最初に、本発明の実施形態の内容を列記して説明する。
(1)本発明の実施の形態に係る信号システムは、車両と、所定情報を収集する収集部と、前記所定情報に基づいて所定地点の信号情報を生成する生成部と、を備える信号システムであって、前記車両は、前記信号情報に基づく信号表示情報を、前記車両の内部の所定空間に表示する。
このような構成により、要注意箇所を可視化することができる。したがって、ドライバ等が要注意箇所を容易に認識することができる。
(2)好ましくは、前記所定地点は、信号灯器を備える信号機が設置されていない交差点であり、前記所定情報は、前記交差点に流入する道路上に位置する存在車両の位置情報を含む。
このような構成により、交差点に信号機を設置しなくても済むので、たとえば、信号機の設置や運用に係るコストを削減することができる。
(3)好ましくは、前記所定地点は、1又は複数の信号灯器を備える信号機が設置された交差点であり、前記信号灯器のうちの少なくとも1つは動作を停止しており、前記所定情報は、前記交差点に流入する道路上に位置する存在車両の位置情報を含む。
このような構成により、たとえば交差点に設置された信号灯器の動作が停止する事態になっても、ドライバ等は車両に表示されたこの交差点に係る信号表示情報で車両の走行に必要な信号情報を把握できるので、交通の運用を適切に継続することができる。
(4)好ましくは、前記所定情報は、前記交差点に流入する全ての道路上に位置する全ての存在車両の位置情報を含む。
このような構成により、全ての存在車両の位置情報に基づき交通信号制御を行なうことができるので、交通の運用を適切に行なうことができ、また車両を集中的に管理することができる。
(5)好ましくは、前記所定情報は、前記車両の進行方向の道路上の第1地点に関する異常検知情報を含み、前記所定地点は、前記車両の位置から前記第1地点に至るまでの地点であり、前記生成部は、前記異常検知情報に含まれる異常の程度に応じて前記信号情報を生成する。
このような構成により、第1地点の異常を検知している場合に、その第1地点にさしかかる前の所定地点でドライバ等はその異常を把握することができるので、ドライバ等にこの異常に係る注意を促すことができる。
(6)好ましくは、前記所定情報は、前記第1地点に設置された感知器での歩行者数の感知結果を含み、前記異常の程度は、前記感知結果と所定閾値との比較に応じて決定される。
このような構成により、ドライバ等は、たとえば通学路や住宅街等、人間の急な飛び出しが発生しやすい地点を感知することができ、ドライバ等に人間の急な飛び出しに係る注意を促すことができる。
(7)好ましくは、前記所定情報は、前記第1地点に設置された感知器での、落石及び崩落のうちの少なくともいずれか1つに関する感知結果を含み、前記異常の程度は、前記感知結果と所定閾値との比較に応じて決定される。
このような構成により、ドライバ等は、たとえば山岳等、落石や崩落が発生しやすい地点を感知することができ、ドライバ等に落石や崩落に係る注意を促すことができる。
(8)好ましくは、前記所定情報は、前記第1地点よりも下流における渋滞末尾位置と前記車両の位置とを含み、前記異常の程度は、前記渋滞末尾位置から前記車両の位置までの距離と、複数の減速度に基づいて設定された複数の判定距離との比較に応じて決定される。
このような構成により、ドライバ等は渋滞末尾位置を感知することができるので、この末尾位置の車両への追突を未然に防ぐことができる。
(9)好ましくは、前記車両は、前記信号情報に基づいて前記車両の走行及び停止を制御する制御部を備える。
このように、車両自ら、たとえば所定地点を通過するか、あるいは所定地点の手前で停止するかを制御することで、ドライバ等に掛かる負荷を軽減することができる。
(10)好ましくは、前記信号表示情報は、信号灯器及びその灯色を認識可能な情報を含む。
このように、ドライバ等に馴染みのある信号灯器の外観形式で表示することで、ドライバ等にとって分かりやすく、要注意箇所をより容易に認識することができる。
(11)好ましくは、本発明の実施の形態に係る信号システムには、前記収集部と、前記生成部と、前記信号情報を前記車両に送信する送信部とを備える、サーバが用いられる。
このような構成により、たとえば前記信号情報を受信した車両が車両内部の所定空間に表示することで、要注意箇所を可視化することができる。したがって、ドライバ等が要注意箇所を容易に認識することができる。
(12)本発明の実施の形態に係る信号表示方法は、所定情報を収集するステップと、前記所定情報に基づいて所定地点の信号情報を生成するステップと、前記信号情報に基づく信号表示情報を、車両の内部の所定空間に表示するステップとを含む。
このような構成により、要注意箇所を可視化することができる。したがって、ドライバ等が要注意箇所を容易に認識することができる。
以下、本発明の実施の形態について図面を用いて説明する。なお、図中同一または相当部分には同一符号を付してその説明は繰り返さない。また、以下に記載する実施の形態の少なくとも一部を任意に組み合わせてもよい。
[構成及び基本動作]
図1は、本発明の実施の形態に係る信号システムの構成を示す図である。
図1を参照して、信号システムは、たとえば、車両1と、サーバ2とを備える。車両1は、たとえば、表示部10と、制御部11とを備える。また、サーバ2は、たとえば、収集部20と、生成部21と、送信部22とを備える。
サーバ2は、たとえば交通管制センター等に設置され、収集した情報に基づいて信号情報を生成し、その信号情報を所定地点に接近した車両1に対して送信する。信号情報は、たとえば、車両1が所定地点において進行してよいか停止すべきか等を示す情報を含む。より詳細には、信号情報は、信号機の灯色である信号灯色(青・黄・赤等)を示す情報を含み、他にこれらの信号灯色の継続秒数を示す情報や点灯状態(点灯・点滅・滅灯)を示す情報を含んでいてもよい。なお、本発明の実施形態においては、青は「進行することができる」のみならず「安全な状態」や「異常の可能性が低い」等を示し、黄は「安全に止まれないときを除き、止まれ」のみならず「やや危険な状態」や「異常の可能性がやや高い」等を示し、赤は「止まれ」のみならず「危険な状態」や「異常の可能性が高い」等を示す。
