JP3801282B2 - 自動2輪車等の車体フレーム構造 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、自動2輪車等に好適な車体フレーム構造に関する。
【0002】
【従来の技術】
特公平4−71747号に例示する従来の自動2輪車の車体フレームは、前輪を操向自在に支持するヘッドパイプから後方へ延びる丸パイプ製の主フレームと、その後端部側面へ上端を溶接されて下方へ延びるピボットフレームと、主フレームの後端部側面へ前端を溶接されて後方へ延びるシートレールとを備えている。
【0003】
ピボットフレームの上端部は、その軸線が上下方向へ延び、主フレームの軸線及びシートレールの前端部における軸線とそれぞれ交差している。
【0004】
なお、ピボットフレームとシートレールもそれぞれ丸パイプ製であり、ピボットフレームは、中間部に設けられたピボット部において、後端部で後輪を支持するリヤアームの前端部を軸着し、シートレール上にはシートが支持されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
ところで上記のように、ピボットフレームの取付部における軸線が主フレームの軸線と交差する場合、ピボットフレームとシートレールでは、それぞれ溶接方向が異なる。
【0006】
このため、ピボットフレームとシートレールをそれぞれ別々の溶接作業で取付けなければならず、作業内容が複雑となり溶接作業の工数が多くなるとともに、自動化も困難になる。
【0007】
そのうえ、別々に溶接することにより、個々の溶接作業における精度がバラつくと全体の溶接精度に対する影響も大きくなる。
【0008】
また、主フレームが丸パイプであれば、ピボットフレームの上端部等における切り口の精度など当接部構造が難しくなり、溶接ラインは主フレームの円周方向に沿って3次元曲線となるので、一層溶接作業が難しくなる。
【0009】
さらに、溶接強度を大きくするために溶接ラインを長くしようとしても、十分な溶接ラインの長さを確保することも困難である。
【0010】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するための本願発明に係わる自動2輪車等の車体フレーム構造は、前輪を操向自在に支持するヘッドパイプから後方へ延びる主フレームと、その後端部側面へ上端を溶接されて下方へ延び、後輪を揺動自在に支持するリヤアームのピボットを支持するピボットフレームと、主フレームの後端部側面へ前端を溶接されて後方へ延び、その上面でシートを支持するシートレールとを備えた自動2輪車等において、ピボットフレームの上端部とシートレールの前端部の少なくともいずれか一方を曲げることにより、前記各端部をそれぞれ同一方向に向け主フレームの後端部側面上で近接させて同一直線上に並ぶように配設し、主フレームに対するそれぞれの溶接部を連続する一本の溶接ライン上のみに位置させたことを特徴とする。
【0011】
この場合、主フレームを丸パイプとし、この主フレームの軸線方向に略沿って前記ピボットフレームの上端部とシートレールの前端部を前後方向へずらして配設するようにもできる。
【0012】
【発明の効果】
本願発明は、ピボットフレームの上端部とシートレールの前端部とを、少なくともいずれか一方を曲げることにより、前記各端部をそれぞれ同一方向に向け主フレームの後端部側面上で近接させて同一直線上に並ぶように配設したので、主フレームに対するそれぞれの溶接部が連続する一本の溶接ライン上のみに位置させることができる。
【0013】
このため、ピボットフレームの上端部とシートレールの前端部の各溶接部を連続する1本の溶接ラインで溶接できるようになり、溶接精度を高め、かつ溶接作業の工数が削減でき、そのうえ自動化も容易になる。
【0014】
また、主フレームを丸パイプとし、ピボットフレームの上端部とシートレールの前端部とを主フレームの軸線方向に略沿うよう前後方向へずらして配置すれば、主フレームの軸線方向に略沿う直線的な溶接ラインで溶接できる。
【0015】
このため、溶接作業を主フレームの軸線方向と略平行な直線上で行えるので、丸パイプへの溶接にもかかわらず、溶接が容易かつ正確になり、しかも、接合部であるピボットフレームの上端部とシートレールの前端部の各形状を簡単にすることができる。
【0016】
そのうえ、ピボットフレームの上端部とシートレールの前端部における各溶接ラインを十分に長くすることができ、十分な溶接強度を確保できる。
【0017】
【発明の実施の形態】
図面に基づいてカスタムバイクとして構成された本願発明の一実施形態を説明する。図1は主フレームとシートレール及びピボットフレームの連結部を示す側面拡大図、図2は自動2輪車全体の左側面図、図3は同右側面図、図4は車体フレームの全体側面図、図5は図1の上面視図である。
