JP3669947B2 - 作業機のローリング制御装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、走行機体の後部に連結したロータリ耕耘装置などの対地作業装置を所定の左右傾斜姿勢に維持するトラクタのローリング制御や、走行機体の後部に連結した苗植付け装置を左右水平姿勢に維持する田植機のローリング制御などを行う際に利用できるローリング制御装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
農作業機のローリング制御装置としては、走行機体あるいは対地作業装置に、左右方向の傾斜角を検出する重錘式の傾斜センサと左右方向の角速度を検出する角速度センサとを備え、両センサからの検出情報に基づいて走行機体あるいは対地作業装置の傾斜角を演算することが研究あるいは実施されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
重錘式の傾斜センサと角速度センサを併用することで、傾斜センサのみを用いる旧来のローリング制御に比較して応答性および精度の高い制御を行うことができる利点を有しているのであるが、畦際において機体をUターン旋回する際や、変形圃場での操向時に、遠心力や慣性力によって重錘式の傾斜センサが検出作動してしまい、制御精度が著しく低下してしまうことがある。
【0004】
本発明は、このような点に着目してなされたものであって、機体を旋回あるいは急操向する場合でも制御精度が低下することがないローリング制御装置を提供することを目的としている。
【0005】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために本発明は以下のような構成を採用した。
【0006】
すなわち、請求項1に係る発明は、走行機体に対地作業装置をローリング自在に連結し、前記走行機体あるいは前記対地作業装置に、左右方向の傾斜角を検出する重錘式の傾斜センサと左右方向の角速度を検出する角速度センサとを備え、前記角速度センサからの信号に基づいて走行機体の左右傾斜角度を演算するとともに、その誤差を傾斜センサからの信号で補正することにより前記走行機体あるいは前記対地作業装置の左右傾斜角を演算し、この演算結果に基づいて対地作業装置を傾斜検出方向と逆方向に駆動ローリングさせて、対地作業装置を設定傾斜角に維持するよう構成する作業機のローリング制御装置であって、走行機体の旋回作動を検知するセンサと、走行速度を検知するセンサと、これらセンサの出力値に基づいて機体旋回時の遠心力を演算する遠心力演算手段と、演算された遠心力が大きくなるほど前記傾斜センサからの出力に関わる前記誤差を補正するためのゲインを低減するとともに前記遠心力が予め設定された閾値を超えると前記ゲインを零にする手段を備え、得られたゲインを補正係数として前記角速度センサからの信号に基づいて演算された走行機体の左右傾斜角度を補正することを特徴とする。
【0007】
上記構成によると、直進走行の多い通常の作業走行時には、傾斜センサに遠心力や慣性力が大きく働くことがほとんどなく、傾斜センサと角速度センサからの出力はそれぞれ所定の比率でローリング制御に寄与しているが、走行機体が畦際や変形圃場の湾曲部位などで大きく旋回されて遠心力が働く状態になると、これが検知されて、遠心力が大きくなるほど傾斜センサからの出力値が関係している演算誤差を補正するためのゲインを小さくするとともに遠心力が予め設定された閾値を超えると前記ゲインを零にすることで、傾斜センサからの出力に遠心力に起因する外乱が含まれていても、実際の制御への外乱の影響は少ないもの、あるいは、影響がないものとなる。
【0008】
従って、請求項1に係る発明によると、遠心力や慣性力の影響を抑制した精度の高い、かつ、応答性に優れたローリング制御を行うことができるようになった。
【0009】