収集部20は、たとえば、車両(車両の車載装置)からのプローブデータ、交差点に設置された交通信号制御に係る信号機情報、感知器からの人間検知情報、スマートフォンからのGPS情報、感知器からの振動データ等を収集する。これらの情報の詳細については後述するが、これらを総称して以下、「所定情報」とも称する。
生成部21は、たとえば、収集部20で収集された所定情報に基づいて、交差点等の所定地点の信号情報を生成する。
送信部22は、たとえば、生成部21で生成された信号情報を車両1に送信する。
車両1は、サーバ2から送信された信号情報を受信し、その信号情報に基づいて信号表示情報を生成し、ドライバ等に提供する。
表示部10は、たとえば、信号情報に基づく信号表示情報を車両1の内部の所定空間に表示する。
信号表示情報は、信号情報に基づいて、表示部10に表示させるために生成した情報である。たとえば、信号灯器及び信号灯色を認識可能な情報である。
また、所定空間は、たとえばディスプレイである。なお、ディスプレイに限らず、たとえば車両1の窓等であってもよい。
図2は、本発明の実施の形態に係る信号システムの表示部への信号表示情報の表示例を示す図である。
図2を参照して、信号表示情報は交差点に表示される仮想の信号灯器であり、この信号灯器は3つの信号灯を含む。各信号灯が示す信号灯色はそれぞれ青・黄・赤であり、いずれか1つの信号灯が青・黄・赤の3色のうちのいずれかを表示する。たとえば、このとき、黄や赤の表示の場合は、黄や赤の表示である理由、すなわち要注意箇所である理由を添えてもよい。このように、ドライバ等に馴染みのある信号灯器の外観形式で表示することで、ドライバ等にとって分かりやすく、要注意箇所をより容易に認識することができる。
また、表示部10には、図2に示すように、信号表示情報と合わせて仮想的な道路を表示させ、所定地点が交差点となるように表示させてもよい。すなわち、車両1が走行している道路が一本道であってもこれと交差する仮想的な道路を表示させてもよい。これにより、ドライバ等はおよそどの位置で停車すればよいかの判断がしやすくなる。
なお、信号表示情報は3つの信号灯を含む信号灯器を表示する構成に限られず、1個の信号灯のみを表示し、各3色を入れ替えて点灯させる構成であってもよい。また、たとえばディスプレイ等の所定空間上に「進行することができる(青の意味)」・「安全に止まれないときを除き、止まれ(黄の意味)」・「止まれ(赤の意味)」の文字表示の領域及びそれぞれの下に点灯領域を用意すれば、その点灯領域に1色のみの信号灯色(たとえば赤のみ)を点灯することで各状態を表現することもできるし、「進行することができる(青の意味)」・「安全に止まれないときを除き、止まれ(黄の意味)」・「止まれ(赤の意味)」のそれぞれを意味するアイコンを表示させることによって各状態を表現することもできる。
制御部11は、たとえば、信号情報に基づいて車両1の走行及び停止を制御する。
具体的には、車両1内の制御ユニット(ECU)等により、サーバ2の送信部22から送信された信号情報、あるいは当該信号情報に基づく信号表示情報を自動的に判別し、車速の制御を行なう。たとえば、信号情報において、信号灯色が青の場合には車両1は前進し、信号灯色が黄の場合には車両1は徐行し、信号灯色が赤の場合には車両1は停止する。このように、車両1自ら、たとえば所定地点を通過するか、あるいは所定地点の手前で停止するかを制御することで、ドライバ等に掛かる負荷を軽減することができる。
なお、収集部20や生成部21は、サーバ2に備えられていなくてもよく、収集部20及び生成部21のうちの少なくともいずれか1つが車両1に備えられていてもよい。収集部20及び生成部21のいずれも車両1に備わっている場合は、サーバ2を備えなくても、車両1のみで本発明の実施の形態に係る信号システムを実現することができる。
また、信号情報に基づく信号表示情報の生成は、車両1を含む各車両で行なわれる構成に限られず、サーバ2の生成部21で行なわれる構成であってもよい。サーバ2の生成部21が当該信号表示情報を生成する構成の場合は、送信部22は当該信号表示情報を車両1を含む各車両に送信する。このような構成により、各車両で信号表示情報を生成する手間を省くことができる。これは後述するそれぞれの実施形態においても同様である。
以下、本発明の実施の形態をさらに具体化した第1実施形態〜第4実施形態について順に説明する。第1実施形態〜第4実施形態それぞれで、上述の所定情報や所定地点が異なっている。
<第1実施形態>
図3は、本発明の第1実施形態に係る信号システムの構成を示す図である。
図3を参照して、所定地点は、信号灯器を備える信号機が設置されていない交差点を示す交差点I1である。あるいは、所定地点は、1又は複数の信号灯器を備える信号機が設置された交差点であって、これらの信号灯器のうちの少なくとも1つは動作を停止している交差点を示す交差点I2である。
収集部20は、交差点I1周辺の各車両1a,1b,1c,1dや交差点I2周辺の各車両1e,1f,1g,1hに搭載された車載装置(図3において不図示。)から、たとえばプローブデータを含む所定情報を収集する。具体的には、交差点I1については、流入する道路R10,R11,R12,R13上に位置する車両1(交差点に流入する道路上に位置する車両を以下、「存在車両」とも称する。)である車両1a,1b,1c,1dのプローブデータを収集し、交差点I2については、流入する道路R20,R21,R22,R23上に位置する車両1(存在車両)である車両1e,1f,1g,1hのプローブデータを収集する。
プローブデータは、たとえば、所定周期(たとえば、1秒)ごとの、時刻、位置(緯度、経度、高度)、速度、加速度等の情報を含む。
収集部20は、交差点I1や交差点I2周辺の車両だけでなく、他の車両の車載装置からもプローブデータを含む所定情報を収集している場合には、プローブデータに含まれる位置情報と、交差点I1に流入する道路R10,R11,R12,R13や交差点I2に流入する道路R20,R21,R22,R23の地図データとを照合することにより、これらの交差点に係る存在車両のプローブデータを選別することができる。
また、収集部20は、交差点I2に設置されている信号機SN2から交通信号制御に係る信号機情報を収集する。この信号機情報には、たとえば、道路R20,R21,R22,R23に設定されている車両感知器における車両感知情報を含む。