【0018】
まず、図2及び図3に示すように、この自動2輪車は、前輪1を支持するフロントフォーク2の上部がボトムブリッジ3及びトップブリッジ4を介してヘッドパイプ5へ回動自在に支持され、トップブリッジ4からはハンドルバー6が取付けられ、そのグリップ7の位置は後方へ配置されている。
【0019】
ヘッドパイプ5が前端部に取付けられた主フレーム10は、車体中心に沿って前後方向へ延び、ヘッドパイプ5の下部左右からはダウンフレーム11が左右一対で斜め下方へ延び、その下端部は略水平に前後方向へ延びるロアフレーム12へ連続している。
【0020】
主フレーム10の後端部からは、左右一対のピボットフレーム13がダウンフレーム11と側面視で略平行に下方へ延び、その下端部は、ロアフレーム12の後端部から斜め上方かつ後方へ連続して延びる左右一対のリヤステイ14の下部と接続されている。
【0021】
さらに、主フレーム10の後端部からは、左右一対のシートレール15が略水平に後方へ延び、その後部は、リヤステイ14の左右各上部と接続されている。
【0022】
リヤステイ14はシートレール15の接続部近傍で屈曲して略水平に後方へ延び、その外側面は取付部17で取付けられたグラブレール16で覆われ、後端部にその延長方向後方へ延びる左右一対のサブフレーム18へ接続されるとともに、リヤウインカ19が支持されている。
【0023】
主フレーム10、ダウンフレーム11、ロアフレーム12、ピボットフレーム13、シートレール15及びリヤステイ14は車体フレームを構成し、このうち車体前部側となる、主フレーム10、ダウンフレーム11、ロアフレーム12及びシートレール15によりクレドール型のフレーム構造をなし、ここにエンジン20が支持されている。
【0024】
エンジン20は、気化器21を介してサイドカバー22内のエアクリーナから吸気され、排気管23、マフラー24から排気される。
【0025】
符号25はクランクケース、26はセルモータであり、ドライブギヤ27からチエーン28を介して後輪29と同軸のスプロケット30が駆動される。
【0026】
後輪29は、リヤアーム31の後端部へ支持され、リヤアーム31は前端部をピボットフレーム13の中間部に設けられたピボット部32において上下方向へ揺動自在に軸着され、このリヤアーム31の後部とリヤステイ14の上部間に緩衝器33が取付けられている。
【0027】
主フレーム10上には燃料タンク34が支持され、その上面前部には各種のインジケータやメータ類の表示部35が設けられ、燃料タンク34の後方にはシートレール15上に運転者用シート36が支持されている。
【0028】
運転者用シート36の後方には同乗者用シート37がリヤカウル38上に支持され、同乗者用シート37の後部には背もたれ39が配設され、そのその背もたれ支持部材40がグラブレール16へ取付けられている。
【0029】
リヤカウル38の下部にはリヤフェンダ41が取付けられ、その後端部にテールライト42、マッドガード43が取付けられ、サブフレーム18で支持されている。
【0030】
符号45はフロントステップ、46はブレーキペダル、47はシフトペダルであり、これらは、エンジン20の下部前方に相当する位置に設けられ、運転者が足を前方へ投げ出すカスタムバイク風の乗車姿勢をとれるようになっている。
【0031】
符号48はサイドスタンド、49はリヤステップである。さらに、50は、軽合金等製のホイール、51はブレーキデイスク、52はブレーキキャリパ、53はフロントフェンダ、54はヘッドライト、55はフロントウインカ、56はホーン、57はエンジン20のシリンダ上部を側方から覆うフロントサイドカバー、58は補強パイプである。
【0032】
次に、車体フレーム構造の詳細について説明する。図1乃至図3に明らかなように、ピボットフレーム13は丸パイプで構成され、その上端部60は偏平につぶされ、かつ前方へ屈曲した屈曲部61の先端に形成されている。
【0033】
上端部60近傍の取付部軸線L1は、丸パイプからなる主フレーム10の軸線L0の方向と略一致し、上端部60は長辺部62が比較的長い範囲で主フレーム10の側面へ当接して溶接され、この上下の長辺部62に沿って溶接ライン63が形成されている。
【0034】
シートレール15の取付も同様であり、前端部70は偏平のつぶし部をなし、その取付軸線L2が主フレーム10の軸線L0と略一致するようになっている。
【0035】
前端部70は長辺部72が比較的長い範囲で主フレーム10の側面へ当接して溶接され、この上下の長辺部72に沿って溶接ライン73が形成されている。
【0036】
