JP3806547B2 - ダイナミックダンパを有するステアリング装置 - Google Patents

ダイナミックダンパを有するステアリング装置 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、車両に装備されるステアリング装置に関し、より詳しくは防振機能をもつダイナミックダンパを有するステアリング装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、エンジンを搭載した車両においては、アイドリング時や走行中にステアリング装置が共振することにより、ステアリングシャフトの先端に設けられているステアリングホイールに大きな振動が発生するため、その振動抑制対策として、ステアリングホイールの中央部にダイナミックダンパを設けることがよく知られている。
【0003】
一方、車両に装備されるステアリング装置として、シミー等の対策のために、ステアリングシャフトを二分割して形成し、それらステアリングシャフトを盤状の弾性継手の両面側にそれぞれ連結固定して構成することにより、サスペンション系等からの振動入力を低減するようにしたものが知られている。しかし、ステアリングシャフトの中間部に弾性継手が設けられているステアリング装置の場合には、その弾性継手の部分が腹となるように共振することから、共振の腹となる弾性継手の部分にダイナミックダンパを設けることにより、その振動を効果的に抑制することができる。
【0004】
そこで、例えば特開平4−64718号公報には、弾性継手を間に介して連結されたステアリングシャフトに発生する振動を抑制するため、弾性継手の外周部にダイナミックダンパを一体的に設けることが開示されている。この弾性継手は、一方のステアリングシャフトが取付けられる第1取付具と他方のステアリングシャフトが取付けられる第2取付具とを一体的に連結保持するループ状に巻いた補強帯及びゴム製の弾性被覆部からなる保持部材と、該保持部材の弾性被覆部の外周面の全周に一体的に形成されたリング状のゴム弾性体と該ゴム弾性体に弾性支持された質量体(マス)とからなるダンパ部(ダイナミックダンパ)とにより構成されている。
【0005】
なお、ここでのダイナミックダンパの固有振動数は、ゴム弾性体の圧縮及び引張り方向のばね定数とマスの質量とにより基本的に決定される。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、上記公報に開示されたような弾性継手を備えたステアリング装置では、ステアリングホイールを回転操作すると、その回転トルクが一方のステアリングシャフトから他方のステアリングシャフトに弾性継手を介して伝達される。このとき、弾性継手は、ゴム製の弾性被覆部などが弾性変形しつつその回転トルクを伝達する。
【0007】
一方、その弾性継手は、ダイナミックダンパのゴム弾性体が弾性被覆部と一体的に形成されていることから、弾性被覆部の弾性変形に連れてゴム弾性体も弾性変形することとなり、これにより、予め設定されたダイナミックダンパの固有振動数が変化するという事態が生じる。したがって、ステアリングホイールの回転操作中にそのステアリング装置に振動が入力したときには、ダイナミックダンパの振動抑制機能が効果的に発揮されなくなるという問題がある。
【0008】
本発明は上記問題に鑑み案出されたものであり、ステアリング装置の操作中においても、ダイナミックダンパの振動抑制機能を充分に発揮させ得るようにしたダイナミックダンパを有するステアリング装置を提供することを解決すべき課題とするものである。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決する請求項1記載の発明は、弾性継手と、該弾性継手の両側にそれぞれ連結固定される第1及び第2ステアリングシャフトと、前記弾性継手に取付けられ前記第1及び第2ステアリングシャフトのねじり方向の相対変位を規制するストッパプレートと、を備え、該ストッパプレートには、該ストッパプレートに固着されたゴム弾性体と該ゴム弾性体に弾性支持されたマスとからなるダイナミックダンパが設けられているという手段を採用している。
【0010】
この手段によれば、ゴム弾性体とマスとからなるダイナミックダンパが、弾性継手に取付られた剛性材よりなるストッパプレートに設けられている。これにより、ステアリングホイールの回転操作などに伴って弾性継手の一部が弾性変形しても、ダイナミックダンパのゴム弾性体のばね特性は変動しない。そのため、ステアリング装置に振動が入力して弾性継手の部分が腹となるようにステアリングシャフトが共振すると、ゴム弾性体の主として剪断方向への弾性変形を伴って予め設定された共振周波数でマスが共振し、その振動が効果的に抑制される。
