JP3880538B2 - 農作業機の制御装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、農用トラクタなどの農作業機に利用する制御装置に係り、特には、走行機体に連結した作業装置の圃場面に対する作業高さを設定高さに維持させるように、作業装置の対地高さ検出結果に基づいて作業装置を昇降用アクチュエータによって駆動昇降させる昇降制御系と、作業装置の左右方向での傾斜姿勢を設定傾斜角度に維持させるように、左右傾斜角度検出結果に基づいて作業装置をローリング用アクチュエータによって駆動ローリングさせるローリング制御系とを備えてある農作業機の制御装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
自動昇降制御系と自動ローリング制御系とを備えた農作業機の代表的なものとしては、トラクタ本機に耕耘装置を昇降およびローリング自在に連結した農用トラクタがあり、自動ローリング制御系の制御作動が耕深変動に及ぼす影響を少なくするための手段として、目標耕深、実測耕深値および該実測耕深値の変化量の中の一変数と作業装置傾斜度および該作業装置傾斜度の変化量の中の一変数をそれぞれ条件部メンバーシップ関数としてファジィ推論に基づいて昇降制御系の不感帯の幅を決定するもの(特許文献1参照。)、目標耕深に対する検出耕深の偏差と、検出耕深の変化量と、傾斜自動制御の制御量を入力変数として、ファジィ推論に基づいて自動耕深制御系の制御速度を決定するもの(特許文献2参照。)、あるいは、左右傾斜角度値に基づいて作業深さ検知値を補正するもの(特許文献3参照。)、などが知られている。
【0003】
【特許文献1】
特許第3102120号公報
【0004】
【特許文献2】
特開平8−205609号公報
【0005】
【特許文献3】
特許第2556698号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
特許文献1、または、特許文献2に記載の手段によると、傾斜制御による耕深変動への影響を抑制できるものであるが、ファジィ推論によって傾斜状況を判断して自動耕深制御系の不感帯あるいは制御速度を決定するものであるために、演算処理が複雑なものとなるきらいがあった。これに対して、特許文献3に記載の手段は比較的簡単な演算処理ですみ、安価に実施することができるが、その反面、自動昇降制御の応答性自体には変化がないので、目標耕深への収束には未だ時間がかかるものであった。
【0007】
本発明は、このような点に着目してなされたものであって、走行機体の車輪が凹部に落ち込んだり隆起に乗り上がって走行機体の左右方向への傾斜姿勢が変化したような場合に、傾斜方向にかかわらず自動昇降制御の応答性を高めて昇降作動を速やかに行わせることで、設定作業高さからの外れの少ない高精度の作業高さ制御を行わせることができ、しかも、演算処理などを比較的簡単なもので実施できるようにすることを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
請求項1に係る発明は、走行機体に連結した作業装置の圃場面に対する作業高さを設定高さに維持させるように、作業装置の対地高さ検出結果に基づいて作業装置を昇降用アクチュエータによって駆動昇降させる自動昇降制御系と、前記作業装置の左右方向での傾斜姿勢を設定傾斜角度に維持させるように、左右傾斜角度検出結果に基づいて作業装置をローリング用アクチュエータによって駆動ローリングさせる自動ローリング制御系とを備えてある農作業機の制御装置であって、
前記自動ローリング制御系のパラメータにおける所定の一つのパラメータが設定値以上に大きくなると、前記昇降用アクチュエータの作動速度を増大する修正手段を備えてあることを特徴とする。
【0009】
