JP3733443B2 - フルオレノン誘導体及びこれを用いた電子写真用感光体 - Google Patents

フルオレノン誘導体及びこれを用いた電子写真用感光体 Download PDF

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【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は電子写真用感光体に関する。さらに詳しくは、本発明は新規なフルオレノン構造を有するビスアゾ化合物を含有する高感度な電子写真用感光体に関する。
【0002】
【従来の技術】
電子写真用感光体としては、従来セレン、硫化カドミウム、酸化亜鉛等の無機系の光導電性物質を用いた感光体が使用されていたが、最近は、無公害で、製造、取扱いが容易であること、画質が良好であること、ドラム、シート、ベルトなど各種の形状の感光体が簡単に得られることなどの多くの利点を有する有機系の光導電性化合物(以下OPCと略す)を用いた、いわゆるOPC感光体が普通紙複写機やプリンター用に採用されるようになり、しかもその割合は年々増加している。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
OPC感光体は、従来の無機系の感光体に比べ多くの利点を有しているが、感度や耐久性などでは劣っており、現在のところは主に低速機分野に利用されている。このため、感度、耐久性にすぐれたOPCの開発が望まれている。本発明はかかる性能を有する新しいOPC及びこれを用いた感光体を提供することを目的とする。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、高感度かつ高耐久性の電子写真用感光体を得るために新規なOPCについて鋭意検討した結果、特定のフルオレノン構造を有する新規なビスアゾ化合物が好適であることを見い出し本発明に到達した。
すなわち、本発明の要旨は、下記一般式(I)
【0005】
【化4】
Figure 0003733443
【0006】
(式中、R1 はハロゲン原子、ニトロ基、水酸基、置換されていてもよいアルキル基、アラルキル基、アリール基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アシル基、アリールカルボニル基、アルキルオキシカルボニル基、置換アミノ基、チオエーテル基又は複素環基を表し、mは0〜4の整数を表す。K1 及びK2 はカップリング能を有する水酸基を含むカップラー残基を表す。)で表されるフルオレノン誘導体及びこれを含有する感光層を有する電子写真感光体に存する。
【0007】
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明の電子写真用感光体に含有されるフルオレノン構造を有するビスアゾ化合物は前記一般式(I)で示される構造を有する。
一般式(I)において、R1 は塩素原子、臭素原子などのハロゲン原子;ニトロ基;水酸基;又はメチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、デシル基などのアルキル基;アリル基;ベンジル基などのアラルキル基;フェニル基、ナフチル基などのアリール基;メトキシ基などのアルコキシ基;フェノキシ基などのアリールオキシ基;アセチル基などのアシル基;フェニルカルボニル基などのアリールカルボニル基;メトキシカルボニル基などのアルキルオキシカルボニル基;メチルアミノ基、フェニルアミノ基、ジエチルアミノ基のような置換アミノ基;メチルメルカプト基のようなチオエーテル基;ピリジル基、チオフェニル基のような複素環残基などの有機残基を表し、これらの有機残基は置換基を有してもよい。R1 としては、これらのうち、ハロゲン原子、アルキル基、アリール基が好ましい。mは0〜4の整数を表し、m=0が特に好ましい。
1 、K2 はそれぞれカップリング能を有する水酸基を含むカップラー残基で、例えば以下の一般式(II)〜(VI)の基が例として挙げられる。なお、カップリング能を有する水酸基とは、その水酸基が結合する芳香族環等に、ジアゾニウム塩とカップリングし得る性質を付与する水酸基を意味する。
【0008】
【化5】
Figure 0003733443
【0009】
