JP5514662B2 - 電動乗用草刈機 - Google Patents

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Description

本発明は、回転して草を刈るモアブレードと、モアブレードを上方および側方から覆う略深皿状のモアデッキとを備え、モータによってモアブレードを回転させる乗用草刈機に関する。
近年、地球温暖化防止の観点から、温室効果ガスを含む排気ガスを規制する動きが社会的潮流となってきた。この動きに対する対応は自動車産業において顕著であり、ハイブリッドカー、電気自動車など、いわゆるエコカーの開発が進められている。特に、近年、バッテリーを電源とした電気自動車の実用化に対する技術開発が活発化している。
しかし、このような技術開発は、農業機械の分野においてはさほど活発ではない。特に、乗用の芝刈機の分野においては実施可能レベルの技術開発がなされていないのが現状である。したがって、電動による乗用草刈機を開発することは重要な意義を持っている。
一方、従来より、エンジン搭載の乗用ローンモア(乗用草刈機)は、回転して草を刈るモアブレードと、2つのモアブレードを上方および側方から覆う略深皿状のモアデッキとを備え、車両の走行およびモアブレードの回転をエンジンの駆動力によってまかなっていた。このような乗用ローンモアでは、リンクなどのデッキ昇降手段を介してモアデッキを車両本体に懸架し、昇降レバーを操作することでデッキ昇降手段によってモアデッキを昇降させて、所望の刈高さで芝刈りを行っていた。
特開平05−095716号公報
しかし、このようなローンモアでは、平坦面にて刈高さを設定するため、作業中に地面が隆起している箇所に出くわしたとしても、刈高さを地面の起伏に合わせることができず、その起伏箇所だけ刈高さが設定値と異なってしまうという問題があった。そこでこの発明は、起伏があっても刈高さを一定に保持可能な電動の乗用草刈機を提供することにある。
このため請求項1に記載の発明は、回転して草を刈るモアブレードと、
該モアブレードを上方および側方から覆う略深皿状のモアデッキと、
該モアデッキ上に配置されるとともに、前記モアブレードの回転軸に取り付けられたモアモータと、
該モアデッキを左右両側にそれぞれ上下回動可能に懸架し、かつ、進行方向に延設される支持フレームと、
前記モアデッキを前記支持フレームとの間に懸架するとともに、前記モアデッキを上下に回動させるための伸縮手段と、
走行面の起伏を検出する検出手段とを備え、
該検出手段が検出した走行面の起伏に従って、それぞれの前記モアデッキが独立して前記支持フレームに沿って上下に回動するとともに、
前記モアデッキを昇降させるデッキ昇降手段と、
該デッキ昇降手段と連結され、該デッキ昇降手段を操作するための昇降操作ペダルと、
前記デッキ昇降手段の昇降をロックするためのロック手段と、
該ロック手段を設定および解除するためのロック操作ペダルとを備えることを特徴とする。
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の電動乗用草刈機において、前記支持フレームの先端部下方に走行車輪を備えるとともに、
該支持フレームの先端部に前記検出手段を備える電動乗用草刈機であって、
前記検出手段が加速度センサであることを特徴とする。
請求項3に記載の発明は、請求項1または2に記載の電動乗用草刈機において、前記伸縮手段が油圧で伸縮することを特徴とする。
請求項1に記載の発明によれば、回転して草を刈るモアブレードと、モアブレードを上方および側方から覆う略深皿状のモアデッキと、モアデッキ上に配置されるとともに、モアブレードの回転軸に取り付けられたモアモータと、モアデッキを左右両側にそれぞれ上下回動可能に懸架し、かつ、進行方向に延設される支持フレームと、モアデッキを支持フレームとの間に懸架するとともに、モアデッキを上下に回動させるための伸縮手段と、走行面の起伏を検出する検出手段とを備え、検出手段が検出した走行面の起伏に従って、それぞれのモアデッキが独立して支持フレームに沿って上下に回動するとともに、モアデッキを昇降させるデッキ昇降手段と、デッキ昇降手段と連結され、デッキ昇降手段を操作するための昇降操作ペダルと、デッキ昇降手段の昇降をロックするためのロック手段と、ロック手段を設定および解除するためのロック操作ペダルとを備える。
