JP3552770B2 - トーショナルダンパ - Google Patents
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Description
【産業上の利用分野】
本発明は、例えば自動車エンジンのクランクシャフトの軸端に取り付けられ、環状質量体とエラストマからなる共振系によって主に前記クランクシャフトの捩り方向に対する制振機能を奏するトーショナルダンパに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、この種のトーショナルダンパとして、図3に示すようないわゆるダブルマス型のものがある。すなわち図3において、参照符号1は内径のボス部11がエンジンのクランクシャフト10の軸端にセンターボルト10a及びワッシャ10bを介して取り付けられるハブ、2はハブ1の外径筒部12の外周面に嵌着されたスリーブ21及びこのスリーブ21の正面側の端部から前記外径筒部12の内周側へ延在されたフランジ22からなる環状のハブプレート、3はハブ1の外周側に同心配置された環状質量体、4はハブプレート2のスリーブ21と環状質量体3の互いに対向する円筒面間に加硫接着されたエラストマ、5はハブ1の外径筒部12の内周側の空間に配置された環状の第二の環状質量体、6はこの第二の環状質量体5とハブプレート2のフランジ22の互いに対向する端面間に加硫接着された第二のエラストマである。この種のトーショナルダンパは、環状質量体3及びエラストマ4からなる共振系D1と、第二の環状質量体5及び第二のエラストマ6からなる第二の共振系D2に互いに異なる捩り方向固有振動数が設定されることによって、クランクシャフト10の回転に伴う捩り振動に対して広い回転数域で制振性能を得ようとするものである。
【0003】
ハブプレート2のフランジ22の正面側(図中左側)に回り込んだ形状に形成された第二のエラストマ6の円周方向180°対称位置には、一対のサービス穴7(図では1個のみ示される)が、前記フランジ22に開設された打ち抜き孔22aを貫通するように凹設されている。このサービス穴7は、エンジンの点検やメンテナンス等の際に、当該トーショナルダンパをクランクシャフト10の軸端から取り外す場合、センターボルト10aをその弛緩方向へ回す時に、図中二点鎖線で示すように治具Aを挿入して掛合させることによって、クランクシャフト10の共回りを防止するためのものである。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
サービス穴7内に治具Aを掛合させることによって、トーショナルダンパを介してクランクシャフト10を回り止めしながらセンターボルト10aを弛緩方向へ回転させようとすると、その時のトルクによって、図4に示すように、サービス穴7の内面が治具Aと圧接される。ところが、サービス穴7は、フランジ22の打ち抜き孔22aによる治具Aとの掛り代がフランジ22のほぼ肉厚相当分しかないので、治具Aとの圧接荷重Fによって、フランジ22の打ち抜き孔22aの内周におけるエラストマ膜6aの一部が集中的に圧縮され、亀裂破損を生じることがあった。しかも、挿入した治具Aの安定性が悪く、作業性が悪かった。
【0005】
また、サービス穴7におけるフランジ22の打ち抜き孔22aは、プレス成形の際の打ち抜き切断によって断面が鋭利な形状になっているため、第二のエラストマ6の耐久性に悪影響を来しており、すなわち回転時における第二の共振系D2の共振運動に伴って第二のエラストマ6がフランジ22と第二の環状質量体5の間で繰り返し変形を受けると、前記打ち抜き孔22aの切断縁との接着部に剥離や亀裂等を生じる恐れがある。
【0006】
本発明は、上記のような事情のもとになされたもので、その技術的課題とするところは、トーショナルダンパにおいて、クランクシャフトの軸端から取り外す際の作業性を向上させ、かつ耐久性を向上させることにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上述した技術的課題は、本発明によって有効に解決することができる。すなわち本発明に係るトーショナルダンパは、ハブの外径筒部の外周面に嵌着されたスリーブ及びこのスリーブの一端から前記外径筒部の内周側へ延在されたフランジからなるハブプレートと、前記スリーブの外周側にエラストマを介して環状質量体を弾性的に連結した構造の第一の共振系と、前記外径筒部の内周空間に配置された第二の環状質量体を第二のエラストマを介して前記フランジに弾性的に連結した構造の第二の共振系とを備え、前記フランジの円周方向複数箇所に軸方向に打ち出し形成された筒状突起の内周を治具掛合用サービス穴とし、この治具掛合用サービス穴における治具との掛り代が、前記筒状突起によって前記フランジの肉厚よりも広くなっているものである。
【0008】
【作用】
ハブプレートのフランジに軸方向に打ち出し形成した筒状突起の内周を治具掛合用サービス穴としたことによって、このサービス穴に治具を挿入して掛合した時に、前記フランジに対する治具の掛り代が大きく、治具の安定性が良い。また、サービス穴の内面が筒状突起の内周に回り込んだエラストマ膜で形成されている場合であっても、前記掛り代が大きいことによって、エラストマ膜に作用する治具との圧接荷重が分散され、破断が防止される。また、フランジから打ち出し形成された筒状突起の基部はフランジに対して滑らかな屈曲形状となるため、使用中、第二の共振系の共振運動に伴って第二のエラストマがフランジと第二の環状質量体の間で繰り返し変形を受けても、第二のエラストマとフランジとの接着部での局部的な荷重の集中が有効に防止される。
【0009】
【実施例】
