JP4114992B2 - テトラヒドロクルクミン類の製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、食品、酒類、医薬、動物飼料、水産飼料、動物薬、化粧品分野で有用であるテトラヒドロクルクミン類及びテトラヒドロクルクミン類を含有する組成物の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
クルクミンは、熱帯性の生姜科ウコン属に属する植物に含まれる黄色色素としてよく知られている。ウコンの根茎の乾燥粉末(ターメリック)及びその精製品であるクルクミンは、食品の着香料や着色料として用いられている。クルクミンは、抗酸化作用、抗炎症作用、コレステロール低減作用、発癌抑制作用などの薬効を有することが知られており、食品由来の安全な薬効成分として用いられている。
【0003】
テトラヒドロクルクミンは、クルクミンと比較してより強い抗酸化活性を持つことが知られている[特開平2−49747号公報、特開平2−51595号公報、バイオサイエンス・バイオテクノロジーアンドバイオケミストリー(Biosci. Biotech. Biochem. ), 59, 1609(1995)]。また、テトラヒドロクルクミンは無色無臭であるため、特に着色が弊害となる場合においては、クルクミンの欠点を克服した素材となる。
【0004】
テトラヒドロクルクミンの製造方法としては、金属触媒を用いたクルクミンの水素添加による製造方法が知られている。しかし、日本国においては、この方法により製造される合成テトラヒドロクルクミンを飲食品用途で使用することはできない。
静脈注射で投与したクルクミンの一部は還元されテトラヒドロクルクミンに変換されることが知られている[ ゼノバイオティカ(Xenobiotica ), 8, 761 (1978)]。これはクルクミンをテトラヒドロクルクミンに変換する機構が生体内に存在することを示唆する。しかし、その機構の詳細は現時点までに明らかにされておらず、還元酵素も特定されていない。まして微生物がそのような活性を有することは全く知られていない。これらの理由から、微生物を含めた生物、もしくは酵素の作用によってクルクミンに水素を添加し、テトラヒドロクルクミンを工業的規模で製造するための技術は現時点までに全く報告がない。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、触媒を用いる化学合成的な水素添加の手法によらず、微生物菌体、培養物又はそれらの処理物を用いた工業的なテトラヒドロクルクミン類の製造方法及びテトラヒドロクルクミン類を含有する組成物の製造方法を提供することにある。また、テトラヒドロクルクミン類を含有する微生物を提供することも目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明は、式(I)
【0007】
【化3】
【0008】
[式(I)中、R1 、R2 、R3 及びR4 は、同一又は異なって、水素、ヒドロキシ又は低級アルコキシを表す]で示されるクルクミン誘導体(以下、単にクルクミン類という)を
式(II)
【0009】
【化4】
【0010】
[式(II)中、R1 、R2 、R3 及びR4 は、同一又は異なって、水素、ヒドロキシ又は低級アルコキシを表す]で示されるテトラヒドロクルクミン誘導体(以下、単にテトラヒドロクルクミン類という)に変換する活性を有する微生物の菌体、培養液又はそれらの処理物をクルクミン類又はクルクミン類を含有する組成物に作用させてテトラヒドロクルクミン類を生成させ、生成したテトラヒドロクルクミン類を採取することを特徴とするテトラヒドロクルクミン類の製造方法、クルクミン類をテトラヒドロクルクミン類に変換する活性を有する微生物の菌体、培養液又はそれらの処理物をクルクミン類を含有する組成物に作用させてテトラヒドロクルクミン類を生成させることを特徴とするテトラヒドロクルクミン類を含有する組成物の製造方法及びクルクミン類を含有しない組成物にクルクミン類又はクルクミン類を含有する組成物を添加し、これにクルクミン類をテトラヒドロクルクミン類に変換する活性を有する微生物の菌体、培養液又はそれらの処理物を作用させテトラヒドロクルクミン類を生成させることを特徴とするテトラヒドロクルクミン類を含有する組成物の製造方法に関する。
【0011】
また本発明は、クルクミン類をテトラヒドロクルクミン類に変換する活性を有する微生物をクルクミン類を含有する培地で培養することを特徴とする、テトラヒドロクルクミン類を含有する微生物の製造方法及びテトラヒドロクルクミン類を含有する微生物に関する。
さらに本発明は、テトラヒドロクルクミン類を含有する微生物又はその処理物を食用油に浸漬することを特徴とするテトラヒドロクルクミン含有食用油の製造方法及びテトラヒドロクルクミン類を含有する微生物又はその処理物を酒類に浸漬することを特徴とするテトラヒドロクルクミン含有酒類の製造方法に関する。
【0012】
【発明の実施の形態】
式(I)及び式(II)におけるR1 、R2 、R3 及びR4 の低級アルコキシのアルキル部分は、炭素数1〜6の直鎖或いは分岐のアルキルであり、例えばメチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、ペンチル、ヘキシル等があげられる。アルコキシとしては、炭素数1〜2のメトキシ、エトキシが好ましい。式(I)において、R2 及びR4 としては、ヒドロキシである化合物が好ましい。
【0013】
具体的なクルクミン類としては、U1[ディフェルロイルメタン(diferuloylmethane 、(E,E)-1,7-bis(4-hydroxy-3-methoxyphenyl)-1,6-heptadiene-3,5-dione 、以後単にクルクミンというときもある]、U2[ディメトキシクルクミン(demethoxycurcumin )、bis(4-hydroxy-3-methoxycinnamoyl)methane]、U3[ビスディメトキシクルクミン(bisdemethoxycurcumin)、bis(4-hydroxycinnamoyl)methane]、DMU1[(E,E)-1,7-bis(3,4-dimethoxyphenyl)-1,6-heptadiene-3,5-dione ]、DHU1[(E,E)-1,7-Bis(3,4-dihydroxyphenyl)-1,6-heptadiene-3,5-dione ]等があげられ、U1、U2、U3及びDHU1が好ましく用いられ、U1及びDHU1が特に好ましく用いられる。
【0014】
クルクミン類をテトラヒドロクルクミン類に変換する活性を有する微生物の菌体、培養液又はそれらの処理物をクルクミン類又はクルクミン類を含有する組成物に作用させてテトラヒドロクルクミン類を生成させる反応について述べる。該微生物の培養液、菌体もしくはそれらの処理物及びクルクミン類又はクルクミン類を含有する組成物を水等の水性媒体に加えて反応液とし、該反応液を0〜100℃、好ましくは10〜60℃、特に好ましくは22〜45℃、pHは2〜11、好ましくは3〜9、特に好ましくは4〜8の条件下で、0.01〜168時間、好ましくは0.5〜72時間反応させる。
【0015】
