JP2003093084A - 芳香性液状組成物の製造方法並びに飲料及びアルコール飲料 - Google Patents

芳香性液状組成物の製造方法並びに飲料及びアルコール飲料

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JP2003093084A
JP2003093084A JP2001292846A JP2001292846A JP2003093084A JP 2003093084 A JP2003093084 A JP 2003093084A JP 2001292846 A JP2001292846 A JP 2001292846A JP 2001292846 A JP2001292846 A JP 2001292846A JP 2003093084 A JP2003093084 A JP 2003093084A
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Japan
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yeast
linolenic acid
nonadienal
liquid composition
lipoxygenase
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JP2001292846A
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Akira Wanikawa
彰 鰐川
Hiroshi Shoji
博志 小路
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Nikka Whisky Distilling Co Ltd
Original Assignee
Nikka Whisky Distilling Co Ltd
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  • Alcoholic Beverages (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 2,6−ノナジエナールを高濃度で含有し、
フレッシュでグリーンな香りを有する飲料、アルコール
飲料等のできる芳香性液状組成物を提供する。また、高
価な物質を添加したり、新規の設備を導入したりするこ
となく、2,6−ノナジエナールを高濃度含有し、かつ
安全性の高い液状組成物を工業的に量産することができ
る芳香性液状組成物の製造方法を提供する。 【解決手段】 リノレン酸を基質とするリポキシゲナー
ゼによる反応で、2,6−ノナジエナールを生合成する
ことにより、芳香性液状組成物を製造する。また、この
方法を用いて、2,6−ノナジエナールを、50ppb
以上含有する飲料又はアルコール飲料とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、芳香成分として
2,6−ノナジエナールを含有する芳香性液状組成物の
製造方法、並びに芳香成分である2,6−ノナジエナー
ルを比較的高い特定の濃度で含有する飲料、アルコール
飲料等に関する。
【0002】
【従来の技術】2,6−ノナジエナールは、下記化学式
(1)に示される化合物であり、キューリ、スイカ、メ
ロン、鮎の特徴香として知られている。
【0003】
【化1】
【0004】また、果実等に含まれる2,6−ノナジエ
ナールの生合成のメカニズムについて、解明が試みられ
ており、現在、植物中の中性脂肪やリン脂質が酵素によ
って分解されて生成するリノレン酸が、リポキシゲナー
ゼによってヒドロキシペルオキシドに変換した後、ヒド
ロキシパーオキサイド開裂酵素によって各種のノナジエ
ナール類が合成されるものと推定されている(畑中ら、
油化学協会誌、1984、703号、33ページ)。
【0005】しかし、従来、2,6−ノナジエナール
は、いわゆる青くさい匂いを生じさせ、これを高濃度で
含有させた飲料、アルコール飲料等は、飲食者に受け入
れられないものとの認識が一般であった。
【0006】また、仮に、2,6−ノナジエナールを比
較的高濃度で含有する液状組成物を製造しようとして
も、そのような液状組成物を工業的に大量に得られる製
造方法が未だ開発されていないのが現状である。
【0007】もっとも、4,7−ノナジエナール、4,
8−ノナジエナール、2,7−オクタジエナール、2,
11−ドデカジエナール等の他のノナジエナール類につ
いては、化学的な合成方法が開示されており(特開昭5
6−34652号公報、特開昭56−125331号公
報、特開昭61−194044号公報)、これらの方法
を応用することも考えられる。
【0008】しかし、これらのノナジエナール類の合成
方法は、高価な試薬を使用する上、製造工程が複雑で大
量生産には不向きな方法であった。しかも、大量の有機
溶媒を用いる必要があるため、先ず安全性の確保が重要
である食品、飲料、アルコール飲料、歯磨き粉等へ適用
することは、事実上極めて困難であった。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上述の課題