生成部21は、たとえば、収集部20が収集したプローブデータに含まれる車両1の位置情報、特に、交差点に流入する道路上に位置する車両1(存在車両)の位置情報に基づいて、この交差点の信号情報を生成する。
信号情報の生成は、たとえばパターン制御方式、MODERATO(Management by Origin-DEstination Related Adaptation for Traffic Optimization)制御方式等に従って、特開2009−252066号公報や特開2009−015817号公報等に記載の公知技術により行なわれる。
ここで、パターン制御方式とは、事前の交通調査に基づいた複数の制御パターンを予め設定し、交差点入口の車両感知器で計測した交通状況に応じて設定された最適なパターンによって制御する方式である。
また、MODERATO制御方式とは、交通状況に応じて信号制御パラメータを自動的に更新するプログラム形成制御方式であり、これを応用すると、交差点の交通量データを交差点入口の車両感知器で計測して、渋滞通過や信号待ちの時間(遅れ時間)を推定し、その時間が最小になるよう計算することができる。
また、収集部20は、交差点に流入する全ての道路上に位置する全ての存在車両のプローブデータを収集することが好ましい。このような構成により、全ての存在車両の位置情報に基づき交通信号制御を行なうことができるので、交通の運用を適切に行なうことができ、また車両を集中的に管理することができる。
以下、本発明の第1実施形態に係る信号システムのサーバ2における動作を説明する。
この動作は、たとえば、(1)信号機情報の設定、(2)信号機周辺情報の収集、(3)信号機制御モデルの構築、(4)信号機制御モデルの運用、の4つに分類される。
まず「(1)信号機情報の設定」では、たとえば、サーバ2は信号機を設定する場所(交差点)を決定する。この信号機には、仮想的信号機(信号表示情報として車両1の内部の所定空間に表示される信号機をいう。)のみならず、既存の物理的信号機(道路に実際に設置されている信号機をいう。)を含めてもよい。信号機が仮想的信号機の場合に設定する場所は交差点I1であり、信号機が物理的信号機の場合に設定する場所は交差点I2である。
交差点I1のように仮想的信号機を設定した場合には、この仮想的信号機に係る信号情報を車両1に送信すればよい。そして、車両1のドライバ等がこの信号情報に基づく信号表示情報に従って走行したり、車両1自らがこの信号情報に従って走行すればよい。これにより、交差点に信号機を実際に設置しなくても済むので、たとえば、信号機の設置や運用に係るコストを削減することができる。
また、交差点I2のように物理的信号機を設定して、サーバ2がこの物理的信号機を監視し、信号灯器の動作が停止する等、当該信号機が故障したことを検知すると、この物理的信号機を仮想的信号機に置き換え、収集したプローブデータ等に基づきこの仮想的信号機の信号情報を生成し、その信号情報を車両1に送信すればよい。そして、車両1のドライバ等がこの信号情報に基づく信号表示情報に従って走行したり、車両1自らがこの信号情報に従って走行すればよい。これにより、信号灯器の動作が停止する事態になっても、ドライバ等は車両1に表示されたこの交差点に係る信号表示情報で車両1の走行に必要な信号情報を把握できるので、サーバ2は交通の運用を適切に継続することができる。
次に「(2)信号機周辺情報の収集」では、たとえば、サーバ2(収集部20)は後述の「(3)信号機制御モデルの構築」のために(1)で設定した信号機の周辺の情報を収集する。具体的には、(1)で決定した交差点が上述の交差点I1である場合には、この交差点I1に流入する道路R10,R11,R12,R13の存在車両のプローブデータを収集する。一方、(1)で決定した交差点が交差点I2である場合には、この交差点I2に流入する道路R20,R21,R22,R23の存在車両のプローブデータを収集するだけでなく、この交差点I2の既存の物理的信号機から信号機情報を収集してもよい。なお、交差点I1や交差点I2の隣接交差点に信号機(物理的信号機)が設置されている場合には、この信号機の信号機情報をさらに収集してもよい。
「(3)信号機制御モデルの構築」では、たとえば、サーバ2(生成部21)は(2)で収集した情報を用いて、(1)で設定した信号機に対し所定の信号制御方式を適用する。より詳細には、所定の信号制御方式として、たとえば、上述したパターン制御方式やMODERATO制御方式を適用し、(2)で収集した存在車両のプローブデータや信号機情報に基づき、当該交差点の信号情報を生成するための信号機制御モデルを構築する。この際、さらに、(1)で決定した交差点に流入する道路の各種情報(道路の長さ、車線数等)を用いてもよい。このモデルの構築は、上述したように、特開2009−252066号公報や特開2009−015817号公報等に記載の公知技術を用いればよい。なお、交差点I2の場合には、プローブデータに加えて信号機情報を用いてモデルを構築すれば、信号機が故障する前と後で連続性を保った信号情報を生成できる。
「(4)信号機制御モデルの運用」は、図を用いて詳細に説明する。
図4は、本発明の第1実施形態に係る信号システムのサーバにおける信号機制御モデルの運用に係る動作を示すフロー図である。
まず、サーバ2(収集部20)は、たとえば(1)で設定した信号機に係る信号情報を生成するため、当該信号機の周辺の情報を収集する(ステップS101)。具体的には、(1)で決定した交差点が交差点I1である場合は、この交差点I1に流入する道路R10,R11,R12,R13の存在車両のプローブデータを収集する。(1)で決定した交差点が交差点I2である場合は、この交差点I2に流入する道路R20,R21,R22,R23の存在車両のプローブデータを収集するだけでなく、この交差点I2の既存の物理的信号機から信号機情報を収集してもよい。交差点I2の隣接交差点に信号機(物理的信号機)が設置されている場合には、この信号機の信号機情報をさらに収集してもよい。
次に、サーバ2(生成部21)は(3)で設定された信号制御方式に従って信号制御を行なう(ステップS102)。より詳細には、サーバ2(生成部21)はステップS101で収集した信号機周辺情報、(3)で構築した信号機制御モデルに基づいて、(1)で設定した信号機に係る信号情報を生成する。なお、交差点I2の場合には、この交差点I2における信号機に異常が発生していないときには信号情報を生成せず、異常が発生しているとき、すなわち信号灯器の動作の停止等を検知したときにのみ、信号情報を生成すればよい。異常が発生していないときには、車両1は実際の信号機の信号灯器に点灯されている信号灯色に従って走行するためである。
