JP3795011B2 - 保湿剤及びこれを含有する化粧料 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は皮膚の水分保持能に優れた保湿剤及びこれを含有する使用感の優れた化粧料に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、アロエは、育毛、紫外線防御、抗炎症、抗チロシナーゼ、保湿、毛髪保護、増粘等の目的で使用されており、これを含有する化粧料は多数報告されている(例えば、非特許文献1を参照)。このアロエから得た添加成分は、アロインを主とするアントラキノン類を有効成分とするものが多いことから、皮膚刺激性を有していた(例えば、非特許文献2参照)。また、アロエより多糖類を抽出して用いる場合もあったが、これらの保湿作用は弱く十分なものではなかった(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
一方、抽出工程の迅速化及び特異臭の低減を目的として、アロエに酵母を加えて発酵させた皮膚外用剤も報告されているが(例えば、特許文献2及び3参照)、酵母を用いるときは、糖類を添加しなければ発酵が十分に進行せず、得られた発酵生成物は残存糖の影響で、腐敗しやすかったりベタツキ感があるといった問題があった。また、アロエの発酵に酵母を用いたときには特有の発酵臭がすることから、商品の嗜好性を下げるといった問題もあった。
【0004】
【特許文献1】
特願昭58−197175号公報
【特許文献2】
特願昭58−197175号公報
【特許文献3】
特開昭60−087207号公報
【非特許文献1】
前田憲寿他、「Fragrance Journal臨時増刊」、No.16、p83−84、1999
【非特許文献2】
鈴木正人監修、「新しい化粧品素材の効能・効果・作用(下)」、シーエムシー、p395−397、1998
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
従って本発明の課題は、アロエの有する保湿作用をより高めると共に皮膚刺激性を無くした、使用感の優れた保湿剤やこれを含有する化粧料を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
かかる実状において、本発明者らは上記の課題を解決すべく鋭意研究した結果、アロエに乳酸菌を作用せしめて得られる発酵生成物が、皮膚角質層の水分含有量を高めること、また、このものは種々の使用感に優れていることを見いだし、本発明を完成した。
【0007】
すなわち、本発明はアロエに乳酸菌の一種又は二種以上を作用させて得られる発酵生成物を有効成分とする保湿剤を提供するものである。
【0008】
また、本発明は上記保湿剤を含有する化粧料を提供するものである。
【0009】
【発明の実施の形態】
本発明の保湿剤は、アロエに乳酸菌を作用させて得られる発酵生成物を有効成分とするものである。
【0010】
本発明の保湿剤の有効成分である発酵生成物の調製に当たり、その原料となるアロエは、アフリカ原産のユリ科植物の総称であり、キダチアロエやアロエベラ等、300種以上の品種を有する。このアロエはムチンやアロエマンナン等の多糖類を多く含むほか、アロインやアロエニン、アロエチン、アロチミン、アロエウルシン等の成分を含有することが知られている。本発明で使用するアロエは、アロエの仲間であれば特に限定するものではないが、アロエ(Aloe)属の植物が好ましく、特に入手の容易性や、コストの点等から、キダチアロエ(Aloe arborescens Miller)又はアロエベラ(Aloe barbadensis Miller)を使用することが好ましい。上記アロエの使用部位としては特に限定されないが、葉、葉肉、芽、根の他に、繊維成分がないため後の製造工程が簡便になる前記部位の汁液、ドリップ液等も用いることができる。また、アロエの発酵に用いられる乳酸菌は上記アロエ中の繊維成分やタンパク成分等を資化することができないので、常法に従い、醗酵処理前にセルラーゼ処理、プロテアーゼ処理等の分解処理等を行うことが好ましい。セルラーゼ処理を行うことにより、資化性が向上して発酵が進行し、発酵生成物中に資化できなかったセルロース等が残存せず、後の製造工程が簡便となる。また、プロテアーゼ処理を行うことにより、発酵生成物にタンパク成分等が残留しないため濁りを生じず、発酵後に清澄化工程を行う必要がなくなる。更に、アミラーゼ処理を併用することで、より乳酸菌の資化性が向上する。酵素分解処理には、セルラーゼ、ペクチナーゼ等の繊維質分解酵素(セルラーゼ類)や、酸性プロテアーゼ、中性プロテアーゼ、アルカリ性プロテアーゼ、パパイン、フィシン、プロメライン等のプロティナーゼ、ペプチダーゼ、マンナナーゼ等のタンパク分解酵素等(プロテアーゼ類)、α-アミラーゼ、グルコアミラーゼ等のデンプン分解酵素(アミラーゼ類)から1種または2種以上を適宜選択して使用すればよい。