一般式(II)中、Yはベンゼン環と結合して、ナフタレン環、アントラセン環、カルバゾール環、ベンズカルバゾール環、ジベンゾフラン環、ベンゾナフトフラン環、ジフェニレンサルファイド環等の多環芳香環若しくはヘテロ環を形成するに必要な残基を示し、R2 およびR3 は、互いに独立して、水素原子;置換基を有していてもよいメチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基等のアルキル基;置換基を有していてもよいベンジル基、フェネチル基、ナフチルメチル基等のアラルキル基;置換基を有していてもよいフェニル基、ジフェニル基、ナフチル基等のアリール基;カルバゾール基、ジベンゾフラン基、ベンズイミダゾロン基、ベンズチアゾール基、チアゾール基、ピリジン基等のヘテロ環基;又はR2 およびR3 の結合する窒素原子と共に環状アミノ基を構成したものを示す。R2 とR3 は同一の基でも互いに異なる基でもよいが、感度の点から、一方を水素原子とし、他方は水素原子以外の基とすることが好ましい。
Zは酸素原子又は硫黄原子を表し、酸素原子が特に好ましい。nは0、1、2のいずれかを表し、0か1が好ましい。
【0010】
【化6】
Figure 0003733443
【0011】
一般式(III) および(IV)において、R4 は水素原子、R2 、R3 と同じ例によって示される、置換基を有しても良いアルキル基、アラルキル基、アリール基及びヘテロ環基を示す。
【0012】
【化7】
Figure 0003733443
【0013】
一般式(V−a、b)、(VI−a、b)においてWは2価の芳香族炭化水素基、又は窒素原子を環内に含む2価の複素環基を示す。2価の芳香族炭化水素基としては、例えば、o−フェニレン基等の単環式芳香族炭化水素の2価基;o−ナフチレン基、peri−ナフチレン基、1,2−アントラキノニレン基、9,10−フェナントリレン基等の縮合多環式芳香族炭化水素の2価基等が挙げられる。
【0014】
また、窒素原子を環内に含む2価の複素環基としては、例えば、3,4−ピラゾールジイル基、2,3−ピリジンジイル基、4,5−ピリミジンジイル基、6,7−インダゾールジイル基、5,6−ベンズイミダゾールジイル基、6,7−キノリンジイル基等の窒素原子、好ましくは、2個以下の窒素原子を環内に含む5〜10員の複素環の2価基等が挙げられる。感度及び耐久性を考慮した場合、Wとしてはo−フェニレン基、o−ナフチレン基、peri−ナフチレン基、2,3−ピリジンジイル基、4,5−ピリミジンジイル基が好ましく、特に、o−フェニレン基、o−ナフチレン基が好ましい。
【0015】
本発明において、Wとして示されるこれら芳香族炭化水素の2価基及び窒素原子を環内に含む複素環の2価基等は置換基を有してもよい。かかる置換基としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、i−ブチル基、n−ヘキシル基等のアルキル基;メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基等のアルコキシ基;ヒドロキシル基;ニトロ基;シアノ基;アミノ基;ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基、ジベンジルアミノ基等の置換アミノ基;弗素原子、塩素原子、臭素原子、沃素原子等のハロゲン原子;カルボキシル基;エトキシカルボニル基等のアルコキシカルボニル基;カルバモイル基;フェノキシ基等のアリーロキシ基;ベンジルオキシ基等のアリールアルコキシ基;フェニロキシカルボニル基等のアリーロキシカルボニル基等が挙げられる。中でもアルキル基、アルコキシ基、ニトロ基、ハロゲン原子、ヒドロキシル基、カルボキシル基が好ましく、特に、メチル基、メトキシ基、ニトロ基、塩素原子、ヒドロキシル基等が好適である。
【0016】
なお、式(V−a)型の基を有する化合物は、通常式(V−b)型の基を有する異性体との混合物として存在することが多いので、本発明においては式(V−a)型と式(V−b)型の基は同じ基として扱う。また、式(VI−a)型の基についても同様に、(VI−b)型の基と同じ基として扱う。
一般式(I)で示されるビスアゾ化合物は、例えば下記一般式(VII)
【0017】
【化8】
Figure 0003733443
【0018】
(式中、R1 、mは前記一般式(I)と同義である)
で表されるジアミンを常法によりテトラゾ化し、対応するカップラーとカップリングさせることにより容易に合成できる。
かかるカップリング反応は、公知の方法に従い、通常、水/又はジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド等の有機溶媒中、反応温度30℃以下にて1時間ないし10時間程度反応させればよい。
【0019】