上記構成によると、片輪が圃場の凹部に落ち込んだり隆起に乗りあがったりして走行機体が左右方向に傾斜すると、自動ローリング制御系のパラメータが変化することになり、そのうちの所定の一つのパラメータが設定値以上に大きくなると、昇降用アクチュエータの作動速度が増大変更され、機体傾斜に起因する作業高さの変化に応じて自動昇降制御が行われる際の作動速度が、通常の自動昇降制御における作動速度よりも速くなり、設定作業高さへの復帰移動が速やかに行われる。
【0010】
従って、請求項1に係る発明によると、走行機体の車輪が凹部に落ち込んだり隆起に乗り上がって走行機体の左右方向への傾斜姿勢が変化しても、その傾斜方向にかかわらず自動昇降制御作動を速やかに行わせることで、設定作業高さからの外れの少ない高精度の作業高さ制御を行わせることが可能となった。
しかも、自動ローリング制御系における所定の一つのパラメータの情報に基づいて自動昇降制御系の作動速度を変更して応答性を高めるものであるから、演算処理などが簡単なものとなって安価に実施することができ、実用上の利便性に優れたものとなる。
【0011】
請求項2に係る発明は、走行機体に連結した作業装置の圃場面に対する作業高さを設定高さに維持させるように、作業装置の対地高さ検出結果に基づいて作業装置を昇降用アクチュエータによって駆動昇降させる自動昇降制御系と、前記作業装置の左右方向での傾斜姿勢を設定傾斜角度に維持させるように、左右傾斜角度検出結果に基づいて作業装置をローリング用アクチュエータによって駆動ローリングさせる自動ローリング制御系とを備えてある農作業機の制御装置であって、
前記自動ローリング制御系のパラメータにおける所定の一つのパラメータが設定値以上に大きくなると、前記昇降用アクチュエータの作動速度を増大するとともに自動昇降制御系の不感帯を小さくする制御特性変更手段を備えてあることを特徴とする。
【0012】
上記構成によると、片輪が圃場の凹部に落ち込んだり隆起に乗りあがったりして走行機体が左右方向に傾斜すると、自動ローリング制御系のパラメータが変化することになり、そのうちの所定の一つのパラメータが設定値以上に大きくなると、昇降用アクチュエータの作動速が増大変更され、機体傾斜に起因する作業高さの変化に応じて自動昇降制御が行われる際の作動速度が、通常の自動昇降制御における作動速度よりも速くなるのみならず不感帯も小さくなり、設定作業高さへの復帰移動がより速やかに行われる。
【0013】
従って、請求項2に係る発明によると、走行機体の車輪が凹部に落ち込んだり隆起に乗り上がって走行機体の左右方向への傾斜姿勢が変化しても、その傾斜方向にかかわらず自動昇降制御作動を速やかに行わせることで、設定作業高さからの外れの少ない高精度の作業高さ制御を行わせることが可能となった。
しかも、自動ローリング制御系における所定の一つのパラメータの情報に基づいて自動昇降制御系の作動速度および不感帯を変更してさらに応答性を高めるものであるから、演算処理などが簡単なものとなって安価に実施することができるとともに、設定作業高さからの外れが一層少ない高精度の作業高さ制御を実行することができる。
【0014】
請求項3に係る発明は、請求項1または2の発明において、
前記自動ローリング制御系における所定のパラメータが左右傾斜角度の変化量である。
【0015】
上記構成によると、走行機体が左右方向に傾斜した場合、自動ローリング制御系が中立に安定している状態からの左右傾斜角度の変化量が設定以上に大きくなると、昇降用アクチュエータの作動速度のみが通常の自動昇降制御における作動速度よりも増大変更されるか、昇降用アクチュエータの作動速度が通常の自動昇降制御における作動速度よりも増大されるとともに自動昇降制御系の不感帯が小さくなるよう制御特性が変更される。
【0016】
従って、請求項3に係る発明によると、走行機体が左右方向に急激に大きく傾斜すると、自動昇降制御系の応答性が高められることになり、設定作業高さからの外れが少ない高精度の作業高さ制御を実行することができる。
【0017】
請求項4に係る発明は、請求項1または2の発明において、
前記自動ローリング制御系における所定のパラメータが左右傾斜の角速度である。
【0018】