【0011】
したがって、本発明のダイナミックダンパを有するステアリング装置によれば、ダイナミックダンパがストッパプレートに設けられているため、ステアリング装置の操作中においても、ダイナミックダンパの振動抑制機能を充分に発揮させることができる。
【0012】
請求項2記載の発明は、請求項1記載の発明において、前記マスはリング状に形成され、前記ゴム弾性体は、円周上の少なくとも3箇所に等間隔に配置され前記マスを弾性支持する支持部を有するという手段を採用している。
【0013】
この手段によれば、円周上の少なくとも3箇所に等間隔に配置されたゴム弾性体の支持部によりリング状のマスが弾性支持されるようにしているため、ゴム弾性体(支持部)の剪断方向のばね定数をあらゆる方向において略同等となるように設定することが可能となる。よって、ステアリングシャフトの回転に伴ってダイナミックダンパが回転変位しても、常時、ダイナミックダンパの良好な振動抑制機能を発揮させることができる。
【0014】
なお、支持部の配置箇所数は、剪断方向のばね定数の方向における同等性を確保するためにはより多く設定する方が好ましいが、その配置箇所や形成のし易さ或いはマスの大きさなどを考慮して適宜選択することができる。
【0015】
請求項3記載の発明は、請求項1記載の発明において、前記マスはリング状に形成され、前記ゴム弾性体は、前記マスを弾性支持する円筒状の支持部を有するという手段を採用している。
【0016】
この手段によれば、円筒状の支持部によりリング状のマスが弾性支持されるようにしているため、前記請求項2記載の発明の場合よりも、ゴム弾性体(支持部)の剪断方向のばね定数をあらゆる方向において更に均一化して設定することが可能となる。また、構造的に、ゴム弾性体(支持部)の剪断方向のばね定数をより大きく設定することが可能になるめ、ダイナミックダンパの固有振動数のチューニング幅が広がる。また、支持部の全体形状が単純になることから、ゴム弾性体を加硫成形により形成する際に、成形型の型抜き方向の自由度が緩和されるため製造が容易になる。
【0017】
請求項4記載の発明は、請求項3記載の発明において、前記支持部は、円周上の少なくとも3箇所に等間隔に配置された厚肉状支持部と、隣り合う該厚肉状支持部どうしを連結する薄肉状支持部とからなるという手段を採用している。
【0018】
この手段によれば、厚肉状支持部を部分的に設けることにより、支持部全体の剪断方向のばね定数を少ないゴム材料の増加のみで高めることができ、ゴム弾性体の剪断方向のばね定数のチューニング幅を広げることができる。
【0019】
請求項5記載の発明は、請求項3又は4記載の発明において、前記ストッパプレートの外周には、前記支持部の内周面よりも内側に凹んだ切欠き部が周方向に等間隔に設けられているという手段を採用している。
【0020】
この手段によれば、ストッパプレートに必要な支持部の配置スペースとストッパプレートに必要な強度とを確保しつつ、ストッパプレートの軽量化を図ることができる。
【0021】
請求項6記載の発明は、請求項5記載の発明において、前記支持部は、円周上の少なくとも3箇所に等間隔に配置された薄肉状支持部と、隣り合う該薄肉状支持部どうしを連結する厚肉状支持部とからなり、前記厚肉状支持部が前記ストッパプレートの前記切欠き部に配置されているという手段を採用している。
【0022】
この手段によれば、ストッパプレートの切欠き部に配置される厚肉状支持部は、ストッパプレート側の端部が開放された状態になることから、その剪断方向のばね定数が小さくなる。そのため、厚肉状支持部のばね定数を薄肉状支持部のばね定数に近づけるようにして、円筒状の支持部全体としてのばね定数を均一化することができる。
【0023】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態を図面に基づき説明する。
【0024】
〔実施形態1〕
図1は本実施形態に係るダイナミックダンパを有するステアリング装置の一部を断面で示す正面図であり、図2は本実施形態に係る弾性継手の平面図であり、図3は図2のIII −III 線矢視断面図であり、図4はそのダイナミックダンパが設けられたストッパプレートの平面図であり、図5は図4のV−V線矢視断面図である。
【0025】
本実施形態のダイナミックダンパを有するステアリング装置は、図1に示すように、盤状の弾性継手1と、弾性継手1の両面側にそれぞれ連結固定される第1及び第2ステアリングシャフト2、3と、弾性継手1に取付けられ第1及び第2ステアリングシャフト2、3のねじり方向の相対変位を規制するストッパプレート4と、ストッパプレート4に設けられたマス6、6及びゴム弾性体7、7からなる一対のダイナミックダンパ5、5とを主要素として構成されている。
