JP2006061039A - ジピコリン酸の製造法 - Google Patents
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Abstract
【課題】納豆菌を培養することによって、消費者のニーズに適合した、安心で安全なジピコリン酸を多量に製造し、より安価にこれを提供すること。
【解決手段】液体培地中で、納豆菌(Bacillus subtilis natto)を培養し、ジピコリン酸を製造する方法であり、該液体培地は、培養成分を含有しており、液体培地に対する培養成分中の窒素の初発濃度が0.2〜2.0重量%であり、液体培地への通気量が1.0〜3.0vvmであり、通気下における液体培地を撹拌する攪拌所要動力が4.0〜15.0Wである培養条件で納豆菌を培養し、該納豆菌の菌体内で産生されたジピコリン酸を回収することを特徴とするジピコリン酸の製造法による。
【選択図】なし
【解決手段】液体培地中で、納豆菌(Bacillus subtilis natto)を培養し、ジピコリン酸を製造する方法であり、該液体培地は、培養成分を含有しており、液体培地に対する培養成分中の窒素の初発濃度が0.2〜2.0重量%であり、液体培地への通気量が1.0〜3.0vvmであり、通気下における液体培地を撹拌する攪拌所要動力が4.0〜15.0Wである培養条件で納豆菌を培養し、該納豆菌の菌体内で産生されたジピコリン酸を回収することを特徴とするジピコリン酸の製造法による。
【選択図】なし
Description
本発明はBacillus subtilis natto(以下、「納豆菌」という)を用いて、2,6−ピリジンジカルボン酸(以下、「ジピコリン酸」という)を製造する方法に関する。
ジピコリン酸は、ナイアシン(別名:ニコチン酸アミド)の類縁化合物であり、その主な特徴は、抗菌、キレート、抗酸化作用を有し、熱安定性が高く、無味無臭で、既食経験があり、人体に対する毒性が低いこと等である。これらの特徴を活かして、経口、接触等で人体に直接関わる医農薬、畜産、食品、ライフケミカル、香粧品材料、建築材料等の産業分野における利用が期待されている。なかには、既にジピコリン酸を利用している分野もある。特に無味無臭であるという特徴は、ジピコリン酸が、食品、化粧品分野等に、それらが本来持つ風味や香り等を損なわせずに、抗菌、抗酸化作用等の機能を付与できる素材として、有望であることを示している。
近年、安全な商品に対する消費者のニーズが高まっている。例えば、野菜が、無農薬農法や有機農法で作られているかどうか、食品が合成保存料を使用しているかどうか、建築材料が化学物質を使用しているかどうか等の出所や添加物の表示に敏感に反応する一般消費者が増加している。
更に近年では、遺伝子組換え作物や食品への使用に対して不安を抱く消費者も多く、一般消費者に直接触れる、ライフケミカル、食品、医農、化粧品、建築材料等の分野で天然物や天然由来の素材へのニーズが高まっている。
更に近年では、遺伝子組換え作物や食品への使用に対して不安を抱く消費者も多く、一般消費者に直接触れる、ライフケミカル、食品、医農、化粧品、建築材料等の分野で天然物や天然由来の素材へのニーズが高まっている。
ジピコリン酸は、2,6−ルチジンから酸化反応によって合成できることが知られている(例えば、特許文献1、特許文献2、特許文献3参照。)。その他、ジピコリン酸を多量に発生させるために微生物に変異や遺伝子組換えを施し、これを培養することによるジピコリン酸の製造法が知られている(例えば、特許文献4、特許文献5、特許文献6、非特許文献1参照。)。
しかしながら、これらの製造方法は、化学合成品や、遺伝子を改変した微生物を利用して製造しており、いずれも安心で、安全な商品に対する消費者ニーズに適合していない。
しかしながら、これらの製造方法は、化学合成品や、遺伝子を改変した微生物を利用して製造しており、いずれも安心で、安全な商品に対する消費者ニーズに適合していない。
一方、ジピコリン酸は、枯草菌をはじめ、多くのBacillus属細菌の芽胞中に存在することが古くから知られている。枯草菌の1種である納豆菌もジピコリン酸を生成することが1936年に報告されている(例えば、非特許文献2参照。)。日本で古くから食経験がある納豆の製造に使用されている納豆菌由来のジピコリン酸を使用すれば、より安全で、安心な天然の素材として一般消費者のニーズに適合した製品を提供することが可能になる。
