JP3799784B2 - 2,6−ジアミノプリン−2’−デオキシリボシドおよび2’−デオキシグアノシンの製造法 - Google Patents

2,6−ジアミノプリン−2’−デオキシリボシドおよび2’−デオキシグアノシンの製造法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、抗ウィルス剤等の医薬原料、特に最近話題になっているアンチセンス医薬の原料として使用される2,6−ジアミノプリン−2’−デオキシリボシドおよび2’−デオキシグアノシンの製造法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
2’−デオキシグアノシンの製造法としては化学合成法の収率が非常に低いため、工業的製造法はDNA(デオキシリボ核酸)の加水分解物よりの抽出が中心となっている。しかし、従来の抽出法においては、DNAの加水分解物中に目的の2’−デオキシグアノシン以外に2’−デオキシアデノシン、2’−デオキシシチジン、チミジンが含まれており、2’−デオキシグアノシンのみを採取するための抽出工程が煩雑、コスト高の観点から、更に効率の良い方法の開発が望まれていた。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
従って、本発明の課題は、2,6−ジアミノプリン−2’−デオキシリボシドおよび2’−デオキシグアノシンを高収率で効率良く製造する方法の提供である。
【0004】
【課題を解決するための手段】
そこで本発明者は、効率の良い2’−デオキシグアノシンの製造法を確立すべく鋭意検討を重ねた結果、
(1)2’−デオキシリボース−1−リン酸またはその塩と2,6−ジアミノプリンまたはその塩に微生物を作用させることにより、2,6−ジアミノプリン−2’−デオキシリボシドが効率良く生産できること、
(2)2’−デオキウリジンもしくはチミジンと2,6−ジアミノプリンまたはその塩に無機リン酸もしくはその塩の存在下で微生物を作用させることにより2,6−ジアミノプリン−2’−デオキシリボシドが効率よく生産できること、
(3)上記(1)、(2)の方法で安定安価に生産供給される2,6−ジアミノプリン−2’−デオキシリボシドを基質に用い、これにアデノシンデアミナーゼを作用させると高収率で2’ーデオキシグアノシンが生産できること
を見いだし、本発明を完成させるに至った。
【0005】
即ち本発明は、
(1)2’−デオキシリボース−1−リン酸またはその塩と2,6−ジアミノプリンから2,6−ジアミノプリン−2’−デオキシリボシドを生成する能力を有し、アクロモバクター属、アグロバクテリウム属、アシネトバクター属、アルカリゲネス属、アースロバクター属、エアロモナス属、エシェリヒア属、エンテロバクター属、エルビニア属、キサントモナス属、クレブシエラ属、クルチア属、クルイヘラ属、コリネバクテリウム属、ザルチナ属、サルモネラ属、シトロバクター属、シュードモナス属、ストレプトマイセス属、スポロザルチナ属、スタフィロコッカス属、セラチア属、セルロモナス属、ノカルディア属、バチルス属、ハフニア属、ビブリオ属、フラボバクテリウム属、プラノコッカス属、ブレビバクテリウム属、、プロタミノバクター属、プロテウス属、ヘモフィラス属、ミクロコッカス属、ミコプラナ属、ミクロバクテリウム属、リゾビウム属またはロドコッカス属に属する微生物の培養物、該培養物より分離した微生物菌体もしくは該微生物菌体の処理物を2’−デオキシリボース−1−リン酸またはその塩と2,6−ジアミノプリンに作用させ、生成される2,6−ジアミノプリン−2’−デオキシリボシドを採取することを特徴とする2,6−ジアミノプリン−2’−デオキシリボシドの製造法、