反応液中に添加する微生物の培養液、菌体もしくはそれら処理物の量としてはクルクミン類をテトラヒドロクルクミン類に変換する活性を有していれば特に限定されないが、例えば湿菌体重量にて1μg〜800mg/ml、好ましくは10〜500mg/mlとなるように反応液を調製する。
クルクミン類又はクルクミン類を含有する組成物は、反応液中にクルクミン類として0.001〜500mg/ml、好ましくは0.01〜100mg/mlとなるように添加する。
【0016】
反応液中には必要に応じて緩衝剤、界面活性剤、有機溶剤、補酵素などを存在させることができる。
緩衝剤としては例えば、リン酸水素ナトリウム、グリシン、N−2―ヒドロキシエチルピペラジン−N’−2−エタンスルホン酸、酢酸アンモニウム、トリス(ヒドロキシメチル)メチルグリシン等があげられる。
【0017】
界面活性剤としては、トリトンX100等があげられる。
有機溶剤としては例えば、メタノール、エタノール、イソプロパノール、ブタノール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、グリセリン、アセトン等があげられる。
補酵素としては例えば、ベータニコチンアミドアデニンジヌクレオチド、ベータニコチンアミドアデニンジヌクレオチドリン酸、還元型ベータニコチンアミドアデニンジヌクレオチド、還元型ベータニコチンアミドアデニンジヌクレオチドリン酸等があげられる。
【0018】
水性媒体中に生成したテトラヒドロクルクミン類の採取は、有機溶媒抽出や遠心分離法、カラムクロマトグラフ法、凍結乾燥法、再結晶法、熱風乾燥法など、化合物の工業的な抽出及び精製に一般的に用いられている方法で抽出及び精製を行うことができる。
発酵反応物中のクルクミン類とテトラヒドロクルクミン類の分析及び定量は高速液体クロマトグラフで実施可能であり、構造決定は質量分析法と核磁気共鳴法によって実施することができる。
【0019】
微生物菌体を用いる場合、クルクミン類あるいはクルクミン類を含有する組成物と微生物菌体は、反応槽内で均一に混和している必要はなく、クルクミン類は透過するが微生物菌体は透過できない膈膜によって互いに隔離されていてもよい。また、微生物菌体をアルギン酸ゲルやアガロースゲルなどの中に包埋し、これを反応槽に加えることによってもテトラヒドロクルクミン類又はテトラヒドロクルクミン類を含有する組成物を得ることができる。あるいは、中空隔膜糸(ホローファイバー)内に固定化した微生物菌体とクルクミン類又はクルクミン類を含有する組成物との反応によってもテトラヒドロクルクミン類又はテトラヒドロクルクミン類を含有する組成物を得ることができる。これらの手法は、目的とするテトラヒドロクルクミン類又はテトラヒドロクルクミン類を含有する組成物に微生物菌体の混入するのを避けたい場合や、微生物菌体のみを回収したい場合などに有効である。
【0020】
クルクミン類あるいはクルクミン類を含有する組成物と微生物菌体の反応には、温度や通気量や水素イオン濃度の制御を自動的あるいは半自動で行うことのできる発酵装置(ジャーファーメンター)を用いてもよいし、温度や通気量や水素イオン濃度の制御をせずに例えば木製の樽中で微生物とクルクミン類あるいはクルクミン類を含有する組成物を単に混和した後、一定時間放置することによって行う簡便な方法を用いてもよい。
【0021】
また、用いる微生物がクルクミン類をテトラヒドロクルクミン類に変換する活性のほかにアルコール発酵又は乳酸発酵能を有する微生物である場合には、アルコール発酵又は乳酸発酵の途中に、クルクミン類又はクルクミン類を含有する組成物を添加することにより、テトラヒドロクルクミン類を含有するアルコール飲料又は乳酸発酵食品を製造することもできる。
【0022】
本発明によりテトラヒドロクルクミン類を含有する組成物を製造するために用いるクルクミン類を含有する組成物中のクルクミン含量は、0.01%から99.999%、好ましくは0.1 %から99.9%である。微生物とクルクミン類を含有する組成物の反応物の総容量に制限はないが、0.1 mlから1000kl、好ましくは1 mlから1000klである。微生物とクルクミン類を含有する組成物の反応後のクルクミン類の残量は、反応前のクルクミン類に対して99%から0.001 %であって、好ましくは95%から0.001 %である。また、微生物菌体とクルクミン類の反応後のテトラヒドロクルクミン類の生成量は、反応前のクルクミン類1gあたり1 mg〜1 g、好ましくは10mg〜1 gである。
【0023】
本発明により、実質的にテトラヒドロクルクミン類を含まないクルクミン類を含有する組成物中にテトラヒドロクルクミン類が生じ、テトラヒドロクルクミン類を含有する組成物となるが、テトラヒドロクルクミン類とクルクミン類を共に含有する組成物のテトラヒドロクルクミン類の含有量を高めクルクミン類の黄色を減じる目的で本発明を用いてもよい。
【0024】
本発明は、微生物とクルクミン類もしくはクルクミン類を含有する組成物との反応物から実質的に純粋なテトラヒドロクルクミン類を製造する目的のみならずテトラヒドロクルクミン類を含有する微生物又はその処理物をテトラヒドロクルクミン類を含有する組成物として食品、酒類、食品添加物、医薬、動物飼料、水産飼料、動物薬、酸化防止剤、化粧料やそれらの原料として用いる目的で使用してもよい。該処理物としては、例えば微生物菌体を超音波破砕、加熱、有機溶媒処理、加圧、界面活性剤処理、凍結乾燥などの方法で処理したものがあげられる。
【0025】
ターメリックは、ウコン属に属する植物の根茎の乾燥粉末でありウコン茶や香辛料の原料として用いられている食品である。またターメリックから精製されるクルクミン類は安全な食用天然色素として食品製造に広く使用されている物質である。したがって、ウコン属に属する植物の破砕物、抽出物、分画物あるいはターメリックから精製したクルクミン類を含有する組成物を本発明に用いるクルクミン類を含有する組成物とし、それ以外の製造原料として発酵生産に通常用いられる微生物や培地成分を用いることによって、食品、酒類、食品添加物、医薬、動物飼料、水産飼料、動物薬、酸化防止剤、化粧料及びそれらの原料として用いるのに好適な、極めて安全性の高いテトラヒドロクルクミン類を含有する組成物を得ることができる。
【0026】
このテトラヒドロクルクミン類を含有する組成物からテトラヒドロクルクミン類の精製物もしくは濃縮物を製造する場合においても、反応液に由来する夾雑物は食用成分と食用微生物の反応物のみであるため、食品、酒類、食品添加物、医薬、動物飼料、水産飼料、動物薬、酸化防止剤、化粧料及びそれらの原料として用いるのに適した、安全性の高いテトラヒドロクルクミン類精製物もしくは濃縮物を得ることができる。
【0027】
本発明の方法によりテトラヒドロクルクミン類を含有する種々の組成物、例えば食品、酒類、食品添加物、医薬、動物飼料、水産飼料、動物薬、酸化防止剤、化粧料及びそれらの原料を製造できる。以下に掲げる製造方法によって本発明の範囲を限定するものではないが、例えばターメリックの破砕物と酵母を作用させるテトラヒドロクルクミン類を含有するターメリック茶の製造、ターメリックと酵母を作用させるテトラヒドロクルクミン類を含有するカレー粉の製造、ターメリックと酵母を作用させるテトラヒドロクルクミン類を含有する酵母食品の製造、クルクミンと酵母を作用させて得たテトラヒドロクルクミン類を含有する酵母をバター、サラダ油又はゴマ油などの食用油に浸漬するテトラヒドロクルクミン類含有食用油の製造、ターメリックと酵母を作用させて得たテトラヒドロクルクミン類を含有する清涼飲料水の製造などがあげられる。