しかし、これまでも納豆菌の培養によるジピコリン酸の生産に関する報告や、納豆菌1gあたりのジピコリン酸含有量を報告した例はある(例えば、非特許文献3、非特許文献4参照。)。しかし、いずれも納豆菌によるジピコリン酸の生産量は、mg/Lのオーダーのレベルであり、納豆菌によるジピコリン酸の製造はコストが高く、工業生産に使用できるレベルではなかった。
更に、市販されている納豆のジピコリン酸含有量は平均6.12〜48.22mg/100g程度であり(例えば、非特許文献4参照。)、納豆から直接ジピコリン酸を抽出して得るにはコストが高く、工業生産に使用できるレベルではなかった。
特開平11−322716号公報
特開平11−343483号公報
EP253439B1号公報
特開2002−371063号公報
DE2300056号公報
US3334021号公報
Journal of fermentation technology,Vol.64,No.6,p.493−497,1986
日本農芸化学会誌 vol.12、pp.386−394、1936
愛知県産業技術研究所研究報告第2号、2003
日本農芸化学会誌 vol.73、No.12、pp.1289〜1291、1999
しかし、これまでも納豆菌の培養によるジピコリン酸の生産に関する報告や、納豆菌1gあたりのジピコリン酸含有量を報告した例はある(例えば、非特許文献3、非特許文献4参照。)。しかし、いずれも納豆菌によるジピコリン酸の生産量は、mg/Lのオーダーのレベルであり、納豆菌によるジピコリン酸の製造はコストが高く、工業生産に使用できるレベルではなかった。
更に、市販されている納豆のジピコリン酸含有量は平均6.12〜48.22mg/100g程度であり(例えば、非特許文献4参照。)、納豆から直接ジピコリン酸を抽出して得るにはコストが高く、工業生産に使用できるレベルではなかった。
本発明の課題は、天然に存在し、日本で古くから食経験がある納豆菌を培養することによって、消費者のニーズに適合した、安心で安全なジピコリン酸を多量に製造し、より安価にこれを提供することである。
上記の課題を解決すべく、検討を重ねた。その結果、日本で古くから食経験のある納豆菌を用いて、特定の条件で培養することで、納豆菌の生育が促進され、多量のジピコリン酸を体内に蓄積させることができることを見出し、これらの知見により、本発明を完成するに至った。
本発明は下記の構成を有する。
[1]液体培地中で納豆菌(Bacillus subtilis natto)を培養し、ジピコリン酸を製造する方法であり、該液体培地は、培養成分を含有しており、液体培地に対する培養成分中の窒素の初発濃度(以下、「初発窒素濃度」という。)が0.2〜2.0重量%であり、液体培地への通気量が1.0〜3.0vvmであり、通気下における液体培地を撹拌する攪拌所要動力が4.0〜15.0Wである培養条件で納豆菌を培養し、該納豆菌の菌体内で産生されたジピコリン酸を回収することを特徴とするジピコリン酸の製造法。
[2]培養成分が、炭素源及び窒素源を含有することを特徴とする前記[1]項記載のジピコリン酸の製造法。
[3]炭素源が、グリセロールである前記[2]項記載のジピコリン酸の製造法。
[4]液体培地中に更に消泡剤を添加することを特徴とする前記[1]〜[3]のいずれか1項記載のジピコリン酸の製造法。
[5]消泡剤が、液体培地中に、有効成分換算で0.0001〜0.05重量%添加されていることを特徴とする前記[4]項記載のジピコリン酸の製造法。
[1]液体培地中で納豆菌(Bacillus subtilis natto)を培養し、ジピコリン酸を製造する方法であり、該液体培地は、培養成分を含有しており、液体培地に対する培養成分中の窒素の初発濃度(以下、「初発窒素濃度」という。)が0.2〜2.0重量%であり、液体培地への通気量が1.0〜3.0vvmであり、通気下における液体培地を撹拌する攪拌所要動力が4.0〜15.0Wである培養条件で納豆菌を培養し、該納豆菌の菌体内で産生されたジピコリン酸を回収することを特徴とするジピコリン酸の製造法。
[2]培養成分が、炭素源及び窒素源を含有することを特徴とする前記[1]項記載のジピコリン酸の製造法。
[3]炭素源が、グリセロールである前記[2]項記載のジピコリン酸の製造法。
[4]液体培地中に更に消泡剤を添加することを特徴とする前記[1]〜[3]のいずれか1項記載のジピコリン酸の製造法。
[5]消泡剤が、液体培地中に、有効成分換算で0.0001〜0.05重量%添加されていることを特徴とする前記[4]項記載のジピコリン酸の製造法。
本発明によれば、天然に存在し、日本で古くから食経験がある納豆菌を培養することによって、消費者のニーズに適合した、安心で安全なジピコリン酸を多量に製造することができる。
以下本発明を詳細に説明する。
