JP3543674B2 - 防振ブッシュ - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、防振ブッシュに係り、特に自動車のサスペンション機構等に装着されるのに適した防振ブッシュに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、この種の防振ブッシュとしては、例えば図7、図8に示すように、筒状の軸金具1と、その両端間にて径方向外側に配設され一端側に径方向外方に延びた環状フランジ部3を有する外側金具2と、軸金具1と外側金具2間に介装される筒状のゴム弾性体4と、ゴム弾性体4と軸方向に連続して外側金具2と軸金具1の一端間に配設された円環状のゴム弾性体製のストッパ部5とを備えたものが知られている。この防振ブッシュは、外側金具2をセミトレーリングのアームアイ6に圧入により装着すると共に、軸金具1をボルトによって車体側部材(図示しない)に挿着することにより自動車に組み付けられるもので、径方向の振動入力に対してはゴム弾性体4のバネ特性により振動が減衰され、また軸方向の振動入力に対しては、ストッパ部5のバネ特性により振動が減衰されるようになっている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、上記防振ブッシュの場合、ゴム弾性体4とストッパ部5とは同時に一体で加硫成形されているため、柔らかいばね特性のゴム弾性体4に対してストッパ部5のばね特性のみを硬くすることはできなかった。また、ストッパ部5のゴム量についてもフランジ部3の外径によって制限されるため、それを増やすことができなかった。そのため、ストッパ部5の軸方向のばね特性を高めることができないという問題があった。
本発明は、上記した問題を解決しようとするもので、軸方向のばね特性の高いストッパ部を有する防振ブッシュを提供することを目的とする。
【0004】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、上記請求項1に係る発明の構成上の特徴は、筒状の軸金具と、軸金具の両端間にて径方向外側に配設され一端側に径方向外方に延びた環状フランジ部を有する筒状の外側金具と、軸金具と外側金具間に介装されるゴム弾性体と、円環状のゴム弾性体板に同軸的に環状金属板が埋め込まれてなり、軸金具の環状フランジ部側に外嵌されて環状フランジ部の軸方向に対向して配置されるストッパ部材とを備え、外側金具が相手筒状部材に圧入により装着される防振ブッシュであって、フランジ部の外径を相手筒状部材の外径より大きくすると共に、環状金属板がフランジ部を径方向に跨いで内外方向に延びたものであり、ゴム弾性体板の環状金属板から軸方向外側の肉厚が、環状金属板の軸方向内側の肉厚より小さくされていることにある。
【0005】
上記のように請求項1に係る発明を構成したことにより、ストッパ部材とゴム弾性体とは別個独立に形成されるので、ストッパ部材のゴム硬度をゴム弾性体より硬くすることができ、そのばね特性を高くすることができる。また、フランジ部の外径を相手筒状部材の外径より大きくしたことにより、フランジ部の外側に配設されるストッパ部材のゴム量を増やすことができ、そのばね特性をさらに高くすることができる。さらに、環状金属板が、相対向するフランジ部を径方向に跨いで内外方向に延びたものであるため、フランジ部の径方向幅を最大限に活用し両者間に設けたゴム層により有効にばね特性を高めることができる。また、環状金属板の軸方向外側に設けたゴム層についても、大面積の環状金属板を有効に利用して振動入力を受けることができるので、このゴム層により軸方向のばね特性を効果的に高めることができる。
【0006】
また、ゴム弾性体板の前記環状金属板から軸方向外側の肉厚が、環状金属板の軸方向内側の肉厚より薄くされていることにより、環状金属板から軸方向外側のゴム弾性体板部分が、肉厚が薄くかつ環状金属板により大面積にされているため、この部分のゴム特性を硬くすることができ、ストッパ部材のばね特性をさらに高くすることができる。