【0028】
テトラヒドロクルクミン類を含有するターメリック茶は、クルクミン類をテトラヒドロクルクミン類に変換する活性を有する微生物の菌体、培養液又はそれらの処理物をターメリックの破砕物に作用させることにより製造できる。
テトラヒドロクルクミン類を含有するカレー粉は、クルクミン類をテトラヒドロクルクミン類に変換する活性を有する微生物の菌体、培養液又はそれらの処理物をクルクミン類もしくはターメリックを含有する組成物に作用させて得たテトラヒドロクルクミン類を含有する組成物をカレー粉の原料として用いることにより、カレー粉中のクルクミン類に由来する抗酸化機能や薬理効果を向上させたカレー粉を製造することができる。即ち、種々の香辛料を混和するカレー粉の製造過程で、本発明で得られた組成物をターメリックの代替として用いればよい。カレー粉の黄色はカレー粉原料のターメリックに含まれるクルクミン類によるものであるため、クルクミン類が持つ効能のうち着色や着香以外の効能を高めたカレー粉を製造する目的でカレー粉中のターメリック量もしくはクルクミン類の量を高めようとすると、必要以上の着色や着香をもたらすため実際的ではない。しかしながら、本発明でテトラヒドロクルクミン類の含量を高めたクルクミン類もしくはターメリックをカレー粉の原料に用いた場合には、無色無臭のテトラヒドロクルクミン類の含有量に応じて黄色が減じているために、カレー粉として許容される着色度や香気の範囲を越えることなくテトラヒドロクルクミン類が持つ機能を付与することができる。ただし、食用として許容される範囲内であれば、ターメリックの代替としてではなく、通常のカレー粉の組成に追加して本発明で得られた組成物を添加してもよい。
【0029】
テトラヒドロクルクミン類を含有する酵母食品は、クルクミン類をテトラヒドロクルクミン類に変換する活性を有する食用酵母をクルクミン類もしくはターメリックを含有する組成物に作用させてテトラヒドロクルクミン類を生成させた後、反応物全体を凍結乾燥あるいは熱風乾燥により回収することにより、従来滋養目的で製造されている酵母食品に対してテトラヒドロクルクミン類の機能を付与した新しい酵母食品を得ることができる。
【0030】
また、クルクミン類をテトラヒドロクルクミン類に変換する活性を有する食用酵母をクルクミン類もしくはターメリックを含有する組成物に作用させてテトラヒドロクルクミン類を生成させた後、遠心分離などの手法によってテトラヒドロクルクミン類を含有する酵母を回収した後、これを乾燥することによってもテトラヒドロクルクミン類含有酵母食品を製造することができる。さらに、本発明で製造したテトラヒドロクルクミンを含有する酵母を熱水抽出もしくはアルコール抽出した後に乾燥もしくは濃縮して得た抽出物は、従来滋養目的で製造されている酵母抽出物に比してテトラヒドロクルクミン類の機能を付与した新しい食用酵母抽出物として用いえる。
【0031】
テトラヒドロクルクミン類を含有する食用油は、クルクミン類をテトラヒドロクルクミン類に変換する活性を有する微生物の菌体、培養液又はそれらの処理物をクルクミン類もしくはターメリックを含有する組成物に作用させテトラヒドロクルクミン類を生成させた後、食用油とを混和し、次いで遠心分離等の手法で食用油を回収すれば、テトラヒドロクルクミン類を含有する食用油を製造することができる。食用油に対するテトラヒドロクルクミン類の溶解性はクルクミン類と比較して高いため、この方法を用いることにより、狭雑物としてのクルクミン類の含量が低いテトラヒドロクルクミン類を含有する食用油が得られる。テトラヒドロクルクミン類は抗酸化作用を有するため、得られたテトラヒドロクルクミン類を含有する食用油は空気酸化の起こり難い安定性の高い食用油として用いうるほか、テトラヒドロクルクミン類の種々の生理機能を備えた食用油として用いることができる。
【0032】
テトラヒドロクルクミン類を含有するアルコール飲料は、クルクミン類をテトラヒドロクルクミン類に変換する活性を有する微生物の菌体、培養液又はそれらの処理物をクルクミン類もしくはターメリックを含有する組成物に作用させテトラヒドロクルクミン類を生成させた後、飲料用アルコールと混和し、次いで遠心分離等の手法でアルコールを回収し、必要に応じて甘味料、アミノ酸、糖類、着色料、着香料を添加し、さらにアルコール濃度を高める必要がある場合はエタノールを添加することにより、テトラヒドロクルクミン類を含有するアルコール飲料を製造することができる。
【0033】
また、クルクミン類をテトラヒドロクルクミン類に変換する活性を有するワイン酵母や清酒酵母等を用いてブドウもしくは米を発酵させ、発酵途中もしくは発酵終了時にクルクミン類もしくはターメリックを添加してテトラヒドロクルクミン類を生成させてから圧搾すれば、テトラヒドロクルクミン類を含有するワインもしくは清酒等を製造することができる。赤ワインに含まれる赤い色素やタンニン類の抗酸化活性に由来する抗動脈硬化作用等が注目されているが、本発明により、色や味に影響を与えることなく抗酸化活性を強化した白ワインや清酒を製造することができる。
【0034】
また、クルクミン類をテトラヒドロクルクミン類に変換する活性を有する乳酸菌を用いて乳等を醗酵させ、発酵途中もしくは発酵終了時にクルクミン類もしくはターメリックを添加してテトラヒドロクルクミン類を生成させることにより、テトラヒドロクルクミン類を含有する醗酵乳製品を製造することができる。
本発明に用いる微生物としては、クルクミン類をテトラヒドロクルクミン類に変換する活性を有する微生物であればいかなる微生物も用いうる。微生物としては、例えば細菌、放線菌、酵母、糸状菌、きのこ、藻類等があげられる。
【0035】
細菌としては、例えばアセロバクター属(Acetobacter )、アクロモバクター属(Achromobacter )、アーセロバクター属(Arthrobacter)、バチルス属(Bacillus)、ビフィドバクテリウム属(Bifidobacterium )、ブレビバクテリウム属(Brevibacterium)、セルロモナス属(Cellulomonas)、クロモバクテリウム属(Chromobacterium )、シトバクター属(Citobacter)、クロストリヂウム属(Clostridium )、コリネバクテリウム属(Corynebacterium )、エンテロコッカス属(Enterococcus)、エーウイニア属(Erwinia )、エッシェリシア属(Escherichia )、フラボバクテリウム属(Flavobacterium)、グルコノバクター属(Gluconobacter )、ハロバクテリウム属(Halobacterium )、クレブシエラ属(Klebsiella)、リューコノストク属(Leuconostoc )、ミクロコッカス属(Mi crococcus )、ペヂオコッカス属(Pediococcus )、プロピオニバクテリウム属(Propionibacterium )、プロタミノバクター属(Protaminobacter )、プロビデンシア属(Providencia )、シュードモナス属(Psudomonas)、セラチア属(Serratia)、ストレプトバクテリウム属(Streptobacterium)、ストレプトコッカス属(Streptococcus )、キサントモナス属(Xanthomonas )、ジモモナス属(Zymomonas )、ラクトバチルス属(Lactobacillus )、ペヂオコッカス属(Pediococcus )、スタフィロコッカス属(Staphylococcus)等があげられる。
