JP3808381B2 - 車両の走行安全装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、車両の走行安全装置に係り、特に、車両の進行方向前方に存在するカーブを認識して、該カーブを適正に通過する技術に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、例えば特許第3161264号公報に開示された前方道路状況対応制御装置のように、車両の進行方向前方に存在するカーブを検出し、このカーブが単独のカーブであるか、あるいは、複数のカーブが連続してなる連続カーブであるかを判定し、連続カーブの場合には第1のカーブへの進入時にのみ警報を発して、第2のカーブ以降においては警報の通知を中断する前方道路状況対応制御装置が知られている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、上記従来技術に係る前方道路状況対応制御装置においては、警報の中断制御時に、連続カーブの途中に警報必要度の大きなカーブが存在すると、単に、この警報の中断を一時的に休止して警報を発するようになっている。しかしながら、この場合に、警報の中断を一時的に休止して警報必要度の大きなカーブに対する警報を発するタイミングに関しては考慮されておらず、例えば不適切なタイミングで警報が出力されると車両の運転者は警報に違和感を感じてしまう虞がある。
また、上記従来技術に係る前方道路状況対応制御装置において、単に、警報の対象となるカーブが単独のカーブであるか、或いは、複数のカーブが連続してなる連続カーブであるかに応じて異なる警報を発するだけでは、運転者は適切なタイミングでカーブに対応することができない場合があり、警報を発するタイミングに応じて警報装置を適切に作動させることが望まれる。
本発明は上記事情に鑑みてなされたもので、連続する複数のカーブからなる連続カーブの通過時おいて、適切に警報装置を作動させることが可能な車両の走行安全装置を提供することを目的としている。
【0004】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決して係る目的を達成するために、請求項1に記載の本発明の車両の走行安全装置は、道路データを記憶する記憶手段(例えば、後述する実施の形態における記憶部11)と、自車両の位置を検出する自車位置検出手段(例えば、後述する実施の形態における自車位置検出部12)と、自車両の車両状態を検出する車両状態検出手段(例えば、後述する実施の形態における車両状態検出部13)と、前記記憶手段が記憶した前記道路データに基づき自車両の進行方向に存在するカーブの形状を認識するカーブ認識手段(例えば、後述する実施の形態におけるカーブ認識部14)と、前記カーブ認識手段が認識した前記カーブの形状に基づき該カーブを適正に通過可能な適正車両状態を設定する適正車両状態設定手段(例えば、後述する実施の形態における適正車速設定部15)と、前記車両状態検出手段が検出した前記車両状態と、前記適正車両状態設定手段が設定した前記適正車両状態とを比較する比較手段(例えば、後述する実施の形態における比較部16)と、前記比較手段による比較結果において前記自車両の車両状態が前記適正車両状態にないときに、自車両の乗員に警報を与える報知手段(例えば、後述する実施の形態における音声警報部18a、表示警報部18b)を作動させる作動手段(例えば、後述する実施の形態における作動部17)とを備える車両の走行安全装置であって、自車両が前記カーブの通過前に前記車両状態検出手段により検出された車両状態と、前記カーブの形状に基づき設定された前記適正車両状態との比較結果に応じて、前記報知手段の作動タイミングを設定する作動タイミング設定手段(例えば、後述する実施の形態における作動タイミング決定部32)と、隣り合う前記カーブのうち自車両の位置を基準として遠い側の前記カーブ(例えば、後述する実施の形態における第2のカーブC2)に対して前記作動タイミング設定手段により設定された前記作動タイミングが、隣り合う前記カーブのうち自車両の位置を基準として近い側の前記カーブ(例えば、後述する実施の形態における第2のカーブC2)の通過完了以前である場合の前記報知手段の作動内容を、前記作動タイミングが隣り合う前記カーブのうち自車両の位置を基準として近い側の前記カーブの通過完了後である場合の前記報知手段の作動内容とは異なるように変更する作動内容変更手段(例えば、後述する実施の形態における作動内容変更部19)とを備えることを特徴としている。
【0005】
上記構成の車両の走行安全装置によれば、車両の進行方向前方の走行道路上に複数のカーブが連続してなる連続カーブが存在する場合に、作動タイミング設定手段は、この連続カーブにおいて隣り合うカーブ毎に報知手段の作動タイミングを設定する。
作動内容変更手段は、隣り合うカーブの遠い側のカーブに対する報知手段の作動タイミングが、隣り合うカーブの近い側のカーブに対する自車両の通過完了以前のタイミングであるか否かに応じて報知手段の作動内容を変更する。
例えば、近い側のカーブの通過完了以前のタイミングにおいては、単に、カーブが存在することを通知するのではなく、例えば近い側のカーブの先に、より一層、注意を要する遠い側のカーブが連続して存在することを通知する等のように、報知手段の作動内容を変更する。
これにより、報知手段の作動に対して運転者が違和感を感じてしまうことを防止しつつ、警報の出力対象となるカーブを適切に選択し、適切なタイミングで警報を出力することができ、自車両の前方に存在するカーブを適正に通過させることが可能となる。
【0006】
さらに、請求項2に記載の本発明の車両の走行安全装置では、前記車両状態検出手段は自車両の速度を検出する、または、前記自車両の速度を検出し該速度と前記カーブ認識手段が認識した前記カーブの形状とに基づいて該カーブ通過時に発生する自車両の横加速度を推定するものであり、前記適正車両状態設定手段は前記カーブを適正に通過可能な適正速度または適正横加速度を設定するものであり、前記作動手段は、前記比較手段による比較結果において、前記自車両の速度が前記適正速度より高いとき、もしくは、前記推定される横加速度が前記適正横加速度より高いときに前記報知手段を作動させることを特徴としている。
【0007】
上記構成の車両の走行安全装置によれば、適正車両状態として車両の適正速度または適正横加速度を設定する。そして、車両の現在速度が適正速度よりも高い場合、あるいは、カーブ通過時に発生する横加速度が適正横加速度よりも大きい場合に、自車両の乗員に警報を与える。これにより、カーブの形状に応じて適切に警報を与えることができ、報知手段の作動が必要と判断されたカーブを適正車両状態にて通過させることが可能となる。
