以下図面を参照して、本発明の実施の形態を説明する。図面の記載において同一あるいは類似の部分には同一あるいは類似な符号を付している。
まず、図1を用いて、本発明を実施するための最良の形態として示す車両走行状況提示装置について説明する。図1に示すように車両走行状況提示装置は、情報検出手段1と、推奨速度推定手段2と、情報提示内容制御手段3と、情報提示手段4とを備える。
情報検出手段1は、車速(自車両の速度)、アクセル開度、ブレーキのON/OFF信号といった車両からの信号を検出する車両情報検出手段1a、道路形状情報を検出するビゲーション装置1b、車両周辺にある障害物との位置関係を計測する、例えばセンサーなどである交通流検出手段1cなどを備え、車両走行状況の提示に必要となる各種情報を検出する。
推奨速度推定手段2は、情報検出手段1によって検出された情報を用い、道路形状と、交通流に応じた推奨速度の推定を行い、且つ推奨速度が変化する地点を特定ポイントとして抽出する。
情報提示内容制御手段3は、推奨速度推定手段2よって抽出される特定ポイントにおける推奨速度に関する情報を用いて、後段の情報提示手段4で提示させる情報の表示色や点滅速度といった情報提示内容を決定する。
情報提示手段4は、情報提示内容制御手段3によって決定された情報提示内容を提示する。
図2を用いて、上述した車両走行状況提示装置1を、具体的に実施する車両走行状況アドバイスシステムについて説明をする。図2に示すように、車両走行状況アドバイスシステムは、車両情報検出装置10と、ナビゲーション装置20と、交通流検出装置30と、情報提示コントロールユニット40と、情報提示装置50とを備えている。
車両情報検出装置10は、例えば、CANなどの車載LANから車速やアクセル開度、ブレーキSW(スイッチ)信号などの車両情報を取得する。
ナビゲーション装置20は、GPSや自律航法を用いた自車位置測定装置21と、地図データを格納する例えば、DVDといった記憶メディア地図データを格納する地図データベース22と、自車位置の測位結果を地図デーベース22に格納されている地図データ上の道路にマッチングさせ、自車両周辺の地図データを取得する道路報取得部23とを備えている。さらに、ナビゲーション装置20は、道路に設置されたビーコンなどの狭い範囲への情報提供インフラや、FM多重放送などの広い範囲への情報提供インフラからの情報を受信するためのアンテナ24と、インフラ受信器25とを備えている。
交通流検出装置30は、レーザレーダ30aやミリ波レーダ、車載カメラ30bで構成され、前方車両や障害物との距離や相対速度、横方向のオフセット量などを検出する。
情報提示コントロールユニット40は、推奨速度を推定する推奨速度推定部41と、推奨速度の変化する特定ポイントを検出する特定ポイント検出部42と、特定ポイント到達までに必要な加減速度を演算する必要加減速度演算部43と、情報提示装置50に提示する情報の内容を決定する情報提示内容制御部44とを備える。
情報提示内容制御部44が情報提示装置50に提示させる情報は、例えば、推奨速度推定部41で推定される推奨速度へと安全に減速できるような、減速開始のタイミングと、減速量といった情報であり、この情報を道路状況データ、交通流情報などに応じて、適宜補正させながら減速操作をドライバに促す。
情報提示装置50は、情報提示内容制御部44で決定された提示内容の情報をドライバに対して視覚的に提示する表示装置などである。情報提示装置50は、例えば、センターコンソール50a内に設置されたセンターコンソールディスプレイ50a1、インパネ50b内に設置されたインパネ内ディスプレイ50b1、50b2、ダッシュボード50c上に設けられたワイドディスプレイ50c1、50c2などであり、ドライバの運転操作に支障がない限り、どのような形態で情報を表示させる表示装置であってもよい。
推奨速度推定部41、特定ポイント検出部42、必要加減速度演算部43及び情報提示内容制御部44は、このように情報提示コントロールユニット40として、独立した演算ユニットとして構成してもよいし、推奨速度推定部41、特定ポイント検出部42、必要加減速度演算部43をナビゲーション装置20に設け、情報提示内容制御部44を情報提示装置50に設けるようにしてもよい。
このような構成の車両走行状況アドバイスシステムでは、特定ポイントが複数ある場合に、推奨速度関連情報と、その対象となる特定ポイントとの関係を分かり易く提示するために、メインとなる推奨速度関連情報に加えて、メイン情報を補助する補助情報を表示する。
具体的には、例えば、図3に示すように、インパネ50bにおいて、推奨速度関連情報を表示するスピードメータSMに加えて、補助情報を表示する補助表示エリアSAを備えることで実現することができる。
スピードメータSMは、例えば、図4(a)に示すような曲率半径RのカーブCvを有する道路Rd1を自車両Sが走行している場合に、カーブCvに進入するカーブ入口INまでの、時刻t1、t2、t3において、それぞれ図4(b)、(c)、(d)に示すような、推奨速度関連情報を表示させドライバに提示する。
図4(b)、(c)、(d)の各スピードメータSMに示されている速度Viは、カーブ入口INまでの道路Rd1を走行する際の推奨速度である。図4(c)、(d)の各スピードメータSMに示されている速度Vcは、曲率半径RのカーブCvを走行する際の推奨速度である。ドライバは、カーブCvを通過する際、この推奨速度Vcで自車両Sを走行させることになる。推奨速度Vcは、カーブCvの曲率半径R、ドライバの運転技量、自車両Sの車両性能、道路Rd1の道路状況、ドライバの道路Rd1に対する精通度をパラメータとして、(1)式に示すような関数fとして定義することができる。
Vc=f(R,運転技量,車両性能,道路状況,精通度) ・ ・ ・(1)
図5に、自車両Sが道路Rd1を走行する際の時刻tと、推奨速度vとの関係を示したv−t図を示す。自車両Sは、カーブ入口INに入る直前までに、推奨速度に沿って、ViからVcまで、アクセル量や、ブレーキ量を調節などして減速、つまり負の加速度をかける必要がある。図5に示すように、減速を開始する時刻(例えば、t1、t2、t3)に応じて、減速方向にかける加速度が異なることになる。当然のことだが、カーブ入口INに近い位置にいる場合(t1よりt3)ほど、負の加速度の絶対値が大きくなる。以下、負の加速度を減速度と呼ぶが、物理的な定義は加速度と同じである。
ある時刻tn(nは、自然数)における自車両Sの位置から、カーブ入口INまでの距離をLnとすると、推奨速度Vi、推奨速度Vcを用いて、減速度αは、エネルギー保存の法則より(2)式のように表すことができる。