【0007】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の一実施形態を図面により説明する。図1及び図2は、一実施形態である自動車のセミトレーリングアーム用の防振ブッシュを側面図及び断面図により示したものである。この防振ブッシュは、ブッシュ本体l0とその軸方向一端に装着されたストッパ部材20とを設けている。
【0008】
ブッシュ本体10は、図3、図4に示すように、円筒形の軸金具11と、軸金具11の両端間にて径方向外側に配設されると共に一端側に径方向外方に延びた環状フランジ部13を有する筒状の外側金具12と、軸金具11と外側金具12間に介装される筒状のゴム弾性体14とを備えている。外側金具12は、外径が後述するセミトレーリングアームのアームアイMの内径よりわずかに大きくなっており、さらに環状フランジ部13の外径は、アームアイMの外径より大きくされている。ゴム弾性体14は、軸金具11の外周面上に、両端側を除く中間部分に加硫成形により略円筒形(図示しない)に形成されるもので、その長さが上記外側金具12の軸方向長さに略等しくなっている。そして、ゴム弾性体14が加硫成形された軸金具11を外側金具12内に挿通させ、さらに外側金具12に絞り加工を施して縮径させることにより、ブッシュ本体10に形成される。ただし、ゴム弾性体14を軸金具11と別個に形成した後、軸金具11に外嵌固定するようにしてもよい。
【0009】
ストッパ部材20は、図5、図6に示すように、円環状のゴム弾性体製の厚板であるゴム弾性体板21と、ゴム弾性体板21に同軸状に埋め込まれた環状金属板27を備えている。ゴム弾性体板21は、外周縁において周方向に等間隔な4箇所に、中心に向けてわずかに凹んだ長円状の凹部22を設けており、この部分で環状金属板27がわずかに露出している。また、凹部22に直交する外周縁4箇所には、ゴム弾性体板21の一表面側A(図5に示す面)において径方向に突出した略三角形の薄板である突出部23が設けられている。また、突出部23のわずかに内側に、環状金属板27の外周縁内側に沿って円弧状の位置決め凸部24を有している。この位置決め凸部24の内径は、上記環状フランジ部13の外径と略同一になっている。さらに、ゴム弾性体板21の両表面の上記突出部23に対応する径方向の略中間位置には、それぞれ4個の小孔25a,25bが設けられている。ゴム弾性体板21の一表面側Aの内周縁には、ストッパ部材20の軸金具11への挿入を容易にするための切欠き部21aが設けられている。
【0010】
環状金属板27は、円環形状の薄板であって、外径が環状フランジ部13の外径より大きく、内径が環状フランジ部13の内径より小さくなっており、径方向の幅が環状フランジ部13の径方向の幅より大きくなっている。環状金属板27は、図6に示すように、ゴム弾性体板21内において軸方向に、他表面側B(図5に示す面の反対面)寄りに位置している。従って、環状金属板27と他表面側B間のゴム層21bの肉厚が、環状金属板27と一表面側A間のゴム層21aの肉厚に比べて薄くなっている。ストッパ部材20は、金型内に環状金属板27をセットした状態でゴム加硫成形を行うことにより形成される。上記凹部22及び小孔25a,25bは、加硫成形時に環状金属板27を金型内の所定位置に支持するために金型に設けた突起により形成されるものである。
【0011】
ブッシュ本体10の軸金具11に、外側金具12の環状フランジ部13側からストッパ部材20を、その一表面側Aを環状フランジ部13に対向させて挿嵌させることにより、ストッパ部材20の一表面側Aが環状フランジ部13に接触あるいは非常にわずかな隙間を介して軸金具11に固定され、防振ブッシュとして形成される。
【0012】
これにより、ストッパ部材20の環状金属板27は、図2に示すように、外側金具12の環状フランジ部13と対向して配置され、その外周がフランジ部13の外周位置より径方向外方に位置し、その内周が環状フランジ部13の内周位置より径方向内方に位置する。すなわち、環状金属板27が環状フランジ部13を径方向に跨いだ状態で配置される。
【0013】
防振ブッシュは、外側金具12が、自動車のセミトレーリングのアームアイMに圧入することにより固定され、また軸金具11が、車体側のコ字状の固定部材(図示しない)に挟まれて、ボルトにより固定されることにより組み付けられる。これにより、ストッパ部材20は、環状フランジ部13と固定部材に挟まれて配置される。また、図2に示すように、環状フランジ部13の外周縁は、アームアイMの外周面から突出している。