【0026】
弾性継手1は、図2及び図3に示すように、円周上の2箇所に等間隔に配置された筒状の2個の第1取付具11、11と、前記円周上の両第1取付具11、11の間に等間隔に配置された筒状の2個の第2取付具12、12と、隣り合う第1及び第2取付具11、11、12、12どうしを一体的に連結保持するループ状に巻いた補強帯13と、第1取付具11、11と第2取付具12、12とを一体的に連結保持するゴムによりリング板状に形成された弾性保持部材14とからなる。第1及び第2取付具11、11、12、12は、弾性保持部材14の厚さの約2倍の長さに形成されている。第1取付具11、11は、弾性保持部材14の一方の端面からその半分が突出する状態に取付けられ、第2取付具12、12は、弾性保持部材14の他方の端面からその半分が突出する状態に取付けられている。
【0027】
第1ステアリングシャフト2は、図1に示すように、一方の先端に径外方向へ向かって互いに反対方向に延びる一対の取付基部21(図1には一方のみ表されている。)を有する。この第1ステアリングシャフト2は、取付基部21を弾性継手1の第1取付具11、11の突出端面に当接させた状態で、両者の内孔に挿通した取付ボルト22、22にナット23、23を締結することにより、弾性継手1と同軸状となるようにして弾性継手1の一面側に連結固定されている。なお、この第1ステアリングシャフト2の他方の先端には、ステアリングホイールが連結固定される。
【0028】
第2ステアリングシャフト3は、図1に示すように、一方の先端に固着された二股状の第1連結部材31と、第1連結部材31に一端が連結され他端が弾性継手1に連結される略T字形状に形成された第2連結部材32とを有する。第2連結部材32の他端側の先端には、外方へ向かって互いに反対方向に延びる一対の連結基部33、33が設けられている。この第2連結部材32は、連結基部33、33を弾性継手1の第2取付具12、12の突出端面に当接させた状態で、両者の内孔に挿通した取付ボルト34、34にナット35、35を締結することにより弾性継手1に連結固定されている。これにより、第2ステアリングシャフト3は、弾性継手1及び第1ステアリングシャフト2と同軸状となるようにして弾性継手1の第1ステアリングシャフト2と反対側に連結固定されている。なお、この第2ステアリングシャフト3の他方の先端は、中間シャフト等を介してギヤボックスに連結される。
【0029】
ストッパプレート4は、剛性を有する金属板により略円形に形成されている。図4及び図5に示すように、このストッパプレート4の中央には、円孔4aが設けられている。この円孔4aの外側でストッパプレート4の軸対称となる位置には、一方面側に段状に隆起した円形の取付座部4b、4bが設けられ、各取付座部4b、4bの中央には円形の取付孔4c、4cが設けられている。また、ストッパプレート4の両取付孔4c、4cと90°位相がずれた軸対称となる位置には、外周面から中央に向かってU字形状に切欠いて形成された切欠き凹部4d、4dが設けられている。
【0030】
このストッパプレート4は、図1に示すように、各取付座部4b、4bが弾性継手1の各第1取付具11、11の突出していない側の端面に当接するようにして、前記の取付ボルト22、22及びナット23、23を利用して取付けられている。これにより、ストッパプレート4は、弾性継手1の第2ステアリングシャフト3側に弾性継手1と同軸状に取付けられている。また、ストッパプレート4の各切欠き凹部4d、4d内には、弾性継手1の各第2取付具12、12の突出部が回転方向において切欠き凹部4d、4dの切欠き面と所定距離を隔てた状態に配置される。
【0031】
一対のダイナミックダンパ5、5は、二分割に形成されてそれぞれ同一に構成されたものであって、図4及び図5に示すように、ストッパプレート4の外周端部に軸対称となるように設けられている。このダイナミックダンパ5、5は、ストッパプレート4の外周端面形状に沿う半円弧形状に形成されたマス6、6と、ストッパプレート4の外周端部に固着配置されマス6、6を弾性支持するゴム弾性体7、7とからなる。
【0032】
マス6、6は、一方の切欠き凹部4dから他方の切欠き凹部4dに至るストッパプレート4の外周端に沿った部分に、ストッパプレート4の板厚方向に距離を隔てた状態で配置されている。即ち、二分割されて半円弧形状に形成された両マス6、6は、円周上で軸対称となる位置に配置されている。
【0033】
