JP3771486B2 - 定着装置及びその定着装置を備えた画像形成機 - Google Patents
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【発明の属する技術分野】
本発明は、複写機、プリンタ装置、ファクシミリ装置等の画像形成機に搭載される定着装置及びその定着装置を備えた画像形成機に係る。特に、本発明は、加熱ローラの温度を検出する温度センサの温度検出ポイントの適正化を図るための改良に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、複写機、プリンタ装置、ファクシミリ装置等の画像形成機や、これらの複合機にあっては、トナー像が転写された記録用紙を定着装置に通過させ、この定着装置において記録用紙上にトナー像を加熱定着させるようになっている。定着装置は、互いに対向配置された一対のローラ部材を備えており、少なくとも一方が定着用加熱源となる加熱ローラとして構成されている。つまり、一対のローラ部材間で記録用紙を挟持しながら搬送することによってトナー像を記録用紙上に加熱定着させるようになっている。
【0003】
上記加熱ローラの構成としては、例えばアルミニウム等の中空芯金で構成されるローラ本体の内部にハロゲンヒータ等の加熱手段が収容されている。つまり、この加熱手段に対して通電を行い、ローラ本体を所定の定着温度まで温度上昇させた状態で上記の定着動作を行うことになる。また、加熱手段に対する通電制御としては、ローラ本体の表面温度を温度センサによって検出し、その検出温度に基づいて通電のON,OFFを切り換えて、ローラ本体の表面温度を所定範囲内に維持するようにしている。
【0004】
ところで、この種の定着装置では、熱容量が比較的大きな金属製のローラ本体を所定の定着温度(例えば200℃)まで加熱する必要があるため、省エネルギー性を十分に得ることができないといった課題があった。また、プリント開始時にローラ本体を定着温度まで加熱するのに要する時間(ウォームアップ時間)が長くかかり、その結果、プリント開始信号の入力からプリント終了までに要する時間が長くなってしまうといった課題もあった。
【0005】
これらの課題を解決する手段として、ローラ本体を薄肉化してその熱容量を小さくすることが掲げられる。これによれば、装置の電源容量(供給電力)を大きくすることなしにウォームアップ時間を短縮化でき、且つ省エネルギー性を十分に向上させることができる。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、このように薄肉化されたローラ本体を採用した場合、以下に述べる課題がある。つまり、薄肉化に伴ってローラ本体は、軸線方向の熱移動性が低下することになる。このため、ローラ本体の全体を均一な温度に維持することが困難となる。例えば、ローラ本体の加熱範囲よりも小さいサイズの記録用紙を通過させた場合、記録用紙の通過部分では記録用紙によって熱が奪われるのに対し、記録用紙が通過しない部分では熱が奪われないためこの部分においてローラ温度の過上昇(以下、非通紙部異常昇温と呼ぶ)が発生してしまう。この非通紙部異常昇温が発生している状況で、上記サイズよりも大きいサイズの記録用紙を通過させた場合、温度過上昇部分において過定着が生じたり、記録用紙上のトナーの光沢性に変化が生じたり、過定着部分が高温オフセットを起して加熱ローラにトナーが付着したりするおそれがある。
【0007】
この非通紙部異常昇温を回避する手段として、特開平8−220930号公報には、加熱範囲の異なる複数のヒータをローラ本体内に配設し、通過する記録用紙のサイズに応じて通電するヒータを選択することが開示されている。具体的には、センタ基準(記録用紙の幅方向の中心位置と加熱ローラの軸線方向の中心位置とを一致させた状態で通紙させるもの)の定着装置において、ローラ本体の軸線方向の中央部のみを加熱するメインヒータと、ローラ本体の軸線方向の両端部のみを加熱するサブヒータとを備えさせる。小サイズ紙の通過時にはメインヒータのみに通電を行う一方、大サイズ紙の通過時にはメインヒータ及びサブヒータ共に通電を行う。これによれば、ローラ本体のうち記録用紙が通過する部分のみを加熱することができ、上記非通紙部異常昇温の発生に伴う不具合を回避することが可能である。
【0008】
しかしながら、このように複数のヒータを備えた定着装置に対し、ローラ本体の表面温度を検出する温度センサの温度検出ポイントを適正化する提案は未だなされていない。例えば、この温度検出ポイントを考慮せずに温度センサを配置した場合、ウォームアップ時間が必要上に長くなってしまったり、ローラ本体の加熱が不十分であるにも拘わらずウォームアップ動作が終了してしまったり、定着動作中にローラ本体の温度が適切に維持できなくなってしまったりする可能性がある。
【0009】
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、ローラ本体内に加熱範囲の異なる複数のヒータを備えた定着装置に対し、ローラ本体の表面温度を検出する温度センサの温度検出ポイントの適正化を図ることにある。
【0014】
【課題を解決するための手段】
本発明における課題を解決するための手段を説明する前に、ローラ本体各部の昇温特性について説明する。
従来より、定着装置の定着部材(以下、加熱ローラ本体とも呼ぶ)に必要とされる熱容量は、プロセス速度が速いほど大きく、プロセス速度の2乗にほぼ比例することが一般的な経験則として知られている。これまで、一般的に用いられていた加熱ローラ本体の熱容量としては、ローラ本体の単位長さ当たりの熱容量をMh(J/(℃・m))とし、プロセス速度をvp(m/s)としたときに、Mh/vp2>6000となっていた。
【0015】
しかしながら、上述した如く、ウォームアップ時間を短縮化し、待機時における消費電力を削減するために、更なるローラ本体の薄肉・低熱容量化(Mh/vp2≦6000となるもの)が検討されつつある。このような薄肉、低熱容量のローラ本体を用いてウォームアップ時間の短縮化を図った定着装置を、プロセス速度の速い中・高速機クラスの画像形成機に使用する場合、各種用紙(記録媒体)のサイズの違いに起因するローラ軸線方向の温度ばらつき(上記非通紙部異常昇温など)を低減するため、上記公報に開示されている如く、メインランプとサブランプといったように、複数の加熱手段(以下、ヒータとも呼ぶ)を使用する必要がある。
【0016】
図1は、ローラ本体の軸線方向の中央部のみを加熱するメインヒータと、ローラ本体の軸線方向の両端部のみを加熱するサブヒータとを備えた加熱ローラ(図4参照)において、ローラ本体各部における昇温特性を示している。図1(a)はローラ軸線方向中央部(メインヒータによる加熱領域)における昇温特性であり、図1(b)はローラ軸線方向端部(サブヒータによる加熱領域)における昇温特性である。それぞれローラ周方向の3箇所の位置における昇温特性を示しており、その3箇所とは図1(c)に番号を付して示す位置である。
【0017】
一般的な定着装置においては、ローラ軸線方向端部は開放されているため、このローラ端部からの熱の逃げは大きく、また、軸受けや駆動ギア等の熱負荷が加わることから、図1(b)に示すように、ローラ軸線方向中央部(図1(a)参照)に比べて全体的に昇温が遅くなっている。
【0018】
