JP3799510B2 - コネクタ - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、第1の接続端子群を収容した第1のハウジングと、第2の接続端子群を収容した第2のハウジングとを僅かな押圧力により結合し得るコネクタに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来から電気機器等の電線同士の接続をコネクタを用いて行う場合に、コネクタの接続端子の極数が多い場合がある。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、このように接続端子が多極化していると、コネクタのハウジング同士を結合するために多大の力が必要となるという問題点がある。
【0004】
本発明の目的は、上述した問題点を解決し、多数の接続端子を用いた場合でもハウジング同士を容易に結合し得るコネクタを提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するための本発明に係るコネクタは、第1の接続端子群を収容する第1のハウジングと、該第1のハウジングを保持する保持部と、前記第1の接続端子群と接続する第2の接続端子群を収容し前記第1のハウジングと嵌合する第2のハウジングとから成り、前記第1のハウジングの底部と前記保持部の間に反転可能な板ばねを介在し、前記第2のハウジングが前記第1のハウジングと嵌合するに際して前記第2のハウジングの押圧部が前記第1のハウジングを通過して前記板ばねを押圧すると、前記板ばねが反転して前記第1のハウジングを前記第2のハウジング側へ付勢することを特徴とする。
【0006】
【発明の実施の形態】
本発明を図示の実施例に基づいて詳細に説明する。
図1は例えば自動車のダッシュパネルPに受けハウジング1をブラケット2を介して取り付けた状態の斜視図、図2はダッシュパネルPに取り付けた状態の受けハウジング1とこの受けハウジング1に嵌合する挿込ハウジング3の斜視図、図3は受けハウジング1の分解斜視図、図4は両ハウジング1、3を嵌合した状態の断面図である。
【0007】
受けハウジング1はダッシュパネルPに固定されたブラケット2に、上下、左右及び前後方向に若干移動できるように保持されており、挿込ハウジング3は図示しないインストルメントパネルに固定されている。受けハウジング1には、少なくとも1つの折曲部4aを備えた積層フラットケーブル4の端末部5が、受けハウジング1の側方の例えば直交する4方向から受けハウジング1内に導入されている。積層フラットケーブル4の略扇状形をした各端末部5には凸型端子6が固着されており、挿込ハウジング3には電線7に接続され、凸型端子6と接続する凹型端子8が収容されている。
【0008】
図5は凹型端子8と凸型端子6の未だ電線に接続していない状態の部分断面図を示している。凹型端子8には、凸型端子6を受け入れる端子接続部10と、若干幅狭の中間部11と、電線7の芯線を圧着する芯線圧着部12とが設けられている。端子接続部10は筒状とされ、そこには複数の例えば3個の切欠き13が形成されることにより3個の可撓片14が設けられている。可撓片14の先端側は内方に折り返され、凸型端子6を受け入れて圧接し得る可撓接片15が形成されている。
【0009】
凸型端子6には凹型端子8の可撓接片15の間に圧入される接続部16と、積層フラットケーブル4の端末部5の後述するカバーの端子露出孔に嵌合される嵌合部17と、積層フラットケーブル4の後述する導体の露出部に固着される固着部18とが設けられている。接続部16の突端は、嵌合部17から突出する例えば3枚の突片をすぼめることにより形成できる。
【0010】
挿込ハウジング3の円柱状の本体20の上面には凹部21が形成され、本体20には凹型端子8を収容するための多数の端子収容孔22が複列に設けられており、これらの端子収容孔22に凹型端子8が抜け出すことがないように係止されている。図6の下面斜視図にも示すように、本体20の上部にはフランジ部23が設けられ、フランジ部23の下面にはテーパ部24が設けられている。本体20の下面の中心には軸部25が下向きに突設され、この軸部25の下端にはガイド部25aと環状溝25bが下端から順次に設けられている。軸部25の周囲の本体20の下面26は、段部26aを有して軸部25側が階段状に高くされている。下面26の周縁側には4個の係止突起27が下方に向かって突出されている。そして、軸部25と係止突起27の間には、受けハウジング1の後述する隔壁が嵌合する嵌合溝28が形成されている。なお、凹部21とフランジ部23は必要に応じて設ければよい。