これらの溶接ライン63及び73は、中間の非溶接部溶接ライン80を挟んで同一直線上のみに連続して位置し、実質上一工程で各溶接ライン(63,73,80)が連続して形成される。また、上端部60と前端部70は主フレーム10の後端部側面上へ近接して同一直線上に並ぶように配設されている。
【0037】
さらに、図1及び4に明らかなように、ピボットフレーム13の上端部60、屈曲部61及びシートレール15の前端部70は側面視で部分的に重なって前後方向へずれて設けられている。
【0038】
次に、本実施形態における作用を説明する。図1乃至図3に示すようにピボットフレーム13の上端部60及び屈曲部61とシートレール15の前端部70はそれぞれ取付軸線L1、L2を主フレーム10の軸線L0と略平行にすることにより、長辺部62及び72が主フレーム10の側面へ長く接触する。
【0039】
そこで、この部分に沿って溶接すると、比較的長い溶接ライン63、73で主フレーム10へ溶接される。
【0040】
このため、ピボットフレーム13及びシートレール15はそれぞれ丸パイプの主フレーム10側面に対して十分な溶接強度で取付けられる。
【0041】
また、上端部60と前端部70が側面視で前後方向にずれて重なっているので図1に示す側面視のように、溶接ライン63と73が同一線上に並び、非溶接部溶接ライン80とともに連続する1本の溶接ラインを形成する。
【0042】
したがって、ピボットフレーム13の上端部60とシートレール15の前端部70を、各上部又は下部毎にそれぞれ一度の溶接工程で溶接できるようになり、溶接作業の工数が削減され、自動化も可能になる。
【0043】
しかも、ピボットフレーム13の上端部60及びシートレール15の前端部70の溶接を同時に行うので、全体の溶接精度は、ピボットフレーム13及びシートレール15個々の溶接精度に依存しなくなり、溶接不良吸収性に優れた溶接構造になる。
【0044】
また、主フレーム10が丸パイプであっても、ピボットフレームの上端部60とシートレールの前端部70とを主フレームの軸線L0方向に略沿うよう前後方向へずらして配置することにより、主フレームの軸線L0方向に略沿う直線的な溶接ラインで溶接できる。
【0045】
このため、溶接作業を主フレームの軸線L0方向と略平行な直線上で行えるので、丸パイプへの溶接にもかかわらず、溶接が容易かつ正確になり、しかも、接合部であるピボットフレームの上端部60とシートレールの前端部70の各形状を比較的単純にすることができる。
【0046】
そのうえ、ピボットフレームの上端部とシートレールの前端部における各溶接ラインを十分に長くすることができ、十分な溶接強度を確保できる。
【0047】
なお、非溶接部溶接ライン80は必ずしも形成する必要はなく、この部分は飛ばして溶接することもできる。但し、非溶接部溶接ライン80を形成すれば前記したように溶接作業が容易になる。
【0048】
また、主フレーム10は本例のような丸パイプでなく、少なくともその後部に、角形断面をした鋳造部材等を適宜用いることができ、この場合にはピボットフレーム13の上端部60とシートレール15の前端部70を必ずしも前後方向へずらす必要はなく、例えば、斜め上下方向へずらして配置し、かつシートレール15の前端部70側をピボットフレーム13と上端部60の同一線上になるようにより大きく上下方向へ曲げてもよい。
【図面の簡単な説明】
【図1】 車体フレーム要部の側面図
【図2】 自動2輪車全体の左側面図
【図3】 同右側面図
【図4】 その要部拡大図
【図5】 主フレーム部分の上面視図
【符号の説明】
10:主フレーム、13:ピボットフレーム、15:シートレール、60:ピボットフレームの上端部、63:溶接ライン、70:シートレールの前端部、73:溶接ライン
Claims (2)
- 前輪を操向自在に支持するヘッドパイプから後方へ延びる主フレームと、その後端部側面へ上端を溶接されて下方へ延び、後輪を揺動自在に支持するリヤアームのピボットを支持するピボットフレームと、主フレームの後端部側面へ前端を溶接されて後方へ延び、その上面でシートを支持するシートレールとを備えた自動2輪車等において、
ピボットフレームの上端部とシートレールの前端部の少なくともいずれか一方を曲げることにより、前記各端部をそれぞれ同一方向に向け主フレームの後端部側面上で近接させて同一直線上に並ぶように配設し、主フレームに対するそれぞれの溶接部を連続する一本の溶接ライン上のみに位置させたことを特徴とする自動2輪車等の車体フレーム構造。 - 主フレームが丸パイプであり、この主フレームの軸線方向に略沿って前記ピボットフレームの上端部とシートレールの前端部を前後方向へずらして配設したことを特徴とする請求項1に記載した自動2輪車等の車体フレーム構造。
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