に鑑みてなされたものであり、2,6−ノナジエナール
を比較的高濃度で含有することにより、フレッシュな香
りを有し、飲食者に清涼感を与えることができる飲料又
はアルコール飲料を提供することを目的とする。
【0010】また、本発明は、フレッシュな香りを有
し、飲食者に清涼感を与えることができる液状組成物
を、安全かつ大量に得られる芳香性液状組成物の製造方
法を提供することを他の目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上述の課
題を解決すべく鋭意検討したところ、アルコール飲料、
飲料等の液状組成物に、比較的高い特定の濃度で、2,
6−ノナジエナールを含有させたところ、従来の認識と
異なりフレッシュで清涼感溢れる香りを付与することが
できることを見出した。また、本発明者は、このような
液状組成物を製造する方法についても、さらに研究を重
ね、酵素反応を利用した製造方法について検討したとこ
ろ、従来から食品の製造等で用いられ、安全性が確立し
ている植物、微生物等の中に、リノレン酸、リポキシゲ
ナーゼ等の反応成分を多量に供給し得るものを知見する
に至り、これを用いた酵素反応を利用することにより上
述の問題を解決し得ることを見出し、本発明を完成する
に至った。
【0012】即ち、本発明によれば、リノレン酸を基質
とするリポキシゲナーゼによる反応で、2,6−ノナジ
エナールを生合成することを特徴とする芳香性液状組成
物の製造方法が提供される。
【0013】ここで、「リポキシゲナーゼ」とは、ペン
タジエン構造を有する不飽和脂肪酸に酸素をヒドロペル
オキシ基として導入する酸化還元酵素の総称である。
【0014】本発明においては、リノレン酸の供給源と
して、酵母を用いることが好ましく、この際には、酵母
が、キャンディダ(Candida)属酵母、ピキア
(Pichia)属酵母、又はクリベロミセス(Klu
yveromyces)属酵母のいずれか1種であるこ
とが好ましい。また、リノレン酸は、酵母を加熱して、
又は酵母をリパーゼ処理して、リノレン酸を酵母から遊
離させることにより得ることができる。
【0015】また、本発明においては、リポキシゲナー
ゼの供給源は、植物体であることが好ましく、緑麦芽で
あることがより好ましい。また、緑麦芽としては、大麦
由来のものが好ましい。
【0016】本発明によれば、以上のような製造方法を
用いることにより、2,6−ノナジエナールを、全成分
中50ppb以上含有する飲料、アルコール飲料等の芳
香性液状組成物を製造することができ、フレッシュで、
清涼感を与える香りがする飲料、アルコール飲料等を提
供することができる。
【0017】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を、具
体的に説明する。本発明の製造方法は、リノレン酸を基
質とするリポキシゲナーゼによる反応で、2,6−ノナ
ジエナールを生合成するものであり、これにより、フレ
ッシュで、清涼感を与える芳香性の液状組成物を、安全
かつ大量に得られることができ、特に芳香性を付与する
飲料、アルコール飲料等の工業的生産に好ましく適用す
ることができる。
【0018】本発明において基質として用いるリノレン
酸は、有害な副産物の産生のないことが判明し、安全性
の確立した微生物である点で、酵母をリノレン酸供給源
とすることが好ましい。
【0019】リノレン酸供給源として用いる酵母として
は、従来より食品の製造に用いられてきたサッカロミセ
ス属酵母、ピキア(Pichia)属酵母、クリベロミ
セス(Kluyveromyces)属酵母、又はキャ
ンディダ(Candida)属酵母等を挙げることがで
き、中でも、リノレン酸の含量が大きい上、オフフレー
バーの生成がない点で、ピキア(Pichia)属酵
母、クリベロミセス属酵母、又はキャンディダ(Can
dida)属酵母が好ましく、さらに同属内にヒトに有
害な菌株が知られていない点でピキア(Pichia)
属酵母、又はクリベロミセス属酵母がより好ましい。
【0020】サッカロミセス属酵母としては、例えば、
市販のパン酵母や清酒醸造用酵母(日本醸造協会より市
販)等の公知自由分譲株から得られるものを挙げること
ができる。
【0021】また、ピキア属酵母としては、例えば、P
ichia membranaefaciens等を挙
げることができ、クリベロミセス属酵母としては、例え
ば、Kluyveromyces marxianus
等を挙げることができ、キャンディダ属酵母としては、
例えば、Candida oleophila等を挙げ
ることができる。
【0022】さらに、これらに属する菌株としては、例
えば、埼玉の理化学研究所から入手できるPichia
membranaefaciens JCM144
2、大阪の醗酵研究所から入手できるKluyvero
myces marxianus IFO648、埼玉
の理化学研究所から入手できるCandida ole
ophila JCM1792等の公知自由分譲株を挙
げることができる。
【0023】リノレン酸供給源として用いる酵母は、一
般に酵母の培養に用いられる培地、例えば、粉砕した麦