α=(Vc 2 −Vi 2 )/2Ln ・ ・ ・(2)
図5に示すように、自車両Sが、道路Rd1を速度Viで走行中の、時刻t1、t2、t3における位置から、カーブCvを通過する際の推奨速度Vcまで減速するのに必要とされる減速度は、それぞれα(t1)、α(t2)、α(t3)となる。スピードメータSMでは、この情報も、推奨速度関連情報としてドライバに対して視覚的に提示するために、図4(c)、(d)に示すような、推奨速度Viと、推奨速度Vcとを囲む扇形領域であるレベル表示エリアLVを、推奨速度関連情報を表示させる表示開始閾値毎に設定した表示色で強調する。表示色は、減速度が小さくなるほど、一般的に緊急度を感じる色度の色を表示させるようにする。
例えば、図5に示すように、時刻t2、t3のときの減速度α(t2)、α(t3)をそれぞれ閾値Th1、Th2とする。このとき、α>Th1のとき(図5において、時刻t2以前の位置に自車両Sがいるとき)には、レベル表示エリアLVには、何も表示させない。Th1≧α>Th2のとき(図5において、時刻t2以上、時刻t3未満の位置に自車両Sがいるとき)には、中程度の緊急度とし、レベル表示エリアLVに黄色を表示させる。Th2≧αのとき(図5において、時刻t3以降の位置に自車両Sがいるとき)には、最大の緊急度とし、レベル表示エリアLVに赤色を表示させる。
このように、スピードメータSMでは、推奨速度関連情報として、現在の位置における推奨速度Vi、後に出現するカーブCvにおける推奨速度Vcが提示されると共に、現在の位置と、カーブ入口Inとの距離から要求される減速度の大きさレベルを、例えば、色情報によって提示させることができる。これにより、ドライバは、カーブCvに到達する前に、カーブCvにおいて要求される推奨速度Vcと、推奨速度Vcまでに減速させる度合いを知ることができる。
本発明の実施の形態として示す車両走行状況アシスタントシステムでは、このような推奨速度関連情報の他に、例えば、図3に示すインパネ内ディスプレイにおける補助表示エリアSAにおいて、推奨速度関連情報を補助するための補助情報を提示する。
例えば、図6に示すような、特定ポイントP1、P2、P3を有する道路Rd2において、自車両Sが特定ポイントP1の手前の特定ポイントP0から特定ポイントP1へ向かって走行していたとする。特定ポイントP1は、緩やかな右カーブで、特定ポイントP0における速度から、それほど減速させなくとも十分に通過可能なカーブである。また、特定ポイントP1のすぐ後に現れる特定ポイントP2は、下り勾配であり、その先の特定ポイントP3では、渋滞となっている。
このような道路状況の場合、情報提示コントロールユニット40では、自車両Sの現在位置である特定ポイントP0から最も近い特定ポイントP1を推奨速度関連情報の提示対象とせず、その先の特定ポイントP2を推奨速度関連情報の提示対象とする可能性が高い。このとき、図3に示すインパネ50bに、スピードメータSMのみしか備えられていなかったとしたら、特定ポイントP1の手前で、特定ポイントP2に対する推奨速度関連情報が提示されると、ドライバは、どちらの特定ポイントを提示対象としたのかが分からず混乱してしまうことになる。
そこで、図3に示すように、補助表示エリアSAでは、自車両Sが走行中の道路Rd2の略地図が表示され、推奨速度関連情報の提示対象となる特定ポイント、ここでは、特定ポイントP2、P3を強調表示する。そして、この補助表示エリアSAには、提示対象となる特定ポイントP2、P3近傍に、当該特定ポイントに特徴的な道路状況を示すアイコンICN2、ICN3を表示させる。例えば、道路状況に応じて、アイコンICN2として、下り勾配を示すアイコンが示され、アイコンICN3として、渋滞であることを示すアイコンが示されている。
そして、現在、スピードメータSMに提示されている推奨速度関連情報の対象となっている特定ポイントのアイコン、つまりアイコンICN2、ICN3のいずれかが点滅される。
このように、ドライバは、スピードメータSMに提示された推奨速度関連情報が、どの特定ポイントを提示対象とした情報であるのかを、補助表示エリアSAに表示された補助情報により取得できるため、より確実に、推奨速度関連情報に従った自車両Sの安全な走行を実現することができるようになる。
続いて、図7に示すフローチャートを用いて、車両走行状況アドバイスシステムにおいて、情報提示コントロールユニット40が実行する情報提示動作について説明をする。なお、このフローチャートで説明する情報提示の動作は、一定時間間隔、例えば100ms毎に実行されるものとする。また、図2に示した情報提示コントロールユニット40の機能を分散させて、ナビゲーション装置20に設ける構成の場合は、当該ナビゲーション装置50のメインプログラムから該当する所望のプログラムを読み出して、車両走行状況アドバイスシステムが備える図示しないCPUで実行されることになる。
ステップS1において、ナビゲーション装置20は、地図データベース22から自車両前方の一定範囲内、例えば500m以内にある地図データを読み出し、道路形状データを収集する。
地図データは、図8に示すように、交差点やジャンクションなどの分岐路があるポイントの位置座標であるノードND、及び道路の屈曲を描画するためのポイントの位置座標である補完点CPにおけるポイントデータと、それら同士を結ぶリンクLNに関するリンクデータとから構成されている。
ポイントデータと、リンクデータとは、それぞれ属性情報を有している。ポイントデータの属性情報は、例えば、曲率や一時停止の有無といった、その地点のみに関わる情報である。また、リンクデータの属性情報は、道路幅、勾配、制限速度、道路種別、車線数といった、ある一定距離に渡って連続する情報である。
なお、ポイントデータの属性情報として曲率(情報)を有していなかった場合、ポイントの位置座標(ノードND、補完点CP)及びポイント間のリンク(リンクLN)の長さ、ポイント前後のリンクのなす角を用いて、曲率を算出するようにしてもよい。
ステップS2において、交通流検出装置30は、レーザレーダ30aや車載カメラ30bを用いて、前方車両との車間距離や、相対速度を取得することで交通流情報を収集する。また、交通流情報として、ナビゲーション装置20に搭載されているVICS受信機より得られる渋滞情報を用いるようにしてもよい。
ステップS3において、推奨速度推定部41は、ステップS1で収集した道路形状データと、ステップS2で収集した交通流情報を用いて、推奨速度を算出し、推奨速度を推定する。