【0011】
一方、図7の断面斜視図に示すように受けハウジング1の筒状の本体30の下部には底壁31が設けられ、この底壁31の外周面は本体30の外周面の外側にフランジ状に突出されている。本体30の内部には、挿込ハウジング3の本体20を嵌合する嵌合孔32と、挿込ハウジング3のテーパ部24を嵌合するテーパ孔33とが設けられている。底壁31の上面の中心には、挿込ハウジング3の軸部25が挿通する挿通孔34aを有する筒部34が上向きに設けられ、挿通孔34aの上部はテーパ部を有するガイド孔34bとされている。この際に、底壁331の外周面は本体30の外周面と一致させてもよい。
【0012】
また、本体30の下部には積層フラットケーブル4の端末部5を嵌合孔32内に導入するケーブル導入窓35が、例えば直交する4方向に形成されている。ケーブル導入窓35の例えば両側壁には、積層フラットケーブル4の端末部5をロックするための図示しないロック用溝が形成されている。隣接するケーブル導入窓35同士の間の本体30には、底壁31に形成された収容孔31aに通ずるスリット36が形成され、スリット36と筒部34の間には挿込ハウジング3の嵌合溝28に嵌合する隔壁37が設けられ、積層フラットケーブル4の各端末部5は隔壁37により仕切られた個所にそれぞれ収容されるようになっている。本体30の上部外周にはブラケット2に係合する例えば4個の係合片38が外向きに突設されている。そして、底壁31の下面に形成された円形の収容溝31aには、中央部を上方に膨出しその膨出を反転可能にした金属板から成る板ばね39が収容されている。
【0013】
図8の平面図、図9の断面図に示すように、板ばね39は中央部の平坦な頂部39aと、この頂部39aから緩やかに下降する傾斜部39bと、頂部39aよりも低く位置する裾部39cとを有している。板ばね39の頂部39aには、挿込ハウジング3の軸部25が圧入される挿通孔39dが形成され、傾斜部39bには複数の孔39eが形成され、裾部39cには4個の係合片39fが上向きに突設されている。そして、板ばね39の裾部39cは受けハウジング1の収容溝31aに収容され、保持部31bにより保持されている。なお、板ばね39の頂部39aは傾斜部39bに連続する弯曲面とすることができる。また、孔39eは必ずしも設ける必要はないが、孔39eを設けた方が板ばね39を円滑に反転させることが可能となる。
【0014】
図10の断面図に示すように、ブラケット2の筒状の本体40の下部は肉厚部40aとされ、本体40の下部には外周面が本体40の外周面とほぼ一致する底壁41が設けられている。本体40の内部は受けハウジング1の本体30を水平方向に若干移動自在に収容するコネクタ収容孔42とされ、コネクタ収容孔42の入口には内向きの係合部43が設けられている。この係合部43には、受けハウジング1の係合片38を全方向へ若干移動自在に収容する係合孔43aが形成されている。
【0015】
また、本体40の下部には積層フラットケーブル4の端末部5を導入するケーブル導入窓44が設けられている。底壁41の上面にはハウジング1の収容溝31aの内径よりも十分に小さい外径を有する台部45が設けられており、この台部45には挿込ハウジング3の軸部25を、受けハウジング1の筒部34を通して嵌合する嵌合孔46が形成されている。なお、本体40の下部を肉厚部40aとしたが、底壁41と台部45の強度を損なわなければ設ける必要はない。
【0016】
図11は積層フラットケーブル4の端末部5の斜視図、図12は分解斜視図であり、積層フラットケーブル4は積層された例えば4枚のフラットケーブル50〜53から構成され、フラットケーブル50〜53は箔状導体50a〜53aが両面から絶縁シート50b〜53bにより保護され、可撓性が与えられている。フラットケーブル50〜53の幅は上位に従って広くされ、導体50a〜53aにはそれぞれ凸型端子6が上向きに溶着されている。この際に、2個の積層フラットケーブル4を使用する場合は、積層フラットケーブル50〜53の幅は上位が狭くなる。
【0017】
積層フラットケーブル4の端末部5では、4枚の縁縁プレート54〜57が後方に退くように積み重ねられ、これらの縁縁プレート54〜57の先端は、受けハウジング1の隔壁37同士の間に導入される形状とされている。縁縁プレート54〜57にはフラットケーブル50〜53の導体50a〜53aの露出部と、絶縁シート50b〜53bの一部とを収容するケーブル収容溝54a〜57aがそれぞれ形成されている。最下位の縁縁プレート54の上面には例えば2本のピン部54bが形成され、上位の縁縁プレート55〜57にはピン部54bを挿通するピン挿通孔55b〜57bが形成されている。