【0011】
一方、本発明の保湿剤の有効成分である発酵生成物の調製に用いられる乳酸菌としては、アロエを発酵できるものであれば特に限定されず、種々の乳酸菌を使用することができる。具体的には、例えば、ラクトバチルス・カゼイ(Lactobacillus casei)、ラクトバチルス・クルバタス(Lactobacillus curvatus)、ラクトバチルス・プランタラム(Lactobacillus plantarum)、ラクトバチルス・アミロボラス(Lactobacillus amylovorus)、ラクトバチルス・ブレビス(Lactobacillus brevis)、ラクトバチルス・ブフネリ(Lactobacillus buchneri)、ラクトバチルス・ファーメンタム(Lactobacillus fermentum)、ラクトバチルス・マリ(Lactobacillus mali)、ラクトバチルス・パラブフネリ(Lactobacillus parabuchneri)、ラクトバチルス・パラカゼイ(Lactobacillus paracasei)、ラクトバチルス・ペントサス(Lactobacillus pentosus)、ラクトバチルス・ラムノサス(Lactobacillus rhamnosus)、ラクトバチルス・ビチュリヌス(Lactobacillus vitulinus)、ラクトバチルス・ゼアエ(Lactobacillus zeae)等のラクトバチルス属、ラクトコッカス・ラクティス(Lactococcus lactis)等のラクトコッカス属、ロイコノストック・メセンテロイデス(Leuconostoc mesenteroides)、ロイコノストック・カルノサム(Leuconostoc carnosum)、ロイコノストック・シトレウム(Leuconostoc citreum)、ロイコノストック・ゲリダム(Leuconostoc gelidum)、ロイコノストック・ラクティス(Leuconostoc lactis)等のロイコノストック属、ペディオコッカス・ペントサセウス(Pediococcus pentosaceus)等のペディオコッカス属、エンテロコッカス・フェカリス(Enterococcus faecalis)、エンテロコッカス・フェシウム(Enterococcus faecium)等のエンテロコッカス属、及びワイセラ・コンフューサ(Weissella confusa)、ワイセラ・パラメセンテロイデス(Weissella paramesenteroides)、ワイセラ・ビリデスセンス(Weissella viridescens)等のワイセラ属等に属する乳酸菌の一種又は二種以上から選択し、使用すればよい。
【0012】
本発明で用いられる上記乳酸菌の起源は特に限定されず、動物、植物、或いは魚介類由来乳酸菌等、いずれの乳酸菌でも好適に使用できるが、発酵の安定性の点から植物由来乳酸菌が特に好ましい。
【0013】
また、発酵生成物の保湿効果の点から、FERM BP−1366やATCC 27216等のラクトバチルス・カゼイ 、JCM 1096T等のラクトバチルス・カルバタス、JCM 1588TやNRIC 0397等のラクトバチルス・ペントサス、ATCC 14917TやATCC 8014等のラクトバチルス・プランタラム、DSM 20178等のラクトバチルス・ゼアエ、ATCC 19256T等のロイコノストック・ラクティスから選ばれる乳酸菌の一種又は二種以上を選択することが好ましい。
【0014】
なお、本発明で用いた乳酸菌のうち、FERM BP−1366は昭和62年5月18日付けで独立行政法人産業技術総合研究所 特許生物寄託センター(郵便番号305−8566 日本国茨城県つくば市東1丁目1番地1中央第6)に寄託済のラクトバチルス・カゼイ(Lactobacillus casei) YIT9029株である。