さらに、サーバ2(送信部22)は、ステップS102で生成した信号情報を(1)で決定した交差点に近づいている車両に送信する(ステップS103)。より詳細には、ステップS101で収集したプローブデータに含まれる位置情報に基づいて、当該交差点に接近している車両か当該交差点から遠ざかっている車両かを判別し、接近していると判断した車両に対して信号情報を送信する。
信号情報を受信した車両1(の表示部10)は、当該信号情報に基づく信号表示情報を、車両1の内部の所定空間に表示する。このような構成により、要注意箇所を可視化することができる。したがって、ドライバ等が要注意箇所を容易に認識することができる。
なお、信号情報を受信した車両1は、たとえば、周辺車両へこの信号情報をブロードキャスト送信してもよい。こうすることで、交差点周辺の車両は互いに信号情報を共有することができるので、仮にサーバ2から直接信号情報を受信できない車両があっても、他の車両から間接的に信号情報を取得することができ、信号情報の取得を確実にすることができる。
また、交差点I2において、たとえば車両1の進行方向の物理的信号機に係る信号灯色が青を示していた場合であっても、サーバ2は、この進行方向の道路と交差する他の道路から信号無視等により通過しようとする危険車両を検知した場合には、上記進行方向の仮想的信号機に係る信号灯色を赤にしてもよい。このように、物理的信号機の信号灯色にかかわらず仮想的信号機の信号灯色にてドライバ等に車両の停止を促す構成とすることで、車両同士の衝突事故を防止することができる。なお、この危険車両の検知は、たとえば交差点I2までの距離や、速度、加速度等に基づいて判定することができる。より詳細には、たとえば交差点I2までの距離が所定の閾値を超え、かつこの危険車両の速度や加速度等が所定の閾値を超えたか否か、によって判定することができる。
<第2実施形態>
図5は、本発明の第2実施形態に係る信号システムの構成を示す図である。
図5を参照して、所定地点は、たとえば、車両1の位置から車両1の進行方向の道路上の第1地点に至るまでの地点である。具体的には、所定地点は第1地点での異常をドライバ等が予め認識するため第1地点から所定距離(たとえば、300m)を隔てた地点である。第1地点は、たとえば、人間の飛び出しが想定される住宅街の要注意箇所である。
収集部20は、車両1のプローブデータや、当該第1地点に関する異常検知情報を含む所定情報を収集する。異常検知情報は、所定の異常の可能性を検知した結果を示す情報であり、より詳細には、たとえば、人間の飛び出しが想定される時間帯、すなわち人間が集まりやすい時間帯等において、上記第1地点で人間の存在を検知した人間検知情報である。人間検知情報は、たとえば、上記第1地点に設置された感知器(人間検知センサ)30aを用いて検知した歩行者数等の情報であり、感知器30aからサーバ2の収集部20に送信される。なお、スマートフォンのGPS機能等を用いて人間を検知することもでき、この場合、スマートフォンはGPS機能等による位置情報を人間検知情報としてサーバ2の収集部20に送信する。
生成部21は、たとえば、収集部20が収集した人間検知情報やプローブデータ等に基づいて異常検知情報を生成し、その異常検知情報に含まれる異常の程度に基づいて信号情報を生成する。異常の程度は、たとえば、人間検知情報が示す歩行者数と、設定された所定閾値との比較に応じて決定される。
以下、本発明の第2実施形態に係る信号システムのサーバにおける動作を説明する。
この動作は、たとえば、(1)信号機情報の設定、(2)信号機周辺情報の収集、(3)信号機制御モデルの構築、(4)信号機制御モデルの運用、の4つに分類される。
まず「(1)信号機情報の設定」では、たとえば、サーバ2は信号機を設定する場所を決定する。この場所は、上述の所定地点、たとえば、人間の飛び出しが想定される住宅街の要注意箇所を示す第1地点から所定距離を隔てた地点である。
次に「(2)信号機周辺情報の収集」では、たとえば、サーバ2(収集部20)は(1)で設定した信号機の周辺の情報を収集する。収集する情報は、たとえば、(1)で設定した信号機の周辺の車両のプローブデータや、第1地点に設置された感知器30aの人間検知情報等を含む。このプローブデータは、上述の第1実施形態で説明した内容と同じであるが、さらに車両が所定地点に向かってくるか、あるいは所定地点から遠ざかっているかを示す情報等を含んでいてもよい。なお、上述のプローブデータや感知器30aに限らず、たとえば人間に対するアンケートによって歩行者数を調査してもよい。
「(3)信号機制御モデルの構築」は、図を用いて詳細に説明する。
図6は、本発明の第2実施形態に係る信号システムのサーバにおける信号機制御モデルの構築に係る動作を示すフロー図である。
まず、サーバ2(生成部21)は(2)で収集した人間検知情報のうち、特定期間におけるデータを使ってデータ解析を実施する(ステップS201)。ここで、特定期間とは、上述のような事前調査を行なう期間のことである。たとえば、「A:過去1ヶ月間」、「B:過去1年間」、「C:毎年のゴールデンウィーク(GW)期間」、等である。より詳細には、サーバ2は、特定期間における人間検知情報に基づき、たとえば日種毎の歩行者数の平均値や、1時間毎の歩行者数の平均値を計算する。日種は、たとえば「月曜日〜金曜日」と「土曜日・日曜日・祝日」に分類したり、「月曜日〜土曜日」と「日曜日・祝日」に分類したりすることが可能である。
次に、サーバ2(生成部21)は異常検知モデルを構築(モデル化)する(ステップS202)。具体的には、サーバ2は、たとえば、日種と時間帯(たとえば、6−12時、12−18時、18−24時の3つの時間帯)の組合せごとに、ステップS201で計算された日種毎の歩行者数の平均値、及び1時間毎の歩行者数の平均値のうちでその組合せに該当するものの重み付け平均値を求め、それを危険の度合いを示すパラメータ(以下、「危険度」とも称する。)とする。
最後に、サーバ2(生成部21)は信号制御に係る信号情報の閾値を設定する(ステップS203)。