また、上述した如くローラ本体が薄肉・低熱容量の場合、ローラ本体自体の熱伝導性(ローラ周方向の熱伝導性)が小さいため、ウォームアップ時にヒータの配列に起因するローラ周方向温度差がより顕著に発生する。言い換えると、各ヒータはローラ本体の中心位置(円形断面の中心点)には配設されていないため、ローラ本体のうちヒータに近接する箇所では昇温速度が高いが、ヒータから離れた箇所では昇温速度が低くなっており、それによる周方向温度差が発生する。すなわち、図1(c)に示すように、メインヒータの加熱領域であるローラ軸線方向中央部では、メインヒータに最も近い「1」の位置での昇温が最も速く、メインヒータから最も遠い「3」の位置での昇温が最も遅くなる。逆に、サブヒータの加熱領域であるローラ軸線方向端部では、サブヒータに最も近い「3」の位置での昇温が最も速く、サブヒータから最も遠い「1」の位置での昇温が最も遅くなる。
【0021】
上記の目的を達成するための本発明の解決手段としては、個々の温度センサに対して、その制御対象であるヒータ以外のヒータからも熱を受けることを考慮し、ローラ本体温度の適正化とウォームアップ時間の短縮化とを両立するものである。
【0022】
具体的には、記録媒体を加熱してこの記録媒体に画像を定着させるための定着部材と、この定着部材上での加熱範囲が互いに異なる複数の加熱手段と、これら加熱手段毎に対応して設けられ且つ対応する加熱手段によって加熱される範囲の温度をそれぞれ検出する複数の温度検出手段とを備えた定着装置を前提とする。この定着装置に対し、温度検出手段の温度検出ポイントを、対応する加熱手段によって加熱される範囲内において、その加熱手段から受ける単位時間当たりの熱量と他の加熱手段から受ける単位時間当たりの熱量とが等しくなる位置またはその近傍に設定している。
【0023】
より具体的には、加熱手段を第1加熱手段及び第2加熱手段とし、第1加熱手段により加熱される加熱範囲に対する第1加熱手段の単位長さ当たりの加熱量をPm1、第1加熱手段とこの第1加熱手段に対応する第1温度検出手段による定着部材上の温度検出ポイントとの間の距離をdm、第1加熱手段により加熱される加熱範囲に対する第2加熱手段の単位長さ当たりの加熱量をPs1、第2加熱手段と上記第1温度検出手段による定着部材上の温度検出ポイントとの間の距離をdsとしたとき、
Pm1/dm=Ps1/ds …(1)
となる位置またはその近傍に第1温度検出手段の温度検出ポイントを設定している。
【0024】
また、この技術的思想を、複数の温度検出手段の配設自由度が高い場合(スペース的な制約等がない場合)に適用した具体構成としては、以下のものが掲げられる。つまり、上記の場合と同様に、加熱手段を第1加熱手段及び第2加熱手段とし、第1加熱手段により加熱される加熱範囲に対する第1加熱手段の単位長さ当たりの加熱量をPm1、第2加熱手段により加熱される加熱範囲に対する第2加熱手段の単位長さ当たりの加熱量をPm2、第1加熱手段とこの第1加熱手段に対応する第1温度検出手段による定着部材上の温度検出ポイントとの間の距離をdm、第2加熱手段とこの第2加熱手段に対応する第2温度検出手段による定着部材上の温度検出ポイントとの間の距離をdm’、第1加熱手段により加熱される加熱範囲に対する第2加熱手段の単位長さ当たりの加熱量をPs1、第2加熱手段により加熱される加熱範囲に対する第1加熱手段の単位長さ当たりの加熱量をPs2、第2加熱手段と上記第1温度検出手段による定着部材上の温度検出ポイントとの間の距離をds、第1加熱手段と上記第2温度検出手段による定着部材上の温度検出ポイントとの間の距離をds’としたとき、
Pm1/dm=Ps1/ds …(1)
となる位置またはその近傍に第1温度検出手段の温度検出ポイントを設定し、且つ
Pm2/dm’=Ps2/ds’ …(2)
となる位置またはその近傍に第2温度検出手段の温度検出ポイントを設定している。
【0025】
ヒータからローラ本体に伝わる熱エネルギ密度(ローラ単位面積当たりに伝わる熱エネルギ)は、ヒータの単位長さ当たりの加熱量にほぼ比例し、ヒータとローラ本体との距離にほぼ反比例する。従って、
Pm1/dm=Ps1/ds …(1)
となる位置またはその近傍にメイン温度センサ(第1温度検出手段)を配置すれば、メインヒータ(第1加熱手段)とサブヒータ(第2加熱手段)から伝わる熱エネルギーがほぼ同じ量となる。
【0026】
その結果、検出される加熱ローラの温度としてはローラ全体の平均的な温度となり、高温オフセットや低温オフセット等の発生の懸念がなく、ウォームアップ時間としても適度に短くなる。
【0027】
同様に、
Pm2/dm’=Ps2/ds’ …(2)
となる位置またはその近傍にサブ温度センサ(第2温度検出手段)を配置した場合も同じ効果が得られる。
【0028】
一方、上述したように、複数の温度センサをローラ本体の周方向で各々別の位置に配置すると、定着装置が大型化、複雑化してしまうといった課題が生ずることから、全ての温度センサをローラ本体の周方向の同じ位置に配置しなければならない場合もある。このような場合は、一般にメインヒータの方が加熱領域が広く、使用頻度も多いことから、
Pm1/dm=Ps1/ds …(1)
となる位置またはその近傍にメイン温度センサの温度検出ポイントを設定し、サブ温度センサの温度検出ポイントもローラ本体の周方向において、メイン温度センサの温度検出ポイントと略同じ位置に設定すればよい。
【0029】
更に、上記の目的を達成するための他の解決手段としては、装置制御システムの時定数を考慮し、温度センサによって検出されたローラ外周面の適切な位置に対してヒータによる加熱が行われるような位置に温度センサの温度検出ポイントを設定している。
【0030】
具体的には、回転駆動しながら記録媒体を加熱してこの記録媒体に画像を定着させる円筒状の定着部材と、この定着部材上での加熱範囲が互いに異なる複数の加熱手段と、定着部材の温度を検出する温度検出手段とを備えた定着装置を前提とする。この定着装置に対し、定着部材の周方向で加熱手段に最も近接した定着部材表面位置をPLとし、温度検出手段の温度検出ポイントをPsとした場合において、定着部材の周方向に沿った上記位置PLと位置Psとの間の距離をdLsとし、定着部材の周速をvpとし、装置制御システムの時定数をtとしたとき、
dLs=vp×t …(3)
となる位置またはその近傍に温度検出手段の温度検出ポイントを設定している。
【0031】
また、この技術的思想を、複数の温度検出手段の配設自由度が高い場合(スペース的な制約等がない場合)に適用した具体構成としては、以下のものが掲げられる。つまり、上記の場合と同様に、加熱手段を第1加熱手段及び第2加熱手段とし、上記定着部材の周方向で第1加熱手段に最も近接した定着部材表面位置をPL、上記定着部材の周方向で第2加熱手段に最も近接した定着部材表面位置をPL’、第1加熱手段に対応する第1温度検出手段の温度検出ポイントをPs、第2加熱手段に対応する第2温度検出手段の温度検出ポイントをPs’とした場合において、定着部材の周方向に沿った上記位置PLと位置Psとの間の距離をdLs、定着部材の周方向に沿った上記位置PL’と位置Ps’との間の距離をdLs’とし、定着部材の周速をvpとし、装置制御システムの時定数をtとしたとき、
dLs=vp×t …(3)
となる位置またはその近傍に第1温度検出手段の温度検出ポイントを設定し、且つ
dLs’=vp×t …(4)
となる位置またはその近傍に第2温度検出手段の温度検出ポイントを設定している。
【0032】