(2)無機リン酸もしくはその塩の存在下で2’−デオキシウリジンもしくはチミジンと2,6−ジアミノプリンから2,6−ジアミノプリン−2’−デオキシリボシドを生成する能力を有し、アクロモバクター属、アグロバクテリウム属、アシネトバクター属、アルカリゲネス属、アースロバクター属、エアロモナス属、エシェリヒア属、エンテロバクター属、エルビニア属、キサントモナス属、クレブシエラ属、クルチア属、クルイヘラ属、コリネバクテリウム属、ザルチナ属、サルモネラ属、シトロバクター属、シュードモナス属、ストレプトマイセス属、スポロザルチナ属、スタフィロコッカス属、セラチア属、セルロモナス属、ノカルディア属、バチルス属、ハフニア属、ビブリオ属、フラボバクテリウム属、プラノコッカス属、ブレビバクテリウム属、、プロタミノバクター属、プロテウス属、ヘモフィラス属、ミクロコッカス属、ミコプラナ属、ミクロバクテリウム属、リゾビウム属またはロドコッカス属に属する微生物の培養物、該培養物より分離した微生物菌体もしくは該微生物菌体の処理物を無機リン酸もしくはその塩の存在下で2’−デオキシウリジンもしくはチミジンと2,6−ジアミノプリンに作用させ、生成される2,6−ジアミノプリン−2’−デオキシリボシドを採取することを特徴とする2,6−ジアミノプリン−2’−デオキシリボシドの製造法、および、
(3)上記(1)または(2)に記載の製造法で2,6−ジアミノプリン−2’−デオキシリボシドを製造し、次いで、得られた2,6−ジアミノプリン−2’−デオキシリボシドにアデノシンデアミナーゼまたは該酵素含有物を水性媒体中で作用せしめ2’−デオキシグアノシンを生成蓄積させることを特徴とする2’−デオキシグアノシンの製造法、
に関するものである。
【0006】
【発明の実施の形態】
本発明の2,6−ジアミノプリン−2’−デオキシリボシドの生産において使用される微生物は、アクロモバクタ−属、アグロバクテリウム属、アシネトバクター属、アルカリゲネス属、アースロバクター属、エアロモナス属、エシェリヒア属、エンテロバクター属、エルビニア属、キサントモナス属、クレブシエラ属、クルチア属、クルイヘラ属、コリネバクテリウム属、ザルチナ属、サルモネラ属、シトロバクター属、シュードモナス属、ストレプトマイセス属、スポロザルチナ属、スタフィロコッカス属、セラチア属、セルロモナス属、ノカルディア属、バクテリウム属、バチルス属、ハフニア属、ビブリオ属、フラボバクテリウム属、プラノコッカス属、ブレビバクテリウム属、、プロタミノバクター属、プロテウス属、ヘモフィラス属、ミクロコッカス属、ミコプラナ属、ミクロバクテリウム属、リゾビウム属またはロドコッカス属に属し、2’−デオキシリボース−1−リン酸またはその塩と2,6−ジアミノプリンから2,6−ジアミノプリン−2’−デオキシリボシドを生成する能力または無機リン酸もしくはその塩の存在下で2’−デオキシウリジンもしくはチミジンと2,6−ジアミノプリンから2,6−ジアミノプリン−2’−デオキシリボシドを生成する能力を有するものであればいずれのもでも良いが、具体的には下記に示す微生物を例示することができる。
【0007】
Figure 0003799784
Figure 0003799784
上記菌株の内、キサントモナス シトリ (Xanthomonas citri) AJ 2785(FERM P-3396)は、国際寄託当局:通商産業省工業技術院微生物工業技術研究所(現、通商産業省工業技術院生命工学工業技術研究所)に昭和51年1月27日に寄託された受託番号FERM P-3396の菌株であり、クルイヘラ シトロフィラ (Kluyvera citrophila) AJ 2626(FERM P-8193)は、同寄託当局に昭和60年4月23日に寄託された受託番号FERM P-8193の菌株であり、ザルチナ ルテア (Sartina lutea) AJ 1218(FERM P-7400)は、同寄託当局に昭和59年1月20日に寄託された受託番号FERM P-7400の菌株であり、サルモネラ チフミリウム (Salmonella typhimurium) AJ 2636(FERM P-3753)は、同寄託当局に昭和51年10月6日に寄託された受託番号FERM