以下、図面を参照しつつ、この発明を実施するための最良の形態について詳述する。なお、この明細書において、「前」とは乗用草刈機の前進方向を、「後」とは後進方向を、「左右」とはそれぞれ、前進方向に向かって「左右」を、「上下」とはそれぞれ、車両の「上下」方向を意味するものとする。図1〜5にはそれぞれ、この発明の電動乗用草刈機の一例としての、電動ローンモア10の左側からの側面図、平面図、正面図、拡大した左側からの側面図、拡大した右側からの概略側面図を示す。電動ローンモア10は、前輪11、後輪12,12、運転席13、走行操作レバー14,14、モアブレード(不図示)、モアデッキ15,15などを備えてなる。前輪11は1つであり、電動ローンモア10の前端部中央に備える。前輪11はその中心に金属製のホイールを備え、ホイールの外側にはゴム製のタイヤを備える。ホイールの回転中心には車軸11Aを貫通させる。ホイールは、車軸11Aに対して回転自在となっている(すなわち、前輪11は従動回転する)。
車軸11Aは、前輪ブラケット16の下端部に取り付けられている。前輪ブラケット16は、金属板を門型状に形成してなる。前輪ブラケット16の天面には円筒部17を載置する。円筒部17の中心には回動軸を備え、回動軸の下端は前輪ブラケット16にボルトなどで固設する。円筒部17の上下端にはそれぞれドーナツ状の金属板の蓋部を固設し、蓋部の中心には回動軸を回動自在に取り付ける。円筒部17の側面には、メインフレーム(支持フレーム)18の先端を溶接などで固定する。メインフレーム18は、縦断面視で門型状となる金属製である。メインフレーム18の前端部の両側には、それぞれフットレスト19,19を支持部材19A,19Aを介して固設する。
メインフレーム18の下方の両側には、モアデッキ15,15を備える。モアデッキ15,15内にはそれぞれモアブレードを回動自在に備える。この例の電動ローンモア10には2つのモアデッキ15を備え、それぞれのモアデッキ15内には、1つのモアブレードを備える(前述の「シングルブレードのモアデッキ」に相当する)。そして、このモアブレードの中央は、モアデッキ15の上面に載置されたモアモータ20の出力軸に固設されている(モアデッキ15、モアブレード、モアモータ20を合わせてモアユニットと称する。なお、モアモータ20は、モータ本体をケーシングに内蔵してなる。ケーシングは、天板の付いた円筒状に形成される)。
モアデッキ15,15はそれぞれ、2つのデッキアーム(昇降手段)21A,21Bを介してメインフレーム18に懸架されている。デッキアーム21Aの先端は後述するように、回動軸29によってメインフレーム18に回動自在に取り付けられている。一方、デッキアーム21Bの先端は、(図6(a)に示すように)ピンP4によってメインフレーム18に回動自在に取り付けられている。
モアデッキ15,15の前部にはそれぞれ、ブラケット22を介してゲージホイール(補助車輪)23を取り付ける。ゲージホイール23は、その中心に金属製のホイールを備え、ホイールの外側にはゴム製のタイヤを備える。ホイールの回転中心には車軸23Aを貫通させる。ホイールは、車軸23Aに対して回転自在となっている(すなわち、ゲージホイール23は従動回転する)。なお、ゲージホイール23は走行面の起伏を検出する。したがって、芝刈りを行うときは、ゲージホイール23は常に接地した状態である。
車軸23Aは、補助前輪ブラケット24の下端部に取り付けられている。補助前輪ブラケット24は、板状の鉄を門型に形成してなる。補助前輪ブラケット24の天面には円筒部25を載置する。円筒部25の中心には回動軸を備え、回動軸の下端は補助前輪ブラケット24にボルトなどで固設する。円筒部25の上下端にはそれぞれドーナツ状の鉄板の蓋部を固設し、蓋部の中心には回動軸を回動自在に取り付ける。
メインフレーム18の後端には、シャーシ27を連結する。シャーシ27は金属製の角筒で、平面視で略四角状に閉じた形状に形成される。シャーシ27上には載置板を介してバッテリー30を3つ並べて平置きにする。バッテリー30は、リチウムイオン電池を用いることが望ましい。詳しくは、二酸化マンガンリチウム電池、フッ化黒鉛リチウム電池、塩化チオニルリチウム電池、酸化銅リチウム電池、二硫化鉄リチウム電池、ヨウ素リチウム電池など、エネルギー密度が高く、寿命が長いものを用いることが望ましい。3つのバッテリー30は直列に接続される(直列の端子電圧は72V)。なお、バッテリー30の上方には不図示の収納ケースを備え、バッテリー30のコントローラ(電圧均等装置)などの電子機器を収納する。バッテリー30のコントローラは、バッテリー30の微小な電圧の変動を補正するものである。