このため、作業中に地面の起伏に出くわしたとしても、刈高さをその起伏に合わせることが容易にでき、その起伏箇所の刈高さも他の部分の刈高さとそろえることができる。したがって、起伏があっても刈高さを一定に保持可能な電動の乗用草刈機を提供することができる。また、モアブレードユニットが支持フレームの左右に設けられ、かつ、それぞれのモアブレードユニットが独立して回動することが可能なので、支持フレームの左右で地形が異なるような場合(例えば、支持フレームの右側に隆起があり、左側は平坦であるような場合)には、左右のモアブレードユニットが異なる角度に回動することで、刈高さを一定に保つことができる。
また、足で操作することでモアデッキの昇降を行うことができる。また、足で操作をするので、腕で操作レバーを操作するのにくらべて大きな力を用いることができ、モアブレードユニットの重量がかさむような場合であっても操作性がよい。
請求項2に記載の発明によれば、支持フレームの先端部下方に走行車輪を備えるとともに、支持フレームの先端部に検出手段を備える電動乗用草刈機であって、検出手段が加速度センサであるので、走行車輪がとらえる走行面の起伏を加速度センサで検知し、精度よく走行面の起伏を検出することができる。これによって、モアデッキを起伏に合わせて精度よく回動させて刈高さを調節することができる。
請求項3に記載の発明によれば、伸縮手段が油圧で伸縮するので、大きな力の負荷がかかった伸縮操作に適する。したがって、重量のあるモアモータを載置したモアデッキを確実に回動操作することができる。
この発明の乗用草刈機の一例としての、電動ローンモアの左側からの側面図である。 その平面図である。 その正面図である。 その要部を拡大した左側からの側面図である。 その要部を拡大した右側からの概略側面図である。 (a)はモアデッキ付近の拡大斜視図、(b)はメインフレームの要部拡大断面図である。 モアデッキ付近のさらに拡大斜視図である。 保持部の拡大斜視図である。 油圧シリンダ付近の拡大斜視図である。 連結部材の詳細な構造を示す図であり、(a)は側面図、(b)および(c)は(a)の一部拡大図、(d)は(b)のX矢視図、(e)は(d)のY矢視図である。 モアデッキが上下方向に回動する様子を示すための要部概略斜視図である。 この例の電動ローンモアで芝刈りをする様子を示す正面図であり、(a)はモアデッキ近傍の走行面の左側が隆起している場合、(b)は走行面の右側が隆起している場合、(c)は走行面の左右両側が隆起している場合、(d)は走行面の左右両側が窪んでいる場合を示す。
以下、図面を参照しつつ、この発明を実施するための最良の形態について詳述する。なお、この明細書において、「前」とは乗用草刈機の前進方向を、「後」とは後進方向を、「左右」とはそれぞれ、前進方向に向かって「左右」を、「上下」とはそれぞれ、車両の「上下」方向を意味するものとする。図1〜5にはそれぞれ、この発明の電動乗用草刈機の一例としての、電動ローンモア10の左側からの側面図、平面図、正面図、拡大した左側からの側面図、拡大した右側からの概略側面図を示す。電動ローンモア10は、前輪11、後輪12,12、運転席13、走行操作レバー14,14、モアブレード(不図示)、モアデッキ15,15などを備えてなる。前輪11は1つであり、電動ローンモア10の前端部中央に備える。前輪11はその中心に金属製のホイールを備え、ホイールの外側にはゴム製のタイヤを備える。ホイールの回転中心には車軸11Aを貫通させる。ホイールは、車軸11Aに対して回転自在となっている(すなわち、前輪11は従動回転する)。
車軸11Aは、前輪ブラケット16の下端部に取り付けられている。前輪ブラケット16は、金属板を門型状に形成してなる。前輪ブラケット16の天面には円筒部17を載置する。円筒部17の中心には回動軸を備え、回動軸の下端は前輪ブラケット16にボルトなどで固設する。円筒部17の上下端にはそれぞれドーナツ状の金属板の蓋部を固設し、蓋部の中心には回動軸を回動自在に取り付ける。円筒部17の側面には、メインフレーム(支持フレーム)18の先端を溶接などで固定する。メインフレーム18は、縦断面視で門型状となる金属製である。メインフレーム18の前端部の両側には、それぞれフットレスト19,19を支持部材19A,19Aを介して固設する。
メインフレーム18の下方の両側には、モアデッキ15,15を備える。モアデッキ15,15内にはそれぞれモアブレードを回転自在に備える。この例の電動ローンモア10には2つのモアデッキ15を備え、それぞれのモアデッキ15内には、1つのモアブレードを備える。そして、このモアブレードの中央部は、モアデッキ15の上面に載置されたモアモータ20の出力軸に固設されている(モアデッキ15、モアブレード、モアモータ20を合わせてモアブレードユニットと称する)。
