JP2020137456A - 乳酸菌培養用培地 - Google Patents

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徹 尾▲崎▼
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Abstract

【課題】本発明は、効率よく工業的に有利に乳酸菌を得ることが出来る、新規な乳酸菌の培養用培地、該培地による乳酸菌の培養方法、及び該培地及び/又は該培養方法で得られる乳酸菌又はその処理物の提供を課題とする。【解決手段】マルトース及びグルコースを含む乳酸菌培養用培地を用いることにより解決する。【選択図】なし

Description

本発明は、新規な乳酸菌の培養用培地、該培地による乳酸菌の培養方法、及び該培地及び/又は該培養方法で得られる乳酸菌又はその処理物に関する。
乳酸菌は、有用な腸内細菌として知られ、古くから、発酵食品や酒類、漬物等の発酵食品の製造等に広く用いられてきた。近年、いくつかの乳酸菌がプロバイオティクス、すなわち、ヒトや動物の健康に良い影響を与える微生物として注目を集めている。しかし、乳酸菌は複雑な栄養要求性を有し、酵母等と比較しても生育にも時間を要する上、培養が困難かつ不安定という特性を有する。そのため、生育や培養が難しい乳酸菌を効率よく得ることの出来る乳酸菌培養用培地や培養方法について、研究が進められている。
公知の乳酸菌培養用培地としては、例えば、特許文献1に、硫酸マンガン水和物や乳由来成分を実質的に含有しない、食品に適用可能な、乳酸菌培養用培地が開示されている。また、特許文献2には、リン脂質を一定の割合で含有する組成物を有効成分とする乳酸菌生残性向上剤が開示されている。
しかしながら、特定の炭素源(糖類)、特に、マルトース及びグルコースの組み合わせを含むことにより、効率よく乳酸菌を得ることが出来る乳酸菌培養用培地については、これまでに知られていない。
特開2015−167474号公報 特開2007−97447号公報
本発明は、効率よく乳酸菌を得ることが出来る、新規な乳酸菌の培養用培地、該培地による乳酸菌の培養方法、該培地及び/又は該培養方法により得られる乳酸菌又はその処理物の提供を課題とする。
本発明者らは、上記課題を解決する乳酸菌培養用培地について鋭意研究を重ねた結果、マルトース及びグルコースを含む培地を用いることにより、乳酸菌を、効率よく、工業的有利に得ることが出来ること、さらには、そのような培地を用いて培養した場合、乳酸菌の生菌数又は全体としての菌数が高い培養液が得られることを見出した。本発明者らは、このような知見に基づいてさらに研究を進め、本発明を完成するに至った。
即ち、本発明は、上記課題を解決するために、以下の各発明を包含する。
[1] マルトースを、0を超え、1.5質量%以下、及びグルコースを0.5〜3質量%含む乳酸菌培養用培地。
[2] マルトースを、0を超え、1.5質量%以下、及びグルコースを0.5〜3質量%含む培地で乳酸菌を培養する方法。
[3] 前記[2]に記載の方法で得られた乳酸菌又はその処理物。
[4] マルトースを、0を超え、1.5質量%以下、及びグルコースを0.5〜3質量%含む培地の、乳酸菌を増殖させるための使用。
本発明は、マルトース及びグルコースを含む培地、該培地を用いた乳酸菌の培養方法、及び、該培地及び/又は該培養方法で得られる乳酸菌又はその処理物を提供する。本発明の培地を用いることにより、効率よく乳酸菌を得ることが出来る。さらには、本発明の培地を用いて培養した場合、生菌数又は全体として菌数が高い培養液を得ることが出来る。
本発明で用いられる乳酸菌は特に限定されず、例えば、ビフィズス菌、乳酸桿菌、乳酸球菌等の乳酸菌が挙げられるが、このうち、ビフィズス菌、すなわち、ビフィドバクテリウム(Bifidobacterium)属に属する菌を好ましく用いることが出来る。