本発明のジピコリン酸の製造法は、培養成分を含有する液体培地中で、納豆菌(Bacillus subtilis natto)を培養し、その菌体内でジピコリン酸を産生させ、これを回収する方法である。このとき、納豆菌の培養条件は、初発窒素濃度が0.2〜2.0重量%であり、液体培地への通気量が1.0〜3.0vvmであり、通気下において液体培地を撹拌する攪拌所要動力が4.0〜15.0Wである。
本発明のジピコリン酸の製造法は、培養成分を含有する液体培地中で、納豆菌(Bacillus subtilis natto)を培養し、その菌体内でジピコリン酸を産生させ、これを回収する方法である。このとき、納豆菌の培養条件は、初発窒素濃度が0.2〜2.0重量%であり、液体培地への通気量が1.0〜3.0vvmであり、通気下において液体培地を撹拌する攪拌所要動力が4.0〜15.0Wである。
本発明に使用される納豆菌は、ジピコリン酸を産生できる性質を有していれば特に制限はなく、例えば、高橋菌(高橋祐蔵研究所製、山形)、成瀬菌(株式会社成瀬醗酵化学研究所製、東京)、朝日菌(株式会社朝日工業製、東京)、日東菌(株式会社日東薬品工業製、京都)、目黒菌(株式会社目黒研究所製、大阪)及び宮城野菌(有限会社宮城野納豆製造所製、仙台)等の市販の納豆菌を用いることができる。
本発明に用いられる納豆菌の培地は、用いる納豆菌の菌株を培養することが可能な培養成分から構成されていれば特に制限はなく、公知の培養成分からなる培地が使用できる。培地には、炭素源及び窒素源を含有する培養成分を用いることが好ましい。これら以外にも無機塩等各種成分を適宜混合することにより栄養成分を調整し、使用することができる。また、市販の培地をそのまま使用してもよいし、市販の培地に公知の成分を補助成分として添加して使用してもよい。これらの培地は、合成培地または天然培地のいずれであってもよい。培地は、滅菌水、蒸留水等で溶解し、更にオートクレーブで滅菌し、液体培地として使用することが好ましい。
本発明において、納豆菌の培養に使用できる炭素源は、使用する納豆菌の菌株の種によって異なるが、一般に、デンプン、デンプンの組成画分、焙焼デキストリン、加工デンプン、デンプン誘導体、α−デンプン、アミロース、アミロペクチン、マルトオリゴ糖、デキストリン、シクロデキストリン、プルラン、トウモロコシデンプン、馬鈴薯デンプン、甘藷デンプン、グリセロール、ソルビトール、麦芽汁、ガラクトース及びグルコース等が利用できる。これらの炭素源のうち、ジピコリン酸の生成量を考慮すると、グリセロールが好ましい。これらの炭素源は、単独で、または2種以上の混合物で使用でき、その炭素源の濃度は、通常、培養液の全重量に対して2〜8重量%の範囲になるように添加することが好ましく、ジピコリン酸の生成量を考慮すると、5〜7重量%の範囲になるように添加することがより好ましい。
また、必要に応じて、培養中にこれらの炭素源を追加することができる。炭素源の追加方法は使用する菌株が良好に生育し、ジピコリン酸を効率よく生産させる方法であれば、特に制限はない。例えば、逐次添加の場合には、培養液中の炭素源濃度が所定濃度以下になったときに炭素源を添加すればよい。具体的には、炭素源であるグリセロール濃度が0.1重量%以下になったときに、グリセロールを培養液に対して6重量%になるように添加すればよい。
また、連続添加の場合には、培養液の炭素源を培養液に通液すればよく、具体的には、炭素源であるグリセロールの濃度を、例えば1.0重量%に維持するようにグリセロール液を培養液に通液し、培養液を排出する方法が例示できる。
また、必要に応じて、培養中にこれらの炭素源を追加することができる。炭素源の追加方法は使用する菌株が良好に生育し、ジピコリン酸を効率よく生産させる方法であれば、特に制限はない。例えば、逐次添加の場合には、培養液中の炭素源濃度が所定濃度以下になったときに炭素源を添加すればよい。具体的には、炭素源であるグリセロール濃度が0.1重量%以下になったときに、グリセロールを培養液に対して6重量%になるように添加すればよい。
また、連続添加の場合には、培養液の炭素源を培養液に通液すればよく、具体的には、炭素源であるグリセロールの濃度を、例えば1.0重量%に維持するようにグリセロール液を培養液に通液し、培養液を排出する方法が例示できる。
