JP2004024135A - 作業車両のローリング制御装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】トラクタ等のローリング制御装置には、本機に傾斜センサを設け、この検出値を移動平均することで基準傾斜値とし、この基準傾斜値に応じて作業機を設定角度に維持するものが知られている。しかしながら、前記傾斜センサのサンプリング値は、車両の振動や操舵等で、実際とは大きく異なる値が継続して検出される場合が有った。
【解決手段】トラクタには、作業機ローリング用油圧シリンダ及び同シリンダの長さを検出するストロークセンサと、傾斜センサを設ける。また前記傾斜センサによる検出値を所定時間t1に亘ってサンプリングし、移動平均値(基準傾斜量)を演算するコントローラを設ける。またトラクタには、角速度センサまたは操舵角センサを設け、これらセンサにより所定値を超える振動や操舵操作を検出している期間には、前記傾斜センサ値のサンプリングを中断する構成とした。
【選択図】 図1
【解決手段】トラクタには、作業機ローリング用油圧シリンダ及び同シリンダの長さを検出するストロークセンサと、傾斜センサを設ける。また前記傾斜センサによる検出値を所定時間t1に亘ってサンプリングし、移動平均値(基準傾斜量)を演算するコントローラを設ける。またトラクタには、角速度センサまたは操舵角センサを設け、これらセンサにより所定値を超える振動や操舵操作を検出している期間には、前記傾斜センサ値のサンプリングを中断する構成とした。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、トラクタや田植機、コンバインといった農業用作業車両、または建設用作業車両等のローリング制御装置の構成に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、特開平8−242610号公報に示されるトラクタのように、
作業機3の左右傾斜量を変更するローリング用アクチュエータ8と、
車両1に対する前記作業機3の左右傾斜量を検出する作業機傾斜センサ13と、前記車両1に設けられ水平基準に対し車両の傾斜量を検出する本機傾斜センサ14と、
前記本機傾斜センサ14による検出値を所定時間毎にサンプリングし、このサンプリングした所定個数の検出値を移動平均することで車両1の基準傾斜量を演算する制御手段23を備えると共に、
前記車両1の基準傾斜量に基づいて前記作業機3の傾斜量を所定の傾きに維持するローリング制御装置Cを備えたものが知られている。
【0003】
上記公報によるローリング制御装置は、傾斜地の等高線に沿って作業を行うときに、前記本機傾斜センサの検出値を移動平均することにより、局所的な凹凸により本機側のセンサにずれが生じても、作業機のハンチング作動を抑制するものである。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、前記(傾斜地基準の)ローリング制御装置における傾斜基準値は、移動平均のサンプリング期間に対して局所的なセンサの誤差に対して、即ち局所的な凹凸に対しては、これを平滑化し前記作業機のハンチングを抑えることができるが、前記走行面に凹凸が継続して形成されている場合には、やはり前記本機傾斜センサの検出が実際とは大きく異なって、作業機を正確に制御することができないという課題が有った。
【0005】
またトラクタが大きく操舵したときには、前記車両の重量バランスが変化し、車両の沈下状態などにより前記本機傾斜センサによる検出値が変化し易くなる上、進路変更自体による傾斜角の変化も起こる状態となる。
【0006】
【課題を解決するための手段】
この発明は上記課題を鑑みて、作業車両のローリング制御装置を以下のように構成した。即ち、請求項1の発明では、
作業機(1)の左右傾斜量を変更するローリング用アクチュエータ(2)と、
車両(T)に対する前記作業機(1)の左右傾斜量を検出する作業機傾斜センサ(3)と、
前記車両(T)に設けられ水平基準に対し車両(T)の傾斜量を検出する本機傾斜センサ(4)と、
前記本機傾斜センサ(4)による検出値を所定時間毎にサンプリングし、このサンプリングした所定個数の検出値を移動平均することで車両(T)の基準傾斜量を演算する制御手段(10)を備えると共に、
前記車両(T)の基準傾斜量に基づいて前記作業機(1)の傾斜量を所定の傾きに維持するローリング制御装置を備えた作業車両において、
前記車両(T)には、同車両(T)の角速度を検出する角速度センサ(5)を設ける構成とした。