P-3753の菌株であり、プラノコッカス ユーシナタス (Planococcus eucinatus) AJ 1656(FERM P-9133)は、同寄託当局に昭和62年1月19日に寄託された受託番号FERM P-9133の菌株であり、プロテウス レッテゲリ (Proteus rettegeri) AJ 2770(FERM BP-941)は、同寄託当局に昭和60年4月25日に寄託され、昭和60年11月28日にブダペスト条約に基づく国際寄託に移管された受託番号FERM BP-941の菌株であり、リゾビウム メィロッティ (Rhizobium melilotti) AJ 2823(FERM P-8197)は、同寄託当局に昭和60年4月25日に寄託された受託番号FERM P-8197の菌株である。
【0008】
これらの微生物を用いて2,6−ジアミノプリン−2’−デオキシリボシドを生成せしめる方法は、微生物の培養中に基質を添加する培養法を用いても良いし、また培養した菌体あるいはこの処理物を基質に作用させる静止菌体法を用いても良い。
【0009】
培養法を用いる場合には、炭素源、窒素源、リン源、S源、無機イオン等、更に必要ならばビタミン、有機窒素源を含有する通常の培地を用いれば良い。
炭素源としては、グルコ−ス等の炭水化物、グリセロ−ル等のアルコ−ル類、酢酸等の有機酸、窒素源としては、アンモニアガス、アンモニア水、アンモニウム塩、硝酸およびその塩等、リン源としてはリン酸1カリウム等の無機リン酸およびその塩等、S源としては硫酸マグネシウム等、無機イオンとしては、マグネシウムイオン、カリウムイオン、鉄イオン、マンガンイオン、その他が必要に応じ適宜使用される。有機栄養源としては、ビタミン、アミノ酸等及びこれらを含有する酵母エキス、ペプトン、肉エキス、コ−ンスティ−プリカ−、カゼイン分解物その他が適宜用いられる。培養条件にも格別の制限はなく、例えば、好気的条件下pH5〜8及び温度25〜40℃の範囲内でpH及び温度を適当に制限しつつ12〜72時間程度培養を行なえばよい。
具体的には、(1)2’−デオキシリボース−1−リン酸から2,6−ジアミノプリン−2’−デオキシリボシドを生産する場合には、上記基本培地に2’−デオキシリボース−1−リン酸と、2,6−ジアミノプリンを、(2)2’−デオキシウリジンもしくはチミジンから2,6−ジアミノプリン−2’−デオキシリボシドを生産する場合には、上記基本培地に2’−デオキシウリジンもしくはチミジンと、2,6−ジアミノプリンを適宜添加して微生物の培養を行えば良い。上記基質の添加は培養初期でも培養途中でも構わない。
【0010】
静止菌体法を用いる場合の酵素源としては、上記の方法で得られた培養液そのまま、あるいは洗浄菌体が使用できる他、菌体処理物も使用できる。菌体処理物としては、アセトン乾燥菌体、菌体摩砕物、菌体の超音波あるいはダイノミルあるいはフレンチプレス等処理物、界面活性剤またはトルエン等に接触せしめた菌体、リゾチーム、プロテアーゼ等の酵素処理した菌体、菌体より抽出した後、透析処理等で分離したタンパク画分、本反応の酵素活性を有する精製酵素、更に上記菌体または処理物の固定化物等何れもが使用できる。
具体的には、(1)2’−デオキシリボース−1−リン酸から2,6−ジアミノプリン−2’−デオキシリボシドを生産する場合には、上記基本培地に2’−デオキシリボース−1−リン酸と、2,6−ジアミノプリンを、(2)2’−デオキシウリジンもしくはチミジンから2,6−ジアミノプリン−2’−デオキシリボシドを生産する場合には、上記基本培地に2’ーデオキシウリジンもしくはチミジンと、2,6−ジアミノプリンを含む水溶液に前記微生物菌体またはその処理物を添加し適宜添加して反応を行えば良い。
【0011】
反応は通常、温度20〜80℃、望ましくは40〜70℃で、pH3〜11望ましくはpH4〜10が好結果を与える。反応には静置あるいは攪拌のいずれの方法も採用し得る。反応時間は使用する酵素の活性、基質濃度などの条件によって異なるが、10分〜10日間保持反応させれば良い。
