JP3810169B2 - 電子写真用感光体 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は電子写真用感光体に関する。さらに、詳しくは、本発明は、新規なビスアゾ化合物を含有する高感度な電子写真用感光体に関する。
【0002】
【従来の技術】
電子写真用感光体としては、従来はセレン、硫化カドミウム、酸化亜鉛等の無機系の光導電性物質を用いた感光体が使用されていたが、最近は、無公害で、製造、取扱いが容易であること、画質が良好であること、ドラム、シート、ベルトなど各種の形状の感光体が簡単に得られることなどの多くの利点を有する有機系の光導電性化合物(以下OPCと略す)を用いた、いわゆるOPC感光体が普通紙複写機やプリンター用に採用されるようになり、しかもその割合は年々増加している。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
OPC感光体は、従来の無機系の感光体に比べ多くの利点を有しているが、感度や耐久性などでは劣っており、現在のところは主に低速機分野に使用されている。
このため、感度、耐久性共にすぐれたOPCの開発が望まれている。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは高感度かつ高耐久性の電子写真用感光体を得るために新規なOPCについて鋭意検討した結果、特定のカップラー非対称型のビスアゾ化合物が好適であることを見出し、本発明に到達した。すなわち本発明の要旨は、導電性支持体上に感光層を有し、当該感光層中に上記一般式〔I〕で表わされるアゾ化合物を含有する電子写真用感光体において、一般式〔I〕中のAはアゾ基が結合している炭素原子が二重結合を形成するSP 2 型の炭素原子である2価の基を示し、Rが、炭素数3〜8の、直鎖状アルキル基(但し、下記式中の環Xが有する置換基がCH 3 の場合を除く)、分岐鎖状アルキル基、または、シクロアルキル基を含む基であることを特徴とする電子写真用感光体に存する。
【0005】
【化16−1】
(上記式〔I〕中
【化16−2】
を示し、ここで環Xは置換基を有する。)
【0006】
また、本発明の他の要旨は、導電性支持体上に感光層を有し、当該感光層中に下記一般式〔I〕で表わされるアゾ化合物を含有する電子写真用感光体において、一般式〔I〕中のAはアゾ基が結合している炭素原子が二重結合を形成するSP2型の炭素原子である2価の基を示し、Rが、炭素数3〜7の直鎖状アルキル基、炭素数3〜4の分岐鎖状アルキル基(但し、C(CH3)3基を含む基を除く)、炭素数3〜8の下記一般式〔IV〕で表される分岐鎖状アルキル基、または、5員以上のシクロアルキル基を含む炭素数6〜8の基であることを特徴とする電子写真用感光体に存する。
【0007】
【化17−1】
【0008】
(上記式〔I〕中
【化17−2】
を示し、ここで環Xは置換基を有さない。また、上記式〔 IV 〕中、aは0〜5の数を示し、bとcは、それぞれ、独立に0〜2の数を示す。ただし、上記式〔 IV 〕中、aが0の時はb=cである。)
【0009】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明の電子写真用感光体に含有されるビスアゾ化合物は前記一般式〔I〕で示される構造を有する。前記一般式〔I〕において、Aはアゾ基が結合している炭素原子が二重結合を形成するSP2 型の炭素原子である2価の基を示し、具体的には芳香族炭化水素環または芳香族複素環の2価の基あるいはこれらが直接結合したものや、縮合して縮合環を形成したもの、あるいは結合基や芳香族炭化水素環、脂肪族炭化水素環、複素環などにより結合した2価の基が挙げられる。代表的な例としては、芳香族炭化水素環の2価の基としては、ベンゼン、ナフタレン、アントラセン、ピレン、フルオレノン、アントラキノン、フェナントレン、ビフェニレン、トリフェニレン、ペリレンなどから導かれる2価の基が挙げられ、芳香族複素環の2価の基としてはカルバゾール、アクリジン、アクリドン、キサントン、フェナジン、ジベンゾチオフェン、ジベンゾフラン、ベンズイミダゾール、ベンゾチアゾールなどから導かれる2価の基が挙げられる。
さらにこれら芳香族炭化水素環または芳香族複素環の2価の基が直接結合したり、縮合環を形成したものから導かれる2価の基の具体例の一部を下記第1表に示す。
【0010】
【表1】
【0011】
結合基の例としては、
【0012】
【化18】
【0013】
などがある。
また、芳香族炭化水素環、脂肪族炭化水素環や複素環の例としては、ベンゼン、ナフタレン、アセナフテン、アントラセン、ピレン、フルオレン、フルオレノン、フェナントレン、ナフトキノン、アントラキノン、シクロヘキサン、シクロヘキサノン、ピペラジン、ピロール、フラン、チオフェン、オキサゾール、イソキサゾール、チアゾール、ピラゾール、ピラゾリン、イミダゾール、イミダゾリジン、オキサジアゾール、チアジアゾール、トリアゾール、ピリジン、インドール、キノリン、カルバゾール、キサンテン、キサントン、クマリン、フェノチアジンなどが挙げられる。
【0014】