モアデッキ15,15はそれぞれ、2つのデッキアーム(デッキ昇降手段)21A,21Bを介してメインフレーム18に懸架されている。デッキアーム21Aの先端は後述するように、回動軸29によってメインフレーム18に回動自在に取り付けられている。一方、デッキアーム21Bの先端は、(図6(a)に示すように)ピンP4によってメインフレーム18に回動自在に取り付けられている。
メインフレーム18の後端部にはシャーシ27を連結する。シャーシ27は金属製の角筒で、平面視で略四角状に閉じた形状に形成される。シャーシ27上には載置板を介してバッテリー30を3つ並べて平置きにする。バッテリー30は、リチウムイオン電池を用いることが望ましい。詳しくは、二酸化マンガンリチウム電池、フッ化黒鉛リチウム電池、塩化チオニルリチウム電池、酸化銅リチウム電池、二硫化鉄リチウム電池、ヨウ素リチウム電池など、エネルギー密度が高く、寿命が長いものを用いることが望ましい。3つのバッテリー30は直列に接続される(直列の端子電圧は72V)。なお、バッテリー30の上方には不図示の収納ケースを備え、バッテリー30のコントローラ(電圧均等装置)などの電子機器を収納する。バッテリー30のコントローラは、バッテリー30の微小な電圧の変動を補正するものである。
そして、バッテリー30を上方から覆うようにカウル28を設ける。カウル28は強化プラスチック製で複雑な曲面形状を一体成形によって形成する。カウル28の上面には、座席載置部材(不図示)を介して運転席13を取り付ける。座席載置部材は、運転席13を運転者の好みに応じて前後方向にスライド可能とするものである。なお、カウル28の左側面には、給電口を設けて、バッテリー30を充電できるようにしてもよい。この場合、給電口にはプラグを備え、家庭の電源に接続した電気コードを差し込んで、バッテリー30を充電する。バッテリー30とプラグとの間にはACアダプタおよび充電装置を適宜備える。
シャーシ27の下方には、走行用モータ31を備える。走行用モータ31は、左右の後輪12,12に対して1つずつ備える。なお、走行用モータ31は、インホイールモータを適用してもよい。走行用モータ31のモータドライバはバッテリー30上の収納ケース(不図示)に収納する。
走行用モータ31のモータドライバは、走行操作レバー14の傾動量に応じて走行用モータ31の回転方向および回転速度を制御する。なお、モアモータ20の回転は、走行用モータ31の回転数と連動するように制御される。すなわち、走行スピードを速めると、モアブレードの回転数も速まり、走行スピードを落とすと、モアブレードの回転数も遅くなる。
走行操作レバー14は傾動可能に設けられ、運転者が走行操作レバー14を前に倒すと走行用モータ31が前進方向に回転する。一方、走行操作レバー14が後に倒されると走行用モータ31は後進方向に回転する。さらに、走行操作レバー14の傾動度合いによって走行用モータ31の回転速度が変化する。すなわち、走行操作レバー14を大きく前(後)に倒すと、走行用モータ31が前進(後進)方向により早く回転し、走行操作レバー14を小さく前(後)に倒すと、走行用モータ31が前進(後進)方向にゆっくりと回転する。運転席13の左右に備える走行操作レバー14,14はそれぞれ左右の走行用モータ31,31の操作に対応している。したがって、運転者は、左右の走行操作レバー14,14を前後に適宜操作することで、前後進、左右折、旋回などを行うことができる。
メインフレーム18の中央部付近の左右側面にはそれぞれ、ロック解除ペダル(ロック操作ペダル)33とデッキ昇降ペダル(昇降操作ペダル)34を回動自在に備える。ロック解除ペダル33は、ペダル板に金属板製のブーメラン状のアーム部の一端を取り付け、そのアーム部の後端には、三角形状の爪部33Aを突設してなる。この爪部33Aにかみ合う歯車35をメインフレーム18に回動自在に取り付ける。詳しくは、回動軸29をメインフレーム18の左右方向に貫通して回動自在に設け、回動軸29の左端(すなわち、メインフレーム18の左外側)に歯車35の中心を固設する。また、回動軸29の中心付近(すなわち、メインフレーム18の内側)には、デッキアーム21Aの先端を固設する。なお、コイルバネ36の一端をロック解除ペダル33のアーム部の後部に取り付けるとともに、コイルバネ36の他端をメインフレーム18に(ブラケットを介して)取り付ける。このコイルバネ36の付勢力によって、ロック解除ペダル33はその爪部33Aが常時、歯車35にかみ合うようになっている。爪部33Aと歯車35とでロック手段を構成する(なお、図1,4では、爪部33Aが歯車35から外れた状態、すなわち、ロックが解除された状態を示している)。