上記構成によると、走行機体が左右方向に傾斜した場合、左右傾斜方向への角速度が設定以上に大きくなると、昇降用アクチュエータの作動速度のみが通常の自動昇降制御における作動速度よりも増大変更されるか、あるいは、昇降用アクチュエータの作動速度が通常の自動昇降制御における作動速度よりも増大されるとともに自動昇降制御系の不感帯が小さくなるよう制御特性が変更される。
【0019】
従って、請求項4に係る発明によると、走行機体が左右方向に急激に傾斜する、あるいは、傾斜しかかると、それに応じて速やかに自動昇降制御系の応答性が高められることになり、設定作業高さからの外れが特に少ない高精度の作業高さ制御を実行することができる。
【0020】
請求項5に係る発明は、請求項1または2の発明において、
前記自動ローリング制御系における所定のパラメータがローリング用アクチュエータの目標作動速度である。
【0021】
上記構成によると、走行機体が左右方向に傾斜した場合、作業装置を所定の角度姿勢に復帰させるために自動ローリング制御が働いてローリング用アクチュエータが作動することになり、この制御においてローリング用アクチュエータを作動させる目標作動速度が演算されることになり、作業装置の角度が設定された角度から外れるほどローリング用アクチュエータの目標作動速度が大きくなる。
ここで、この目標作動速度がが設定以上に大きくなると、昇降用アクチュエータの作動速度のみが通常の自動昇降制御における作動速度よりも増大変更されるか、あるいは、昇降用アクチュエータの作動速度が通常の自動昇降制御における作動速度よりも増大されるとともに自動昇降制御系の不感帯が小さくなるよう制御特性が変更される。
【0022】
従って、請求項5に係る発明によると、走行機体が左右方向に急激に大きく傾斜すると、自動昇降制御系の応答性が高められることにり、設定作業高さからの外れが少ない高精度の作業高さ制御を実行することができる。
【0023】
請求項6に係る発明は、請求項1または2の発明において、
前記自動ローリング制御系における所定のパラメータがローリング用アクチュエータの実作動速度である。
【0024】
上記構成によると、走行機体が左右方向に傾斜した場合、作業装置を所定の角度姿勢に復帰させるために自動ローリング制御が働いてローリング用アクチュエータが作動することになり、この制御においてローリング用アクチュエータを作動させる目標作動速度が演算されることになり、作業装置の角度が設定された角度から外れるほどローリング用アクチュエータの目標作動速度が大きくり、ローリング用アクチュエータはこの目標作動速度で作動する。
ここで、このローリング用アクチュエータの実際の作動速度がが設定以上に大きくなると、昇降用アクチュエータの作動速度のみが通常の自動昇降制御における作動速度よりも増大変更されるか、あるいは、昇降用アクチュエータの作動速度が通常の自動昇降制御における作動速度よりも増大されるとともに自動昇降制御系の不感帯が小さくなるよう制御特性が変更される。
【0025】
従って、請求項6に係る発明によると、走行機体が左右方向に急激に大きく傾斜すると、自動昇降制御系の応答性が高められることになり、設定作業高さからの外れが少ない高精度の作業高さ制御を実行することができる。
【0026】
請求項7に係る発明は、請求項1〜6のいずれか一項の発明において、
前記自動ローリング制御系における左右傾斜角度検出手段が、左右方向の角速度を検出する角速度センサと、左右方向の絶対角度を検出する傾斜センサとからの情報に基づいて走行機体の左右傾斜角度を算出するものである。
【0027】
上記構成によると、例えば、温度等の諸条件によってドリフトする角速度センサの零点を時間経過に伴って更新して補正するセンサ零点補正処理がなされ、この零点と実検出値との差を で積分分処理することで傾斜角度が演算される。また、このようにして算出された演算傾斜角度と傾斜センサから得られる検出傾斜角度との偏差をフィードバックすることで、積分処理による誤差の集積を消去することができる。
【0028】
