JP3800118B2 - 熱定着装置および画像形成装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、熱定着装置およびその熱定着装置を備える画像形成装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
レーザプリンタなどの画像形成装置では、通常、用紙に転写されたトナー像を熱定着させるために、加熱ローラおよび押圧ローラを備える熱定着装置が設けられており、用紙が加熱ローラと押圧ローラとの間を通過する間に、用紙上に転写されたトナー像を熱定着させるようにしている。
【0003】
そして、熱定着装置の加熱ローラ26は、図10に示すように通常、円筒状をなし、画像形成装置が許容する最大サイズの用紙を熱定着できるように、その最大サイズの用紙幅に対応した長さを有しており、その軸方向のほぼ全体にわたってハロゲンランプなどからなるヒータを内装して、そのヒータの発熱によって、加熱ローラの軸方向長さのほぼ全体を加熱するように構成されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、例えば、小サイズの用紙3a(例えばA6)と大サイズの用紙3b(例えばA4)とを1つの熱定着装置で熱定着させる場合においては、加熱ローラ26は、ヒータによって、常に大サイズの用紙幅に対応した軸方向のほぼ全体にわたって加熱されることから、小サイズの用紙3aを熱定着させている時には、小サイズの用紙3aが接触する加熱ローラ26の表面は、その用紙によって熱が奪われる。制御部Cは、小サイズの用紙3aが接触する部分の温度を一定範囲内に保つように温度制御するので、その小サイズの用紙3aが接触しない部分、つまり、小サイズの用紙3aの幅方向両外側の加熱ローラの表面の温度は、定着温度よりも高くなる。
【0005】
その一方で、次に大サイズの用紙3bを熱定着させる時には、その温度が高くなった部分(すなわち、加熱ローラにおける小サイズの用紙3aが接触していた部分の幅方向両外側の部分)が大サイズの用紙3bに接触するため、その部分が過度に加熱されていると、トナーの過定着によるホットオフセット(溶融し過ぎたトナーが加熱ローラの表面に付着するために生じるオフセット)を生じてしまう。
【0006】
そこで図10に示すようにヒータを、加熱ローラ26の幅方向中央に加熱のピークを持つ第1ハロゲンランプAと、加熱ローラ26の両端部に加熱のピークを持つ第2ハロゲンランプBとに分け、どんなサイズの用紙を印刷する際にも適応できるようにすることが試みられている。
【0007】
しかしながらこのようにヒータを構成しても、適切に加熱ローラ26の温度制御を行なえない場合がある。この原因は、加熱ローラ26の表面温度を検出する温度センサ40の位置にある。つまり、こうした複数のヒータを持つ熱定着装置においては、温度制御のフィードバックに用いる温度センサが、図10に示すように第1ハロゲンランプAによって加熱を受ける領域と第2ハロゲンランプBによって加熱を受ける領域との境界付近の温度を検出している。この部位はハロゲンランプA,B双方によって加熱を受けるので、例えば、第1ハロゲンランプAの加熱が不足しており、第2ハロゲンランプBの加熱が過剰の場合でも「適温」と検出する可能性がある。
【0008】
特に、ハロゲンランプA,Bのいずれかで故障などの異常が発生すると、制御が適切に行なわれなくなるだけでなくその検出すら困難になる。例えば、ハロゲンランプA,Bに異常が発生して加熱ローラ26の温度が低下し、それが温度センサ40によって検出されても、2つのハロゲンランプA,Bの何れかで異常が発生したことを定着装置の管理者に報知し、管理者がハロゲンランプA,Bのどちらでその異常が発生したかを確認する必要がある。これを自動的に行なおうとすると、一方のハロゲンランプの通電を停止させ、そのハロゲンランプにより加熱されていた部分が冷める(つまりそのハロゲンランプの影響が消える)のを待ってから、他方のハロゲンランプの加熱のみによる加熱ローラ26の温度に基づいてそのハロゲンランプの異常の有無を検出し、異常がなければ前記一方のハロゲンランプに異常が発生したと判定することが考えられる。しかしこれでは、加熱ローラ26が冷めるのを待つのに非常に時間が掛かる。
【0009】
これらの問題は、こうした熱定着装置を用いた画像形成装置に限らず、同様の熱定着装置を用いてシート状部材の加熱を行なう装置、例えば、ラミネータにおいても同様に発生する。