本発明において使用される乳酸菌は、例えば、Bifidobacterium bifidum、B. longum、 B. breve、B. adolescentis、B. infantis、B.pseudolongum、B.thermophilum等のビフィドバクテリウム(Bifidobacterium)属のビフィズス菌;例えば、Lactobacillus acidophilus、L. casei、L. gasseri、L. plantarum、L. delbrueckii subsp bulgaricus、L. delbrueckii subsp lactis、L. fermentum、L. helveticus、L. johnsonii、L. paracasei subsp. paracasei、L. reuteri、L. rhamnosus、L. salivarius、L. brevis等のラクトバシラス(Lactobacillus)属の乳酸桿菌;例えば、Leuconostoc mesenteroides等のリューコノストック属、Streptococcus (Enterococcus) faecalis、Streptococcus (Enterococcus) faecium、 Streptococcus (Enterococcus) hirae、Streptococcus thermophilus等のストレプトコッカス(Streptococcus)属(現在の分類学上、エンテロコッカス (Enterococcus)属に分類される)、Lactococcus lactis、L. cremoris等のラクトコッカス(Lactococcus)属、Tetragenococcus halophilus等のテトラジェノコッカス(Tetragenococcus)属、Pediococcus acidilactici、P. pentosaceus等のペディオコッカス(Pediococcus)属、Oenococcus oeni等のオエノコッカス(Oenococcus)属等の乳酸球菌等が挙げられる。
なお、本明細書中においては、ストレプトコッカス(Streptococcus)属とは、ストレプトコッカス(Streptococcus)属及びエンテロコッカス(Enterococcus)属を包含する。
これらの菌体は、例えばATCC又はIFO等の機関や財団法人 日本ビフィズス菌センターなどから容易に入手することができる。また、市販されているものを適宜使用することもできる。
〔ビフィズス菌(ビフィドバクテリウム属の菌)〕
本発明において、乳酸菌は、ビフィドバクテリウム(Bifidobacterium)属に属する菌であることが好ましい。ビフィドバクテリウム(Bifidobacterium)属の乳酸菌として、ビフィドバクテリウム ロンガム(Bifidobacterium longum)、ビフィドバクテリウム ビフィダム(Bifidobacterium bifidum)、ビフィドバクテリウム ブレーベ(Bifidobacterium breve)、及びビフィドバクテリウム インファンティス(Bifidobacterium infantis)、ビフィドバクテリウム アドレセンティス(Bifidobacterium adolescentis)、ビフィドバクテリウム シュードロンガム(Bifidobacterium pseudolongum)、ビフィドバクテリウム サーモフィルム(Bifidobacterium thermophilum)等が挙げられる。
このうち、ビフィドバクテリウム ロンガムが好ましい。
〔ビフィドバクテリウム属の菌の取得方法〕
ビフィドバクテリウム属の菌の菌体は、例えばATCC(登録商標)又はIFO等の機関や財団法人日本ビフィズス菌センター、独立行政法人製品評価技術基盤機構特許微生物寄託センター等から容易に入手することができる。また、市販されているものを適宜使用することもできる。
培養前のビフィドバクテリウム属の菌は凍結保存状態であってもよい。