Aはこれら炭化水素環または複素環と上記結合基を組み合わせて得られる。これらの炭化水素環、複素環は置換基を有していてもよい。
これらの具体例の一部を下記第2表に示す。
【0015】
【表2】
【0016】
【表3】
【0017】
【表4】
【0018】
【表5】
【0019】
前記一般式〔I〕においてRは炭素数3〜8の直鎖状、分岐鎖状のアルキル基であり、シクロアルキル基を含んでもよい。具体的には例えばn−プロピル基、iso−プロピル基、n−ブチル基、iso−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、n−ペンチル基、iso−ペンチル基、ネオペンチル基、tert−ペンチル基、1−メチルブチル基、1−エチルプロピル基、n−ヘキシル基、iso−ヘキシル基、1−メチルペンチル基、1−エチルブチル基、2−エチルブチル基、2−メチルペンチル基、3−メチルペンチル基、n−ヘプチル基、iso−ヘプチル基、1−メチルヘキシル基、1−プロピルブチル基、シクロヘキシルメチル基、シクロヘキシルエチル基、シクロペンチルメチル基、シクロペンチルエチル基、シクロブチルメチル基、シクロプロピルメチル基、n−オクチル基、iso−オクチル基、2−エチルヘキシル基等が挙げられる。Rは、炭素数3〜7の直鎖状アルキル基、分岐鎖状アルキル基(但し、側鎖を有する場合に側鎖の炭素数が主鎖の炭素数より2以上小さい基及びC(CH3 )3 基を含む基を除く)、および、5員環以上のシクロアルキル基を含む基からなる群から選ばれることが好ましく、特には、炭素数3〜7の直鎖状アルキル基、下記一般式〔IV〕で表わされる分岐鎖状アルキル基、
【0020】
【化19】
【0021】
(一般式〔IV〕において、aは0〜5の数を示し、bとcは、それぞれ、独立に0〜2の数を示す。ただし、aが0の時はb=cである。)
および、5員環以上のシクロアルキル基からなる群から選ぶことが好ましい。
中でもiso−プロピル基、iso−ブチル基、iso−ペンチル基、iso−ヘキシル基、2−エチルブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基、シクロヘキシルメチル基、2−エチルヘキシル基等が好ましい。
前記一般式〔I〕において、
【0022】
【化20】
【0023】
を示し、通常の製法では上記2種の基の混合物として得られる。
環Xは置換基を有してもよく、置換基としては、ハロゲン原子、アルキル基またはアルコキシ基等が挙げられ、具体的には例えばフッ素原子、塩素原子、ヨウ素原子等のハロゲン原子;メチル基、エチル基、n−プロピル基、iso−プロピル基、n−ブチル基、iso−ブチル基、n−ヘキシル基等のアルキル基;メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基等のアルコキシ基等が挙げられる。中でも、水素原子、フッ素原子、塩素原子、メチル基、メトキシ基等が好ましい。
【0024】
【化21】
【0025】
を示すことが好ましく、この場合、Yは水素原子、ハロゲン原子、アルキル基またはアルコキシ基を示す。特に、Xが置換基を有さない場合、即ち、Yが水素原子である場合が好ましい。
本発明のアゾ化合物は種々の方法で製造できる。
第1の方法は下記一般式〔V〕
【0026】
【化22】
H2 N−A−NH2 …〔V〕
【0027】
(上記式中で、Aは前記一般式〔I〕におけると同義である。)
で表わされるジアミンの一方のアミンを保護基により保護するか、ニトロ基に変えジアゾ化反応が不可能な状態にして他方のアミンのみを常法により、ジアゾ化反応、次いでカップリング反応を行ない、モノアゾ化合物を合成し、次に、残りのアミンの保護基をはずすか、ニトロ基を還元することにより、アミンの形にした後、ジアゾ化反応をした後、上記と異なるカップラーによりカップリング反応を行ない、前記一般式〔I〕で表わされるアゾ化合物を製造する方法である。
第2の方法は一般式〔VI〕
【0028】
【化23】
【0029】
(上記式中、Xはアニオン官能基を示す。)
で示されるテトラゾニウム塩を下記一般式〔VII 〕と下記一般式〔VIII〕
【0030】
【化24】
【0031】
(上記一般式〔VI〕、〔VII 〕、〔VIII〕中、A、R、環Xはそれぞれ前記一般式〔I〕におけると同義である。)
で示されるカップラーの混合物と反応させて前記一般式〔I〕で表わされるアゾ化合物を合成する方法である。
本発明のアゾ化合物としては、いずれの方法で製造したアゾ化合物も使用できるが、第1の方法は、反応段階が多く、アゾ化合物の製造コストが高くなる欠点を有している。第2の方法は、製造方法は従来と同じであり、単一のカップラーを用いる代りに、2種類のカップラーを用いる点が異なるだけであり、第1の方法に比べ製造しやすい利点を有している。
しかし、第2の方法はカップラーを混合して反応させるため、合成されるアゾ化合物も、カップラーが異なる一般式〔I〕で表わされるアゾ化合物の他にカップラーが同じアゾ化合物(下記一般式〔IX〕および〔X〕)が生成する可能性がある。
【0032】
【化25】
【0033】