【0018】
最上位の縁縁プレート57の上面には絶縁性のカバー58が被せられている。カバー58はフラットケーブル50〜53の導体50a〜53aの上面にそれぞれ当接する導体当接面58a〜58dを有する階段状とされ、これらの導体当接面58a〜58dには凸型端子6を露出させる多数の端子露出孔58eと、最下位の絶縁プレート54のピン部54bを嵌合保持する図示しないピン孔が形成されている。そして、絶縁プレート54〜57とカバー58の後部は、受けハウジング1のケーブル導入窓35に密に嵌合する形状とされると共に、例えば中間の絶縁プレート56の両側面には、受けハウジング1のケーブル導入窓35の両側壁のロック用溝に錠止されるロック用突起56cが形成されている。
【0019】
このような構成による受けハウジング1とブラケット2を組み付ける際には、先ず受ハウジング1の収容溝31aに板ばね39を取り付けてから、図13に示すようにブラケット2のコネクタ係合部43を外方へ撓ませて、受けハウジング1の底壁31をブラケット2のコネクタ収容孔42に嵌め込み、受けハウジング1の係合片38をブラケット2の係合孔43aに嵌入する。これにより、受けハウジング1の底壁31がブラケット2の底壁41に当接し、ブラケット2の台部45が受けハウジング1の収容溝31aに嵌入する。このとき、受けハウジング1はブラケット2に対して隙間Aを有して水平方向に移動自在となっており、隙間Bを有して上下方向へ移動自在となっている。そして、受けハウジング1を保持したブラケット2をダッシュパネルPの近傍に持ってゆき固定する。
【0020】
次に、図1に示したようにブラケット2と積層フラットケーブル4をダッシュパネルPの所定位置に固定する。この際に、ブラケット2はインストルメントパネルに固定した挿込ハウジング3に対応する位置に固定し、積層フラットケーブル4は折曲部4aと端末部5を除く部分をダッシュパネルPに貼付する。そして、積層フラットケーブル4の端末部5をブラケット2のケーブル導入窓44と受けハウジング1のケーブル導入窓35を通して受けハウジング1の嵌合孔32内に押し込む。この際に、積層フラットケーブル4に折曲部4aが形成されているので、端末部5を全方向に容易に移動させながら押し込むことができる。これにより、図14の平面図に示すように積層フラットケーブル4の端末部5の側部が隔壁37に当接し、凸型端子6が受けハウジング1の嵌合孔32内に整列する。このとき、積層フラットケーブル4の端末部5のロック用突起56cがケーブル導入窓35の側壁のロック用溝に嵌合し、積層フラットケーブル4は折曲部4aと端末部5の間で受けハウジング1に従動するようになる。
【0021】
ダッシュパネルPにインストルメントパネルを組み付ける際には、図15に示すように挿込ハウジング3の軸部25が受けハウジング1の筒部34のガイド孔34bの入口に位置する。このとき、受けハウジング1と挿込ハウジング3の位置がずれていると、受けハウジング1が挿込ハウジング3に倣って傾斜し、一方の係合片38が係合孔43aの下壁に当接し、反対側の係合片38が係合孔43aの上壁に当接する。また、積層フラットケーブル4の端末部5は折曲部4aによって全方向へ移動自在になっているので、積層フラットケーブル4はケーブル導入窓35、44で浮き上がる。
【0022】
このような状態でインストルメントパネルを押し込むと、図16に示すように挿込ハウジング3の軸部25が受けハウジング1の筒部34の挿通孔34aに嵌合し、受けハウジング1が水平方向に変化しながらその隔壁37が挿込ハウジング3の嵌合溝28に嵌合し、挿込ハウジング3の本体20が受けハウジング1の嵌合孔32に嵌合する。そして、挿込ハウジング3の軸部25が板ばね39の挿通孔39dに圧入する。更に、インストルメントパネルを押し込むと、図17に示すように軸部25が台部45の嵌合孔46に嵌合すると共に、板ばね39の挿通孔39dの周壁が軸部25の環状溝25bに圧入し、軸部25が板ばね39の頂部39aを押圧し、板ばね39が反転を始め水平状態に変形する。
【0023】