【0036】
放線菌としては、例えばアクチノプラネス属(Actinoplanes)、ミクロモノスポラ属(Micromonospora)、ストレプトミセス属(Streptomyces)等があげられる。
【0037】
酵母としては、例えばデバリョマイセス属(Debaryomyces )、サッカロマイセス属(Saccharomyces )、ピチア属(Pichia k)、クルイベロマイセス属(Kluyveromyces )、トルラスポラ属(Torulaspora )、キャンヂダ属(Candida )、シュビア属(Ashbya)、ブレッタノマイセス属(Brettanomyces )、クリプトコッカス属(Cryptococcus)、エレモテリウム属(Eremothecium)、イッサチェンキア属(Issatchenkia)、クロッケラ属(Klockera)、リポマイセス属(Lipomyces )、メトシュニコウイア属(Metschnikowia )、ロードトルア属(Rhodotorula )、シゾサッカロマイセ属(Shizosaccharomyces)、ジゴサッカロマイセス属(Zygosaccharomyces )等があげられる。
【0038】
糸状菌としては、例えばアクレモニウム属(Acremonium)、アクチノムコール属(Actinomucor )、アスペルギルス属(Aspergillus )、アウレオバシヂウム属(Aureobasidium )、バクーセラ属(Backusella)、ボトリチス属(Botrytis)、チャララ属(Chalara )、クラビセプス属(Claviceps )、コルチシウム属(Corticium )、クリフォネクトリア属(Cryphonectria )、ユウロチウム属(Eurotium)、フサリウム属(Fusarium)、ゲオトリチュム属(Geotrichum)、モナスカス属(Monascus)、モルチエレラ属(Mortierella )、ムコール属(Muco r )、ミロテシウム属(Myrothecium )、ニューロスポーラ属(Neurospora)、パエシロマイセス属(Paecilomyces)、ペニシリウム属(Penicilium)、ペスタロチオプス属(Pestalotiopsis)、リゾムコール属(Rhizomucor)、リゾプス属(Rhizopus)、スクレロチニア属(Sclerotinia )、シンセファラストルム属(Syncephalastrum )、トリコデルマ属(Trichoderma )等があげあられる。
【0039】
きのことしては、例えばアガリクス属(Agaricus)、アグロシベ属(Agrocybe)、アルミラリア属(Armillaria)、アウリクラリア属(Auricularia )、フラムリナ属(Flammulina)、ガノデルマ属(Ganoderma )、グリフォーラ属(Grifola )、ヒプシジガス属(Hypsizigus)、イルペックス属(Irpex )、レンチヌーラ属(Lentinula )、レピスタ属(Lepista )、リオフィリウム属(Lyophyllum)、マイコレプトドノイデス属(Mycoleptodonoides )、ナエマトロマ属(Naematoloma )、パネルス属(Panellus)、ポリオタ属(Pholiota)、プリューロツス属(Pleurotus )、ピクノポラス属(Pycnoporus)、トレメーラ属(Tremella)、トリコローマ属(Tricholoma)、ボルバリエラ属(Volvariella )等があげられる。
【0040】
藻類としては、例えばアナリプス属(Anaripus)、コンドラス属(Chondrus)、エイセニア属(Eisenia )、ユーシューマ属(Eucheuma)、フルセラリア属(Furcellaria )、ジガーチナ属(Gigartina )、ヒジキア属(Hizikia )、クジェラマニエラ属(Kjellamaniella)、ラミナリア属(Laminaria )、マクロクリスチス属(Macrocrystis)、ペタロニア属(Petalonia )、ポルフィラ属(Porphyra)、ロヂメニス属(Rhodymenis)、シトシフォン属(Scytosiphon )、スピルリナ属(Spirulina )、ウンダリア属(Undaria )等があげられる。
【0041】
具体的には、デバリョマイセス属、サッカロマイセス属、ピチア属、クルイベロマイセス属、トルラスポラ属、キャンヂダ属、などの酵母、ラクトバチルス属、ペヂオコッカス属等の乳酸菌、スタフィロコッカス属などのブドウ状球菌などの微生物があげられる。さらに具体的に好適な菌株は下記の通りである。
【0042】
デバリョマイセス・ハンゼニイ(Debaryomyces hansenii)ATCC-20261、デバリョマイセス・ハンゼニイ(Debaryomyces hansenii)IFO-0094、
【0043】
サッカロマイセス・セレビシアエ(Saccharomyces cerevisiae)乾燥酵母Lallmand社製、サッカロマイセス・セレビシアエ(Saccharomyces cerevisiae)IAM-4500、サッカロマイセス・セレビシアエ(Saccharomyces cerevisiae) IAM-4519 、サッカロマイセス・セレビシアエ(Saccharomyces cerevisiae) ATCC-7754、サッカロマイセス・セレビシアエ(Saccharomyces cerevisiae) FERM-P-6189、サッカロマイセス・セレビシアエ(Saccharomyces cerevisiae) IFO-2044 、サッカロマイセス・セレビシアエ(Saccharomyces cerevisiae) ATCC-20018 、サッカロマイセス・セレビシアエ(Saccharomyces cerevisiae) FERM-P-6213、サッカロマイセス・セレビシアエ(Saccharomyces cerevisiae) FERM-P-6214、サッカロマイセス・セレビシアエ(Saccharomyces cerevisiae) FERM-P-7614、サッカロマイセス・セレビシアエ(Saccharomyces cerevisiae) FERM-P-7615、
【0044】
ピチア・サブペリキュローサ(Pichia subpelliculosa )ATCC-16766、ピチア・アノマーラ(Pichia anomala)ATCC-2149、ピチア・メンブラナエフェイシエンス(Pichia membranaefaciens)IAM-4986、ピチア・メンブラナエフェイシエンス(Pichia membranaefaciens)ATCC-36908、ピチア・クルイベリ(Pichia kluyveri )ATCC-9768 、