本発明はかかる課題に鑑みなされたもので、定着部材において軸方向の異なる位置を加熱する複数のヒータを備えた熱定着装置において、温度制御を適切に行なうことを第1の目的とし、同熱定着装置において、ヒータに生じた異常を適切に検出できるようにすることを第2の目的としている。
【0010】
【課題を解決するための手段及び発明の効果】
係る課題を解決するためになされた請求項1に記載の本発明は、定着媒体に被定着媒体を熱定着させるための定着部材と、該定着部材の端部付近を加熱するためのサイドヒータと、前記定着部材の軸方向中央部付近を加熱するためのセンターヒータとを備えた熱定着装置において、前記定着部材の、前記サイドヒータによって加熱された前記定着部材の端部付近の温度を検出する端部温度検出手段と、前記定着部材の、前記センターヒータによって加熱された前記定着部材の中央付近の温度を検出する中央部温度検出手段と、前記端部温度検出手段および前記中央部温度検出手段の両温度検出手段によって検出される各温度を予め定められた上限値および下限値の間となるように前記センターヒータおよび前記サイドヒータの駆動を制御するとともに、該両温度検出手段によって検出された各温度の差が第1の判定用基準値を超えている場合には、その温度差が前記第1の判定用基準値以下の値である第2の判定用基準値以下になるまで、該両温度検出手段によって検出された各温度の内の、前記上限値と下限値の中央値から遠い方の温度を近い方の温度に近付けるように制御する加熱制御手段と、を備えたことを特徴とする熱定着装置をその要旨とする。
【0011】
このような構成によると、センターヒータによって加熱された中央部付近の温度を検出する中央部温度検出手段の検出結果に基づいてセンターヒータの駆動を制御し、サイドヒータによって加熱された端部付近の温度を検出する端部温度検出手段の検出結果に基づいてセンターヒータの駆動を制御するので、定着媒体のほぼ全体にわたり、適切に温度を制御を行なうことができる。
【0012】
そして、定着媒体のサイズによらず、定着部材の全体にわたりほぼ均一な温度に保つことができる。
【0013】
そして更に、定着媒体の端部付近、定着媒体の中央部付近のいずれか一方を、上限値と下限値の間の温度にすることができる。そして本発明に係る処理を繰り返すことにより、定着媒体の端部付近、定着媒体の中央部付近の双方を上限値と下限値の間の温度にすることができる。
【0014】
請求項2に記載の本発明は、前記中央部温度検出手段による検出結果に基づいて前記センターヒータの異常の有無を判定し、前記端部温度検出手段による検出結果に基づいて前記サイドヒータの異常の有無を判定する診断手段とをさらに備えたことを特徴とする請求項1に記載の熱定着装置をその要旨とする。
【0015】
このような構成によると、センターヒータによって加熱された定着部材の中央部付近の温度、およびサイドヒータによって加熱された定着部材の端部付近の温度を、それぞれ独立して中央部温度検出手段および端部温度検出手段にて検出しているので、診断手段が、センターヒータ、サイドヒータのいずれで異常が発生したかを適切に診断することができる。
【0016】
請求項3に記載の本発明は、請求項2に記載の熱定着装置において、前記診断手段が、当該熱定着装置の立ち上げ時に、前記端部温度検出手段による検出結果、または前記中央部温度検出手段による検出結果が、予め定められた温度に達するまでに掛かった時間が予め定められた時間内にない場合に、その温度検出手段によって加熱された箇所の温度が検出されている前記ヒータに異常が発生していると診断するものであることを特徴とする。
【0017】
熱定着装置の立ち上げ時に、センターヒータ、サイドヒータのいずれにも異常がない場合は、定着部材の中央部付近、端部付近のいずれも予め定められた時間内に予め定められた適正温度範囲内に到達する筈である。本発明のようにすることにより、熱定着装置の立ち上げ時に発生しているヒータの異常を、夫々独立して検出することができる。なお、予め定められた時間、予め定められた適正温度範囲は、中央部付近と端部付近とで異なっていても良い。もちろん同じでも良い。
【0018】
請求項4に記載の本発明は、請求項2に記載の熱定着装置において、前記診断手段が、当該熱定着装置の立ち上げ時に、前記端部温度検出手段による検出結果、または前記中央部温度検出手段による検出結果が予め定められた時間内に予め定められた適正温度範囲内にない場合に、その温度検出手段によって加熱された箇所の温度が検出されている前記ヒータに異常が発生していると診断するものであることを特徴とする。
【0019】