本発明の効果を奏する限り、上記乳酸菌以外に、糖化菌、酪酸菌等の有用菌が一緒に培養されるか、又は培地に含まれていてもよい。例えば、Bacillus subtilis、Bacillus mesentericus、Bacillus polyformenticus等の糖化菌;例えば、Bacillus coagulans等の有胞子性乳酸菌; Bacillus toyoi、B.licheniformis、Clostridium butyricum等の酪酸菌;その他の有用菌が挙げられる。
これらの菌体は、例えばATCC又はIFOなどの機関や財団法人日本ビフィズス菌センターなどから容易に入手することができる。また、市販されているものを適宜使用することもできる。
〔乳酸菌(ビフィドバクテリウム属の菌)の培養〕
通常、乳酸菌、好ましくは、ビフィドバクテリウム属の菌を培地に接種し培養する。
乳酸菌、好ましくは、ビフィドバクテリウム属の菌を培養するために用いる培地の基本組成は、例えば、栄養性の高い汎用増殖培地である、MRS培地、LBS培地、ロガサ培地、GAM培地等の公知の乳酸菌培養用培地を参考にしてよい。
本発明の乳酸菌培養用培地において、マルトースは、炭素源(糖類)として、必須の成分であり、培地全体に対して、例えば、0.1〜10質量%、好ましくは0.75〜5質量%、より好ましくは、1〜1.5質量%、さらに好ましくは、約1.25質量%含有されるが、これらに限定されない。マルトースは、水和物でも、無水和物でもよいが、1水和物であることが好ましい。
また、本発明の乳酸菌培養用培地において、グルコースは、炭素源(糖類)として、必須の成分であり、培地全体に対して、例えば、0.05〜10質量%、好ましくは0.25〜5質量%、より好ましくは、0.1〜2質量%、さらに好ましくは、約0.5質量%含有されるが、これらに限定されない。グルコースは、水和物でも、無水和物でもよいが、1水和物であることが好ましい。
本発明の乳酸菌培養用培地は、上記したマルトース及びグルコース以外の炭素源(糖類)、窒素源、アミノ酸、ビタミン、ミネラル、動植物タンパク質又はそのエキス並びに分解物、無機塩類、緩衝剤、界面活性剤、抗生物質、水又はそれらの任意の組み合わせ等を含有していてもよいが、これらに限定されない。培地中の各成分については、市販品を入手して適宜使用することができる。
窒素源としては、例えば、動物性又は植物性のペプトンや硝酸アンモニウム、硫酸アンモニウム、塩化アンモニウム、酢酸アンモニウム等のアンモニウム塩及びこれらの水和物、アンモニア等が挙げられる。動物性又は植物性のペプトンは、例えば、大豆ペプトンやプロテオーゼペプトン、カゼインペプトン、心筋ペプトン、獣肉ペプトン等を好ましく用いることが出来るが、これらに限定されない。
マルトース及びグルコース以外の炭素源(糖類)としては、例えば、単糖類、二糖類、三糖類、四糖類、オリゴ糖、又は多糖等が挙げられる。単糖類としては、キシロース、アラビノース、マンノース、ガラクトース又はそれらの任意の組み合わせが例示される。また、二糖類としては、セロビオース、トレハロース、スクロース、ラクツロース、ラクトース又はそれらの任意の組み合わせが例示される。培地中のマルトース及びグルコース以外の炭素源(糖類)の含有割合は、培地全体に対して、例えば、0.1〜1質量%であってもよく、0.1〜0.5質量%であってもよいが、これらに限定されない。
本発明の乳酸菌培養用培地においては、生育因子として、アミノ酸やビタミン等の成分を含むことが好ましい。
アミノ酸としては、アラニン、システイン、アスパラギン酸、グルタミン酸、フェニルアラニン、グリシン、ヒスチジン、イソロイシン、リシン、ロイシン、メチオニン、アスパラギン、ピロリシン、プロリン、グルタミン、アルギニン、セリン、トレオニン、セレノシステイン、バリン、トリプトファン、チロシン又はこれらの任意の組み合わせ又はこれらの塩等が例示されるが、これらに限定されない。これらのアミノ酸は通常はL型である。培地中のアミノ酸の含有割合は、培地全体に対して、例えば、0.01〜0.1質量%であってよく、0.01〜0.05質量%であってもよいが、これらに限定されない。