一方、デッキ昇降ペダル34は、ペダル板に金属板製のブーメラン状のアーム部34Aの一端を取り付けてなる。そのアーム部34Aの途中には回動軸34Bを設ける。したがって、アーム部34Aは、回動軸34Bの回りに回動自在である。そして、アーム部34Aの後端には、ギア歯34Cを形成する。このギア歯34Cにかみ合うギア34Eを回動軸29の右端(すなわち、メインフレーム18の右外側)に固設する。このギア34Eは略扇形の鉄板で形成される。このようにして、ギア34E、回動軸29、歯車35は一体に回動する。
モアデッキ15の取付構造について図6〜9を用いてさらに説明する。なお、2つのモアデッキ15,15の取付構造は、サブフレーム55に対して対称であるので、ここでは左側のモアデッキ15について説明する。モアデッキ15は略円形の鉄製の深皿状に形成され、モアブレードを上方と側方より覆うように配置される。モアデッキ15の略中央部には、モアモータ20の出力軸を貫通させるための貫通孔を設ける。モアモータ20は、モアデッキ15の天部15Aの略中央に載置され、ボルトなどによって固定される。また、モアデッキ15内部に突出したモアモータ20の出力軸にはモアブレードの回転中心を連結する。モアモータ20の(電動ローンモア10の前後方向の)側面には、鉄製のパイプからなる支持棒40A,40Bをボルトなどで固設する。
詳しくは、モアモータ20(のケース)の側面に形成された平坦面状の取付部20Aと、支持棒40Aの後端部に形成された板状の取付部40AEとを合わせ、ボルトなどで両者を固定する。同様にして、モアモータ20の取付部20Aと、支持棒40Bの前端部に形成された板状の取付部40BEとを合わせ、ボルトなどで両者を固定する。
支持棒40Aは直線状に形成され、その表面には、取付部40AEに隣接するようにステー43Aを設ける。ステー43Aは、油圧シリンダ42Aの一端を取り付けるためのものである(油圧シリンダ42Aの他端は、後述する支持ブラケット60に取り付ける)。ステー43Aは、1対の鉄片を所定の間隔をもって支持棒40Aに溶接などで固設されてなる。ステー43Aが支持棒40Aに当接する箇所は、ステー43Aの外周に沿うように円弧状に切り欠かれている。ステー43Aの中央部にはピンP5を嵌めつけるための貫通孔を形成する。ステー43Aには、連結部材45をピンP5を介して回動自在に取り付ける。そして、油圧シリンダ42Aの下端を連結部材45に固設する。
支持棒40Aの表面には、ステー43Aに隣接して規制部材41を設ける。規制部材41はモアデッキ15が回動する際、回動方向をガイドするものである。規制部材41は、その先端を支持棒40Aに溶接などで固定する。規制部材41は四角筒状の金属製フレームで形成され、支持棒40Aに固設する部分は、支持棒40Aの外周に沿うように円弧状に切り欠かれている(規制部材41の断面はその上下方向において支持棒40Aの断面よりも大きい)。
規制部材41の略中央部分には幅方向両側に貫通孔を設け、ピンP1を嵌め付ける。このピンP1はピン受部材44に支持されている。ピン受部材44は、断面視U字状の金属片で底面をモアデッキ15の天部15Aに溶接などで固定する。規制部材41は、支持棒40Aとモアデッキ15とを固定的に連結するためのものである(後述するように、規制部材41は、モアデッキ15を回動させる際のガイド部材としての役割もある)。
そして、規制部材41の後端は、保持部50の上部に入り込んでいる(保持部50と規制部材41との間には一定の間隙が設けられている)。この保持部50は、サブフレーム55を挟んで反対側にあるモアブレードユニットの支持棒40Bを取り付けるものである(保持部50の詳細については後述する)。
モアモータ20に対して支持棒40Aと反対側に支持棒40Bを設ける。支持棒40Bは、その中央付近の屈曲部40B1にて略直角に2度屈曲してなる。すなわち、モアモータ20より水平に延出した支持棒40Bは、一旦、下方に屈曲し、その後、車幅方向の内側に向けて屈曲する。支持棒40Bの表面には、取付部40BEに隣接するようにステー43Bを設ける。ステー43Bは、油圧シリンダ42Bの一端を取り付けるためのものである(油圧シリンダ42Bの他端は、後述する支持ブラケット61に取り付ける)。ステー43Bは、1対の金属片を所定の間隔をもって支持棒40Bに溶接などで固設されてなる。ステー43Bが支持棒40Bに当接する箇所は、ステー43Bの外周に沿うように円弧状に切り欠かれている。ステー43Bの中央部にはピンP5を嵌めつけるための貫通孔を形成する。ステー43Bには、連結部材45をピンP5を介して回動自在に取り付ける。そして、油圧シリンダ42Bの下端を連結部材45に当接させる。