【0012】
上記により得られた2,6−ジアミノプリン−2’−デオキシリボシドにアデノシンデアミナーゼまたは該酵素含有物を水性媒体中で作用せしめることで、2’−デオキシグアノシンを製造することができる。2,6−ジアミノプリン−2’−デオキシリボシドは、上記反応液から分離をせずにアデノシンデアミナーゼを作用させて2’−デオキシグアノシンに作用させても良いし、反応終了混合物より採取分離した後、作用させても良い。採取分離の方法としては、合成吸着樹脂を用いる方法や、その他通常の採取分離方法が適用可能である。
【0013】
アデノシンデアミナーゼは、アデノシンをイノシンに変換する能力を有する酵素であるが、本発明者らは、アデノシンデアミナーゼが2,6−ジアミノプリン−2’−デオキシリボシドを2’−デオキシグアノシンに変換する能力も有することを見いだした。従って、本発明のアデノシンデアミナーゼの作用による2,6−ジアミノプリン−2’−デオキシリボシドからの2’−デオキシグアノシンの生産において使用されるアデノシンデアミナーゼは、2,6−ジアミノプリン−2’−デオキシリボシドを2’−デオキシグアノシンに変換できるものであればその起源を問わずいずれも使用できる。具体的には動物由来としては、ウシ腸由来、脾臓由来のもの等が使用でき、微生物由来としては酵素ハンドブック(1993年4月20日第8刷、第605頁、朝倉書店)に記載のものが使用できる。
【0014】
また、特開平02-291291号公報に記載のもの、すなわち、アシネトバクター属、エアロモナス属、アルカリゲネス属、アースロバクター属、バチルス属、ブレビバクテリウム属、セルロモナス属、シトロバクター属、コリネバクテリウム属、エシェリヒア属、エンテロバクター属、エルビニア属、フラボバクテリウム属、ハフニア属、クレブシェラ属、クルイヘラ属、ミクロバクテリウム属、ミクロコッカス属、ミコプラナ属、ノカルディア属、プラノコッカス属、プロタミノバクター属、プロテウス属、シュードモナス属、リゾビウム属、ロドコッカス属、サルモネラ属、セラチア属、スタフィロコッカス属、ストレプトマイセス属、ビブリオ属またはキサントモナス属に属し、2’,3’−ジデオキシアデノシンを2’,3’−ジデオキシイノシンに変換する能力を有する微生物由来のアデノシンデアミナーゼが使用可能であるが、具体的には下記に例示した微生物由来のアデノシンデアミナーゼが使用可能である。
【0015】
Acinetobacter lwoffii ATCC 9036
Aeromonas salmonicida ATCC 14174
Alcaligenes faecalis FERM BP-940
Arthrobacter citreus ATCC 11624
Bacillus firmus ATCC 8247
Brevibacterium pusillum ATCC 19096
Cellulomonas flavigena ATCC 491
Citrobacter freundii ATCC 8090
Corynebacterium aquaticum ATCC 14665
Escherichia coli FERM P-7404
Enterobacter cloacae ATCC 13047
Erwinia carotovora FERM P-2766
Flavobacterium aquatile ATCC 8375
Hafnia alvei ATCC 9760
Klebsiella pneumoniae ATCC 8308
Kluyvera citrophila FERM P-8193
Microbacterium imperiable ATCC 8365
Micrococcus luteus ATCC 400
Mycloplana dimorpha ATCC 4279
Nocardia restricta ATCC 14887