このとき、図18に示すように凸型端子6の接続部16は凹型端子8の可撓接片15に接触する。そして、インストルメントパネルを最終的に押し込むと、板ばね39の頂部39aが軸部25により押圧され、図4に示したようにそれまで頂部39aが上方に膨出していた板ばね39は反転して、頂部39aが下方に膨出することになり、板ばね39の頂部39aはブラケット2の底壁41に当接し、板ばね39の裾部39cが受けハウジング1を挿込ハウジング3側に付勢する。同時に、図19の部分断面図に示すように係合片39fが内方にすぼまり、受けハウジング1のスリット36を通って挿込ハウジング3の係止突起27に係合する。このとき、図20に示すように凸型端子6の接続部15は、凹型端子8の可撓接片15を撓ませながらそれらの間に若干進入し、両端子6、8の間に十分な接触圧が得られ、電気的接続が可能となる。
【0024】
一方、インストルメントパネルをダッシュパネルPから取り外す際には、挿込ハウジング3を引き抜くと、挿込ハウジング3の軸部25が板ばね39の挿通孔39dに圧入されているので、板ばね39の頂部39aが軸部25の動きに従動し、板ばね39は反転して図16に示した形状に復元する。これにより、受けハウジング1と挿込ハウジング3は容易に解離することができる。
【0025】
なお、板ばね39の形状は実施例に限定されることなく、例えば受けハウジング1の形状に合わせて各種の形状を採用できることは勿論である。また、板ばね39の強さは材質、厚み、形状等を適宜に選択することにより、調整することができる。
【0026】
【発明の効果】
以上説明したように本発明に係るコネクタでは、第1のハウジングと第2のハウジングを結合した際に、板ばねが反転して第1のハウジングを第2のハウジングに付勢するので、接続端子を多極化した場合でも両ハウジングを容易に結合することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】受けハウジングをブラケットを介してダッシュパネルに取り付けた状態の実施例の斜視図である。
【図2】ダッシュパネルに取り付けた状態の受けハウジングと挿込ハウジングの分解斜視図である。
【図3】両ハウジングの分解斜視図である。
【図4】両ハウジングを嵌合した状態の断面図である。
【図5】凸型端子と凹型端子の部分断面図である。
【図6】挿込ハウジングの下面斜視図である。
【図7】受けハウジングの断面斜視図である。
【図8】板ばねの平面図である。
【図9】板ばねの断面図である。
【図10】ブラケットの断面斜視図である。
【図11】積層フラットケーブルの端末部の斜視図である。
【図12】端末部の分解斜視図である。
【図13】受けハウジングとブラケットの組立断面斜視図である。
【図14】積層フラットケーブルの端末部を受けハウジング内に導入した状態の平面図である。
【図15】両ハウジングの嵌合時の作用説明図である。
【図16】両ハウジングの嵌合時の作用説明図である。
【図17】両ハウジングの嵌合時の作用説明図である。
【図18】凸型端子と凹型端子の作用説明図である。
【図19】部分断面図である。
【図20】凸型端子と凹型端子の作用説明図である。
【符号の説明】
1 受けハウジング
2 ブラケット
3 挿込ハウジング
6 凸型端子
8 凹型端子
25 軸部
31、41 底壁
39 板ばね
39a 頂部
39c 裾部
39d 挿通孔
39f 係合片
Claims (5)
- 第1の接続端子群を収容する第1のハウジングと、該第1のハウジングを保持する保持部と、前記第1の接続端子群と接続する第2の接続端子群を収容し前記第1のハウジングと嵌合する第2のハウジングとから成り、前記第1のハウジングの底部と前記保持部の間に反転可能な板ばねを介在し、前記第2のハウジングが前記第1のハウジングと嵌合するに際して前記第2のハウジングの押圧部が前記第1のハウジングを通過して前記板ばねを押圧すると、前記板ばねが反転して前記第1のハウジングを前記第2のハウジング側へ付勢することを特徴とするコネクタ。
- 前記押圧部は軸部とした請求項1に記載のコネクタ。
- 前記板ばねの中央に小径孔を設け前記第2のハウジングの軸部が係合するようにした請求項2に記載のコネクタ。
- 前記板ばねに複数個の立上部を付設し、前記板ばねは反転前にその中央部が前記立上部側に膨出しており、反転時にその中央部が前記立上部と反対側に膨出し、前記立上部を内側にすぼめるようにした請求項1に記載のコネクタ。
- 前記立上部には係止部を設け前記板ばねの反転時に前記係止部は前記第2のハウジングの一部に結合するようにした請求項4に記載のコネクタ。
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