カップラー残基K1 、K2 を互いに異なった基とさせる場合には2種のカップラーを混合して用いればよい。
なお、2種の異なるカップラー、例えばk、k′を用いて適正な反応条件を選択してカップリング反応を行えば、下記(a)、(b)の2種の異性体混合物が高純度で得られ、同時にK1 =K2 =kの化合物(c)及びK1 =K2 =k′の化合物(d)も混入する。
【0020】
【化9】
Figure 0003733443
【0021】
一般式(VII)で表される芳香族ジアミンは、例えば相当する下記一般式(VIII)で表されるジニトロ化合物を還元することにより製造される。
【0022】
【化10】
Figure 0003733443
【0023】
(式中、R1 、mは前記一般式(I)と同義である)
還元反応は鉄粉/塩酸、塩化第一スズ/塩酸といった公知の還元反応条件で好適に実施される。一般式(VIII)のジニトロ化合物は、例えば、下記反応式に従って製造される。反応式中、R1 、mは前記一般式(I)と同義である。
下記一般式(IX−a)で表されるニトロアミノフルオレノンをジアゾ化し、ジアゾニウム塩(IX−b)を製造する。次いでジアゾニウム塩(IX−b)とニトロスチレン(IX−c)をパラジウム触媒の存在下でカップリングさせることにより、前記一般式(VIII)で表されるジニトロ体が得られる。
【0024】
【化11】
Figure 0003733443
【0025】
電子写真用感光体として有用な一般式(I)のフルオレノン誘導体の代表例を下記の表−1に示すが、本発明はこれら化合物に限定されるものではない。
なお、表−1において、K1 とK2 が異なる場合あるいは異性体混合物である場合、式(I)の化合物は、単独の化合物及び前述の各種混合物を包含したものをも意味する。
【0026】
【表1】
Figure 0003733443
【0027】
【表2】
Figure 0003733443
【0028】
【表3】
Figure 0003733443
【0029】
【表4】
Figure 0003733443
【0030】
【表5】
Figure 0003733443
【0031】
本発明の電子写真用感光体は上記一般式(I)で表されるビスアゾ系化合物を1種又は2種以上含有する感光層を有する。感光層は種々の形態のものが周知であるが、本発明の感光体においては、そのいずれのタイプであってもよい。特に好適なのは、本発明のビスアゾ系化合物を電荷発生材料としてバインダー中に分散させ、これを電荷発生層とし、周知の電荷輸送材料を含む、電荷輸送層を積層した積層型感光体や、上記のビスアゾ系化合物の分散層中に、周知の電荷輸送材料を添加した単層型感光体などが挙げられる。
【0032】
前記一般式(I)で示される本発明のビスアゾ系化合物は電荷キャリヤーの発生効率及び電荷輸送材料へのキャリヤー注入効率が高く、前記の積層型や単層型の機能分離型感光体の電荷発生材料としてきわめてすぐれた性能を有している。本発明のビスアゾ系化合物と組合せて用いる電荷輸送材料は一般に電子の輸送媒体とホールの輸送媒体の二種に分類されるが、本発明感光体には両者とも使用することができ、またその混合物をも使用できる。電子の輸送媒体としてはニトロ基、シアノ基、エステル基等の電子吸引性基を有する電子吸引性化合物、例えば2,4,7−トリニトロフルオレノン、2,4,5,7−テトラニトロフルオレノン等のニトロ化フルオレノンあるいはテトラシアノジメタンが挙げられる。また、ホールの輸送媒体としては電子供与性の有機光導電性化合物、例えばカルバゾール、インドール、イミダゾール、オキサゾール、チアゾール、オキサジアゾール、ピラゾール、ピラゾリン、チアジアゾール等の複素環化合物;トリフェニルメタン等のトリアリールアルカン誘導体;トリフェニルアミン等のトリアリールアミン誘導体;フェニレンジアミン誘導体;N−フェニルカルバゾール誘導体;スチルベン誘導体;ヒドラゾン化合物などが挙げられ、特に、ジアルキルアミノ基、ジフェニルアミノ基の様な置換アミノ基、あるいはアルコキシ基、アルキル基の様な電子供与性基、あるいはこれらの電子供与性基が置換した芳香族環基が置換した電子供与性の大きな化合物が挙げられる。又、ポリビニルカルバゾールの様に、これらの化合物からなる基を主鎖もしくは側鎖に有する重合体も挙げられる。そして本発明のアゾ化合物と組み合わされる好適なものとしては、下記表−2に示すような化合物を挙げることができる。
【0033】
【表6】
Figure 0003733443
【0034】
【表7】
Figure 0003733443
【0035】
【表8】
Figure 0003733443