(請求項1の作用)
そして、以上のように構成した請求項1の発明では、所定値を超える角速度を検出したとき、即ち車両(T)が大きく振動したときには、前記本機傾斜センサ(4)の検出値のサンプリングを中断する。
【0007】
また請求項2の発明では、
作業機(1)の左右傾斜量を変更するローリング用アクチュエータ(2)と、
車両(T)に対する前記作業機(1)の左右傾斜量を検出する作業機傾斜センサ(3)と、
前記車両(T)に設けられ水平基準に対し車両(T)の傾斜量を検出する本機傾斜センサ(4)と、
前記本機傾斜センサ(4)による検出値を所定時間毎にサンプリングし、このサンプリングした所定個数の検出値を移動平均することで車両(T)の基準傾斜量を演算する制御手段(10)を備えると共に、
前記車両(T)の基準傾斜量に基づいて前記作業機(1)の傾斜量を所定の傾きに維持するローリング制御装置を備えた作業車両において、
前記車両(T)には、同車両(T)の操舵角を検出する操舵角センサ(6)を設ける構成とした。
(請求項2の作用)
そして、以上のように構成した請求項2の発明では、所定値を超える操舵角を検出したときに、即ち車両(T)を大きく操舵したときには、前記本機傾斜センサ(4)の検出値のサンプリングを中断する。
【0008】
【発明の効果】
以上のように構成した請求項1の発明では、振動により影響された本機傾斜センサ(4)の検出値を移動平均の演算から外すことができるので、車両の基準傾斜量を極力正確に求めることができ、作業機のローリング制御装置を正確に作動することができる。
【0009】
また、請求項2の発明でも、車両を操舵時に想定される振動、或いは傾斜変化より影響された本機傾斜センサ(4)の検出値を移動平均の演算から外すことができるので、車両の基準傾斜量を極力正確に求めることができ、作業機のローリング制御装置を正確に作動することができる。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下、この発明の実施の形態を説明する。
最初に図1と図2に基づいて作業車両である農業用トラクタ(以下、トラクタT)の構成について説明する。
【0011】
トラクタTは、ボンネット11内部にエンジンEを備え、このエンジンEの回転動力を各種変速装置等を介して後輪12F、または前後輪12F,12Rへ伝達して走行する構成となっている。
そして前記ボンネット11後方には、メータパネル13や操縦席14を配置し、これら周囲をキャビン15により取り囲む構成となっている。
【0012】
また、前記操縦席14の前方には、前記前輪12Fを操舵するステアリングハンドル18や、車体の進行方向を前後に切替える前後進切替レバー19を設け、前記ステアリングハンドル18の回動基部には、車体の操舵量を検出する操舵角センサ6を設けている。
【0013】
また前記操縦席14側方には、作業部となるロータリ作業機1の高さを変更する作業機昇降用レバー16や変速レバー17を設け、夫れ夫れのレバーの回動基部に操作位置を検出するポテンショメータ16s,17sを設けている。また前記変速レバー17のレバーガイド近傍には、「水平モード」と「傾斜モード」と「切」の設定ポジションを有するローリングモード切替スイッチ20と、前記「傾斜モード」時に作業機1の角度を設定する傾き調整ダイヤル21等の各種設定器を設けている。
【0014】
ここで前記各ローリングモードについて説明する。
前記「水平モード」とは、主に水田作業で用いられ、走行中トラクタTが凹凸等により左右に傾いても、操縦席13下方に設置された本機傾斜センサ(以下、傾斜センサ4)の値に基づいて前記作業機1を水平に保持するモードである。
【0015】
また前記「傾斜モード」とは、主に果樹園など傾斜地作業で用いられ、走行中トラクタTが凹凸により左右に傾いても、作業機1を前記傾斜と平行、或いは前記傾き調整ダイヤル21で設定された角度に保持するモードである。
また、前記操縦席14の下方には、内部に電解液を充填し電極間の電圧により車体の左右傾斜量(角度)を検出する前記傾斜センサ4と、地磁気を利用し車体の角速度を検出する角速度センサ5、そして本願発明の制御手段となるコントローラ10を設ける構成となっている。
【0016】
尚、前記トラクタTの角速度センサ5は、車体の上下ピッチングを検出する加速度センサでも良い。