芽を温水で抽出して作製した麦汁やYPD培地(酵母エ
キス1%、ペプトン2%、ぶどう糖2%)等の天然培
地、又はウィッカーハム改変培地等の合成培地に接種
し、培養することができる。
【0024】培養温度は、用いる酵母及びその他の培養
条件に応じて適切な温度を設定すればよいが、通常、5
℃〜40℃で培養することが好ましく、10℃〜25℃
で培養することがより好ましく、14℃〜22℃で培養
することがさらに好ましく、17℃〜20℃で培養する
ことが特に好ましい。
【0025】40℃以下、好ましくは25℃以下で培養
すると、菌体中の脂肪酸の不飽和度が上がり、菌体脂肪
酸中のリノレン酸の割合を増加させることができる。一
方、5℃以上、好ましくは10℃以上で培養すると、酵
母菌の増殖が活発になり、比較的短時間で培養すること
ができる。
【0026】また、菌体脂肪酸の不飽和度を上げるため
には、振盪、攪拌又は無菌空気を通気することによって
好気的条件下で培養することが好まし。また、無菌空気
を通気する際の通気量は、0.2vvm以上が好まし
く、0.7vvm以上がより好ましい。
【0027】培養に要する時間は、用いる酵母、培地、
培養温度等の培養条件に応じて適切な時間とすればよい
が、酵母が培養液1mlあたり109個程度になるまで
培養することが好ましく、効率的に酵母に含まれるリノ
レン酸含量を増加させる点で、通常、24時間〜120
時間の範囲で培養すればよく、40〜100時間で培養
することが好ましい。
【0028】なお、酵母に含まれるリノレン酸含量が増
加すると、生成する2,6−ノナジエナールも増加する
ので、リノレン酸含量の多い酵母を選択し、さらにリノ
レン酸含量が増加する培養条件を選択することが好まし
いことはいうまでもない。
【0029】本発明において酵母をリノレン酸供給源と
して用いる場合には、通常、酵母を充分に培養した後、
リノレン酸を酵母から遊離させる。
【0030】酵母からリノレン酸を遊離させる好ましい
一の方法としては、培養した酵母を加熱処理して、菌体
細胞膜からリノレン酸を遊離させる方法を挙げることが
できる。
【0031】この際、加熱処理温度としては、遊離リノ
レン酸の量を増大させる点で、50〜60℃の温度が好
ましく、50〜55℃の温度がより好ましい。
【0032】また、加熱処理時間としては、同様の点で
2時間以上が好ましく、4時間〜24時間がより好まし
く、5〜10時間が特に好ましい。なお、24時間以上
の長時間にわたって加熱してもよいが、あまりに長い時
間の加熱は加熱臭のような異臭が発生するため好ましく
ない。
【0033】酵母からリノレン酸を遊離させる好ましい
他の方法としては、培養した酵母を低温で長時間保管し
て、酵母を溶菌させることにより、菌体細胞膜からリノ
レン酸を遊離させる方法を挙げることができる。
【0034】この際、保管温度、保管期間としては、酵
母を栄養源として他の雑菌が増殖することがあるので、
0〜10℃で1週間〜数ヶ月間保管することが好まし
い。
【0035】また、保管形態について特に制限はなく、
培養終了後、そのままで保管してもよく、遠心、ろ過等
により集菌した後に保管してもよい。また、集菌した菌
体は、そのまま、又は適当な培地、緩衝液、若しくは水
に懸濁してから保管してもよい。
【0036】酵母からリノレン酸を遊離させる好ましい
更に他の方法としては、酵母細胞膜に作用し、リノレン
酸の溶出を促す酵素を添加する方法を挙げることができ
る。
【0037】リノレン酸の溶出を促す酵素としては、タ
ンパクに作用するプロテアーゼ、脂質に作用するリパー
ゼ、炭水化物に作用するグルカナーゼ、セルラーゼ等を
挙げることができる。
【0038】また、当該酵素は純度の高い試薬級のもの
でもよいが、食品産業用に販売されている酵素製剤でも
よい。具体的には、リパーゼ製剤としては、例えば、リ
パーゼF(天野エンザイム社製)、リパーゼAY(天野
エンザイム社製)、リリパーゼ(長瀬産業社製)等を挙
げることができ、プロテアーゼ製剤としては、例えば、
ニューラーゼF(天野エンザイム社製)を挙げることが
でき、グルカナーゼ又はセルラーゼ製剤としては、例え
ば、Finizym(ノボノルディスク社製)、セルロ
シンAL(阪急共栄物産社製)を挙げることができ、プ
ロテアーゼとグルカナーゼの混合製剤としては、例え
ば、XP415(長瀬産業社製)等を挙げることができ
る。また、これらの酵素製剤の中でも、溶菌作用の大き
く多量の遊離リノレン酸が得られる点で、リパーゼ製剤
であるリパーゼF、又はリパーゼAYが好ましい。ま
た、これらの酵素製剤は、一種単独で又は二種以上組み
合わせて用いることができる。
【0039】本発明においては、これらの酵素製剤を、
50〜1000ppmの濃度で酵母懸濁液に添加して用
いることが好ましい。また、酵素反応は、これら酵素に
とって至適の条件で反応温度や時間を適宜設定すること
が好ましい。また、本発明においては、リノレン酸の溶
出を促す酵素を添加する方法を単独で行ってもよいが、
酵母を低温で長時間保管して、酵母を溶菌させる方法と
組合わせて行うことも好ましい。
【0040】上述した各種方法により、酵母からリノレ
ン酸を遊離させる際には、培養液をそのまま用いて行っ