また、請求項2に係る発明は、走行機体に対地作業装置をローリング自在に連結し、前記走行機体あるいは前記対地作業装置に、左右方向の傾斜角を検出する重錘式の傾斜センサと左右方向の角速度を検出する角速度センサとを備え、前記角速度センサからの信号に基づいて走行機体の左右傾斜角度を演算するとともに、その誤差を傾斜センサからの信号で補正することにより前記走行機体あるいは前記対地作業装置の左右傾斜角を演算し、この演算結果に基づいて対地作業装置を傾斜検出方向と逆方向に駆動ローリングさせて、対地作業装置を設定傾斜角に維持するよう構成する作業機のローリング制御装置であって、走行機体の旋回作動を検知するセンサと、走行速度を検知するセンサと、これらセンサの出力値に基づいて機体旋回時の遠心力を演算する遠心力演算手段と、遠心力が前記傾斜センサの出力に及ぼす外乱値を演算する手段と、演算した外乱値を傾斜センサの出力値から減ずる外乱除去手段とを備え、この外乱除去手段で傾斜センサの出力値から前記外乱値を除去した値を基に前記角速度センサからの信号に基づいて演算された走行機体の左右傾斜 角度を補正することを特徴とする。
【0010】
上記構成によると、直進走行の多い通常の作業走行時には、傾斜センサに遠心力や慣性力が大きく働くことがなく、傾斜センサからの出力に外乱が含まれることはほとんどないが、走行機体が畦際や変形圃場の湾曲部位などで大きく旋回されて遠心力が働く状態になると、これが検知されて、この遠心力に基づく傾斜センサの出力に及ぼす外乱値が演算され、演算された外乱値を傾斜センサの出力から減ずる処理を行うことで、処理後のセンサ出力は外乱が除去されたものとなり、この補正より角速度センサからの信号に基づいて行われる走行機体の左右傾斜角度を設定傾斜角に維持するローリング制御も精度の高いものとなる。
【0011】
従って、請求項2に係る発明によると、遠心力や慣性力の影響を抑制した精度の高い、かつ、応答性に優れたローリング制御を行うことができるようになった。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
図1に、作業機の一例である農用トラクタの全体側面が、また、図2にその後部が示されている。走行機体であるトラクタ本機Aは前車輪1および後車輪2を駆動輪とした4輪駆動型に構成されており、後車輪2軸支したミッションケース3に、トップリンク4aと左右一対のロアーリンク4bからなる3点リンク機構4を介して、ロータリ耕耘装置(対地作業装置の一例)5が連結されている。ミッションケース3の上部には、リフトシリンダ6により上下に揺動駆動される一対のリフトアーム7が備えられ、これらリフトアーム7とロアーリンク4bとがリフトロッド8、及び複動型の油圧シリンダからなるローリングシリンダ9を介して連結されている。
【0013】
図2に示すように、リフトシリンダ6に接続された電磁制御弁11が制御装置10により操作されて、リフトシリンダ6及びリフトアーム7によりロータリ耕耘装置5が昇降駆動される。また、ローリングシリンダ9に接続された電磁制御弁12が制御装置10により操作されて、ローリングシリンダ9の伸縮作動によりロータリ耕耘装置5が、ローリングシリンダ9とは反対側のロアーリンク4bとの連結点周りにローリング駆動される。
【0014】
この農用トラクタは、ロータリ耕耘装置5の耕深を設定値に維持する昇降制御、トラクタ本機1に対するロータリ耕耘装置5の高さを任意に調節するポジション制御、および、水平面に対するロータリ耕耘装置5の左右方向の傾斜角度を設定角度に維持するローリング制御が可能となっている。
【0015】
ロータリ耕耘装置5の後部には、耕耘跡を鎮圧整地する後カバー15が上下揺動自在かつ下方付勢状態に備えられ、この後カバー15の上下揺動角度を検出する耕深センサ16が備えられて、その検出信号が制御装置10に入力されている。他方、制御装置10には、ダイヤル操作式のポテンショメータからなる耕深設定器17と自動耕深制御を入り切りするオンオフスイッチ18が接続されており、このオンオフスイッチ18を「入り」にしておくと、耕深センサ16の検出値が耕深設定器17の設定値とバランスするように電磁制御弁11が操作されて、リフトシリンダ6によりロータリ耕耘装置5が自動的に昇降駆動されることで、実耕深が耕深設定器17の設定値に対応した深さに安定維持されるようになっている。
【0016】
また、制御装置10には、リフトアーム7の上下角度を検出する角度センサ19と、ポジションレバー20によって操作されるポジション設定器21が接続されており、前記オンオフスイッチ18を「切り」にして自動耕深制御を停止した状態では、ポジション制御のみが実行され、角度センサ19の検出値がポジション設定器21の設定値とバランスするまで電磁制御弁11が操作されて、リフトシリンダ6がその位置に保持される。
【0017】