支持棒40Bの表面には、ステー43Bに隣接して固定部材46の先端を溶接などで固定する。固定部材46は四角筒状の金属製フレームで形成され、支持棒40Bに固設する部分は、支持棒40Bの表面に追随するように切り欠かれている(固定部材46の断面はその上下方向において支持棒40Bの断面よりも大きい)。支持棒40Bの後端部分には貫通孔を設け、ピンP3を嵌め付ける。このピンP3はピン受部材47に支持されている。ピン受部材47は、断面視U字状の金属片で底面をモアデッキ15の天部15Aに溶接などで固定する。固定部材46は、支持棒40Bとモアデッキ15とを固定的に連結するためのものである。
支持棒40Bの後端部40BBは、保持部50内に回動自在に保持されている。保持部50は金属製で、横断面視において略U字状に形成される。保持部50の下部50Bは上部50Aに比べて幅が広くなっているとともに、切り欠き50Cが形成され、その切り欠き50Cの下端部の両側板間に金属製の丸棒55Bが渡されている。丸棒55Bの外周には回動筒55Cが回動自在に取り付けられている。支持棒40Bの後端部40BBは、回動筒55Cの表面に溶接などで固定されている(後端部40BBの端面を回動筒55Cの外周に沿うように切り欠いて溶接などで両者を固定する)。これによって、支持棒40Bは回動筒55Cの回動中心線CLを回動中心として上下方向に回動する。支持棒40Bはモアデッキ15に固設されているので、回動中心線CLがモアデッキ15が上方に回動する際の回動中心線ともなる。
丸棒55Bの一端は、サブフレーム(デッキ昇降手段)55の端部に取り付けられたリブ55Aの下端に溶接などによって固定される。一方、丸棒55Bと保持部50とはリング55Dを介して固定される。なお、丸棒55Bの軸芯とサブフレーム55の延出方向とは一致している。また、サブフレーム55の延出方向とメインフレーム18の延出方向とも一致している。これらはいずれも電動ローンモア10の前進方向である。丸棒55B、保持部50、リング55Dは全て金属製であり、丸棒55Bとリング55D、リング55Dと保持部50とがそれぞれ溶接などによって固定される。なお、サブフレーム55は金属製の角筒状に形成される。
保持部50は、サブフレーム55の両端にそれぞれ備えられる。サブフレーム55上には、支持ブラケット60,60を所定の間隔をもって備える(支持ブラケット60,60は、サブフレーム55の長手方向の一方側と他方側とにそれぞれ張り出して設けられる)。支持ブラケット60は、油圧シリンダ(伸縮手段)42Aを懸架するためのものであり、サブフレーム55に溶接などで固定される。支持ブラケット60,60の間には、アームブラケット56,57を備える。アームブラケット56は、デッキアーム21Aの下端を回動自在にサブフレーム55に固定するためのものであり、アームブラケット57は、デッキアーム21Bの下端を回動自在にサブフレーム55に固定するためのものである。そして、アームブラケット56,57の間には、別の支持ブラケット61,61を隣接して設ける(支持ブラケット61,61は、サブフレーム55の長手方向の一方側と他方側とにそれぞれ張り出して設けられる)。支持ブラケット61は、油圧シリンダ(伸縮手段)42Bを懸架するためのものである。
支持ブラケット61は、アームブラケット56を挟んで反対側に設けられた支持ブラケット60とは(サブフレーム55の長手方向に対して)逆側に張り出すように備える。同様に、支持ブラケット61をアームブラケット57から一定の距離を隔ててサブフレーム55上に固設する。この支持ブラケット61は、アームブラケット57を挟んで反対側に設けられた支持ブラケット60とは(サブフレーム55の長手方向に対して)逆側に張り出すように備える。
支持ブラケット60と支持ブラケット61は同一形状に形成される。支持ブラケット60,61は、金属製のフレームで、側面視で略L字状に形成される(図9中では、アームブラケット56,57は省略している)。支持ブラケット60,61の上端部には張出部60A,61Aを設ける。この張出部60A,61Aの両側には貫通孔を設け、ピンP2を嵌めつける。そして、連結部材45を介して油圧シリンダ42Aの先端を張出部60Aに、油圧シリンダ42Bの先端を張出部60Bにそれぞれ取り付ける。