このように構成することにより、請求項3に記載の本発明と同様の効果を発揮する。そしてそれに加え、次のような効果がある。すなわち、ヒータに異常が発生した場合、予め定められた適正温度に到達しない場合がある。そうした場合、予め定められた適正温度範囲に到達するのに掛かった時間に基づいて異常の有無を判断する請求項5の構成では、診断ができなくなる。これに対し、請求項4に記載の本発明によれば、予め定められた適正温度範囲に到達しなくても異常の発生を検出することができる。
【0020】
請求項5に記載の本発明は、請求項2乃至4のいずれかに記載の熱定着装置において、前記診断手段が、前記両温度検出手段による検出結果の少なくとも一方が、前記上限値を上回るかまたは前記下限値を下回ると、その温度検出手段によって加熱された箇所の温度が検出されている前記ヒータに異常が発生していると診断するものであることを特徴とする。
【0021】
このような構成によると、定着中において、センターヒータ、サイドヒータの少なくとも一方に発生した異常を、夫々独立して検出することができる。
【0022】
請求項6に記載の本発明は、請求項2乃至4のいずれかに記載の熱定着装置において、前記診断手段が、前記両温度検出手段による検出結果の差が、前記上限値と前記下限値の差を上回ると、少なくとも一方の前記ヒータに異常が発生していると診断するものであることを特徴とする。
【0023】
温度検出手段による検出結果の差が、予め定められた上限値と同じく予め定められた下限値との差を上回るということは、少なくとも一方が、上限値を上回っているか又は下限値を下回っていることになる。請求項6のような構成によると、少なくとも一方のヒータに異常が発生している、と適切に診断することができる。
【0024】
なお、各ヒータや各温度検出手段が検出する位置の具体例としては、請求項7に記載のように、サイドヒータおよびセンターヒータをいずれもハロゲンランプとし、端部温度検出手段を、サイドヒータの配光のピークの位置の温度を検出するものとし、中央部温度検出手段が、センターヒータの配光のピークの位置の温度を検出するものとするとよい。もちろん、これら以外の態様にしても良い。
【0025】
請求項8に記載の本発明は、請求項1乃至7のいずれかに記載の熱定着装置において、前記定着部材が、ヒートローラであることを特徴とする。
このような構成によると、画像形成装置、ラミネータなど様々な熱定着装置に容易に適用可能となる。
【0026】
請求項9に記載の本発明は、請求項1乃至8のいずれかに記載の熱定着装置を備えたことを特徴とする画像形成装置をその要旨とする。
このような構成によると、夫々対応する熱定着装置による効果を備えた画像形成装置を実現できる。例えば、請求項1に記載の熱定着装置を備えた画像形成装置によれば、定着媒体(画像を形成する媒体)のほぼ全体にわたり、適切に制御を行なうことができる。また請求項2に記載の熱定着装置を備えた画像形成装置によれば、センターヒータ、サイドヒータのいずれで異常が発生したかを適切に診断することができる画像形成装置となる。
【0027】
【発明の実施の形態】
以下に本発明の実施形態として、画像形成装置としてのレーザプリンタ1について図1を用いて説明する。レーザプリンタ1は、本体ケーシング2内に、定着媒体としての用紙3を給紙するためのフィーダ部4や、給紙された用紙3に所定の画像を形成するための画像形成部5等を備えている。
【0028】
フィーダ部4は、本体ケーシング2内の底部に、着脱可能に装着される給紙トレイ6と、給紙トレイ6内に設けられた用紙押圧板7と、給紙トレイ6の一端部の上方に設けられる給紙ローラ8および給紙パッド9と、給紙ローラ8に対し用紙3の搬送方向の下流側(以下、用紙3の搬送方向上流側または下流側を、単に、上流側または下流側という場合がある。)に設けられる搬送ローラ10および11と、搬送ローラ10および11に対し用紙3の搬送方向の下流側に設けられるレジストローラ12とを備えている。
【0029】
用紙押圧板7は、用紙3を積層状にスタック可能とされ、給紙ローラ8に対して遠い方の端部において揺動可能に支持されることによって、近い方の端部を上下方向に移動可能とし、また、その裏側から図示しないばねによって上方向に付勢されている。そのため、用紙押圧板7は、用紙3の積層量が増えるに従って、給紙ローラ8に対して遠い方の端部を支点として、ばねの付勢力に抗して下向きに揺動される。給紙ローラ8および給紙パッド9は、互いに対向状に配設され、給紙パッド9の裏側に配設されるばね13によって、給紙パッド9が給紙ローラ8に向かって押圧されている。用紙押圧板7上の最上位にある用紙3は、用紙押圧板7の裏側から図示しないばねによって給紙ローラ8に向かって押圧され、その給紙ローラ8の回転によって給紙ローラ8と給紙パッド9とで挟まれた後、1枚毎に給紙される。給紙された用紙3は、搬送ローラ10および11によってレジストローラ12に送られる。レジストローラ12は、1対のローラから構成されており、用紙3を所定のレジスト後に、画像形成位置に送るようにしている。