また、オンオフスイッチ18を「入り」にしての自動耕深制御中にポジションレバー20を大きく上昇方向に操作すると、耕深設定器17の設定耕深に対応する角度センサ19の検出値と、ポジション設定器21の目標値とが比較されて、ポジション設定器21の目標値の方が高い場合、ポジション制御が優先作動するようになっている。従って、自動耕深制御による耕耘作業において、畦際における機体方向転換時には、ポジションレバー20を上限にまで操作することにより、ロータリ耕耘装置4を地上に持上げることができ、また、機体方向転換後にポジションレバー20を下限まで操作することで、耕深設定器17で設定されている耕深での自動耕深制御を再開することができる。
【0018】
この農用トラクタでは、ロータリ耕耘装置5の水平面に対する左右方向の傾斜角度を設定角度に維持するようにローリング駆動するローリング制御手段が備えられており、制御装置10に接続したダイヤル操作式のポテンショメータからなる傾斜設定器25を調節操作することで、ロータリ耕耘装置5の左右方向の設定角度を任意に変更することができるようになっている。
【0019】
このローリング制御には、前記傾斜設定器25の他に、トラクタ本機(走行機体)1の左右傾斜角度を検出する重錘式の傾斜センサ26と、トラクタ本機1の左右傾斜方向の角速度を検出する振動ジャイロ型の角速度センサ27と、ローリングシリンダ9の作動長さを検出するストロークセンサ28とが利用される。つまり、図4のブロック図に示すように、傾斜センサ26と角速度センサ27からの情報に基づいてトラクタ本機1の左右方向での傾斜角度θが演算され、トラクタ本機1がこの傾斜角度θにある時にロータリ耕耘装置5を傾斜設定器25による設定角度にするために必要なローリングシリンダ9の目標シリンダ長さL0 が割り出され、ローリングシリンダ9の長さLをこの目標シリンダ長さL0 に近づけるようにフィードバック制御がなされて、電磁制御弁12が作動されるのである。
【0020】
図4及び図5に、傾斜センサ26と角速度センサ27からの情報に基づいてトラクタ本機1の左右傾斜角度θを演算する制御ブロック図が示されている。図から判るように、ここでは、角速度センサ27からの信号を積分することで傾斜角度を演算するとともに、その誤差を傾斜センサ26からの信号で補正する形態が採用されている。
【0021】
つまり、温度等の諸条件によってドリフトする角速度センサ27の零点を時間経過に伴って更新して補正するセンサ零点補正処理がなされる。即ち、角速度センサ27によって検出されるサンプリング出力値の複数が記憶され、記憶された所定複数のサンプリングデータが平均処理されるとともに、ローパスフィルタ(LPF)を用いて平滑化処理されて零点が割り出され、この零点と実検出値との差をゲインK1 で積分分処理することで傾斜角度θが演算されるのである。また、このようにして算出された演算傾斜角度θと傾斜センサ26から得られる検出傾斜角度θrとの偏差にゲインK2 を乗じた値をフィードバックすることで、積分処理による誤差の集積を消去している。
【0022】
前記傾斜センサ26は重錘を利用する構成上、遠心力による影響を受けるものであり、急激な機体旋回時には遠心力に起因する外乱がセンサ出力に含まれてしまう。このような機体旋回時における遠心力による悪影響を回避するための手段を備えることが望ましく、以下のその手段のいくつかを例示する。
【0023】
〔第1例〕
【0024】
図3および図5に示すように、トラクタ本機Aにおける前車輪1あるいはステアリング操作系に、直進位置からの左右への車輪切れ角αを検出する角度センサ31が装備されるとともに、後車輪2の回転速度nを検出する回転センサ32が備えられて制御装置10に接続されており、後輪回転速度nから割り出される走行速度と前輪切れ角αとから、機体旋回に伴う遠心力fが算出される。そして、この算出された遠心力fが大きくなるほど前記ゲインK2 を次第に小さくなるようゲイン修正をかけることで、遠心力による悪影響を抑制している。そして、演算された遠心力fが予め設定した閾値を越えると前記ゲインK2 を零にして傾斜センサ26の検出結果を傾斜角度演算に関与しなくする。
【0025】
〔第2例〕
【0026】
図6に示すように、上記と同様にして遠心力fを算出し、予め認識している傾斜センサ26の対遠心力特性から、算出した上記遠心力fによってもたらされる外乱値θgを算出し、算出された外乱値θgを傾斜センサ26の出力θrから減算し、外乱を含まない出力を傾斜角演算に利用する。