【0036】
【表9】
Figure 0003733443
【0037】
【表10】
Figure 0003733443
【0038】
【表11】
Figure 0003733443
【0039】
【表12】
Figure 0003733443
【0040】
【表13】
Figure 0003733443
【0041】
本発明の電子写真用感光体は常法に従って製造できる。
すなわち、本発明の電子写真用感光体は、導電性支持体上に、本発明のビスアゾ系化合物を含有する電荷発生層と電荷輸送層を有する積層型か、ビスアゾ系化合物が分散した感光層を有する単層型の感光体であり、これらの他に、接着層、ブロッキング層などの中間層や、保護層など、電気特性、機械特性などの性能改良のための層を設けてもよい。導電性支持体としては周知の電子写真用感光体に採用されているものがいずれも使用できる。具体的には例えばアルミニウム、銅等の金属ドラム、シートあるいはこれらの金属箔のラミネート物、蒸着物が挙げられる。更に、金属粉末、カーボンブラック、ヨウ化銅、高分子電解質等の導電性物質を適当なバインダーとともに塗布して導電処理したプラスチックフィルム、プラスチックドラム、紙等が挙げられる。また、金属粉末、カーボンブラック、炭素繊維等の導電性物質を含有し、導電性となったプラスチックのシートやドラムあるいは、酸化スズ、酸化インジウム等の導電性金属酸化物層を表面に有するプラスチックフィルムなどが挙げられる。
【0042】
前記した積層型感光体では、通常は導電性支持体上に電荷発生層を形成し、その上に電荷輸送層が形成されるが、逆の構成でもよい。
電荷発生層は、本発明のビスアゾ系化合物とバインダーポリマーを含む塗布液を塗布、乾燥して形成される。塗布液はビスアゾ系化合物を溶解していてもよいが、通常は分散した状態で使用される。塗布液調製用の溶媒としてはブチルアミン、エチレンジアミン等の塩基性溶媒;テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン等のエーテル類;メチルエチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン類;トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素;N,N−ジメチルホルムアミド、アセトニトリル、N−メチルピロリドン、ジメチルスルホキシド等の非プロトン性極性溶媒;メタノール、エタノール、イソプロパノール等のアルコール類;酢酸エチル、蟻酸メチル、メチルセロソルブアセテート等のエステル類;ジクロロエタン、クロロホルム等の塩素化炭化水素などが挙げられる。
【0043】
塗布液中にビスアゾ系化合物を分散する場合は、1μm以下、好ましくは0.5μm以下の粒径にすることが必要である。
バインダーとしては、スチレン、酢酸ビニル、アクリル酸エステル、メタクリル酸エステル、ビニルアルコール、エチルビニルエーテル等のビニル化合物の重合体及び共重合体、フェノキシ樹脂、ポリスルホン、ポリビニルアセタール、ポリカーボネート、ポリエステル、ポリアミド、ポリウレタン、セルロースエステル、セルロースエーテル、エポキシ樹脂、けい素樹脂等が挙げられる。
【0044】
本発明のビスアゾ系化合物とバインダーポリマーとの割合は、特に制限されないが、一般には、ビスアゾ系化合物100重量部に対し、5〜500重量部、好ましくは20〜300重量部のバインダーポリマーを使用する。
上記塗布液にはこの他にも分散安定剤、塗布性改良剤、さらには、性能改良のための、色素、電子吸引性化合物その他の添加剤を加えてもよい。電荷発生層の膜厚は0.05〜5μm、好ましくは0.1〜2μmになる様にする。
【0045】
電荷発生層用の上記塗布液に前記電荷輸送材料を1種又は2種以上溶解し、乾燥後の膜厚が5〜50μm、好ましくは10〜30μmになる様に導電性支持体上に塗布すれば、単層型の感光体が得られる。ビスアゾ系化合物とバインダーポリマーおよび電荷輸送材料との割合は通常ビスアゾ系化合物10重量部に対しバインダーポリマーが10〜1000重量部、好ましくは30〜500重量部、電荷輸送材料が5〜1000重量部、好ましくは20〜500重量部である。
【0046】
積層型感光体においては、前記電荷発生層の上に、電気輸送材料を含む塗布液を塗布し乾燥することにより、電荷輸送層が形成される。電荷輸送材料が成膜性のある高分子化合物の場合は特にバインダーポリマーを用いなくてもよいが、可とう性改良等のために混合してもよい。