本発明において、納豆菌の培養に使用できる窒素源は、使用する納豆菌の菌株の種によって異なるが、使用する菌株が良好に生育し、ジピコリン酸を効率よく生産させる窒素源であれば、特に制限されない。具体的には、肉エキス、麦芽エキス、ペプトン、ポリペプトン、酵母エキス、大豆粉末、ミルクカゼイン、大豆ペプチド、各種アミノ酸及びコーンスティープリカー等の有機窒素化合物、アンモニア、硝酸アンモニウム、硫酸アンモニウム及び塩化アンモニウム等のアンモニウム塩、硝酸ナトリウム等の硝酸塩、尿素等の無機窒素化合物等が挙げられる。これらの窒素源のうち、ジピコリン酸の生成量を考慮すると、ペプトン、大豆ペプチド、酵母エキス及び硫酸アンモニウムが好ましく使用できる。これらの窒素源は、単独で、または2種以上の混合物として使用できる。
なお、本発明でいう初発窒素濃度とは、培養開始時に、液体培地中の培養成分のうち、窒素源に含まれる窒素の培養液全体に対する濃度をいう。初発窒素濃度は、0.2〜2.0重量%であり、ジピコリン酸の生成量を考慮すると、0.3〜1.5重量%の範囲で添加することが好ましく、更に好ましくは0.4〜0.8重量%の範囲で添加することである。
なお、本発明でいう初発窒素濃度とは、培養開始時に、液体培地中の培養成分のうち、窒素源に含まれる窒素の培養液全体に対する濃度をいう。初発窒素濃度は、0.2〜2.0重量%であり、ジピコリン酸の生成量を考慮すると、0.3〜1.5重量%の範囲で添加することが好ましく、更に好ましくは0.4〜0.8重量%の範囲で添加することである。
本発明において、納豆菌の培養に使用できる無機塩は、使用する納豆菌の菌株の種によって異なるが、使用する菌株が良好に生育し、ジピコリン酸を効率よく生産させる無機塩であれば、特に制限されない。具体的には、マグネシウム、マンガン、コバルト、カルシウム、ナトリウム、カリウム、銅、鉄及び亜鉛等のリン酸塩、塩酸塩、硫酸塩及び酢酸塩等が例示でき、これらから選ばれる1種または2種以上を使用することができる。液体培地中の無機塩の濃度は、特に制限はなく、使用する納豆菌の種類に最適な濃度にすればよい。
また、本発明において、納豆菌の培養に使用する培地には、栄養成分として、オカラ、大豆、味噌や納豆製造時に発生する大豆煮汁、豆腐や油揚げ製造時に発生する大豆粕、味噌製造時の副産物である大豆の種皮、焼酎製造時に発生する焼酎粕等、納豆菌によって発酵できる材料を用いることができる。この際、必要であれば、この材料に上記に示したような炭素源、窒素源及び無機塩を適宜添加して用いてもよい。
本発明において、納豆菌の培養は好気的条件下で行われる。このとき、培養温度、pHの条件は、使用する菌株、培地の組成及び培養法によって適宜選択され、使用する菌株が増殖し、ジピコリン酸を効率よく生成できる条件であれば、特に制限されない。例えば、培養温度は、通常30〜60℃、好ましくは30〜45℃であり、培養に適当なpHは、通常6.0〜9.5、好ましくは6.5〜8.0であり、これらの条件下で、16〜96時間、培養を実施することが好ましい。なお、pH調整には、無機、有機の酸性またはアルカリ性物質、更にアンモニアガス等を使用することができる。
本発明において、納豆菌をジャーファーメンター等で通気攪拌培養を実施する際の通気量は、1.0〜3.0vvmであり、好ましくは1.0〜2.0vvmである。通気下の攪拌所要動力は4.0〜15.0Wであり、好ましくは6.0〜13.0Wであり、より好ましくは8.0〜11.0Wである。この条件下で納豆菌を培養すると、納豆菌の増殖を促進し、ジピコリン酸を効率よく生産させることができる。
ここで、通気下の攪拌所要動力とは、通気攪拌時の攪拌強度を数値化したもので、攪拌機が消費する動力の総量を推定し、発酵槽の設計値とすることができる。通気下の攪拌所要動力(Pg)は次式によって求めた。
Pg=373(P2ND3/F0.56)0.45 (W)
P…無通気下の攪拌所要動力:NpρN3D5/746
N…攪拌機の回転数(1/S)
D…攪拌機の翼直径(m)
F…通気速度(m3/s)
Np…動力数(攪拌に必要な動力に関する無次元数)
ρ…流体密度(kg/m3)
ここで、通気下の攪拌所要動力とは、通気攪拌時の攪拌強度を数値化したもので、攪拌機が消費する動力の総量を推定し、発酵槽の設計値とすることができる。通気下の攪拌所要動力(Pg)は次式によって求めた。
Pg=373(P2ND3/F0.56)0.45 (W)
P…無通気下の攪拌所要動力:NpρN3D5/746
N…攪拌機の回転数(1/S)
D…攪拌機の翼直径(m)
F…通気速度(m3/s)
Np…動力数(攪拌に必要な動力に関する無次元数)
ρ…流体密度(kg/m3)