より詳細には、ステップS202で算出した日種と時間帯の組合せごとの重み付け平均値が「危険の可能性がない」、「危険の可能性がある」、「危険の可能性が高い」の3つに分類され、後述する「(4)信号機制御モデルの運用」で異常判定の対象となる時点が「危険の可能性がある」日種と時間帯の組合せに該当すれば信号灯色が黄点滅となるように設定し、「危険の可能性が高い」日種と時間帯の組合せに該当すれば信号灯色が赤点滅となるように設定する。
また、ステップS201で計算した日種毎の歩行者数の平均値、及び1時間毎の歩行者数の平均値に基づいて、歩行者数を「異常(危険)の可能性がない」と「異常(危険)の可能性がある」とに分類するための第1閾値W1、「異常(危険)の可能性がある」と分類された歩行者数のうち、さらに「異常(危険)の可能性が高い」を分類するための第2閾値W2(第2閾値W2は第1閾値W1よりも大きい)を決定し、後述する「(4)信号機制御モデルの運用」で異常判定の対象となる歩行者数が第2閾値W2を超えている場合は信号灯色を赤色で点灯させ、第1閾値W1を超えて第2閾値W2以下である場合は信号灯色を黄色で点灯させるように設定する。
「(4)信号機制御モデルの運用」は、図を用いて詳細に説明する。
図7は、本発明の第2実施形態に係る信号システムのサーバにおける信号機制御モデルの運用に係る動作を示すフロー図である。
まず、サーバ2(収集部20)は、上述の所定地点において、たとえば現時点において異常が発生しているかどうか等の評価を行なうために、(1)で設定した信号機の周辺の情報を収集する(ステップS301)。具体的には、(2)と同様に、この信号機の周辺の車両1のプローブデータや、第1地点に設置された感知器30aの人間検知情報等を収集する。
次に、サーバ2(生成部21)は(3)で作成されたモデルに従って、ステップS301で収集した人間検知情報が示す現時点の歩行者数と、上述の歩行者数の閾値、すなわち(3)で設定された第1閾値W1及び第2閾値W2とを比較することで、異常の判定を行なう(ステップS302)。ステップS302の比較の結果、歩行者数が第1閾値W1と第2閾値W2のうちの少なくともいずれか一方を超えると判定した場合はステップS307に進み、第1閾値W1、第2閾値W2のいずれも超えていないと判定した場合はステップS304へ進む(ステップS303)。
サーバ2(生成部21)は、ステップS303において歩行者数が第2閾値W2を超えると判定した場合は、信号情報に赤色を設定し、第1閾値W1を超えて第2閾値W2以下であると判定した場合は、信号情報に黄色を設定する(ステップS307)。
さらに、サーバ2(生成部21)は、(3)で作成されたモデルに従って、たとえば現時点が危険な日種や時間帯かを判定する(ステップS304)。具体的には、サーバ2は、現時点が(3)で分類された「危険の可能性がある」日種と時間帯の組合せ、「危険の可能性が高い」日種と時間帯の組合せに該当するか否かを判定する。
サーバ2(生成部21)は、ステップS304において、現時点が「危険の可能性がある」日種と時間帯の組合せ又は「危険の可能性が高い」日種と時間帯の組合せに該当すると判定した場合はステップS305に進み、「危険の可能性がある」日種と時間帯の組合せに該当すると判定した場合には信号情報に黄点滅を設定し、「危険の可能性が高い」日種と時間帯の組合せに該当すると判定した場合には信号情報に赤点滅を設定する(ステップS305)。一方、ステップS304において、現時点が「危険の可能性がある」日種と時間帯の組合せ及び「危険の可能性が高い」日種と時間帯の組合せのいずれにも該当しないと判定した場合にはステップS306に進み、信号情報に青色を設定する(ステップS306)。
最後に、サーバ2(送信部22)は、たとえば所定地点に近づいている車両1に信号表示情報を送信する(ステップS308)。車両1が所定地点に近づいているか否かの判断は、たとえば、車両1のプローブデータに含まれる、車両1が所定地点に向かってくるか、あるいは所定地点から遠ざかっているかを示す情報に基づいて行なえばよいが、第1地点の位置情報と、車両1のプローブデータに含まれる位置情報とに基づいて行なってもよい。
サーバ2から信号情報を受信した車両1は、その信号情報に基づいて信号表示情報を生成し、表示部10に表示してドライバ等に提供する。このような構成により、第1地点の異常を検知している場合に、その第1地点にさしかかる前の所定地点でドライバ等はその異常を把握することができるので、ドライバ等にこの異常に係る注意を促すことができる。また、ドライバ等は、たとえば通学路や住宅街等、人間の急な飛び出しが発生しやすい地点を感知することができ、ドライバ等に人間の急な飛び出しに係る注意を促すことができる。
<第3実施形態>
図8は、本発明の第3実施形態に係る信号システムの構成を示す図である。
図8を参照して、所定地点は、たとえば、車両1の位置から車両1の進行方向の道路上の第1地点に至るまでの地点である。具体的には、所定地点は第1地点での異常をドライバ等が予め認識するため第1地点から所定距離(たとえば、300m)を隔てた地点や、第1地点に至るまでの交差点である。より好ましくは、車両1が第1地点を経由せずに目的地に到達できる迂回路と、車両1が第1地点を経由して目的地に到達する道路との交差点である。第1地点は、たとえば、落石、崩落等の要注意箇所である。
収集部20は、車両1のプローブデータや、当該第1地点に関する異常検知情報を含む所定情報を収集する。異常検知情報は、たとえば、落石、崩落の可能性を示す情報であり、より詳細には、第1地点に設置された感知器(振動センサ)30bを用いて検知した振動に係るデータ(以下、「振動データ」とも称する。)等の情報であり、感知器30bからサーバ2の収集部20に送信される。感知器30bは第1地点に設置されていなくてもよく、たとえば、落石、崩落等の危険性のある山岳の周辺にある橋梁等に設置されていてもよい。
生成部21は、たとえば、収集部20が収集した振動データやプローブデータに基づいて異常検知情報を生成し、その異常検知情報に含まれる異常の程度に基づいて信号情報を生成する。異常の程度は、たとえば、振動データ(振動量等)と、後述する異常検知モデルに基づく手法により設定された所定閾値との比較に応じて決定される。