ビタミンとしては、ビタミンA、B、C、D、E、K等のビタミン類又はそれらの誘導体、若しくはそれらの塩類、ビオチン、リボフラビン、チアミン又はこれらの任意の組み合わせが好ましく用いられるが、これらに限定されない。培地中のビタミンの含有割合は、培地全体に対して、例えば、0.01〜0.1質量%であってもよく、0.01〜0.05質量%であってもよいが、これらに限定されない。
また、ミネラルとしては、マグネシウム、カリウム、カルシウム、リン、亜鉛、鉄等を好ましく用いることが出来るが、これらに限定されない。培地中のミネラルの含有割合は、培地全体に対して、例えば、0.01〜0.1質量%であってもよく、0.01〜0.05質量%であってもよいが、これらに限定されない。
動植物タンパク質又はそのエキス並びにその分解物として、例えば、植物エキス、肉エキス、肝臓エキス又は酵母エキスを好ましく用いることが出来る。酵母エキスは、原料となる酵母体を自己消化や酵素添加等により分解してエキス化したものである。培地中のこのようなエキス又はその分解物の含有割合は、培地全体に対して、例えば、0.1〜1質量%であってもよく、0.1〜0.5質量%であってもよいが、これらに限定されない。
無機塩類は、例えば、リン酸塩や、硝酸ナトリウム、硝酸カリウム硫酸マンガン水和物、硫酸マグネシウム水和物等が挙げられるが、これらに限定されない。培地中の無機塩類の含有割合は、培地全体に対して、例えば、0.01〜0.1質量%であってもよく、0.01〜0.05質量%であってもよいが、これらに限定されない。
緩衝剤は、例えば、PBS、HBSS、HEPES、HANKS等が挙げられるが、これらに限定されない。界面活性剤は、例えば、ポリソルベート、マクロゴール、ラウリル硫酸ナトリウム等が挙げられるが、これらに限定されない。抗生物質としては、例えば、ペニシリン、ストレプトマイシン、カナマイシン等のマイシン系抗生物質等が挙げられるが、これらに限定されない。
その他の培地成分又は添加剤としては、炭酸塩、炭酸水素塩、アルブミン、インスリン、トランスフェリン、セレニウム、ホルモン、サイトカイン、L−システイン塩酸塩、チオグリコール酸ナトリウム、ヘミン、溶性デンプン、消化血清末等を含んでもよいが、これらに限定されない。
上記例示した各成分を混合して、高圧蒸気滅菌器を用いて加熱滅菌して、培地を調製することができる。
培地の液性は中性(例えば、pH6〜8、pH7〜8)であることが好ましく、中性にするために、公知のpH調整剤や上記した緩衝剤を使用してもよい。
本願発明の培地を用いることで、ビフィドバクテリウム属の菌及び菌体を含む培養液を効率よく得ることが出来る。また、得られた培養液における生菌率の割合も高い。
ビフィドバクテリウム属の菌を培地に接種する際の、培地に対するビフィドバクテリウム属の菌の割合は、例えば、10〜10cfu/mLであってもよく、10〜10cfu/mLであってもよいが、これらに限定されない。なお、接種用培地と増殖用培地は同じでもよく、異なっていてもよい。増殖用の培地において、培地に対するビフィドバクテリウム属の菌の割合は、例えば、10〜10cfu/mLであってもよく、10〜10cfu/mLであってもよいが、これらに限定されない。
上記培養の温度は、例えば、25〜45℃であることが好ましく、36〜38℃であることがより好ましい。また、上記培養の時間は、例えば、4〜72時間であることが好ましく、12〜24時間であることがより好ましい。これら培養の温度又は培養の時間の範囲内であれば、ビフィドバクテリウム属の菌が増殖しやすくなる。
なお、嫌気下でビフィドバクテリウム属の菌を培養するために、嫌気ボックス又は嫌気チャンバーを使用してもよい。嫌気ボックス又は嫌気チャンバーは、市販されているものを用いてよい。