低分子化合物の場合は、フィルム形成のためにバインダーポリマーを用いる。バインダーポリマーとしては前記のものが用いられ、その使用量は通常電荷輸送材料100重量部に対し50〜3000重量部、好ましくは70〜1000重量部の範囲である。電荷輸送層の膜厚は5〜70μm、好ましくは10〜50μmの範囲で形成される。
【0047】
電荷輸送層には、この他にも性能改良や塗膜の機械的強度、耐久性の向上のために種々の添加剤を用いることができる。
この様な添加剤としては、電子吸引性化合物や色素類、紫外線吸収剤や酸化防止剤等の安定剤、塗布性改良剤、可塑剤、架橋剤等が挙げられる。
電子吸引性化合物としては例えばクロラニル、2,3−ジクロロ−1,4−ナフトキノン、2−メチルアントラキノン、1−ニトロアントラキノン、1−クロロ−5−ニトロアントラキノン、2−クロロアントラキノン、フェナントレンキノン等のキノン類;4−ニトロベンズアルデヒド等のアルデヒド類;9−ベンゾイルアントラセン、インダンジオン、3,5−ジニトロベンゾフェノン、3,3′,5,5′−テトラニトロベンゾフェノン等のケトン類;無水フタル酸、4−クロロナフタル酸無水物等の酸無水物;テトラシアノエチレン、テレフタルマロノニトリル、4−ニトロベンザルマロノニトリル、4−ベンゾイルオキシベンザルマロノニトリル、4−(p−ニトロベンゾイルオキシ)ベンザルマロノニトリル等のシアノ化合物;3−ベンザルフタリド、3−(α−シアノ−p−ニトロベンザル)フタリド、3−(α−シアノ−p−ニトロベンザル)−4,5,6,7−テトラクロロフタリド等のフタリド類等が挙げられる。
【0048】
【実施例】
次に本発明を実施例により更に具体的に説明するが、本発明はその要旨をこえない限り以下の実施例に限定されるものではない。なお、実施例中「部」とあるのは「重量部」を示す。
実施例1 フルオレノン誘導体の合成
2−アミノ−7−ニトロ−9−フルオレノン4.0gを水150ml、濃塩酸50ml中に加えて冷却し、これに5℃以下で10%亜硝酸ナトリウム水溶液15mlを滴下し、5℃以下で1時間撹拌してジアゾ化した。このジアゾ化液に42%ホウフッ化水素酸7.0gを加え、5℃以下で撹拌した後、析出結晶をろ取し、少量の冷水、冷メタノールで順次洗浄後、乾燥してジアゾニウム塩4.2gを得た。
【0049】
次いで、p−ニトロスチレン4.2g、酢酸ナトリウム3.4g、パラジウム(0)ビスジベンジリデンアセトン0.57g、アセトニトリル65mlからなる溶液を、窒素下室温で撹拌し、そこへ該ジアゾニウム塩4.2gを添加後、1.5時間撹拌する。生成した固体をろ取し、メタノールと水で洗浄後、乾燥してジニトロ体(i)4.6gを得た。この化合物は、分子式C21122 5 として分子量は372.33であり、マススペクトルでM/e=372のピークを確認した。
【0050】
ジニトロ体(i)4.6gを鉄/塩酸系で還元し、アルミナカラムで精製し、ジアミン(ii)2.2gを得た。この化合物は、分子式C21162 1 として分子量は312.37であり、マススペクトルでM/e=312のピークを確認した。赤外吸収スペクトルでニトロ基の吸収の消失を確認した(図1)。元素分析値は下記の通りであった。
21162 1 として
計算値(%) C:80.75 H:9.30 N:8.97
測定値(%) C:80.33 H:8.91 N:8.76
【0051】
ジアミン(ii)0.6gを水30ml、濃塩酸4ml中に加えて冷却し、これに5℃以下で10%亜硝酸ナトリウム水溶液3.0mlを滴下し、5℃以下で1時間撹拌してテトラゾ化した。次いで、42%ホウフッ化水素酸1.6gを加え、5℃以下で撹拌した後、析出結晶をろ取し、少量の冷水、冷メタノールで順次洗浄後、乾燥してテトラゾニウム塩0.9gを得た。
該テトラゾニウム塩0.33gをジメチルスルホキシド10mlに溶解させ、これを下記構造のカップラー0.43gをジメチルスルホキシド50mlに溶か
【0052】
【化12】
Figure 0003733443
【0053】
した液に加え、次いで反応系に30%酢酸ナトリウム水溶液1.2gを加えた後、3時間撹拌し、析出結晶をろ取した。これを希酢酸、水、テトラヒドロフランにより洗浄した後、乾燥して得られた固体(iii) は黒紫色を呈しており、下記元素分析値及び図2に示す赤外吸収スペクトルより、このものは、表−1のNo.1のビスアゾ化合物と同定された。収量は0.33gで、元素分析値は以下の通りであった。
5534Cl2 6 5 として
計算値(%)C:71.05 H:3.69 N:9.04 Cl:7.63
測定値(%)C:70.36 H:3.19 N:8.68 Cl:7.55