上記一般式〔IX〕又は〔X〕の化合物の混入割合が少ない場合は問題はないが、多い場合は本発明のアゾ化合物〔I〕の性能よりもアゾ化合物〔IX〕や〔X〕の性能を主体とした性能を示す様になるため、なるべくアゾ化合物〔I〕が多くなる様な反応条件を選択することが必要である。
本発明者は、この点に関し検討を行なった所、カップリング反応の反応性は、カップラー分子の構造により差があり、カップラーの混合比などの反応条件を適正に選択することにより、一般式〔I〕で表わされる本発明のアゾ化合物を高純度で合成できることを見出した。
【0034】
すなわち、本発明のアゾ化合物は、上記第2の方法により容易に合成することができる。合成方法を具体的に説明すると前記したように一般式〔VI〕で表わされるテトラゾニウム塩と前記一般式〔VII 〕および〔VIII〕の混合物とを公知の方法によりカップリング反応させることにより一般式〔I〕で表わされるアゾ化合物が合成される。反応溶媒としては水および/又はジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、N−メチルピロリドン、メタノール、エタノール、イソプロパノール等の有機溶媒が適当であり、酢酸ナトリウム等の塩基の存在下、30℃以下の温度で30分ないし10時間程度反応させればよい。
【0035】
2種のカップラーは等モル混合するか反応性の差により反応性の低いカップラーを過剰に用い、テトラゾニウム塩1モルに対し、反応性の高い方のカップラーを1〜1.5モルの割合で反応させるのが好ましい。
カップラーはいずれも公知の方法により合成できる。
一般式〔VIII〕で表わされるカップラーは例えば下記反応式(a)に従いヒドロキシナフタル酸無水物〔XI〕とジアミン〔XII 〕とを酢酸等の有機溶媒中で加熱し、脱水縮合することにより得られる。(特公昭61−30265号公報参照)。
【0036】
【化26】
【0037】
上記合成方法により得られるカップラー〔VIII〕は異性体の混合物となるが本発明においてはいずれの異性体も使用でき、通常は反応により生成した異性体を分離せず混合物のままカップリング反応に用いる。
本発明の代表的な電子写真用感光体としては下記の第3表に示すようなビスアゾ系化合物を挙げることができる。
【0038】
【表6】
【0039】
【表7】
【0040】
【表8】
【0041】
【表9】
【0042】
【表10】
【0043】
【表11】
【0044】
【表12】
【0045】
【表13】
【0046】
本発明の電子写真用感光体は上記一般式〔I〕で表わされるビスアゾ化合物を1種又は2種以上含有する感光層を有する。またその感光層はそれに加え他の顔料を含有していてもよい。感光層は種々の形態のものが周知であるが、本発明の感光体においては、そのいずれのタイプであってもよい。特に好適なのは、本発明のビスアゾ化合物を電荷発生材料としてバインダー中に分散させ、これを電荷発生層とし、周知の電荷輸送材料を含む、電荷輸送層を積層した積層型感光体や、上記のビスアゾ化合物の分散層中に、周知の電荷輸送材料を添加した単層型感光体などが挙げられる。
【0047】
本発明の前記一般式〔I〕で示されるビスアゾ化合物は電荷キャリヤーの発生効率及び電荷輸送材料へのキャリヤー注入効率が高く、前記の積層型や単層型の機能分離型感光体の電荷発生材料としてきわめてすぐれた性能を有している。
本発明の前記一般式〔I〕で示されるビスアゾ化合物と共に感光層に含有されていてもよい他の顔料としては、ビスアゾ顔料、トリスアゾ顔料、フタロシアニン系顔料、ペリレン顔料等が挙げられる。ビスアゾ顔料、トリスアゾ顔料としては、例えば一般式〔XXIII 〕〜〔XXIX〕に示されるような化合物が例示できる。
【0048】
【化27】
【0049】
(但し、上記一般式〔XXIII 〕〜〔XXIX〕において、R36〜R42は、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アルコキシ基又はシアノ基を表わし、各々同一でも異なっていてもよい。P、QおよびRは、下記一般式〔XXX 〕、〔XXXI〕又は〔XXXII 〕を表わす。)
【0050】
【化28】
【0051】
(上記〔XXX 〕、〔XXXI〕、〔XXXII 〕式中Zは前記一般式〔I〕におけると同義であり、R40は置換基を有していてもよいアルキル基又は置換基を有していてもよいアリール基を表わし、R41は置換基を有していてもよいアリール基、Sは芳香族炭素環又は複素環を形成するに必要な原子群を表わす。)
フタロシアニン系顔料としては、例えばオキシチタニウムフタロシアニン、ジクロロスズフタロシアニン、クロロインジウムフタロシアニン等が挙げられる。ペリレン顔料としては、例えば一般式〔XXXIII〕、〔XXXIV 〕に示されるような化合物が例示できる。
【0052】
【化29】
【0053】
(但し、上記一般式〔XXXIII〕、〔XXXIV 〕において、R42、R43は置換基を有していてもよいアルキル基又は置換基を有していてもよいアリール基を表わし、これらは互いに同一でも異なっていてもよく、Z1 、Z2 は前記一般式〔I〕におけるZと同義であり、これらは互いに同一でも異なっていてもよい。)