【0030】
画像形成位置は、本実施形態の場合、感光ドラム23と転写ローラ24とが接触する位置であり、つまり感光ドラム23上のトナー像を用紙3に転写する転写位置である。
なお、このフィーダ部4は、さらに、マルチパーパストレイ14と、マルチパーパストレイ14上に積層される用紙3を給紙するためのマルチパーパス給紙ローラ15およびマルチパーパス給紙パッド15aとを備えており、マルチパーパス給紙ローラ15およびマルチパーパス給紙パッド15aは、互いに対向状に配設され、マルチパーパス給紙パッド15aの裏側に配設される図示しないばねによって、マルチパーパス給紙パッド15aがマルチパーパス給紙ローラ15に向かって押圧されている。マルチパーパストレイ14上に積層される用紙3は、マルチパーパス給紙ローラ15の回転によってマルチパーパス給紙ローラ15とマルチパーパス給紙パッド15aとで挟まれた後、1枚毎に給紙される。
【0031】
画像形成部5は、スキャナユニット16、プロセスカートリッジ17、転写ローラ24および熱定着装置18などを備えている。
スキャナユニット16は、本体ケーシング2内の上部に設けられ、レーザ発光部(図示せず)、回転駆動されるポリゴンミラー19、レンズ20および21、反射鏡22などを備えており、レーザ発光部から発光される所定の画像データに基づくレーザビームを、鎖線で示すように、ポリゴンミラー19、レンズ20、反射鏡22、レンズ21の順に通過あるいは反射させて、後述するプロセスカートリッジ17の感光ドラム23の表面上に高速走査にて照射させている。
【0032】
プロセスカートリッジ17は、スキャナユニット16の下方に配設され、本体ケーシング2に対して着脱自在に装着されるように構成されている。このプロセスカートリッジ17は、感光ドラム23を備えるとともに、図示しない、スコロトロン型帯電器、現像ローラ、トナー収容部などを備えている。
【0033】
トナー収容部には、現像剤として、正帯電性の非磁性1成分の重合トナーが充填されており、そのトナーが現像ローラに一定厚さの薄層として担持される。
一方、感光ドラム23は、現像ローラと対向状に回転可能に配設されており、ドラム本体が接地されるとともに、その表面がポリカーボネートなどから構成される正帯電性の感光層により形成されている。
【0034】
そして、感光ドラム23の表面は、感光ドラム23の回転に伴って、スコロトロン型帯電器により一様に正帯電された後、スキャナユニット16からのレーザビームの高速走査により露光され、所定の画像データに基づく静電潜像が形成され、その後、現像ローラと対向した時に、現像ローラ上に担持されかつ正帯電されているトナーが、その感光ドラム23の表面に形成される静電潜像、すなわち、一様に正帯電されている感光ドラム23の表面のうち、レーザビームによって露光され電位が下がっている部分に供給され、選択的に担持されることによって可視像化され、これによって反転現像が達成される。
【0035】
転写ローラ24は、感光ドラム23の下方において、本体ケーシング2側において回転可能に支持された状態で、感光ドラム23と対向するように配置されている。この転写ローラ24は、金属製のローラ軸に、導電性のゴム材料からなるローラが被覆されており、感光ドラム23に対して所定の転写バイアスが印加されている。そのため、感光ドラム23上に担持されたトナー像からなる可視像は、用紙3が感光ドラム23と転写ローラ24との間を通る間に用紙3に転写される。可視像が転写された用紙3は、搬送ベルト25を介して、次に述べる熱定着装置18に搬送される。
【0036】
熱定着装置18は、プロセスカートリッジ17の側方下流側に配設され、ヒートローラとしての加熱ローラ26、加熱ローラ26と用紙3の搬送経路を挟んで対向配置され、その加熱ローラ26を押圧する押圧ローラ27、および、これら加熱ローラ26および押圧ローラ27の下流側に設けられる搬送ローラ28を備えている。
【0037】
加熱ローラ26は、アルミニウムからなる円筒状の加熱部材としてのローラ本体32と、センターヒータとしての第1ハロゲンランプAおよびサイドヒータとしての第2ハロゲンランプBとを備えている。
第1ハロゲンランプAおよび第2ハロゲンランプBは、図1にも示したように、ローラ本体32内に軸方向に沿って並列状に設けられており、これらの第1ハロゲンランプAおよび第2ハロゲンランプBの発熱により、ローラ本体32が加熱されるように構成されている。
【0038】