また、この技術的思想を、複数の温度検出手段の配設自由度が低い場合、つまり、スペース的な制約等があって各温度検出手段をローラ周方向の略同一位置に配設する必要がある場合に適用した具体構成としては、以下のものが掲げられる。つまり、回転駆動しながら記録媒体を加熱してこの記録媒体に画像を定着させる円筒状の定着部材と、この定着部材上での加熱範囲が互いに異なる複数の加熱手段と、これら加熱手段毎に対応して設けられ且つ対応する加熱手段によって加熱される範囲の温度をそれぞれ検出する複数の温度検出手段とを備えた定着装置を前提とする。この定着装置に対し、複数の加熱手段のうち最も広い範囲を加熱するメイン加熱手段に最も近接した定着部材表面位置をPLとし、メイン加熱手段に対応する温度検出手段の温度検出ポイントをPsとした場合において、定着部材の周方向に沿った上記位置PLと位置Psとの間の距離をdLsとし、定着部材の周速をvpとし、装置制御システムの時定数をtとしたとき、
dLs=vp×t …(3)
となる位置またはその位置と定着部材周方向の略同一位置に全ての温度検出手段の温度検出ポイントを設定している。
【0033】
これらの構成によれば、温度検出手段で温度検出を行ったローラ表面位置と、加熱手段から供給される熱エネルギー密度が最も高いローラ上の位置とがほぼ一致するため、より正確且つ均一な温度コントロールを実現することができる。例えば、温度検出手段で温度検出を行ったローラ表面位置が所定温度よりも低く、加熱が必要であると判断された場合、加熱手段を駆動してこの加熱手段からローラ本体に熱が与えられる状況になったときには、この加熱が必要であると判断されたローラ表面位置が加熱手段に対向する位置まで移動している。このため、加熱が必要であると判断された位置を正確に加熱手段によって加熱することができる。
【0034】
一方、ローラ周方向の略同一位置に全ての温度検出手段を配設した場合には、定着装置が大型化、複雑化を回避することが可能である。
【0040】
上述した各手段に採用される定着部材(ローラ本体)の特徴としては以下のものが掲げられる。先ず、定着部材として、その単位長さ当たりの熱容量をMh(J/(℃・m))とし、プロセス速度をvp(m/s)としたときに、Mh/vp2≦6000となる低熱容量型のものを採用している。また、その材質としては、鉄系材料が採用される。具体的には、炭素鋼やステンレス鋼等である。
【0041】
従来、加熱ローラ本体の材料としてはアルミが一般的に用いられているが、アルミでは強度的に薄肉化するのに限界があることから、薄肉化に対してはアルミに比べ強度(ヤング率)の高い鉄系材料が適している。しかしながら、鉄系材料はアルミに比べ熱伝導率が小さく、ローラ温度分布ばらつきがより顕著になる。そこで、上述した各手段を採用することにより、この温度ばらつきの影響を極力抑えることができ、鉄系材料のローラ本体を採用しつつ上記効果を発揮させることができる。
【0042】
また、定着部材は回転可能に構成されており、ウォームアップ時は、定着部材は回転することなしに加熱手段によって加熱されるようにしている。
【0043】
定着装置は、ウォームアップ時間をより短縮させるため、ウォームアップ中はローラ本体を停止させることがより効果的であるが、逆にウォームアップ直後の加熱ローラ周方向に温度ばらつきがより顕著に生じる弊害がある。上述した各解決手段によれば、この温度ばらつきの影響を極力抑えることができるため、ウォームアップ時に停止状態であっても、ウォームアップ時間の短縮化が実現できる。
【0044】
具体的に温度検出手段の温度検出ポイントを設定する際の基準位置としては、定着部材の長手方向の中央位置を基準として設定する所謂センタ基準とする場合と、定着部材の長手方向の一端部を基準として設定する所謂端部基準とする場合とがある。
【0045】
また、各温度検出手段の温度検出ポイントは、それぞれが対応する加熱手段によって互いに異なっている。
【0046】
更に、定着部材との間で記録媒体を挟持搬送する加圧部材を備えており、この加圧部材が低熱容量の材料により形成されている。具体的には、スポンジや低熱容量ソリッド等が掲げられる。
【0047】
更に、上記各手段のうちの何れか一つを有する定着装置を備え、記録媒体上にトナー像が形成された状態で、この記録媒体を定着装置に通過させ、定着部材からの熱によってトナー像を記録媒体上に加熱定着させるよう構成された画像形成機も本発明の技術的思想の範疇である。
【0048】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態を添付図面を参照して詳細に説明する。
【0049】
−画像形成機の全体構成の説明−
図2は、本形態に係る画像形成機1の内部を示す概略構成図である。本画像形成機1は、多機能型のものであって、複写機、プリンタ装置及びファクシミリ装置としての機能を兼ね備えている。この画像形成機1は、プリンタ2、スキャナ3、自動原稿搬送装置4、排紙処理装置5及び給紙手段としての多段給紙装置6を装備している。以下、各部の構成について説明する。
【0050】
自動原稿搬送装置4は、原稿搬送機構41を備えており、原稿セットトレイ40に載置された原稿をプラテンガラス30上に搬送して位置決めし、スキャナ3によって画像が読み取られた原稿を原稿排出トレイ42へ搬送して排出するようになっている。また、搬送不可能な原稿をプラテンガラス30上に配置し得るように、自動原稿搬送装置4の一辺(図2における奥側の一辺)は枢支され、装置4全体の開閉が可能に構成されている。
【0051】
スキャナ3は、自動読み取りモード及びマニュアル操作読み取りモードのいずれかを選択して設定することが可能となっている。前者の自動読み取りモードを選択した場合は、自動原稿搬送装置4によるプラテンガラス30上への原稿の搬送と連動して、スキャナ3が原稿の画像を読み取る。後者のマニュアル操作読み取りモードを選択した場合は、マニュアル操作に応答して、プラテンガラス30上に配置された原稿の画像をスキャナ3が読み取る。いずれのモードであっても、第1及び第2走査ユニット31,32を相互に所定の速度関係を維持しつつ移動させ、プラテンガラス30上に配置された原稿の画像を第1走査ユニット31によって露光し、第1及び第2走査ユニット31,32によって原稿からの反射光をレンズ33へと導き、レンズ33によって原稿の画像を光電変換素子(CCD)34上に結像する。このCCD34は、原稿の画像を主走査方向に繰り返し走査して読み取り、原稿画像に基づく画像データを出力するようになっている。そして、スキャナ3は、原稿画像に基づく画像データによって、記録用紙の種別がつけられるようになっている。
【0052】
プリンタ2は、スキャナ3からの画像データや外部装置(例えばパーソナルコンピュータ)からの画像データを入力し、この画像データによって示される画像を記録用紙に記録するものである。
【0053】
このプリンタ2に備えられたプリンタ制御部24は、画像形成手段としての電子写真プロセス部20を制御したり、外部装置からの画像データを受け入れるためのインターフェイスの役目を果たす。画像制御部25は、外部装置からの画像データに所定の画像処理を施したり、画像データに応じて光走査ユニット22を駆動制御する。
【0054】