そして、バッテリー30を上方から覆うようにカウル28を設ける。カウル28は強化プラスチック製で複雑な曲面形状を一体成形によって形成する。カウル28の上面には、座席載置部材(不図示)を介して運転席13を取り付ける。座席載置部材は、運転席13を運転者の好みに応じて前後方向にスライド可能とするものである。なお、カウル28の左側面には、給電口を設けて、バッテリー30を充電できるようにしてもよい。この場合、給電口にはプラグを備え、家庭の電源に接続した電気コードを差し込んで、バッテリー30を充電する。バッテリー30とプラグとの間にはACアダプタおよび充電装置を適宜備える。
シャーシ27の下方には、走行用モータ31を備える。走行用モータ31は、左右の後輪12,12に対して1つずつ備える。なお、走行用モータ31は、インホイールモータを適用してもよい。走行用モータ31のモータドライバはバッテリー30上の収納ケース(不図示)に収納する。
走行用モータ31のモータドライバは、走行操作レバー14の傾動量に応じて走行用モータ31の回転方向および回転速度を制御する。なお、モアモータ20の回転は、走行用モータ31の回転数と連動するように制御される。すなわち、走行スピードを速めると、モアブレードの回転数も速まり、走行スピードを落とすと、モアブレードの回転数も遅くなる。
走行操作レバー14は傾動可能に設けられ、運転者が走行操作レバー14を前に倒すと走行用モータ31が前進方向に回転する。一方、走行操作レバー14が後に倒されると走行用モータ31は後進方向に回転する。さらに、走行操作レバー14の傾動度合いによって走行用モータ31の回転速度が変化する。すなわち、走行操作レバー14を大きく前(後)に倒すと、走行用モータ31が前進(後進)方向により早く回転し、走行操作レバー14を小さく前(後)に倒すと、走行用モータ31が前進(後進)方向にゆっくりと回転する。運転席13の左右に備える走行操作レバー14,14はそれぞれ左右の走行用モータ31,31の操作に対応している。したがって、運転者は、左右の走行操作レバー14,14を前後に適宜操作することで、前後進、左右折、旋回などを行うことができる。
メインフレーム18の中央部付近の左右側面にはそれぞれ、ロック解除ペダル(ロック操作ペダル)33とデッキ昇降ペダル(昇降操作ペダル)34を回動自在に備える。ロック解除ペダル33は、デッキ昇降ペダル34の回動をロックしたり解除したりするためのものである。ロック解除ペダル33は、ペダル板に金属板製のブーメラン状のアーム部の一端を取り付け、そのアーム部の後端には、三角形状の爪部33Aを突設してなる。この爪部33Aにかみ合う歯車35をメインフレーム18に回動自在に取り付ける。詳しくは、回動軸29をメインフレーム18の左右方向に貫通して回動自在に設け、回動軸29の左端(すなわち、メインフレーム18の左外側)に歯車35の中心を固設する。また、回動軸29の中心付近(すなわち、メインフレーム18の内側)には、デッキアーム21Aの先端を固設する。
なお、コイルバネ36の一端をロック解除ペダル33のアーム部の後部に取り付けるとともに、コイルバネ36の他端をメインフレーム18に(ブラケットを介して)取り付ける。このコイルバネ36の付勢力によって、ロック解除ペダル33はその爪部33Aが常時、歯車35にかみ合うようになっている。爪部33Aと歯車35とでロック手段を構成する(なお、図1,4では、爪部33Aが歯車35から外れた状態、すなわち、ロックが解除された状態を示している)。
一方、デッキ昇降ペダル34は、モアデッキ15を下降させたり(芝刈状態)、上昇させたり(非芝刈状態)するためのものである。デッキ昇降ペダル34は、ペダル板に金属板製のブーメラン状のアーム部34Aの一端を取り付けてなる。そのアーム部34Aの途中には回動軸34Bを設ける。したがって、アーム部34Aは、回動軸34Bの回りに回動自在である。そして、アーム部34Aの後端には、ギア歯34Cを形成する。このギア歯34Cにかみ合うギア34Eを回動軸29の右端(すなわち、メインフレーム18の右外側)に固設する。このギア34Eは略扇形の鉄板で形成される。このようにして、ギア34E、回動軸29、歯車35は一体に回動する。
モアデッキ15の取付構造について図6〜9を用いてさらに説明する。なお、2つのモアデッキ15,15の取付構造は、サブフレーム55に対して対称であるので、ここでは左側のモアデッキ15について説明する。モアデッキ15は略円形の金属製の深皿状に形成され、モアブレードを上方と側方より覆うように配置される。モアデッキ15の略中央部には、モアモータ20の出力軸を貫通させるための貫通孔を設ける。モアモータ20は、モアデッキ15の天部15Aの略中央に載置され、ボルトなどによって固定される。また、モアデッキ15内部に突出したモアモータ20の出力軸にはモアブレードの回転中心を連結する。モアモータ20の(電動ローンモア10の前後方向の)側面には、鉄製のパイプからなる支持棒(取付部材)40A,40Bをボルトなどで固設する。
詳しくは、モアモータ20のケーシング(モータ本体を覆うケース)の側面に形成された平坦面状の取付部20Aと、支持棒40Aの後端部に形成された板状の取付部40AEとを合わせ、ボルトなどで両者を固定する。同様にして、モアモータ20の取付部20Aと、支持棒40Bの前端部に形成された板状の取付部40BEとを合わせ、ボルトなどで両者を固定する。