本発明において、納豆菌の培養時に発泡が著しいようであれば、必要に応じて消泡剤を添加することができる。消泡剤は使用する菌体の種によって異なるが、使用する菌株が良好に生育し、ジピコリン酸を効率よく生産させる消泡剤であれば、特に制限されない。例えば、ヒマシ油、ゴマ油、アマニ油、ダイズ油等の動植物油の油脂系消泡剤、ステアリン酸、オレイン酸、パルミチン酸等の脂肪酸系消泡剤、イソアミルステアリン酸、ジグリコールラウリン酸、ジステリルコハク酸、エチレングリコール、ジステアリン酸、ソルビタンモノラウリン酸、ポリオキシエチレンソルビタン、モノラウリン酸ブチルステアレート、スルホン化リチノール酸のエチル酢酸アルキルエステル、天然ワックス等の脂肪酸エステル系消泡剤、ポリオキシアルキレングリコールとその誘導体、ポリオキシアルキレンアルコール一水和物、3−tert-アミルフェノキシエタノール、3−ヘプタノール、2−エチルヘキサノール等のアルコール系消泡剤、ジ−tert−アミルフェノキシエタノール、3−ヘプチルセロソルブ、ノニルセロソルブ−3−ヘプチルカルビトール等のエーテル系消泡剤、トリブチルホスフェート、オクチルリン酸ナトリウム、トリス(ブトキシエチル)ホスフェート等のリン酸エステル系消泡剤、ジアミルアミン等のアミン系消泡剤、ポリアルキレンアマイド、アシレイトポリアミン、ジオクタデカノイルピペリジン等のアマイド系消泡剤、Al−ステアリン酸、Ca−ステアリン酸、K−オレイン酸、ウールオレインのCa塩等の金属石鹸系消泡剤、ジメチルポリシロキサン、シリコーンペースト、シリコーンエマルジョン、シリコーン処理粉末、有機変性ポリシロキサン、フッ素シリコーン等のシリコーン系消泡剤等が挙げられる。なかでも発酵用として用いられている脂肪酸系消泡剤、アルコール系消泡剤、シリコーン系消泡剤を選択することが好ましく、更にライフケミカルや医農薬、畜産、食品、化粧品材料、建築材料等、経口や接触等で人体に直接関わる分野で、種々の用途に利用可能な天然由来の素材であることを考慮すると、食品用としてよく用いられている油脂系消泡剤、脂肪酸エステル系消泡剤、シリコーン系消泡剤の選択がより好ましい。なお、食品用途にジピコリン酸を使用する場合には、食品添加が可能な消泡剤を使用することがよい。
消泡剤の添加量は、液体培地に対して、その有効成分換算で0.0001〜0.05重量%であり、好ましくは0.0001〜0.03重量%であり、より好ましくは0.0001〜0.01重量%である。この濃度範囲で培養すると、発泡による培養液の吹き出しロスが抑えられ、ジピコリン酸の生成も抑制されない。
消泡剤の添加量は、液体培地に対して、その有効成分換算で0.0001〜0.05重量%であり、好ましくは0.0001〜0.03重量%であり、より好ましくは0.0001〜0.01重量%である。この濃度範囲で培養すると、発泡による培養液の吹き出しロスが抑えられ、ジピコリン酸の生成も抑制されない。
培養により菌体内に生成蓄積されたジピコリン酸の取得方法は、菌体内から効率よく回収できる条件であれば特に限定されない。例えば、遠心分離や各種フィルター等によるろ過等によって培養物から菌体を分離した後、蒸気加熱(オートクレーブ)、溶菌酵素、ビーズミル等の磨砕法、ホモジナイザーやフレンチプレス等の加圧せん断法、超音波破砕法等を用いて、ジピコリン酸を菌体外に放出させた後、膜分離法や、イオン交換クロマトグラフィー等のクロマトグラフィー法等を用いて精製、取得することができる。精製は収率よくジピコリン酸が精製できれば、特に限定されず、例えばカチオン交換樹脂カラムによるイオン交換クロマトグラフィー等が挙げられる。
以下、実施例によって本発明を具体的に説明する。なお、ジピコリン酸の測定法と炭素源として使用したグリセロールの測定法は以下の方法で実施した。
・測定法
(1)ジピコリン酸の測定法
使用機器 :クロマトパックCR−7A(島津製作所製)
カラム :SHODEX RSpak KC−811(昭和電工製)
ガードカラム :SHODEX RSpak KC−G(昭和電工製)
カラム温度 :40℃
溶離液 :0.1%リン酸:メタノール=9:1
流量 :0.7ml/分
検出 :270nm
検出時間 :30分
(2)グリセロールの測定法
I)高速液体クロマトグラフィーの運転条件
使用機器 :クロマトパックCR−7A(島津製作所製)
カラム :SHODEX SH−1101(昭和電工製)
ガードカラム :SHODEX SH−G(昭和電工製)
カラム温度 :50℃
溶離液 :0.01N硫酸
流量 :0.75ml/分
注入量 :20μL
検出 :RI検出器
検出時間 :20分
II)サンプル調製
培養液を0.2μmナイロンフィルター(Millipore製)に通し、必要に応じて溶離液で適当に希釈する。
・測定法
(1)ジピコリン酸の測定法
使用機器 :クロマトパックCR−7A(島津製作所製)
カラム :SHODEX RSpak KC−811(昭和電工製)