また、トラクタTの車体後部には、作業機昇降用油圧シリンダ25を内装するシリンダケース26を備え、前記シリンダ25のピストン伸縮によりケース26左右に支持するリフトアーム27を上下回動する構成となっている。また、車体後部には、トップリンク28と左右ロワーリンク29からなる三点リンク機構を設け、前記左側のリフトアーム27の先端部と前記ロワーリンク29との間をロッド30にて連結し、右側のリフトアーム27先端部と前記ロアーリンク29とをローリング用アクチュエータとなるローリング用油圧シリンダ2を介して連結し、ロータリ作業機1の左右傾斜姿勢を変更可能に連結する構成となっている。
【0017】
また更に、前記左側のリフトアーム27の回動基部には、リフトアーム角センサ31を設け、車体に対する作業機1の高さを検出する構成となっている。
これにより、前記コントローラ10では、作業機昇降用レバー16の操作角度とリフトアーム27の設定角度が一致するように前記作業機昇降用油圧シリンダ25のピストンを伸縮して作業機1(図中ではロータリ作業機)の高さを変更する昇降制御を行う構成となっている。
【0018】
また、前記ローリング用油圧シリンダ2には、このピストン伸縮量を検出するストロークセンサ3(作業機傾斜センサ)を併設し、車体に対する作業機1の左右傾斜量を検出する構成となっている。
次にトラクタTの制御系について説明する。
【0019】
前記トラクタTのコントローラ10は、図4に示すように、内部に各種信号を処理するCPUと、これら信号情報を一時記憶するRAMと、この発明のローリング制御等の各種制御プログラムを格納するROM、更にはタイマー等を備える構成となっている。
【0020】
そして、前記コントローラ10の入力部には、前記作業機昇降用レバー16基部のポテンショメータ16sと、リフトアーム角センサ31、ローリングモード切替スイッチ20、傾き調整ダイヤル21、傾斜センサ4、角速度センサ5、そしてローリング用油圧シリンダのストロークセンサ3、操舵角センサ6、変速レバー17基部のポテンショメータ17s等を接続して設けている。
【0021】
また前記傾斜センサ4の入力値は、コントローラ10内でデジタルフィルター処理、即ちセンサ出力周波数域を外れた周波数成分をカットする構成となっている。
またコントローラ10の出力部には、前記作業機昇降用油圧シリンダ25へ圧油を給排する比例圧力制御弁のソレノイド35a,35bや、前記ローリング用油圧シリンダ2へ圧油を給排する切替制御弁のソレノイド36a,36bを接続して設けている。
【0022】
以上のように構成したトラクタTでは、図5乃至図7に示すフローチャートのように制御が行われる
図5に示すフローチャートは、前記コントローラ10が実行する制御全体の概要を示すものであり、最初にトラクタTの電気系統がONされると、コントローラ10は、前記傾斜センサ4やローリングモード切替スイッチ20等の各種センサやスイッチ類の状態を読み込む。その後、車体の傾斜基準値演算処理、ローリング制御のサブルーチンを実行し、他の処理を行ってリターンとなる。
【0023】
前記車体の基準値演算処理は、図6に示すように、まずSTEP1で前記タイマーによる時間を計測し、所定時間毎に傾斜センサ4の検出値をサンプリングして前記RAMに記憶するものである。そして、ここでは、STEP2からSTEP4に示すように、前記操舵角センサ6による検出値が直進域、即ち左右所定角以内であるか、前記変速レバー17基部のポテンショメータ17sにより車速設定位置が作業速と想定される程度、即ち低速であるかどうか、更には角速度が一定値以内、即ち車両がバウンドしていないかどうかを判定し、これらがすべてYESであれば、STEP5にて前記傾斜センサ4の検出値を記憶する。その後、STEP6にて前記記憶値の内、最新の記憶値を所定個数、即ち図1に示すように、t1秒間の5個の値を取り出し、これらの平均値(移動平均値)を演算する。尚、前記図1中の符号txはセンサ4の電源投入時に、立上時間までサンプリングを待機する期間を示す。
【0024】
これにより、トラクタの傾斜基準値が求められる。
そして、前記図6で求められた傾斜基準値は、図7に示すローリング制御に用いられる。
前記ローリング制御では、STEP1でローリングモードが判定され、水平モードであれば、前記傾斜センサ4の水平基準値に基づいてローリング用油圧シリンダ2を駆動し、作業機1を水平状態に維持する。
【0025】
また前記ローリングモードの設定が、傾斜モードであれば、STEP2とSTEP3に示すように、ステアリングハンドル18による操舵角が直進域であるかどうかを判定し、旋回終了後一定時間経過したかどうか、即ち直進状態が安定したかどうかを判定し、これら共にYESであれば、前記傾斜センサ4の移動平均から求められた傾斜基準値を基準として、作業機1を前記傾き調整ダイヤル21の設定傾きとなるようローリング油圧シリンダ2を駆動する。
