JP3797902B2 - トラクタの耕深制御装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、機体後部に連結したロータリ耕耘装置を自動昇降制御して耕深を安定させるよう構成したトラクタの耕深制御装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、トラクタの耕深制御装置では、ロータリ耕耘装置に備えた後カバーの角度変化をポテンショメータなどからなるカバーセンサで検出し、このカバーセンサからの検出情報を耕深設定器によってからの設定信号に対比させてロータリ耕耘装置を昇降させるフィードバック制御を行っている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
上記耕深制御装置は、後カバーの角度を設定値に維持することで耕深を設定深さに安定維持しようとしたものであるが、トラクタ本機のピッチング姿勢によって耕深と後カバーの角度との関係が変化して、表面に凹凸が多い圃場や局部的に土質が異なるような圃場においては全域において耕深を安定させることが難しいものとなっている。
【0004】
また、後カバーは耕起による盛り上がりを含んだ高さを検出しているのであるが、この盛り上がり量は耕深や土質によって変化するとともに、盛り上がり箇所はロータ作用部位の後方において時間遅れをもって変動するので、制御の時間遅れやフィードバックによるハンチングが生じることもある。
【0005】
本発明は、このような点に着目してなされたものであって、圃場の条件にかかわらず応答性に優れた耕深制御を高精度で行えるようにすることを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
〔請求項1に係る発明の構成、作用、および効果〕
【0007】
請求項1に係る発明は、トラクタ本機の後部にロータリ耕耘装置を駆動昇降自在に連結し、耕深を設定する耕深設定器と前記ロータリ耕耘装置に備えた後カバーの上下変位を検出するカバーセンサからの情報に基づいてロータリ耕耘装置を昇降させるよう構成したトラクタの耕深制御装置であって、前記トラクタ本機のピッチング方向の傾斜角度を検知する傾斜センサと、ピッチング方向への角速度を検知する角速度センサと、トラクタ本機の前車軸あるいは後車軸のいずれか一方の上下方向変位を検出する加速度センサとを備え、前記傾斜センサおよび角速度センサからの情報に基づいてトラクタ本機のピッチング方向での傾斜角度を演算するとともに前記加速度センサからの情報に基づいて前記車軸の高さ位置を演算し、得られたトラクタ本機のピッチング方向での傾斜角度と前記車軸の高さ位置からロータリ耕耘装置の上下移動量を算出し、算出されたロータリ耕耘装置の上下移動量が大きいほど、前記耕深設定器からの設定信号と前記カバーセンサの出力信号との偏差に乗じるゲインを大きくして、設定耕深と実耕深との見かけ上の偏差を大きくして速度の速い上昇制御が実行されるように前記耕深設定器と前記カバーセンサからの情報に基づく耕深制御を補正するよう構成してあることを特徴とする。
【0008】
上記構成によると、前車輪が隆起部に乗り上がったり、後車輪が凹部に落ち込んだりしてトラクタ本機が前上がり傾斜すると、このトラクタ本機の傾斜に伴って後車輪より後方に位置するロータリ耕耘装置は相対的に沈下する方向に変位することになり、また、前車輪が凹部に落ち込んだり、後車輪が隆起部に乗り上がったりしてトラクタ本機が前下がり傾斜すると、このトラクタ本機の傾斜に伴って後車輪より後方に位置するロータリ耕耘装置は相対的に浮上する方向に変位することになるので、後カバーは耕深設定器で設定された基準角よりも上方あるいは下方に揺動変位し、これに基づいて昇降制御が行われることになる。
ここで、例えばトラクタ本機のピッチング方向での傾斜角度と前車軸の高さ位置が判ると、トラクタ本機の姿勢変化に起因するロータリ耕耘装置の上下移動量を算出することができ、算出されたロータリ耕耘装置の上下移動量だけ、優先的にその移動を打ち消す方向への上昇制御あるいは下降制御を行うことで目標とする耕深への収束を速やかに行うことができる。
更に、機体の傾斜角度あるいは算出されたロータリ耕耘装置の上下移動量が大きいほど、耕深設定器からの設定信号とカバーセンサの出力信号との偏差に乗じるゲインを大きくすることで、設定耕深と実耕深との見かけ上の偏差を大きくして速度の速い昇降制御が実行され、速やかに目標とする耕深に収束する。