また、本発明のビスアゾ化合物と他の顔料を同時に含有させることにより、可視光に対する感度を低下させることなく、且つ低温での帯電性の低下が少ない感光体や、可視光及び近赤外光に対して高い感度を有する感光体を得ることができる。
【0054】
本発明のビスアゾ化合物と組合せて用いる電荷輸送材料は一般に電子の輸送媒体とホールの輸送媒体の二種に分類されるが、本発明感光体には両者とも使用することができ、またその混合物をも使用できる。電子の輸送媒体としてはニトロ基、シアノ基、エステル基等の電子吸引性基を有する電子吸引性化合物、例えば2,4,7−トリニトロフルオレノン、2,4,5,7−テトラニトロフルオレノン等のニトロ化フルオレノンあるいはテトラシアノジメタンが挙げられる。また、ホールの輸送媒体としては電子供与性の有機光導電性化合物、例えばカルバゾール、インドール、イミダゾール、オキサゾール、チアゾール、オキサジアゾール、ピラゾール、ピラゾリン、チアジアゾール等の複素環化合物;トリフェニルメタン等のトリアリールアルカン誘導体(例えば特開昭60−87334);トリフェニルアミン等のトリアリールアミン誘導体(例えば、58−203446);フェニレンジアミン誘導体(例えば、特開昭54−110836);N−フェニルカルバゾール誘導体(特公昭63−18738);スチルベン誘導体(例えば特開昭58−65440、58−198043);ヒドラゾン化合物(例えば特開昭57−11350、57−67940、58−108359)などが挙げられ、特に、ジアルキルアミノ基、ジフェニルアミノ基の様な置換アミノ基、あるいはアルコキシ基、アルキル基の様な電子供与性基、あるいはこれらの電子供与性基が置換した芳香族環基が置換した電子供与性の大きな化合物が挙げられる。又、ポリビニルカルバゾールの様に、これらの化合物からなる基を主鎖もしくは側鎖に有する重合体も挙げられる。
そして、本発明のビスアゾ化合物と組合わされる好適なものとしては、1−ピレンカルバルデヒドヒドラゾン類および下記一般式〔XII 〕〜〔XIX 〕で表わされる化合物が挙げられる。
一般式〔XII 〕は、
【0055】
【化30】
【0056】
(式中、R3 およびR4 は互いに同一でも異っていてもよく、それぞれ水素原子、アルキル基、アラルキル基、アリル基もしくは置換基を有してもよいアリール基を示し、更にはR3 とR4 とで五員環もしくは六員環の複素環を形成するアルキレン残基またはR3 とR4 のいずれか一方もしくは両方がそれぞれ独立してB環と、五員環もしくは六員環の複素環を形成するアルキレン残基を表わしてもよい。又R5 は水素原子、低級アルキル基、低級アルコキシ基、ハロゲン原子、ニトロ基またはジ置換アミノ基を表わし、R6 は低級アルキル基、アリル基、フェニル基、置換フェニル基、ナフチル基、またはアラルキル基を表わし、R6 とC環とで五員環もしくは六員環の複素環を形成してもよい。又R7 は水素原子、低級アルキル基、低級アルコキシ基、アルキルアミノ基またはアシルアミノ基を表わし、n1 は0又は1の数を表わす。)で表わされるヒドラゾン系化合物であり、
一般式〔XIII〕は、
【0057】
【化31】
【0058】
(式中、DおよびEは水素原子、低級アルキル基、低級アルコキシ基、フェノキシ基又はアリールアルコキシ基を表わし、R8 はフェニル基又はナフチル基を表わし、R9 は水素原子、低級アルキル基、アリル基、フェニル基、置換フェニル基又はアラルキル基を表わし、n2 は0又は1を表わし、mおよびlは1又は2を表わす。)で表わされるナフチルヒドラゾン化合物であり、
一般式〔XIV 〕は、
【0059】
【化32】
【0060】
(式中、R10、R11、R12は、それぞれ、水素原子、ハロゲン原子、置換基を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよいアルコキシ基、または置換基を有していてもよいアリール基を表わし、これらは互いに同一でも異なっていてもよい。)で表わされるトリフェニルアミン系化合物であり、
一般式〔XV〕は、
【0061】
【化33】
【0062】
(式中、Pは置換基を有していてもよい脂肪族連結基又は酸素原子を表わし、連結基主鎖中に酸素原子または炭素−炭素二重結合が介在していてもよく、炭素のみの連結基主鎖の場合構成炭素数は1〜5であり、酸素原子が介在する場合は炭素−炭素の構成鎖長は炭素数1〜5であり;n3 は0または1を表わし;Ar1 およびAr2 はそれぞれ置換基を有していてもよいアリール基又は複素環基であり、これらは互いに同一でも異なっていてもよく;R13、R14、R15およびR16はそれぞれ水素原子、置換基を有していてもよい低級アルキル基、ハロゲン原子、または置換基を有していてもよい低級アルコキシ基を表わし、これらは互いに同一でも異なっていてもよい。)で表わされるアリールアミン系化合物であり、
一般式〔XVI 〕、〔XVII〕は、それぞれ、
【0063】
【化34】
【0064】
(式中、Gは、水素原子又は一般式〔XX-a〕
【0065】
【化35】
【0066】
で示される基を表わし;Qは一般式〔XXI 〕