支持棒40Aは直線状に形成され、その表面には、取付部40AEに隣接するようにステー(取付部材)43Aを設ける。ステー43Aは、圧縮バネであるコイルバネ(弾性部材)42Aの一端を取り付けるためのものである(コイルバネ42Aの他端は、後述するバネ支持ブラケット60に取り付ける)。ステー43Aは、1対の鉄片を所定の間隔をもって支持棒40Aに溶接などで固設されてなる。ステー43Aが支持棒40Aに当接する箇所は、ステー43Aの外周に沿うように円弧状に切り欠かれている。ステー43Aの中央部にはピンP5を嵌めつけるための貫通孔を形成する。ステー43Aには、バネ保持部材45をピンP5を介して回動自在に取り付ける。そして、コイルバネ42Aの下端をバネ保持部材45に嵌めつける。
支持棒40Aの表面には、ステー43Aに隣接して規制部材41を設ける。規制部材41はモアデッキ15が回動する際、回動方向をガイドするものである。規制部材41は、その先端を支持棒40Aに溶接などで固定する。規制部材41は四角筒状の金属製フレームで形成され、支持棒40Aに固設する部分は、支持棒40Aの外周に沿うように円弧状に切り欠かれている(規制部材41の断面はその上下方向において支持棒40Aの断面よりも大きい)。
規制部材41の略中央部分には幅方向両側に貫通孔を設け、ピンP1を嵌め付ける。このピンP1はピン受部材44に支持されている。ピン受部材44は、断面視U字状の鉄片で底面をモアデッキ15の天部15Aに溶接などで固定する。規制部材41は、支持棒40Aとモアデッキ15とを固定的に連結するためのものである(後述するように、規制部材41は、モアデッキ15を回動させる際のガイド部材としての役割もある)。
そして、規制部材41の後端は、保持部50の上部に入り込んでいる(保持部50と規制部材41との間には一定の間隙が設けられている)。この保持部50は、サブフレーム55を挟んで反対側にあるモアユニットの支持棒40Bを取り付けるものである(保持部50の詳細については後述する)。
モアモータ20に対して支持棒40Aと反対側に支持棒40Bを設ける。支持棒40Bは、その中央付近の屈曲部40B1にて略直角に2度屈曲してなる。すなわち、モアモータ20より水平に延出した支持棒40Bは、一旦、下方に屈曲し、その後、車幅方向の内側に向けて屈曲する。
なお、支持棒40A,40Bの軸心線DL1は、メインフレーム18の延出方向(すなわち、電動ローンモア10の直進方向)と平行である。また、(電動ローンモア10が直進時の)ゲージホイール23の走行軌跡DL2(図6)は軸心線DL1と平行であり、かつ、電動ローンモア10の外側方向に距離Lだけ離れるように形成される。すなわち、ゲージホイール23は、モアデッキ15の前側で、かつ、モアモータ20の中心よりも外側に設けられる。なお、この例では、軸心線DL1は、モアモータ20の中心を通るように構成されているが、この発明はこれに限定されるものではない。
支持棒40Bの表面には、取付部40BEに隣接するようにステー(取付部材)43Bを設ける。ステー43Bは、圧縮バネであるコイルバネ(弾性部材)42Bの一端を取り付けるためのものである(コイルバネ42Bの他端は、後述するバネ支持ブラケット61に取り付ける)。ステー43Bは、1対の金属片を所定の間隔をもって支持棒40Bに溶接などで固設されてなる。ステー43Bが支持棒40Bに当接する箇所は、ステー43Bの外周に沿うように円弧状に切り欠かれている。ステー43Bの中央部にはピンP5を嵌めつけるための貫通孔を形成する。ステー43Bには、バネ保持部材45をピンP5を介して回動自在に取り付ける。そして、コイルバネ42Bの下端をバネ保持部材45に当接させる。
支持棒40Bの表面には、ステー43Bに隣接して固定部材46の先端を溶接などで固定する。固定部材46は四角筒状の金属製フレームで形成され、支持棒40Bに固設する部分は、支持棒40Bの表面に追随するように切り欠かれている(固定部材46の断面はその上下方向において支持棒40Bの断面よりも大きい)。支持棒40Bの後端部分には貫通孔を設け、ピンP3を嵌め付ける。このピンP3はピン受部材47に支持されている。ピン受部材47は、断面視U字状の金属片で底面をモアデッキ15の天部15Aに溶接などで固定する。固定部材46は、支持棒40Bとモアデッキ15とを固定的に連結するためのものである。
支持棒40Bの後端部40BBは、保持部50内に回動自在に保持されている。保持部50は金属製で、横断面視において略U字状に形成される。保持部50の下部50Bは上部50Aに比べて幅が広くなっているとともに、切り欠き50Cが形成され、その切り欠き50Cの下端部の両側板間に金属製の丸棒55Bが渡されている。丸棒55Bの外周には回動筒55Cが回動自在に取り付けられている。支持棒40Bの後端部40BBは、回動筒55Cの表面に溶接などで固定されている(後端部40BBの端面を回動筒55Cの外周に沿うように切り欠いて溶接などで両者を固定する)。これによって、支持棒40Bは回動筒55Cの回動中心線CLを回動中心として上下方向に回動する。支持棒40Bはモアデッキ15に固設されているので、回動中心線CLがモアデッキ15が上方に回動する際の回動中心線ともなる。なお、車両の左右に備えるモアデッキ15,15はそれぞれのゲージホイール23,23が検出する走行面の起伏にしたがって独立に上下回動する。