ガードカラム :SHODEX RSpak KC−G(昭和電工製)
カラム温度 :40℃
溶離液 :0.1%リン酸:メタノール=9:1
流量 :0.7ml/分
検出 :270nm
検出時間 :30分
(2)グリセロールの測定法
I)高速液体クロマトグラフィーの運転条件
使用機器 :クロマトパックCR−7A(島津製作所製)
カラム :SHODEX SH−1101(昭和電工製)
ガードカラム :SHODEX SH−G(昭和電工製)
カラム温度 :50℃
溶離液 :0.01N硫酸
流量 :0.75ml/分
注入量 :20μL
検出 :RI検出器
検出時間 :20分
II)サンプル調製
培養液を0.2μmナイロンフィルター(Millipore製)に通し、必要に応じて溶離液で適当に希釈する。
実施例1
納豆菌によるジピコリン酸の生産
グリセロール(試薬特級、和光純薬製)3.0重量%、ポリペプトン(ポリペプトンS、日本製薬製)2.0重量%、酵母エキス(オリエンタル酵母製)0.3重量%を蒸留水中に含有するpH6.7の液体培地(以下、これを「前培養培地」という)を作製した。なお、オートクレーブ(商品名:SX−500、トミー精工製)によって、121℃、20分蒸気加熱したグリセロールをここで使用した。このときの前培養培地中の窒素濃度は、0.2重量%であった。
次に、納豆菌宮城野株から1白金耳量の菌体を採り、前培養培地100ml入り500ml容坂口フラスコに接種し、37℃で一晩振とう培養し(以下、これを「前培養」という)、前培養液を得た。
グリセロール(試薬特級、和光純薬製)6.0重量%、酵母エキス(オリエンタル酵母製)1.5重量%、大豆ペプチド(ハイニュートSMP、不二製油製)3.0重量%、食品添加物用シリコーン(KM−72F、信越化学製)の消泡剤の有効成分換算で0.01重量%を蒸留水中に含有する液体培地を作製し、水酸化ナトリウムでpH7.2に調整した。このときの液体培地中の初発窒素濃度は、0.43重量%であった。更に、この液体培地をオートクレーブによって、121℃、20分蒸気加熱し、液体培地(以下、これを「本培養培地」という)として用いた。
次に、本培養培地1500ml入りミニジャーファーメンター(商品名:MB−W、いわしや生物科学製)に前培養液15mlを接種し、37℃、通気量1.0vvm、攪拌数600rpm(攪拌所要動力9.2W)の培養条件で、水酸化ナトリウムと硫酸とでpHを7.0に制御しながら72時間培養した(以下、これを「本培養」という)。培養開始6時間後から菌の生育に伴い、発泡が確認されたため、適宜消泡剤を追加した。なお、最終的な消泡剤の添加量は本培養培地の培養物に対して、有効成分換算で0.05重量%であった。
72時間培養後、本培養培地の培養物をオートクレーブで、121℃、30分蒸気加熱することで、菌体を溶菌させた後、1M酢酸を0.02ml/lの割合で加え、室温にて1時間以上静置した。溶離液で適当に希釈した後、遠心分離機(CN−2060、HSIANG MACHINERY IND.CO.LTD製)で分離し(6000rpm、15分、)、上清を回収した。この上清を0.2μmナイロンフィルター(マイレクス−GN、Millipore製)でろ過して、HPLCにてジピコリン酸を定量した。
ジピコリン酸の生産量を上記方法にて測定したところ、得られたジピコリン酸の生産量は、1.1g/Lであった。
納豆菌によるジピコリン酸の生産
グリセロール(試薬特級、和光純薬製)3.0重量%、ポリペプトン(ポリペプトンS、日本製薬製)2.0重量%、酵母エキス(オリエンタル酵母製)0.3重量%を蒸留水中に含有するpH6.7の液体培地(以下、これを「前培養培地」という)を作製した。なお、オートクレーブ(商品名:SX−500、トミー精工製)によって、121℃、20分蒸気加熱したグリセロールをここで使用した。このときの前培養培地中の窒素濃度は、0.2重量%であった。
次に、納豆菌宮城野株から1白金耳量の菌体を採り、前培養培地100ml入り500ml容坂口フラスコに接種し、37℃で一晩振とう培養し(以下、これを「前培養」という)、前培養液を得た。
グリセロール(試薬特級、和光純薬製)6.0重量%、酵母エキス(オリエンタル酵母製)1.5重量%、大豆ペプチド(ハイニュートSMP、不二製油製)3.0重量%、食品添加物用シリコーン(KM−72F、信越化学製)の消泡剤の有効成分換算で0.01重量%を蒸留水中に含有する液体培地を作製し、水酸化ナトリウムでpH7.2に調整した。このときの液体培地中の初発窒素濃度は、0.43重量%であった。更に、この液体培地をオートクレーブによって、121℃、20分蒸気加熱し、液体培地(以下、これを「本培養培地」という)として用いた。