押圧ローラ27は、金属製のローラ軸に弾性体からなるローラが被覆されており、加熱ローラ26を所定の圧力で押圧している。
そして、この熱定着装置18では、プロセスカートリッジ17において用紙3上に転写されたトナー像を、用紙3が加熱ローラ26と押圧ローラ27との間を通過する間に、熱定着するようにしている。
【0039】
熱定着装置18において定着された用紙3は、その後、熱定着装置18の下流側に設けられる搬送ローラ28およびその搬送ローラ28の下流側に配置される搬送ローラ29および排紙ローラ30に搬送され、その排紙ローラ30によって排紙トレイ31上に排紙される。
【0040】
そして、このレーザプリンタ1では、小さいサイズの用紙3(以下、小サイズ用紙3aとして説明する)と、大きいサイズの用紙3(以下、大サイズ用紙3bとして説明する)とを印刷可能に構成されており、熱定着装置18も、これに対応して、小サイズ用紙3aと大サイズ用紙3bとを定着可能に構成されている。以下、この熱定着装置18において、小サイズ用紙3aと大サイズ用紙3bとを定着する具体的構成および制御について詳述する。
【0041】
なお、以下の具体的な説明において、小サイズ用紙3aは、A5縦サイズやA6横サイズの用紙(幅148mm)が、また、大サイズ用紙3bは、A4縦サイズの用紙(幅209mm)が採用される。
また、この熱定着装置18は、ローラ本体32における第1ハロゲンランプAによる加熱のピークの位置に第1温度センサ41が、第2ハロゲンランプBによる加熱のピークの位置に第2温度センサ42が設けられている。これにより、制御部Cがローラ本体32の中央部および端部付近の温度を正確に検知して、第1ハロゲンランプAおよび第2ハロゲンランプBのオン・オフを適切に制御することにより、ローラ本体32の温度を制御を行なったり、ハロゲンランプA,Bの異常を検出したりしている。
【0042】
そうした処理の一例であるヒータ異常検出処理(1)を図3に示す。本処理はレーザプリンタ1の電源が投入されると起動される。本処理が起動されると、まずステップ(以下Sと記す)10で、第1温度センサ41によって検出された加熱ローラ26の中央部の温度TA が定着下限温度Tl以上か否かを判定する。定着下限温度Tlとは、それ以下の温度ではトナーが十分に溶融せずに粉の状態で残り、用紙3に定着できない温度である。中央部の温度TA が定着下限温度Tlに満たなければS10に戻り定着下限温度Tlに達するのを待つ。中央部の温度TA が定着下限温度Tl以上であれば(S10:YES)、S20に進み、電源投入からの経過時間tと時間t1 との差の絶対値が許容範囲ε1 未満か否かを判定する。時間t1 とは、電源を投入(すなわち第1ハロゲンランプAの点灯)後、第1ハロゲンランプAが定着下限温度Tlに到達するのに掛かる時間の平均である(図4参照)。経過時間tと時間t1 との差の絶対値が許容範囲ε1 以上の場合は、S30に進み、センターヒータ、すなわち第1ハロゲンランプAに異常が発生したことを報知してS40に進む。経過時間tと時間t1 との差の絶対値が許容範囲ε1 未満の場合(S20:YES)は、直接S40に進む。
【0043】
S40では、加熱ローラ26の端部付近の温度TB が定着下限温度Tl以上か否かを判定する。端部付近の温度TB が定着下限温度Tlに満たなければS40に戻り定着下限温度Tlに達するのを待つ。端部付近の温度TB が定着下限温度Tl以上であれば(S40:YES)、S50に進み、経過時間tと時間t2 との差の絶対値が許容範囲ε2 未満か否かを判定する。時間t2とは、電源を投入(すなわち第2ハロゲンランプBの点灯)後、第2ハロゲンランプBが定着下限温度Tlに到達するのに掛かる時間の平均である(図4参照)。経過時間tと時間t2 との差の絶対値が許容範囲ε2 以上の場合は、S60に進み、サイドヒータ、すなわち第1ハロゲンランプAに異常が発生したことを報知して本処理を終了する。経過時間tと時間t2 との差の絶対値が許容範囲ε2 未満の場合(S50:YES)は、本処理を終了する。
【0044】
本処理によれば、レーザプリンタ1(熱定着装置18)の立ち上げ時に発生しているハロゲンランプA,Bの異常を、夫々独立して検出することができる。すなわち、従来のように2つのヒータの何れかで異常が発生したことのみを検出して、管理者に報知し、管理者がどちらでその異常が発生したかを確認する必要がない。また、一方のヒータの通電を停止させ、そのヒータにより加熱されていた部分が冷めるのを待って他方のヒータの異常の有無を検出し、異常がなければ前記一方のヒータに異常が発生したと判定する、という非常に時間の掛かる診断処理を行なう必要がない。