Planococcus citreus ATCC 15234
Protaminobacter alboflavus ATCC 8458
Proteus rettgeri FERM BP-941
Pseudomonas oleovorans ATCC 8062
Rhizobium meliloti FERM P-8197
Rhodococcus rhodochrous ATCC 12974
Salmonella typhimurium FERM P-9470
Arthrobacter ureafaciens FERM BP-2472
Serratia grimesii ATCC 14460
Staphyrococcus epidermidis ATCC 155
Streptomyces flavovirens IFO 3197
Vibrio metschnikovii ATCC 7708
Xantomonas citri FERM P-3396
【0016】
上記菌株の内、Xanthomonas citri FERM P-3396は、国際寄託当局:通商産業省工業技術院微生物工業技術研究所(現、通商産業省工業技術院生命工学工業技術研究所)に昭和51年1月27日に寄託された受託番号FERM P-3396の菌株であり、Kluyvera citrophila FERM P-8193は、同寄託当局に昭和60年4月23日に寄託された受託番号FERM P-8193の菌株であり、Arthrobacter ureafaciens FERM BP-2472は、同寄託当局に昭和58年4月25日に寄託され、平成元年6月14日にブダペスト条約に基づく国際寄託に移管された受託番号FERM BP-2472の菌株であり、Salmonella typhimurium FERM P-9470は、同寄託当局に昭和62年7月11日に寄託された受託番号FERM P-9470の菌株であり、Escherichia coli FERM P-7404は、同寄託当局に昭和59年1月20日に寄託された受託番号FERM P-7404の菌株であり、Proteus rettegeri FERM BP-941は、同寄託当局に昭和60年4月25日に寄託され、昭和60年11月28日にブダペスト条約に基づく国際寄託に移管された受託番号FERM BP-941の菌株であり、Rhizobium melilotti FERM P-8197は、同寄託当局に昭和60年4月25日に寄託された受託番号FERM P-8197の菌株であり、Alcaligenes faecalis FERM BP-940は、同寄託当局に昭和59年12月24日に寄託され、昭和60年11月28日にブダペスト条約に基づく国際寄託に移管された受託番号FERM BP-940の菌株であり、Erwinia carotovora FERM P-2766は、同寄託当局に昭和49年10月29日に寄託された受託番号FERM P-2766の菌株である。
【0017】
一方、該酵素(アデノシンデアミナーゼ)含有物としては、上記の微生物の培養液、培養菌体が使用できる他、菌体処理物である、アセトン処理菌体、菌体の磨砕物、界面活性剤あるいはトルエン等の処理菌体、リゾチーム等の酵素処理菌体、菌体より抽出した後、塩析・カラムクロマト等で分離したタンパク画分、アデノシンデアミナーゼ活性を有するタンパク画分の精製物、更に本菌体および菌体処理物の固定化物等が使用できる。動植物由来の該素含有物としては、該酵素を含有する部分の磨砕物の他、上記微生物由来酵素と同様な処理物、固定化物が使用できる。
【0018】
アデノシンデアミナーゼを2,6−ジアミノプリン−2’−デオキシリボシドに作用させる方法としては、2、6ージアミノプリンー2’ーデオキシリボシドを含む溶液にアデノシンデアミナーゼを添加し反応させれば良い。2,6−ジアミノプリン−2’−デオキシリボシドにアデノシンデアミナーゼを作用させる反応は、通常、温度5〜50℃、望ましくは10〜40℃で、pH4〜10望ましくはpH5〜9が好結果を与える。反応には静置あるいは攪拌のいずれの方法も採用し得る。反応中には、該酵素の作用によりアンモニアが生成し、反応液のpHが上昇するので、酵素の至適pHに応じてpHを調整すれば好結果が得られる、反応時間は使用する酵素の活性、基質濃度などの条件によって異なるが、10分〜5日間保持反応させれば良い。