【0067】
【化36】
−O−K1 −O− …〔XXI 〕
【0068】
又は、一般式〔XXII〕
【0069】
【化37】
−K2 −O−K3 − …〔XXII〕
【0070】
で示される基を表わし、一般式〔XXI 〕中、K1 は置換基を有していてもよい2価の炭化水素残基を表わし、一般式〔XXII〕中、K2 およびK3 はそれぞれ置換基を有していてもよいアルキレン基、置換基を有していてもよいアリレン基、又は置換基を有していてもよいアルキレン基と置換基を有していてもよいアリレン基が結合した基を表わし、K2 とK3 は互いに同一でも異なっていてもよく;Ar3 およびAr4 は、それぞれ、置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよいアリール基、又は置換基を有してもよい複素環基を表わし、これらは互いに同一でも異なっていてもよく;R17、R18、R19およびR20はそれぞれ水素原子、ハロゲン原子、置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有していてもよいアルコキシ基、又は置換アミノ基を表わし、これらは互いに同一でも異なっていてもよく;R21、R22、R23、R24、R25およびR26は、それぞれ、水素原子、置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよいアリール基、又は置換基を有してもよい複素環基を表わし、これらは互いに同一でも異なっていてもよく、もしくはR22とR23、R25とR26は縮合して炭素環基または複素環基を形成していてもよく、但し、R22とR23からなる対、R25とR26からなる対は、各対のどちらか一方が水素原子またはアルキル基の時は、もう一方は、アリール基、または複素環基である。)で表わされるアリールアミン系化合物であり、
一般式〔XVIII 〕は、
【0071】
【化38】
【0072】
(式中、R27、R29、R31およびR32は水素原子、アルキル基又はアルコキシ基を表わし、R28およびR30はアルキル基、アリル基、アラルキル基、フェニル基、置換フェニル基又はナフチル基を表わし、n4 は0又は1の数を表わす。)で表わされるベンジジン系化合物であり、
一般式〔XIX 〕は、
【0073】
【化39】
【0074】
(一般式〔XIX 〕中、Ar5 、Ar6 は、それぞれ、置換基を有してもよいアリール基、置換基を有してもよいアラルキル基、又は、置換基を有してもよい複素環基を表わし、これらは互いに同一でも異なっていてもよく、R33は水素原子、ハロゲン原子、置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよいアリール基、置換基を有してもよいアラルキル基、置換基を有してもよいアルコキシ基、又は、置換基を有してもよいアミノ基を表わし、R34、R35は、それぞれ、水素原子、置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよいアリール基、置換基を有してもよいアラルキル基、又は置換基を有してもよい複素環基を表わし、これらは互いに同一でも異なっていてもよい。n5 、n6 はそれぞれ独立して0または1以上の整数を表わす。)で表わされるスチリル系化合物である。
さらに、本発明のビスアゾ化合物と組み合わされる特に好適なものとして、一般式〔XVI 〕で表わされるアリールアミン系化合物の中でも、一般式〔III 〕
【0075】
【化40】
【0076】
(上記式中、R2 は置換基を有していてもよいスチリル基を示す。)で表わされる化合物が挙げられる。
これらの具体例を下記第4表に示すが、本発明のビスアゾ化合物と組合せて用いる電荷キャリヤー輸送媒体はこれにより限定されるものではない。
【0077】
【表14】
【0078】
【表15】
【0079】
【表16】
【0080】
【表17】
【0081】
【表18】
【0082】
【表19】
【0083】
【表20】
【0084】
【表21】
【0085】
本発明の前記一般式〔I〕で示されるビスアゾ化合物を含有することにより、高感度の感光体を得ることができるが、感光体の残留電位、繰り返し安定性、応答性、低温での帯電性等には前記キャリヤー輸送媒体との組み合わせが大きく影響する。残留電位が低く、繰り返しても安定で、応答性が良く、低温での帯電性が良い感光体を得るために鋭意検討した結果、本発明のビスアゾ化合物と組み合わせる好適なキャリヤー輸送媒体は、下記一般式〔XX-b〕
【0086】
【化41】
【0087】
(一般式〔XX-b〕中、L1〜L15は、それぞれ独立して、水素、置換基又は分子構造中の他の部分と接続するための結合手を表わす。また、L1とL2、L2とL3、L3とL4、L4とL5、L6とL7、L7とL8、L8とL9、L9とL10、L11とL12、L12とL13、L13とL14、およびL14とL15は共同してベンゼン環との縮合環を形成していてもよく、その縮合環が置換基又は分子構造中の他の部分と接続するための結合手を有していてもよい。)で表わされるトリフェニルアミン構造を分子中に有する化合物、および飽和カロメル電極に対する酸化電位が0.90Vより高くない化合物であることが判った。