例えば、図9に示すような道路Rd3のA地点からF地点までを自車両Sが走行する場合を考える。図9に示すような道路Rd3において、カーブ区間BCでの推奨速度は、曲率より求めたVc、スクールゾーンFでの推奨速度は、制限速度のVs、その他の区間は制限速度V1に設定される。地点D、Eは、一時停止があるので、この地点では、一旦、速度がゼロとなるようにする。
この各地点での推奨速度と、自車両Sが通過する地点を時系列に示した時間軸として、プロットすることで、図10に示すような推奨速度パターンを生成する。図10に示すように、推奨速度が変化する地点では、それぞれの推奨速度を標準的な減速度αd(例えば、−2.5[m/S2])又は加速度αa(例えば、2.5[m/S2])の傾きを有し、各地点間が結ばれることになる。
なお、カーブ区間における推奨速度は、例えば、図11(a)に示すような、曲率半径Rと、推奨速度Vcとの関係があらかじめ対応づけられたテーブルを保持しておき、このテーブルから適宜読み出すようにすればよい。また、また、道幅が狭いカーブ区間における推奨速度は、上述したテーブルと、図11(b)に示すような、道幅(w)と、推奨速度Vcとの関係があらかじめ対応づけられたテーブルとを比較参照し、推奨速度が低くなる方の値を推奨速度として用いるようにする。
ステップS4において、特定ポイント検出部42は、ステップS3において推定された推奨速度パターンの推奨速度が変化する地点である推奨速度変化ポイントを、ステップS1において収集した道路形状データの属性の変化や、ポイント同士の位置関係より算出した曲率を用いて判別することで特定ポイントとして検出する。
例えば、推奨速度が減速する特定ポイントの前後一定距離内(例えば、100m)において、曲率が300R以上から100R以下に変化していれば、“カーブ”であると判別し、道路幅が減少していれば、“道路幅縮小”といったように特定ポイントを判別する。
また、ステップS2にて取得した交通流に関する情報を用いて、単独走行から追従走行への変化を予測するようにていもよい。例えば、車間距離(D)と、相対速度(Vr)より、以下に示す(3)式を用いて、Ts後に追従走行に遷移すると予測して、Ts後の走行地点を特定ポイントとしてもよい。
Ts=D/Vr ・ ・ ・(3)
ステップS5において、情報提示内容制御部44は、ステップS4にて検出した特定ポイントにおける推奨速度に基づいて、情報提示装置50で提示する情報提示内容を決定する。なお、本ステップについては、後で詳細に説明をする。
ステップS6において、情報提示装置50は、ステップS5において情報提示内容制御部44が決定した情報提示内容を、例えば、図2に示したようなセンターコンソールディスプレイ51a、インパネ51b、52b、ワイドディスプレイ51c、52cに表示する。
続いて、図12に示すフローチャートを用いて、推奨速度関連情報の提示対象となる特定ポイントが複数存在する場合の処理動作について、適宜、図3、図4、図5、図6の例を用いながら説明をする。
ステップS11において、情報提示内容制御部44は、自車位置から所定距離Lp内に、図7に示したフローチャートのステップS3で生成した推奨速度パターンを用い、推奨速度が低下する地点である特定ポイントが複数あるかどうかを判別すると共に、特定ポイントを抽出する。推奨速度が低下する特定ポイントが複数ある場合、工程をステップS12へと進め、それ以外の場合、工程をステップS18へと進める。
所定距離Lpは、例えば、Vi[m/s]を自車速度とすると、以下に示す(4)式から算出することができる。
Lp=MAX(200,Vi×7.5)[m] ・ ・ ・(4)
なお、ステップS18では、自車位置に最も近い特定ポイントに対する必要減速度αの値の変化に応じて、減速操作を強く促すように、推奨速度関連情報の表示形態に変化を与える。
例えば、図5に示したように、特定ポイントであるカーブCvに近づくにつれて、必要減速度αの傾きが大きくなる(急な減速が必要になる)のに応じて、減速操作を強く促すように、図4(c)、(d)で示すスピードメータSMのレベル表示エリアLVの色を黄色、赤色と段階的に変化させて推奨速度関連情報を提示する。具体的には、上述した(2)式で示される必要減速度αがTh1≧α>Th2の範囲のときに、黄色で表示し、Th2≧αの範囲のとき赤色で表示する。
また、必要減速度αと、レベル表示エリアLVで表示させる表示色との間に、図13に示すような関係を持たせることで、Th1≧α>Th2の領域において、色度が2値的(赤色、黄色)に変化するのではなく、連続性をもって変化するようにしてもよい。
ステップS12において、ステップS11で抽出した特定ポイントの推奨速度を、図7で示したステップS3において生成した速度推奨パターンより取得する。例えば、図4に示した道路Rd1においては、特定ポイントであるカーブCvの推奨速度Vcが取得される。
ステップS13において、現在の自車両の速度Viから、ステップS11で取得した各特定ポイントにおける推奨速度Vc1〜Vcn[m/s](nは、自然数)となるまでに必要とされる必要減速度α1〜αn[m/s2]を、以下に示す(5)式より求める。
αi=(Vci 2 −Vi 2 )/2Li ・ ・ ・(5)
このとき、Li[m]は、自車位置からi番目(i=1〜n)の特定ポイントまでの距離である。
ステップS14において、ステップS13で求めた各特定ポイントで要求されている推奨速度になるまでに必要となる必要減速度から、必要減速度の値が表示開始の所定閾値Th1以下となる特定ポイントを選択し、情報提示対象特定ポイントとする。
図6に示す例では、特定ポイントP1からP3のうち、P2、P3に対する必要減速度α2、α3がTh1より小さくなるので、P2、P3が情報提示対象特定ポイントになる。
ステップS15において、ステップS14において選択された情報提示対象特定ポイントと、推奨速度関連情報との関係を分かりやすくするために、各情報提示対象特定ポイントを含んだ補助情報の表示内容を設定する。
例えば、複数の情報提示対象特定ポイントに対する補助情報の表示内容例としては、図3に示すように、補助表示エリアSA内に、自車両である自車両Sから特定ポイントP3までの略地図が表示され、この地図上に情報提示対象特定ポイントとなるポイントP2(下り勾配)と、P3(渋滞末尾)を特徴づけるアイコンが表示されることになる。
このとき、スピードメータSMに表示される推奨速度関連情報が、特定ポイントP2に関する情報である場合には、特定ポイントP2に対応したアイコンが点滅表示される。
なお、S字カーブなどの連続したカーブを有する道路を走行している場合の補助情報の表示手法については、後で詳細に説明をする。