電子写真プロセス部20は、感光体ドラム200、帯電ローラ201、光走査ユニット22、現像ユニット202、転写ユニット203、クリーニングユニット204、及び除電ユニット(図示せず)等を備えている。感光体ドラム200は、一方向に回転している。帯電ローラ201は、感光体ドラム200表面を均一に帯電させる。光走査ユニット22は、画像データに応じて変調された光ビーム(光像)を形成し、光ビームによって感光体ドラム200表面を主走査方向に繰り返し走査して、感光体ドラム200表面に静電潜像を形成する。現像ユニット202は、トナーを感光体200表面に供給する。このトナーが感光体ドラム200表面の静電潜像に付着して、トナー像が形成される。転写ユニット203は、下方から搬送されてきた記録用紙と感光体ドラム200とを重ね合わせ、トナー像を感光体ドラム200から記録用紙へと転写する。クリーニングユニット204は、感光体ドラム200表面に残留しているトナーを除去する。除電ユニットは、感光体ドラム200表面の電荷を除去する。
【0055】
電子写真プロセス部20の上方には、定着手段としての定着装置23が配置されている。定着装置23は、記録用紙を加熱及び加圧して、トナー像を記録用紙に定着させる。このトナー像が定着された後の記録用紙は、各排出ローラ28によって搬送され、排紙処理装置5の中継パスユニット8へと受け渡される。
【0056】
また、記録用紙の裏面にも画像を記録する場合には、記録用紙の搬送が一旦停止され、記録用紙が中継パスユニット8からプリンタ2へと逆向きに搬送される。プリンタ2では、分岐爪251を回転させ、分岐爪251により記録用紙を反転用搬送路250へと導き、記録用紙を反転用搬送路250通じて再び電子写真プロセス部20へと搬送し、これにより記録用紙の表裏を反転させ、記録用紙の裏面に画像を記録する。こうして表裏に画像が記録された記録用紙は、各排出ローラ28によって搬送され、排紙処理装置5の中継パスユニット8へと受け渡される。
【0057】
また、プリンタ2の下部には用紙給紙部21が備えられている。この用紙給紙部21は、記録用紙を積層して収容する用紙収容カセット210と、用紙収容カセット210から記録用紙を1枚ずつ分離して取り出し、記録用紙を電子写真プロセス部20へと供給する給紙手段としての取り出しユニット211とを備えている。この取り出しユニット211により取り出された記録用紙は、転写ユニット203へと搬送され、更に定着装置23を介して各排出ローラ28により搬送される。この記録用紙は、定着装置23の中央(後述する加熱ローラ231の軸線方向中央)に対し搬送方向と直交する方向の中央を基準にして位置合わせしたセンタ基準で搬送される。尚、用紙収容カセット210は、画像形成機本体から引き出すことができ、引き出した状態で、記録用紙を用紙収容カセット210に補給できるようになっている。
【0058】
排紙処理装置5は、オプションであって、画像形成機1に対して着脱自在であり、上記中継パスユニット8及び後処理ユニット9を備えている。
【0059】
中継パスユニット8は、プリンタ2から記録用紙を受け取って、記録用紙を後処理ユニット9へと搬送する中継パス84と、プリンタ2から記録用紙を一旦受け取り、記録用紙をプリンタ2へと戻すスイッチバックパス83と、プリンタ2からの記録用紙を中継パス84及びスイッチバックパス83のいずれかに導くゲート板81とを有する。ゲート板81は、揺動可能であり、その先端を上方に向けると、記録用紙が中継パス84へと導かれ、またその先端を下方に向けると、記録用紙がスイッチバックパス83へと導かれる。
【0060】
中継パス84には、一方向に回転する搬送ローラ85が設けられており、この搬送ローラ85によって記録用紙を後処理ユニット9へと導く。また、スイッチバックパス83には、記録用紙を載置する載置板86、及び正逆回転可能な搬送ローラ87が設けられている。この搬送ローラ87だけでなく、プリンタ2の各ローラも正逆回転可能である。記録用紙をスイッチバックパス83へと導いたときには、記録用紙の後端をプリンタ2の排出ローラ28間に挟み込み、記録用紙を載置板86上に載せた状態で、各ローラ87,28を停止して、記録用紙の搬送を一旦停止する。この後、各搬送ローラ87,28を逆回転し、記録用紙をプリンタ2へと逆向きに搬送する。プリンタ2では、先に述べたように分岐爪251により記録用紙を反転用搬送路250へと導き、記録用紙を反転用搬送路250を経て再び電子写真プロセス部20へと搬送し、記録用紙の裏面に画像を記録する。
【0061】
後処理ユニット9では、記録用紙をプリンタ2から中継パス84を通じて受け取り、記録用紙に対して後処理を施す。この後処理としては、ステープル処理やソート処理等がある。そして、この処理を行った記録用紙を、複数の排紙トレイ56,59のうちの一つに対して排紙するようになっている。
【0062】
上記プリンタ2及び排紙処理装置5は多段給紙装置6上に載置されている。また、スキャナ3及び自動原稿搬送装置4は、システムラック7上に載置されている。多段給紙装置6の底には、各移動コロ69及び各固定部68が設けられている。各固定部68を多段給紙装置6の底にねじ込んで、各固定部68を床面から離間させ、各移動コロ69によって多段給紙装置6を支持すれば、多段給紙装置6を移動させることができる。この状態で、多段給紙装置6、プリンタ2及び排紙処理装置5をシステムラック7の内側に移動させて配置する。この後、各固定部68を回転し突出させて、各固定部68を床面に接触させることにより多段給紙装置6を固定する。このとき、排紙処理装置5の中継パスユニット8とスキャナ3との間には、空間が形成される。
【0063】
上記多段給紙装置6は、オプションであって、画像形成機1に対して着脱自在である。多段給紙装置6においては、複数種類の記録用紙をそれぞれの用紙収容カセット61,62,63に収納している。本形態の多段給紙装置6にあっては、上方に位置して比較的大サイズ(例えばA3サイズ)の記録用紙を収容可能な上側カセット61と、この上側カセット61の下方において並設され、使用頻度の高いサイズ(例えばA4サイズ)の記録用紙をそれぞれ収容可能な一対の下側カセット62,63とを備えている。
【0064】
多段給紙装置6の内部には鉛直方向に延びる用紙ガイド通路65が設けられており、各カセット61,62,63から取り出された記録用紙は、この用紙ガイド通路65を経てプリンタ2へ供給されるようになっている。このプリンタ2の下面には用紙ガイド通路65に対応した位置に用紙受口27が形成されており、用紙ガイド通路65を経た記録用紙は用紙受口27を通過してプリンタ2に導かれるようになっている。
【0065】
上記上側カセット61の排紙側(図中左側)には給紙手段としての取り出しユニット611が設けられている。この取り出しユニット611は、上側カセット61に収容されている記録用紙を1枚ずつ分離して取り出し、その記録用紙を用紙ガイド通路65及び用紙受口27を経て電子写真プロセス部20へと送り出すようになっている。尚、この上側カセット61は、多段給紙装置本体としての給紙装置フレーム66から図中手前側に引き出すことができ、引き出した状態で、記録用紙の補給が可能となっている。
【0066】
−定着装置23の説明−
次に、定着装置23の構成及び本発明の特徴部分である温度センサの温度検出ポイントについての複数の実施形態を順に説明する。
【0067】
(参考例1)
各実施形態について説明する前に参考例について説明する。図3は本例の定着装置23の内部構成をローラ軸線方向から見た図である。図4は加熱ローラ231の概略構成及びその制御回路240を示す図である。これらの図に示すように、加熱ローラ231は、定着部材としてのローラ本体231Aと、このローラ本体231Aを加熱する加熱手段としてのハロゲンヒータ232と、ローラ本体231Aの表面温度を検出する温度検出手段を構成する温度センサ233A,233Bと、制御回路240と、上記加熱ローラ231と対をなすように対向配置された加圧ローラ234とを備えている。