【0088】
本発明の電子写真用感光体は常法に従って製造できる。
すなわち、本発明の電子写真用感光体は、導電性支持体上に、本発明のビスアゾ化合物を含有する電荷発生層と電荷輸送層を有する積層型か、ビスアゾ化合物が分散した感光層を有する単層型の感光体であり、これらの他に、接着層、ブロッキング層などの中間層や、保護層など、電気特性、機械特性などの性能改良のための層を設けてもよい。
【0089】
導電性支持体としては周知の電子写真用感光体に採用されているものがいずれも使用できる。具体的には例えばアルミニウム、銅、ニッケル等の金属ドラム、シート、ベルトあるいはこれらの金属箔のラミネート物、蒸着物が挙げられる。更に、金属粉末、カーボンブラック、ヨウ化銅、高分子電解質等の導電性物質を適当なバインダーとともに塗布して導電処理したプラスチックフィルム、プラスチックドラム、紙等が挙げられる。また、金属粉末、カーボンブラック、炭素繊維等の導電性物質を含有し、導電性となったプラスチックのシートやドラムあるいは、酸化スズ、酸化インジウム等の導電性金属酸化物層を表面に有するプラスチックフィルムなどが挙げられる。
【0090】
前記した積層型感光体では、通常は導電性支持体上に電荷発生層を形成し、その上に電荷輸送層が形成されるが、逆の構成でもよい。
該電荷発生層は、本発明のビスアゾ化合物とバインダーポリマーを含む塗布液を塗布、乾燥して形成される。ビスアゾ化合物は溶解していてもよいが通常は分散した状態の塗布液として塗布される。塗布液調製用の溶媒としてはブチルアミン、エチレンジアミン等の塩基性溶媒;テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン等のエーテル類;メチルエチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン類;トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素;N,N−ジメチルホルムアミド、アセトニトリル、N−メチルピロリドン、ジメチルスルホキシド等の非プロトン性極性溶媒;メタノール、エタノール、イソプロパノール等のアルコール類;酢酸エチル、蟻酸メチル、メチルセロソルブアセテート等のエステル類;ジクロロエタン、クロロホルム等の塩素化炭化水素などが挙げられる。
【0091】
ビスアゾ化合物を分散する場合には、1μm以下、好ましくは0.5μm以下の粒径にすることが好ましい。
バインダーとしては、スチレン、酢酸ビニル、アクリル酸エステル、メタクリル酸エステル、ビニルアルコール、エチルビニルエーテル等のビニル化合物の重合体及び共重合体、フェノキシ樹脂、ポリスルホン、ポリビニルアセタール、ポリカーボネート、ポリエステル、ポリアミド、ポリウレタン、セルロースエステル、セルロースエーテル、エポキシ樹脂、ケイ素樹脂等が挙げられる。
【0092】
本発明のビスアゾ化合物とバインダーポリマーとの割合は、特に制限されないが、一般には、ビスアゾ化合物100重量部に対し、5〜500重量部、好ましくは20〜300重量部のバインダーポリマーを使用する。
上記塗布液にはこの他にも分散安定剤、塗布性改良剤、さらには、性能改良のための、色素、電子吸引性化合物その他の添加剤を加えてもよい。電荷発生層の膜厚は0.05〜5μm、好ましくは0.1〜2μmになる様にする。
【0093】
2種以上の本発明のビスアゾ化合物または本発明のビスアゾ化合物と他種の顔料を同時に1層の電荷発生層に含有させる場合は、本発明のビスアゾ化合物を含む混合物を用いて塗布液を調整しても良いし、それぞれの化合物を用いて調整した塗布液を混合してもよい。また、本発明のビスアゾ化合物の塗布液と他種の顔料の塗布液を別々に塗布、乾燥することにより多層の電荷発生層としても良い。
【0094】
電荷発生層用の上記塗布液に前記電荷輸送材料を1種又は2種以上溶解し、乾燥後の膜厚が5〜50μm、好ましくは10〜30μmになる様に導電性支持体上に塗布すれば、単層型の感光体が得られる。ビスアゾ化合物とバインダーポリマーおよび電荷輸送材料との割合は通常ビスアゾ化合物10重量部に対しバインダーポリマーが10〜1000重量部、好ましくは30〜500重量部、電荷輸送材料が5〜1000重量部、好ましくは20〜500重量部である。
【0095】
積層型感光体においては、前記電荷発生層の上に、電荷輸送材料を含む塗布液を塗布し乾燥することにより、電荷輸送層が形成される。電荷輸送材料が成膜性のある高分子化合物の場合は特にバインダーポリマーを用いなくてもよいが、可とう性改良等のために混合してもよい。
低分子化合物の場合は、フィルム形成のためにバインダーポリマーを用いる。バインダーポリマーとしては前記のものが用いられ、その使用量は通常電荷輸送材料100重量部に対し30〜300重量部、好ましくは40〜200重量部の範囲である。電荷輸送層の膜厚は5〜70μm、好ましくは10〜50μmの範囲で形成される。