次に、本培養培地1500ml入りミニジャーファーメンター(商品名:MB−W、いわしや生物科学製)に前培養液15mlを接種し、37℃、通気量1.0vvm、攪拌数600rpm(攪拌所要動力9.2W)の培養条件で、水酸化ナトリウムと硫酸とでpHを7.0に制御しながら72時間培養した(以下、これを「本培養」という)。培養開始6時間後から菌の生育に伴い、発泡が確認されたため、適宜消泡剤を追加した。なお、最終的な消泡剤の添加量は本培養培地の培養物に対して、有効成分換算で0.05重量%であった。
72時間培養後、本培養培地の培養物をオートクレーブで、121℃、30分蒸気加熱することで、菌体を溶菌させた後、1M酢酸を0.02ml/lの割合で加え、室温にて1時間以上静置した。溶離液で適当に希釈した後、遠心分離機(CN−2060、HSIANG MACHINERY IND.CO.LTD製)で分離し(6000rpm、15分、)、上清を回収した。この上清を0.2μmナイロンフィルター(マイレクス−GN、Millipore製)でろ過して、HPLCにてジピコリン酸を定量した。
ジピコリン酸の生産量を上記方法にて測定したところ、得られたジピコリン酸の生産量は、1.1g/Lであった。
実施例2
実施例1に準じた方法で納豆菌を培養した。ただし、本培養時には、経時的に培養液をサンプリングして、本培養液中のグリセロールの濃度を高速液体クロマトグラフィーでモニターし、グリセロールの濃度が0.01重量%を下回ったときには培地に対して、濃度が6.0重量%になるようにグリセロールを添加した。培養開始6時間後から菌の生育に伴い、発泡が確認されたため、適宜消泡剤を追加した。なお、最終的な消泡剤の添加量は培養液に対して、有効成分換算では0.05重量%であった。
72時間培養後、実施例1に準じた方法でジピコリン酸の生産量を測定したところ、得られたジピコリン酸の生産量は、1.5g/Lであった。
実施例1に準じた方法で納豆菌を培養した。ただし、本培養時には、経時的に培養液をサンプリングして、本培養液中のグリセロールの濃度を高速液体クロマトグラフィーでモニターし、グリセロールの濃度が0.01重量%を下回ったときには培地に対して、濃度が6.0重量%になるようにグリセロールを添加した。培養開始6時間後から菌の生育に伴い、発泡が確認されたため、適宜消泡剤を追加した。なお、最終的な消泡剤の添加量は培養液に対して、有効成分換算では0.05重量%であった。
72時間培養後、実施例1に準じた方法でジピコリン酸の生産量を測定したところ、得られたジピコリン酸の生産量は、1.5g/Lであった。
実施例3
窒素源として、焼酎製造時に発生する焼酎粕を使用した。
この焼酎粕を蒸留水で、初発窒素濃度が0.4重量%となるように希釈し、これに終濃度が6.0重量%になるようにグリセロールを添加し、本培養培地とした。本培養培地1500ml入りミニジャーファーメンター(商品名:MB−W、いわしや生物科学製)に、実施例1に準じた方法で前培養した培養液15mlを接種し、37℃、通気量1.0vvm、攪拌数600rpm(攪拌所要動力9.2W)の培養条件で、水酸化ナトリウムと硫酸とでpHを7.0に制御しながら72時間培養した。培養中、実施例1,2と同様に発泡が生じたが、消泡剤の添加を行わずに培養した。
72時間培養後、実施例1に準じた方法でジピコリン酸の生産量を測定したところ、得られたジピコリン酸の生産量は、4.4g/Lであった。
窒素源として、焼酎製造時に発生する焼酎粕を使用した。
この焼酎粕を蒸留水で、初発窒素濃度が0.4重量%となるように希釈し、これに終濃度が6.0重量%になるようにグリセロールを添加し、本培養培地とした。本培養培地1500ml入りミニジャーファーメンター(商品名:MB−W、いわしや生物科学製)に、実施例1に準じた方法で前培養した培養液15mlを接種し、37℃、通気量1.0vvm、攪拌数600rpm(攪拌所要動力9.2W)の培養条件で、水酸化ナトリウムと硫酸とでpHを7.0に制御しながら72時間培養した。培養中、実施例1,2と同様に発泡が生じたが、消泡剤の添加を行わずに培養した。
72時間培養後、実施例1に準じた方法でジピコリン酸の生産量を測定したところ、得られたジピコリン酸の生産量は、4.4g/Lであった。
比較例1