従って、請求項7に係る発明によると、ローリング制御を応答性の高い高精度なものにすることができるとともに、走行機体が左右方向に急激に傾斜すると、自動昇降制御系の応答性が高められて、設定作業高さからの外れが少ない高精度の作業高さ制御を実行することができる。
特に、作業装置が耕耘装置である場合、左右水平制御と耕深制御を行う場合、耕深が左右均一で、かつ、精度の高い、仕上がりの優れた耕耘を行うことができるものとなる。
【0029】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
図1は農作業機の一例である農用トラクタの全体を、また、図2はその後部を示しており、走行機体としてのトラクタ本機1は、操向輪としての前輪2と主推進車輪としての後輪3とで走行する4輪駆動型に構成され、機体後部に配備されたミッションケース4に、トップリンク5aと左右一対のロアーリンク5bからなる3点リンク機構5を介して、対地作業装置の一例であるロータリ型の耕耘装置6が連結されている。ミッションケース4の上部には、単動型の油圧シリンダからなるリフトシリンダ7により上下に揺動駆動される左右一対のリフトアーム8が備えられ、これら左右のリフトアーム8と左右のロアーリンク5bとが、リフトロッド9、及び複動型の油圧シリンダからなるローリングシリンダ10を介してそれぞれ連結されている。
【0030】
図2および図3に示すように、昇降用アクチュエータとしての前記リフトシリンダ7に接続された電磁制御弁11が制御装置12により操作されて、リフトシリンダ7及びリフトアーム8によりロータリ耕耘装置6が昇降駆動される。また、ローリング用アクチュエータとしての前記ローリンシリンダ10に接続された電磁制御弁13が制御装置12により操作されて、ローリンシリンダ10が伸縮作動されることで耕耘装置6がローリング駆動されて、その左右傾斜角度が変更されるようになっている。
【0031】
この農用トラクタは、耕耘装置6の耕深を設定値に維持する自動耕深制御、トラクタ本機1に対する耕耘装置6の高さを任意に調節するポジション制御、および、水平面に対するロータリ耕耘装置6の左右方向の傾斜角度を設定角度に維持する自動ローリング制御が可能となっている。
【0032】
耕耘装置6の後部には、耕耘跡を鎮圧整地する後カバー15が上下揺動自在かつ下方付勢状態に備えられ、この後カバー15の上下揺動角度を検出する耕深センサ16が備えられて、その検出信号が実耕深信号として前記制御装置12に入力されている。他方、制御装置12には、ダイヤル操作式のポテンショメータからなる耕深設定器17と自動耕深制御を入り切りするオンオフスイッチ18が接続されており、このオンオフスイッチ18を「入り」にしておくと、耕深センサ16の検出値が耕深設定器17の設定値と均衡するように電磁制御弁11が操作されて、リフトシリンダ7により耕耘装置6が自動的に昇降駆動されることで、実耕深が耕深設定器17の設定値に対応した深さに安定維持されるようになっている。
【0033】
また、制御装置12には、リフトアーム8の上下角度を検出する角度センサ19と、ポジションレバー20によって操作されるポジション設定器21が接続されており、前記オンオフスイッチ18を「切り」にして自動耕深制御を停止した状態では、ポジション制御のみが実行され、角度センサ19の検出値がポジション設定器21の設定値と均衡するまで電磁制御弁11が操作されて、リフトシリンダ7がその位置に保持される。
【0034】
なお、オンオフスイッチ18を「入り」にしての自動耕深制御中にポジションレバー20を大きく上昇方向に操作すると、耕深設定器17の設定耕深に対応する角度センサ19の検出値と、ポジション設定器21の目標値とが比較されて、ポジション設定器21の目標値の方が高い場合、ポジション制御が優先作動するようになっている。従って、自動耕深制御による耕耘作業において、畦際における機体方向転換時には、ポジションレバー20を上限にまで操作することにより、耕耘装置6を地上に持上げることができ、また、機体方向転換後にポジションレバー20を下限まで操作することで、耕深設定器17で設定されている耕深での自動耕深制御を再開することができる。