【0068】
ハロゲンヒータ232は、ローラ本体231Aの内部に配置されており、ローラ軸線方向中央部において記録用紙のセンタ基準に合わせてヒータを配置してなるメインヒータ232aと、このメインヒータ232aの軸線方向両側にそれぞれヒータを配置してなるサブヒータ232bとを備えている。メインヒータ232aはローラ軸線よりも下側に配設されている。一方、サブヒータ232bはローラ軸線よりも上側に配設されている。これらメインヒータ232a及びサブヒータ232bは、ガラス管Gの内部にフィラメントFが収容されて構成されており、このフィラメントFは、各ヒータ232a,232bによって加熱すべき範囲に対応した部分が発熱箇所として形成されている。そして、制御回路240からフィラメントFに通電されることによって、所定の発熱分布となるように発光して赤外線が放射され、加熱ローラ231の内周面を加熱するようになっている。また、メインヒータ232a及びサブヒータ232bは、制御回路240によってそれぞれ独立に温度制御される。
【0069】
ローラ本体231Aは、ハロゲンヒータ232(メインヒータ232a及びサブヒータ部232b)により所定の定着温度(ここでは200℃)に加熱されて、定着装置23のニップ部K(加熱ローラ231と加圧ローラ234との間のニップ部K)を通過する記録媒体である記録用紙Pを加熱するためのものである。また、加熱ローラ231は、その本体である芯金231aと、記録用紙上のトナーがオフセットするのを防止するために芯金231aの外周表面に形成された離型層231bとを備えている。
【0070】
上記芯金231aには、たとえば、鉄、ステンレス鋼等の鉄系材料やそれらの合金が用いられる。また、アルミニウムや銅等の金属であってもよい。尚、本例の芯金231aとしては、直径40mm、肉厚0.2mmの鉄(STKM)製のものを使用している。また、この芯金231aとしては、その単位長さ当たりの熱容量をMh(J/(℃・m))とし、プロセス速度をvp(m/s)としたときに、Mh/vp2≦6000となる低熱容量型のもの(本例ではMh/vp2=1772)が採用されている。
【0071】
離型層231bには、PFA(テトラフルオロエチレンとペルフルオロアルキルビニルエーテルとの共重合体)やPTFE(ポリテトラフルオロエチレン)等のフッ素樹脂、シリコーンゴム、フッ素ゴム等が適している。尚、本例の離型層231bとしては、フッ素樹脂が適用されている。
【0072】
加圧ローラ234は、鉄、ステンレス鋼、アルミニウム等の芯金234aの外周表面にシリコーンゴム等の耐熱弾性材層234bを有するように構成されている。加圧ローラ234の耐熱弾性材層234bの表面には、加熱ローラ231の場合と同様のフッ素樹脂による離型層が形成されてもよい。尚、本例における加圧ローラ234としては、直径30mmで、シリコーンゴムからなる耐熱弾性体層234bと、PFAチューブからなる離型層234cが設けられており、図示しないばね等の弾性部材により加熱ローラ231に200Nの力で圧接され、これにより、加熱ローラ231との間に幅が約6mmのニップ部Kが形成されるよう構成されている。尚、この加圧ローラ234の材料としては、スポンジゴムや低熱容量ソリッドゴム等の低熱容量材料で構成することが好ましい。これら材料の採用により、加熱ローラ231から加圧ローラ234への熱伝導が抑制され、加熱ローラ231の急激な温度低下を回避することができる。
【0073】
制御回路240は、ハロゲンヒータ232を用いた直接加熱方式によって加熱ローラ231を定着温度(200℃)に制御するように構成されている。つまり、制御回路240は、各ヒータ232a,232bへの通電を行うドライバ241、ドライバを制御するCPU242、各温度センサ233A,233Bからの検出信号を受ける入力回路243を備えており、各温度センサ233A,233Bからの検出信号に基づいて各ヒータ232a,232bへの通電状態を切り換えて、加熱ローラ231の表面温度を定着温度に維持するようになっている。具体的には、メインヒータ232aによって加熱される範囲に配設されたメイン温度センサ233Aからの検出温度信号に基づいてメインヒータ232aへの通電状態が切り換えられる。一方、サブヒータ232bによって加熱される範囲に配設されたサブ温度センサ233Bからの検出温度信号に基づいてサブヒータ232bへの通電状態が切り換えられるようになっている。
【0074】
以下、本例における各温度センサ233A,233Bの温度検出ポイントについて説明する。
【0075】
図3に示すように、メイン温度センサ233Aの温度検出ポイントは、制御対象とするメインヒータ232aによって加熱される範囲内(ローラ軸線方向の中央部)において、そのメインヒータ232aの近傍位置(ローラ本体231Aを挟んでメインヒータ232aに対向する位置)に設定されている。同様に、サブ温度センサ233Bの温度検出ポイントは、制御対象とするサブヒータ232bによって加熱される範囲内(ローラ軸線方向の端部)において、そのサブヒータ232bの近傍位置(ローラ本体231Aを挟んでサブヒータ232bに対向する位置)に設定されている。尚、このサブ温度センサ233Bは図4において左側に位置する一方の端部のみに配設されている。このように、各温度センサ233A,233Bの温度検出ポイントは、制御対象とするヒータ232a,232bによって加熱される範囲内において最も昇温の速い箇所に設定されている。図1(c)を用いて説明すれば、メイン温度センサ233Aの温度検出ポイントは、メインヒータ232aの加熱領域であるローラ軸線方向中央部においてメインヒータ232aに最も近い「1」の位置に設定されており、サブ温度センサ233Bの温度検出ポイントは、サブヒータ232bの加熱領域であるローラ軸線方向端部においてサブヒータ232bに最も近い「3」の位置に設定されている。このように各温度センサ233A,233Bの温度検出ポイントを、最も昇温の速い箇所に設定したことにより、ウォームアップ時間を短縮化することができる。
【0076】
尚、各温度センサ233A,233Bの温度検出ポイントとしては、上述のものに限らず、図3に破線の矢印で示すように、ヒータ232a,232bに最も近い箇所から周方向に45°の範囲内であれば上記効果を十分に発揮させることができる。
【0077】
(参考例2)
次に、参考例2について説明する。本例は、温度センサ233A,233Bの温度検出ポイントが、上述した参考例1のものと異なっている。その他の構成は、参考例1と同様であるので、ここでは温度センサ233A,233Bの温度検出ポイントについてのみ説明する。
【0078】
図5は本例の定着装置23の内部構成をローラ軸線方向から見た図である。図6は加熱ローラ231の概略構成及びその制御回路240を示す図である。
【0079】
上述した参考例1のように各温度センサ233A,233Bをローラ本体231Aの周方向で各々別の位置に配置すると、定着装置23が大型化、複雑化してしまうといった課題が生じる。定着装置23の小型化を図るために、全ての温度センサ233A,233Bをローラ本体231Aの周方向の同じ位置に配置しなければならない場合に鑑みられたものが本参考例2である。具体的には、温度上昇速度の最も低い範囲の加熱を担っているヒータの近傍に温度センサを配置するようにしている。つまり、図5及び図6に示すように、ローラ端部からの熱の逃げや、軸受けや駆動ギア等の熱負荷によってローラ軸線方向端部の温度上昇速度が低くなっていることを考慮し、サブ温度センサ233Bの温度検出ポイントは、上記参考例1の場合と同じ位置に設定し、メイン温度センサ233Aの温度検出ポイントは、ローラ本体231Aの周方向においてサブ温度センサ233Bと同じ位置に設定している。これによれば、定着装置23の大型化や複雑化を招くことなしにウォームアップ時間を短縮化することが可能である。