以下、本発明の第3実施形態に係る信号システムのサーバにおける動作を説明する。
この動作は、たとえば、(1)信号機情報の設定、(2)信号機周辺情報の収集、(3)信号機制御モデルの構築及び閾値の設定、(4)信号機制御モデルの運用、の4つに分類される。
まず「(1)信号機情報の設定」では、たとえば、サーバ2は信号機を設定する場所を決定する。場所は、上述の所定地点、たとえば車両1が落石、崩落等の要注意箇所を示す第1地点を経由せずに目的地に到達できる迂回路と、車両1がこの第1地点を経由して目的地に到達できる道路との交差点である。
次に「(2)信号機周辺情報の収集」では、たとえば、サーバ2(収集部20)は(1)で設定した信号機の周辺の情報を収集する。収集する情報は、たとえば、(1)で設定した信号機の周辺の車両のプローブデータや、第1地点に設置された感知器30bの振動データ等を含む。このプローブデータは、上述の第1実施形態で説明した内容と同じであるが、第2実施形態で説明したように、さらに車両が所定地点に向かってくるか、あるいは所定地点から遠ざかっているかを示す情報等を含んでいてもよい。
「(3)信号機制御モデルの構築及び閾値の設定」は、図を用いて詳細に説明する。
図9は、本発明の第3実施形態に係る信号システムのサーバにおける信号機制御モデルの構築及び閾値の設定に係る動作を示すフロー図である。
まず、サーバ2(生成部21)は(2)で収集した振動データのうち、特定期間におけるデータを使ってデータ解析を実施する(ステップS401)。特定期間は、たとえば第2実施形態で述べた特定期間と同様であるが、さらに「D:梅雨シーズン(5月〜7月)」等を含めてもよい。より詳細には、サーバ2は、特定期間における振動データに基づいて統計データを作成し、さらにこの統計データを用いて、たとえば正規分布の近似曲線をプロットする。
次に、サーバ2(生成部21)は異常検知モデルを構築(モデル化)する(ステップS402)。具体的には、サーバ2は、たとえばステップS401でプロットされた正規分布の近似曲線から平均値及びσ(標準偏差)を算出する。
最後に、サーバ2(生成部21)は信号制御に係る信号情報の閾値を設定する(ステップS403)。
より詳細には、ステップS402で算出した平均値からたとえば2σあるいは3σ離れた値を外れ値とし、この平均値から2σ離れた値を第1閾値V1、3σ離れた値を第2閾値V2として設定する。そして、サーバ2は、後述する「(4)信号機制御モデルの運用」で異常判定の対象となる振動量が第2閾値V2を超えている場合は信号灯色を赤色で点灯させ、第1閾値V1を超えて第2閾値V2以下である場合は信号灯色を黄色で点灯させるように設定する。
なお、信号情報の閾値の設定においては、上述の「外れ値検出」を用いることに限定されず、たとえば特開2010−198579号公報における「変化点検出」「異常行動検出」等を用いてもよい。
「(4)信号機制御モデルの運用」は、図を用いて詳細に説明する。
図10は、本発明の第3実施形態に係る信号システムのサーバにおける信号機制御モデルの運用に係る動作を示すフロー図である。
まず、サーバ2(収集部20)は、上述の所定地点において、たとえば現時点において異常が発生しているかどうか等の評価を行なうために、(1)で設定した信号機の周辺の情報を収集する(ステップS501)。具体的には、(2)と同様に、この信号機の周辺の車両1のプローブデータや、第1地点に設置された感知器30bの振動データ等を収集する。
次に、サーバ2(生成部21)は(3)で作成されたモデルに従って、ステップS501で収集した振動データが示す現時点の振動量と、上述の振動量の閾値、すなわち(3)で設定された第1閾値V1及び第2閾値V2とを比較することで、異常の判定を行なう(ステップS502)。ステップS502の比較の結果、振動量が第1閾値V1と第2閾値V2のうちの少なくともいずれか一方を超えると判定した場合はステップS504に進み、第1閾値V1と第2閾値V2のいずれも超えていないと判定した場合はステップS505へ進む(ステップS503)。
サーバ2(生成部21)は、ステップS503において振動量が第2閾値V2を超えると判定した場合は、信号情報に赤色を設定し、第1閾値V1を超えて第2閾値V2以下であると判定した場合は、信号情報に黄色を設定する(ステップS504)。一方、ステップS503において振動量が第1閾値V1と第2閾値V2のいずれも超えていないと判定した場合は信号情報に青色を設定する(ステップS505)。
最後に、サーバ2(送信部22)は、たとえば所定地点に近づいている車両1に信号情報を送信する(ステップS506)。車両1が所定地点に近づいているか否かの判断は、第2実施形態で説明したとおりである。
サーバ2から信号情報を受信した車両1は、その信号情報に基づいて信号表示情報を生成し、表示部10に表示してドライバ等に提供する。このような構成により、ドライバ等は、たとえば山岳等、落石や崩落が発生しやすい地点を感知することができ、ドライバ等に落石や崩落に係る注意を促すことができる。
<第4実施形態>
図11は、本発明の第4実施形態に係る信号システムの構成を示す図である。
図11を参照して、所定地点は、たとえば、車両1の位置から車両1の進行方向の道路上の第1地点に至るまでの地点である。具体的には、所定地点は第1地点での異常をドライバ等が予め認識するため第1地点から所定距離(たとえば、300m)を隔てた地点である。第1地点は、たとえば、急なカーブや見通しが悪い道等における渋滞末尾車両への追突等の要注意箇所である。
収集部20は、車両1のプローブデータや、当該第1地点に関する異常検知情報を含む所定情報を収集する。異常検知情報は、たとえば、車両1の進行方向の道路に設置された感知器(車両センサ)30cの車両感知データと、その道路上の第1地点周辺の車両のプローブデータ、すなわち、この道路上の第1地点よりも下流を走行する車両群1A及び第1地点よりも上流を走行する車両1のプローブデータとを含む。
生成部21は、たとえば、収集部20が収集した車両感知データやプローブデータに基づいて異常検知情報を生成し、その異常検知情報に含まれる異常の程度に基づいて信号情報を生成する。異常の程度は、たとえば、第1地点よりも下流における渋滞末尾位置(車両群1Aのうちの渋滞末尾の車両の位置)から車両1の位置までの距離と、複数の減速度に基づいて設定された複数の判定距離との比較に応じて決定される。