ゴム弾性体7、7は、ストッパプレート4の外周端部に固着された固着部7a、7aと、ストッパプレート4とマス6、6とを一体的に連結し各マス6、6をそれぞれ弾性支持する二対の支持部(7b、7b)(7b、7b)と、マス6、6の全表面を被覆する被覆部7c、7cとからなる。固着部7a、7aは、マス6、6と対応する位置に設けられており、ストッパプレート4の外周端面及び表裏両面に加硫接着により固着されている。固着部7a、7aの各支持部7b、7b、7b、7bが設けられる部分は、ストッパプレート4の中心に向かって張り出すようにして形成されることにより補強されている。
【0034】
そして、各支持部7b、7b、7b、7bは、ストッパプレート4の隣り合う取付孔4cと切欠き凹部4dとの間の中央位置であって、ストッパプレート4の外周端部に沿う円周上の4箇所に等間隔に配置されている。各支持部7b、7b、7b、7bは、マス6、6の幅寸法よりも少し大きい幅寸法をもち、断面が略長方形の柱状に形成されており、その内側面は被覆部7c、7cの内周面と略同一になっている。
【0035】
なお、両ゴム弾性体7、7は、加硫成形型内にストッパプレート4及びマス6、6を配置してゴム材料を加硫成形することにより形成されており、それらと一体的に形成されている。
【0036】
また、上記のように構成された各ダイナミックダンパ5、5の固有振動数は、ゴム弾性体7、7(支持部7b、7b、7b、7b)の剪断方向のばね定数とマス6、6の質量とを適宜設定することにより、抑制を目的とする振動の周波数に合わせてチューニングされている。
【0037】
以上のように構成された本実施形態のダイナミックダンパを有するステアリング装置は、エンジンを搭載した車両に装備される。そして、アイドリング時や走行中にステアリング装置に振動が入力すると、第1及び第2ステアリングシャフト2、3の間に設けられている弾性継手1の部分が腹となるように共振する。このとき、ストッパプレート4に設けられているダイナミックダンパ5、5が共振することにより、その振動は効果的に抑制される。
【0038】
また、ステアリング装置のステアリングホイールが回転操作されると、その回転トルクが第1ステアリングシャフト2から弾性継手1を介して第2ステアリングシャフト3に伝達される。このとき、弾性継手1の弾性保持部材14が弾性変形することにより第1ステアリングシャフト2と第2ステアリングシャフト3とが相対回転するが、ストッパプレート4の各切欠き凹部4d、4dの切欠き面に第2取付具12、12の突出部が当接することにより、第1及び第2ステアリングシャフト2、3の所定以上の相対回転が規制される。
【0039】
このようにして、ステアリングホイールが回転操作されているときにステアリング装置に振動が入力した場合にも、ダイナミックダンパ5、5は、弾性継手1に取付られた剛性材よりなるストッパプレート4に設けられているため、弾性継手1の弾性保持部材14が弾性変形することによる影響を受けず、ダイナミックダンパ5、5のゴム弾性体7、7のばね特性は変動しない。そのため、ダイナミックダンパ5、5が良好に機能し、ステアリング装置に入力した振動が効果的に抑制される。
【0040】
以上のように、本実施形態のダイナミックダンパを有するステアリング装置によれば、ダイナミックダンパ5、5がストッパプレート4に設けられているため、ステアリング装置の操作中においても、ダイナミックダンパ5、5の振動抑制機能を充分に発揮させることができる。
【0041】
また、本実施形態では、二分割されて半円弧形状に形成された両マス6、6が円周上で軸対称となる位置に配置され、両マス6、6を弾性支持するゴム弾性体7、7の各支持部7b、7b、7b、7bが円周上の4箇所に等間隔に配置されているため、ゴム弾性体7、7(支持部7b、7b、7b、7b)の剪断方向のばね定数をあらゆる方向において略同等となるように設定することが可能となる。よって、ステアリングシャフトの回転に伴ってダイナミックダンパ7、7が回転変位しても、常時、ダイナミックダンパ7、7の良好な振動抑制機能を発揮させることができる。
【0042】
〔実施形態2〕
図6は本実施形態に係るダイナミックダンパが設けられたストッパプレートの平面図であり、図7は図6のVII −VII 線矢視断面図である。
【0043】
本実施形態のダイナミックダンパを有するステアリング装置は、上記実施形態1のものとストッパプレート41及びダイナミックダンパ51の構成のみが異なるものである。よって、上記実施形態1と同じ構成である弾性継手1、第1及び第2ステアリングシャフト2、3の詳しい説明は省略し、以下、図6及び図7に基づいて異なる点を中心に説明する。
【0044】