アームブラケット56,57は、それぞれ金属板を幅方向に略直角に2回折り曲げて断面視が略門型(アーチ)状に形成される。そして、両側にピンP4を貫通させるための貫通孔を設ける。アームブラケット56,57は、それらの下端をサブフレーム55に溶接などで固定する。アームブラケット56には、その側面を外側からデッキアーム21Bの下端で覆い、両者をピンP4で取り付ける。なお、デッキアーム21Bは、アームブラケット56に対して回動自在である。アームブラケット57には、その側面を外側からデッキアーム21Aの下端で覆い、両者をピンP4で取り付ける。なお、デッキアーム21Aは、アームブラケット57に対して回動自在である。
油圧シリンダ42A,42B(油圧シリンダ42Aと油圧シリンダ42Bとは同一に形成される)は、不図示のパイプを介してオイルタンクに接続されており、ピストンの作動は作動油の流入出によってなされる。この油圧シリンダの構成には既存の技術を用いる。加速度センサ(検出手段)150からの情報をもとにして不図示の制御部が操作要求を出し、これに基づいて作動油の流入出がなされることで油圧シリンダ42A,42Bが伸縮する。加速度センサ150はメインフレーム18に配置される。加速度センサ150はメインフレーム18の前部で、かつ、円筒部17の後方にブラケット151を介して取り付けられる。
ブラケット151は、矩形の金属板を折り曲げて略U字状に形成する。ブラケット151の両側部には、ボルトBTを通すための貫通孔をそれぞれ2箇所ずつ形成する(この貫通孔に対応する貫通孔をメインフレーム18に形成する)。また、ブラケット151の底部にはボルトBT1を通すための4つの貫通孔を形成する。そして、加速度センサ150をブラケット151の底部に載置して、加速度センサ150をブラケット151の底部に4つのボルトで固定する。次に、ブラケット151をボルトBTにてメインフレーム18に固定する。
加速度センサ150は、電動ローンモアが走行する際の路面の起伏を検出するものであり、検出した起伏に応じて制御部が油圧シリンダ42A,42Bを伸縮させて、モアデッキ15を上下に回動させる(この発明では、走行面の隆起のみでなく、窪みに対してもモアデッキ15の刈高さを一定にすることができる)。なお、加速度センサ150は、機械式、光学式、半導体式などいずれのタイプであってもよいが、半導体式が小型化する際には適当である。半導体を用いる場合、MEMS(Micro Electro Mechanical Systems)の技術を適用することで小型化をいっそう達成することができる。
油圧シリンダ42Aは、その両端に保持部材45が固設され、それぞれ、支持ブラケット60、ステー43Aにとり付けられている。油圧シリンダ42Aは、シリンダ本体42A3、ピストン42A1、ピストンロッド42A2などで構成される。そして、不図示のチューブが接続され、作動油が流入出するようになっている。油圧シリンダ42Bは、その両端に保持部材45が固設され、それぞれ、支持ブラケット61、ステー43Bにとり付けられている。油圧シリンダ42Bは、シリンダ本体42B3、ピストン42B1、ピストンロッド42B2などで構成される。
図10には油圧シリンダ42Bと連結部材45との構成を示す。連結部材45は金属製で、円筒部45A、連結部45B、台座部45Cからなり、これらは一体に形成される。円筒部45Aには、ピンP2(またはピンP5)を貫通させて、連結部材45を支持ブラケット61(またはステー43B)に回動自在に取り付けるためのものである(連結部材45の後端部とピンP2との間には一定の隙間がある)。連結部45Bは円筒状の円筒部45Aと円板状の台座部45Cとを連結するためのものである。台座部45Cはシリンダ本体42B3(または、ピストンロッド42B2)を固設させるためのものであり、その直径は、シリンダ部の外径以上であることが望ましい。製造工程を簡略化させるため、この例では、シリンダ本体42B3と、ピストンロッド42B2に用いる連結部材45を同一のものを用いているがこれに限定されるものではない。なお、この例では、連結部材45は、シリンダ本体42B3およびピストンロッド42B2に対して共通に用いられる。このように部品を共有化することで、製造コストを低減することができる(この発明は、部品を共有化することには限定されず、シリンダ本体42B3、ピストンロッド42B2のそれぞれに対して、固有の保持部材を用いるようにしてもよい)。
なお、図11に示すように、モアデッキ15は、走行面の起伏を加速度センサ150によって検知し、油圧シリンダ42A,42Bを作動させることによって能動的に上下回動する。このとき、モアデッキ15の回動中心は、丸棒55Bの回動中心線CLである。油圧シリンダ42A,42Bが縮むことでモアデッキ15が上方に回動し、油圧シリンダ42A,42Bが伸びることでモアデッキ15が下方に回動する。なお、モアデッキ15の上下回動の範囲は適宜設定できるものとする。