なお、表1および表2に示す菌株名の語尾に""を付した菌株は基準株(type strain)であり、その他の株も含めてATCC(American Type Culture Collection)等から入手することができる。
【0015】
上記した乳酸菌を用いるアロエの発酵は、一般的な乳酸菌を用いた植物の発酵方法により行うことができ、特に制約されないが、例えば、前培養した乳酸菌の菌液をアロエの抽出物等に接種した後、その微生物に適した温度、時間等の条件を適宜決定して発酵を行えばよい。なお、この培養の際には発酵生成物の嗜好性を損なわないためおよびアロエを十分に資化させるために糖類を添加しないことが好ましい。
【0016】
具体的に上記したアロエの発酵は、Brixを0.5〜4.0に調製したアロエの抽出物に乳酸菌を接種して、pHを中性〜酸性、30〜40℃の培養温度で6〜96時間程度行えばよい。
【0017】
斯くして得られる発酵生成物は優れた保湿作用を有し、このままでも保湿剤として使用可能であるが、本発明の効果を妨げない範囲で、遠心処理やろ過処理等の精製処理を行なって保湿剤としてもよく、また、低級及び多価アルコール等の有機溶媒で発酵生成物を抽出した後保湿剤としてもよい。
【0018】
上記のようにして得られた保湿剤は、化粧料をはじめとする種々の組成物に配合することができる。化粧料に配合する場合には、化粧料の全量に対して発酵生成物として0.01%〜100%(W/V)、好ましくは0.1%〜90%、より好ましくは1〜30%となる量の保湿剤を添加すればよい。また、この化粧料には本発明の効果を妨げない範囲で通常化粧料に配合される成分、例えば、水、アルコール類、油成分、界面活性剤、防腐剤、香料、色素等を配合することができる。また、上記化粧料に脱脂乳又は豆乳にビフィズス菌を接種して得られた培養液、ヒアルロン酸、グリセリン等の保湿成分を配合することによってよりいっそう保湿効果が期待される。具体的に、ヒアルロン酸を配合する場合には、ヒアルロン酸ナトリウムの使用が好ましい。さらに、発酵生成物を両親媒性物質のラメラ構造体に内包して用いてもよい。
【0019】
【実施例】
次に実施例を挙げて本発明を詳細に説明するが、本発明はこれらに何ら限定されるものではない。
【0020】
製 造 例 1
乳酸菌の前培養:
アロエの発酵に用いる乳酸菌の前培養を行った。乳酸菌の培養の培地には121℃で15 分間蒸気滅菌したMRS培地(Difco社製)又はGYP液体培地(小崎 道雄 監修、「乳酸菌実験マニュアル」、30、朝倉書店、1992)の4mlを用いた。この培地に表1及び表2の各乳酸菌を接種した後、30℃又は37℃にて1日間静置培養を行ない、前培養液を得た。
【0021】
【表1】
Figure 0003795011
【0022】
【表2】
Figure 0003795011
ATCC : American Type Culture Collection
DSM : Deutsche Sammlung von Mikroorganismen und Zellkulturen GmbH
FERM : 独立行政法人産業技術総合研究所 特許生物寄託センター
(National Institute of Biosciences and Human-Technology, Agency of Industrial Science and Technology, Ministry of International Trade and Industry)
IAM : 東京大学分子細胞生物学研究所
(IAM Culture collection, Institute of Molecular and Cellular Biosciences, University of Tokyo)
JCM : 理化学研究所 微生物系統保存施設
(Japan Collection of Microorganisms)
NIRD : National Institute for Research in Dairying, UK.
NRIC : 東京農業大学 菌株保存室
(NODAI Research Institute Culture Collection)
NCDO : National Collections of industrial, Food and Marine Bacteria, NCIMB Ltd., UK.