図1は、本発明のトーショナルダンパの典型的な一実施例をその軸心を通る平面で切断して示す半裁断面図である。この実施例のトーショナルダンパは、先に述べた従来例と同様、ハブ1の外径筒部12に嵌着したハブプレート2のスリーブ21とその外周側に同心配置された環状質量体3を、その対向周面間に加硫接着したエラストマ4を介して弾性的に連結した構造の共振系D1を備え、また、ハブ1の外径筒部12の内周側へ延在されたハブプレート2のフランジ22と前記外径筒部12の内周空間に配置された第二の環状質量体5を、その軸方向に対向する面間に加硫接着した第二のエラストマ6を介して前記フランジ22に弾性的に連結した構造の第二の共振系D2を備えている。前記ハブ1は、その内径のボス部11が、センターボルト10a及びワッシャ10bを介してエンジンのクランクシャフト10の軸端に締め付け固定されている。また、前記フランジ22は、内径側がハブ1の外径筒部12の内周空間へ後退したテーパ状を呈しており、第二のエラストマ6の一部が、このテーパ状のフランジ22の正面側にも回り込んで成形されている。なお、ここでいう「正面側」とは、当該トーショナルダンパが取り付けられるクランクシャフト10の軸端の向いた方向(図中左側)のことである。
【0010】
ハブプレート2のフランジ22の円周方向180°対称位置には、図2の部分的な断面斜視図にも示すように、それぞれ筒状突起23が、正面側へ軸方向に打ち出し形成されている。第二のエラストマ6は、この筒状突起23と対応する部分で円筒面状に軸方向に凹んでおり、かつその一部がエラストマ膜6aとして筒状突起23の内周面に被着されることによって、治具掛合用サービス穴8が形成されている。
【0011】
エンジンの点検やメンテナンス等の際に、当該トーショナルダンパをクランクシャフト10の軸端から取り外す場合は、センターボルト10aによるハブ1のボス部11の固定を解除するため、図1に二点鎖線で示すように、治具Aを円周方向一対のサービス穴8に挿入して掛合させることによってクランクシャフト10を回り止めしながら、センターボルト10aを弛緩方向に回転させる。このとき、剛性の大きいハブプレート2のフランジ22に対する治具Aの掛り代は、筒状突起23によって広くなっているため、治具Aが安定して作業性が向上すると共に、サービス穴8の内面を形成しているエラストマ膜6aに作用する治具Aとの圧接荷重が分散され、亀裂の発生が有効に防止される。取り外したこのトーショナルダンパを再びクランクシャフト10の軸端にセンターボルト10aでワッシャ10bを介して締め付け固定する場合も同様である。
【0012】
また、筒状突起23の基部23aは、前記フランジ22から軸方向に屈曲されてその表面がR状の滑らかな面をなすため、クランクシャフト10から捩り振動が入力されることによって第二のエラストマ6に繰り返し変形が加えられても、前記基部23aへの第二のエラストマ6の接着面に局部的な応力の集中による亀裂や剥離が生じない。
【0013】
またこの実施例構造によれば、図3の従来例のように打ち抜き孔22aを開設した場合と異なり、フランジ22の強度が向上する。しかもその結果、フランジ22の振動が抑制されるので、放射音の発生が低減され、静粛性の向上を図ることができる。
【0014】
なお、筒状突起23の数、言い換えれば治具掛合用サービス穴8の数は円周方向2か所に限定されるものではなく、それ以上の数であっても良い。
【0015】
【発明の効果】
本発明のトーショナルダンパによれば、次のような効果が実現される。
(1) サービス穴に治具を掛合してトーショナルダンパを取り外す時に、ハブプレートのフランジに対する治具の掛り代が大きいため、治具の安定性が良く、作業性が向上すると共に、サービス穴の内面に被着されたエラストマ膜が破損しにくくなる。
(2) 第二の共振系の共振運動に伴って第二のエラストマがハブプレートのフランジと第二の環状質量体の間で繰り返し変形を受けても、サービス穴の部分から第二のエラストマの剥離や亀裂が発生しない。
(3) ハブプレートのフランジの強度が向上するので、静粛性が向上する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のトーショナルダンパの典型的な一実施例をその軸心を通る平面で切断して示す半裁断面図である。
【図2】上記実施例におけるハブプレートを部分的に示す断面斜視図である。
【図3】従来のトーショナルダンパの一例をその軸心を通る平面で切断して示す半裁断面図である。
【図4】上記従来例のトーショナルダンパを治具で取り外す場合の荷重の作用方向を示す説明図である。
【符号の説明】
1 ハブ
11 ボス部
12 外径筒部
2 ハブプレート
21 スリーブ
22 フランジ
23 筒状突起
23a 基部
3 環状質量体
4 エラストマ
5 第二の環状質量体
6 第二のエラストマ
6a エラストマ膜
8 サービス穴
10 クランクシャフト
10a センターボルト
10b ワッシャ
A 治具
D1 共振系
D2 第二の共振系
Claims (1)
- ハブ(1)の外径筒部(12)の外周面に嵌着されたスリーブ(21)及びこのスリーブ(21)の一端から前記外径筒部(12)の内周側へ延在されたフランジ(22)からなるハブプレート(2)と、
前記スリーブ(21)の外周側にエラストマ(4)を介して環状質量体(3)を弾性的に連結した構造の共振系(D1)と、
前記外径筒部(12)の内周空間に配置された第二の環状質量体(5)を第二のエラストマ(6)を介して前記フランジ(22)に弾性的に連結した構造の第二の共振系(D2)とを備え、
前記フランジ(22)の円周方向複数箇所に軸方向に打ち出し形成された筒状突起(23)の内周を治具掛合用サービス穴(8)とし、この治具掛合用サービス穴(8)における治具との掛り代が、前記筒状突起(23)によって前記フランジ(22)の肉厚よりも広くなっていることを特徴とするトーショナルダンパ。
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- 1994-11-29 JP JP31772694A patent/JP3552770B2/ja not_active Expired - Fee Related
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