このように構成された電動ローンモア10を用いて芝を刈る方法を図1〜11を参照しつつ、図12を用いて説明する。まず、芝の刈高さを調節するために、デッキ昇降ペダル34に右足を置く。次に、ロック解除ペダル33を左足で踏み込む。すると、ロック解除ペダル33はコイルバネ36の付勢力に抗して前方に回動する。これによって、爪部33Aが歯車35から外れ、ロックが解除される。モアデッキ15を上昇させたいとき(芝の刈高さを高くしたいとき)は、左足を踏み込んだままの状態で、右足でデッキ昇降ペダル34を踏み込む。すると、回動軸29が後方に向けて回動し、デッキアーム21Aが上昇する。これによって、デッキアーム21Aの後端と連結されたモアデッキ15も上昇する。所望の高さまでモアデッキ15を上昇させたらロック解除ペダル33から左足を離す。すると、コイルバネ36の付勢力によってロック解除ペダル33が回動し、爪部33Aが歯車35とかみ合い、回動軸29の回動がロックされる。これによって、モアデッキ15が所望の高さに保持される。そして、デッキ昇降ペダル34から右足を離す。
一方、モアデッキ15を下降させたいとき(芝の刈高さを低くしたいとき)は、デッキ昇降ペダル34に右足を置く。次に、ロック解除ペダル33を左足で踏み込んで、爪部33Aと歯車35の係合を解除する。デッキ昇降ペダル34に足をかけた状態を保持すると、モアブレードユニットの自重によって回動軸29が前方に向けて回動し、デッキアーム21Aが下降する。これによって、デッキアーム21Aの後端と連結されたモアデッキ15も下降する。所望の高さまでモアデッキ15を下降させたらロック解除ペダル33から足を離す。すると、コイルバネ36の付勢力によってロック解除ペダル33が回動し、爪部33Aが歯車35とかみ合い、回動軸29の回動がロックされる。これによって、モアデッキ15が所望の高さに保持される。そして、デッキ昇降ペダル34から右足を離す。
次に、電動ローンモア10で芝の刈り取りを行う。車両前部の左側の走行面に隆起がある場合(図12(a))は、前輪11がまず、隆起の右端に乗り上げて、車両がわずかに右側に傾く。加速度センサ150は車両の前部の左側に隆起があることを検知し、制御部を介して左側のモアデッキ15に備える油圧シリンダ42A,42Bを所定量だけ縮めるように操作する。これによって、左側のモアデッキ15が回動中心線CLを中心として上側に向けて回動する(符号GBは左右両側の後輪12が走行している平坦な路面を示す)。左側のモアデッキ15が上方に回動することで、このモアデッキ15に固設されている規制部材41の後端は、(右側のモアデッキ15の支持棒50Bと連結された)保持部50内を下方に向けて回動する。油圧シリンダ42A,42Bは、左側のモアデッキ15が地面の起伏に略平行な状態となるように縮む(加速度センサ150と連結された制御部は、隆起がどの程度のものであるかを検出し、油圧シリンダ42A,42Bの縮める量を瞬時に決定する)。このようにして、設定した刈高さに対して大幅に短くなることなく芝を刈ることができる。
車両前部の右側の走行面に隆起がある場合(図12(b))は、前輪11がまず、隆起の左端に乗り上げて、車両がわずかに左側に傾く。加速度センサ150は車両の前部の右側に隆起があることを検知し、制御部を介して右側のモアデッキ15に備える油圧シリンダ42A,42Bを所定量だけ縮めるように操作する。これによって、右側のモアデッキ15が回動中心線CLを中心として上側に向けて回動する(符号GBは左右両側の後輪12が走行している平坦な路面を示す)。右側のモアデッキ15が上方に回動することで、このモアデッキ15に固設されている規制部材41の後端は、(左側のモアデッキ15の支持棒50Bと連結された)保持部50内を下方に向けて回動する。油圧シリンダ42A,42Bは、右側のモアデッキ15が地面の起伏に略平行な状態となるように縮む(加速度センサ150と連結された制御部は、隆起がどの程度のものであるかを検出し、油圧シリンダ42A,42Bの縮める量を瞬時に決定する)。