菌株名T : 基準株(Type strain)を表す
【0023】
製 造 例 2:
アロエベラ発酵生成物の製造(1):
アロエベラ(Aloe barbadensis Miller)の凍結葉を解凍後破砕し、2倍量の水及びクエン酸0.05%を加え、40℃にてセルラーゼ処理(セルラーゼ“オノズカ”3S;ヤクルト薬品工業社製)を3時間行った。その後、一旦90℃まで加熱した後、室温まで冷却してろ過し、Brix3.5になるまで減圧濃縮を行ってアロエベラ抽出液を得た。得られたアロエベラ抽出液(pH3.7)を121℃で15分間蒸気滅菌した。これに、表3に記載した乳酸菌の前培養菌液を1%接種した後、30℃で96時間静置培養し、遠心上清を採取してアロエ発酵生成物を得た。
【0024】
製 造 例 3
アロエベラ発酵生成物の製造(2):
アロエベラ(Aloe barbadensis Miller)の凍結葉を解凍する際に得られるドリップ液にクエン酸0.05%を加え、40℃にてペクチン分解(スクラーゼS;三共株式会社製)、デンプン分解(コクラーゼ;三共株式会社製)及びパパイン(パパインソルブル;ヤクルト薬品工業社製)処理を3時間行った。その後、一旦90℃まで加熱した後、室温まで冷却してろ過し、Brix3.5になるまで減圧濃縮した。更に凍結融解後、析出したシュウ酸カルシウムをろ過にて除去してアロエベラ抽出液を得た。得られたアロエベラ抽出液(pH3.7)を 121℃で15分間蒸気滅菌し、表3に記載した乳酸菌の前培養菌液をこれに1%接種した後、30℃で96時間静置培養し、遠心上清を採取してアロエ発酵生成物を得た。なお、乳酸菌を接種しないアロエべラ抽出液を未発酵物として同様に静置培養し、比較品1とした。
【0025】
製 造 例 4
キダチアロエ発酵生成物の製造:
キダチアロエ(Aloe arborescens Miller)の乾燥葉を水洗し、5倍量の水を加えミキサーでペースト状に粉砕して48時間放置後、ろ液を採取してキダチアロエ抽出液(pH5.3)とした。得られたキダチアロエ抽出液を 121℃で15 分間蒸気滅菌し、これに表4に記載した乳酸菌の菌液を1%接種した後、30℃で96 時間静置培養し、遠心上清を採取してアロエ発酵生成物を得た。なお、乳酸菌を接種しないキダチアロエ抽出液を未発酵物として同様に静置培養し、比較品2とした。
【0026】
製 造 例 5
pH調製アロエベラ発酵生成物の製造:
製造例3と同様にして得られたアロエベラ抽出液に8N水酸化ナトリウム(和光純薬)を加えpH7.0に調製した後、121℃で15分間蒸気滅菌し、これに表5に記載した乳酸菌の菌液を1%接種した後、30℃で96時間静置培養し、遠心上清を採取してアロエ発酵生成物を得た。なお、乳酸菌を接種しないpH調製済みアロエべラ抽出液を未発酵物として同様に静置培養し、比較品3とした。
【0027】
試 験 例 1
アロエベラ発酵生成物の保湿効果(1):
温度24℃、湿度45% の環境を維持した測定室において、女性パネラー10名の前腕内側皮膚に上記製造例3で得られた各種アロエ発酵生成物を10μl/cm塗布し、皮膚角質層の水分含有量の経時的変化をコンダクタンスメータ(IBS社製SKICON−200)にて測定した。コンダクタンスは塗布前と塗布10分後に各々5回測定した平均値を求め、さらに10名の平均値で表し、以下の式1により算出されるコンダクタンス上昇率で表した。得られた結果を表3に示す。
【0028】
【式1】
Figure 0003795011
【0029】
【表3】
Figure 0003795011
【0030】