【0014】
以上に構成した防振ブッシュにおいては、ストッパ部材20とゴム弾性体14とは別個形成されるので、ストッパ部材20のゴム硬度をゴム弾性体14とは別個に硬くすることができ、それによりばね特性を高くすることができる。さらに、環状フランジ部13の外径をアームアイMの外径より大きくしたことにより、環状フランジ部13の外側に配設されるストッパ部材20のゴム量を増やすことができ、そのばね特性をさらに高くすることができる。さらに、ストッパ部材20に埋設された環状金属板27が、対向する環状フランジ部13に対して径方向に跨いで内外方向に延びたものであるため、環状フランジ部13の径方向幅を最大限に活用し両者間に設けたゴム層21aにより有効にばね特性を高めることができる。また、環状金属板27の軸方向外側に設けた薄いゴム層21bについても、大面積の環状金属板27を有効に利用できるので、軸方向のばね特性を高めるのに有効に作用する。その結果、本実施形態においては、ストッパ部材20全体の軸方向のばね特性が従来に比べて大幅に改良された。
【0015】
なお、上記実施形態においては、防振ブッシュがセミトレーリングアーム装着用として用いられているが、これに限らず他の同様の用途に適用することができる。また、上記実施形態に示した防振ブッシュについては一例であり、本発明の要旨を逸脱しない範囲においては、種々の形態で実施することができる。
【0016】
【発明の効果】
上記請求項1の発明によれば、フランジ部の外径を相手筒状部材の外径より大きくし、フランジ部の外側に配設されるストッパ部材のゴム量を増やし、さらに、環状金属板が対向するフランジ部を径方向に跨いで内外方向に延びたものであるため、フランジ部の径方向幅を最大限に活用し両者間に設けたゴム層により有効にばね特性を高めることができる。また、環状金属板の軸方向外側に設けたゴム弾性体板分についても、大面積の環状金属板を有効に利用できるので、ゴム層により軸方向のばね特性を有効に高めることができる。また、環状金属板から軸方向外側のゴム弾性体板部分が、肉厚が薄くかつ環状金属板により大面積にされているため、この部分の軸方向ゴム特性を硬くすることができ、ストッパ部材のばね特性をさらに高くすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態に係る防振ブッシュを示す側面図である。
【図2】同防振ブッシュの図1に示すII-II線方向の断面図である。
【図3】同防振ブッシュのブッシュ本体を示す側面図である。
【図4】同ブッシュ本体を示す軸方向断面図である。
【図5】同防振ブッシュのストッパ部材の一表面側を示す側面図である。
【図6】同ストッパ部材の図5に示すVI-VI線方向の断面図である。
【図7】従来例である防振ブッシュを示す側面図である。
【図8】同防振ブッシュの図7に示すVIII-VIII線方向の断面図である。
【符号の説明】
10…ブッシュ本体、11…軸金具、12…外側金具、13…環状フランジ部、14…ゴム弾性体、20…ストッパ部材、21…ゴム弾性体板、27…環状金属板、M…アームアイ。
Claims (1)
- 筒状の軸金具と、該軸金具の両端間にて径方向外側に配設され一端側に径方向外方に延びた環状フランジ部を有する筒状の外側金具と、該軸金具と外側金具間に介装されるゴム弾性体と、環状のゴム弾性体板に同軸的に環状金属板が埋め込まれてなり、前記軸金具の前記環状フランジ部側に外嵌されて該環状フランジ部の軸方向に対向して配置されるストッパ部材とを備え、前記外側金具が相手筒状部材に圧入により装着される防振ブッシュであって、
前記フランジ部の外径を前記相手筒状部材の外径より大きくすると共に、前記環状金属板が前記フランジ部を径方向に跨いで内外方向に延びたものであり、
前記ゴム弾性体板の前記環状金属板から軸方向外側の肉厚が、該環状金属板の軸方向内側の肉厚より小さくされていることを特徴とする防振ブッシュ。
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