本発明の方法で得られた乳酸菌は、生菌体のまま用いてもよく、菌の処理物を用いてもよい。菌の処理物とは、乳酸菌に何らかの処理を加えたものをいい、その処理は特に限定されない。該処理物として具体的には、該菌体の超音波などによる破砕液、該菌体の培養液又は培養上清、それらを濾過又は遠心分離など固液分離手段によって分離した固体残渣などが挙げられる。また、細胞壁を酵素又は機械的手段により除去した処理液、トリクロロ酢酸処理又は塩析処理などして得られるタンパク質複合体(タンパク質、リポタンパク質、糖タンパク質など)又はペプチド複合体(ペプチド、糖ペプチド等)なども該処理物として挙げられる。さらに、これらの濃縮物、これらの希釈物又はこれらの乾燥物なども該処理物に含まれる。培養液から菌体を摂取して、菌体からどのようにして非処理物を得るのかは、本技術分野において、従来充分に確立されているので、本発明において、それらに従ってよい。また、該菌体の超音波などによる破砕液、該細胞の培養液又は培養上清などに対し、例えば各種クロマトグラフィーによる分離などの処理をさらに加えたものも、本発明における処理物に含まれる。
乳酸菌の死菌体も本発明における菌の処理物に含まれる。死菌体は、例えば、酵素処理、加熱処理、抗生物質などの薬物による処理、ホルマリンなどの化学物質による処理、γ線などの放射線による処理などにより、得ることができる。これらの技術は従来充分に確立されていて、本発明において、そのような技術に従ってよい。
また、本発明において使用される乳酸菌は、菌体乾燥物であってもよく、菌体乾燥物としては、シングルミクロンの菌体乾燥物が好ましい。菌体乾燥物とは、通常は乾燥された個々の菌体又は乾燥された菌体の集合物をいう。また、シングルミクロンとは、小数第1位を四捨五入して1〜10μmをいう。本発明に使用される乳酸菌として、シングルミクロンの菌体乾燥物を使用すると、製剤中の生菌率が上がり、その結果、神経機能の亢進作用が高くなる。シングルミクロンの乳酸菌の製造方法も従来公知であり、本発明の実施においても、公知の方法に従ってよい。
菌体乾燥物の好ましい製造方法について説明する。上記菌体を溶媒に分散して菌体液とする。菌体は、上記本発明の培地を用いて培養することで得られた培養液を、遠心し、回収して得てもよい(遠心菌体)。遠心は、例えば、室温で3000〜20000×gで5〜20分間行うことが好ましく、10000〜20000×gで10〜20分間行うことがより好ましいが、これらに限定されない。
なお、菌体を分散して菌体液とする溶媒は、当分野で用いられる公知の溶媒を用いてよいが、水が好ましい。また、所望により、エタノールなどを加えてもよい。さらに、菌体液は、懸濁液であってもよく、溶媒は上記で示したものと同じでよい。また、懸濁させる際、懸濁剤、例えばアルギン酸ナトリウム等を使用してもよい。
また、上記菌体液には、公知技術に従ってさらに賦形剤、結合剤、崩壊剤、静電気防止剤など当業界で一般に用いられている添加剤を通常の配合割合で添加してもよい。
賦形剤としては、例えば、乳糖、白糖、D−マンニトール、トウモロコシデンプン、粉末セルロース、リン酸水素カルシウム、炭酸カルシウム等が挙げられる。結合剤としては、例えばヒドロキシプロピルセルロース、ポリビニルピロリドン、キサンタンガム等が挙げられる。崩壊剤としては、例えば、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース、カルメロースカルシウム、部分アルファー化デンプン、クロスカルメロースナトリウム、クロスポビドン、カルボキシメチルスターチ等が挙げられる。静電気防止剤としては、例えば微粉又は非微粉タルク、コロイド状シリカ、加工シリカ、沈降シリカ等が挙げられる。
さらに、滅菌は、例えば、フィルター濾過により行うことが好ましいが、その他の公知の滅菌方法、例えば、湿熱滅菌法、乾熱滅菌法、高周波滅菌法等の加熱法、酸化エチレンガス滅菌法、過酸化水素による滅菌法等のガス法、ガンマ線照射滅菌法、電子線照射滅菌法等の放射線法等により滅菌を行ってもよい。