【0009】
従って、請求項1の発明によると、カバーセンサからの情報のみで昇降制御を行う場合
に比べて目標とする耕深への収束が早くなり、全体として耕深の安定した耕耘制御を行うことができる。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。図1に、トラクタの全体側面が示されている。トラクタ本機Aは前車輪1および後車輪2を駆動輪とした4輪駆動型に構成されており、後車輪2を軸支したミッションケース3の後部に3点リンク機構4を介してロータリ耕耘装置5が連結されている。ミッションケース3の上部には、リフトシリンダ6により上下に揺動駆動される一対のリフトアーム7が備えられ、このリフトアーム7によって3点リンク機構4が駆動昇降可能に連結されている。
【0011】
図2に示すように、リフトシリンダ6に接続された電磁制御弁11が制御装置10により操作されて、リフトシリンダ6及びリフトアーム7によりロータリ耕耘装置5が昇降駆動される。
【0012】
このトラクタでは、ロータリ耕耘装置5の耕深を設定値に維持する自動耕深制御、トラクタ本機1に対するロータリ耕耘装置5の高さを任意に調節するポジション制御が可能となっている。
【0013】
ロータリ耕耘装置5の後部には、耕耘跡を鎮圧整地する後カバー12が上下揺動自在かつ下方付勢状態に備えられ、この後カバー12の上下揺動角度を検出するカバーセンサ13が備えられて、その検出信号が制御装置10に入力されている。また、制御装置10には、ダイヤル操作式のポテンショメータからなる耕深設定器14と自動耕深制御を入り切りするオンオフスイッチ15が接続されており、このオンオフスイッチ15を「入り」にしておくと、カバーセンサ13の検出値が耕深設定器14の設定値とバランスするように電磁制御弁11がフィードバック制御されて、リフトシリンダ6によりロータリ耕耘装置5が自動的に昇降駆動され、実耕深が耕深設定器14で設定された耕深に安定維持されるのである。この場合、設定耕深と実耕深との偏差に対してPI制御、あるいは、PID制御が実行され、設定耕深への収束が速やか、かつ、精度よく行われる。
【0014】
また、制御装置10には、リフトアーム7の上下角度を検出する角度センサ16と、ポジションレバー17によって操作されるポジション設定器18が接続されており、前記オンオフスイッチ15を「切り」にして自動耕深制御を停止した状態では、ポジション制御のみが実行され、角度センサ16の検出値がポジション設定器18の設定値とバランスするまで電磁制御弁11が操作されて、リフトシリンダ6がその位置に保持される。
【0015】
また、オンオフスイッチ15を「入り」にしての自動耕深制御中にポジションレバー17を大きく上昇方向に操作すると、耕深設定器14の設定耕深に対応する角度センサ16の検出値と、ポジション設定器18の目標値とが比較されて、ポジション設定器18の目標値の方が高い場合、ポジション制御が優先作動するようになっている。従って、自動耕深制御による耕耘作業において、畦際における機体方向転換時には、ポジションレバー17を上限まで操作することにより、ロータリ耕耘装置5を地上に大きく持上げることができ、また、機体方向転換後にポジションレバー17を、耕深設定器14の設定耕深に対応する位置よりも深い側まで操作することで、耕深設定器14による設定耕深での自動耕深制御を再開することができる。
【0016】
以上の構成は、従来と特に変わるところはないが、本発明では、カバーセンサ13を利用した自動耕深制御の精度および応答性を高めるための補正手段が備えられており、その例を以下に示す。
【0017】
図1および図2に示すように、トラクタ本機Aの適所に機体のピッチング方向の傾斜角度を検知する傾斜センサ21と、ピッチング方向への角速度を検知する角速度センサ22を配備するとともに、前車軸1aの近傍に上下方向変位を検出する加速度センサ23を備えて前記制御装置10に接続し、これらセンサ21,22,23からの情報でトラクタ本機Aの姿勢変化を検知して、前記カバーセンサ13からの情報に基づく耕深制御を補正するよう構成してある。
【0018】
図3に、傾斜センサ21と角速度センサ22からの情報に基づいてトラクタ本機1のピッチング方向での傾斜角度θを演算処理するブロック図が示されている。この図から判るように、角速度センサ22からの信号変化を積分することで傾斜角度θを演算するとともに、その誤差を傾斜センサ21からの信号で補正する形態が採用されている。
【0019】