ストッパプレート41は、剛性を有する金属板により円形に形成されている。このストッパプレート41には、上記実施形態1のものと同様に、円孔41a、取付座部41b、41b、及び取付孔41c、41cが設けられている。そして、このストッパプレート41の両取付孔41c、41cと90°位相がずれた軸対称となる位置には、上記実施形態1の切欠き凹部4d、4dに代わって方形の切欠き窓部41d、41dが設けられている。
【0045】
このストッパプレート4は、上記実施形態1の場合と同様にして、弾性継手1の各第1取付具11、11の端面に各取付座部41b、41bが当接するようにして取付けられる。これにより、切欠き窓部41d、41d内には、弾性継手1の各第2取付具12、12の突出部が回転方向において切欠き窓部41d、41dの切欠き面と所定距離を隔てた状態に配置される。
【0046】
ダイナミックダンパ51は、リング状に形成されたマス61と、ストッパプレート4の外周端部に固着配置されマス61を弾性支持するゴム弾性体71とから構成されている。マス61は、ストッパプレート41の外径と略同じ大きさの外径を有するリング状に形成されており、ストッパプレート41の外周端に沿ってストッパプレート41の板厚方向に距離を隔てた状態で配置されている。
【0047】
ゴム弾性体71は、ストッパプレート41の外周端部に固着されたリング状の固着部71aと、ストッパプレート41とマス61とを一体的に連結しマス61を弾性支持する4個の支持部71b、71b、71b、71bと、マス61の全表面を被覆する被覆部71cとからなる。固着部71は、ストッパプレート41の外周端部の全周に亘って設けられている点で上記実施形態1のものと異なる。
【0048】
なお、各支持部71b、71b、71b、71bは、上記実施形態1の場合と全く同様に形成され、ストッパプレート41の外周端部に沿う円周上の4箇所に等間隔に配置されている。また、ゴム弾性体71は、上記実施形態1の場合と同様に、ストッパプレート41及びマス61とともに一体加硫成形することにより形成されている。
【0049】
以上のように構成された本実施形態のダイナミックダンパを有するステアリング装置は、上記実施形態1の場合と同様にして使用され、同様の作用及び効果を奏する。
【0050】
また、本実施形態においては、ダイナミックダンパ51のマス61は、リング状に形成された1個のもので構成されているため、上記実施形態1のように、二分割に形成された2個のマス6、6を用いる場合に比べて、ダイナミックダンパ51の固有振動数のチューニングが容易になる。さらに、ゴム弾性体71(支持部71b、71b、71b、71b)の剪断方向のばね定数をあらゆる方向において略同等となるように設定するに際しても、より均一化することが可能となる。
【0051】
〔実施形態3〕
図8は本実施形態に係るダイナミックダンパが設けられたストッパプレートの断面図であって、図9のVIII−VIII線に相当する部分の矢視断面図であり、図9は図8のIX−IX線に相当する部分の矢視断面図である。
【0052】
本実施形態のダイナミックダンパを有するステアリング装置は、上記実施形態2のものとダイナミックダンパ52の構成のみが異なるものである。よって、上記実施形態2と同じ構成である弾性継手1、第1及び第2ステアリングシャフト2、3、ストッパプレート42の詳しい説明は省略し、以下、図8及び図9に基づいて異なる点を中心に説明する。
【0053】
ダイナミックダンパ52は、リング状に形成されたマス62と、ストッパプレート42の外周端部に固着配置されマス62を弾性支持するゴム弾性体72とから構成されている。マス62は、上記実施形態2と同じものであり、ストッパプレート42の板厚方向に距離を隔てた状態で同様に配置されている。
【0054】
ゴム弾性体72は、ストッパプレート42の外周端部に固着されたリング状の固着部72aと、ストッパプレート42とマス62とを一体的に連結しマス62を弾性支持する円筒状の支持部72bと、マス62の全表面を被覆する被覆部72cとからなる。固着部72は、上記実施形態2のものと同様に、ストッパプレート42の外周端部の全周に亘って設けられている。支持部72bは、マス62の幅の略半分の肉厚で円筒状に形成されており、その内周面は被覆部72cの内周面と面一になっている。
【0055】
なお、ゴム弾性体72は、上記実施形態2の場合と同様に、ストッパプレート42及びマス62とともに一体加硫成形することにより形成されている。
【0056】
以上のように構成された本実施形態のダイナミックダンパを有するステアリング装置は、上記実施形態2の場合と同様にして使用され、同様の作用及び効果を奏する。
【0057】
そして、本実施形態においては、マス62がリング状に形成され、マス62を弾性支持するゴム弾性体72の支持部72bが円筒状に形成されているため、上記実施形態2のように、4個の支持部71b、71b、71b、71bを用いる場合に比べて、ゴム弾性体62(支持部72b)の剪断方向のばね定数をあらゆる方向において更に均一化して設定することが可能となる。