てもよいが、遠心、ろ過等により集菌した後に行うこと
が好ましい。また、集菌した酵母は、そのまま、又は適
当な培地、緩衝液、若しくは水に懸濁してから加熱又は
溶菌させてもよく、或いは脱水して脱水酵母の状態で加
熱又は溶菌させてもよい。さらに、脱水酵母の状態で加
熱又は溶菌させる場合は、そのまま、又は適当な培地、
緩衝液、若しくは水に懸濁してから加熱又は溶菌すれば
よい。なお、脱水酵母をそのまま加熱又は溶菌した場合
には、加熱又は溶菌後に適当な培地、緩衝液、若しくは
水に懸濁してリノレン酸を遊離させるとよい。
【0041】懸濁に用いる培地としては、麦汁の他、
ペプトン、酵母エキス、若しくはカザミノ酸等と、グ
ルコース、マルトース等の糖類との混合物、発酵飲料
の原料、発酵飲料の原料と、麦汁、又はペプトン、酵
母エキス、若しくはカザミノ酸等と、グルコース、マル
トース等の糖類との混合物、或いは廃糖蜜と尿素との
混合物等の天然培地、更にはウィッカーハム改変培地
等の合成培地を挙げることができる。また、懸濁に用い
る緩衝液としては、一般に菌体の懸濁に使われるもので
あればよく、例えばPBS(0.1Mリン酸ナトリウ
ム、0.15M食塩)、TBS(0.1Mトリス塩酸、
0.15M食塩)等を挙げることができる。
【0042】次に、得られたリノレン酸にリポキシゲナ
ーゼを反応させる条件について説明する。
【0043】本発明においては、酵母からリノレン酸を
遊離させた場合、リノレン酸が遊離する懸濁液を、いっ
たん遠心、ろ過等により、酵母残渣を除いた清澄液を作
製し、得られた清澄液をリポキシゲナーゼ処理してもよ
いが、懸濁液をそのままリポキシゲナー処理してもよ
い。
【0044】本発明で用いられるリポキシゲナーゼは、
リノレン酸に作用して2,6−ノナジエナールを生合成
できるものであり、基質特異性及び反応特異性を考慮し
て選択する必要がある。具体的には、リノレン酸の9位
にヒドロペルオキシ基を導入するリポキシゲナーゼが最
も効率よく2,6−ノナジエナールを生合成できるもの
と考えられるが、必ずしも明らかではない。
【0045】リポキシゲナーゼは、殆どすべての生物に
存在し、供給源とすることが可能であるが、リノレン酸
に作用して2,6−ノナジエナールを生合成するリポキ
シゲナーゼが比較的豊富に含まれている点で、植物体を
供給源として用いることが好ましい。
【0046】また、リポキシゲナーゼ供給源としては、
例えば、大豆種子、キューリ葉、メロン果実、緑麦芽等
を挙げることができ、大豆種子由来の既に市販されてい
るリポキシゲナーゼ製剤を用いてもよいが、リノレン酸
に作用して2,6−ノナジエナールを生合成するリポキ
シゲナーゼが、極めて豊富で、しかも原料となる植物体
を安価に得ることができる点で緑麦芽が好ましい。
【0047】ここで、緑麦芽とは、通常ビールやウイス
キーの製造に用いられる麦芽の乾燥前のものをいい、発
芽により糖化酵素等の各種酵素とともに、リポキシゲナ
ーゼの活性も著しく上昇することから、好適なリポキシ
ゲナーゼ酵素供給源とすることができるものである。
【0048】緑麦芽としては、大麦、小麦、ライ麦等を
発芽させたものを挙げることができるが、中でも、オフ
フレーバーが少なく、製造・入手が容易である点で大麦
を発芽させたものが好ましい。
【0049】また、大麦緑麦芽としては、例えば、ほし
まさり、新田二条1号、北育19号、北育1号、カワサ
イゴク、カワホナミ、カワミズキ、ニシノホシ、ニシノ
チカラ、関東二条3号、栃系145、羽系H−83、羽
系H−79、羽系J−7、アサヒ5号、南系R130
3、西海皮10号、西海皮38号、ミサトゴールデン、
タカホゴールデン、ミカモゴールデン、又はナス二条等
の品種を挙げることができる。中でも、得られるリポキ
シゲナーゼによる酵素反応で、用いる大麦緑麦芽の重量
に対して、より多くの2,6−ノナジエナールを生合成
できる点で、ミカモゴールデン種が好ましい。なお、ミ
カモゴールデン種が、2,6−ノナジエナールを多量に
生合成することができる理由は必ずしも明らかではない
が、リノレン酸に作用して2,6−ノナジエナールを生
合成できるリポキシゲナーゼの含有量自体が多いか、或
いは当該リポキシゲナーゼの活性が高いためと推測され
る。
【0050】本発明においては、緑麦芽の作製方法につ
いて特に制限はなく、例えば、大麦、小麦、ライ麦等を
通常の方法により充分に吸水させた後、適当な温度と湿
度の環境下で放置して発芽させることにより得ることが
できる。
【0051】次に、本発明においては、リポキシゲナー
ゼ供給源として用いる植物体を、そのまま又は−80℃
程度の低温で冷凍した後、常法によりできるだけ細かく
粉砕した後、適当な培地、緩衝液、又は水に懸濁させて
リポキシゲナーゼ粗酵素液を得ることができる。なお、
適当な培地、緩衝液、水に懸濁した後、公知の方法によ
り粉砕してもよいことはいうまでもない。
【0052】得られたリポキシゲナーゼ粗酵素液は、そ
のまま酵素反応に用いることもできるが、遠心処理、又
は網、ろ紙、若しくは膜等によりろ過して清澄液として
から用いることが好ましい。また、各ろ過手段は、清澄
化が可能なろ過性能を有するものであればよい。また、
本発明においては、濃縮膜を用いたり、硫安沈殿法、ス