上記菌体液又は遠心菌体を、菌体乾燥物を製造するために噴霧乾燥装置による乾燥操作に付する。噴霧乾燥装置は、微粒化装置を備えた噴霧乾燥装置が好ましい。例えば、噴霧乾燥装置としては、微粒化装置が、ロータリーアトマイザー、加圧ノズル、又は圧縮気体の力を利用した2流体ノズルや4流体ノズルである噴霧乾燥装置が挙げられるが、これらに限定されない。
噴霧乾燥装置は、シングルミクロンの噴霧液滴を形成できるものであれば、上記形式のいずれの噴霧乾燥装置であってもよいが、4流体ノズルを有する噴霧乾燥装置を使用するのが好ましい。4流体ノズルを有する噴霧乾燥装置では、例えば4流体ノズルの構造としては、好ましくは気体流路と液体流路とを1系統として、これを2系統ノズルエッジにおいて対称に設けたもので、ノズルエッジに流体流動面となる斜面を構成している。
また、ノズルエッジの先端の衝突焦点に向かって、両サイドから圧縮気体と液体を一点に集合させる外部混合方式の装置がよい。この方式であれば、ノズル詰まりがなく長時間噴霧することが可能となる。このような4流体ノズルを有する噴霧乾燥装置は、特開2016-108303号等に開示されているので、そちらを参照してよい。
圧縮気体としては、例えば、空気、炭酸ガス、窒素ガス又はアルゴンガス等の不活性ガス等を用いることができる。とくに、酸化されやすいもの等を噴霧乾燥させる場合は、炭酸ガス、窒素ガス又はアルゴンガス等の不活性ガスを用いるのが好ましい。
圧縮気体の圧力としては、通常約1〜15kg重/cm、好ましくは約3〜8kg重/cmである。
ノズルにおける気体量は、ノズルエッジ1mmあたり、通常約1〜100L/分、好ましくは約10〜20L/分である。
通常、その後、乾燥室において、その噴霧液滴に乾燥温風を接触させることで水分を蒸発させ菌体乾燥物を得る。
乾燥室の入り口温度は、通常約2〜400℃、好ましくは約5〜250℃、より好ましくは約5〜150℃である。入り口温度が約200〜400℃の高温であっても、水分の蒸発による気化熱により乾燥室内の温度はそれほど高くならず、また、乾燥室内の滞留時間を短くすることにより、生菌の死滅や損傷をある程度抑えることができる。
出口温度は、通常約0〜120℃、好ましくは約5〜90℃、より好ましくは約5〜70℃である。
上記のように菌体乾燥物の粒径を小さくすることにより、生菌率が上がり、生菌率の多い製剤を提供できるという利点がある。
すなわち、シングルミクロンの菌体乾燥物を得るためにはシングルミクロンの噴霧液滴を噴霧するのが好ましい。噴霧液滴の粒径を小さくすると、噴霧液滴の単位質量あたりの表面積が大きくなるので、乾燥温風との接触が効率よく行われ、乾燥温風の熱による菌体の死滅又は損傷を極力抑えることができる。その結果として、生菌率が上がり生菌数の多い菌体乾燥物が得られる。
さらに、本発明は、本発明の乳酸菌又はその処理物を含有する組成物を提供する。本発明の組成物には当分野で通常用いられる公知の添加剤を用いることができ、たとえば、水、溶剤、pH調整剤、保湿剤、着香剤、甘味剤、増粘剤、矯味剤、ゲル化剤、溶解剤、着色剤、防腐剤、界面活性剤、懸濁化剤、乳化剤及び安定化剤等が挙げられるが、これらに限定されない。
なお、組成物は、乳酸菌を単独で使用または他の成分を混合することにより、容易に製造され得る。他の成分は、本発明の効果を奏する限り特に限定されない。組成物は、医薬品、医薬部外品、飲食品、飼料等の形態として用いることができる。このような、本発明の組成物を含む医薬品も、本発明の好ましい実施態様の1つである。
なお、乳酸菌は、一般に嫌気性で乾燥状態では空気又は酸素に対して弱く、また、高温と湿気に弱いため、組成物の製剤化に際してはできるだけ、不活性ガスの存在下又は真空、低温下で、処理することが好ましい。