【0035】
この農用トラクタでは、耕耘装置6の水平面に対する左右方向の傾斜角度を設定角度に維持するようにローリング駆動する自動ローリング制御手段が備えられており、制御装置12に接続したダイヤル操作式のポテンショメータからなる傾斜設定器25を調節操作することで、耕耘装置6の左右方向の設定角度を任意に変更することができるようになっている。
【0036】
そして、このローリング制御には、前記傾斜設定器25の他に、トラクタ本機1の後部に配備されて機体の左右方向での絶対傾斜角度を検出する傾斜センサ26と、トラクタ本機1の前部に防振状態に搭載されて機体の左右傾斜方向での角速度を検出する振動ジャイロ型の角速度センサ27と、ローリングシリンダ10の作動長さを検出するストロークセンサ28とが利用される。つまり、図4のブロック図に示すように、傾斜センサ26と角速度センサ27からの情報に基づいてトラクタ本機1の左右方向での傾斜角度θが演算され、トラクタ本機1がこの傾斜角度θにある時に耕耘装置5を傾斜設定器25による設定角度にするために必要なローリングシリンダ10の目標シリンダ長さL0 が割り出され、この目標シリンダ長さL0 と、ストロークセンサ28で検出された検出シリンダ長さLとの偏差に基づいて目標速度が算出され、この目標速度でローリングシリンダ10を作動させるように電磁制御弁13が制御されるのである。
【0037】
図5に、傾斜センサ26と角速度センサ27からの情報に基づいてトラクタ本機1の左右傾斜角度θを演算する制御ブロック図が示されている。図から判るように、ここでは、角速度センサ27からの信号を積分することで傾斜角度を演算するとともに、その誤差を傾斜センサ26からの信号で補正する形態が採用されている。
【0038】
つまり、温度等の諸条件によってドリフトする角速度センサ27の零点を時間経過に伴って更新して補正するセンサ零点補正処理がなされる。即ち、角速度センサ27によって検出されるサンプリング出力値の複数が記憶され、記憶された所定複数のサンプリングデータが平均処理されるとともに、ローパスフィルタ(LPF)を用いて平滑化処理されて零点が割り出され、この零点と実検出値との差をゲインK1 で積分分処理することで傾斜角度θが演算されるのである。また、このようにして算出された演算傾斜角度θと傾斜センサ26から得られる検出傾斜角度θrとの偏差にゲインK2 を乗じた値をフィードバックすることで、積分処理による誤差の集積を消去している。
【0039】
また、上記した基本的な自動ローリング制御において、対地作業装置6の傾斜姿勢の安定化を図るために、以下のような制御が付加される。
【0040】
つまり、図6のフローチャートに示すように、先ず、角速度センサ27で検出された角速度dθj/dt(傾斜変化速度)が、予め入力され記憶されているローリングシリンダ10が最大速度でローリング駆動された時のロータリ耕耘装置6の角速度と比較され、機体の傾斜変化速度に対して最大速度でローリング駆動して追随可能であるか否かが判断される。
【0041】
追随可能であることが判断されると、ローリングシリンダ10の目標シリンダ長さL0 と検出長さLとの偏差ΔLに基づいて目標速度が算出され、追随不能であることが判断されると、前記偏差ΔLと角速度センサ27で検出された角速度 dθj/dtに基づいて目標速度が算出される。
【0042】
なお、ローリングシリンダ10の最大速度は、最大速度駆動時における実速度を検出して取り込むこともできる。また、トラクタ本機1の傾斜変化状態が、ローリングシリンダ10の最大速度で耕耘装置6をローリング駆動することで追随可能な状態にあるかどうかを判断する形態としては、ローリングシリンダ10の目標長さL0と検出長さLとの差が、予め入力してある設定範囲内であれば追随可能とし、前記設定範囲を越えると追随不能とみなす形態で実施することもできる。
【0043】