【0045】
クルイベロマイセス・マークシアヌス(Kluyveromyces marxianus )IFO-0433、クルイベロマイセス・マークシアヌス(Kluyveromyces marxianus )IFO-1090、クルイベロマイセス・ポリスポルス(Kluyveromyces polysporus)ATCC-22028、
【0046】
トルラスポラ・デルブルッキイ(Torulaspora delbrueckii )IAM-4816、
【0047】
キャンヂダ・ウチリス(Candida utilis)ATCC-9950 、キャンヂダ・ファマータ(Candida famata)ATCC-2560 、
【0048】
ラクトバチルス・プランタルム(Lactobacillus plantarum )協和ハイフーズ社製LPT 、スタフィロコッカス・カルノサス(Staphylococcus carnosus )TEXEL 社製M72 、ペヂオコッカス・アシヂラクチシ(Pediococcus acidilactici)TEXEL 社製P2M120、スタフィロコッカス・キシロサス(Staphylococcus xylosus 2)TEXEL 社製P2M120。
【0049】
これらはいずれの菌株でも、単独でもしくは混合して用いることができる。またこれらの菌株を人工的変異方法、例えば紫外線照射、X線照射、変異誘起剤処理、遺伝子操作などで変異させた変異株あるいは自然に変異した変異株でも、クルクミン類をテトラヒドロクルクミン類に変換させる能力のある菌株であれば本発明に用いることができる。
【0050】
これらの微生物の培養には通常の酵母、細菌等の培養に用いられる培地でこれら微生物が生育できる培地であれば炭素源、窒素源その他の栄養素を含む天然培地、半合成培地、合成培地などいかなる培地でも用いうる。
炭素源としては澱粉、デキストリン、シュクロース、グルコース、マンノース、フルクトース、ラフィノース、ラムノース、イノシトール、ラクトース、キシロース、アラビノース、マンニトール、糖蜜などがあげられこれらを単独又は組合せて用いることができる。さらに、菌の資化能によっては炭化水素、アルコール類、有機酸などを用いてもよい。
【0051】
窒素源としては塩化アンモニウム、硝酸アンモニウム、硫酸アンモニウム、硝酸ナトリウム、尿素、ペプトン、肉エキス、酵母エキス、乾燥酵母、コーン・スチープ・リカー、大豆粉、カザミノ酸などがあげられこれらを単独又は組合せて用いることができる。
無機塩類としては、塩化ナトリウム、塩化カリウム、硫酸マグネシウム、炭酸カルシウム、リン酸二水素カリウム、硫酸第一鉄、塩化カルシウム、硫酸マンガン、硫酸亜鉛、硫酸銅などがあげられこれらを単独又は組合せて用いることができる。
【0052】
微量成分としては、ビオチン、サイアミン又はニコチン酸などのビタミン類やβ−アラニン又はグルタミン酸などのアミノ酸類などがあげられこれらを単独又は組合せて用いることができる。
培養法としては、液体培養法、特に深部攪拌培養法が適している。培養は温度 10 〜80℃、好ましくは 10 〜60℃、特に好ましくは20〜40℃、pH2 〜11、pH3 〜10、好ましくはpH5 〜8 で行われ、通常 1〜7 日行う。培地の pH 調整にはアンモニア水や炭酸アンモニウム溶液などが用いられる。
【0053】
本発明に用いる培養液の処理物としては、クルクミン類をテトラヒドロクルクミン類に変換する活性を有する微生物の培養液の濃縮物、乾燥物、冷凍物、冷蔵物、凍結乾燥物、加熱物、加圧物、超音波破砕物、界面活性剤又は有機溶媒処理物、溶菌酵素処理物などがあげられる。また、菌体処理物としては、クルクミン類をテトラヒドロクルクミン類に変換する活性を有する微生物の菌体の乾燥物、冷凍物、冷蔵物、凍結乾燥物、加熱物、加圧物、超音波破砕物、界面活性剤又は有機溶剤処理物、溶菌酵素処理物、固定化菌体或いは菌体から抽出した酵素などがあげられる。
【0054】
菌体からの酵素の精製には、タンパク質の一般的な精製法を用いることができる。例えば、ホモジナイザー、ガラスビーズ、アンモニア溶解、酵素法などによる菌体の破砕、ろ過、遠心分離などによる酵素液の回収、塩析、有機溶媒沈殿、抗体などによる酵素の回収、透析などによる濃縮、限外ろ過、ゲルろ過、電気泳動法、液相分配法による分離、イオン交換体、吸着剤、アフィニティー吸着体などを用いたクロマトグラフィー、バッチ法、結晶化などを単独であるいは組み合わせて用いることができる。
【0055】
クルクミン類は、試薬として例えばシグマアルドリッチジャパン社から入手できる。
クルクミン類を含有する組成物としては特に限定されないが、例えばウコン属に属する植物を処理して得られる組成物があげられる。ウコン属に属する植物としては、例えばキョウオウ(俗に、春ウコンと呼ばれる。)、ウコン(俗に、秋ウコンと呼ばれる。)、ガジュツ等の植物があげられる。処理方法は特に限定されないが、例えば粉砕、乾燥、抽出等の方法があげられる。また、クルクミン類を含有する組成物としては、例えばカレー粉、ウコン茶等一般の食料品もあげられる。
【0056】
また、クルクミン類を含有しない食品、酒類、飼料、化粧料にクルクミン類又はクルクミン類を含有する食品、酒類、飼料、化粧料を添加した組成物も用いうる。クルクミン類を含有しない食品、酒類、飼料、化粧料としては例えば、飲料用アルコール、食用油、果汁等があげられる。
クルクミン類及びクルクミン類を含有する組成物は、食品として市販品を容易に入手できる。
【0057】
以下に実施例をもって、本発明を説明するが、これは例示であって、本発明を制限しない。
下記に示す試験結果は、下記の分析機を使用した。
質量分析(装置:JMS-HX110/110A(日本電子)、FAB gas :Xeo 、加圧電圧:10kV、matrix:m-nitrobenzyl alchol)、核磁気共鳴法(装置:JNM-A400(JEOL,400MHz for 1H-NMR, 100MHz for 13C-NMR)、溶媒:CDCl3 )
【0058】
【実施例】
実施例1 酵母デバリョマイセス・ハンゼニイATCC-20261株によるクルクミンからテトラヒドロクルクミンへの転換
デバリョマイセス・ハンゼニイATCC-20261株を20ml容量試験管中のYM培地(DIFCO社)21g/lからなる培地5mlに植菌し、30℃で24時間振とう培養(130 rpm)して種培地を得た。該種培地を2リットル容量の三角フラスコ中のYM培地300mlに5%の割合で植菌し、30℃で24時間振とう培養した。得られた培養液300mlを10000rpmで20分間遠心分離し、上清を除いて菌体を得た。300ml容量の三角フラスコ中で該菌体を水で懸濁し総量を30mlとし、この懸濁液に4mg/mlのクルクミン溶液(溶媒:エタノール)を1.5ml加えたものを反応液とした。該反応液を30℃で3 時間振とうし、3 時間後、この反応液を酢酸エチル100mlで抽出して、酢酸エチル抽出物を得た。
【0059】
該酢酸エチル抽出物を下記の条件でHPLC分析したところ保持時間6.0 分及び11.4分のピークが認められた。同一条件下でのテトラヒドロクルクミン標品(日研化成社製)の保持時間の6.1 分及び11.4分のピークと一致した。