表3に示したとおり、アロエベラ発酵生成物は未発酵のアロエ抽出物に比較して優れた皮膚角質層の水分保持機能を有しており、保湿剤として有用であることがわかった。また、乳酸菌として、JCM 1558およびATCC 14917を用いたときに得られる発酵生成物の保湿効果は特に優れたものであった。なお、製造例2で得られたアロエ発酵生成物について同様の試験を実施した結果、特にJCM 1558およびATCC 14917を用いるときに得られる発酵生成物が優れた保湿性を示した。更に、この発酵生成物の「べたつき」、「皮膚刺激性」はまったく感じられず、また、いずれの乳酸菌を用いて発酵した生成物にも発酵臭はほとんど無く、アロエ特有の青臭さも消失していた。
【0031】
試 験 例 2
キダチアロエ発酵生成物の保湿効果:
温度24℃、湿度45% の環境を維持した測定室において、女性パネラー10名の前腕内側皮膚に上記製造例4で得られた各種アロエ発酵生成物を10μl/cm塗布し、皮膚角質層の水分含有量の経時的変化をコンダクタンスメータ(IBS社製SKICON−200)にて測定した。得られた結果は試験例1と同様に算出されたコンダクタンス上昇率で表した。得られた結果を表4に示す。
【0032】
【表4】
Figure 0003795011
【0033】
表4に示したとおり、キダチアロエ発酵生成物は未発酵のアロエ抽出物に比較して優れた皮膚角質層の水分保持機能を有しており、保湿剤として有用であることがわかった。また、乳酸菌として、JCM 11096を用いたときに得られる発酵生成物の保湿効果は特に優れたものであった。更に、この発酵生成物の「べたつき」、「皮膚刺激性」はまったく感じられず、また、いずれの乳酸菌を用いて発酵した生成物にも発酵臭はほとんど無く、アロエ特有の青臭さも消失していた。
【0034】
試 験 例 3
アロエベラ発酵生成物の保湿効果(2):
温度24℃、湿度45% の環境を維持した測定室において、女性パネラー10名の前腕内側皮膚に上記製造例5で得られた各種アロエ発酵生成物を10μl/cm塗布し、皮膚角質層の水分含有量の経時的変化をコンダクタンスメータ(IBS社製SKICON−200)にて測定した。得られた結果は試験例1と同様に算出されたコンダクタンス上昇率で表した。得られた結果を表5に示す。
【0035】
【表5】
Figure 0003795011
【0036】
表5に示したとおり、pH調製をしたアロエベラ発酵生成物は未調整のアロエベラ発酵生成物と同等かそれ以上の保湿効果を有していた。また、pH調製したアロエベラ抽出液も未発酵のアロエ抽出物に比較して優れた皮膚角質層の水分保持機能を有しており、保湿剤として有用であることがわかった。また、乳酸菌として、ATCC 14917を用いたときに得られる発酵生成物の保湿効果は特に優れたものであった。更に、この発酵生成物の「べたつき」、「皮膚刺激性」はまったく感じられず、また、いずれの乳酸菌を用いて発酵した生成物にも発酵臭はほとんど無く、アロエ特有の青臭さも消失していた。
【0037】
試 験 例 4
アロエベラ発酵生成物を含有する化粧料の保湿効果:
アロエベラにラクトバチルス・プランタラム(Lactobacillus plantarum)ATCC 14917株を製造例3と同様の方法で作用させて得られた発酵生成物(実施品89)と、これにヒアルロン酸(HA)を0.06% 配合した化粧料を調製した(実施品90)。次いで、これらを10μl/cmで皮膚に塗布し、そのときのコンダクタンス上昇率の経時的変化を調べた。なお、実施品90と同量になるよう調製したHAを比較例4とした。得られた結果を表6に示す。
【0038】
【表6】
Figure 0003795011
【0039】
表6よりアロエに乳酸菌を作用させて得られた発酵生成物にヒアルロン酸を配合した化粧料は、発酵生成物単独のものよりも優れた保湿効果が得られることがわかった。
【0040】
実 施 例 1
化粧水:
下記組成の化粧水を製造した。
Figure 0003795011
【0041】
< 製 法 >