ステップS16において、自車両が、情報提示対象特定ポイントを通過したかどうかを判別する。自車両が、この特定ポイントを通過した場合には、工程をステップS17へと進め、特定ポイントに関する表示を終了させる。また、それ以外の場合は、工程を終了する。
特定ポイントに関する表示を終了させる表示終了タイミングについては、例えば、カーブにおいては、カーブ出口を通過した時点としてもよく、またカーブ区間内でのアクセルON時などとしてもよい。
以上、説明したように、本実施例においては、推奨速度関連情報の提示対象となる特定ポイントが複数ある場合に、自車両位置と、各特定ポイントとを含み、推奨速度関連情報の表示対象となる特定ポイントとを関連づける補助情報を提示することで、ドライバに分かりやすく伝達することができるようになる。
続いて、自車両が、S字カーブなどの連続したカーブを有する道路を走行する場合に、図12のフローチャートのステップS15において実行される補助情報の表示手法について説明をする。
説明のため、連続したカーブを有する道路は、図14に示すように自車両Sの位置から走行方向に見て、2つのカーブを有する道路Rd4とする。図14に示すように、道路Rd4の2つのカーブは、自車両Sの位置に近い側から第1カーブCv1、第2カーブCv2とする。
図14に示す道路Rd4をより具体的に示すと図15のように示すことができる。第1カーブCv1の推奨速度をVc1とし、第2カーブCv2の推奨速度をVc2とし、それぞれのカーブの入口を、第1カーブ入口IN1、第2カーブ入口IN2とする。
また、図16は、時刻で示された自車両Sの道路Rd4での位置と、推奨速度との関係を示した図であり、第1カーブCv1の推奨速度Vc1に対する必要減速度α1、第2カーブCv2の推奨速度Vc2に対する必要減速度α2も示してある。
表示される補助情報の内容は、必要減速度α1と、必要減速度α2と、表示開始閾値Th1との大小関係に応じて、α1≦Th1<α2(ケース0)、α1>Th1≧α2(ケース1)、Th1≧α1>α2(ケース2)、α1≦α2≦Th1(ケース3)という4つのケースに分類され、それぞれのケースにおいて異なる表示形態となる。
図17に、ケース0〜ケース4の状態遷移図を示す。ケース0は、第1カーブCv1のみが提示対象となる状態を示しており、ケース1は、第2カーブCv2のみ提示対象となる状態を示している。ケース2は、第1カーブCv1、第2カーブCv2共に提示対象となり、第2カーブCv2の方がより急減速する必要がある状態を示している。ケース3は、第1カーブCv1、第2カーブCv2共に提示対象となり、第1カーブCv1の方がより急減速する必要がある状態、及び第1カーブCv1と第2カーブCv2の必要減速度が等しい状態を示している。
なお、各ケース間の遷移は、第1カーブCv1へ進入前の自車両Sの速度変化や、例えば、図16に示すように、時刻tから時刻t1’へと自車両Sが進み、第1カーブ入口IN1へ接近したことによって生じる。図16に示すように、時刻tにおいては、α1>α2となっているが、時刻t’となることで、α1<α2となり、状態が遷移しているのが分かる。図17の状態遷移図を参照すると、図16に示す状態は、ケース1又はケース2の状態から、ケース0又はケース3に示す状態に遷移していることを示している。
(1)カーブアイコンの表示
まず、連続したカーブを有する道路を走行する際に表示する補助情報として、カーブアイコンと呼ばれる補助情報を表示する手法について説明をする。
カーブアイコンは、例えば、図15に示す道路Rd4を走行中の自車両Sが、第1カーブCv1の手前に位置し、第2カーブCv2に対する推奨速度関連情報を提示する場合において、図18(a)に示すように、インパネ50bの補助表示エリアSAに提示される、自車両Sの位置から第2カーブCv2までのカーブ形状を模擬したアイコンである。この、補助表示エリアSAに提示されるカーブアイコンICNcvは、推奨速度関連情報の提示対象となる第2カーブCv2に相当する領域が強調されており、推奨速度関連情報との関連付けがなされている。
このカーブアイコンICNcvでの強調表示は、例えば、第2カーブCv2の領域を他の領域よりも目立つ色度の色、例えば赤色などで表示させたり、太線で表現したり、矢印で表現したり、点滅させるようにしてもよく、ドライバが安全に運転できる範囲内で、視覚的に目立たせればよい。
また、カーブアイコンICNcvを表示させる補助表示エリアSAは、図18(a)に示すように、インパネ50b内に、スピードメータSMの隣に設けてもよいし、図18(b)に示すように、スピードメータSM内に設けるようにしてもよい。
カーブアイコンICNcvのカーブ形状は、図19(a)に示すように右カーブ、左カーブと続くS字カーブや、図19(b)に示すようにカーブ出口付近が急峻になるスプーンカーブなど、実際の道路形状をデフォルメしたものとすることで、推奨速度関連情報の表示対象カーブとの関連付けを、視覚的に一別して分かるようにする。
また、図20(a)、(b)、(c)に示すように、カーブアイコンICNcv中の自車両Sの位置を、自車両の走行に応じて、第2カーブ入口IN2に到達するまで移動させることにより、自車両Sの位置と、表示対象カーブとの位置関係も把握しやすくする。自車両Sの位置の動かし方は、図20(b)に示すように、カーブアイコンICNcv中で、自車両Sのマークを動かしてもよいし、図20(c)に示すように、自車両Sのマークを固定して、相対的にカーブアイコンICNcvを動かすようにしてもよい。
(2)補助地図の表示
このカーブアイコンICNcvに類似した、補助表示エリアSAに提示する補助情報として、補助地図MAPがある。補助地図MAPは、図21に示すように自車両Sの位置と、第1カーブCv1、第2カーブCv2を含むエリアの地図画面を表示した情報であり、推奨速度関連情報の表示対象となる、例えば、第2カーブCv2の該当領域が強調表示されている。補助地図MAP上での強調表示の手法としては、カーブアイコンICNcvと同様に、他の領域よりも目立つ色度の色、例えば赤色などで表示させたり、太線で表現したり、矢印で表現したり、点滅させるようにしてもよく、ドライバが安全に運転できる範囲内で、視覚的に目立たせればよい。
続いて、図22に示すフローチャートを用いて、上述したカーブアイコンICNcv又は補助地図MAPを補助表示エリアSAに表示させる動作について説明をする。カーブアイコンICNcvの表示の手法と、補助地図MAPの表示の手法とは、以下に説明するステップS21の工程での処理が若干異なるだけで、それ以外は同一の制御手法となる。