電荷輸送層には、この他にも性能改良や塗膜の機械的強度、耐久性の向上のために種々の添加剤を用いることができる。
この様な添加剤としては、電子吸引性化合物や色素類、紫外線吸収剤や酸化防止剤等の安定剤、塗布性改良剤、可塑剤、架橋剤等が挙げられる。
【0096】
【実施例】
次に本発明を参考例と実施例により更に具体的に説明するが、本発明はその要旨をこえない限り以下の実施例に限定されるものではない。なお、以下において、〔部〕とあるは〔重量部〕を示す。
参考例
m−アミノフェノール250.0gをジメチルホルムアミド(DMF)2リットルに懸濁し水酸化ナトリウム183.2gを加えて室温にて30分間撹拌した。ここへヨウ化イソブチル290.0mlを30分間で滴下し、80℃にて8時間反応させた。反応液を水10リットル中に注加しトルエンにて抽出した。有機層を硫酸マグネシウムにて乾燥後、減圧濃縮し、減圧乾燥して94.1gのm−イソブトキシアニリンを得た。
【0097】
2−ヒドロキシ−3−ナフトエ酸107.1gをトルエン643mlとDMF2mlに溶解し、70℃に昇温した。ここへ塩化チオニル43mlを滴下し、70℃にて90分間撹拌後、室温まで放冷した。別の反応容器に上記m−イソブトキシアニリン全量をN,N−ジメチルアセトアミド214gに溶解し、炭酸ナトリウム76.0gを加えた。ここへ2−ヒドロキシ−3−ナフトエ酸塩化物の全量を滴下し、室温にて2時間反応させた。固体を濾別し、濾液を減圧濃縮後水4.8リットル中に注加し、中和した。析出した結晶を濾過し、エタノールにて再結晶させる(2回)ことにより、目的物質である、2−ヒドロキシ−3−(3−イソブトキシフェニル)カルバモイルナフタレン91.8gを得た。
質量分析値は下記の通りであった。
MS:335 (M+ )、317、278、171、142、115、109、31
【0098】
製造例1
2−ヒドロキシまたは5−ヒドロキシ−7H−ベンズイミダゾ〔2,1−a〕ベンゾ〔de〕イソキノリン−7−オン4.58gと2−ヒドロキシ−3−(3−イソブトキシフェニル)カルバモイルナフタレン2.68gをジメチルスルホキシド726mlに溶解し、この溶液を18〜23℃の温度に保ちながら2,5−ビス(p−アミノフェニル)−1,3,4−オキサジアゾールをジアゾ化して得られたテトラゾニウムホウフッ化水素酸塩3.60gをジメチルスルホキシド47mlに溶解した溶液を加えた後、撹拌しつつ酢酸ナトリウム4.66gを水14mlに溶解した溶液を滴下しそのまま3時間撹拌した。析出した沈殿を濾別し10%酢酸水、THFにて順次洗浄後、乾燥して、目的物質であるアゾビス化合物(No.3−9)4.93gを得た。
得られたビスアゾ化合物の赤外スペクトルを図1に示す。
【0099】
製造例2〜59
製造例1においてカップラー2種類とテトラゾ成分をそれぞれ相当するものを用いた以外は実施例1と同様にして、前記第3表に示すビスアゾ化合物をそれぞれ得た。
【0100】
実施例1〜35
一般式〔I〕に相当する構造を有する後記第6表に例示したビスアゾ化合物No.3−1からNo.3−35までのそれぞれを0.4部、4−メトキシ−4−メチルペンタノン−2 30部と共にサンドグラインダーにより分散させ、これにポリビニルブチラール(積水化学工業(株)製、商標エスレックBH−3)を0.4部添加溶解させた。得られたアゾ化合物の分散液を厚さ75μmのポリエステルフィルムに蒸着したアルミニウム蒸着層の上にワイヤーバーで乾燥膜厚が0.4g/m2 となる様塗布した後乾燥した。この様にして得られた電荷発生層上に4,4′−ビス{N−〔4−(α−スチリル)フェニル〕−N−フェニルアミノ}ジフェノキシメタン(第4表に例示したNo.4−19)90部およびポリカーボネート樹脂(三菱化学(株)製、商標ノバレックス7025)100部をジオキサン670部に溶解した溶液を乾燥膜厚が28μmになる様に塗布し、電荷輸送層を形成した。この様にして2層からなる感光層を有する電子写真感光体が得られた。
【0101】
これらの感光体の感度として半減露光量(E1/2)の値を第6表に示した。なお、第6表中のビスアゾ化合物の番号は前記第3表中の番号である。
半減露光量は、前記感光体を静電複写紙試験装置(川口電機製作所製モデルSP−428)により測定した。まず暗所で−6.5kVでコロナ放電により帯電させ、次いで照度5 luxの白色光で露光し、−450Vの表面電位が半分の−225Vに減衰するために必要な露光量を求めた。
【0102】
比較例1〜4
下記一般式〔XIV 〕において、下記第5表の、R6 が水素原子、メトキシ基、エトキシ基またはn−ノニルオキシ置換基を持つビスアゾ化合物No.60、61、62、63を製造例1と同様の方法にて製造し、実施例1〜35と同様に感光体を作成した。これらの感光体No.60〜63の感度を比較例として第6表に示した。
【0103】
【化42】
【0104】
【表22】
【0105】
【表23】
【0106】
実施例36〜59
一般式〔I〕に相当する構造を有する第3表に例示したビスアゾ化合物の3−36から3−59を実施例1〜35と同様の方法で電子写真感光体としこれらの感度を第8表に示した。
【0107】
比較例5〜14