【0008】
さらに、請求項3に記載の本発明の車両の走行安全装置では、前記作動内容変更手段は、前記警報の内容を、隣り合う前記カーブが連続して存在することを報知する内容へと変更することを特徴としている。
【0009】
上記構成の車両の走行安全装置によれば、作動内容変更手段は、隣り合うカーブの遠い側のカーブに対する報知手段の作動タイミングが、隣り合うカーブの近い側のカーブに対する自車両の通過完了以前のタイミングである場合に、警報の内容を、隣り合うカーブが連続して存在することを報知する内容へと変更する。これにより、報知手段の作動に対して運転者が違和感を感じてしまうことを防止しつつ、警報の出力対象となるカーブを適切に選択し、適切なタイミングで警報を出力することができ、自車両の前方に存在するカーブを適正に通過させることが可能となる。
【0010】
さらに、請求項4に記載の本発明の車両の走行安全装置は、隣り合う前記カーブのうち自車両の位置を基準として近い側の前記カーブに対する前記報知手段の作動有無に応じて、隣り合う前記カーブのうち自車両の位置を基準として遠い側の前記カーブに対する前記報知手段の作動内容を変更する変更手段(例えば、後述する実施の形態においては作動内容変更部19が兼ねる)を備えることを特徴としている。
【0011】
上記構成の車両の走行安全装置によれば、隣り合うカーブの遠い側のカーブに対する報知手段の作動タイミングに応じて報知手段の作動内容を変更する作動内容変更手段とは独立に、変更手段は、隣り合うカーブの近い側のカーブに対する報知手段の作動有無に応じて、隣り合うカーブの遠い側のカーブに対する報知手段の作動内容を変更する。
これにより、運転者に対して警報の出力対象となるカーブを、より一層、的確に認識させることができ、自車両の前方に存在するカーブを適正に通過させることが可能となる。
【0012】
さらに、請求項5に記載の本発明の車両の走行安全装置では、前記報知手段は、音声により前記警報を報知する音声警報手段(例えば、後述する実施の形態における音声警報部18a)と、表示により前記警報を報知する表示警報手段(例えば、後述する実施の形態における表示警報部18b)とを備え、前記報知手段は、隣り合う前記カーブのうち自車両の位置を基準として遠い側の前記カーブに対する前記警報の報知を、隣り合う前記カーブのうち自車両の位置を基準として近い側の前記カーブの通過完了後には、前記音声警報手段または前記表示警報手段の何れか一方により行い、隣り合う前記カーブのうち自車両の位置を基準として近い側の前記カーブの通過完了以前には、前記音声警報手段および前記表示警報手段の両方により行うことを特徴としている。
【0013】
上記構成の車両の走行安全装置によれば、隣り合うカーブの遠い側のカーブに対する報知手段の作動タイミングが、隣り合うカーブの近い側のカーブに対する自車両の通過完了以前である場合に、報知手段は音声警報手段と表示警報手段の両方により警報を与える。これにより、例えば、近い側のカーブの先に、より一層、注意を要する遠い側のカーブが連続して存在する場合等であっても、運転者に対して、より一層、確実にカーブを認識させることができ、カーブを適正に通過させることが可能となる。
また、隣り合うカーブの遠い側のカーブに対する報知手段の作動タイミングが、隣り合うカーブの近い側のカーブに対する自車両の通過完了後である場合に、報知手段は音声警報手段または表示警報手段の何れか一方により警報を与える。これにより、過剰な警報の出力を抑制し、報知手段の作動に対して運転者が違和感を感じてしまうことを防止することができる。
【0014】
さらに、請求項6に記載の本発明の車両の走行安全装置では、前記報知手段は、隣り合う前記カーブのうち自車両の位置を基準として遠い側の前記カーブに対する前記警報の報知を、隣り合う前記カーブのうち自車両の位置を基準として近い側の前記カーブの通過完了後には、前記音声警報手段により行うことを特徴としている。
【0015】
上記構成の車両の走行安全装置によれば、隣り合うカーブの遠い側のカーブに対する報知手段の作動タイミングが、隣り合うカーブの近い側のカーブに対する自車両の通過完了後である場合に、報知手段は音声警報手段により警報を与える。これにより、過剰な警報の出力を抑制し、報知手段の作動に対して運転者が違和感を感じてしまうことを防止しつつ、カーブを適正に通過させることが可能となる。
【0016】
さらに、請求項7に記載の本発明の車両の走行安全装置では、前記表示警報手段は、前記カーブの形状を表示することを特徴としている。
上記構成の車両の走行安全装置によれば、表示警報手段は、運転者に対して、より一層、確実にカーブを認識させることができ、カーブを適正に通過させることが可能となる。
【0017】
さらに、請求項8に記載の本発明の車両の走行安全装置では、前記作動内容変更手段は、前記隣り合う前記カーブ間の距離が所定距離(例えば、後述する実施の形態における約70m)以下の場合に、前記報知手段の作動内容を変更することを特徴としている。
上記構成の車両の走行安全装置によれば、作動内容変更手段は、隣り合うカーブ間の距離が所定距離以下の場合に報知手段の作動内容の変更対象となる連続カーブであると認識する。
これにより、過剰な警報変更を抑制し、報知手段の作動に対して運転者が違和感を感じてしまうことを防止することができる。
【0018】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の一実施形態に係る車両の走行安全装置について添付図面を参照しながら説明する。図1は本発明の一実施形態に係る車両の走行安 全装置10の構成を示す機能ブロック図であり、図2は車両がカーブに進入する際の警報の作動タイミングを示す図であり、図3は車両がカーブを適正に通過するための適正速度VSまで減速する際における速度Vと時間tの関係の一例を示す図である。
【0019】
図1に示すように、本実施の形態による車両の走行安全装置10は、例えば、記憶部11と、自車位置検出部12と、車両状態検出部13と、カーブ認識部14と、適正車速設定部15と、比較部16と、作動部17と、安全装置18と、作動内容変更部19とを備えて構成されている。また、記憶部11および自車位置検出部12およびカーブ認識部14は車両用のナビゲーション装置を構成している。
【0020】
記憶部11は、例えばCD−ROMやDVD−ROM等のコンピュータ読み取り可能な記録媒体からなり、道路データを含む地図データを記憶している。