【0058】
また、構造的に、ゴム弾性体62(支持部72b)の剪断方向のばね定数をより大きく設定することが可能になるめ、ダイナミックダンパ6の固有振動数のチューニング幅が広がる。
【0059】
さらには、支持部72bの全体形状が単純になり、かつ支持部72bと被覆部72cの内周面が同一となるようにしていることから、ゴム弾性体72を加硫成形により形成する際に、成形型の型抜き方向の自由度が緩和される。そのため、製造が容易になり、低コスト化も可能となる。
【0060】
〔実施形態4〕
図10は本実施形態に係るダイナミックダンパが設けられたストッパプレートの断面図であって、図11のX−X線に相当する部分の矢視断面図であり、図11は図10のXI−XI線に相当する部分の矢視断面図である。
【0061】
本実施形態のダイナミックダンパを有するステアリング装置は、上記実施形態3のものとダイナミックダンパ53のゴム弾性体73の構成のみが異なるものである。よって、上記実施形態3と同じ構成である弾性継手1、第1及び第2ステアリングシャフト2、3、ストッパプレート43の詳しい説明は省略し、以下、図10及び図11に基づいて異なる点を中心に説明する。
【0062】
ダイナミックダンパ53は、リング状に形成されたマス63と、ストッパプレート43の外周端部に固着配置されマス63を弾性支持するゴム弾性体73とから構成されている。マス63は、上記実施形態3と同じものであり、ストッパプレート43の板厚方向に距離を隔てた状態で同様に配置されている。
【0063】
ゴム弾性体73は、ストッパプレート43の外周端部に固着されたリング状の固着部73aと、ストッパプレート43とマス63とを一体的に連結しマス63を弾性支持する円筒状の支持部73bと、マス63の全表面を被覆する被覆部73cとからなる。固着部73は、上記実施形態3のものと同様に、ストッパプレート43の外周端部の全周に亘って設けられている。支持部73bは、円周上の4箇所に等間隔に配置された4個の厚肉状支持部73d、73d、73d、73dと、隣り合う厚肉状支持部73d、73dどうしを連結する薄肉状支持部73e、73e、73e、73eとからなる。
【0064】
厚肉状支持部73d、73d、73d、73dは、マス63の幅寸法と略同じ厚み寸法に形成されている。この厚肉状支持部73d、73d、73d、73dは、ストッパプレート43の隣り合う取付孔43cと切欠き窓部43dとの間の中央位置であって、ストッパプレート43の外周端部に沿う円周上の4箇所に等間隔に配置されている。
【0065】
薄肉状支持部73e、73e、73e、73eは、マス63の幅寸法の略1/3の厚み寸法で、厚肉状支持部73d、73d、73d、73dが配置されている円周に沿う円弧形状に形成されている。この薄肉状支持部73e、73e、73e、73eは、隣り合う厚肉状支持部73d、73dどうしを連結することにより、内周面が面一となる円筒形状の支持部73bを形成している。また、支持部73bの内周面は、被覆部73cの内周面と面一になっている。
【0066】
以上のように構成された本実施形態のダイナミックダンパを有するステアリング装置は、上記実施形態3の場合と同様にして使用され、同様の作用及び効果を奏する。
【0067】
特に、本実施形態におけるゴム弾性体73の支持部73bは、円周上の4箇所に等間隔に配置された4個の厚肉状支持部73d、73d、73d、73dと、隣り合う厚肉状支持部73d、73dどうしを連結する薄肉状支持部73e、73e、73e、73eとから構成されているため、支持部73b全体の剪断方向のばね定数を少ないゴム材料の増加のみで高めることができ、ゴム弾性体73の剪断方向のばね定数のチューニング幅を広げることができる。
【0068】
〔実施形態5〕
図12は本実施形態に係るダイナミックダンパが設けられたストッパプレートの断面図であって、図13のXII −XII 線に相当する部分の矢視断面図であり、図13は図12のXIII−XIII線に相当する部分の矢視断面図である。
【0069】
本実施形態のダイナミックダンパを有するステアリング装置は、上記実施形態3のものとストッパプレート44の構成のみが異なるものである。よって、上記実施形態3と同じ構成である弾性継手1、第1及び第2ステアリングシャフト2、3、ダイナミックダンパ54の詳しい説明は省略し、以下、図12及び図13に基づいて異なる点を中心に説明する。
【0070】