なお、保持部50の下端にはストッパー55STを設ける。これは、デッキ昇降ペダル34によってモアデッキ15を上昇させて、非芝刈位置とした場合に、コイルバネ42A,42Bの付勢力によってゲージホイール23が接地することを防止するためである。すなわち、モアデッキ15が所定角度以上下方に回動するのを規制するためのものである(この所定角度は適宜設定できるものとする)。
保持部50の前部の下端に断面視にて矩形のストッパー55STを溶接などによって固設する。このストッパー55STは保持部50と溶接可能な金属を用い、かつ、モアユニットを固定している支持棒40Bを支えることができるだけの強度を有するものとする。
丸棒55Bの一端は、サブフレーム(昇降手段)55の端部に取り付けられたリブ55Aの下端に溶接などによって固定される。一方、丸棒55Bと保持部50とはリング55Dを介して固定される。なお、丸棒55Bの軸芯とサブフレーム55の延出方向とは一致している。また、サブフレーム55の延出方向とメインフレーム18の延出方向とも一致している。これらはいずれも電動ローンモア10の前進方向である。丸棒55B、保持部50、リング55Dは全て金属製であり、丸棒55Bとリング55D、リング55Dと保持部50とがそれぞれ溶接などによって固定される。なお、サブフレーム55は金属製の角筒状に形成される。
保持部50は、サブフレーム55の両端にそれぞれ備えられる。サブフレーム55上には、バネ支持ブラケット60,60を所定の間隔をもって備える(バネ支持ブラケット60,60は、サブフレーム55の長手方向の一方側と他方側とにそれぞれ張り出して設けられる)。バネ支持ブラケット60は、コイルバネ42Aの上端を保持するためのものであり、サブフレーム55に溶接などで固定される。バネ支持ブラケット60,60の間には、アームブラケット56,57を備える。アームブラケット56は、デッキアーム21Aの下端を回動自在にサブフレーム55に固定するためのものであり、アームブラケット57は、デッキアーム21Bの下端を回動自在にサブフレーム55に固定するためのものである。そして、アームブラケット56,57の間には、別のバネ支持ブラケット61,61を隣接して設ける(バネ支持ブラケット61,61は、サブフレーム55の長手方向の一方側と他方側とにそれぞれ張り出して設けられる)。バネ支持ブラケット61は、コイルバネ42Bの上端を保持するためのものである。
アームブラケット56,57は、それぞれ金属板を幅方向に略直角に2回折り曲げて断面視が略門型(アーチ)状に形成される。そして、両側にピンP4を貫通させるための貫通孔を設ける。アームブラケット56,57は、それらの下端をサブフレーム55に溶接などで固定する。アームブラケット56には、その側面を外側からデッキアーム21Bの下端で覆い、両者をピンP4で取り付ける。なお、デッキアーム21Bは、アームブラケット56に対して回動自在である。アームブラケット57には、その側面を外側からデッキアーム21Aの下端で覆い、両者をピンP4で取り付ける。なお、デッキアーム21Aは、アームブラケット57に対して回動自在である。
バネ支持ブラケット61は、アームブラケット56を挟んで反対側に設けられたバネ支持ブラケット60とは(サブフレーム55の長手方向に対して)逆側に張り出すように備える。同様に、バネ支持ブラケット61をアームブラケット57から一定の距離を隔ててサブフレーム55上に固設する。このバネ支持ブラケット61は、アームブラケット57を挟んで反対側に設けられたバネ支持ブラケット60とは(サブフレーム55の長手方向に対して)逆側に張り出すように備える。
バネ支持ブラケット60とバネ支持ブラケット61は同一形状に形成される。バネ支持ブラケット60,61は、金属製のフレームで、側面視で略L字状に形成される(図9中では、アームブラケット56,57は省略している)。バネ支持ブラケット60,61の上端部には張出部60A,61Aを設ける。この張出部60A,61Aの両側には貫通孔を設け、ピンP2を嵌めつける。そして、バネ保持部材45を介してコイルバネ42Aの先端を張出部60Aに、コイルバネ42Bの先端を張出部60Bにそれぞれ取り付ける。