自車位置検出部12は、例えば人工衛星を利用して車両の位置を測定するためのGPS(Global Position System)信号や、例えば適宜の基地局を利用してGPS信号の誤差を補正して測位精度を向上させるためのD(Differential)GPS信号等の測位信号や、後述する車両状態検出部13やヨーレートセンサ(図示略)から出力される検出信号に基づく自律航法の算出処理によって車両の現在位置を算出する。
【0021】
さらに、自車位置検出部12は算出した車両の現在位置と記憶部11から取得した道路データとに基づいてマップマッチングを行い、自律航法による位置推定の結果を補正する。
車両状態検出部13は、例えば車両の現在速度VPを検出する車速センサや車輪速センサ等からなり、検出信号を自車位置検出部12および比較部16へ出力する。
【0022】
カーブ認識部14は、記憶部11に記憶された道路データを取得し、この道路データに基づいて自車両の進行方向前方の道路上に存在するカーブを検出する。例えばカーブ認識部14は、道路データの基礎となるノードつまり道路形状を把握するための点(例えば、図2に示す白抜き丸)と、リンクつまり各ノードを結ぶ線(例えば、図2に示す白抜き丸を結ぶ線)とに基づいて、カーブの形状を認識する。
【0023】
そして、カーブ認識部14は、例えばカーブの径や曲率、カーブの長さ(カーブの深さ)、カーブの通過に要する旋回角等からなるカーブ形状値を算出して、適正車速設定部15へと出力する。ここで、カーブの長さとは、カーブの距離もしくは自車両が車両状態検出部13にて検出された速度にてカーブを通過するのに要する時間である。
さらに、カーブ認識部14は、検出したカーブが単独のカーブか否か、あるいは、複数のカーブが連続してなる連続カーブか否かを判定する。
なお、カーブ認識部14は、自車両の進行方向前方に設定された所定の先読み区間(例えば、自車両の現在位置を基準に数百m〜1km程度前方までの区間であって、ここでは、例えば1km前方の位置までの区間)内に存在するカーブの形状を認識するように設定されている。
【0024】
また、カーブ認識部14は、自車両の進行方向前方の道路上に存在するカーブに対して、カーブの半径Rが所定値(例えば、150m)以上、かつ、所定横加速度(例えば、0.3G)を生じる速度にて通過した場合に所定の通過時間(例えば、0.3秒)以上を要する長さ(例えば、R=150mにて、約70m)を有するものをカーブとして認識するように設定されている。
さらに、カーブ認識部14は、例えば隣り合うカーブ間の距離つまり第1のカーブの出口と第2のカーブの入口との間の距離が所定距離(例えば、70m)以下の場合に、隣り合うカーブが連続カーブであると認識するように設定されている。
【0025】
適正車速設定部15は、カーブ認識部14にて認識されたカーブ形状値に基づいて、カーブを適正に通過可能な車両の速度(適正速度VS)を算出する。そして、適正車速設定部15は設定した適正速度VSのデータを比較部16へ出力する。
これにより、カーブ認識部14により先読みされた所定の先読み区間に存在するカーブに対して、適正車速設定部15によって適正速度VSが設定される。
【0026】
ここで、適正車速設定部15は、カーブ通過時に車両の横方向に発生する加速度(横加速度)を算出する横加速度算出部31を備えている。すなわち、先ず、横加速度算出部31は、カーブ認識部14にて認識されたカーブの形状に基づいて、このカーブを適正に通過する際に許容される適正横加速度ASを算出する。次に、適正車速設定部15は、この適正横加速度ASを車両に発生させる車両の速度を算出し、この速度を適正速度VSとして設定する。
なお、カーブ通過時に自車両に許容される横加速度は、例えば路面状況、タイヤの状況、積載の状態等により変化するため、これらを更に考慮して適正速度VSを設定するようにしてもよい。
【0027】
比較部16は、車両状態検出部13にて検出した車両の速度(現在速度VP)と、適正車速設定部15にて設定した適正速度VSとを比較して、この比較結果を作動部17へ出力する。
また、比較部16は、後述するように、車両の現在速度VPおよび適正速度VS等に基づいて、安全装置18の作動タイミングを設定する作動タイミング決定部32を備えており、設定した作動タイミングを、後述する作動部17および作動内容変更部19へと出力する。
【0028】
作動部17は、例えば安全装置18を作動させるアクチュエータ等をなし、比較部16での比較結果に基づいて安全装置18の作動を制御する。すなわち、比較部16での比較結果において、車両状態検出部13にて検出した車両の現在速度VPと適正車速設定部15にて設定した適正速度VSとを比較し、検出された車両の現在速度VPが適正速度VSよりも高い状態で、車両が適正車両状態にない場合には安全装置18を作動させる。
【0029】
安全装置18は、例えば警報を発して運転者の注意を喚起する警報装置等を備えて構成されており、作動部17から出力される制御信号に基づいて制御される。なお、警報装置は、例えば警報音や音声メッセージ等を出力するスピーカからなる音声警報部18aと、例えば警報表示やカーブ形状の表示等を行うディスプレイや、点灯するランプ等をなす表示警報部18bとを備えて構成されている。
【0030】
ここで、例えば自車両の進行方向前方に安全装置18の作動対象となる単独のカーブが検出された場合に、作動タイミング決定部32は、作動部17にて安全装置18を作動させるタイミングを、車両がカーブ認識部14にて認識したカーブの入口位置に到達するまでに、現在速度VPから適正速度VSまで減速する際に要する時間または距離等に基づいて設定する。
例えば図2に示すように、車両Aが速度V1(例えば、速度V1>適正速度VS)で走行している場合に、進行方向前方に存在するカーブCを適正に通過するためには、カーブCの入口位置CSにて車両の速度が適正速度VSとなるように設定する。
このとき、例えば図3に示すように、所定の減速度GS(例えば、0.2G=0.2×9.8m/s2)にて、現在の速度V1(例えば、100km/h)から適正速度VS(例えば、40km/h)まで減速する場合には、減速に要する時間TはT=(V1−VS)/GSにより求められる。そして、この時間Tに基づいて、減速に要する距離つまり減速必要距離L0が算出され、カーブCの入口位置CSから、減速必要距離L0だけ手前の減速開始位置C0(図2に示す黒丸C0)が設定される。
【0031】
さらに、例えば、警報を発して運転者に注意を促してから、実際に運転者が反応してブレーキを踏み込むまでの反応時間(例えば、約0.5s)と、運転者がブレーキを踏み込んでから実際にブレーキが効き始めるまでの空走時間(例えば、約0.3s)とを考慮して反応空走距離ΔL0を算出する。これにより、減速開始位置C0(図2に示す黒丸C0)から反応空走距離ΔL0だけ手前の警報開始位置CWが設定される。