【0026】
また前記STEP2とSTEP3の判定の内、いずれか一つがNOであれば、STEP5へ進み、車両が旋回中であるか、或いは、旋回後まだ蛇行する可能性のある期間であると想定し、現状のストロークセンサ3の検出値が変化したときにだけ、前記ローリング用油圧シリンダ2を駆動しピストンの長さを一定に保持する。
【0027】
以上のように構成したトラクタTのローリング制御装置では、振動や凹凸により影響された傾斜センサ4の検出値を、移動平均の演算から外すことができるので、前記車両の基準傾斜値を極力正確に求めることができ、作業機1のローリング制御装置、ここでは傾斜モードでのローリング制御を正確に作動することができる。
【0028】
また、トラクタTの操舵時にも想定される振動、或いは傾斜変化より影響された傾斜センサ4の検出値を移動平均の演算から外すことができるので、同じくトラクタTの基準傾斜量を極力正確に求めることができ、前記ローリング制御装置を正確に作動することができる。
【0029】
またここでは、前記角速度や操舵角と同様に、車両の走行速が高速状態に設定されているときにも、前記傾斜センサ4の検出値を移動平均の演算から外す構成としたので、高側走行時の振動に影響される傾斜センサ4の誤検出を外すことができ、前記ローリング制御装置を正確に作動することができる。
【0030】
尚、前記発明の別形態としては、図8に示すように、前記車速センサを、前記変速レバー17の設定位置を検出する方法に代えてドップラ式センサを利用し、前記前後輪12F,12R間の伝動ギヤの回転や、直接対地速度を検出する構成としても良いし、また前記作業機1の左右傾斜量を検出する作業機傾斜センサとして、前記ストロークセンサ3に代えて、前記本機傾斜センサ4と同様の、内部に電解液を充填した傾斜センサ3’を設け、作業機1の傾きを移動平均により演算する構成としても良い。
【0031】
またローリング制御装置の傾斜モードについても、前記本機側の傾斜センサ4に基づいて作業機を一定に維持するか、或いは前記作業機側の傾斜センサ3’に基づいて一定に維持するかを選択するモードを構成したり、等高線に沿って傾斜地で作業する場合を想定し、前記傾斜基準値を旋回操作に連動させて左右傾きを反転させるモードを構成し、前記ローリングモード切替スイッチ20’により選択する構成としても良い。
【図面の簡単な説明】
【図1】傾斜センサの検出値の推移を示すフローチャート。
【図2】トラクタの側面図。
【図3】トラクタの背面図。
【図4】コントローラの接続状態を示す図。
【図5】フローチャート(1)
【図6】フローチャート(2)
【図7】フローチャート(3)
【図8】別形態のコントローラの接続を示す図。
【符号の説明】
1 作業機
2 ローリング用油圧シリンダ
3 ストロークセンサ
4 傾斜センサ
5 角速度センサ
6 操舵角センサ
10 コントローラ
T トラクタ
【発明の属する技術分野】
この発明は、トラクタや田植機、コンバインといった農業用作業車両、または建設用作業車両等のローリング制御装置の構成に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、特開平8−242610号公報に示されるトラクタのように、
作業機3の左右傾斜量を変更するローリング用アクチュエータ8と、
車両1に対する前記作業機3の左右傾斜量を検出する作業機傾斜センサ13と、前記車両1に設けられ水平基準に対し車両の傾斜量を検出する本機傾斜センサ14と、
前記本機傾斜センサ14による検出値を所定時間毎にサンプリングし、このサンプリングした所定個数の検出値を移動平均することで車両1の基準傾斜量を演算する制御手段23を備えると共に、
前記車両1の基準傾斜量に基づいて前記作業機3の傾斜量を所定の傾きに維持するローリング制御装置Cを備えたものが知られている。
【0003】
上記公報によるローリング制御装置は、傾斜地の等高線に沿って作業を行うときに、前記本機傾斜センサの検出値を移動平均することにより、局所的な凹凸により本機側のセンサにずれが生じても、作業機のハンチング作動を抑制するものである。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、前記(傾斜地基準の)ローリング制御装置における傾斜基準値は、移動平均のサンプリング期間に対して局所的なセンサの誤差に対して、即ち局所的な凹凸に対しては、これを平滑化し前記作業機のハンチングを抑えることができるが、前記走行面に凹凸が継続して形成されている場合には、やはり前記本機傾斜センサの検出が実際とは大きく異なって、作業機を正確に制御することができないという課題が有った。