【0054】
実施例2
実施例1のビスアゾ化合物及び同様にして合成した表−1のNo.2〜7のビスアゾ化合物それぞれ0.4部を30部の4−メチル−4−メトキシペンタノン−2と共にサンドグラインダーにより分散させ、これにポリビニルブチラール(積水化学工業(株)製、商標BH−3)0.4部を添加溶解させた。得られたビスアゾ化合物の分散液を厚さ75μmのポリエステルフィルムに蒸着したアルミニウム蒸着層の上にワイヤーバーで乾燥膜厚が0.4g/m2 となる様塗布乾燥した。このようにして得られた電荷発生層に4,4′−ビス{N−〔4−(α−スチリル)フェニル〕−N−フェニルアミノ}ジフェノキシメタン110部及びポリカーボネート樹脂(三菱化学(株)製、商標ノバレックス7025)110部をテトラヒドロフラン670部に溶解した液を乾燥膜厚が28μmになる様に塗布し、電荷発生層を形成した。この様にして2層からなる感光層を有する電子写真用感光体が得られた。
【0055】
これらの感光体の感度として、半減露光量(E1/2)の値を測定し、結果を表−3に示した。半減露光量は、前記感光体を静電複写紙試験装置(川口電機製作所モデルSP−428)により測定した。まず暗所で−6.5kVでコロナ放電により帯電させ、その時の帯電圧(V)を、次いで感度(E1/2 (lux・sec))として照度1luxの白色光で露光し、表面電位が初期表面電位の半分に減衰するために必要な露光量を求めた。
【0056】
【表14】
Figure 0003733443
【0057】
【発明の効果】
本発明のビスアゾ系化合物を含有する電子写真用感光体は、高感度で感色性も良好であり、特に光疲労が少ないため、繰返し使用した場合、感度、帯電性、残留電位の変動が少なく、安定性が高く、耐久性がきわめてすぐれたものである。電子写真方式の普通紙複写機のみでなく、性能の安定性、信頼性が特に要求されるレーザプリンタ、液晶、シャッタープリンタ、LEDプリンタ等のプリンタ用感光体にも適した感光体である。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例1で得たジアミン(ii)の赤外吸収スペクトル。
【図2】実施例1で得たビスアゾ化合物(iii) の赤外吸収スペクトル。

Claims (6)

  1. 下記一般式(I)で表されるフルオレノン誘導体。
    Figure 0003733443
    (式中、R1 はハロゲン原子、ニトロ基、水酸基、置換されていてもよいアルキル基、アラルキル基、アリール基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アシル基、アリールカルボニル基、アルキルオキシカルボニル基、置換アミノ基、チオエーテル基又は複素環基を表し、mは0〜4の整数を表す。K1 及びK2 はカップリング能を有する水酸基を含むカップラー残基を表す。)
  2. 一般式(I)におけるK1 及び又はK2 が、一般式(II)〜(VIb)
    Figure 0003733443
    Figure 0003733443
    (式中、Yはベンゼン環と縮合環を形成する残基を示し、R2 、R3 及びR4 はそれぞれ独立して、水素原子、置換基を有していてもよいアルキル基、アラルキル基、アリール基、複素環基を示す。又はR2 、R3 は結合する窒素原子と共に環状アミノ基を形成してもよい。Zは酸素原子又は硫黄原子を表す。nは0、1または2を示す。Wは2価の芳香族炭化水素基又は窒素原子を環内に含む2価の複素環基を示す。)で示される基から選ばれる少なくとも1つの基であることを特徴とする請求項1記載のフルオレノン誘導体。
  3. 一般式(I)におけるK1 及び又はK2 が、一般式(II)で示される基から選ばれる少なくとも1つの基であることを特徴とする請求項2記載のフルオレノン誘導体。
  4. 一般式(I)におけるK1 及び又はK2 が、一般式(III) 又は(IV)で示される基から選ばれる少なくとも1つの基であることを特徴とする請求項2記載のフルオレノン誘導体。
  5. 一般式(I)におけるK1 及び又はK2 が、一般式(V−a)、(V−b)、(VI−a)、(VI−b)で示される基から選ばれる少なくとも1つの基であることを特徴とする請求項2記載のフルオレノン誘導体。
  6. 導電性支持体上に、請求項1乃至5のいずれかに記載のフルオレノン誘導体を含有する感光層を有することを特徴とする電子写真用感光体。
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