なお、このフローチャートで説明する情報提示の動作は、一定時間間隔、例えば100ms毎に実行されるものとする。図2に示した情報提示コントロールユニット40の機能を分散させて、ナビゲーション装置20に設ける構成の場合は、当該ナビゲーション装置50のメインプログラムから該当する所望のプログラムを読み出して、車両走行状況アドバイスシステムが備える図示しないCPUで実行されることになる。
この、図22のフローチャートで示す制御動作では、図17に示した状態遷移図において、矢印Sh1で示されたケース1からケース0への遷移、矢印Sh2で示されたケース2からケース0への遷移、矢印Sh3で示されたケース1からケース3への遷移、矢印Sh4で示されたケース2からケース3への遷移のように、推奨速度関連情報の提示対象が第2カーブCv2から第1カーブCv1へと、自車両Sから遠い側の特定ポイントから近い側の特定ポイントに変化する場合に、ドライバの安全性を保つ上でも特に留意が必要であるため、提示対象の変化をドライバにより一層、強調するような制御となっている。
ステップS21において、第1カーブCv1に対する必要減速度α1又は第2カーブCv2に対する必要減速度α2のどちらかが、表示開始閾値Th1以下となった場合に、ナビゲーション装置20の地図データベースに格納されている地図データよりカーブの曲率や長さを抽出して、自車両Sの現在位置から第2カーブCv2の出口までの道路形状に応じたカーブアイコンICNcvを演算処理により算出する。
ナビゲーション装置20の地図データベースに格納されている地図データよりカーブの曲率や長さなどを抽出する手法は、例えば、特開平5−319173号公報(特願平4−133240号)に記載の手法を適用することができる。
カーブアイコンICNcvの表示パターンとしては、例えば、図23(a)に示すような左カーブから右カーブとなるS字カーブ、図23(b)に示すような右カーブから左カーブとなるS字カーブ、図23(c)に示すような左方向のスプーンカーブ、図23(d)に示すよう右方向のスプーンカーブを基本的な表示パターンとする。
また、図24に示すように、自車両Sの位置から第1カーブ入口IN1までの距離が、所定値(例えば、50m)以上の場合には、第1直線パーツST1を挿入してもよい。同様に、第1カーブ出口OUT1から第2カーブ入口IN2までの距離が、所定値(例えば、50m)以上の場合には、第2直線パーツST2を挿入してもよい。
さらに、カーブ部分の表示パターンを形成するパーツは、例えば、図25(a)、(b)、(c)、図26(a)、(b)、(c)に示すように、カーブの弧の長さ、カーブの曲率、それぞれに応じて3段階ずつ用意する。そして、第1カーブCv1、第2カーブCv2、それぞれの弧の長さと、曲率とに応じて適宜、適切なカーブパーツを選択するようにする。
カーブの弧の長さに応じて、例えば、図25(a)、(b)、(c)に示すような、短(中心角45度以下)、中(中心各45度〜135度)、長(中心角135度以上)の3段階に分類されるカーブパーツのいずれかが選択される。
また、カーブの曲率に応じて、例えば、図26(a)、(b)、(c)に示すような、急(100R以下)、中(100R〜200R)、緩(200R以上)の3段階に分類されるカーブパーツのいずれかが選択される。
例えば、具体的な例として、自車両Sの位置から第1カーブ入口IN1までの距離が70m、第1カーブCvの曲率が120Rで中心角90度、第1カーブ出口OUT1から第2カーブ入口IN2までの距離が80m、第2カーブCv2の曲率が50Rで中心角が150度の道路があった場合を考える。
この道路は、上述した条件により図24に示すように、自車両Sと、第1カーブCv1との間に第1直線パーツST1が挿入され、第1カーブCv1と、第2カーブCv2との間に第2直線パーツST2が挿入される。また、第1カーブCv1のパーツには、弧の長さから図25(b)に示す「中」が選択され、曲率から図26(b)に示す「中」が選択される。そして、第2カーブCv2のパーツには、弧の長さから図25(c)に示す「長」が選択され、曲率から図26(a)に示す「急」が選択される。
一方、補助地図MAPは、このステップS21の工程において、ナビゲーション装置20の地図データベース22から自車両Sの位置、第1カーブCv1、第2カーブCv2を含むエリアの道路形状データを読み出し、補助表示エリアSA内に自車両S位置、第1カーブCv1、第2カーブCv2が入るように縮尺を調整することで生成される。
ステップS22において、必要減速度α1、α2を、上述した(2)式を用いた演算により算出する。算出した必要減速度α1、α2、そして表示開始閾値Th1との大小関係が、図17に示したケース0又はケース3の条件に当てはまる場合に、工程をステップS23へと進め、それ以外の場合は、工程をステップS28に進める。
ケース0又は3の条件に当てはまる場合は、時刻t1の時に自車両Sがいる位置での必要減速度α1、α2との関係は、図27に示すようになっている。
ステップS23において、前回の制御動作ループにおけるケース分類で、ケース1又はケース2と判定され、第2カーブCv2を対象とした補助情報を表示するよう制御されていたかどうかを判定する。
第2カーブCv2を対象とした補助情報を表示していた場合には、工程をステップS24に進め、そうでない場合には、工程をステップS27へと進める。
ステップS24において、推奨速度関連情報の表示対象を第2カーブCv2から第1カーブCv1に変更するかどうかを判定するために、必要加速度α1を、所定値Thc1(例えば、Th2)と比較する。必要加速度α1が、所定値Thc1以下ならば、第1カーブCv1に対する減速操作の緊急度が高まったと判断して、工程をステップS25へと進める。必要加速度α1が、所定値Thc1より大きい場合は、工程をステップS26へと進める。
なお、このステップS24における判定処理において、自車両Sの速度Viと、第1カーブCv1の推奨速度Vc1との差が所定値Vth以上であること(Vi−Vc>Vth:例えば、Vthは、10[km/h])を加え、第1カーブCv1の入口直前で、速度Viが、Vc1を僅かに超えてしまうことで、一瞬だけ表示内容が切り替わってしまうという煩わしさを排除するようにしてもよい。
ステップS25において、カーブアイコンICNcvを表示している場合なら、図28(a)に示すように、補助地図MAPを表示している場合なら、図28(b)に示すように、強調表示するカーブを、第2カーブCv2から第1カーブCv1に切り替え、第1カーブCv1に対する推奨速度関連情報をスピードメータSMに表示する。