下記一般式〔XV〕において、Aの部分が第3表に示したものと同じビスアゾ化合物No.64〜73を製造例1と同様の方法にて製造し、実施例1〜35と同様に感光体を作成した。用いたビスアゾ化合物を第7表に示す。これらの感光体No.64〜73の感度を比較例として第8表に示した。なお、第8表において、A部分が同じ実施例と比較例を、横の同じ欄内に記載した。
【0108】
【化43】
【0109】
【表24】
【0110】
【表25】
【0111】
【表26】
【0112】
第6表、第8表の結果から明らかな様に一方のカップラーである2−ヒドロキシ−3−カルバモイルフェニルナフタレン誘導体のフェニル基の3位にアルコキシ基が位置することにより感度が高くなっており、しかも炭素数が3〜8のアルコキシ基の場合、無置換体、メトキシ基、エトキシ基あるいはノニルオキシ基と比べて特に感度が高くなっていることがわかる。
【0113】
実施例60〜82
一般式〔I〕に相当する構造を有する第3表に例示したビスアゾ化合物のうち数種につき、電荷輸送層に第4表に例示したNo.4−19で表わされる化合物を用いる代わりに第4表に例示した他の化合物を用いた以外は、実施例1〜35と同様の方法で電子写真感光体とし、これらの感度を第9表に示した。
【0114】
【表27】
【0115】
第9表を第5表と第7表の結果と比較して明らかな様に、電荷輸送層に含まれる化合物No.4−19を他の第4表に例示した化合物に変えても、本発明のビスアゾ化合物を含む感光体は、感度が全体として高感度であることがわかる。
実施例83〜85および比較例15
一般式〔I〕に相当する第3表に例示したNo.3−34で表わされるビスアゾ化合物につき、電荷輸送層に第4表に例示した数種の化合物を用いて、実施例1〜35と同様の方法で電子写真感光体とし、感度を第10表に示した。さらに、上記感光体の残留電位として、前記感度測定と同様の1 luxの白色光を10秒間照射した時の表面電位の値を測定した。
【0116】
また、上記電光体を25℃で帯電させた時の表面電位(V25)と5℃で帯電させた時の表面電位(V5 )の差を求めた。
また、上記感光体の電荷輸送層に用いた化合物について、以下の方法でサイクリックボルタンメトリーによる酸化電位測定を行った。該化合物を、支持電解質溶液(濃度0.1mM/l、電解質(C2 H5 )4 NBF4 、溶媒アセトニトリル)に溶解させて0.1mM/lの希釈溶液とし、測定に用いた。セル構成は白金の作用電極、白金螺旋の対電極、及び参照電極として飽和カロメル電極(SCE)である。走査電位速度は500mV/secで、最大印加電位は2Vである(単発の三角波)。得られた電流−電位曲線から酸化のピーク電位(Epc)と還元のピーク電位(Epa)を読みとり、その平均値を、式量酸化還元電位(Eo )とした。結果を合わせて第10表に示した。
【0117】
【表28】
【0118】
第10表より、実施例83〜85の感光性は、残留電位、低温での帯電性ともに比較例15の感光体よりも良い特性を示した。
【0119】
【発明の効果】
本発明のビスアゾ化合物を含有する電子写真用感光体は、高感度で感色性も良好であり、特に、同種のカップラー残基が結合した化合物よりも感度がすぐれている。電子写真方式の普通紙複写機のみでなく、性能の安定性、信頼性が特に要求されるレーザプリンタ、液晶、シャッタープリンタ、LEDプリンタ等のプリンタ用感光体にも適した感光体である。
【図面の簡単な説明】
【図1】製造例1で得たビスアゾ化合物(No.3−9)の赤外吸収スペクトル。
Claims (7)
- 導電性支持体上に感光層を有し、当該感光層中に下記一般式〔I〕で表わされるアゾ化合物を含有する電子写真用感光体において、一般式〔I〕中のAはアゾ基が結合している炭素原子が二重結合を形成するSP2型の炭素原子である2価の基を示し、Rが、炭素数3〜7の直鎖状アルキル基、炭素数3〜4の分岐鎖状アルキル基(但し、C(CH3)3基を含む基を除く)、炭素数3〜8の下記一般式〔IV〕で表される分岐鎖状アルキル基、または、5員以上のシクロアルキル基を含む炭素数6〜8の基であることを特徴とする電子写真用感光体。
- 感光層が電荷発生層と電荷輸送層とからなり、電荷輸送層が1−ピレンカルバルデヒドヒドラゾン類および下記一般式〔XII〕〜〔XIX〕で表わされる化合物のうちの少なくとも一種を含み、電荷発生層が一般式〔I〕で表わされるアゾ化合物を含有する請求項1、2または4に記載の電子写真感光体。
一般式〔XII〕は、
- 感光層が電荷発生層と電荷輸送層とからなり、電荷輸送層が下記一般式〔XX-b〕で示されるトリフェニルアミン構造を分子中に有する化合物を含み、電荷発生層が一般式〔I〕で表わされるアゾ化合物を有する請求項1、2または4に記載の電子写真用感光体。
一般式〔XX-b〕は、
- 感光層が電荷発生層と電荷輸送層とからなり、電荷輸送層が飽和カロメル電極に対する酸化電位が0.90V未満である化合物を含み、電荷発生層が、一般式〔I〕で表わされるアゾ化合物を有する請求項1、2または4に記載の電子写真用感光体。
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