【0060】
HPLC分析条件
カラム:ODS 120A S-5 (AM312 、YMC 社製)
溶媒:アセトニトリル- 水(50:50、 V/V)(含0.05% トリフルオロ酢酸)
流速:1ml/分
検出:280, 430 nm
該酢酸エチル抽出物のHPLC分析で保持時間6.0 分及び11.4分に溶出される化合物を以下のように単離した。該酢酸エチル抽出物を濃縮後、シリカゲルカラム(ワコーゲルC-200 、和光純薬社製)を用いn−ヘキサン- 酢酸エチル(10% ステップワイズ法)混合液で展開、分画した。溶出された50% 及び60% 酢酸エチル- n−ヘキサン画分を濃縮し、これをn−ヘキサン- 酢酸エチル(1 :1 、 V/V)を展開溶媒とした分取薄層クロマトグラフィーで分画してRf値が0.4 〜0.5 の画分を得た。該画分をn−ヘキサン- アセトン(2 :1 、 V/V)を展開溶媒とした分取薄層クロマトグラフィーで分画してRf値が0.25から0.3 の画分を得た。該画分をさらにトルエン- アセトン(3 :1 、 V/V)を展開溶媒とした分取薄層クロマトグラフィーで分画してRf値が0.5 の画分を得て、この画分を濃縮乾固することにより化合物2.9 mgを得た。
【0061】
単離した化合物の機器分析結果
高分解能FABマススペクトル(ポジティブモード;マトリックス:m−NBA):
m /z aum 372. 1555 Δ-1.8mmu (C21H24O6 として)
1HNMRスペクトル[400 MHz、CDCl3 溶液、30℃]
δppm [多重度, 結合定数(Hz)]6.82(d,8.3), 6.68(s), 6.66(m), 3.86(s), 3.50(s), 2.85(t,7.8), 2.55(t,7.8)
13CNMRスペクトル[100 MHz、CDCl3 溶液、30℃]
δppm (多重度)193.2(s), 146.5(s), 144.1(s), 132.6(s), 129.4(s), 120.9(d), 115.4(d), 114.0(d), 111.0(d), 99.8(d), 57.7(d), 55.9(q), 45.5(t), 40.4(t), 31.4(t), 29.2(t)
【0062】
テトラヒドロクルクミン標品の機器分析結果
高分解能FABマススペクトル(ポジティブモード;マトリックス:m−NBA):
m /z aum 372. 1562 Δ-1.1mmu (C21H24O6 として)
1HNMRスペクトル[400 MHz、CDCl3 溶液、30℃]
δppm [多重度, 結合定数(Hz)]6.82(d,8.1), 6.67(s), 6.66(m), 3.85(s), 3.50(s), 2.84(t,7.8), 2.54(t,7.8)
13CNMRスペクトル[100 MHz、CDCl3 溶液、30℃]
δppm (多重度)193.2(s), 146.5(s), 144.1(s), 132.6(s), 129.4(s), 120.9(d), 115.4(d), 114.0(d), 111.0(d), 99.8(d), 57.7(d), 55.9(q), 45.5(t), 40.4(t), 31.3(t), 29.2(t)
【0063】
この化合物の質量分析及び核磁気共鳴スペクトルの結果はテトラヒドロクルクミン標品と一致し、この化合物がテトラヒドロクルクミンであることが確認された。
上記転換反応において保温時間を、0.5 、1 、2 及び4 時間としたときの、クルクミンからテトラヒドロクルクミンへの変換率を第1表に示した。濃度は、反応液中での濃度を標準品からHPLC換算して求めた。変換率は、生成テトラヒドロクルクミン濃度/添加クルクミン濃度×100(%)で示す。
【0064】
【表1】
【0065】
実施例2 酵母デバリョマイセス・ハンゼニイATCC-20261株によるターメリック中のクルクミンのテトラヒドロクルクミンへの転換
転換反応のための種菌としてデバリョマイセス・ハンゼニイATCC-20261株を用いた。 該菌株を20ml容量試験管中のYM培地(DIFCO社)21g/lからなる培地50mlに植菌し、30℃で24時間振とう培養(130rpm)して種培地を得た。該種培地を2リットル容量の三角フラスコ中のYM培地300mlに5%の割合で植菌し、30℃で24時間振とう培養した。得られた培養液300mlを10000rpmで20分間遠心分離し、上清を除いて菌体を得た。300ml容量の三角フラスコ中で該菌体を水で懸濁し総量を30mlとし、この懸濁液に332mg/mlのターメリック溶液(溶媒:エタノール)を1.5ml加えたものを反応液とした。該反応液を30℃で3時間振とうし、3時間後、この反応液を酢酸エチル100mlで抽出して、酢酸エチル抽出物を得た。
【0066】
該酢酸エチル抽出物を下記の条件でHPLC分析したところ保持時間6.0 分及び11.4分のピークが認められた。同一条件下でのテトラヒドロクルクミン標品(日研化成社製)の保持時間の6.1 分及び11.4分のピークと一致した。
【0067】
HPLC分析条件
カラム:ODS 120A S-5 (AM312 、YMC 社製)
溶媒:アセトニトリル- 水(50:50、 V/V)(含0.05% トリフルオロ酢酸)
流速:1ml/分
検出:280 nm, 430 nm
【0068】
実施例3 種々の微生物のターメリック中のクルクミンからテトラヒドロクルクミンへの転換能
第2表及び第3表に示す各菌株を用いた。デバリョマイセス属、サッカロマイセス属、ピチア属、クルイベロマイセス属、トルラスポラ属、キャンヂダ属に属する微生物は、20 ml 容量の試験管内のYM培地(DIFCO 社製)21g/l からなる培地5 mlに植菌し30℃で24時間振とう培養(130rpm)した。市販の乳酸菌スターターであるLPT (協和ハイフーズ社製)、M72 (TEXEL 社製)及び、P2M120(TEXEL 社製)は、20 ml 容量の試験管内のLS培地(イーストエキス1.25% 、ポリペプトン1.25% 、グルコース1.1%、マルトース1.5%、K2HPO4 0.025% 、KH2PO4 0.025% 、酢酸ナトリウム・3H2O 1.0%、 MgSO4・7H2O 0.01% 、 MnSO4・4H2O 0.0005% 、FeSO4 0.0005% 、Tween80 0.03% 、L-システイン・HCl 0.03% 、アデニン0.002%、ウラシル0.002%)5 mlに植菌し37℃で24時間静置培養した。
【0069】
得られた培養液5 mlを10000rpmで20分間遠心分離し、上清を除いて菌体を得た。1.5 ml容のポリプロピレン製チューブの中で該菌体を懸濁し、総量を0.5 mlとし、この懸濁液に332mg/mlもしくは33.2mg/ml のターメリック溶液(溶媒:エタノール)(クルクミン濃度は各々4mg/ml、0.4mg/ml)を25μl 加えたものを反応液とし、30℃で振とうして反応させた。3 時間後、菌体を含むこの反応液全体を酢酸エチル1 mlで抽出して酢酸エチル抽出物を得た。該酢酸エチル抽出物を減圧下濃縮乾固後、100 μl のジメチルスルホキシドで溶解し、10μl をHPLC分析した。HPLCピークの面積比をテトラヒドロクルクミン標準品と比較することにより、テトラヒドロクルクミン含量を算出した。