つまり、このステップS25までの工程では、ケース1又は2の状態から、ケース0又は3の状態に遷移したことを示しており、図29に示すように、時刻t1の時に自車両Sがいる位置では、必要減速度α1、α2との関係がα1>α2となり、時刻t2に変化したことで、α1<α2となっている。
強調表示するカーブを、第2カーブCv2から第1カーブCv1に切り替える場合、カーブアイコンICNcvの場合は、図30(a)に示すように切り替えられた第1カーブCv1を点滅させてもよいし、補助地図MAPの場合も同様に、図30(b)に示すようにに第1カーブCv1を点滅させてもよい。また、点滅させる代わりに、ビープ音や、音声案内などを用いることで表示対象が切り替わったことをドライバに強く知らせるようにしてもよい。
ステップS26において、必要加速度α1が所定値Tch1以下でないことに応じて、第2カーブCv2を表示対象とするようなカーブアイコンICNcvの表示、又は補助地図MAPの表示を継続する。
ステップS27では、例えば、図4に示したように、自車両Sの位置に最も近い第1カーブCv1のみに対する推奨速度関連情報の提示を行う。補助表示エリアSAに表示されるカーブアイコンICNcvは、第1カーブCv1を強調した表示であってもよく、カーブアイコンICNcvそのものを表示させなくてもよい。
ステップS28において、必要減速度α1、α2及び表示開始閾値Th1の大小関係が図17に示すケース1に該当するかどうかを判定する。ケース1に該当する場合は、工程をステップS29へと進め、ケース1に該当しない場合は、工程をステップS30へと進める。
ステップS29において、ケース1に該当することから、カーブアイコンICNcvを表示している場合なら、図31(a)に示すように、補助地図MAPを表示している場合なら、図31(b)に示すように、第2カーブCv2を示す領域を強調表示し、第2カーブCv2に対する推奨速度関連情報をスピードメータSMに表示する。
時刻t1の時に自車両Sがいる位置での必要減速度α1、α2との関係は、図32に示すようになっている。なお、図32において、実線で表した必要減速度α1は、表示開始閾値Th1以下であることを示しており、点線で表した必要減速度α2は、表示開始閾値Th1よりも大きいこと示している。
なお、ケース1の条件に当てはまる場合には、図33に示すように、カーブアイコンICNcvの表示閾値を推奨速度関連情報Th1より少し大きなTh0(例えば、Th1−0.05)に設置することで、第2カーブCv2を強調したカーブアイコンICNcvを表示する際の表示開始タイミングを、推奨速度関連情報の表示開始タイミングよりも早めるようにしてもよい。これにより図34に示すように、スピードメータSMに推奨速度関連情報が提示される時刻t2よりも前の時刻である時刻t1に自車両Sがいる位置において、補助情報エリアSAに、カーブアイコンICNcvの第2カーブCv2に相当する領域が強調表示される。したがって、ドライバには、第2カーブCv2を表示対象とする推奨速度関連情報がスピードメータSMに表示されるということを、事前に強調して通知することができる。なお、図示しないが、補助情報MAPにおいても同様である。
ステップS30において、必要減速度α1、α2及び表示開始閾値Th1の大小関係が図17に示すケース2に該当するかどうかを判定する。ケース2に該当する場合は、工程をステップS31へと進める。そうでない場合は、必要減速度α1、α2とも、表示開始閾値Th1より大きく、第1カーブCv1、第2カーブCv2とも推奨速度関連情報の提示対象とならないので、推奨速度関連情報を何も表示せずに、工程を終了する。
ステップS31において、推奨速度関連情報の表示対象を第2カーブCv2と、第1カーブCv1とのどちらにするかを判定するために、必要加速度α1を、所定値Thc2(例えば、Th2)と比較する。必要加速度α1が、所定値Thc2以下ならば、第1カーブCv1に対する減速操作の緊急度が高まったと判断して、工程をステップS32へと進める。必要加速度α1が、所定値Thc2より大きい場合は、工程をステップS33へと進める。
ケース2に該当する場合において、時刻t1の時に自車両Sがいる位置での必要減速度α1、α2との関係は、図35に示すようになっている。なお、図35において、実線で表した必要減速度α1、α2は、表示開始閾値Th1以下であることを示している。
ステップS32において、必要減速度α1が、所定値Thc2よりも大きくなることに応じて、カーブアイコンICNcvを表示している場合なら、図31(a)に示すように、補助地図MAPを表示している場合なら、図31(b)に示すように、第2カーブCv2を示す領域を強調表示し、第2カーブCv2に対する推奨速度関連情報をスピードメータSMに表示する。
ステップS33において、必要加速度α1が、所定値Thc2以下となることに応じて、カーブアイコンICNcvを表示している場合なら、図36(a)に示すように、補助地図MAPを表示している場合なら、図36(b)に示すように、第1カーブCv1を示す領域を強調表示し、第1カーブCv1に対する推奨速度関連情報をスピードメータSMに表示する。
なお、所定値Thc2には、カーブアイコンICNcv、補助地図MAPの強調部分がチャタリングを防ぐためにヒステリシスを設けてもよいのは無論である。
強調表示するカーブを、第2カーブCv2から第1カーブCv1に切り替える場合、カーブアイコンICNcvの場合は、図30(a)に示すように切り替えられた第1カーブCv1を点滅させてもよいし、補助地図MAPの場合も同様に、図30(b)に示すようにに第1カーブCv1を点滅させてもよい。また、点滅させる代わりに、ビープ音や、音声案内などを用いることで表示対象が切り替わったことをドライバに強く知らせるようにしてもよい。
次に、上述したように、補助表示エリアSAを別途設けてカーブアイコンICNcvや補助地図MAPといった補助情報を提示する手法以外の手法によって、推奨速度関連情報の提示対象となる特定ポイントを指定する補助情報を提示し、提示対象となる推奨速度関連情報を明確化してドライバに通知する手法について説明する。
(3)推奨速度同時表示
まず、図37に示すように、一つのスピードメータSMにおいて、図14に示したような連続した2つのカーブを有する道路Rd4の、第1カーブCv1と第2カーブCv2の推奨速度と、推奨速度関連情報とを同時に表示させる手法がある。