【0005】
またトラクタが大きく操舵したときには、前記車両の重量バランスが変化し、車両の沈下状態などにより前記本機傾斜センサによる検出値が変化し易くなる上、進路変更自体による傾斜角の変化も起こる状態となる。
【0006】
【課題を解決するための手段】
この発明は上記課題を鑑みて、作業車両のローリング制御装置を以下のように構成した。即ち、請求項1の発明では、
作業機(1)の左右傾斜量を変更するローリング用アクチュエータ(2)と、
車両(T)に対する前記作業機(1)の左右傾斜量を検出する作業機傾斜センサ(3)と、
前記車両(T)に設けられ水平基準に対し車両(T)の傾斜量を検出する本機傾斜センサ(4)と、
前記本機傾斜センサ(4)による検出値を所定時間毎にサンプリングし、このサンプリングした所定個数の検出値を移動平均することで車両(T)の基準傾斜量を演算する制御手段(10)を備えると共に、
前記車両(T)の基準傾斜量に基づいて前記作業機(1)の傾斜量を所定の傾きに維持するローリング制御装置を備えた作業車両において、
前記車両(T)には、同車両(T)の角速度を検出する角速度センサ(5)を設ける構成とした。
(請求項1の作用)
そして、以上のように構成した請求項1の発明では、所定値を超える角速度を検出したとき、即ち車両(T)が大きく振動したときには、前記本機傾斜センサ(4)の検出値のサンプリングを中断する。
【0007】
また請求項2の発明では、
作業機(1)の左右傾斜量を変更するローリング用アクチュエータ(2)と、
車両(T)に対する前記作業機(1)の左右傾斜量を検出する作業機傾斜センサ(3)と、
前記車両(T)に設けられ水平基準に対し車両(T)の傾斜量を検出する本機傾斜センサ(4)と、
前記本機傾斜センサ(4)による検出値を所定時間毎にサンプリングし、このサンプリングした所定個数の検出値を移動平均することで車両(T)の基準傾斜量を演算する制御手段(10)を備えると共に、
前記車両(T)の基準傾斜量に基づいて前記作業機(1)の傾斜量を所定の傾きに維持するローリング制御装置を備えた作業車両において、
前記車両(T)には、同車両(T)の操舵角を検出する操舵角センサ(6)を設ける構成とした。
(請求項2の作用)
そして、以上のように構成した請求項2の発明では、所定値を超える操舵角を検出したときに、即ち車両(T)を大きく操舵したときには、前記本機傾斜センサ(4)の検出値のサンプリングを中断する。
【0008】
【発明の効果】
以上のように構成した請求項1の発明では、振動により影響された本機傾斜センサ(4)の検出値を移動平均の演算から外すことができるので、車両の基準傾斜量を極力正確に求めることができ、作業機のローリング制御装置を正確に作動することができる。
【0009】
また、請求項2の発明でも、車両を操舵時に想定される振動、或いは傾斜変化より影響された本機傾斜センサ(4)の検出値を移動平均の演算から外すことができるので、車両の基準傾斜量を極力正確に求めることができ、作業機のローリング制御装置を正確に作動することができる。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下、この発明の実施の形態を説明する。
最初に図1と図2に基づいて作業車両である農業用トラクタ(以下、トラクタT)の構成について説明する。
【0011】
トラクタTは、ボンネット11内部にエンジンEを備え、このエンジンEの回転動力を各種変速装置等を介して後輪12F、または前後輪12F,12Rへ伝達して走行する構成となっている。
そして前記ボンネット11後方には、メータパネル13や操縦席14を配置し、これら周囲をキャビン15により取り囲む構成となっている。
【0012】
また、前記操縦席14の前方には、前記前輪12Fを操舵するステアリングハンドル18や、車体の進行方向を前後に切替える前後進切替レバー19を設け、前記ステアリングハンドル18の回動基部には、車体の操舵量を検出する操舵角センサ6を設けている。
【0013】
また前記操縦席14側方には、作業部となるロータリ作業機1の高さを変更する作業機昇降用レバー16や変速レバー17を設け、夫れ夫れのレバーの回動基部に操作位置を検出するポテンショメータ16s,17sを設けている。また前記変速レバー17のレバーガイド近傍には、「水平モード」と「傾斜モード」と「切」の設定ポジションを有するローリングモード切替スイッチ20と、前記「傾斜モード」時に作業機1の角度を設定する傾き調整ダイヤル21等の各種設定器を設けている。