【0080】
(第1実施形態)
次に、本発明の第1実施形態について説明する。本形態も、温度センサ233A,233Bの温度検出ポイントが、上述した参考例1のものと異なっている。その他の構成は、参考例1と同様であるので、ここでは温度センサ233A,233Bの温度検出ポイントについてのみ説明する。
【0081】
図7は本形態の定着装置23の内部構成をローラ軸線方向から見た図である。この図に示すように、本形態では、各温度センサ233A,233Bの温度検出ポイントを以下のように設定している。
【0082】
メインヒータ232aにより加熱される加熱範囲(ローラ軸線方向中央部)に対するメインヒータ232aの単位長さ当たりの加熱量をPm1、サブヒータ232bにより加熱される加熱範囲(ローラ軸線方向端部)に対するサブヒータ232bの単位長さ当たりの加熱量をPm2、メインヒータ232aとこのメインヒータ232aに対応するメイン温度センサ233Aによるローラ本体231A上の温度検出ポイントとの間の距離をdm、サブヒータ232bとこのサブヒータ232bに対応するサブ温度センサ233Bによるローラ本体231A上の温度検出ポイントとの間の距離をdm’、メインヒータ232aにより加熱される加熱範囲に対するサブヒータ232bの単位長さ当たりの加熱量をPs1、サブヒータ232bにより加熱される加熱範囲に対するメインヒータ232aの単位長さ当たりの加熱量をPs2、サブヒータ232bとメイン温度センサ233Aによるローラ本体231A上の温度検出ポイントとの間の距離をds、メインヒータ232aとサブ温度センサ233Bによるローラ本体231A上の温度検出ポイントとの間の距離をds’としたとき、
Pm1/dm=Ps1/ds …(1)
となる位置にメイン温度センサ233Aの温度検出ポイントを設定し、且つ
Pm2/dm’=Ps2/ds’ …(2)
となる位置またはその近傍にサブ温度センサ233Bの温度検出ポイントを設定している。
【0083】
このような位置に各温度センサ233A,233Bの温度検出ポイントを設定すれば、それぞれの温度センサ233A,233Bにおいて、メインヒータ232aから伝わる熱エネルギーとサブヒータ232bから伝わる熱エネルギーとがほぼ同じ量となる。
【0084】
その結果、検出される加熱ローラ231の温度としては平均的な温度となり、高温オフセットや低温オフセット等の発生の懸念がなく、ウォームアップ時間としても適度に短くすることができる。
【0085】
(第2実施形態)
次に、第2実施形態について説明する。本形態は、温度センサ233A,233Bの温度検出ポイントが、上述した第1実施形態のものと異なっている。従って、ここでは温度センサ233A,233Bの温度検出ポイントについてのみ説明する。
【0086】
図8は本形態の定着装置23の内部構成をローラ軸線方向から見た図である。
上述した第1実施形態のように各温度センサ233A,233Bをローラ本体231Aの周方向で各々別の位置に配置すると、定着装置23が大型化、複雑化してしまうといった課題が生じる。定着装置23の小型化を図るために、全ての温度センサ233A,233Bをローラ本体231Aの周方向の同じ位置に配置しなければならない場合に鑑みられたものが本実施形態である。
【0087】
具体的には、メインヒータ232aにより加熱される加熱範囲(ローラ軸線方向中央部)に対するメインヒータ232aの単位長さ当たりの加熱量をPm1、メインヒータ232aとこのメインヒータ232aに対応するメイン温度センサ233Aによるローラ本体231A上の温度検出ポイントとの間の距離をdm、メインヒータ232aにより加熱される加熱範囲に対するサブヒータ232bの単位長さ当たりの加熱量をPs1、サブヒータ232bとメイン温度センサ233Aによるローラ本体231A上の温度検出ポイントとの間の距離をdsとしたとき、
Pm1/dm=Ps1/ds …(1)
となる位置にメイン温度センサ233Aの温度検出ポイントを設定している。
【0088】
このような位置に各温度センサ233A,233Bの温度検出ポイントを設定すれば、定着装置23の大型化や複雑化を招くことなしに、温度センサ233Aにおいて、メインヒータ232aから伝わる熱エネルギーとサブヒータ232bから伝わる熱エネルギーとがほぼ同じ量となり、検出される加熱ローラ231の温度としては平均的な温度となり、且つウォームアップ時間としても適度に短くすることができる。ここで、サブ温度センサ233Bについては、メインヒータ232aから伝わる熱エネルギーとサブヒータ232bから伝わる熱エネルギーとが同じ量とはならないが、サブヒータ232bは、メインヒータ232aに比べて加熱範囲及び使用頻度共に小さく、最適位置でなくとも悪影響としては小さい。
【0089】
(第3実施形態)
次に、第3実施形態について説明する。本形態も、温度センサ233A,233Bの温度検出ポイントが、上述した参考例1のものと異なっている。その他の構成は、参考例1と同様であるので、ここでは温度センサ233A,233Bの温度検出ポイントについてのみ説明する。
【0090】
図9は本形態の定着装置23の内部構成をローラ軸線方向から見た図である。この図に示すように、本形態では、各温度センサ233A,233Bの温度検出ポイントを以下のように設定している。
【0091】
先ず、メイン温度センサ233Aの温度検出ポイントとしては、ローラ本体231Aの周方向でメインヒータ232aに最も近接したローラ表面位置をPLとし、メイン温度センサ233Aの温度センシング位置をPsとした場合において、ローラ本体231Aの周方向に沿った上記位置PLと位置Psとの間の距離をdLsとし、ローラ本体231Aの周速をvpとし、装置制御システムの時定数をtとしたとき、
dLs=vp×t …(3)
となる位置にメイン温度センサ233Aの温度検出ポイントが設定されている。
【0092】
同様に、サブ温度センサ233Bの配設位置としては、ローラ本体231Aの周方向でサブヒータ232bに最も近接したローラ表面位置をPL’とし、サブ温度センサ233Bの温度センシング位置をPs’とした際において、ローラ本体231Aの周方向に沿った上記位置PL’と位置Ps’との間の距離をdLs’とし、ローラ本体231Aの周速をvpとし、装置制御システムの時定数をtとしたとき、
dLs’=vp×t …(4)
となる位置にサブ温度センサ233Bの温度検出ポイントが設定されている。尚、上記時定数tは、実験的にまたはシミュレーションによって予め求められた値である。
【0093】
このような位置に各温度センサ233A,233Bの温度検出ポイントがそれぞれ設定されていることにより、各温度センサ233A,233Bで温度検出を行ったローラ表面位置と、各ヒータ232a,232bから供給される熱エネルギー密度が最も高いローラ上の位置とをほぼ一致させることができ、より正確且つ均一な温度コントロールを実現することができる。
【0094】
(第4実施形態)
次に、第4実施形態について説明する。本形態は、温度センサ233A,233Bの温度検出ポイントが、上述した第3実施形態のものと異なっている。従って、ここでは温度センサ233A,233Bの温度検出ポイントについてのみ説明する。