【0045】
加熱ローラ26の端部の熱は、加熱ローラ26の端部を支持する軸受などの支持部材に伝わるので、加熱ローラ26の端部の温度は一般的に中央よりも上昇しにくい。従って時間t1 よりも時間t2 が長くなっている。尚、本処理の場合、時間t1 およびt2 は、常に一定の値ではなく、電源投入時の加熱ローラ26の温度に応じて変化させて、許容範囲ε1、ε2も変化させるようにするとよい。
【0046】
ヒータの異常を検出する処理の他の例であるヒータ異常検出処理(2)を図5に示す。本処理もレーザプリンタ1の電源が投入されると起動される。本処理が起動されると、まずS100で、電源投入から時間t1 が経過したか否かを判定する。時間t1 が経過していない場合は、S100に戻り経過するのを待つ。時間t1 が経過すると(S100:YES)、第1温度センサ41によって検出された加熱ローラ26の中央部の温度TA が定着下限温度Tlよりも高く、且つ定着上限温度Thよりも低いか否かを判定する。定着上限温度Thとは、それ以上の温度ではホットオフセットが発生する温度である。この範囲(以下、定着温度範囲といい、この処理の場合、請求項の適正温度範囲に対応する)内に加熱ローラ26の中央部の温度TA がない場合にはS120に進み、センターヒータ、すなわち第1ハロゲンランプAに異常が発生したことを報知してS130に進む。定着温度範囲内に加熱ローラ26の中央部の温度TA があれば、直接S130に進む。
【0047】
S130では、電源投入から時間t2 が経過したか否かを判定する。時間t2 が経過していない場合は、S130に戻り経過するのを待つ。時間t2 が経過すると(S130:YES)、第2温度センサ42によって検出された加熱ローラ26の端部付近の温度TB が定着温度範囲内にあるか否かを判定する。定着温度範囲内に加熱ローラ26の端部付近の温度TB がない場合にはS150に進み、サイドヒータ、すなわち第2ハロゲンランプBに異常が発生したことを報知して本処理を終了する。定着温度範囲内に加熱ローラ26の端部付近の温度TB があれば、そのまま本処理を終了する。
【0048】
本処理によっても、レーザプリンタ1(熱定着装置18)の立ち上げ時に発生しているハロゲンランプA,Bの異常を、夫々独立して検出することができる。しかも、図3に示したヒータ異常検出処理(1)と異なり、加熱ローラ26の中央部の温度TA や加熱ローラ26の端部付近の温度TB が、定着下限温度Tlに到達しなくても異常の発生を検出することができる。尚、本処理において、時間t1 およびt2 は、常に一定の値ではなく、電源投入時の加熱ローラ26の温度に応じて変化させるとよい。
【0049】
制御部Cによって実行される他の例であるヒータ異常検出処理(3)を図6に示す。本処理はレーザプリンタ1において印刷(定着動作)が行なわれている間、一定時間毎に割りこみ起動される。本処理が起動されると、まずS200で、加熱ローラ26の中央部の温度TA が定着上限温度Thよりも高いか否かを判定する。高い場合はS210に進み、センターヒータ(第1ハロゲンランプA)に異常が発生したことを報知してS230に進む。加熱ローラ26の中央部の温度TA が定着上限温度Th 以下である場合(S200:NO)は、S220に進み、加熱ローラ26の中央部の温度TA が定着下限温度Tlよりも低いか否かを判定する。加熱ローラ26の中央部の温度TA が定着下限温度Tlよりも低い場合はS210に進み、低くない場合はS230に進む。
【0050】
S230では、加熱ローラ26の端部付近の温度TB が定着上限温度Thよりも高いか否かを判定する。高い場合はS240に進み、サイドヒータ(第2ハロゲンランプB)に異常が発生したことを報知して本処理を終了する。加熱ローラ26の端部付近の温度TB が定着上限温度Th 以下である場合(S230:NO)は、S250に進み、加熱ローラ26の端部付近の温度TB が定着下限温度Tlよりも低いか否かを判定する。加熱ローラ26の端部付近の温度TB が定着下限温度Tlよりも低い場合はS240に進み、低くない場合はそのまま本処理を終了する。
【0051】
本処理によれば、適正温度範囲から、加熱ローラ26の中央部の温度TA 、端部付近の温度TBの何れか一方でもはみ出ると、その異常が報知され、しかもハロゲンランプA、Bのいずれでその異常が発生したかが識別可能に報知されるので、適切に対応を取ることができる。
【0052】