図37に示す例では、第1カーブCv1に対する推奨速度関連情報を、自車両Sの速度Viと、第1カーブCv1の推奨速度Vc1を示す長針との間に形成される扇型のレベル表示エリアLV1に表示させている。また、第2カーブCv2に対する推奨速度関連情報を、自車両Sの速度Viと、第2カーブCv2の推奨速度Vc2を示す長針との間に形成される扇型のレベル表示エリアLV2に表示させている。
このように、推奨速度関連情報を同時にスピードメータSMに表示させる場合は、自車両Sに対して接近度がより高いカーブのレベル表示エリアの表示半径を長くする、図38では、第1カーブCv1のレベル表示エリアLV1の表示半径を長くすることで、それぞれのレベル表示エリアの形状を変え、自車両Sと、特定ポイントである第1カーブCv1と、第2カーブCv2との位置関係を明確にしている。
レベル表示エリアLV1と、レベル表示エリアLV2とは、基本的には必要減速度が小さい方が上側となるように重ねて表示させ、より減速の必要性の高いカーブを強調するようにする。例えば、必要減速度α1、α2とが、時刻t、t2において、図29に示すような関係であったとすると、時刻t1においては、図38(a)に示すようにレベル表示エリアLV2が上側となるように表示され、時刻t2においては、図38(b)に示すように、レベル表示エリアLV1が上側となるように表示される。
続いて、図39に示すフローチャートを用いて、推奨速度情報を同一スピードメータSM内に同時に表示させる制御動作について説明をする。
ステップS31において、必要減速度α1、α2及び表示開始閾値Th1の大小関係が図17に示すケース0に該当するかどうかを判定する。ケース0に該当する場合は、工程をステップS32に進め、そうでない場合は、工程をステップS33に進める。
ステップS32において、ケース0に該当することに応じて、スピードメータSM内の、自車両Sの速度Viと、第1カーブCv1の推奨速度Vc1との間に形成された扇形形状を示すレベル表示エリアLV1に、第1カーブCvの推奨速度関連情報を表示させる。この場合、図4に示したような、自車両Sの位置に最も近い第1カーブCv1のみに対する推奨速度関連情報を提示する場合と同様な表示になる。
ステップS33において、必要減速度α1、α2及び表示開始閾値Th1の大小関係が図17に示すケース1に該当するかどうかを判定する。ケース1に該当する場合は、工程をステップS34に進め、そうでない場合は、工程をステップS35に進める。
ステップS34において、ケース1に該当することに応じて、図40に示すように、スピードメータSM内の、自車両Sの速度Viと、第2カーブCv2の推奨速度Vc2との間に形成された扇形形状を示すレベル表示エリアLV2に、第2カーブCvの推奨速度関連情報を表示させる。
ステップS35において、必要減速度α1、α2及び表示開始閾値Th1の大小関係が図17に示すケース2に該当するかどうかを判定する。ケース2に該当する場合は、工程をステップS36に進め、そうでない場合は、工程をステップS37に進める。
ステップS36において、ケース2に該当することに応じて、図41に示すように、スピードメータSM内の、自車両Sの速度Viと、第1カーブCv1の推奨速度Vc1との間に形成された扇形形状を示すレベル表示エリアLV1に、第1カーブCv1の推奨速度関連情報を表示させ、自車両Sの速度Viと、第2カーブCv2の推奨速度Vc2との間に形成された扇形形状を示すレベル表示エリアLV2に、第2カーブCvの推奨速度関連情報を表示させる。ケース2では、第2カーブCv2に対する減速操作の必要性が高いため、図41に示すように、レベル表示エリアLV2を、レベル表示エリアLV1よりも上側に表示させる。
ステップS37において、必要減速度α1、α2及び表示開始閾値Th1の大小関係が図17に示すケース3に該当するかどうかを判定する。ケース3に該当する場合は、工程をステップS38に進め、そうでない場合は、工程をステップS33に進める。
ケース3に該当しない場合は、必要減速度α1、α2とも、表示開始閾値Th1より大きく、第1カーブCv1、第2カーブCv2とも推奨速度関連情報の提示対象とならないので、推奨速度関連情報を何も表示せずに、工程を終了する。
ステップS38において、ケース3に該当することに応じて、図42に示すように、スピードメータSM内の、自車両Sの速度Viと、第1カーブCv1の推奨速度Vc1との間に形成された扇形形状を示すレベル表示エリアLV1に、第1カーブCvの推奨速度関連情報を表示させ、自車両Sの速度Viと、第2カーブCv2の推奨速度Vc2との間に形成された扇形形状を示すレベル表示エリアLV2に、第2カーブCv2の推奨速度関連情報を表示させる。ケース3では、第1カーブCv1に対する減速操作の必要性が高いため、図42に示すように、レベル表示エリアLV1を、レベル表示エリアLV2よりも上側に表示させる。
ここで、自車両Sの速度Viと、第1カーブCv1の推奨速度Vc1との差が、所定値Vth(例えば、10km/h)以下の場合、第2カーブCv2に対するレベル表示エリアLV2を上側に表示させることで、第1カーブCv1の入口直前で、ViがVc1を僅かに超えてしまうことで、一瞬だけ重ね合わせの順序が切り替わる煩わしさを排除するようにしてもよい。
なお、レベル表示エリアLV1と、レベル表示エリアLV2の重ね合わせの順序は、切り替えがなされてから、所定時間内(例えば、5秒)は、再切り替えを禁止することで、切り替え時に生ずるチャタリングを防止するようにしもよい。
(4)ツインメータ表示
次に、図43に示すように、今まで一つだったスピードメータSMをメインとなるメインスピードメータMSMとし、さらにサブとなる表示窓がメインスピードメータMSMよりも小型にされたサブスピードメータSSMを設けることで、図14に示したような連続した2つのカーブを有する道路Rd4の、第1カーブCv1と第2カーブCv2の推奨速度と、推奨速度関連情報とを同時に表示させる手法がある。
例えば、図43に示すように、第1カーブCv1に対する推奨速度関連情報をメインスピードメータMSMに表示し、第2カーブCv2に対する推奨速度関連情報をサブスピードメータSSMに表示させる。このように、表示窓の大きいメインスピードメータMSMが、自車両Sの位置に対して接近度の高い第1カーブCv1に対する表示であると関連付けることで、ドライバに提示する推奨速度関連情報を明確化する。
続いて、図44に示すフローチャートを用いて、推奨速度関連情報をスピードメータSMSM、スピードメータSSM内にそれぞれ独立して表示させる制御動作について説明をする。