すなわち、車両AがカーブCの手前に設定される警報開始位置CWに到達した時点、つまり車両Aの現在位置とカーブCの入口位置CSとの間の距離(減速対象地点間距離Ln)が、下記数式(1)に示すように設定される警報必要距離LWに等しくなった時点で警報を発する。
【0032】
【数1】
【0033】
作動内容変更部19は、後述するように、カーブ認識部14にて認識されたカーブ、特に、複数のカーブが連続してなる連続カーブに対して、作動タイミング決定部32にて設定される各カーブ毎の作動タイミングや警報装置の作動有無や自車両の現在位置等に応じて、作動部17による安全装置18の警報装置の作動内容(例えば、音声警報部18aから出力される警報音や音声メッセージの内容や表示警報部18bにおける表示内容等)を変更する。
【0034】
本実施の形態による車両の走行安全装置10は上記構成を備えており、次に、この車両の走行安全装置10の動作について添付図面を参照しながら説明する。図4は連続する2つのカーブC1,C2に対する警報出力のタイミングの一例を示す模式図であり、図5から図8は車両の走行安全装置10の動作、特に安全装置18の警報装置の作動内容を変更する処理を示すフローチャートであり、図9は警報必要距離の算出処理を示すフローチャートであり、図10は連続する2つのカーブC1,C2に対する警報出力の内容変更の一例を示す模式図であり、図11(a)〜(c)は連続する2つのカーブC1,C2に対する警報出力、特に、表示警報部18bにおける表示内容の一例を示す模式図である。
【0035】
先ず、図5に示すステップS01においては、自車位置検出部12にて検出した自車両の現在位置の情報を読み込む。
次に、ステップS02においては、車両状態検出部13にて検出した自車両の現在速度VPの情報を読み込む。
次に、ステップS03においては、自車両の走行道路上の前方道路データを記憶部11から読み込む。
【0036】
次に、ステップS04においては、記憶部11から読み込んだ前方道路データに基づいて、自車両の進行方向前方に設定された所定の先読み区間(例えば、自車両の現在位置を基準に数百m〜1km程度前方までの区間であって、ここでは、例えば1km前方の位置までの区間)内に存在するカーブを検出する。
次に、ステップS05においては、先読み区間内にて検出したカーブのうち、所定形状(例えば、所定半径以下等)のカーブに対して、例えばカーブの径や曲率、カーブの長さ(カーブの深さ)、カーブの通過に要する旋回角等からなるカーブ形状値を推定し、記憶部11に格納する。
【0037】
そして、ステップS06においては、先読み区間内にて複数のカーブを検出したか否かを判定する。
この判定結果が「YES」の場合には、後述するステップS13に進む。
一方、この判定結果が「NO」の場合、つまり単一のカーブを検出した場合には、ステップS07に進み、推定したカーブ形状値に基づいてカーブを適正に通過可能な適正速度VS1を算出する。
次に、ステップS08においては、記憶部11に格納したカーブ形状値に基づいて、自車位置検出部12にて検出した自車両の現在位置から安全装置18の作動対象となる地点(例えば、カーブの入口位置CS1)までの距離、つまり警報対象地点間距離Ln1を算出する。
【0038】
そして、ステップS09においては、自車両の現在速度VPが適正速度VS1以上か否かを判定する。
この判定結果が「NO」の場合には、一連の処理を終了する。
一方、この判定結果が「YES」の場合には、ステップS10に進み、後述する警報必要距離LW1の算出処理を行い、ステップS12に進み、通常警報として、例えば「カーブです」等の音声警報を出力する。そして、一連の処理を終了する。
【0039】
一方、ステップS13においては、先読み区間内にて検出した複数のカーブが連続しているか否かを判定する。ここでは、例えば隣り合うカーブ間の距離つまり第1のカーブの出口と第2のカーブの入口との間の距離が所定距離(例えば、70m)以下の場合に、隣り合うカーブが連続カーブであると判定する。
この判定結果が「NO」の場合には、上述したステップS07に進み、隣り合うカーブをそれぞれ単一のカーブとして処理する。
一方、この判定結果が「YES」の場合には、ステップS14に進む。
ステップS14においては、連続する複数のカーブC1,…,Cn(nは任意の自然数)毎に、推定したカーブ形状値に基づいて各カーブC1,…,Cnを適正に通過可能な適正速度VS1,…,VSnを算出する。
【0040】
次に、ステップS15においては、記憶部11に格納したカーブ形状値に基づいて、自車位置検出部12にて検出した自車両の現在位置から安全装置18の作動対象となる各地点(例えば、各カーブC1,…,Cnの各入口位置CS1,…,CSn)までの距離、つまり各警報対象地点間距離Ln1,…,Lnnを算出する。
そして、ステップS16においては、後述する各警報必要距離LW1,…,LWnの算出処理を行い、ステップS17に進む。
【0041】
ステップS17においては、自車両の現在速度VPが、第1のカーブC1に対する適正速度VS1以上か否かを判定する。
この判定結果が「YES」の場合には、後述するステップS28に進む。
一方、この判定結果が「NO」の場合、つまり第1のカーブC1に対しては現在速度VPにて適正に通過可能である場合には、図7に示すステップS18に進む。
【0042】
そして、ステップS18においては、自車両の現在速度VPが、第1のカーブC1の先に連続して存在する第2のカーブC2に対する適正速度VS2以上か否かを判定する。
この判定結果が「NO」の場合には、一連の処理を終了する。
一方、この判定結果が「YES」の場合、つまり第1のカーブC1に対しては現在速度VPにて適正に通過可能であるが、第2のカーブC2に対しては適正車両状態ではない場合には、ステップS19に進む。
【0043】
ステップS19においては、例えば第2のカーブC2の警報開始位置CW2が第1のカーブC1の入口位置CS1よりも自車両の手前側の位置となるか否かを判定する。
この判定結果が「YES」の場合には、ステップS20に進み、第2カーブ警報に所定内容の警報Aを設定して、後述するステップS26に進む。
一方、この判定結果が「NO」の場合には、ステップS21に進み、例えば第2のカーブC2の警報開始位置CW2が第1のカーブC1の中央位置CM1よりも自車両の手前側の位置となるか否かを判定する。
【0044】
ステップS21での判定結果が「YES」の場合には、ステップS22に進み、第2カーブ警報に所定内容の警報Bを設定して、後述するステップS26に進む。