上記のようにローリング制御作動が行われるのは、多くの場合、トラクタ本機1の左右いずれかの車輪が凹部に落ち込んだり、隆起に乗り上がってトラクタ本機1が左右方向に傾斜する場合であるので、このトラクタ本機1の左右傾斜によって耕深が変化する。また、左右傾斜の検知に基づいてローリング制御が実行されても耕深が変化する。そこで、本発明では、ローリング制御作動が行われる場合に、このローリング制御系で得られた情報に基づいて昇降制御系の制御パラメータを変更することで耕深制御の精度を高めるようにしており、以下にその手段について説明する。
【0044】
図8に示すように、設定耕深d0と検出された実耕深dとの偏差Δdに対する電磁制御弁11の作動方向とリフトシリンダ7の制御流量(作動速度)は予め2種の特性A,Bのマップデータとして入力格納されている。ここで、特性Aは通常の昇降制御用に設定されたものであり、安定性を高めるために不感帯ε1はやゝ大きい目に設定されるとともに、偏差Δdの増大に対する制御流量の増加は比較的穏やかなものとなっている。これに対して、特性Bは、自動ローリング制御系からの情報に基づいて選択利用されるものであって、その不感帯ε2は通常の不感帯ε1より小さく、かつ、偏差Δdの増大に対する制御流量の増加も通常よりも急速なものに設定されている。
【0045】
そして、図7のフロー図に示すように、前記角速度センサ27で検出された角速度 dθj/dtが予め設定された閾値と比較され、検出角速度 dθj/dtが閾値より小さい時には、昇降制御系における目標耕深d0と実耕深dとの偏差Δdに対するリフトシリンダ7の制御流量(作動速度)の関係特性がAに設定され、検出角速度 dθj/dtが閾値以上になると、昇降制御系における目標耕深d0と実耕深dとの偏差Δdに対するリフトシリンダ7のの制御流量(作動速度)の関係特性がBに変更される。
【0046】
従って、トラクタ本機1が急激に左右に傾斜、あるいは、大きく左右に傾斜すると、自動昇降制御における不感帯が通常時よりも小さくなるとともに、リフトシリンダ7の作動速度が通常時よりも速くなり、通常より応答性の高い自動昇降制御が実行されて、機体左右傾斜等に起因する耕深変化に対応した昇降制御が速やかに行われ、実耕深が設定耕深から大きく外れることが抑制されるのである。
【0047】
本発明は、以下のような形態で実施することも可能である。
【0048】
(1)上記実施例では、機体の左右傾斜の度合いによって昇降制御の不感帯、および、昇降用アクチュエータとしてのリフトシリンダ7の作動速度を2段階に切換えるように、2種のマップデータを記憶格納している場合を示したが、3段階あるいはそれ以上に段階的にマップデータを記憶格納して、よりきめ細かく昇降制御の不感帯および作動速度を変更するようにして実施することもできる。
【0049】
(2)リフトシリンダ7の作動速度を決定する手段としては、マップデータを利用する他に、演算式を利用することもできる。
【0050】
(2)機体の左右傾斜の度合いによってリフトシリンダ7の作動速度のみを変更するようにしたり、あるいは、機体の左右傾斜の度合いによって昇降制御の不感帯のみを変更する仕様で実施することによっても、機体左右傾斜に起因する耕深変化に対応した昇降制御を速やかに行うことができ、耕深の安定化に有効となる。
【0051】
(3)機体が左右傾斜した際に自動昇降制御系を補正する自動ローリング制御系のパラメータとして、ローリングシリンダ10の前記目標速度、あるいは、ローリングシリンダ10の実際の作動速度を利用し、これら目標速度あるいは実作動速度が設定した値以上に大きくなると、上記した仕様で自動昇降制御系の応答特性を高めて耕深の精度を高めることもできる。
【0052】
(4)傾斜センサ26および角速度センサの一方、あるいは、両者を作業装置に装備して実施することもできる。
【0053】
(5)機体傾斜角度を傾斜センサ26でのみで検出する仕様で実施することもでき、この場合は、検出した傾斜角度の微分、あるいは、微少時間前後の検出傾斜角度の差分によって傾斜変化速度を得ることができる。
【0054】