バネ保持部材45は金属製で、円筒部45A、接続部45B、台座部45C、ガイド部45Dからなり、これらは一体に形成される(図9)。円筒部45Aには、ピンP2(またはピンP5)を貫通させて、バネ保持部材45をバネ支持ブラケット61(またはステー43B)に回動自在に取り付けるためのものである(バネ保持部材45の後端部とピンP2との間には一定の隙間がある)。接続部45Bは円筒状の円筒部45Aと円板状の台座部45Cとを連結するためのものである。台座部45Cはコイルバネ42Bの端部を当接させるためのものであり、その直径は、コイルバネ42Bの外径以上であることが望ましい。ガイド部45Dは円柱状に形成され、コイルバネ42Bの内側に挿入してコイルバネ42Bの円心がずれるのを内側より防止するためのものである。ガイド部45Dの軸芯は台座部45Cの中心と合わせるようにする。また、ガイド部45Dの外径は、コイルバネ42Bの内径よりも小さくする。
ところで、ゲージホイール23は芝を刈る状態(芝刈位置)では、常に走行面に接地している。コイルバネ42A,42Bは、ゲージホイール23が走行面の小さな凹凸に出くわしたときにも、跳ねることなく常に接地するようにモアデッキ15(およびゲージホイール23)を路面に対して押し当てるように機能する。したがって、モアデッキ15のゲージホイール23が平坦面に接地した状態でコイルバネ42A,42Bは圧縮された状態にある。なお、コイルバネ42A,42Bのバネ定数は同じであることが望ましい。
なお、モアデッキ15のゲージホイール23は芝刈りを行う際には接地しており、走行面の起伏に追随して上下動する(走行面の起伏を検出する)。ゲージホイール23はモアデッキ15の前部の外側寄りに固設されているとともに、支持棒40Bの端部にある丸棒55Bに回動自在に取り付けられている。したがって、図10に示すように、モアデッキ15は、ゲージホイール23の上下動に応じて、従動的に上下回動する。なお、モアデッキ15の回動中心は、丸棒55Bの回動中心線CLである。モアデッキ15が上方に向けて回動するときは、コイルバネ42A,42Bはさらに圧縮され、モアデッキ15が下方に向けて回動するときは、コイルバネ42A,42Bは伸張する。
このように構成された電動ローンモア10を用いて芝を刈る方法を図1〜10を参照しつつ、図11を用いて説明する。まず、モアデッキ15を芝刈状態とするために、デッキ昇降ペダル34に右足を置く。次に、ロック解除ペダル33を左足で踏み込む。すると、ロック解除ペダル33はコイルバネ36の付勢力に抗して前方に回動する。これによって、爪部33Aが歯車35から外れ、ロックが解除される。デッキ昇降ペダル34に足をかけた状態を保持すると、モアユニットの自重によって回動軸29が前方に向けて回動し、デッキアーム21Aが下降する。これによって、デッキアーム21Aの後端と連結されたモアデッキ15も下降する。ゲージホイール23が接地するまでモアデッキ15を下降させたらロック解除ペダル33から足を離す。すると、コイルバネ36の付勢力によってロック解除ペダル33が回動し、爪部33Aが歯車35とかみ合い、回動軸29の回動がロックされる。これによって、モアデッキ15が芝刈状態となる。そして、デッキ昇降ペダル34から右足を離す。
次に、電動ローンモア10で芝の刈り取りを行う様子を図11(a)〜(d)を用いて説明する。平坦な地面Gの芝を刈り取るときは、左右のモアデッキ15,15のゲージホイール23,23は同一高さであり、左右のモアデッキ15,15も水平に保持されて芝を刈る(図11(a))。車両前部の左側が隆起を乗り越える場合には、左側のゲージホイール23が走行面の隆起を検出し、前側の隆起した地面GFに追随して上昇する(図11(b))。これによって、左側のモアデッキ15が保持部50の回動中心線CLを基準として上側に向けて回動する(符号GBは左右両側の後輪12が走行している平坦な路面を示す)。左側のモアデッキ15が上方に回動することで、このモアデッキ15に備える規制部材41の後端は、(右側のモアデッキ15の支持棒50Bと連結された)保持部50内を下方に向けて回動する。なお、モアデッキ15の回動の中心軸はメインフレーム18の延出方向(すなわち、電動ローンモア10の前進方向)である。
左側のモアデッキ15のゲージホイール23が地面GFの隆起に追随することで、モアデッキ15と地面GFとの間の刈高さは所定の値に維持される。したがって、隆起した部分の芝の刈り高さが短くなることを防止することができる。
なお、コイルバネ(弾性部材)42A,42Bがそれぞれモアモータ20の前後側面にステー(取付部材)43A,43Bを介して取り付けられているので、隆起に乗り上げる際に生じる、左側のモアユニット(モアデッキ15、モアブレード、モアモータ20)の上方に向かう慣性エネルギーを効果的に打ち消すことができる。
次に、車両前部の右側が隆起を乗り越える場合には、右側のゲージホイール23が走行面の隆起を検出し、前側の隆起した地面GFに追随して上昇する(図11(c))。これによって、右側のモアデッキ15が(コイルバネ42A,42Bの付勢力に抗して)保持部50の回動中心線CLを基準として上側に向けて回動する(符号GBは左右両側の後輪12が走行している平坦な路面を示す)。右側のモアデッキ15が上方に回動することで、このモアデッキ15に備える規制部材41の後端は、(左側のモアデッキ15の支持棒50Bと連結された)保持部50内を下方に向けて回動する。なお、モアデッキ15の回動の中心軸はメインフレーム18の延出方向(すなわち、電動ローンモア10の前進方向)である。