一方、ステップS21での判定結果が「NO」の場合には、ステップS23に進み、例えば第2のカーブC2の警報開始位置CW2が第1のカーブC1の出口位置CE1よりも自車両の手前側の位置となるか否かを判定する。
ステップS23での判定結果が「YES」の場合には、ステップS24に進み、第2カーブ警報に所定内容の警報Cを設定して、後述するステップS26に進む。
一方、ステップS23での判定結果が「NO」の場合には、ステップS25に進み、第2カーブ警報に所定内容の通常警報を設定して、後述するステップS26に進む。
【0045】
そして、ステップS26においては、自車両の現在位置と第2のカーブC2の入口位置CS2との間の距離(減速対象地点間距離Ln2)が、第2のカーブC2の警報必要距離LW2以下か否かを判定する。
この判定結果が「NO」の場合には、ステップS26に戻る。
一方、この判定結果が「YES」の場合には、ステップS27に進み、第2カーブ警報を出力して、一連の処理を終了する。
【0046】
また、図6に示すステップS28においては、第1のカーブC1において減速対象地点間距離Ln1から警報必要距離LW1を減算して得た値が、第2のカーブC2において減速対象地点間距離Ln2から警報必要距離LW2を減算して得た値よりも小さいか否かを判定する。
この判定結果が「NO」の場合、つまり第1のカーブC1の警報開始位置CW1と第2のカーブC2の警報開始位置CW2とが同一位置、あるいは、第2のカーブC2の警報開始位置CW2が第1のカーブC1の警報開始位置CW1よりも自車両の現在位置の手前側に位置する場合には、後述するステップS39に進む。
一方、この判定結果が「YES」の場合、つまり第1のカーブC1の警報開始位置CW1が第2のカーブC2の警報開始位置CW2よりも自車両の現在位置の手前側に位置する場合には、ステップS29に進む。
【0047】
そして、ステップS29においては、自車両の現在速度VPが、第1のカーブC1の先に連続して存在する第2のカーブC2に対する適正速度VS2以上か否かを判定する。
この判定結果が「NO」の場合には、ステップS30に進み、第2警報出力フラグFのフラグ値に「0」を設定して、後述するステップS57に進む。
一方、この判定結果が「YES」の場合、つまり第1のカーブC1および第2のカーブC2に対して適正車両状態ではない場合には、ステップS31に進む。
【0048】
ステップS31においては、第2警報出力フラグFのフラグ値に「1」を設定して、ステップS32に進む。
ステップS32においては、例えば第2のカーブC2の警報開始位置CW2が第1のカーブC1の入口位置CS1よりも自車両の手前側の位置となるか否かを判定する。
この判定結果が「YES」の場合には、ステップS33に進み、第2カーブ警報に所定内容の警報Aを設定して、後述するステップS57に進む。
一方、この判定結果が「NO」の場合には、ステップS34に進み、例えば第2のカーブC2の警報開始位置CW2が第1のカーブC1の中央位置CM1よりも自車両の手前側の位置となるか否かを判定する。
【0049】
ステップS34での判定結果が「YES」の場合には、ステップS35に進み、第2カーブ警報に所定内容の警報Bを設定して、後述するステップS57に進む。
一方、ステップS34での判定結果が「NO」の場合には、ステップS36に進み、例えば第2のカーブC2の警報開始位置CW2が第1のカーブC1の出口位置CE1よりも自車両の手前側の位置となるか否かを判定する。
ステップS36での判定結果が「YES」の場合には、ステップS37に進み、第2カーブ警報に所定内容の警報Cを設定して、後述するステップS57に進む。
一方、ステップS36での判定結果が「NO」の場合には、ステップS38に進み、第2カーブ警報に所定内容の通常警報を設定して、後述するステップS57に進む。
【0050】
また、ステップS39においては、第1のカーブC1において減速対象地点間距離Ln1から警報必要距離LW1を減算して得た値が、第2のカーブC2において減速対象地点間距離Ln2から警報必要距離LW2を減算して得た値と同等か否かを判定する。
この判定結果が「NO」の場合、つまり第2のカーブC2の警報開始位置CW2が第1のカーブC1の警報開始位置CW1よりも自車両の現在位置の手前側に位置する場合には、後述するステップS51に進む。
一方、この判定結果が「YES」の場合、つまり第1のカーブC1の警報開始位置CW1と第2のカーブC2の警報開始位置CW2とが同一位置の場合には、ステップS40に進み、第1カーブ警報に所定内容の通常警報を設定して、第2カーブ警報に所定内容の警報Dを設定して、ステップS50に進み、第2警報出力フラグFのフラグ値に「2」を設定して、後述するステップS57に進む。
【0051】
また、ステップS51においては、第1カーブ警報に所定内容の警報Fを設定して、第2カーブ警報に所定内容の警報Eを設定して、ステップS52に進む。そして、ステップS52においては、自車両の現在速度VPが、第1のカーブC1の先に連続して存在する第2のカーブC2に対する適正速度VS2以上か否かを判定する。
この判定結果が「NO」の場合、つまり第1のカーブC1のみに対して適正車両状態ではない場合には、後述するステップS55に進む。
一方、この判定結果が「YES」の場合、つまり第1のカーブC1および第2のカーブC2に対して適正車両状態ではない場合には、ステップS53に進み、第2のカーブC2の減速対象地点間距離Ln2が警報必要距離LW2以下か否かを判定する。
【0052】
ステップS53での判定結果が「NO」の場合には、上述したステップS52に戻る。
一方、ステップS53での判定結果が「YES」の場合には、ステップS54に進み、先ず、第2カーブ警報を出力し、ステップS55に進む。
そして、ステップS55においては、第1のカーブC1の減速対象地点間距離Ln1が警報必要距離LW1以下か否かを判定する。
ステップS55での判定結果が「NO」の場合には、ステップS55に戻る。一方、ステップS55での判定結果が「YES」の場合には、ステップS56に進み、第1カーブ警報を出力し、一連の処理を終了する。
【0053】
また、図8に示すステップS57においては、第1のカーブC1の減速対象地点間距離Ln1が警報必要距離LW1以下か否かを判定する。
この判定結果が「NO」の場合には、ステップS57に戻る。
一方、ステップS57での判定結果が「YES」の場合には、ステップS58に進み、第1カーブ警報(つまり、所定の通常警報)を出力し、ステップS59に進む。