(6)機体に装備したCCDカメラなどで取得した撮影画像の解析処理で機体傾斜あるいは作業装置傾斜を検出することも可能である。
【0055】
(7)ローリング用アクチュエータ10の最大速度は、最大速度駆動時における実速度を検出して取り込むこともできる。
【0056】
(8)走行機体1の傾斜変化状態が、ローリング用アクチュエータ10の最大速度で対地作業装置6をローリング駆動することで追随可能な状態にあるかどうかを判断する形態としては、ローリング用アクチュエータ10の目標長さL0と検出長さLとの差が、予め入力してある設定範囲内であれば追随可能とし、前記設定範囲を越えると追随不能とみなす形態で実施することもできる。
【0057】
(9)本発明は、農用トラクタのみならず、走行機体の後部に作業装置としての植付け装置を昇降自在かつローリング自在に備えた乗用田植機に適用することもできる。
【図面の簡単な説明】
【図1】農用トラクタ全体の側面図
【図2】農用トラクタの後部を示す斜視図
【図3】制御装置の概略構成を示すブロック図
【図4】自動ローリング制御系のブロック図
【図5】傾斜角演算用の制御ブロック図
【図6】ローリング制御のフロー図
【図7】自動昇降制御のフロー図
【図8】耕深偏差と昇降作動速度との関係を示す特性線図
【符号の説明】
1 走行機体
6 対地作業装置
7 昇降用アクチュエータ
10 ローリング用アクチュエータ
26 傾斜センサ
27 角速度センサ

Claims (7)

  1. 走行機体に連結した作業装置の圃場面に対する作業高さを設定高さに維持させるように、作業装置の対地高さ検出結果に基づいて作業装置を昇降用アクチュエータによって駆動昇降させる自動昇降制御系と、前記作業装置の左右方向での傾斜姿勢を設定傾斜角度に維持させるように、左右傾斜角度検出結果に基づいて作業装置をローリング用アクチュエータによって駆動ローリングさせる自動ローリング制御系とを備えてある農作業機の制御装置であって、
    前記自動ローリング制御系のパラメータにおける所定の一つのパラメータが設定値以上に大きくなると、前記昇降用アクチュエータの作動速度を増大する修正手段を備えてあることを特徴とする農作業機の制御装置。
  2. 走行機体に連結した作業装置の圃場面に対する作業高さを設定高さに維持させるように、作業装置の対地高さ検出結果に基づいて作業装置を昇降用アクチュエータによって駆動昇降させる自動昇降制御系と、前記作業装置の左右方向での傾斜姿勢を設定傾斜角度に維持させるように、左右傾斜角度検出結果に基づいて作業装置をローリング用アクチュエータによって駆動ローリングさせる自動ローリング制御系とを備えてある農作業機の制御装置であって、
    前記自動ローリング制御系のパラメータにおける所定の一つのパラメータが設定値以上に大きくなると、前記昇降用アクチュエータの作動速度を増大するとともに自動昇降制御系の不感帯を小さくする制御特性変更手段を備えてあることを特徴とする農作業機の制御装置。
  3. 前記自動ローリング制御系における所定のパラメータが左右傾斜角度の変化量である請求項1または2に記載の農作業機の制御装置。
  4. 前記自動ローリング制御系における所定のパラメータが左右傾斜の角速度である請求項1または2に記載の農作業機の制御装置。
  5. 前記ローリング制御系における所定のパラメータがローリング用アクチュエータの目標作動速度である請求項1または2に記載の農作業機の制御装置。
  6. 前記自動ローリング制御系における所定のパラメータがローリング用アクチュエータの実作動速度である請求項1または2に記載の農作業機の制御装置。
  7. 前記自動ローリング制御系における左右傾斜角度検出手段が、左右方向の角速度を検出する角速度センサと、左右方向の絶対角度を検出する傾斜センサとからの情報に基づいて走行機体または作業装置の左右傾斜角度を算出するものである請求項1〜6のいずれか一項に記載の農作業機の制御装置。
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