【0095】
図10は本形態の定着装置23の内部構成をローラ軸線方向から見た図である。上述した第3実施形態のように各温度センサ233A,233Bをローラ本体231Aの周方向で各々別の位置に配置すると、定着装置23が大型化、複雑化してしまうといった課題が生じる。定着装置23の小型化を図るために、全ての温度センサ233A,233Bをローラ本体231Aの周方向の同じ位置に配置しなければならない場合に鑑みられたものが本実施形態である。
【0096】
具体的には、各ヒータ232a,232bのうち広い範囲を加熱するメインヒータ232aに最も近接したローラ表面位置をPLとし、メインヒータ232aに対応するメイン温度センサ233Aの温度センシング位置をPsとした際において、ローラ本体231Aの周方向に沿った上記位置PLと位置Psとの間の距離をdLsとし、ローラ本体231Aの周速をvpとし、装置制御システムの時定数をtとしたとき、
dLs=vp×t …(3)
となる位置またはその位置とローラ周方向の略同一位置に各温度センサ233A,233Bの温度検出ポイントが設定されている。
【0097】
このような位置に各温度センサ233A,233Bの温度検出ポイントがそれぞれ設定されていることにより、定着装置23の大型化や複雑化を招くことなしに、温度センサ233Aで温度検出を行ったローラ表面位置と、ヒータ232aから供給される熱エネルギー密度が最も高いローラ上の位置とをほぼ一致させることができ、より正確且つ均一な温度コントロールを実現することができる。ここで、サブ温度センサ233Bの検出位置については、サブヒータ232bから供給される熱エネルギー密度が最も高いローラ上の位置とは一致しないが、サブヒータ232bは、メインヒータ232aに比べて加熱範囲及び使用頻度共に小さく、最適位置でなくとも悪影響としては小さい。
【0098】
(参考例3)
次に、参考例3について説明する。本例は、サブ温度センサ233Bの温度検出ポイントが、上述した各実施形態のものと異なっている。その他の構成は、各実施形態と同様であるので、ここではサブ温度センサ233Bの温度検出ポイントについてのみ説明する。
【0099】
図11は本例の定着装置23の内部構成をローラ軸線方向から見た図である。この図に示すように、本例では、サブ温度センサ233Bの温度検出ポイントを以下のように設定している。
【0100】
つまり、サブ温度センサ233Bによって加熱される範囲内(ローラ軸線方向端部)において、サブ温度センサ233Bに最も近接したローラ表面位置よりもローラ本体231Aの回転方向の直下流側にサブ温度センサ233Bの温度検出ポイントを設定している。
【0101】
この構成によれば、ローラ端部において最も温度が高くなっている部分の温度を検知することができ、熱応答性が向上し、温度リップル等を低減することができる。
【0102】
(参考例4)
次に、参考例4について説明する。本例は、各温度センサ233A,233Bの温度検出ポイントが、上述した各実施形態のものと異なっている。その他の構成は、各実施形態と同様であるので、ここでは各温度センサ233A,233Bの温度検出ポイントについてのみ説明する。
【0103】
図2に示すように記録用紙Pの通過方向が鉛直方向に設定されている場合、空気を介した熱伝達ではローラ上方部により多くの熱エネルギーが供給される。本例は、これを考慮し、各ヒータ232a,232bの配設位置よりも上方に各温度センサ233A,233Bの温度検出ポイントを設定している。具体的には上述した図5に示すものと同様の配置状態となっている。
【0104】
この構成によれば、各ヒータ232a,232bからの熱が、空気を介した熱伝達により温度上昇速度が高い部分に各温度センサ233A,233Bの温度検出ポイントを設定し、これによってウォームアップ時間の短縮を図ることができる。
【0105】
−その他の実施形態−
上述した各実施形態では、複写機、プリンタ装置及びファクシミリ装置としての機能を兼ね備えた多機能型の本画像形成機1に、本発明を適用した場合について説明した。本発明は、これに限らず、その他の画像形成機についても適用可能である。また、乾式電子写真機器の定着装置に限らず、湿式電子写真機器の乾燥装置、インクジェットプリンタにおける乾燥装置、リライタブルメディア用消去装置等で好適に実施される定着装置への適用も可能である。
【0106】
また、上記各実施形態では、記録用紙Pの幅方向の中心位置と加熱ローラ231の軸線方向の中心位置とを一致させた状態で通紙させる、所謂センタ基準のものについて説明した。本発明は、これに限らず、図12(a)〜(c)に示すようなセンタ基準や端部基準のものに対しても同様に適用することが可能である。図12(a)のものは、センタ基準で、且つ記録用紙のサイズに応じてメインヒータ232a及びサブヒータ232bのうち一方のみをON作動させるものである。図12(b)のものは、端部基準で、小サイズ紙の場合にはメインヒータ232aのみをON作動させ、大サイズ紙の場合には両ヒータ232a,232bをON作動させるものである。図12(c)のものは、端部基準で、且つ記録用紙のサイズに応じてメインヒータ232a及びサブヒータ232bのうち一方のみをON作動させるものである。
【0108】
【発明の効果】
以上説明したように本発明では、個々の温度検出手段に対して、その制御対象である加熱手段以外の加熱手段からも熱を受けることを考慮して、温度検出手段の温度検出ポイントを設定している。これにより定着部材温度の適正化とウォームアップ時間の短縮化とを両立することができる。
【0109】
更に、装置制御システムの時定数を考慮し、温度検出手段によって検出された定着部材上の適切な位置に対して加熱手段による加熱が行われるような位置に温度検出手段の温度検出ポイントを設定している。これによれば、温度検出手段で温度検出を行った定着部材上の位置と、加熱手段から供給される熱エネルギー密度が最も高い定着部材上の位置とがほぼ一致するため、より正確且つ均一な温度コントロールを実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】ローラ本体各部における昇温特性を説明するための図である。
【図2】実施形態に係る画像形成機の内部を示す概略構成図である。
【図3】参考例1に係る定着装置の内部構成をローラ軸線方向から見た図である。
【図4】参考例1に係る加熱ローラの概略構成及びその制御回路を示す図である。
【図5】参考例2に係る定着装置の内部構成をローラ軸線方向から見た図である。
【図6】参考例2に係る加熱ローラの概略構成及びその制御回路を示す図である。
【図7】第1施形態に係る定着装置の内部構成をローラ軸線方向から見た図である。
【図8】第2実施形態に係る定着装置の内部構成をローラ軸線方向から見た図である。
【図9】第3実施形態に係る定着装置の内部構成をローラ軸線方向から見た図である。
【図10】第4実施形態に係る定着装置の内部構成をローラ軸線方向から見た図である。
【図11】参考例3に係る定着装置の内部構成をローラ軸線方向から見た図である。
【図12】他の実施形態におけるヒータの配設状態を示す図である。
【符号の説明】
1 画像形成機
23 定着装置
231A ローラ本体(定着部材)
232a メインヒータ(第1加熱手段)
232b サブヒータ(第2加熱手段)
233A メイン温度センサ(第1温度検出手段)