そして、ステップS59においては、第2警報出力フラグFのフラグ値が「1」であるか否かを判定する。
この判定結果が「YES」の場合には、ステップS60に進み、第2のカーブC2の減速対象地点間距離Ln2が警報必要距離LW2以下か否かを判定する。ステップS60での判定結果が「NO」の場合には、ステップS60に戻る。一方、ステップS60での判定結果が「YES」の場合には、ステップS61に進み、第2カーブ警報を出力し、一連の処理を終了する。
【0054】
一方、ステップS59での判定結果が「NO」の場合には、ステップS62に進み、第2警報出力フラグFのフラグ値が「0」であるか否かを判定する。
この判定結果が「YES」の場合には、一連の処理を終了する。
一方、ステップS62での判定結果が「NO」の場合には、ステップS63に進み、自車両の現在速度VPが、第1のカーブC1の先に連続して存在する第2のカーブC2に対する適正速度VS2以上か否かを判定する。
ステップS63での判定結果が「NO」の場合には、一連の処理を終了する。一方、ステップS63での判定結果が「YES」の場合には、ステップS64に進み、第2のカーブC2の減速対象地点間距離Ln2が警報必要距離LW2以下か否かを判定する。
【0055】
ステップS64での判定結果が「NO」の場合には、上述したステップS63に戻る。
一方、ステップS64での判定結果が「YES」の場合には、ステップS65に進み、第2カーブ警報を出力し、一連の処理を終了する。
【0056】
以下に、上述したステップS10およびステップS16における警報必要距離LW1,…,LWnの算出処理について図9を参照しながら説明する。
先ず、図9に示すステップS71においては、安全装置18の作動対象となる地点(作動対象地点)、例えば現在速度VPが、各カーブC1,…,Cnの適正速度VS1,…,VSnを超えるような各カーブに対して、各カーブの各入口位置CS1,…,CSnをカーブ形状値に基づいて推定する。
次に、ステップS72においては、自車位置検出部12にて検出した自車両の現在位置から安全装置18の作動対象となる地点(例えば、各カーブC1,…,Cnの各入口位置CS1,…,CSnまでの距離、つまり警報対象地点間距離Ln1,…,Lnnを算出する。
【0057】
次に、ステップS73においては、所定の減速度GS(例えば、0.2〜0.3G=0.2〜0.3×9.8m/s2)にて、現在速度VPから各適正速度VS1,…,VSnまで減速するのに要する距離つまり減速必要距離L01,…,L0nを算出する。
次に、ステップS74においては、警報を発して運転者に注意を促してから、実際に運転者が反応してブレーキを踏み込むまでの反応時間(例えば、約0.5s)と、運転者がブレーキを踏み込んでから実際にブレーキが効き始めるまでの空走時間(例えば、約0.3s)とを考慮して各反応空走距離ΔL01,…,ΔL0nを算出する。
次に、ステップS75においては、上記数式(1)に基づいて、各警報必要距離LWn(=L0n+ΔL0n;nは任意の自然数)を算出して、一連の処理を終了する。
【0058】
なお、第2のカーブC2の第2カーブ警報に対して設定される所定内容の各警報A〜Eにおいては、例えば音声警報部18aから出力される音声メッセージとして、共通の「この先、急カーブです」や「このカ−ブの先、急カーブです」等が設定されてもよいし、各警報A〜E毎に異なる音声メッセージが出力されるように設定されてもよい。
また、例えば図10に示すように、第1カーブ警報および第2カーブ警報の出力時には、例えば、音声警報部18aから出力される警報音(例えば、「ピンポン、ピンポン」等)に続いて、所定の音声メッセージを出力すると共に、表示警報部18bによってカーブの形状および自車両の現在位置を示す簡略化図形をディスプレイ(図示略)上に表示してもよい。
【0059】
例えば、車両の状態が第1のカーブC1に対する適正車両状態ではなく、第1のカーブC1に対する減速対象地点間距離Ln1が警報必要距離LW1以下となった時点で、第1のカーブC1を対象とした通常警報として、例えば適宜の警報音の後に「この先、(右)カーブです」等の音声メッセージが出力されると共に、例えば図10のaに示すような簡略化図形がディスプレイ(図示略)上に表示される。
また、例えば車両の状態が第1のカーブC1に対する適正車両状態ではあるが、第2のカーブC2に対する適正車両状態ではない場合等には、第2のカーブC2に対する減速対象地点間距離Ln2が警報必要距離LW2以下となった時点で、第2のカーブC2を対象とした警報Aとして、これから通過する、もしくは、現在通過中のカーブ(第1のカーブC1)の先に急カーブ(第2のカーブC2)が存在することを報知するため、例えば適宜の警報音の後に「この先、急カーブです」等の音声メッセージが出力されると共に、例えば図10のbに示すような簡略化図形がディスプレイ(図示略)上に表示される。
【0060】
また、例えば車両の状態が第1のカーブC1および第2のカーブC2の両方に対する適正車両状態ではなく、第2のカーブC2の警報開始位置CW2が第1のカーブC1の警報開始位置CW1よりも自車両の現在位置の手前側に位置する場合等には、第2のカーブC2に対する減速対象地点間距離Ln2が警報必要距離LW2以下となった時点で、第1のカーブC1の存在を示唆しつつ第2のカーブC2を対象とした警報Eとして、例えば適宜の警報音の後に「急カーブが続きます」等の音声メッセージが出力されると共に、例えば図10のcに示すような簡略化図形がディスプレイ(図示略)上に表示される。
【0061】
また、例えば車両の状態が第1のカーブC1に対する適正車両状態ではあるが、第2のカーブC2に対する適正車両状態ではなく、第2のカーブC2の警報開始位置CW2が第1のカーブC1の中央位置CM1よりも自車両の手前側の位置となる場合等には、第2のカーブC2を対象とした警報Bとして、例えば適宜の警報音の後に「この先、急カーブです」等の音声メッセージが出力されると共に、例えば図10のdに示すような簡略化図形がディスプレイ(図示略)上に表示される。
【0062】
また、例えば車両の状態が第1のカーブC1および第2のカーブC2の両方に対する適正車両状態ではなく、第1のカーブC1に対する警報が出力された後であって、第2のカーブC2の警報開始位置CW2が第1のカーブC1の中央位置CM1よりも自車両の手前側の位置となる場合等には、通過中の第1のカーブC1の存在を示唆しつつ第2のカーブC2を対象とした警報Bとして、例えば適宜の警報音の後に「このカーブの先、急カーブです」等の音声メッセージが出力されると共に、例えば図10のeに示すような簡略化図形がディスプレイ(図示略)上に表示される。
【0063】