ステップS41において、第1カーブCv1に対する必要減速度α1が、表示開始閾値Th1以下であるかどうかを判定する。表示開始閾値Th1以下である場合は、工程をステップS42へと進め、そうでない場合は、工程をステップS43へと進める。
ステップS42において、必要減速度α1が、表示開始閾値Th1以下であることに応じて、メインスピードメータMSMに、第1カーブCv1に対する必要速度関連情報を提示する。
ステップS43において、第2カーブCv2に対する必要減速度α2が、表示開始閾値Th1以下であるかどうかを判定する。表示開始閾値Th1以下である場合は、工程をステップS44へと進め、そうでない場合は、工程を終了する。
ステップS44において、必要減速度α2が、表示開始閾値Th1以下であることに応じて、サブスピードメータSSMに、第2カーブCv2に対する必要速度関連情報を提示する。
このように、第1カーブCv1に対する推奨速度関連情報をメインスピードMSMに、第2カーブCv2に対する推奨速度関連情報をサブスピードメータSSMに、それぞれ独立に表示することで、推奨速度関連情報の提示対処となる複数の特定ポイントが存在する場合でもドライバに対して明確に推奨速度関連情報を提示することができる。
図17に示すケース1においては、図45(a)に示す、第2カーブCv2の推奨関連速度情報が、図45(b)に示すように、インパネ50b内のサブスピードメータSSMにのみに表示される。
図17に示すケース2においては、図46(a)に示す、第1カーブCv1と第2カーブCv2の推奨関連速度情報が、図46(b)に示すように、インパネ50b内の、メインスピードメータMSM、サブスピードメータSSMに表示される。このとき、必要減速度α2の方が、必要減速度α1よりも急減な減速が必要であるため、サブスピードメータSSMのレベル表示エリアLV2に表示させる推奨関連速度情報を強調表示する。
図17に示すケース3においては、図47(a)に示す、第1カーブCv1と第2カーブCv2の推奨関連速度情報が、図47(b)に示すように、インパネ50b内の、メインスピードメータMSM、サブスピードメータSSMに表示される。このとき、必要減速度α1の方が、必要減速度α2よりも急減な減速が必要であるため、メインスピードメータMSMのレベル表示エリアLV1に表示させる推奨関連速度情報を強調表示する。
なお、第2カーブCv2に対する推奨速度関連情報を表示するサブスピードメータSSMからメインスピードメータMSMへの表示切り替えのタイミングは、l第1カーブCv1のカーブ出口通過点としてもよく、また第1カーブCv1区間内でのアクセルON時としてもよい。
以上説明したように、本発明の実施の形態によれば、推奨速度関連情報を提示するにあたり、提示対象となる特定ポイントが複数あった場合でも、自車位置と、特定ポイントとの位置を明確にし、提示した推奨速度関連情報と、特定ポイントとの関係を明確に提示する車両走行状況提示装置を提供するができる。よって、ドライバが必要としている推奨速度関連情報を確実に提示することができるという効果を奏する。
位置関係情報を道路形状情報に反映させた道路形状を模擬した画像情報を用い、画像情報中の特定ポイント位置情報を強調表示させることで、推奨速度関連情報と提示対象となる特定ポイントとの関係を明確化することができるため、ドライバが必要としている推奨速度関連情報をより具体的に分かりやすく提示することができるという効果を奏する。
位置関係情報を地図情報に反映させた地図画面情報を用い、地図画面情報中の特定ポイント位置情報を強調表示させることで、推奨速度関連情報と提示対象となる特定ポイントとの関係を明確化することができるため、ドライバが必要としている推奨速度関連情報をより具体的に分かりやすく提示することができるという効果を奏する。
複数の特定ポイントの各推奨速度関連情報を、補助情報である位置関係情報と、特定ポイント位置情報と同時に、同一表示領域内に提示することで、提示対象となる特定ポイントの位置関係と関連づけながら、同時に複数の推奨速度関連情報をドライバに提示することができるという効果を奏する。
位置関係情報を、複数の特定ポイントの各推奨速度関連情報の表示形状をそれぞれ変えることで提示し、特定ポイント位置情報を、複数の特定ポイントの各推奨速度関連情報を、必要減速度に基づいた順序で、表示領域内に表示させることで提示することで、減速操作の必要性が高くなる特定ポイントの推奨速度関連情報を優先的にドライバに提示することができるという効果を奏する。
複数の特定ポイントの各推奨速度関連情報を、それぞれ複数の表示領域に、補助情報である位置関係情報と、特定ポイント位置情報と同時に提示することで、提示対象となる特定ポイントの位置関係と関連づけながら、同時に複数の推奨速度関連情報をドライバに提示することができるという効果を奏する。
位置関係情報を、自車両の現在位置から最も近い特定ポイントに対する推奨速度関連情報を表示する表示領域を最大の面積とすることで提示し、特定ポイント位置情報を、複数の特定ポイントの各推奨速度関連情報を必要減速度に基づいて強調表示させることで提示することで、減速操作の必要性が高くなる特定ポイントの推奨速度関連情報を優先的にドライバに提示することができるという効果を奏する。
補助情報の提示開始タイミングを、推奨速度関連情報の提示開始タイミングよりも早めることで、提示対象となる特定ポイントを、ドライバにより強く強調することで安全性を高めることができるという効果を奏する。
推奨速度関連情報の提示対象となる特定ポイントが、自車両の現在位置に近い方向の特定ポイントに遷移する場合において、推奨速度関連情報の提示対象の切り替えタイミングを、必要減速度の値が所定値以上となるタイミングとすることで、提示対象となる特定ポイントの頻繁な切り替えによる煩わしさを防止することができるという効果を奏する。
上記のように、本発明は、1つの実施の形態によって記載したが、この開示の一部をなす論述及び図面はこの発明を限定するものであると理解すべきではない。この開示から当業者には様々な代替実施の形態、実施例及び運用技術が明らかとなろう。即ち、本発明はここでは記載していない様々な実施の形態等を包含するということを理解すべきである。したがって、本発明はこの開示から妥当な特許請求の範囲に係る発明特定事項によってのみ限定されるものである。
1 情報検出手段、2 推奨速度推定手段、3 情報提示内容制御手段、4 情報提示手段、10 車両情報検出装置、20 ナビゲーション装置、30 交通流検出装置、40 情報提示コントロールユニット、41 推奨速度推定部、42 特定ポイント検出部、43 必要加減速度演算部、44 情報提示内容制御部、50 情報提示装置