トレプトマイシン沈殿法、カラム樹脂法等の方法によ
り、酵素タンパク質を濃縮、精製してから用いてもよ
い。
【0053】リポキシゲナーゼ粗酵素液又はその清澄液
であるリポキシゲナーゼ酵素液の添加量は、用いるリポ
キシゲナーゼ供給源の種類及び反応させる溶液のリノレ
ン酸含有量を考慮して、反応効率の高い量とすればよ
く、例えば、大麦の緑麦芽をリポキシゲナーゼ供給源と
した場合には、酵素反応させる溶液(リノレン酸換算
量)100重量部に対し、緑麦芽0.1〜10重量部分
に相当するリポキシゲナーゼ粗酵素液又はリポキシゲナ
ーゼ酵素液を添加することが好ましい。
【0054】次に、リポキシゲナーゼによる反応は、当
該リポキシゲナーゼの至適温度を考慮して20〜40℃
で行うことが好ましく、25〜35℃で行うことがより
好ましい。
【0055】また、反応時間は、リポキシゲナーゼとリ
ノレン酸とのモル比やその他の反応条件にもよるが、通
常30分以上とすることが好ましく、効率的に生合成さ
せるためには30分〜6時間で行うことがより好まし
い。
【0056】本発明においては、リポキシゲナーゼによ
る反応終了後、2,6−ノナジエナールを高濃度で含有
する反応液を、そのまま、又は精製した後、アルコール
飲料、飲料、ヨーグルト等の食品、香水、シャンプー、
化粧品等の用途に応じて、希釈液等により所定の濃度に
調整する事が好ましい。
【0057】例えば、ウイスキー、ビール、ワイン、焼
酎、清酒等のアルコール飲料、及び清涼飲料水等の飲料
の場合には、従来の当業者の認識とは異なり、全成分
中、50ppb以上の濃度で、より好ましくは70pp
b以上の濃度で、2,6−ノナジエナールを含有させる
ことにより、清涼感あふれるグリーンな香りを充分に付
与することができる。中でも、ウイスキーやブランデー
では、このような芳香効果が大きく、また、特に70p
pb以上の濃度で2,6−ノナジエナールを含有させる
と、より顕著な芳香効果を得ることができる。一方、本
発明においては、液状組成物に含有させる2,6−ノナ
ジエナールの含有量の上限については特に制限はない
が、500,000ppb以内の濃度で、2,6−ノナ
ジエナールを含有させることが好ましく、より多くの飲
食者等に好適な印象を与える点からすると、ウイスキー
やブランデーでは、1000ppb以内、その他のアル
コール飲料又は清涼飲料等では500ppb以内で2,
6−ノナジエナールを含有させることがより好ましい。
【0058】本発明においては、液状組成物をアルコー
ル飲料とする際には、当該アルコール飲料を製造するた
めに醸造した発酵液、又はエタノールを含有する水溶液
等に添加した後、蒸留することにより、得られる蒸留酒
に50ppb以上の濃度で2,6−ノナジエナールを含
有させ、所望の香りを付与することもできる。また、こ
の際、発酵液としては、例えば、ウイスキー、ビール、
ワイン、焼酎、清酒等を製造する途中の醸造液を挙げる
ことができる。
【0059】一方、液状組成物を各種製品に添加する香
料として用いる場合には、分離・抽出等で、より高濃度
で2,6−ノナジエナールを含有させることが好まし
い。
【0060】なお、本発明で得られる芳香性液状組成物
は、2,6−ノナジエナールを高濃度で含有するため、
この液状組成物から容易に2,6−ノナジエナールを単
離することができ、高純度、高品質の2,6−ノナジエ
ナールを安価で大量に提供することもできる。
【0061】この際、液状組成物から2,6−ノナジエ
ナールを単離する方法としては、従来一般に用いられて
いる単離方法でよく、例えば、遠心処理等によって反応
液を清澄化した後、又は混濁した状態のまま、2,6−
ノナジエナールを有機溶媒によって抽出し、さらに蒸
留、カラムクロマトグラフィー等の手段によって精製し
た後、有機溶媒を留去する方法を挙げることができる。
【0062】
【実施例】以下に実施例を記して、本発明をより具体的
に説明するが、本発明はこれらの実施例によってなんら
限定されるものではない。なお、下記の実施例中、2,
6−ノナジエナールの分析は、試料からOASISカラ
ム(Waters社製)を用いて固層抽出した後、NE
UTRABOND−1(GLサイエンス社製)カラムを
用いたガスクロマトグラフィーにより行った。
【0063】[リノレン酸供給源の選択]比重1.04
0の麦汁20mlに、表1に示す各酵母を接種し、28
℃で24時間振盪培養した。培養後、遠心により集めた
各酵母を、−80℃で凍結乾燥した後、50%水酸化ナ
トリウム−メタノール溶液を加えて沸騰水中で1時間煮
沸して脂肪酸を遊離させた。煮沸後、塩酸を加えて酸性
にし、14%三フッ素ホウ素−メタノール溶液を加えて
遊離した脂肪酸をメチル化した。さらに、反応液をヘキ
サンで抽出した後、ガスクロマトグラフィーにより遊離
した脂肪酸のメチルエステルを定量し、菌体に含まれる
各脂肪酸の含量を算出した。得られた結果を表1にまと
めて示す。
【0064】
【表1】
【0065】表1に示す通り、キャンディダ属酵母、ピ
キア属酵母、及びクリベロミセス属酵母で、リノレン酸
含有量が多かった。
【0066】[酵母の培養条件1]比重1.040の麦
汁400mlを、1L容のジャーに入れ、Pichia