233B サブ温度センサ(第2温度検出手段)
P 記録用紙(記録媒体)
Claims (14)
- 記録媒体を加熱してこの記録媒体に画像を定着させるための定着部材と、この定着部材上での加熱範囲が互いに異なる複数の加熱手段と、これら加熱手段毎に対応して設けられ且つ対応する加熱手段によって加熱される範囲の温度をそれぞれ検出する複数の温度検出手段とを備えた定着装置において、
上記温度検出手段の温度検出ポイントは、対応する加熱手段によって加熱される範囲内において、その加熱手段から受ける単位時間当たりの熱量と他の加熱手段から受ける単位時間当たりの熱量とが等しくなる位置またはその近傍に設定されていることを特徴とする定着装置。 - 請求項1記載の定着装置において、
加熱手段は、第1加熱手段及び第2加熱手段であって、
第1加熱手段により加熱される加熱範囲に対する第1加熱手段の単位長さ当たりの加熱量をPm1、
第1加熱手段と、この第1加熱手段に対応する第1温度検出手段による定着部材上の温度検出ポイントとの間の距離をdm、
第1加熱手段により加熱される加熱範囲に対する第2加熱手段の単位長さ当たりの加熱量をPs1、
第2加熱手段と、上記第1温度検出手段による定着部材上の温度検出ポイントとの間の距離をdsとしたとき、
Pm1/dm=Ps1/ds …(1)
となる位置またはその近傍に第1温度検出手段の温度検出ポイントが設定されていることを特徴とする定着装置。 - 請求項1記載の定着装置において、
加熱手段は、第1加熱手段及び第2加熱手段であって、
第1加熱手段により加熱される加熱範囲に対する第1加熱手段の単位長さ当たりの加熱量をPm1、
第2加熱手段により加熱される加熱範囲に対する第2加熱手段の単位長さ当たりの加熱量をPm2、
第1加熱手段と、この第1加熱手段に対応する第1温度検出手段による定着部材上の温度検出ポイントとの間の距離をdm、
第2加熱手段と、この第2加熱手段に対応する第2温度検出手段による定着部材上の温度検出ポイントとの間の距離をdm’、
第1加熱手段により加熱される加熱範囲に対する第2加熱手段の単位長さ当たりの加熱量をPs1、
第2加熱手段により加熱される加熱範囲に対する第1加熱手段の単位長さ当たりの加熱量をPs2、
第2加熱手段と、上記第1温度検出手段による定着部材上の温度検出ポイントとの間の距離をds、
第1加熱手段と、上記第2温度検出手段による定着部材上の温度検出ポイントとの間の距離をds’としたとき、
Pm1/dm=Ps1/ds …(1)
となる位置またはその近傍に第1温度検出手段の温度検出ポイントが設定され、且つ
Pm2/dm’=Ps2/ds’ …(2)
となる位置またはその近傍に第2温度検出手段の温度検出ポイントが設定されていることを特徴とする定着装置。 - 回転駆動しながら記録媒体を加熱してこの記録媒体に画像を定着させる円筒状の定着部材と、この定着部材上での加熱範囲が互いに異なる複数の加熱手段と、定着部材の温度を検出する温度検出手段とを備えた定着装置において、
上記定着部材の周方向で加熱手段に最も近接した定着部材表面位置をPLとし、温度検出手段の温度検出ポイントをPsとした場合において、定着部材の周方向に沿った上記位置PLと位置Psとの間の距離をdLsとし、
定着部材の周速をvpとし、
装置制御システムの時定数をtとしたとき、
dLs=vp×t …(3)
となる位置またはその近傍に温度検出手段の温度検出ポイントが設定されていることを特徴とする定着装置。 - 回転駆動しながら記録媒体を加熱してこの記録媒体に画像を定着させる円筒状の定着部材と、この定着部材上での加熱範囲が互いに異なる複数の加熱手段と、これら加熱手段毎に対応して設けられ且つ対応する加熱手段によって加熱される範囲の温度をそれぞれ検出する複数の温度検出手段とを備えた定着装置において、
加熱手段は、第1加熱手段及び第2加熱手段であって、
上記定着部材の周方向で第1加熱手段に最も近接した定着部材表面位置をPL、
上記定着部材の周方向で第2加熱手段に最も近接した定着部材表面位置をPL’、
第1加熱手段に対応する第1温度検出手段の温度検出ポイントをPs、
第2加熱手段に対応する第2温度検出手段の温度検出ポイントをPs’とした場合において、
定着部材の周方向に沿った上記位置PLと位置Psとの間の距離をdLs、定着部材の周方向に沿った上記位置PL’と位置Ps’との間の距離をdLs’とし、
定着部材の周速をvpとし、装置制御システムの時定数をtとしたとき、
dLs=vp×t …(3)
となる位置またはその近傍に第1温度検出手段の温度検出ポイントが設定され、且つ
dLs’=vp×t …(4)
となる位置またはその近傍に第2温度検出手段の温度検出ポイントが設定されていることを特徴とする定着装置。 - 回転駆動しながら記録媒体を加熱してこの記録媒体に画像を定着させる円筒状の定着部材と、この定着部材上での加熱範囲が互いに異なる複数の加熱手段と、これら加熱手段毎に対応して設けられ且つ対応する加熱手段によって加熱される範囲の温度をそれぞれ検出する複数の温度検出手段とを備えた定着装置において、
上記複数の加熱手段のうち最も広い範囲を加熱するメイン加熱手段に最も近接した定着部材表面位置をPLとし、メイン加熱手段に対応する温度検出手段の温度検出ポイントをPsとした場合において、定着部材の周方向に沿った上記位置PLと位置Psとの間の距離をdLsとし、
定着部材の周速をvpとし、
装置制御システムの時定数をtとしたとき、
dLs=vp×t …(3)
となる位置またはその位置と定着部材周方向の略同一位置に全ての温度検出手段の温度検出ポイントが設定されていることを特徴とする定着装置。 - 請求項1〜6のうち何れか一つに記載の定着装置において、
定着部材は、その単位長さ当たりの熱容量をMh(J/(℃・m))とし、プロセス速度をvp(m/s)としたときに、Mh/vp2≦6000となる低熱容量型のものが採用されていることを特徴とする定着装置。 - 請求項7記載の定着装置において、
定着部材は、鉄系材料により形成されていることを特徴とする定着装置。 - 請求項1〜8のうち何れか一つに記載の定着装置において、
定着部材は回転可能に構成されており、ウォームアップ時は、定着部材は回転することなしに加熱手段によって加熱されるよう構成されていることを特徴とする定着装置。 - 請求項1〜9のうち何れか一つに記載の定着装置において、
温度検出手段の温度検出ポイントは、定着部材の長手方向の中央位置を基準とするセンタ基準で設定されていることを特徴とする定着装置。 - 請求項1〜9のうち何れか一つに記載の定着装置において、
温度検出手段の温度検出ポイントは、定着部材の長手方向の一端部を基準とする端部基準で設定されていることを特徴とする定着装置。 - 請求項1〜3、5、6のうち何れか一つに記載の定着装置において、
各温度検出手段の温度検出ポイントは、それぞれが対応する加熱手段によって互いに異なっていることを特徴とする定着装置。 - 請求項1〜12のうち何れか一つに記載の定着装置において、
定着部材との間で記録媒体を挟持搬送する加圧部材を備えており、この加圧部材が低熱容量の材料により形成されていることを特徴とする定着装置。 - 上記請求項1〜13のうち何れか一つに記載の定着装置を備え、
記録媒体上にトナー像が形成された状態で、この記録媒体を定着装置に通過させ、定着部材からの熱によってトナー像を記録媒体上に加熱定着させるよう構成されていることを特徴とする画像形成機。
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