【0014】
ここで前記各ローリングモードについて説明する。
前記「水平モード」とは、主に水田作業で用いられ、走行中トラクタTが凹凸等により左右に傾いても、操縦席13下方に設置された本機傾斜センサ(以下、傾斜センサ4)の値に基づいて前記作業機1を水平に保持するモードである。
【0015】
また前記「傾斜モード」とは、主に果樹園など傾斜地作業で用いられ、走行中トラクタTが凹凸により左右に傾いても、作業機1を前記傾斜と平行、或いは前記傾き調整ダイヤル21で設定された角度に保持するモードである。
また、前記操縦席14の下方には、内部に電解液を充填し電極間の電圧により車体の左右傾斜量(角度)を検出する前記傾斜センサ4と、地磁気を利用し車体の角速度を検出する角速度センサ5、そして本願発明の制御手段となるコントローラ10を設ける構成となっている。
【0016】
尚、前記トラクタTの角速度センサ5は、車体の上下ピッチングを検出する加速度センサでも良い。
また、トラクタTの車体後部には、作業機昇降用油圧シリンダ25を内装するシリンダケース26を備え、前記シリンダ25のピストン伸縮によりケース26左右に支持するリフトアーム27を上下回動する構成となっている。また、車体後部には、トップリンク28と左右ロワーリンク29からなる三点リンク機構を設け、前記左側のリフトアーム27の先端部と前記ロワーリンク29との間をロッド30にて連結し、右側のリフトアーム27先端部と前記ロアーリンク29とをローリング用アクチュエータとなるローリング用油圧シリンダ2を介して連結し、ロータリ作業機1の左右傾斜姿勢を変更可能に連結する構成となっている。
【0017】
また更に、前記左側のリフトアーム27の回動基部には、リフトアーム角センサ31を設け、車体に対する作業機1の高さを検出する構成となっている。
これにより、前記コントローラ10では、作業機昇降用レバー16の操作角度とリフトアーム27の設定角度が一致するように前記作業機昇降用油圧シリンダ25のピストンを伸縮して作業機1(図中ではロータリ作業機)の高さを変更する昇降制御を行う構成となっている。
【0018】
また、前記ローリング用油圧シリンダ2には、このピストン伸縮量を検出するストロークセンサ3(作業機傾斜センサ)を併設し、車体に対する作業機1の左右傾斜量を検出する構成となっている。
次にトラクタTの制御系について説明する。
【0019】
前記トラクタTのコントローラ10は、図4に示すように、内部に各種信号を処理するCPUと、これら信号情報を一時記憶するRAMと、この発明のローリング制御等の各種制御プログラムを格納するROM、更にはタイマー等を備える構成となっている。
【0020】
そして、前記コントローラ10の入力部には、前記作業機昇降用レバー16基部のポテンショメータ16sと、リフトアーム角センサ31、ローリングモード切替スイッチ20、傾き調整ダイヤル21、傾斜センサ4、角速度センサ5、そしてローリング用油圧シリンダのストロークセンサ3、操舵角センサ6、変速レバー17基部のポテンショメータ17s等を接続して設けている。
【0021】
また前記傾斜センサ4の入力値は、コントローラ10内でデジタルフィルター処理、即ちセンサ出力周波数域を外れた周波数成分をカットする構成となっている。
またコントローラ10の出力部には、前記作業機昇降用油圧シリンダ25へ圧油を給排する比例圧力制御弁のソレノイド35a,35bや、前記ローリング用油圧シリンダ2へ圧油を給排する切替制御弁のソレノイド36a,36bを接続して設けている。
【0022】
以上のように構成したトラクタTでは、図5乃至図7に示すフローチャートのように制御が行われる
図5に示すフローチャートは、前記コントローラ10が実行する制御全体の概要を示すものであり、最初にトラクタTの電気系統がONされると、コントローラ10は、前記傾斜センサ4やローリングモード切替スイッチ20等の各種センサやスイッチ類の状態を読み込む。その後、車体の傾斜基準値演算処理、ローリング制御のサブルーチンを実行し、他の処理を行ってリターンとなる。
【0023】