ストッパプレート44は、剛性を有する金属板により略円形に形成されている。このストッパプレート44には、上記実施形態3のものと同様に、円孔44a、取付座部44b、44b、取付孔44c、44c、及び切欠き窓部41d、41dが設けられている。そして、このストッパプレート44の隣り合う取付孔44cと切欠き窓部44dとの間部分の外周には、4個の切欠き部44e、44e、44e、44eが周方向に等間隔に設けられている。この切欠き部44e、44e、44e、44eは、ゴム弾性体74の円筒状に形成された支持部74bの内周面よりも内側に凹むように形成されている。
【0071】
なお、切欠き部44e、44e、44e、44eの切欠き空間には、ゴム弾性体74の固着部74aが充填された状態となり、固着部74aの外面形状は上記実施形態3のものと同一になっている。
【0072】
以上のように構成された本実施形態のダイナミックダンパを有するステアリング装置は、上記実施形態3の場合と同様にして使用され、同様の作用及び効果を奏する。
【0073】
特に、本実施形態においては、ストッパプレート44の外周に、支持部74bの内周面よりも内側に凹んだ切欠き部44e、44e、44e、44eが周方向に等間隔に設けられているため、ストッパプレート44に必要な支持部74bの配置スペースとストッパプレート44に必要な強度とを確保しつつ、ストッパプレート44の軽量化を図ることができる。
【0074】
〔実施形態6〕
図14は本実施形態に係るダイナミックダンパが設けられたストッパプレートの断面図であって、図15のXIV −XIV 線に相当する部分の矢視断面図であり、図15は図14のXV−XV線に相当する部分の矢視断面図である。
【0075】
本実施形態のダイナミックダンパを有するステアリング装置は、上記実施形態5のものとダイナミックダンパ55のゴム弾性体75の構成のみが異なるものである。よって、上記実施形態5と同じ構成である弾性継手1、第1及び第2ステアリングシャフト2、3、ストッパプレート45の詳しい説明は省略し、以下、図14及び図15に基づいて異なる点を中心に説明する。
【0076】
ダイナミックダンパ55は、リング状に形成されたマス65と、ストッパプレート45の外周端部に固着配置されマス65を弾性支持するゴム弾性体75とから構成されている。マス65は、上記実施形態5と同じものであり、ストッパプレート45の板厚方向に距離を隔てた状態で同様に配置されている。
【0077】
ゴム弾性体75は、ストッパプレート45の外周端部に固着されたリング状の固着部75aと、ストッパプレート45とマス65とを一体的に連結しマス65を弾性支持する円筒状の支持部75bと、マス65の表面を被覆する被覆部75cとからなる。固着部75aは、上記実施形態5のものと同様に、ストッパプレート45の外周端部の全周に亘って設けられている。
【0078】
支持部75bは、円周上の4箇所に等間隔に配置された4個の薄肉状支持部75e、75e、75e、75eと、隣り合う薄肉状支持部75e、75eどうしを連結する4個の厚肉状支持部75d、75d、75d、75dとからなる。
【0079】
薄肉状支持部75e、75e、75e、75e及び厚肉状支持部75d、75d、75d、75dは、同じ曲げ率で略同じ長さの円弧形状に形成されており、それらの内周面が面一となるように連結されている。なお、支持部75bの内周面は、被覆部75cの内周面と面一となっている。
【0080】
薄肉状支持部75e、75e、75e、75eは、マス65の幅寸法の略1/5の厚み寸法に形成されている。この薄肉状支持部75e、75e、75e、75eは、ストッパプレート45の両取付孔45c、45c及び両切欠き窓部45d、45dと対応する位置に配置されている。
【0081】
厚肉状支持部75d、75d、75d、75dは、マス65の幅寸法の略1/2の厚み寸法に形成されている。この厚肉状支持部75d、75d、75d、75dは、ストッパプレート45の各切欠き部45e、45e、45e、45eと対応する位置に配置されている。
【0082】
以上のように構成された本実施形態のダイナミックダンパを有するステアリング装置は、上記実施形態5の場合と同様にして使用され、同様の作用及び効果を奏する。
【0083】
また、本実施形態においては、ゴム弾性体75の支持部75bは、薄肉状支持部75e、75e、75e、75eと厚肉状支持部75d、75d、75d、75dとからなり、厚肉状支持部75d、75d、75d、75dがストッパプレート45の切欠き部45e、45e、45e、45eに配置されていることから、厚肉状支持部75d、75d、75d、75dの剪断方向のばね定数が小さくなる。そのため、厚肉状支持部75d、75d、75d、75dのばね定数を薄肉状支持部75e、75e、75e、75eのばね定数に近づけるようにすることにより、円筒状の支持部75b全体としてのばね定数を均一化することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態1に係るダイナミックダンパを有するステアリング装置の要部を一部断面で示す正面図である。