【0027】
なお、機体旋回の検出手段としては、圃場脇に設置したレーザ発信器から発信スキャンされるレーザ光をトラクタ本機Aに装備した受信器で受け、その入射角度とレーザ発信器までの距離との演算によってトラクタ本機Aの現在位置を連続的に計測して移動軌跡を割り出す手段や、GPSの受信による位置検出によって移動軌跡を割り出す手段、などを利用することが考えられる。
【0028】
また、上記実施形態では、走行機体(トラクタ本機)Aに傾斜センサ26および角速度センサ27を備えて走行機体Aの傾斜を検出し、この検出結果に基づいて対地作業装置(ロータリ耕耘装置)5のローリング制御を行う場合を示したが、対地作業装置5に傾斜センサ26および角速度センサ27を備えて直接に対地作業装置5の傾斜角を検出してローリング制御を行う形態で実施することもできる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 農用トラクタの後部を示す斜視図
【図2】 制御装置の概略構成を示すブロック図
【図3】 ローリング制御装置のブロック図
【図4】 傾斜角演算用の制御ブロック図
【図5】 傾斜角演算用の制御ブロック図
【図6】 別の実施形態における傾斜角演算用の制御ブロック図
【符号の説明】
5 対地作業装置
26 傾斜センサ
27 角速度センサ
A 走行機体
f 遠心力
θr 傾斜センサの出力
θg 外乱値
K2 ゲイン
Claims (2)
- 走行機体(A)に対地作業装置(5)をローリング自在に連結し、前記走行機体(A)あるいは前記対地作業装置(5)に、左右方向の傾斜角を検出する重錘式の傾斜センサ(26)と左右方向の角速度を検出する角速度センサ(27)とを備え、前記角速度センサ(27)からの信号に基づいて走行機体(A)の左右傾斜角度を演算するとともに、その誤差を傾斜センサ(26)からの信号で補正することにより前記走行機体(A)あるいは前記対地作業装置(5)の左右傾斜角を演算し、この演算結果に基づいて対地作業装置(5)を傾斜検出方向と逆方向に駆動ローリングさせて、対地作業装置(5)を設定傾斜角に維持するよう構成する作業機のローリング制御装置であって、
走行機体(A)の旋回作動を検知するセンサ(31)と、走行速度を検知するセンサ(32)と、これらセンサ(31)(32)の出力値に基づいて機体旋回時の遠心力を演算する遠心力演算手段と、演算された遠心力が大きくなるほど前記傾斜センサ(26)からの出力に関わる前記誤差を補正するためのゲイン(K2)を低減するとともに前記遠心力が予め設定された閾値を超えると前記ゲイン(K2)を零にする手段を備え、得られたゲイン(K2)を補正係数として前記角速度センサ(27)からの信号に基づいて演算された走行機体(A)の左右傾斜角度を補正することを特徴とする作業機のローリング制御装置。 - 走行機体(A)に対地作業装置(5)をローリング自在に連結し、前記走行機体(A)あるいは前記対地作業装置(5)に、左右方向の傾斜角を検出する重錘式の傾斜センサ(26)と左右方向の角速度を検出する角速度センサ(27)とを備え、前記角速度センサ(27)からの信号に基づいて走行機体(A)の左右傾斜角度を演算するとともに、その誤差を傾斜センサ(26)からの信号で補正することにより前記走行機体(A)あるいは前記対地作業装置(5)の左右傾斜角を演算し、この演算結果に基づいて対地作業装置(5)を傾斜検出方向と逆方向に駆動ローリングさせて、対地作業装置(5)を設定傾斜角に維持するよう構成する作業機のローリング制御装置であって、
走行機体(A)の旋回作動を検知するセンサ(31)と、走行速度を検知するセンサ(32)と、これらセンサ(31)(32)の出力値に基づいて機体旋回時の遠心力を演算する遠心力演算手段と、遠心力が前記傾斜センサ(26)の出力に及ぼす外乱値を演算する手段と、演算した外乱値を傾斜センサ(26)の出力値から減ずる外乱除去手段とを備え、この外乱除去手段で傾斜センサ(26)の出力値から前記外乱値を除去した値を基に前記角速度センサ(27)からの信号に基づいて演算された走行機体(27)の左右傾斜角度を補正することを特徴とする作業機のローリング制御装置。
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