本発明の乳酸菌若しくはその処理物、又はこれを含む組成物は、ヒトを含む動物に投与されてもよい。本発明の投与形態は特に限定されないが、経口投与、非経口投与(静脈内投与、経皮投与、眼局所投与等)などが挙げられる。本発明の投与剤型としては、経口剤の場合、錠剤、カプセル剤、顆粒剤、散剤等が挙げられ、非経口剤としては、注射剤、軟膏、点眼剤、挿入剤等が挙げられる。投与量は、剤型、患者の症状、年齢、体重等に応じて適宜選択できる。例えば、経口投与の場合、体重1kg当たりかつ1日当たり0.05〜5000mg、好ましくは0.1〜2000mg、特に好ましくは1〜1000mgを1日1回〜数回に分けて投与することができるが、これらに限定されない。
〔ビフィドバクテリウム属の菌の生菌数の向上〕
本発明の乳酸菌用培地を用いることにより、例えば、培養液中のビフィドバクテリウム属の菌の生菌数の割合を向上し得る。すなわち、本発明のマルトース及びグルコースの両方を含有する乳酸菌用培地を用いれば、マルトース及びグルコースの両方又はこれらのいずれかを含有しない培地を使用する場合に比べ、得られる生菌数の割合が向上する。
具体的には、例えば、マルトース及びグルコースの両方を含有しない乳酸菌用培地を使用する場合に比べ、本発明のマルトース及びグルコースの両方を含有する乳酸菌用培地を用いた場合、培養液における生菌数が、1.1〜10倍であることが好ましく、1.3〜5倍であることがより好ましい。また、遠心菌体における生菌数が、1.1〜10倍であることが好ましく、1.5〜7倍であることがより好ましく、2〜5倍であることがさらに好ましい。
本発明は、本発明の効果を奏する限り、本発明の技術的範囲内において、上記の構成を種々組み合わせた態様を含む。
以下、実施例により本発明を詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されない。なお以下の実施例では特定の菌株について言及しているが、本発明の適用範囲をこれに限定する趣旨ではなく、これらの菌株が属する菌種を含め乳酸菌と称されるもの全般に広く適用可能である。
[実施例1]
〔試験方法〕
乳酸菌の培地成分について検討した。培地成分として、表1に記載の成分からなる培地を、高圧蒸気滅菌器を用いて121℃で20分間加熱滅菌した。得られた培地において、マルトースの濃度は、1.25質量%、グルコースの濃度は0.5質量%であった。
比較例として、表1に記載の成分からなる培地を、高圧蒸気滅菌器を用いて121℃で20分間加熱滅菌した。
各培地に、ビフィドバクテリウム ロンガム菌を無菌条件下にて接種し、37℃にて18時間嫌気培養を行い、培養液ならびに遠心菌体の生菌数を、以下の方法により測定し、比較した(表2)。
〔生菌数(生菌率)の測定方法〕
生菌数の測定は、日本薬局方外医薬品規格 ビフィズス菌の項に記載の方法に従って行った。なお、菌の生死は染色で確認し、菌数は試料採取量や平均集落数をもとに算出した。
〔結果〕
比較例1の生菌数を1.0とした場合、実施例1の培地、すなわち、グルコースとマルトースを特定の量含有する培地を用いた場合、培養液、遠心菌体ともに生菌数が各々1.9倍、2.4倍に増加した。また、培養液中の全体の菌数も大幅に増加していた。
本発明の方法は、効率よく、工業的有利に乳酸菌を得ることが出来るため、乳酸菌、特に、ビフィズス菌の培養に有用である。特に、医薬又は食品の分野で有用なビフィズス菌を、生菌率高く得ることが出来るので、有用である。

Claims (4)

  1. マルトースを、0を超え、1.5質量%以下、及びグルコースを0.5〜3質量%含む乳酸菌培養用培地。
  2. マルトースを、0を超え、1.5質量%以下、及びグルコースを0.5〜3質量%含む培地で乳酸菌を培養する方法。
  3. 請求項2に記載の方法で得られた乳酸菌又はその処理物。
  4. マルトースを、0を超え、1.5質量%以下、及びグルコースを0.5〜3質量%含む培地の、乳酸菌を増殖させるための使用。
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