【0070】
添加クルクミン濃度は反応液中のクルクミンの初期濃度(μg/ml)、生成テトラヒドロクルクミン濃度は保温後のテトラヒドロクルクミン濃度(μg/ml)を標準品からHPLC換算して求めた。変換率は、生成テトラヒドロクルクミン濃度/添加クルクミン濃度× 100(%)で示す。
その結果、第2表及び第3表に示したとおり、種々の濃度でテトラヒドロクルクミンが生成することが示された。
【0071】
【表2】
【0072】
【表3】
【0073】
実施例4 ターメリックを原料としたテトラヒドロクルクミン含有組成物の大量製造(酵母デバリョマイセス・ハンゼニイATCC-20261株を使用)
種菌として酵母デバリョマイセス・ハンゼニイ ATCC-20261株を用いた。該菌株を2リットル 容量三角フラスコ中のYM培地(DIFCO 社)21g/l からなる培地300ml に植菌し、30℃で48時間振とう培養(130 rpm )した。得られた種培養液を30リットル容量のジャーファーメンター中のYM培地21g/l からなる培地18リットルに5%(容量)の割合で植菌し28℃で通気攪拌培養(回転数250 rpm 、通気量18リットル/ 分)を行った。
【0074】
24時間培養後、連続遠心分離器を用いて菌体を得て、この菌体を水で懸濁して総量を1.8リットル とした。この懸濁液に332mg/mlのターメリック溶液(溶媒:エタノール)を90ml添加し、28℃で3時間攪拌し反応させた。3時間後この反応液を凍結乾燥することにより、1gあたり4mg のテトラヒドロクルクミンを含有する酵母粉末を得た。
【0075】
実施例5 クルクミンを原料としたテトラヒドロクルクミン含有組成物の大量製造(乳酸菌スターターとして、スタフィロコッカス・キャルノサスTEXEL 社製M72 を使用)
種菌として乳酸菌スターター、スタフィロコッカス・キャルノサスTEXEL 社製M72 を用いた。該菌株を2リットル 容量三角フラスコ中のYM培地(DIFCO 社)21g/l からなる培地300ml に植菌し、37℃で48時間静置培養した。得られた種培養液を3リットル 容量の三角フラスコ中のLS培地2リットル に5%(容量)の割合で植菌し37℃で48時間静置培養した(10本分)。24時間培養後、連続遠心分離器を用いて菌体を得て、この菌体を水で懸濁して総量を2リットル とした。この懸濁液に33.2mg/ml のターメリック溶液(溶媒:エタノール)を100ml 添加し、28℃で3時間攪拌し反応させた。3時間後この反応液を凍結乾燥することにより1gあたり1mg のテトラヒドロクルクミンを含有する乳酸菌粉末を得た。
【0076】
実施例6 菌体からの抽出粗酵素を用いたテトラヒドロクルクミンの製造例(酵母デバリョマイセス・ハンゼニイ ATCC-20261 株を使用)
デバリョマイセス・ハンゼニイ ATCC-20261 株を300 ml容量の三角フラスコ中のYM培地(DIFCO 社)21g/l からなる培地50 ml に植菌し、30℃で24時間振とう培養(130 rpm )して培養液を得た。該培養液を10000 rpm で20分間遠心分離し、上清を除いて菌体を得た。該菌体を水2ml で懸濁し、10000 rpm で20分間遠心分離し、上清を除いて菌体0.8 mlを得た。該菌体0.8ml を抽出バッファー[20 mM Tris-Hcl(pH7.5 )、1mM EDTA、5 mM MgCl2、50 mM KCl 、5%グリセロール、1 mM phenylmethanesulfonyl fluoride ]2.4 mlで懸濁し、ここに3.2 mlのガラスビーズを加えた。冷室内で、該懸濁液をボルテックスミキサーを用いて30秒間激しく振り混ぜ、直後に氷上で1 分間冷却した。この振り混ぜ操作と冷却操作を7 回繰り返し、菌体を破砕した。菌体の破砕された懸濁液を15000 rpm で30分間遠心分離して沈殿物を除き、上清の菌体抽出液0.8 mlを得た。
【0077】
該菌体抽出液100 μl に4 mg/ml のクルクミン溶液(溶媒:エタノール)を5 μl 加えたものを反応液とした。該反応液を37℃で2 時間保温し、2 時間後、この反応液を酢酸エチル1 mlで抽出して酢酸エチル抽出物を得た。
該酢酸エチル抽出物を下記の条件でHPLC分析したところ保持時間6.0 分及び11.4分のピークが認められた。同一条件下でのテトラヒドロクルクミン標品(日研化成社製)の保持時間の6.1 分及び11.4分のピークと一致した。
【0078】
HPLC分析条件
カラム:ODS 120A S-5 (AM312 、YMC 社製)
溶媒:アセトニトリル- 水(50:50、 V/V)(含0.05% トリフルオロ酢酸)
流速:1ml/分
検出:280 nm, 430 nm
【0079】
実施例7 テトラヒドロクルクミン含有食用油の製造(1)
酵母デバリョマイセス・ハンゼニイ ATCC-20261 株を2リットル 容量三角フラスコ中のYM培地(DIFCO 社)21g/l からなる培地300ml に植菌し、30℃で48時間振とう培養(130 rpm )した。得られた種培養液を30リットル容量のジャーファーメンター中のYM培地21g/l からなる培地18リットルに5%(容量)の割合で植菌し28℃で通気攪拌培養(回転数250 rpm 、通気量18リットル/ 分)を行った。24時間培養後、連続遠心分離器を用いて菌体を得て、この菌体を水で懸濁して総量を1.8リットル とした。この懸濁液に332mg/mlのターメリック溶液(溶媒:エタノール)を90ml添加し、28℃で3時間攪拌し反応させた。3時間後、この反応液に1リットルのゴマ油を加えた後、さらに6時間攪拌し、テトラヒドロクルクミンをゴマ油中に抽出した。これを2時間静置して水層と油層に分離した。油層を回収後、濾過し、テトラヒドロクルクミン含有ゴマ油1リットルを得た。未反応のクルクミンに由来する着色はほとんど認められなかった。
【0080】
ゴマ油画分をシリカゲルカラム(ワコーゲルC-200 、和光純薬社製)を用いn−ヘキサン- 酢酸エチル(10% ステップワイズ法)混合液で展開、分画した。溶出された50% 及び60% 酢酸エチル- n−ヘキサン画分を濃縮し、これを下記の条件でHPLC分析したところ保持時間6.0 分及び11.4分のピークが認められた。同一条件下でのテトラヒドロクルクミン標品(日研化成社製)の保持時間の6.1 分及び11.4分のピークと一致した。
【0081】
HPLC分析条件
カラム:ODS 120A S-5 (AM312 、YMC 社製)
溶媒:アセトニトリル- 水(50:50、 V/V)(含0.05% トリフルオロ酢酸)
流速:1ml/分
検出:280 nm, 430 nm
【0082】
実施例8 テトラヒドロクルクミン含有食用油の製造(2)
実施例4の方法で得たテトラヒドロクルクミン含有乾燥酵母10gを3リットル容量の三角フラスコに入れ、1リットルのゴマ油を加えた後、さらに6時間攪拌し、テトラヒドロクルクミンをゴマ油中に抽出した。これを濾過し、テトラヒドロクルクミン含有ゴマ油1リットルを得た。未反応のクルクミンに由来する着色はほとんど認められなかった。
【0083】