なお、この場合にも、コイルバネ42A,42Bがそれぞれモアモータ20の前後側面にステー43A,43Bを介して取り付けられているので、隆起に乗り上げる際に生じる、右側のモアユニットの上方に向かう慣性エネルギーを効果的に打ち消すことができる。
さらに、電動ローンモア10の前部の右側に隆起、左側に窪みがある場合には(図11(d))、右側のゲージホイール23が走行面の隆起を検出し、前側の隆起した地面GFに追随して上昇する。これによって、右側のモアデッキ15が(コイルバネ42A,42Bの付勢力に抗して)保持部50の回動中心線CLを基準として上側に向けて回動する。同時に、左側のゲージホイール23が走行面の窪みを検出し、前側の窪んだ地面GFに追随して下降する。これによって、左側のモアデッキ15が保持部50の回動中心線CLを基準として下側に向けて回動する(符号GBは左右両側の後輪12が走行している平坦な路面を示す)。
芝刈りを終えた後は、モアデッキ15を上昇させて、非芝刈状態とする。左足でロック解除ペダル33を踏み込んだ後、右足でデッキ昇降ペダル34を踏み込む。すると、回動軸29が後方に向けて回動し、デッキアーム21Aが上昇する。これによって、デッキアーム21Aの後端と連結されたモアデッキ15も上昇する。所望の高さまでモアデッキ15を上昇させたらロック解除ペダル33から左足を離す。すると、コイルバネ36の付勢力によってロック解除ペダル33が回動し、爪部33Aが歯車35とかみ合い、回動軸29の回動がロックされる。これによって、モアデッキ15が所望の高さに保持される。そして、デッキ昇降ペダル34から右足を離す。
なお、ブラケット22や円筒部25の構造を変更し、車両の上下方向に高さ調節可能とすることで、ゲージホイール23の最下面とモアデッキ15の下面との高さ変更可能としてもよい。このようにすることで、芝の刈高さを調節することができる。
次に、この例の電動ローンモア10のさらに要部を図12,13を用いて説明する。前述したように、メインフレーム(支持フレーム)18の前部には、前輪(検出手段)11が円筒部17を介して取り付けられている。メインフレーム18の後端は、シャーシ27と、回動筒(連結部)73を介して連結されている(図12(b)以外では便宜上、走行用モータ31を省略して描いている)。シャーシ27は、電動ローンモア10の後部の左右に一対備えられる。シャーシ27は、外側シャーシ27Aと内側シャーシ27Bとで構成される。これらはいずれも金属製の角筒で構成され、略L字型に曲げて形成される。そして、外側シャーシ27Aと内側シャーシ27Bとを略四角形を形成するように配置し、両者の一端どうしを溶接などで固定する。一方、外側シャーシ27A,27Aの他端どうしは、金属の円筒からなるリンクバー72を介して連結されている(したがって、リンクバー72はシャーシ27の一部を構成する)。外側シャーシ27Aとリンクバー72の断面形状が異なるので両者の接続部には金属板からなる連結プレート71を介在させる。すなわち、連結プレート71の一方の面には、外側シャーシ27Aの他端を固設し、連結プレート71の他方の面には、リンクバー72の端部を固設する。
リンクバー72の両端部には、それぞれリンクバー72を覆うように連結筒70を設ける。連結筒70は金属製の円筒で形成され、一端は連結プレート71に固設される。そして、連結筒70の上面に、内側シャーシ27Bの他端を溶接などで固定する。なお、内側シャーシ27Bの連結筒70との当接箇所は、連結筒70の外周に合うように適宜、切り欠かれる。
リンクバー72の中央付近にはリンクバー72を覆うように可動筒(連結部)73を回動自在に設ける。可動筒73は金属製の円筒で形成される。可動筒73の上面には、メインフレーム18の後端の下部を溶接などで固定する。なお、メインフレーム18の可動筒73との当接箇所は、可動筒73の外周に合うように適宜、切り欠かれる。このようにして、メインフレーム18はシャーシ(外側シャーシ27Aと内側シャーシ27B)27に対して上下回動自在に取り付けられる。
また、メインフレーム18と内側シャーシ27Bとの間には付勢力付与手段80を取り付ける。付勢力付与手段80の上端は、ピンP7によってメインフレーム18と回動自在に連結される。一方、付勢力付与手段80の下端は、シャーシブラケット81を介して回動自在に連結される。