制御部Cによって実行される更に他の処理の一例である温度制御処理を図7に示す。本処理も、レーザプリンタ1において印刷(定着動作)が行なわれている間、一定時間毎に割りこみ起動される。本処理が起動されると、まずS300で、加熱ローラ26の中央部の温度TA 、端部付近の温度TBの温度差(以下、単に温度差ともいう)が15℃を超えているか否かを判定する。ここでこの15℃という値は、定着上限温度Thと定着下限温度Tlの差(以下、これについても適正温度範囲といい、定着温度範囲よりも小さい)となっている。温度差が適正温度差範囲を超えていない場合(S300:NO)は、本処理を終了し、超えている場合(S300:YES)はS310に進む。S310では、加熱ローラ26の中央部の温度TA 、端部付近の温度TBの内、中央温度Tm から遠い方を選択する。中央温度Tm とは、定着上限温度Thと定着下限温度Tlの平均値である。図8の場合、加熱ローラ26の端部付近の温度TB よりも中央部の温度TA の方が中央温度Tm から遠いので、中央部の温度TA が選択される。
【0053】
続くS320では、こうして選択された方(図8では中央部の温度TA )を近い方(図8では端部付近の温度TB )に近付けるように遠い方のハロゲンランプ(図8では第1ハロゲンランプA)の制御値を変更する。そしてS330にて温度差が10℃以下になったか否かを判定し、10℃以下になっていれば本処理を終了し、なっていなければS320に戻って制御値を更に変更する。
【0054】
本処理によれば、加熱ローラ26の端部付近、中央部付近のいずれか一方の温度を、他方へと近付けるできる。そして本処理を繰り返すことにより、他方の方が前記一方よりも中央温度Tm よりも遠くなればその他方が前記一方に接近される。従って、加熱ローラ26の端部付近、中央部付近の双方を定着上限温度Thと定着下限温度Tlの間の温度にすることができる。
【0055】
本処理に類した処理を用いて第1ハロゲンランプA,Bの異常検出を行なっても良い。その例であるヒータ異常検出処理(4)を図9に示す。本処理も、レーザプリンタ1において印刷(定着動作)が行なわれている間、一定時間毎に割りこみ起動される。本処理が起動されると、まずS400で、加熱ローラ26の中央部の温度TA 、端部付近の温度TBの温度差が定着温度範囲(Th−Tl)を超えているか否かを判定する。温度差が定着温度範囲を超えていない場合は、本処理を終了し、超えている場合(S400:YES)はS410に進む。S410では、少なくとも一方のヒータ、すなわち第1ハロゲンランプAおよび第2ハロゲンランプBの少なくとも一方に異常が発生したことを報知して本処理を終了する。
【0056】
検出された温度差が、定着温度範囲を上回るということは、中央部の温度TA 、端部付近の温度TB の内、少なくとも一方が、上限値を上回っているか又は下限値を下回っていることになる。このような処理によれば、少なくとも一方のランプに異常が発生している、と適切に診断することができる。なお、前述した特性により、一方のみが上限値を上回っているとすれば、それは通常、センターヒータにより加熱されている部分であり、一方のみが下限値を下回っているとすれば、それは通常、サイドヒータにより加熱されている部分である。
【0057】
以上、本発明を適用した熱定着装置18およびレーザプリンタ1について説明してきたが、本発明はこの実施形態に何等限定されるものではなく様々な態様で実施しうる。例えば、レーザプリンタ1ではなく、ラミネータの熱定着装置に適用しても良い。
【0058】
また、前述した処理(3)では15℃、10℃といった具体的な数値を示したが、これらはあくまでも一例であり、トナーの特性や熱定着装置18の構造によって様々に変化する。これらの特性や構造に対応して適切な温度を設定すべきである。また、ヒータ異常検出処理(3)では加熱ローラ26の中央部の温度TA や端部付近の温度TB が定着上限温度Thを上回ったりや定着下限温度Tlを下回ったりしたときに異常を報知したが、これらの閾値に近付いただけで異常を報知しても良い。各閾値との差が適正温度範囲の50%以下になったときに「近付いた」と判定すれば、理論的には制御は成立するが、好ましくは20〜30%になったときに「近付いた」と判定するとよい。また、ヒータ異常検出処理(4)において、加熱ローラ26の中央部の温度TA 、端部付近の温度TBの温度差を、定着温度範囲と比較したが、他の値、例えばヒータ異常検出処理(3)の適正温度差範囲と比較しても良い。
【0059】
なお、時間t1は時間t2と異なる値としたが同じ値にしても良い。また、中央部付近と端部付近とで適正温度差範囲を異ならせても良い。更に、t1、t2 が定着下限温度Tlに達する前の所定温度となる時間でも良い。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の画像形成装置としての、レーザプリンタの一実施形態を示す要部側断面図である。