前記車体の基準値演算処理は、図6に示すように、まずSTEP1で前記タイマーによる時間を計測し、所定時間毎に傾斜センサ4の検出値をサンプリングして前記RAMに記憶するものである。そして、ここでは、STEP2からSTEP4に示すように、前記操舵角センサ6による検出値が直進域、即ち左右所定角以内であるか、前記変速レバー17基部のポテンショメータ17sにより車速設定位置が作業速と想定される程度、即ち低速であるかどうか、更には角速度が一定値以内、即ち車両がバウンドしていないかどうかを判定し、これらがすべてYESであれば、STEP5にて前記傾斜センサ4の検出値を記憶する。その後、STEP6にて前記記憶値の内、最新の記憶値を所定個数、即ち図1に示すように、t1秒間の5個の値を取り出し、これらの平均値(移動平均値)を演算する。尚、前記図1中の符号txはセンサ4の電源投入時に、立上時間までサンプリングを待機する期間を示す。
【0024】
これにより、トラクタの傾斜基準値が求められる。
そして、前記図6で求められた傾斜基準値は、図7に示すローリング制御に用いられる。
前記ローリング制御では、STEP1でローリングモードが判定され、水平モードであれば、前記傾斜センサ4の水平基準値に基づいてローリング用油圧シリンダ2を駆動し、作業機1を水平状態に維持する。
【0025】
また前記ローリングモードの設定が、傾斜モードであれば、STEP2とSTEP3に示すように、ステアリングハンドル18による操舵角が直進域であるかどうかを判定し、旋回終了後一定時間経過したかどうか、即ち直進状態が安定したかどうかを判定し、これら共にYESであれば、前記傾斜センサ4の移動平均から求められた傾斜基準値を基準として、作業機1を前記傾き調整ダイヤル21の設定傾きとなるようローリング油圧シリンダ2を駆動する。
【0026】
また前記STEP2とSTEP3の判定の内、いずれか一つがNOであれば、STEP5へ進み、車両が旋回中であるか、或いは、旋回後まだ蛇行する可能性のある期間であると想定し、現状のストロークセンサ3の検出値が変化したときにだけ、前記ローリング用油圧シリンダ2を駆動しピストンの長さを一定に保持する。
【0027】
以上のように構成したトラクタTのローリング制御装置では、振動や凹凸により影響された傾斜センサ4の検出値を、移動平均の演算から外すことができるので、前記車両の基準傾斜値を極力正確に求めることができ、作業機1のローリング制御装置、ここでは傾斜モードでのローリング制御を正確に作動することができる。
【0028】
また、トラクタTの操舵時にも想定される振動、或いは傾斜変化より影響された傾斜センサ4の検出値を移動平均の演算から外すことができるので、同じくトラクタTの基準傾斜量を極力正確に求めることができ、前記ローリング制御装置を正確に作動することができる。
【0029】
またここでは、前記角速度や操舵角と同様に、車両の走行速が高速状態に設定されているときにも、前記傾斜センサ4の検出値を移動平均の演算から外す構成としたので、高側走行時の振動に影響される傾斜センサ4の誤検出を外すことができ、前記ローリング制御装置を正確に作動することができる。
【0030】
尚、前記発明の別形態としては、図8に示すように、前記車速センサを、前記変速レバー17の設定位置を検出する方法に代えてドップラ式センサを利用し、前記前後輪12F,12R間の伝動ギヤの回転や、直接対地速度を検出する構成としても良いし、また前記作業機1の左右傾斜量を検出する作業機傾斜センサとして、前記ストロークセンサ3に代えて、前記本機傾斜センサ4と同様の、内部に電解液を充填した傾斜センサ3’を設け、作業機1の傾きを移動平均により演算する構成としても良い。
【0031】
またローリング制御装置の傾斜モードについても、前記本機側の傾斜センサ4に基づいて作業機を一定に維持するか、或いは前記作業機側の傾斜センサ3’に基づいて一定に維持するかを選択するモードを構成したり、等高線に沿って傾斜地で作業する場合を想定し、前記傾斜基準値を旋回操作に連動させて左右傾きを反転させるモードを構成し、前記ローリングモード切替スイッチ20’により選択する構成としても良い。
【図面の簡単な説明】
【図1】傾斜センサの検出値の推移を示すフローチャート。
【図2】トラクタの側面図。
【図3】トラクタの背面図。
【図4】コントローラの接続状態を示す図。
【図5】フローチャート(1)
【図6】フローチャート(2)
【図7】フローチャート(3)
【図8】別形態のコントローラの接続を示す図。
【符号の説明】
1 作業機
2 ローリング用油圧シリンダ
3 ストロークセンサ
4 傾斜センサ
5 角速度センサ
6 操舵角センサ
10 コントローラ
T トラクタ
Claims (2)
- 作業機(1)の左右傾斜量を変更するローリング用アクチュエータ(2)と、