付勢力付与手段80は、図14に示すように、上部バネ保持部材80B、下部バネ保持部材80Cと両者の間に備えるコイルバネ(圧縮バネ)80Aとで構成される。上部バネ保持部材80Bは、その下部に2つの径の異なる短円柱を重ねてなるバネ保持部80BGを備え、それに連続して主要部80BMを備える。さらに、主要部80BMの上端に連続して接続部80BTを備える。接続部80BTにはピンP7を貫通させ、回動自在に保持するための貫通孔80H1を備える。一方、下部バネ保持部材80Cは、その上部に円柱状のバネ誘導部(コイルバネ80Aの下部のズレ止めとなる)80CTを備え、その下端に連続して、2つの径の異なる短円柱を重ねてなるバネ保持部80CGを備える。バネ保持部80CGの円柱の径は、バネ誘導部80CTのそれよりも大きく形成される。そして、バネ保持部80CGの下端に連続して接続部80CEを備える。接続部80CEには、ピンP8を貫通させ、回動自在に保持するための貫通孔80H2を備える。
このように、付勢力付与手段80は、その上端をピンP7を介してメインフレーム18に回動自在に取り付けられる一方、その下端をピンP8を介してシャーシブラケット81に回動自在に取り付けられる。
シャーシブラケット81は、加工された金属板を2回折り曲げて形成される。中央には前部81Bを備える。前部81BにはピンP8を回動自在に保持する貫通孔81Hを形成する。前部81Bの両側には、前部81Bに連続して側部81A,81Aをそれぞれ備える。側部81Aには、切り欠き81ACを形成する。この切り欠き81ACは、シャーシブラケット81を内側シャーシ27Bに取り付けるために、内側シャーシ27の外形状に合わせて形成されるものである。そして、切り欠き81ACを内側シャーシ27Bの下部に当接させた状態で、シャーシブラケット81を内側シャーシ27Bに溶接などで固定する。
そして、上部バネ保持部材80Bのバネ保持部80BGにコイルバネ80Aの上端を挿入しながら当接させるとともに、下部バネ保持部材80Cのバネ保持部80CGにコイルバネ80Aの上端を挿入しながら当接させるようにして、コイルバネ80Aを装着する。このとき、コイルバネ80Aは、自然長から所定量だけ圧縮された状態で装着される。したがって、メインフレーム18が下方に向けて常時付勢された状態となる。なお、このときのピンP7とピンP8との中心間距離をNとする。
次に、図15を用いてメインフレーム18の作用を説明する(なお、図15では、説明に用いる電動ローンモア10の主要部のみを表示している)。電動ローンモア10の前輪11が上方傾斜角=αの上り斜面UGを走行し始めると(図15(a))、コイルバネ80Aの付勢力に抗してメインフレーム18が上方に向けて回動する(符号FGは後輪12が走行している平坦地面を示す)。このときの回動支点はリンクバー72であり、回動角度=αである。これによって、ピンP7とピンP8との中心間距離が縮んでN1となる(N>N1)。モアデッキ15はメインフレーム18に懸架されているので、メインフレーム18の回動角度=αだけ上方に向けて回動する。したがって、モアデッキ15と上り斜面UGとは平行に保たれ、芝の刈高さを設定どおりに保つことができる。
一方、電動ローンモア10の前輪11が下方傾斜角=βの下り斜面DGを走行し始めると(図15(b))、メインフレーム18が下方(コイルバネ80Aの付勢方向)に向けて回動する(符号FGは後輪12が走行している平坦地面を示す)。このときの回動支点はリンクバー72であり、回動角度=βである。これによって、ピンP7とピンP8との中心間距離が伸びてN2となる(N<N2)。モアデッキ15はメインフレーム18に懸架されているので、メインフレーム18の回動角度=βだけ下方に向けて回動する。したがって、モアデッキ15と窪み地面DGとは平行に保たれ、芝の刈高さを設定どおりに保つことができる。なお、平坦面と下り斜面との変わり目の地点において、電動ローンモア10の前部は慣性力によって水平方向に移動しようとする。このため、前輪11が下り斜面から浮き上がってしまう恐れがある。しかし、メインフレーム18がピンP7において下方に向けて付勢されているので、前輪11は下り斜面に押し当てられた状態を維持することができる。
このように、この例の電動ローンモア10は、ゲージホイール23を用いて走行面の起伏を検出し、モアデッキ15を上下回動させる機能に加えて、前輪11を用いてメインフレーム18を上下回動させる機能を備える。これら2つの機能を併用することで、モアデッキ15が走行面の起伏にいっそう追随することができ、起伏のある地形であっても、芝の刈高さを一定に保つことができる。
図16には、この発明の別の例を示す。この例では、前述の例の付勢力付与手段80に代えて回動手段180を備える。回動手段180は、油圧シリンダ180A、上部保持部材180B、下部保持部材180Cにて構成される。油圧シリンダ180Aは、シリンダ本体180A1、ピストン180A2、ピストンロッド180A3とで構成される。シリンダ本体180A1には不図示のチューブが接続され、作動油が流入出するようになっている。油圧シリンダ180Aは、その上下端にそれぞれ、上部保持部材180B、下部保持部材180Cを取り付けてなる。