ゴマ油画分をシリカゲルカラム(ワコーゲルC-200 、和光純薬社製)を用いn−ヘキサン- 酢酸エチル(10% ステップワイズ法)混合液で展開、分画した。溶出された50% 及び60% 酢酸エチル- n−ヘキサン画分を濃縮し、これを下記の条件でHPLC分析したところ保持時間6.0 分及び11.4分のピークが認められた。同一条件下でのテトラヒドロクルクミン標品(日研化成社製)の保持時間の6.1 分及び11.4分のピークと一致した。
【0084】
HPLC分析条件
カラム:ODS 120A S-5 (AM312 、YMC 社製)
溶媒:アセトニトリル- 水(50:50、 V/V)(含0.05% トリフルオロ酢酸)
流速:1ml/分
検出:280 nm, 430 nm
【0085】
実施例9 テトラヒドロクルクミン含有酒の製造(1)
酵母デバリョマイセス・ハンゼニイ ATCC-20261 株を2リットル 容量三角フラスコ中のYM培地(DIFCO 社)21g/l からなる培地300ml に植菌し、30℃で48時間振とう培養(130 rpm )した。得られた種培養液を30リットル容量のジャーファーメンター中のYM培地21g/l からなる培地18リットルに5%(容量)の割合で植菌し28℃で通気攪拌培養(回転数250 rpm 、通気量18リットル/ 分)を行った。24時間培養後、連続遠心分離器を用いて菌体を得て、この菌体を水で懸濁して総量を1.8リットル とした。この懸濁液に332mg/mlのターメリック溶液(溶媒:エタノール)を90ml添加し、28℃で3時間攪拌し反応させた。3時間後、この反応液に1リットルの95% エタノールを加えた後、さらに6時間攪拌した。これを濾過し、テトラヒドロクルクミン含有酒2.8リットル を得た。未反応のクルクミンに由来する着色はほとんど認められなかった。
【0086】
該酢酸エチル抽出物を下記の条件でHPLC分析したところ保持時間6.0 分及び11.4分のピークが認められた。同一条件下でのテトラヒドロクルクミン標品(日研化成社製)の保持時間の6.1 分及び11.4分のピークと一致した。
【0087】
HPLC分析条件
カラム:ODS 120A S-5 (AM312 、YMC 社製)
溶媒:アセトニトリル- 水(50:50、 V/V)(含0.05% トリフルオロ酢酸)
流速:1ml/分
検出:280 nm, 430 nm
【0088】
実施例10 テトラヒドロクルクミン含有酒の製造(2)
実施例4の方法で得たテトラヒドロクルクミン含有乾燥酵母10gを3リットル容の三角フラスコに入れ、アルコール度数25度の焼酎1リットルを加えた後、6時間攪拌し、テトラヒドロクルクミンを抽出した。これを濾過し、テトラヒドロクルクミン含有焼酎990mlを得た。未反応のクルクミンに由来する着色はほとんど認められなかった。
【0089】
該テトラヒドロクルクミン含有焼酎を下記の条件でHPLC分析したところ保持時間6.0 分及び11.4分のピークが認められた。同一条件下でのテトラヒドロクルクミン標品(日研化成社製)の保持時間の6.1 分及び11.4分のピークと一致した。
【0090】
HPLC分析条件
カラム:ODS 120A S-5 (AM312 、YMC 社製)
溶媒:アセトニトリル- 水(50:50、 V/V)(含0.05% トリフルオロ酢酸)
流速:1ml/分
検出:280 nm, 430 nm
【0091】
実施例11 テトラヒドロクルクミン含有酒の製造(3)
実施例4の方法で得たテトラヒドロクルクミン含有乾燥酵母10gを3リットル容の三角フラスコに入れ、白ワイン1リットルを加えた後、4℃で6時間振とう攪拌し、テトラヒドロクルクミンを抽出した。これを濾過し、テトラヒドロクルクミン含有白ワイン990mlを得た。未反応のクルクミンに由来する着色はほとんど認められなかった。
【0092】
該テトラヒドロクルクミン含有白ワインを濃縮後、下記の条件でHPLC分析したところ保持時間6.0 分及び11.4分のピークが認められた。同一条件下でのテトラヒドロクルクミン標品(日研化成社製)の保持時間の6.1 分及び11.4分のピークと一致した。
【0093】
HPLC分析条件
カラム:ODS 120A S-5 (AM312 、YMC 社製)
溶媒:アセトニトリル- 水(50:50、 V/V)(含0.05% トリフルオロ酢酸)
流速:1ml/分
検出:280 nm, 430 nm
【0094】
【発明の効果】
本発明によれば、クルクミン類もしくはクルクミン類を含有する組成物にクルクミン類を基質とした水素添加反応を触媒する微生物を作用させ、テトラヒドロクルクミン類を含有する組成物を製造することができる。
Claims (9)
- 式(I)
- クルクミン類をテトラヒドロクルクミン類に変換する活性を有するデバリョマイセス属、サッカロマイセス属、ピチア属、クルイベロマイセス属、トルラスポラ属、キャンヂダ属、ラクトバチルス属又はスタフィロコッカス属に属する微生物の菌体、菌体を含む培養液又はそれらの破砕処理物をクルクミン類を含有する組成物に作用させてテトラヒドロクルクミン類を生成させることを特徴とするテトラヒドロクルクミン類を含有する組成物の製造方法。
- クルクミン類を含有しない組成物にクルクミン類又はクルクミン類を含有する組成物を添加し、これにクルクミン類をテトラヒドロクルクミン類に変換する活性を有するデバリョマイセス属、サッカロマイセス属、ピチア属、クルイベロマイセス属、トルラスポラ属、キャンヂダ属、ラクトバチルス属又はスタフィロコッカス属に属する微生物の菌体、菌体を含む培養液又はそれらの破砕処理物を作用させテトラヒドロクルクミン類を生成させることを特徴とするテトラヒドロクルクミン類を含有する組成物の製造方法。
- クルクミン類を含有する組成物がウコン属に属する植物を処理して得られる組成物である請求項1〜3いずれか記載の方法。
- クルクミン類を含有しない組成物が、飲料用アルコール、果汁又は食用油である請求項3記載の方法。
- クルクミン類を含有しない組成物が、有機溶媒又は界面活性剤である請求項3記載の方法。
- クルクミン類をテトラヒドロクルクミン類に変換する活性を有するデバリョマイセス属、サッカロマイセス属、ピチア属、クルイベロマイセス属、トルラスポラ属、キャンヂダ属、ラクトバチルス属又はスタフィロコッカス属に属する微生物をクルクミン類を含有する培地で培養することを特徴とする、テトラヒドロクルクミン類を含有する微生物の製造方法。
- 請求項7記載の方法で得られるテトラヒドロクルクミン類を含有するデバリョマイセス属、サッカロマイセス属、ピチア属、クルイベロマイセス属、トルラスポラ属、キャンヂダ属、ラクトバチルス属又はスタフィロコッカス属に属する微生物又はその超音波破砕、加熱、有機溶媒、加圧、界面活性剤又は凍結乾燥処理物を食用油に浸漬することを特徴とするテトラヒドロクルクミン類含有食用油の製造方法。
- 請求項7記載の方法で得られるテトラヒドロクルクミン類を含有するデバリョマイセス属、サッカロマイセス属、ピチア属、クルイベロマイセス属、トルラスポラ属、キャンヂダ属、ラクトバチルス属又はスタフィロコッカス属に属する微生物又はその超音波破砕、加熱、有機溶媒、加圧、界面活性剤又は凍結乾燥処理物を酒類に浸漬することを特徴とするテトラヒドロクルクミン類含有酒類の製造方法。
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