以下、本発明の第4実施形態に係る信号システムのサーバにおける動作を説明する。
この動作は、たとえば、(1)信号機情報の設定、(2)信号機周辺情報の収集、(3)信号機制御モデルの構築、(4)信号機制御モデルの運用、の4つに分類される。
まず「(1)信号機情報の設定」では、たとえば、サーバ2は信号機を設定する場所(所定地点)を決定する。場所は、上述の所定地点、急なカーブや見通しが悪い道等における渋滞末尾車両への追突等の要注意箇所を示す第1地点から所定距離を隔てた地点である。
次に「(2)信号機周辺情報の収集」では、たとえば、サーバ2(収集部20)は(1)で設定した信号機の周辺の情報を収集する。収集する情報は、たとえば、車両1の進行方向の道路に設置された感知器30cの車両感知データと、その道路上の第1地点周辺の車両のプローブデータ(この道路上の第1地点よりも下流を走行する車両群1A及び第1地点よりも上流を走行する車両1のプローブデータ)とを含む。このプローブデータは、上述の第1実施形態で説明した内容と同じであるが、第2実施形態で説明したように、さらに車両が所定地点に向かってくるか、あるいは所定地点から遠ざかっているかを示す情報等を含んでいてもよい。
「(3)信号機制御モデルの構築」は、図を用いて詳細に説明する。
図12は、本発明の第4実施形態に係る信号システムのサーバにおける信号機制御モデルの構築に係る動作を示すフロー図である。
まず、サーバ2(生成部21)は(2)で収集した車両感知データ、プローブデータ等に基づき、渋滞末尾位置を検知するためのアルゴリズムを適用する(ステップS601)。より詳細には、サーバ2(生成部21)は、たとえば特開2009−146138号公報等に記載された公知技術を用いて、収集された感知器30cの車両感知データや車両群1Aのプローブデータに基づき、渋滞末尾位置を推定する。ここで、サーバ2(生成部21)は、渋滞以外の停止車両や、要注意と判断すべき車両、たとえば駐車禁止区域に駐車している車両等も検知してもよい。
次に、サーバ2(生成部21)は信号制御に係る信号表示情報の閾値を設定する(ステップS602)。より詳細には、車両1と、車両1の先に位置する停止車両との車間距離の閾値として、第1閾値U1、第2閾値U2を設定する。第1閾値U1は、たとえば車両1が減速を要する距離(たとえば、200m)である。また、第2閾値U2は、たとえば車両1が急停止を要する距離(たとえば、100m)である。サーバ2は、車両1から見て、第2閾値U2以上第1閾値U1未満の距離に渋滞末尾に係る停止車両があると判定する場合は信号灯色を黄色で点灯させ、車両1から見て、第2閾値U2未満の距離に渋滞末尾に係る停止車両があると判定する場合は信号灯色を赤色で点灯させるように設定する。
「(4)信号機制御モデルの運用」は、図を用いて詳細に説明する。
図13は、本発明の第4実施形態に係る信号システムのサーバにおける信号機制御モデルの運用に係る動作を示すフロー図である。
まず、サーバ2(収集部20)は、上述の所定地点において、たとえば現時点において異常が発生しているかどうか等の評価を行なうために、(1)で設定した信号機の周辺の情報を収集する(ステップS701)。具体的には、(2)と同様に、車両1の進行方向の道路に設置された感知器30cの車両感知データと、その道路上の第1地点周辺の車両のプローブデータ(この道路上の第1地点よりも下流を走行する車両群1A及び第1地点よりも上流を走行する車両1のプローブデータ)等を収集する。
次に、サーバ2(生成部21)は(3)で構築されたアルゴリズムに従って、渋滞末尾に係る停止車両の位置(渋滞末尾位置)を求めることにより、当該停止車両の有無の判定を行なう(ステップS702)。当該停止車両が存在する場合、たとえば車両1と、車両1の先に位置する停止車両との車間距離と、上述の車間距離の閾値、すなわち(3)で設定された第1閾値U1及び第2閾値U2とを比較し、車間距離が第1閾値U1と第2閾値U2のうちの少なくともいずれか一方よりも小さいと判定した場合はステップS704に進み、第1閾値U1と第2閾値の双方以上であると判定した場合、あるいは、停止車両が存在しないと判定した場合は、ステップS705へ進む(ステップS703)。
サーバ2(生成部21)は、ステップS703において車間距離が第2閾値U2未満であると判定した場合は信号情報に赤色を設定し、第2閾値以上第1閾値未満であると判定した場合は信号情報に黄色を設定する(ステップS704)。一方、ステップS703において、車両1と車間距離が第1閾値U1と第2閾値の双方以上であると判定した場合、あるいは、停止車両が存在しないと判定した場合は信号情報に青色を設定する(ステップS705)。
最後に、サーバ2(送信部22)は、たとえば所定地点に近づいている車両1に信号情報を送信する(ステップS706)。車両1が所定地点に近づいているか否かの判断は、第2実施形態で説明したとおりである。
サーバ2から信号情報を受信した車両1は、その信号情報に基づいて信号表示情報を生成し、表示部10に表示してドライバ等に提供する。このような構成により、ドライバ等は渋滞末尾位置を感知することができるので、この末尾位置の車両への追突を未然に防ぐことができる。
なお、上述した第1実施形態、第2実施形態、第3実施形態、第4実施形態のそれぞれにおいて、収集部20が「(2)信号機周辺情報の収集」と、「(4)信号機制御モデルの運用」における「信号機周辺の情報を収集(ステップS101、ステップS301、ステップS501、ステップS701)」の双方を行なっているが、それぞれ別の収集部(たとえば、第1収集部と第2収集部)が行なってもよい。
また、上述した第1実施形態、第2実施形態、第4実施形態のそれぞれにおいて、生成部21が「(3)信号機制御モデルの構築」と、「(4)信号機制御モデルの運用」における「信号情報を生成・設定、異常の判定等(ステップS102、ステップS302〜S307、ステップS702〜S705)」の双方を行なっているが、それぞれ別の生成部(たとえば、第1生成部と第2生成部)が行なってもよい。上述した第3実施形態において、生成部21が「(3)信号機制御モデルの構築及び閾値の設定」と、「(4)信号機制御モデルの運用」における「信号情報を生成・設定、異常の判定等(ステップS502〜S505)」の双方を行なっているが、それぞれ別の生成部(たとえば、第1生成部と第2生成部)が行なってもよい。