上部保持部材180Bは金属製で、接続部180BT、円柱状の台座部、およびこれらを一体に接続する接続部で構成される。油圧シリンダ180A(シリンダ本体180A1)の上端は台座部と溶接などによって固定される。したがって、台座部の直径はシリンダ本体180A1の外径以上であることが望ましい。接続部180BTには、ピンP7を貫通させ、回動自在に保持するための貫通孔が形成される。
下部保持部材180Cは金属製で、接続部、短円柱状の台座部、およびこれらを一体に接続する接続部で構成される。油圧シリンダ180A(ピストンロッド180A3)の下端は台座部と溶接などによって固定される。接続部には、ピンP8を貫通させ、回動自在に保持するための貫通孔が形成される。
なお、このときのピンP7とピンP8との中心間距離をNとする。
油圧シリンダ180Aは、不図示のパイプを介してオイルタンクに接続されており、ピストンの作動は作動油の流入出によってなされる。この油圧シリンダの構成には既存の技術を用いる。加速度センサ(検出手段)150からの情報をもとにして不図示の制御部が操作要求を出し、これに基づいて作動油の流入出がなされることで油圧シリンダ180Aが伸縮する。
図17に示すように、加速度センサ150はメインフレーム18に配置される。加速度センサ150はメインフレーム18の前部で、かつ、円筒部17の後方にブラケット151を介して取り付けられる。ブラケット151は、矩形の金属板を折り曲げて略U字状に形成する。ブラケット151の両側部には、ボルトBTを通すための貫通孔をそれぞれ2箇所ずつ形成する(この貫通孔に対応する貫通孔をメインフレーム18に形成する)。また、ブラケット151の底部にはボルトBT1を通すための4つの貫通孔を形成する。そして、加速度センサ150をブラケット151の底部に載置して、加速度センサ150をブラケット151の底部に4つのボルトで固定する。次に、ブラケット151をボルトBTにてメインフレーム18に固定する。
加速度センサ150は、電動ローンモアが走行する際の路面の起伏を検出するものであり、検出した起伏に応じて制御部が油圧シリンダ180Aを伸縮させて、メインフレーム18を上下に回動させる(前述の例の付勢力付与手段80では、メインフレーム18を下方にのみ回動させるように付勢していた)。なお、加速度センサ150は、機械式、光学式、半導体式などいずれのタイプであってもよいが、半導体式が小型化する際には適当である。半導体を用いる場合、MEMS(Micro Electro Mechanical Systems)の技術を適用することで小型化をいっそう達成することができる。
なお、上述以外の構成は前述の例と同様であるので説明を省略する。
次に、図18を用いてメインフレーム18の作用を説明する(なお、図18では、説明に用いる電動ローンモア10の主要部のみを表示している)。電動ローンモア10の前輪11が上方傾斜角=αの上り斜面UGを走行し始めると(図18(a))、加速度センサ150は車両の前部に隆起があることを検知し、制御部を介して油圧シリンダ180Aを所定量だけ縮めるように操作する。これによって、メインフレーム18が上方に向けて回動する(符号FGは後輪12が走行している平坦地面を示す)。このときの回動支点はリンクバー72であり、回動角度=αである。これによって、ピンP7とピンP8との中心間距離が縮んでN1となる(N>N1)。モアデッキ15はメインフレーム18に懸架されているので、メインフレーム18の回動角度=αだけ上方に向けて回動する。したがって、モアデッキ15と上り斜面UGとは平行に保たれ、芝の刈高さを設定どおりに保つことができる。
一方、電動ローンモア10の前輪11が下方傾斜角=βの下り斜面DGを走行し始めると(図18(b))、加速度センサ150は車両の前部に窪みがあることを検知し、制御部を介して油圧シリンダ180Aを所定量だけ伸ばすように操作する。これによって、メインフレーム18が下方に向けて回動する(符号FGは後輪12が走行している平坦地面を示す)。このときの回動支点はリンクバー72であり、回動角度=βである。これによって、ピンP7とピンP8との中心間距離が伸びてN2となる(N<N2)。モアデッキ15はメインフレーム18に懸架されているので、メインフレーム18の回動角度=βだけ下方に向けて回動する。したがって、モアデッキ15と窪み地面DGとは平行に保たれ、芝の刈高さを設定どおりに保つことができる。
このように、この例の電動ローンモア10は、ゲージホイール23を用いて走行面の起伏を検出し、モアデッキ15を上下回動させる機能に加えて、前輪11を用いてメインフレーム18を上下回動させる機能を備える。これら2つの機能を併用することで、モアデッキ15が走行面の起伏にいっそう追随することができ、起伏のある地形であっても、芝の刈高さを一定に保つことができる。
上述の例では、ゲージホイール23にてモアデッキ15の前部の走行面の起伏を検知したが、この発明はこれに限定されるものではなく、例えば、ローラなどであってもよい。
また、上述の例では電動の乗用草刈機について説明したが、この発明はこれに限定されるものではなく、エンジン駆動の乗用草刈機に適用してもよい。