車両前部の左側の走行面に窪みがある場合(図12(c))は、前輪11がまず、窪みの右端を走行し、車両が左側にわずかに傾く。加速度センサ150は車両の前部の左側に窪みがあることを検知し、制御部を介して左側のモアデッキ15に備える油圧シリンダ42A,42Bを所定量だけ伸ばすように操作する。これによって、左側のモアデッキ15が回動中心線CLを中心として下側に向けて回動する(符号GBは左右両側の後輪12が走行している平坦な路面を示す)。左側のモアデッキ15が下方に回動することで、このモアデッキ15に固設されている規制部材41の後端は、(右側のモアデッキ15の支持棒50Bと連結された)保持部50内を上方に向けて回動する。油圧シリンダ42A,42Bは、左側のモアデッキ15が地面の起伏に略平行な状態となるように伸びる(加速度センサ150と連結された制御部は、隆起がどの程度のものであるかを検出し、油圧シリンダ42A,42Bを伸ばす量を瞬時に決定する)。
車両前部の右側の走行面に窪みがある場合(図12(d))は、前輪11がまず、窪みの左端を走行し、車両が右側にわずかに傾く。加速度センサ150は車両の前部の右側に窪みがあることを検知し、制御部を介して右側のモアデッキ15に備える油圧シリンダ42A,42Bを所定量だけ伸ばすように操作する。これによって、右側のモアデッキ15が回動中心線CLを中心として下側に向けて回動する(符号GBは左右両側の後輪12が走行している平坦な路面を示す)。右側のモアデッキ15が下方に回動することで、このモアデッキ15に固設されている規制部材41の後端は、(左側のモアデッキ15の支持棒50Bと連結された)保持部50内を上方に向けて回動する。油圧シリンダ42A,42Bは、右側のモアデッキ15が地面の起伏に略平行な状態となるように伸びる(加速度センサ150と連結された制御部は、隆起がどの程度のものであるかを検出し、油圧シリンダ42A,42Bを伸ばす量を瞬時に決定する)。
この発明の電動乗用草刈機は、芝刈りに限定されるものではなく、草を刈るためのあらゆる作業に適用しうる。また、駆動源は、モータに限定されるものではなく、エンジンであってもよい。
10 電動ローンモア(電動乗用草刈機)
11 前輪
12 後輪
13 運転席
14 走行操作レバー
15 モアデッキ
15A 天部
18 メインフレーム(支持フレーム)
20 モアモータ
20A 取付部
21A,21B デッキアーム(デッキ昇降手段)
22 ブラケット
23 ゲージホイール(補助車輪)
23A 車軸
24 補助前輪ブラケット
25 円筒部
27 シャーシ
29 回動軸
30 バッテリー
31 走行用モータ
33 ロック解除ペダル(ロック操作ペダル)
33A 爪部(ロック手段)
34 デッキ昇降ペダル(昇降操作ペダル)
34A アーム部
34B 回動軸
34C ギア歯
34E ギア
35 歯車(ロック手段)
36 コイルバネ
40A,40B 支持棒
40AE,40BE 取付部
41 規制部材
42A,42B 油圧シリンダ(伸縮手段)
43A,43B,143A,143B ステー
45 連結部材
46 固定部材
50 保持部
55 サブフレーム(デッキ昇降手段)
56,57 アームブラケット
60,61 支持ブラケット
60A,61A 張出部
150 加速度センサ

Claims (3)

  1. 回転して草を刈るモアブレードと、
    該モアブレードを上方および側方から覆う略深皿状のモアデッキと、
    該モアデッキ上に配置されるとともに、前記モアブレードの回転軸に取り付けられたモアモータと、
    前記モアデッキを左右両側にそれぞれ上下回動可能に懸架し、かつ、進行方向に延設される支持フレームと、
    前記モアデッキを前記支持フレームとの間に懸架するとともに、前記モアデッキを上下に回動させるための伸縮手段と、
    走行面の起伏を検出する検出手段とを備え、
    該検出手段が検出した走行面の起伏に従って、それぞれの前記モアデッキが独立して前記支持フレームに沿って上下に回動するとともに、
    前記モアデッキを昇降させるデッキ昇降手段と、
    該デッキ昇降手段と連結され、該デッキ昇降手段を操作するための昇降操作ペダルと、
    前記デッキ昇降手段の昇降をロックするためのロック手段と、
    該ロック手段を設定および解除するためのロック操作ペダルとを備えることを特徴とする、電動乗用草刈機。
  2. 前記支持フレームの先端部下方に走行車輪を備えるとともに、
    該支持フレームの先端部に前記検出手段を備える電動乗用草刈機であって、
    前記検出手段が加速度センサであることを特徴とする、請求項1に記載の電動乗用草刈機。
  3. 前記伸縮手段が油圧で伸縮することを特徴とする、請求項1または2に記載の電動乗用草刈機。
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