【図2】本発明の実施形態1に係る弾性継手の平面図である。
【図3】図2のIII −III 線矢視断面図である。
【図4】本発明の実施形態1に係るダイナミックダンパが設けられたストッパプレートの平面図である。
【図5】図4のV−V線矢視断面図である。
【図6】本発明の実施形態2に係るダイナミックダンパが設けられたストッパプレートの平面図である。
【図7】図6のVII −VII 線矢視断面図である。
【図8】本発明の実施形態3に係るダイナミックダンパが設けられたストッパプレートの断面図であって、図9のVIII−VIII線に相当する部分の矢視断面図である。
【図9】図8のIX−IX線に相当する部分の矢視断面図である。
【図10】本発明の実施形態4に係るダイナミックダンパが設けられたストッパプレートの断面図であって、図11のX−X線に相当する部分の矢視断面図である。
【図11】図10のXI−XI線に相当する部分の矢視断面図である。
【図12】本発明の実施形態5に係るダイナミックダンパが設けられたストッパプレートの断面図であって、図13のXII −XII 線に相当する部分の矢視断面図である。
【図13】図12のXIII−XIII線に相当する部分の矢視断面図である。
【図14】本発明の実施形態6に係るダイナミックダンパが設けられたストッパプレートの断面図であって、図15のXIV −XIV 線に相当する部分の矢視断面図である。
【図15】図14のXV−XV線に相当する部分の矢視断面図である。
【符号の説明】
1…弾性継手 11…第1取付具 12…第2取付具
13…補強帯 14…弾性保持部材
2…第1ステアリングシャフト 21…取付基部
22…取付ボルト 23…ナット
3…第2ステアリングシャフト 31…第1連結部材
32…第2連結部材 33…連結基部 34…取付ボルト
35…ナット
4、41、42、43、44、45…ストッパプレート
4a、41a、44a…円孔 4b、41b、44b…取付座部
4c、41c、43c、44c、45c…取付孔 4d…切欠き凹部
41d、43d、44d、45d…切欠き窓部
44e、45e…切欠き部
5、51、52、53、54、55…ダイナミックダンパ
6、61、62、63、64、65…マス
7、71、72、73、74、75…ゴム弾性体
7a、71a、72a、73a、74a、75a…固着部
7b、71b、72b、73b、74b、75b…支持部
7c、71c、72c、73c、75c…被覆部
73d、75d…厚肉状支持部 73e、75e…薄肉状支持部

Claims (6)

  1. 弾性継手と、該弾性継手の両側にそれぞれ連結固定される第1及び第2ステアリングシャフトと、前記弾性継手に取付けられ前記第1及び第2ステアリングシャフトのねじり方向の相対変位を規制するストッパプレートと、を備え、
    該ストッパプレートには、該ストッパプレートに固着されたゴム弾性体と該ゴム弾性体に弾性支持されたマスとからなるダイナミックダンパが設けられていることを特徴とするダイナミックダンパを有するステアリング装置。
  2. 前記マスはリング状に形成され、前記ゴム弾性体は、円周上の少なくとも3箇所に等間隔に配置され前記マスを弾性支持する支持部を有することを特徴とする請求項1記載のダイナミックダンパを有するステアリング装置。
  3. 前記マスはリング状に形成され、前記ゴム弾性体は、前記マスを弾性支持する円筒状の支持部を有することを特徴とする請求項1記載のダイナミックダンパを有するステアリング装置。
  4. 前記支持部は、円周上の少なくとも3箇所に等間隔に配置された厚肉状支持部と、隣り合う該厚肉状支持部どうしを連結する薄肉状支持部とからなることを特徴とする請求項3記載のダイナミックダンパを有するステアリング装置。
  5. 前記ストッパプレートの外周には、前記支持部の内周面よりも内側に凹んだ切欠き部が周方向に等間隔に設けられていることを特徴とする請求項3又は4記載のダイナミックダンパを有するステアリング装置。
  6. 前記支持部は、円周上の少なくとも3箇所に等間隔に配置された薄肉状支持部と、隣り合う該薄肉状支持部どうしを連結する厚肉状支持部とからなり、前記厚肉状支持部が前記ストッパプレートの前記切欠き部に配置されていることを特徴とする請求項5記載のダイナミックダンパを有するステアリング装置。
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