【図2】 実施形態のレーザプリンタに用いられる加熱ローラの要部正断面図である。
【図3】 ヒータ異常検出処理(1)のフローチャートである。
【図4】 電源投入後の加熱ローラ26の中央部の温度TA と端部付近の温度TB の変化の様子を示すグラフである。
【図5】 ヒータ異常検出処理(2)のフローチャートである。
【図6】 ヒータ異常検出処理(3)のフローチャートである。
【図7】 温度制御処理のフローチャートである。
【図8】 印刷中の加熱ローラ26の中央部の温度TA と端部付近の温度TB の変化の様子を示すグラフである。
【図9】 ヒータ異常検出処理(4)のフローチャートである。
【図10】 従来のレーザプリンタに用いられる加熱ローラの要部正断面図である。
【符号の説明】
1…レーザプリンタ
18…熱定着装置 25…搬送ベルト
26…加熱ローラ 27…押圧ローラ
41…第1温度センサ 42…第2温度センサ
A…第1ハロゲンランプ B…第2ハロゲンランプ
Claims (9)
- 定着媒体に被定着媒体を熱定着させるための定着部材と、
該定着部材の端部付近を加熱するためのサイドヒータと、
前記定着部材の軸方向中央部付近を加熱するためのセンターヒータと
を備えた熱定着装置において、
前記定着部材の、前記サイドヒータによって加熱された前記定着部材の端部付近の温度を検出する端部温度検出手段と、
前記定着部材の、前記センターヒータによって加熱された前記定着部材の中央付近の温度を検出する中央部温度検出手段と、
前記端部温度検出手段および前記中央部温度検出手段の両温度検出手段によって検出される各温度を予め定められた上限値および下限値の間となるように前記センターヒータおよび前記サイドヒータの駆動を制御するとともに、該両温度検出手段によって検出された各温度の差が第1の判定用基準値を超えている場合には、その温度差が前記第1の判定用基準値以下の値である第2の判定用基準値以下になるまで、該両温度検出手段によって検出された各温度の内の、前記上限値と下限値の中央値から遠い方の温度を近い方の温度に近付けるように制御する加熱制御手段と、
を備えたことを特徴とする熱定着装置。 - 前記中央部温度検出手段による検出結果に基づいて前記センターヒータの異常の有無を判定し、前記端部温度検出手段による検出結果に基づいて前記サイドヒータの異常の有無を判定する診断手段をさらに備えた
ことを特徴とする請求項1に記載の熱定着装置。 - 前記診断手段が、
当該熱定着装置の立ち上げ時に、前記端部温度検出手段による検出結果、または前記中央部温度検出手段による検出結果が、予め定められた温度に達するまでに掛かった時間が予め定められた時間内にない場合に、その温度検出手段によって加熱された箇所の温度が検出されている前記ヒータに異常が発生していると診断するものであることを特徴とする請求項2に記載の熱定着装置。 - 前記診断手段が、
当該熱定着装置の立ち上げ時に、前記端部温度検出手段による検出結果、または前記中央部温度検出手段による検出結果が予め定められた時間内に予め定められた適正温度範囲内にない場合に、その温度検出手段によって加熱された箇所の温度が検出されている前記ヒータに異常が発生していると診断するものである
ことを特徴とする請求項2に記載の熱定着装置。 - 前記診断手段が、
前記両温度検出手段による検出結果の少なくとも一方が、前記上限値を上回るかまたは前記下限値を下回ると、その温度検出手段によって加熱された箇所の温度が検出されている前記ヒータに異常が発生していると診断するものである
ことを特徴とする請求項2乃至4のいずれかに記載の熱定着装置。 - 前記診断手段が、
前記両温度検出手段による検出結果の差が、前記上限値と前記下限値の差を上回ると、少なくとも一方の前記ヒータに異常が発生していると診断するものであることを特徴とする請求項2乃至4のいずれかに記載の熱定着装置。 - 前記サイドヒータおよび前記センターヒータがいずれもハロゲンランプであって、
前記端部温度検出手段が、前記サイドヒータの配光のピークの位置の温度を検出するものであり、
前記中央部温度検出手段が、前記センターヒータの配光のピークの位置の温度を検出するものである
ことを特徴とする請求項1乃至6のいずれかに記載の熱定着装置。 - 前記定着部材が、ヒートローラである、
ことを特徴とする請求項1乃至7のいずれかに記載の熱定着装置。 - 請求項1乃至8のいずれかに記載の熱定着装置を備えたことを特徴とする画像形成装置。
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