(7)に(3)を分散し、これに(1)、(2)、(4)、(5)及び(6)を加えて十分撹拌することにより化粧水を得た。なお、アロエ発酵生成物としては、製造例2〜4で得られた実施品2、実施品18、実施品20、実施品35、実施品66、実施品67、実施品76、実施品77、実施品80を使用した。
【0042】
実 施 例 2
乳液:
下記組成の乳液を製造した。
Figure 0003795011
【0043】
< 製 法 >
(10)に(7)及び(8)を加え、これに80℃で(1)〜(6)を加えて乳化し、その(9)を加えて室温まで冷却して乳液を得た。なお、アロエ発酵生成物としては、製造例2〜4で得られた実施品3、実施品5、実施品33、実施品34、実施品60、実施品61、実施品86、実施品87、実施品88を使用した。
【0044】
実 施 例 3
クリーム:
下記組成のクリームを製造した。
Figure 0003795011
【0045】
< 製 法 >
(13)に(10)及び(11)を加え、これに(9)を分散せしめて分散液を得る。次いでこれを80℃で(1)〜(8)を加えて乳化し、その後(12)を加えて室温まで冷却してクリームを得た。なお、アロエ発酵生成物としては、製造例2〜4で得られた実施品4、実施品20、実施品36、実施品43、実施品44、実施品60、実施品73、実施品78、実施品85を使用した。
【0046】
【発明の効果】
本発明のアロエを乳酸菌に作用させて得られる発酵生成物はヒト皮膚角質層の水分保持能に優れ、保湿剤として有用である。また、このものはアロエの青臭さがほとんど消失しており、発酵臭も少ない。さらに、アロエの発酵の際に実質的に糖類を添加していないので、保湿剤によく見られるべたつき感もまったくなく、これを配合すれば優れた保湿作用と良好な使用感を有する化粧料が得られる。
以 上

Claims (11)

  1. 実質的に糖類を添加しない環境下でアロエに乳酸菌の一種又は二種以上を作用させて得られる発酵生成物を有効成分とする保湿剤。
  2. 乳酸菌が、ラクトバチルス属、ラクトコッカス属、ロイコノストック属、ペディオコッカス属、エンテロコッカス属及びワイセラ属からなる群から選ばれる乳酸菌の一種又は二種以上である請求項第1項記載の保湿剤。
  3. 乳酸菌が、植物由来乳酸菌である請求項第1項記載の保湿剤。
  4. アロエに乳酸菌の一種又は二種以上を作用させる前に、繊維質分解酵素、タンパク分解酵素及びデンプン分解酵素から選ばれる1種または2種以上を用いた酵素処理を行うものである請求項第1項ないし第3項の何れかの項記載の保湿剤。
  5. 請求項第1項ないし第4項の何れかの項記載の保湿剤を含有する化粧料。
  6. 実質的に糖類を添加しない環境下で、アロエに乳酸菌の一種又は二種以上を作用させ発酵生成物を得、次いでこれを有効成分として配合することを特徴とする保湿剤の製造方法。
  7. 乳酸菌が、ラクトバチルス属、ラクトコッカス属、ロイコノストック属、ペディオコッカス属、エンテロコッカス属及びワイセラ属からなる群から選ばれる乳酸菌の一種又は二種以上である請求項第6項記載の保湿剤の製造方法。
  8. 乳酸菌が、植物由来乳酸菌である請求項第7項記載の保湿剤の製造方法。
  9. アロエに乳酸菌の一種又は二種以上を作用させる前に、繊維質分解酵素、タンパク分解酵素及びデンプン分解酵素から選ばれる1種または2種以上を用いた酵素処理を行うものである請求項第6項ないし第8項の何れかの項記載の保湿剤の製造方法。
  10. アロエとしてBrix0 . 5〜4 . 0に調整されたアロエの抽出物を用いるものである請求項第6項ないし第9項の何れかの項記載の保湿剤の製造方法。
  11. アロエに乳酸菌の一種又は二種以上を30〜40℃の温度で6〜96時間作用させるものである請求項第6項ないし第10項の何れかの項記載の保湿剤の製造方法。
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