固処理する凝固剤であるゲル化液は、ギ酸カルシウム若しくはギ酸亜鉛を含み、かつ、有機カチオン剤が混合された水溶液であることを特徴とするインクジェット記録用キャスト光沢紙。 - 前記インク受容層の結着剤がPVAだけであることを特徴とする請求項1に記載のインクジェット記録用キャスト光沢紙。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2001048883A JP4342112B2 (ja) | 2001-02-23 | 2001-02-23 | インクジェット記録用キャスト光沢紙 |
Applications Claiming Priority (1)
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