ところで、特許文献1(国際公開第2014/157359号)に記載のマップ生成システムでは、運転支援システムにおける運転支援箇所を抽出する抽出精度を向上させることができる。しかしながら、このシステムでは、車両の車速情報に基づいて要注意箇所を推定することができるが、ドライバ等が要注意箇所であるか否かを判断するにあたり、要注意箇所であることを容易に認識するための手段については開示も示唆もされていない。
これに対して、本発明の実施の形態に係る信号システムは、車両1と、所定情報を収集する収集部20と、所定情報に基づいて所定地点の信号情報を生成する生成部21と、を備える。車両1は、信号情報に基づく信号表示情報を、車両1の内部の所定空間に表示する。
このような構成により、要注意箇所を可視化することができる。したがって、ドライバ等が要注意箇所を容易に認識することができる。
また、本発明の実施の形態に係る信号システムでは、所定地点は、信号灯器を備える信号機が設置されていない交差点I1であり、所定情報は、交差点I1に流入する道路R10,R11,R12,R13上に位置する存在車両の位置情報を含む。
このような構成により、交差点I1に信号機を設置しなくても済むので、たとえば、信号機の設置や運用に係るコストを削減することができる。
また、本発明の実施の形態に係る信号システムでは、所定地点は、1又は複数の信号灯器を備える信号機が設置された交差点I2であり、信号灯器のうちの少なくとも1つは動作を停止しており、所定情報は、交差点I2に流入する道路R20,R21,R22,R23上に位置する存在車両の位置情報を含む。
このような構成により、たとえば交差点I2に設置された信号灯器の動作が停止する事態になっても、ドライバ等は車両に表示されたこの交差点I2に係る信号表示情報で車両の走行に必要な信号情報を把握できるので、交通の運用を適切に継続することができる。
また、本発明の実施の形態に係る信号システムでは、所定情報は、交差点I1に流入する全ての道路R10,R11,R12,R13上に位置する全ての存在車両、または交差点I2に流入する全ての道路R20,R21,R22,R23上に位置する全ての存在車両の位置情報を含む。
このような構成により、全ての存在車両の位置情報に基づき交通信号制御を行なうことができるので、交通の運用を適切に行なうことができ、また車両を集中的に管理することができる。
また、本発明の実施の形態に係る信号システムでは、所定情報は、車両1の進行方向の道路上の第1地点に関する異常検知情報を含み、所定地点は、車両1の位置から第1地点に至るまでの地点であり、生成部21は、異常検知情報に含まれる異常の程度に応じて信号情報を生成する。
このような構成により、第1地点の異常を検知している場合に、その第1地点にさしかかる前の所定地点でドライバ等はその異常を把握することができるので、ドライバ等にこの異常に係る注意を促すことができる。
また、本発明の実施の形態に係る信号システムでは、所定情報は、第1地点に設置された感知器30aでの歩行者数の感知結果を含み、異常の程度は、感知結果と所定閾値との比較に応じて決定される。
このような構成により、ドライバ等は、たとえば通学路や住宅街等、人間の急な飛び出しが発生しやすい地点を感知することができ、ドライバ等に人間の急な飛び出しに係る注意を促すことができる。
また、本発明の実施の形態に係る信号システムでは、所定情報は、第1地点に設置された感知器30bでの、落石及び崩落のうちの少なくともいずれか1つに関する感知結果を含み、異常の程度は、感知結果と所定閾値との比較に応じて決定される。
このような構成により、ドライバ等は、たとえば山岳等、落石や崩落が発生しやすい地点を感知することができ、ドライバ等に落石や崩落に係る注意を促すことができる。
また、本発明の実施の形態に係る信号システムでは、所定情報は、第1地点よりも下流における渋滞末尾位置と車両1の位置とを含み、異常の程度は、渋滞末尾位置から車両1の位置までの距離と、複数の減速度に基づいて設定された複数の判定距離との比較に応じて決定される。
このような構成により、ドライバ等は渋滞末尾位置を感知することができるので、渋滞末尾位置の車両への追突を未然に防ぐことができる。
また、本発明の実施の形態に係る信号システムでは、車両1は、信号情報に基づいて車両1の走行及び停止を制御する制御部11を備える。
このように、車両1自ら、たとえば所定地点を通過するか、あるいは所定地点の手前で停止するかを制御することで、ドライバ等に掛かる負荷を軽減することができる。
また、本発明の実施の形態に係る信号システムでは、信号表示情報は、信号灯器及びその灯色を認識可能な情報を含む。
このように、ドライバ等に馴染みのある信号灯器の外観形式で表示することで、ドライバ等にとって分かりやすく、要注意箇所をより容易に認識することができる。
また、本発明の実施の形態に係る信号システムには、収集部20と、生成部21と、信号情報を車両1に送信する送信部22とを備える、サーバ2が用いられる。
このような構成により、たとえば信号情報を受信した車両1が車両1内部の所定空間に表示することで、要注意箇所を可視化することができる。したがって、ドライバ等が要注意箇所を容易に認識することができる。
上記実施の形態は、全ての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記説明ではなく特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内での全ての変更が含まれることが意図される。
以上の説明は、以下に付記する特徴を含む。
[付記1]
信号システムに用いられる信号プログラムであって、
コンピュータを、
所定情報を収集する収集部と、
前記所定情報に基づいて所定地点の信号情報を生成する生成部と、
前記信号情報を車両に送信する送信部として機能させるための、
信号プログラム。
[付記2]
車載装置と、
所定情報を収集する収集部と、
前記所定情報に基づいて所定地点の信号情報を生成する生成部と、
を備える信号システムであって、
前記車載装置は、前記信号情報に基づく信号表示情報を、前記車載装置を備えた車両の内部の所定空間に表示する、
信号システム。