membranaefaciens JCM1442株
を接種し、12℃、15℃、18℃、又は21℃の各温
度で、空気を2vvmの割合で通気し、400rpmで
攪拌しながら培養した。培養27時間後と48時間後
に、一部菌体を遠心により集め、[リノレン酸供給源の
選択]について述べた方法と同様にして、酵母に含まれ
る脂肪酸含量を測定した。得られた結果を表2にまとめ
て示す。
【0067】
【表2】
【0068】表2に示す通り、いずれの温度でも、実用
上充分な量のリノレン酸が生合成されたが、12℃では
酵母の増殖が比較的悪く、結果的に酵母に含まれるリノ
レン酸の総量も他の温度で培養した場合に比べ少なかっ
た。また、特に18℃で培養した場合は、酵母の増殖が
良く、リノレン酸が最も多く生合成された。また、いず
れの温度でも培養時間が48時間の方が、27時間に比
べ、リノレン酸が多く生合成された。
【0069】[酵母の培養条件2]比重1.040の麦
汁400mlを、1L容のジャーに入れ、Pichia
membranaefaciens JCM1442株
を接種し、18℃で培養した。培養中の攪拌は400r
pmで行ったが、通気量は0.25〜1vvmと変化さ
せた。48時間培養した後、酵母を遠心により集め、
[リノレン酸供給源の選択]について述べた方法と同様
にして、酵母に含まれる脂肪酸含有量を測定した。得ら
れた結果を表3にまとめて示す。
【0070】
【表3】
【0071】表3に示す通り、通気量が多いほうがリノ
レン酸の含有量も多く、特に1vvmの通気量で培養し
た場合に、最もリノレン酸が多く生合成された。
【0072】[リノレン酸遊離条件1]比重1.040
の麦汁400mlを、1L容のジャーに入れ、Pich
iamembranaefaciens JCM144
2株を接種し、18℃で48時間培養した。培養中の攪
拌は400rpmで行い、通気量は0.5vvmで行っ
た。培養終了後、培養液をそれぞれ50℃、60℃、7
0℃の恒温槽に入れ、4時間加熱し、その後、加熱した
培養液を遠心して菌体を除去した。得られた培養上清中
に、塩酸を加えて酸性にした後、エーテルで遊離リノレ
ン酸を抽出し、抽出液に14%三フッ素ホウ素−メタノ
ール溶液を加えて遊離脂肪酸をメチル化した。さらに、
反応液をヘキサンで抽出した後、ガスクロマトグラフィ
ーにより脂肪酸のメチルエステルを定量し、菌体に含ま
れる各脂肪酸の含量を算出した。結果を表4にまとめて
示す。
【0073】
【表4】
【0074】表4中に示したように、培養上清中に遊離
したリノレン酸は、50℃で加熱したときに、11.5
μg/mlと最も多く、70℃で加熱したときには、
1.5μg/mlと少なかった。
【0075】[リノレン酸遊離条件2]比重1.040
の麦汁400mlを、1L容のジャーに入れ、Pich
iamembranaefaciens JCM144
2株を接種し、18℃で48時間培養した。培養中の攪
拌は400rpmで行い、通気量は0.5vvmで行っ
た。培養終了後、培養液をそれぞれ50℃の恒温槽に入
れ、加熱時間がそれぞれ2時間、4時間、8時間、22
時間になったところで、加熱した培養液を遠心して菌体
を除去し、得られた培養上清中に遊離したリノレン酸の
含有量を[リノレン酸遊離条件1]で述べた方法と同様
にして測定した。結果を表5にまとめて示す。
【0076】
【表5】
【0077】表5に示す通り、上清中に遊離したリノレ
ン酸の含有量は、50℃で2時間以上加熱すれば、実用
上充分な量となり、50℃で8時間程度加熱したときに
最大となった。また、さらに22時間程度まで加熱を継
続してもほとんど変わらなかった。
【0078】[リノレン酸溶出補助酵素の選択]比重
1.040の麦汁100mlを、500ml容の三角フ
ラスコに入れ、Pichia membranaefa
ciens JCM1442株を接種し、18℃で48
時間培養した。培養終了液にそれぞれリリパーゼとXP
415(長瀬産業社)、リパーゼFとリパーゼAY(天
野エンザイム社)、Finizym(ノボノルディスク
社)、セルロシンAL(阪急共栄物産社)、ニューラー
ゼF(天野エンザイム社)を0.1%濃度になるように
加え、50℃で4時間反応させた。一方、国産大麦ミカ
モゴールデン種に水を充分に浸漬させた後、常法により
発芽させた緑麦芽28gをコーヒーミルで粉砕して蒸留
水280mlに懸濁し、そのまま室温で60分間放置し
た後、No.2ろ紙でろ過して、リポキシゲナーゼ酵素
液を作製しておき、各リノレン酸溶出補助酵素による反
応終了後、得られたリポキシゲナーゼ酵素液を全量添加
し、その後、30℃で1時間反応させて液状組成物を作
製した。リポキシゲナーゼによる反応終了後、生成した
遊離リノレン酸量と、2,6−ノナジエナール量を測定
した。結果を表6にまとめて示す。
【0079】
【表6】
【0080】表6に示す通り、リパーゼF、又はリパー
ゼAYを加えたときに2,6−ノナジエナール量が最も
増大した。
【0081】[緑麦芽種、及びろ過条件の選択]比重
1.040の麦汁400mlを、1L容のジャーに入
れ、Pichiamembranaefaciens
JCM1442株を接種し、18℃で48時間培養し
た。培養中の攪拌は400rpmで行い、通気量は0.