【0019】
また、2,6−ジアミノプリン−2’−デオキシリボシド、2’−デオキシグアノシンの定量は高速液体クロマトグラフィーを用いる方法で行えば良い。
以下、実施例にて本発明を詳細に説明する。
【0020】
【実施例】
(実施例 1)
酵母エキス 5 g/l、肉エキス 10 g/l、ペプトン 10 g/l、NaCl 5 g/l を含有する栄養培地(pH 7.0) 50 ml を 坂口フラスコ(500 ml)に入れ、120 ℃にて20 分間加熱殺菌した。これに、ブイヨン寒天培地で 30℃, 16 時間培養した第1表に示す微生物をそれぞれ1白金耳づつ接種し、30℃にて 18 時間振盪培養した。得られた培養液から菌体を遠心分離により分離した後、50 mM トリス−塩酸バッファー(pH 7.2)で洗浄し、更に遠心分離することにより洗浄菌体を調製した。
上記洗浄菌体を 100 mM の2’−デオキシリボース−1−リン酸と 100 mM の2,6−ジアミノプリン・1/2硫酸塩を含む 50 mM のトリス−塩酸バッファー(pH 7.2) 10 ml に 上記洗浄菌体を 50 g/l になるように添加し、60℃にて 2 時間反応させた。反応液中に生成した2,6−ジアミノプリン−2’−デオキシリボシドの濃度を高速液体クロマトグラフィーを用いて測定し、その結果を第1表に示した。
【0021】
【表1】
Figure 0003799784
【0022】
(実施例 2)
酵母エキス 5 g/l、肉エキス 10 g/l、ペプトン 10 g/l、NaCl 5 g/l を含有する栄養培地(pH 7.0) 50 ml を 坂口フラスコ(500 ml)に入れ、120 ℃にて20 分間加熱殺菌した。これに、ブイヨン寒天培地で 30℃, 16 時間培養した第2表に示す微生物をそれぞれ1白金耳づつ接種し、30℃にて 18 時間振盪培養した。得られた培養液から菌体を遠心分離により分離した後、50 mM リン酸バッファー(pH 7.0)で洗浄し、更に遠心分離することにより洗浄菌体を調製した。
上記洗浄菌体を 100 mM の2’−デオキシウリジンと 100 mM の2,6−ジアミノプリン・1/2硫酸塩を含む50 mM のリン酸バッファー(pH 7.0) 10 ml に上記洗浄菌体を 50 g/l になるように添加し、60℃にて 2 時間反応させた。
反応液中に生成した2,6−ジアミノプリン−2’−デオキシリボシドの濃度を高速液体クロマトグラフィーを用いて測定し、その結果を第2表に示した。
【0023】
【表2】
Figure 0003799784
【0024】
(実施例 3)
酵母エキス 5 g/l、肉エキス 10 g/l、ペプトン 10 g/l、NaCl 5 g/l を含有する栄養培地(pH 7.0) 50 ml を 坂口フラスコ(500 ml)に入れ、120 ℃にて20 分間加熱殺菌した。これに、ブイヨン寒天培地で 30℃, 16 時間培養したクレブシエラ ニューモニアエ (Klebsiella pneumoniae) IFO 3321 を1白金耳づつ接種し、30℃にて 18 時間振盪培養した。得られた培養液から菌体を遠心分離により分離した後、50 mM リン酸バッファー(pH 7.0)で洗浄し、更に遠心分離することにより洗浄菌体を調製した。
上記洗浄菌体を 100 mM のチミジンと、100 mM の2,6−ジアミノプリン・1/2硫酸塩を含む50 mM のリン酸バッファー(pH 7.0) 10 ml に 上記洗浄菌体を 50 g/l になるように添加し、60℃にて 2 時間反応させた。