また、例えば車両の状態が第1のカーブC1に対する適正車両状態ではあるが、第2のカーブC2に対する適正車両状態ではなく、第2のカーブC2の警報開始位置CW2が第1のカーブC1の出口位置CE1よりも先方側の位置となる場合等には、第2のカーブC2を対象とした通常警報として、例えば適宜の警報音の後に「(左)カーブです」等の音声メッセージが出力されると共に、例えば図10のfに示すような簡略化図形がディスプレイ(図示略)上に表示される。
【0064】
また、例えば車両の状態が第1のカーブC1および第2のカーブC2の両方に対する適正車両状態ではなく、第1のカーブC1に対する警報が出力された後であって、第2のカーブC2の警報開始位置CW2が第1のカーブC1の出口位置CE1よりも先方側の位置となる場合等には、通過した第1のカーブC1の存在を示唆しつつ第2のカーブC2を対象とした通常警報として、例えば適宜の警報音の後に「続くこの先、(左)カーブです」等の音声メッセージが出力されると共に、例えば図10のgに示すような簡略化図形がディスプレイ(図示略)上に表示される。
なお、隣り合う第1および第2のカーブC1,C2のうち、第1のカーブC1の通過完了後には、音声警報部18aまたは表示警報部18bの何れか一方、例えば音声警報部18aのみにより、第2カーブ警報を出力してもよい。
また、音声メッセージは、カーブの形状の緩急、右曲がり・左曲がり、連続・不連続、等が認識できるものであればよく、その長さは、運転者の認識を容易にするため、例えば1〜4秒程度とするのが好ましい。
【0065】
なお、ディスプレイ(図示略)上に表示される簡略化図形としては、例えば図11(a)〜(c)に示すような矢印等であってもよく、例えば図11(a)に示すような第1のカーブC1を対象とした簡略化図形や、例えば図11(b)に示すような第1のカーブC1の先に存在する第2のカーブC2を対象とした簡略化図形や、例えば図11(c)に示すような第1および第2の連続したカーブC1、C2を対象とした簡略化図形等を表示してもよい。
【0066】
上述したように、本実施の形態による車両の走行安全装置10によれば、第1のカーブC1の通過完了以前のタイミングにおいては、単に、第2のカーブC2が存在することを通知するのではなく、例えば第1のカーブC1の先に、より一層、注意を要する第2のカーブC2が連続して存在することを通知する等のように、警報装置の作動内容を変更することにより、警報装置の作動に対して運転者が違和感を感じてしまうことを防止しつつ、適切な警報を出力することができ、自車両の前方に存在するカーブを適正に通過させることが可能となる。
しかも、第2のカーブC2に対する第2カーブ警報の出力を、第1のカーブC1の通過完了以前においては、音声警報部18aおよび表示警報部18bにより行うことで、運転者に対して、より一層、確実に連続するカーブを認識させることができる。一方、第2のカーブC2に対する第2カーブ警報の出力を、第1のカーブC1の通過完了後においては、音声警報部18aまたは表示警報部18bの何れか一方により行うことで、過剰な警報の出力を抑制し、警報装置の作動に対して運転者が違和感を感じてしまうことを防止することができる。
【0067】
また、第1のカーブC1の警報開始位置CW1と第2のカーブC2の警報開始位置CW2との相対的な位置関係とは独立して、例えば上述したステップS17のように、第1のカーブC1を対象とする警報装置の作動の有無に応じて、第2のカーブC2を対象とする警報装置の作動内容を変更可能としたことにより、運転者に対して警報の出力対象となるカーブを、より一層、的確に認識させることができる。
【0068】
なお、本実施の形態においては、車両状態検出部13は車両の現在速度VPの検出信号を出力するとしたが、これに限定されず、例えば車両の現在速度VPとカーブ認識部14にて認識されたカーブの形状に基づいて、この現在速度VPにてカーブを通過する際に自車両に発生する横加速度APを推定し、この推定値を出力するようにしてもよい。
この場合、比較部16は、車両状態検出部13から出力された横加速度APの推定値と、適正車速設定部15の横加速度算出部31から出力された適正横加速度ASとを比較し、この比較結果を作動部17へ出力する。
すなわち、上述したステップS14においては、連続する複数のカーブC1,…,Cn(nは任意の自然数)毎に、推定したカーブ形状値に基づいて各カーブC1,…,Cnを適正に通過可能な各適正横加速度AS1,…,ASnを算出する。
そして、例えばステップS17,S18,S29,S52,S63等では、各カーブC1,…,Cn毎に推定した各横加速度APn(nは任意の自然数)と、各適正横加速度ASn(nは任意の自然数)とを比較すればよい。
【0069】
また、本実施の形態においては、S字カーブを例としたが、これに限らず、異なる半径や曲率のカーブがつながり、同方向に曲がる複合カーブについても適用可能である。
【0070】
【発明の効果】
以上説明したように、請求項1に記載の本発明の車両の走行安全装置によれば、報知手段の作動に対して運転者が違和感を感じてしまうことを防止しつつ、警報の出力対象となるカーブを適切に選択し、適切なタイミングで警報を出力することができ、自車両の前方に存在するカーブを適正に通過させることが可能となる。
さらに、請求項2に記載の本発明の車両の走行安全装置によれば、カーブの形状に応じて適切に警報を与えることができ、報知手段の作動が必要と判断されたカーブを適正車両状態にて通過させることが可能となる。
【0071】
さらに、請求項3に記載の本発明の車両の走行安全装置によれば、報知手段の作動に対して運転者が違和感を感じてしまうことを防止しつつ、警報の出力対象となるカーブを適切に選択し、適切なタイミングで警報を出力することができ、自車両の前方に存在するカーブを適正に通過させることが可能となる。
さらに、請求項4に記載の本発明の車両の走行安全装置によれば、運転者に対して警報の出力対象となるカーブを、より一層、的確に認識させることができ、自車両の前方に存在するカーブを適正に通過させることが可能となる。
【0072】
さらに、請求項5に記載の本発明の車両の走行安全装置によれば、例えば、近い側のカーブの先に、より一層、注意を要する遠い側のカーブが連続して存在する場合等であっても、運転者に対して、より一層、確実にカーブを認識させることができ、カーブを適正に通過させることが可能となる。
また、過剰な警報の出力を抑制し、報知手段の作動に対して運転者が違和感を感じてしまうことを防止することができる。
さらに、請求項6に記載の本発明の車両の走行安全装置によれば、過剰な警報の出力を抑制し、報知手段の作動に対して運転者が違和感を感じてしまうことを防止しつつ、カーブを適正に通過させることが可能となる。