5vvmで行った。培養終了後、培養液に200ppm
のリパーゼAYを添加し、50℃で22時間加熱した。
一方、国産大麦ミカモゴールデン種とナス二条種に水を
充分に浸漬した後、常法により各種の緑麦芽を作製し
た。次いで、各種緑麦芽28gをコーヒーミルで粉砕
し、蒸留水280mlに懸濁し、そのまま室温で60分
間放置した後、No.2ろ紙、又は60メッシュの金網
でろ過し、リポキシゲナーゼ酵素液を作製した。リパー
ゼAYによる反応終了後、作製した各リポキシゲナーゼ
酵素液40mlを培養液に添加し、30℃で2時間反応
させて液状組成物を作製した。リポキシゲナーゼによる
反応終了後に、2,6−ノナジエナール量を測定した。
結果を表7にまとめて示す。
【0082】
【表7】
【0083】表7に示す通り、リポキシゲナーゼ供給源
として用いた大麦の種類によって、生成する2,6−ノ
ナジエナール量に違いがあり、ナス二条種よりもミカモ
ゴールデン種の緑麦芽を用いた方が2,6−ノナジエナ
ールの生成量が増加した。また、60メッシュの金網で
粗くろ過して完全に清澄化しなかったものよりも、N
o.2ろ紙でろ過して完全に清澄化した緑麦芽抽出液を
用いた方が生成量が増大した。
【0084】[異なる植物由来リポキシゲナーゼの選
択]前述した緑麦芽由来のリポキシゲナーゼとの比較の
為、緑麦芽由来のリポキシゲナーゼに代え、試薬として
市販されている大豆由来のリポキシゲナーゼ(日本バイ
オコン社製、リポキシゲナーゼDOSOY)を培養液中
に10ppmの濃度で添加したこと以外は[緑麦芽種、
及びろ過条件の選択]で述べたのと同様にして液状組成
物を作製した。得られた液状組成物には、50ppbと
前述した緑麦芽由来のリポキシゲナーゼを用いた場合に
比べ約1/12〜1/3の2,6−ノナジエナールが含
まれていた。
【0085】[実施例1及び比較例1(2,6−ノナジ
エナールを含む蒸留酒の製造)]上述した各種検討に基
づき以下のようにして、蒸留酒を製造した。比重1.0
4の麦汁50Lを97℃で2時間加熱殺菌した後、室温
まで冷却し、Pichia membranaefac
iens JCM1442株を接種した。2vvmの空
気を通気し、400rpmで攪拌しながら18℃で48
時間培養したところ、菌数が1mlあたり109まで増
殖していたので、50℃の恒温槽中で2時間加熱した
後、さらにリパーゼAY10gを加えて50℃で一晩反
応させた。反応終了液には、遊離リノレン酸が80pp
m含まれていた。一方、凍結保存していた緑麦芽500
gをハンマーミルで粉砕し、滅菌水2.5Lを加え室温
で1時間ゆっくり攪拌した。攪拌後のリポキシゲナーゼ
粗酵素液はNo.2のろ紙でろ過し、得られたリポキシ
ゲナーゼ酵素液全量を、リパーゼ処理後の、遊離リノレ
ン酸溶液に添加した。そのまま30℃で2時間反応させ
たところ、反応液中には2,6−ノナジエナールが84
0ppb生成していた。得られた反応液を10倍量のウ
イスキー発酵終了醪に添加し、銅製ポットスティルを用
いて2回蒸留して常法どおりウイスキー本留液を製造し
た。得られたウイスキー本留液には、68%のアルコー
ルと85ppbの2,6−ノナジエナールが含まれてい
た。また、製造した2,6−ノナジエナールを85pp
b含む本留液と液状組成物を添加せずに蒸留して作られ
た本留液(比較例1)を対象として10名の専門パネラ
ーによる官能検査を行った。結果を表8に示す。なお、
官能検査の評価は以下の基準に基づき、4点を中心に7
段階で行い、全員の平均点で示した。
【0086】 1…非常に劣る。 2…劣る。 3…やや劣る。 4…標準的。 5…やや良好。 6…良好。 7…非常に優れている。
【0087】
【表8】
【0088】表8に示す通り、2,6−ノナジエナール
を高濃度で含むウイスキー本留液(実施例1)は、グリ
ーンでフレッシュな香気を持つという評価がなされ、液
状組成物を添加せずに蒸留して作られた本留液(比較例
1)と差別化されていた。
【0089】[実施例2、3及び比較例2、3(2,6
−ノナジエナール濃度による芳香性効果)]一般に市販
されている国産ウイスキーに、4段階の異なる濃度で
2,6−ノナジエナールを含有させ、各ウイスキーにつ
いて官能検査により芳香性効果を調べた。検査は、5名
の専門パネラーにより、上述した実施例1と同様の基準
により行った。なお、用いた国産ウイスキーでは2,6
−ノナジエナールが全く検出されなかった。結果をまと
めて表9に示す。
【0090】
【表9】
【0091】表9に示す通り、2,6−ノナジエナール
を高濃度で含む程官能検査の評価が、高くなる傾向が見
られ、中でも、2,6−ノナジエナール濃度が0ppb
である比較例2と、2,6−ノナジエナール濃度が20
ppbである比較例3とでは、評価に大きな差が見られ
ないのに対し、2,6−ノナジエナール濃度が20pp
bである比較例3と、2,6−ノナジエナール濃度が8
0ppbである実施例2とでは、評点の差が1.4と、