実施例1の本培養培地において、初発窒素濃度が0.14重量%になるように酵母エキス(オリエンタル酵母製)0.5重量%、大豆ペプチド(ハイニュートSMP、不二製油製)1.0重量%に変更した培地を用いた。この培地1500ml入りミニジャーファーメンター(商品名:MB−W、いわしや生物科学製)に実施例1に準じた方法で前培養した培養液15mlを接種し、37℃、通気量0.5vvm、攪拌数300rpm(攪拌所要動力1.0W)の培養条件で、水酸化ナトリウムと硫酸とでpHを7.0に制御しながら培養した。培養開始36時間後に発泡が確認されたため、適宜消泡剤を追加した。なお、最終的な消泡剤の添加量は培養液に対して、有効成分換算で0.05重量%であった。
培養72時間後、実施例1に準じた方法で、ジピコリン酸の生産量を測定したところ、得られたジピコリン酸の生産量は、0.01g/L未満であった。
実施例1の本培養培地において、初発窒素濃度が0.14重量%になるように酵母エキス(オリエンタル酵母製)0.5重量%、大豆ペプチド(ハイニュートSMP、不二製油製)1.0重量%に変更した培地を用いた。この培地1500ml入りミニジャーファーメンター(商品名:MB−W、いわしや生物科学製)に実施例1に準じた方法で前培養した培養液15mlを接種し、37℃、通気量0.5vvm、攪拌数300rpm(攪拌所要動力1.0W)の培養条件で、水酸化ナトリウムと硫酸とでpHを7.0に制御しながら培養した。培養開始36時間後に発泡が確認されたため、適宜消泡剤を追加した。なお、最終的な消泡剤の添加量は培養液に対して、有効成分換算で0.05重量%であった。
培養72時間後、実施例1に準じた方法で、ジピコリン酸の生産量を測定したところ、得られたジピコリン酸の生産量は、0.01g/L未満であった。
参考例1
実施例1に準じた方法で前培養した培養液15mlを実施例1の本培養培地のうち、食品添加物用シリコーン(KM−72F、信越化学製)の添加量を消泡剤の有効成分換算で0.2重量%に変更した以外は実施例1に準じた方法で培養した。培養開始6時間後から菌の生育に伴い、発泡が確認されたため、適宜消泡剤を追加した。なお、最終的な消泡剤添加量は培養液に対して、有効成分換算で0.5重量%であった。
72時間培養後、実施例1に準じた方法でジピコリン酸の生産量を測定したところ、得られたジピコリン酸の生産量は、0.4g/Lであった。
実施例1に準じた方法で前培養した培養液15mlを実施例1の本培養培地のうち、食品添加物用シリコーン(KM−72F、信越化学製)の添加量を消泡剤の有効成分換算で0.2重量%に変更した以外は実施例1に準じた方法で培養した。培養開始6時間後から菌の生育に伴い、発泡が確認されたため、適宜消泡剤を追加した。なお、最終的な消泡剤添加量は培養液に対して、有効成分換算で0.5重量%であった。
72時間培養後、実施例1に準じた方法でジピコリン酸の生産量を測定したところ、得られたジピコリン酸の生産量は、0.4g/Lであった。
実施例1〜3においては、本発明の培養条件を適用しているため、ジピコリン酸の生成量が1.1〜4.4g/Lと非常に高い。これに対して、比較例1では、本発明の培養条件とは異なっているため、0.01g/Lと著しく低い値になっている。なお、参考例1として、本発明の培養条件を適用しているが、消泡剤の使用量を著しく過剰にした例を挙げた。
本発明により、より多量で、安価にジピコリン酸を製造することができる。本発明で得られたジピコリン酸を用いることで、消費者のニーズに適合した、安心で安全な素材として食品、医薬品、ライフケミカル、香粧品材料、建築材料等、人体に直接接する産業分野での利用が期待される。具体的には、抗菌剤、キレート剤に好適に利用できる。
Claims (5)
- 液体培地中で納豆菌(Bacillus subtilis natto)を培養し、ジピコリン酸を製造する方法であり、該液体培地は、培養成分を含有しており、液体培地に対する培養成分中の窒素の初発濃度(以下、「初発窒素濃度」という。)が0.2〜2.0重量%であり、液体培地への通気量が1.0〜3.0vvmであり、通気下における液体培地を撹拌する攪拌所要動力が4.0〜15.0Wである培養条件で納豆菌を培養し、該納豆菌の菌体内で産生されたジピコリン酸を回収することを特徴とするジピコリン酸の製造法。
- 培養成分が、炭素源及び窒素源を含有することを特徴とする請求項1記載のジピコリン酸の製造法。
- 炭素源が、グリセロールである請求項1記載のジピコリン酸の製造法。
- 液体培地中に更に消泡剤を添加することを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項記載のジピコリン酸の製造法。
- 消泡剤が、液体培地中に、有効成分換算で0.0001〜0.05重量%添加されていることを特徴とする請求項4記載のジピコリン酸の製造法。
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