詳述すると、温度等の諸条件によってドリフトする角速度センサ22の零点を時間経過に伴って更新して補正するセンサ零点補正処理がなされる。つまり、角速度センサ22によって検出されるサンプリング出力値の複数が記憶され、記憶された所定複数のサンプリングデータが平均処理されるとともに、ローパスフィルタ(LPF)を用いて平滑化処理されて零点が割り出され、この零点と実検出値との差をゲインK1 で積分処理することで傾斜角度θが演算されるのである。また、このようにして算出された演算傾斜角度θと傾斜センサ21から得られる検出傾斜角度θpとの偏差にゲインK2 を乗じた値をフィードバックすることで、積分処理による誤差の集積を消去している。
【0020】
以上のようにしてトラクタ本機Aのピッチング方向での傾斜角度θが精度よく検出演算される。
【0021】
トラクタ本機Aの前後車軸間距離(ホイールベース)と後車軸2aからロー
タリ耕耘装置5までの距離は予め判っているので、トラクタ本機Aのピッチング方向での傾斜角度θと前車軸1aの高さ位置が判ると、トラクタ本機Aの姿勢変化に起因するロータリ耕耘装置5の上下移動量を算出することができ、算出されたロータリ耕耘装置5の上下移動量だけ、優先的にその移動を打ち消す方向への上昇制御あるいは下降制御を行うことで目標とする耕深への収束を速やかに行うことができる。
【0022】
この場合、算出されたロータリ耕耘装置5の上下移動量に応じて昇降速度を速くすることで、目標とする耕深への収束を速やかに行うことができる。また、算出された上下移動量の大きさのみならず、その移動の加速度に応じた速度で昇降制御を行うことで、目標とする耕深への収束が一層速やかに行われる。
【0023】
なお、この例においては、ピッチング方向での傾斜センサ21と角速度センサ22を配備するとともに、後車軸2aの近傍に上下方向変位を検出する加速度センサ24を備えて同様に実施することもできる。
【0024】
上記において、機体姿勢変化の検知によって耕深変化を是正する方向への昇降制御を優先的に実行することで目標とする耕深への収束を速やかに行うことができるので、カバーセンサ13の情報に基づく昇降制御のゲインを従来より小さくすることで、カバーセンサ13の細かい変動に対して鈍感にし、機体姿勢変化が小さい時の昇降制御を安定化させることができる。
【0025】
算出されたロータリ耕耘装置5の上下移動量が大きいほど、耕深設定器14からの設定信号とカバーセンサ13の出力信号との偏差に乗じるゲインを大きくすることで、設定耕深と実耕深との見かけ上の偏差を大きくして速度の速い昇降制御を実行させることによっても目標とする耕深への収束を速やかに行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 補正手段を備えたトラクタの全体側面図
【図2】 制御ブロック図
【図3】 機体傾斜角演算用のブロック図
【符号の説明】
1a 前車軸
2a 後車軸
5 ロータリ耕耘装置
21 傾斜センサ
22 角速度センサ
23 加速度センサ
24 加速度センサ
A トラクタ本機
Claims (1)
- トラクタ本機の後部にロータリ耕耘装置を駆動昇降自在に連結し、耕深を設定する耕深設定器と前記ロータリ耕耘装置に備えた後カバーの上下変位を検出するカバーセンサからの情報に基づいてロータリ耕耘装置を昇降させるよう構成したトラクタの耕深制御装置であって、
前記トラクタ本機のピッチング方向の傾斜角度を検知する傾斜センサと、ピッチング方向への角速度を検知する角速度センサと、トラクタ本機の前車軸あるいは後車軸のいずれか一方の上下方向変位を検出する加速度センサとを備え、前記傾斜センサおよび角速度センサからの情報に基づいてトラクタ本機のピッチング方向での傾斜角度を演算するとともに前記加速度センサからの情報に基づいて前記車軸の高さ位置を演算し、得られたトラクタ本機のピッチング方向での傾斜角度と前記車軸の高さ位置からロータリ耕耘装置の上下移動量を算出し、算出されたロータリ耕耘装置の上下移動量が大きいほど、前記耕深設定器からの設定信号と前記カバーセンサの出力信号との偏差に乗じるゲインを大きくして、設定耕深と実耕深との見かけ上の偏差を大きくして速度の速い上昇制御が実行されるように前記耕深設定器と前記カバーセンサからの情報に基づく耕深制御を補正するよう構成してあることを特徴とするトラクタの耕深制御装置。
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