評価に大きな差が認められ、少なくとも、2,6−ノナ
ジエナール濃度が80ppb以上であると大きな芳香性
が得られることがわかった。
【0092】[参考例]参考として、一般に市販されて
いる各種蒸留酒について、2,6−ノナジエナールの含
量を測定した。結果をまとめて表10に示す。
【0093】
【表10】
【0094】表10に示す通り、麦焼酎やドライジンに
は、2,6−ノナジエナールは全く含まれておらず、一
部のウイスキーにのみ含まれていた。また、その含有量
は、もっとも多く含まれているものでも15ppbと極
く少量であった。
【0095】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、
2,6−ノナジエナールを高濃度で含有し、フレッシュ
でグリーンな香りを有する飲料、アルコール飲料等を提
供することができる。また、本発明によれば、高価な物
質を添加したり、新規の設備を導入したりすることな
く、2,6−ノナジエナールを高濃度含有し、かつ安全
性の高い液状組成物を工業的に量産することができ、特
に、アルコール飲料、飲料等のように安全性が特に問題
となる液状組成物の製造に好ましく適用することができ
る芳香性液状組成物の製造方法を提供することができ
る。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 4B015 NB01 NB02 NG02 NG14 NG17 NP01 NP02 NP08 4B064 AC24 CA21 CB13 CD07 CD30 DA10

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 リノレン酸を基質とするリポキシゲナー
    ゼによる反応で、2,6−ノナジエナールを生合成する
    ことを特徴とする芳香性液状組成物の製造方法。
  2. 【請求項2】 前記リノレン酸の供給源として、酵母を
    用いることを特徴とする請求項1に記載の芳香性液状組
    成物の製造方法。
  3. 【請求項3】 前記酵母が、キャンディダ(Candi
    da)属酵母、ピキア(Pichia)属酵母、又はク
    リベロミセス(Kluyveromyces)属酵母の
    いずれか1種であることを特徴とする請求項2に記載の
    芳香性液状組成物の製造方法。
  4. 【請求項4】 前記酵母を加熱して、前記リノレン酸を
    該酵母から遊離させることを特徴とする請求項2又は3
    に記載の芳香性液状組成物の製造方法。
  5. 【請求項5】 前記酵母をリパーゼ処理して、前記リノ
    レン酸を該酵母から遊離させることを特徴とする請求項
    2又は3に記載の芳香性液状組成物の製造方法。
  6. 【請求項6】 前記リポキシゲナーゼの供給源が、緑麦
    芽であることを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項
    に記載の芳香性液状組成物の製造方法。
  7. 【請求項7】 2,6−ノナジエナールを、50ppb
    以上含有することを特徴とする飲料。
  8. 【請求項8】 2,6−ノナジエナールを、50ppb
    以上含有することを特徴とするアルコール飲料。
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Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2016119841A (ja) * 2014-12-24 2016-07-07 アサヒビール株式会社 アルコール飲料、アルコール飲料の製造方法及び添加剤
JP2016524471A (ja) * 2013-06-18 2016-08-18 アンハイザー−ブッシュ インベブ ソシエテ アノニムAnheuser−Busch InBev SA 発酵飲料を調製する方法およびこのようにして製造される飲料
JP2019201566A (ja) * 2018-05-22 2019-11-28 サントリーホールディングス株式会社 容器詰アルコール飲料
JP2021000032A (ja) * 2019-06-21 2021-01-07 ニッカウヰスキー株式会社 芳香液の製造方法及び芳香液

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JP6995014B2 (ja) 2018-05-22 2022-01-14 サントリーホールディングス株式会社 容器詰アルコール飲料
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JP7357472B2 (ja) 2019-06-21 2023-10-06 ニッカウヰスキー株式会社 芳香液の製造方法及び芳香液

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