反応液中に生成した2,6−ジアミノプリンー2’ーデオキシリボシドの濃度を高速液体クロマトグラフィーを用いて測定した結果、15.2 g/lの2,6−ジアミノプリン−2’−デオキシリボシドが生成していた。
【0025】
(実施例 4)
2,6−ジアミノプリン−2’−デオキシリボシドを 20.0 g/l 含む 50 mM リン酸バッファー溶液および実施例 2で得られた クレブシエラ ニューモニアエ(Klebsiellapneumoniae) IFO 3321 を用いた反応終了液(2,6−ジアミノプリン−2’−デオキシリボシド 16.9 g/l 含有)5 ml (pH 7.0)にBoehringer 社製アデノシンデアミナーゼ(50% グリセロール溶液、仔ウシ腸由来、約 200 U/mg) をそれぞれ 50 μl 添加し、pH を 7.0に調製しながら 25℃にて1時間反応させた。
反応液中に生成した2’−デオキシグアノシンの濃度を高速液体クロマトグラフィーを用いて測定した結果、それぞれ 19.8 g/l(変換モル収率 99 %)、16.8 g/l(変換モル収率 99 %)であった。
【0026】
(実施例 5)
酵母エキス 5 g/l、肉エキス 10 g/l、ペプトン 10 g/l、NaCl 5 g/l を含有する栄養培地(pH 7.0) 50 ml を 坂口フラスコ(500 ml)に入れ、120 ℃にて20 分間加熱殺菌した。これに、ブイヨン寒天培地で 30℃, 16 時間培養したアースロバクター ウレアファシエンス (Arthrobacter ureafaciens) (FERM BP-2472) を1白金耳接種し、30℃にて 16 時間振盪培養した。得られた培養液から菌体を遠心分離により分離した後、50 mM トリスー塩酸バッファー(pH 7.2)で洗浄し、更に遠心分離することにより洗浄菌体を調製した。
上記洗浄菌体を 20.0 g/l の2,6−ジアミノプリン−2’−デオキシリボシドを含む 50 mM トリスー塩酸バッファー溶液(pH 7.2) に 5 g/l になるように添加し、pH を 7.2 に保持しながら 30℃、3時間反応させた。反応液中に生成した2’−デオキシグアノシンの濃度を高速液体クロマトグラフィーを用いて測定した結果、それぞれ 19.8 g/l(変換モル収率 99 %)であった。
【0027】
【発明の効果】
上記のように、本発明によれば、高収率で容易かつ安価に2,6−ジアミノプリン−2’−デオキシリボシドおよび2’−デオキシグアノシンを製造することが可能となる。

Claims (1)

  1. 2‘−デオキシリボース−1リン酸またはその塩と2,6−ジアミノプリンから2,6−ジアミノプリンから2,6−ジアミノプリン−2’−デオキシリボシドを生成する能力を有し、アクロモバクター属、アグロバクテリウム属、アシネトバクター属、アルカリゲネス属、アースロバクター属、エアロモナス属、エシェリヒア属、エンテロバクター属、エルビニア属、キサントモナス属、クレブシエラ属、クルチア属、クルイヘラ属、コリネバクテリウム属、ザルチナ属、サルモネラ属、シトロバクター属、シュードモナス属、ストレプトマイセス属、スポロザルチナ属、スタフィロコッカス属、セラチア属、セルロモナス属、ノカルディア属、バチルス属、ハフニア属、ビブリオ属、フラボバクテリウム属、プラノコッカス属、ブレビバクテリウム属、プロタミノバクター属、プロテウス属、ヘモフィラス属、ミクロコッカス属、ミコプラナ属、ミクロバクテリウム属、リゾビウム属またはロドコッカス属に属する微生物の培養物、該培養物より分離した微生物菌体もしくは該微生物菌体の処理物を2‘−デオキシリボース−1−リン酸またはその塩と2,6−ジアミノプリンに作用させ、生成される2,6−ジアミノプリン−2’−デオキシリボシドを採取することを特徴とする、2,6−ジアミノプリン−2‘−デオキシリボシドの製造法。
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