車両(T)に対する前記作業機(1)の左右傾斜量を検出する作業機傾斜センサ(3)と、
前記車両(T)に設けられ水平基準に対し車両(T)の傾斜量を検出する本機傾斜センサ(4)と、
前記本機傾斜センサ(4)による検出値を所定時間毎にサンプリングし、このサンプリングした所定個数の検出値を移動平均することで車両(T)の基準傾斜量を演算する制御手段(10)を備えると共に、
前記車両(T)の基準傾斜量に基づいて前記作業機(1)の傾斜量を所定の傾きに維持するローリング制御装置を備えた作業車両において、
前記車両(T)には、同車両(T)の角速度を検出する角速度センサ(5)を設け、前記ローリング制御装置の作動中に所定値を超える角速度を検出したときには、前記制御手段(10)による本機傾斜センサ(4)の検出値のサンプリングを中断することを特徴とする作業車両のローリング制御装置。 - 作業機(1)の左右傾斜量を変更するローリング用アクチュエータ(2)と、
車両(T)に対する前記作業機(1)の左右傾斜量を検出する作業機傾斜センサ(3)と、
前記車両(T)に設けられ水平基準に対し車両(T)の傾斜量を検出する本機傾斜センサ(4)と、
前記本機傾斜センサ(4)による検出値を所定時間毎にサンプリングし、このサンプリングした所定個数の検出値を移動平均することで車両(T)の基準傾斜量を演算する制御手段(10)を備えると共に、
前記車両(T)の基準傾斜量に基づいて前記作業機(1)の傾斜量を所定の傾きに維持するローリング制御装置を備えた作業車両において、
前記車両(T)には、同車両(T)の操舵角を検出する操舵角センサ(6)を設け、前記ローリング制御装置の作動中に所定値を超える操舵角を検出したときには、前記制御手段(10)による本機傾斜センサ(4)の検出値のサンプリングを中断することを特徴とする作業車両のローリング制御装置。
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Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2002186394A JP2004024135A (ja) | 2002-06-26 | 2002-06-26 | 作業車両のローリング制御装置 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2002186394A JP2004024135A (ja) | 2002-06-26 | 2002-06-26 | 作業車両のローリング制御装置 |
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Family
ID=31181757
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JP2002186394A Pending JP2004024135A (ja) | 2002-06-26 | 2002-06-26 | 作業車両のローリング制御装置 |
Country Status (1)
Country | Link |
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JP (1) | JP2004024135A (ja) |
Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2007089482A (ja) * | 2005-09-29 | 2007-04-12 | Iseki & Co Ltd | トラクタ作業機のローリング制御装置 |
JP2008206456A (ja) * | 2007-02-27 | 2008-09-11 | Yanmar Co Ltd | 作業車両 |
JP2016187325A (ja) * | 2015-03-30 | 2016-11-04 | ヤンマー株式会社 | 作業車輌 |
-
2002
- 2002-06-26 JP JP2002186394A patent/JP2004024135A/ja active Pending
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JP2008206456A (ja) * | 2007-02-27 | 2008-09-11 | Yanmar Co Ltd | 作業車両 |
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