【0073】
さらに、請求項7に記載の本発明の車両の走行安全装置によれば、運転者に対して、より一層、確実にカーブを認識させることができ、カーブを適正に通過させることが可能となる。
さらに、請求項8に記載の本発明の車両の走行安全装置によれば、過剰な警報変更を抑制し、報知手段の作動に対して運転者が違和感を感じてしまうことを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の一実施形態に係る車両の走行安全装置の構成を示す機能ブロック図である。
【図2】 車両がカーブに進入する際の警報の作動タイミングを示す図である。
【図3】 車両がカーブを適正に通過するための適正速度VSまで減速する際における速度Vと時間tの関係の一例を示す図である。
【図4】 連続する2つのカーブC1,C2に対する警報出力のタイミングの一例を示す模式図である。
【図5】 車両の走行安全装置の動作、特に安全装置の警報装置の作動内容を変更する処理を示すフローチャートである。
【図6】 車両の走行安全装置の動作、特に安全装置の警報装置の作動内容を変更する処理を示すフローチャートである。
【図7】 車両の走行安全装置の動作、特に安全装置の警報装置の作動内容を変更する処理を示すフローチャートである。
【図8】 車両の走行安全装置の動作、特に安全装置の警報装置の作動内容を変更する処理を示すフローチャートである。
【図9】 警報必要距離の算出処理を示すフローチャートである。
【図10】 連続する2つのカーブC1,C2に対する警報出力の内容変更の一例を示す模式図である。
【図11】 連続する2つのカーブC1,C2に対する警報出力、特に、表示警報部における表示内容の一例を示す模式図である。
【符号の説明】
10 車両の走行安全装置
11 記憶部(記憶手段)
12 自車位置検出部(自車位置検出手段)
13 車両状態検出部(車両状態検出手段)
14 カーブ認識部(カーブ認識手段)
15 適正車速設定部(適正車両状態設定手段)
16 比較部(比較手段)
17 作動部(作動手段)
18a 音声警報部(報知手段、音声警報手段)
18b 表示警報部(報知手段、表示警報手段)
19 作動内容変更部(作動内容変更手段、変更手段)
32 作動タイミング決定部(作動タイミング設定手段)
Claims (8)
- 道路データを記憶する記憶手段と、
自車両の位置を検出する自車位置検出手段と、
自車両の車両状態を検出する車両状態検出手段と、
前記記憶手段が記憶した前記道路データに基づき自車両の進行方向に存在するカーブの形状を認識するカーブ認識手段と、
前記カーブ認識手段が認識した前記カーブの形状に基づき該カーブを適正に通過可能な適正車両状態を設定する適正車両状態設定手段と、
前記車両状態検出手段が検出した前記車両状態と、前記適正車両状態設定手段が設定した前記適正車両状態とを比較する比較手段と、
前記比較手段による比較結果において前記自車両の車両状態が前記適正車両状態にないときに、自車両の乗員に警報を与える報知手段を作動させる作動手段と
を備える車両の走行安全装置であって、
自車両が前記カーブの通過前に前記車両状態検出手段により検出された車両状態と、前記カーブの形状に基づき設定された前記適正車両状態との比較結果に応じて、前記報知手段の作動タイミングを設定する作動タイミング設定手段と、
隣り合う前記カーブのうち自車両の位置を基準として遠い側の前記カーブに対して前記作動タイミング設定手段により設定された前記作動タイミングが、隣り合う前記カーブのうち自車両の位置を基準として近い側の前記カーブの通過完了以前である場合の前記報知手段の作動内容を、前記作動タイミングが隣り合う前記カーブのうち自車両の位置を基準として近い側の前記カーブの通過完了後である場合の前記報知手段の作動内容とは異なるように変更する作動内容変更手段と
を備えることを特徴とする車両の走行安全装置。 - 前記車両状態検出手段は自車両の速度を検出する、または、前記自車両の速度を検出し該速度と前記カーブ認識手段が認識した前記カーブの形状とに基づいて該カーブ通過時に発生する自車両の横加速度を推定するものであり、
前記適正車両状態設定手段は前記カーブを適正に通過可能な適正速度または適正横加速度を設定するものであり、
前記作動手段は、前記比較手段による比較結果において、前記自車両の速度が前記適正速度より高いとき、もしくは、前記推定される横加速度が前記適正横加速度より高いときに前記報知手段を作動させることを特徴とする請求項1に記載の車両の走行安全装置。 - 前記作動内容変更手段は、前記警報の内容を、隣り合う前記カーブが連続して存在することを報知する内容へと変更することを特徴とする請求項1または請求項2の何れかに記載の車両の走行安全装置。
- 隣り合う前記カーブのうち自車両の位置を基準として近い側の前記カーブに対する前記報知手段の作動有無に応じて、隣り合う前記カーブのうち自車両の位置を基準として遠い側の前記カーブに対する前記報知手段の作動内容を変更する変更手段を備えることを特徴とする請求項1から請求項3の何れかに記載の車両の走行安全装置。
- 前記報知手段は、音声により前記警報を報知する音声警報手段と、表示により前記警報を報知する表示警報手段とを備え、
前記報知手段は、隣り合う前記カーブのうち自車両の位置を基準として遠い側の前記カーブに対する前記警報の報知を、隣り合う前記カーブのうち自車両の位置を基準として近い側の前記カーブの通過完了後には、前記音声警報手段または前記表示警報手段の何れか一方により行い、隣り合う前記カーブのうち自車両の位置を基準として近い側の前記カーブの通過完了以前には、前記音声警報手段および前記表示警報手段の両方により行うことを特徴とする請求項1から請求項4の何れかに記載の車両の走行安全装置。 - 前記報知手段は、隣り合う前記カーブのうち自車両の位置を基準として遠い側の前記カーブに対する前記警報の報知を、隣り合う前記カーブのうち自車両の位置を基準として近い側の前記カーブの通過完了後には、前記音声警報手段により行うことを特徴とする請求項5に記載の車両の走行安全装置。
- 前記表示警報手段は、前記カーブの形状を表示することを特徴とする請求項5または請求項6の何れかに記載の車両の走行安全装置。
- 前記作動内容変更手段は、前記隣り合う前記カーブ間の距離が所定距離以下の場合に、前記報知手段の作動内容を変更することを特徴とする請求項1から請求項7の何れかに記載の車両の走行安全装置。
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