JPH0547314Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 産業上の利用分野 この考案は、内燃機関の駆動力を伝達するため
の動力伝達系を構成するフライホイールの取付部
構造に関する。

従来の技術 内燃機関からの動力伝達系を構成するフライホ
イールは、従来から、この伝達系の主に捩り振動
を低減させるために、クランクシヤフトに直結さ
れている。しかしこの形式ではフライホイールの
質量に基づく曲げ振動が生じ、この曲げ振動に起
因して特に自動車において車室内にこもり音等の
異音を生じ易い。

そこで、クランクシヤフトとフライホイールと
を弾性板を介して連結することによつて、クラン
ク軸系の固有曲げ振動数を常用域から変化させて
異音を低減させることが提案されている（例え
ば、特公昭57−58542号公報）。

考案が解決しようとする問題点 このような従来例においては一般に、クランク
シヤフトに略円板状の弾性板の内周端部を固定
し、この弾性板の外周端部にフライホイールを固
定している。そのため、クランク軸系の曲げ振動
に起因して弾性板が曲げ振動を生じると、弾性板
が固定されるクランクシヤフトの外周端の角部や
フライホイールの弾性板が固定される部位の内周
端の角部により弾性板が押圧され、これによつて
弾性板に応力集中が繰り返し生じ、弾性板が破損
する虞れがあつた。

本考案はこのような従来例の問題点に鑑みて案
出されたものである。

問題点を解決するための手段 即ち本考案は、弾性板の内周端部を補強部材と
クランクシヤフト後端で挟み込んだ状態でクラン
クシヤフトに固定し、前記弾性板の外周端部を座
金とフライホイール端面外周の固定用突起で挟み
込んだ状態でフライホイールを弾性板へ固定した
内燃機関のフライホイール取付部構造において、
前記クランクシヤフト後端の弾性板が固定される
部位の外周端部と前記補強部材の弾性板側の外周
端部とを滑らかな曲面にすると共に、前記フライ
ホイールの弾性板が固定される固定用突起の内側
角部と前記座金の弾性板側の内側角部とを滑らか
な曲面にしたことを特徴としている。

作 用 本考案は以上のような特徴的な構成を備える結
果、クランク軸系の曲げ振動によつて弾性板が曲
げ振動を生じた場合、クランクシヤフトと補強部
材、及び、フライホイールとの座金の各曲面が弾
性板に応力集中を生じさせることなく緩やかに当
接する。

実施例 以下本考案の実施例を図面に基づき詳述する。

第１図は内燃機関のフライホイール取付部構造
を示す断面図であり、１は内燃機関のクランクシ
ヤフトである。このクランクシヤフト１の後端に
は、回転方向の剛性が大きくかつ曲げ方向の剛性
が小さい略円板形の弾性板２の内周端部２ａが、
この弾性板２の内周端部２ａを補強する補強部材
３とクランクシヤフト１後端とで挟み込むように
してボルト４により締結固定してある。そして、
クランクシヤフト１の弾性板２及び補強部材３が
固定される部位の外周端部、即ち軸端の外周端部
を滑らかな曲面５に形成すると共に、補強部材３
の弾性板２側の外周端を滑らかな曲面６に形成し
てある。一方、弾性板２の外周端部２ｂには、略
円板形を呈するフライホイール７が、その端面外
周の固定用突起９と座金１２とで外周端部２ｂを
挟み込むようにしてボルト８により締結固定して
ある。そして、フライホイール７の弾性板２が固
定される部位の内周端部、即ち固定用突起９の内
周端部を滑らかな曲面１０に形成してある。又、
フライホイール７は、その内周端部７ａの取付孔
１１は補強部材３の円筒部３ａに軸方向移動可能
に嵌合すると共に、内周端部７ａを補強部材３の
フランジ部３ｂと弾性板２との間に所定の隙間が
生じるように係合してある。さらに、フライホイ
ール７の外周に取り付けられる前記座金１２は、
その弾性板２側の内側角部を滑らかな曲面１３に
形成してある。１４は弾性板２の外周端に固定さ
れたリングギヤであり、このリングギヤ１４は図
外のスタータモータのピニオンギヤに噛合され、
内燃機関の始動時にスタータモータの回転をクラ
ンクシヤフト１に伝達するためのものである。

以上の実施例構造によれば、内燃機関のクラン
クシヤフト１が回転すると、フライホイール７は
回転方向に対して剛性が大きく形成された弾性板
２によつて確実に回動させられる。この回動時、
クランク軸系の曲げ振動に起因して弾性板２が曲
げ振動を生じても、弾性板２の外周側の固定部両
側は、フライホイール７の固定用突起９の内側角
部に形成した曲面１０及び座金１２の内側角部に
形成した曲面１３に当接する一方、弾性板２の内
周側の固定部両側は、クランクシヤフト１の軸端
の外周端部に形成した曲面５及び補強部材３の弾
性板２側の外周端に形成した曲面６に当接するた
め、弾性板２のフライホイール７との固定部近傍
及び弾性板２のクランクシヤフト１との固定部近
傍に応力集中が生じるのを抑制でき、応力集中に
起因する弾性板２の破損を防止する。又、本実施
例によれば、フライホイール７の内周端部７ａを
補強部材３のフランジ部３ｂと弾性板２との間に
係合すると共に、取付孔１１を補強部材３の円筒
部３ａの外周に嵌合してあるため、万一弾性板２
が破損しても、フライホイール７が半径方向及び
軸方向に遊動して他の部品に二次的な損傷を与え
るのを防止できる。

考案の効果 以上述べたように本考案によれば、クランクシ
ヤフト後端の弾性板が固定される部位の外周端部
と補強部材の弾性板側の外周端部とを滑らかな曲
面にすると共に、フライホイールの弾性板が固定
される固定用突起の内側角部と座金の弾性板側の
内側角部とを滑らかな曲面にしたため、クランク
軸系の曲げ振動によつて弾性板が曲げ振動を生じ
ても、弾性板の内外周の固定部両側がクランクシ
ヤフト後端と補強部材、フライホイールの固定用
突起と座金の角曲面に当接し、これらの部位で弾
性板の応力集中を回避することができ、このた
め、この応力集中に起因する弾性板の破損を防止
することができる。また、クランク軸系の曲げ振
動の入力に応じて弾性板の内周側及び外周側のた
わみ支点がクランクシヤフトと補強部材、フライ
ホイールと座金の各曲面に沿つて連続的に変化す
るため、弾性板のたわみが弾性板の広い領域で行
われることとなり、クランク軸系の曲げ振動をよ
り効果的に低減することができる。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案の実施例を示す内燃機関のフラ
イホイール取付部構造の断面図である。 １……クランクシヤフト、２……弾性板、２ａ
……内周端部、２ｂ……外周端部、３……補強部
材、５，６，１０，１３……曲面、７……フライ
ホイール、９……固定用突起、１２……座金。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 弾性板の内周端部を補強部材とクランクシヤフ
   ト後端で挟み込んだ状態でクランクシヤフトに固
   定し、前記弾性板の外周端部を座金とフライホイ
   ール端面外周の固定用突起で挟み込んだ状態でフ
   ライホイールを弾性板へ固定した内燃機関のフラ
   イホイール取付部構造において、前記クランクシ
   ヤフト後端の弾性板が固定される部位の外周端部
   と前記補強部材の弾性板側の外周端部とを滑らか
   な曲面にすると共に、前記フライホイールの弾性
   板が固定される固定用突起の内側角部と前記座金
   の弾性板側の内側角部とを滑らかな曲面にしたこ
   とを特徴とする内燃機関のフライホイール取付部
   構造。