JPH0625004A - 活性酸素消去剤 - Google Patents

活性酸素消去剤

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JPH0625004A
JPH0625004A JP92206976A JP20697692A JPH0625004A JP H0625004 A JPH0625004 A JP H0625004A JP 92206976 A JP92206976 A JP 92206976A JP 20697692 A JP20697692 A JP 20697692A JP H0625004 A JPH0625004 A JP H0625004A
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JP
Japan
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product
present
water
active oxygen
acid fermentation
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Application number
JP92206976A
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English (en)
Inventor
Takashi Tokuyama
孝 徳山
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Soken Co Ltd
Original Assignee
Soken Co Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 人体にとって安全で安価で、各種障害を起こ
す活性酸素の消去効果に優れ、かつ、簡単に製造でき、
安定して供給できる活性酸素消去剤を提供する。 【構成】 もち米の糖化物あるいはさらにアルコール発
酵、乳酸発酵、酢酸発酵等の有機酸発酵を行ったものを
そのまま、あるいはこれを含有してなる活性酸素消去
剤。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、もち米の糖化物あるい
はさらにアルコール発酵、乳酸発酵、酢酸発酵等の有機
酸発酵を行ったものをそのまま、あるいはこれを含有し
てなることにより、安全で、医薬、食品、化粧品等幅広
い分野で使用可能な活性酸素消去剤に関するものであ
る。
【0002】
【従来の技術】人間が健康体を保っている場合、生体内
の活性酸素と生体内での活性酸素消去酵素であるSOD
(スーパーオキサイドジスムターゼ)は、常にバランス
がとれており、活性酸素の濃度は、ほぼ一定に保たれて
いる。しかし、現在では、食生活のアンバランス、過度
のストレスおよび高齢化などにより、SODの生成が減
少し、また、一方では、喫煙、大気汚染などにより、活
性酸素が増加している。
【0003】その結果、生体内に活性酸素が過剰に存在
し、様々な組織障害をもたらしている。特に高齢者の場
合、SOD活性が低下し、活性酸素濃度が高くなること
により、関節リウマチやペーチェット病などの障害を起
こしている。また、活性酸素により生成する過酸化脂質
は、心筋梗塞、脳卒中、白内障、シミ、ソバカス、皺、
糖尿病、動脈硬化、肩凝り、冷え性などの近代病の主原
因となっている。
【0004】また、高齢者でなくても、皮膚のように紫
外線などのような環境因子の刺激を直接受ける部位で
は、活性酸素が特に生成しやすいため、活性酸素濃度の
上昇にともない、メラニン色素の生成、シミ、小皺等の
障害を起こしやすくなっている。
【0005】そこで、上述のような各種障害のもととな
る過剰な活性酸素を消去するSODが注目をあび、これ
らの障害を予防または治療するために、SODを医薬品
としたり、化粧品や食品に添加したりして利用する試み
は行われてきた。
【0006】しかし、SODは熱に不安定であり、しか
も、経口投与により失活してしまうため、また、著しく
高価であるため、SODによる活性酸素の消去は成功し
ていない。
【0007】上記実情から、活性酸素消去剤(SOD酵
素と同じような働きをする抗酸化物質を含むもの)の研
究が行われ、生薬抽出エキス等による活性酸素消去剤も
開発されているが、特殊な原料によるものであり、高価
であるばかりでなく、なかなか安定したものを供給する
ことができないのが現状である。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】以上のように活性酸素
による各種の障害が認められて以来、生体内の活性酸素
を消去するためのさまざまな研究が盛んに行われてい
る。また、現在では、高齢化社会を迎えて、より健康で
老後をすごすということが望まれている。一方、美容の
面からも、活性酸素消去剤が注目をあびている。そこ
で、人体にとって安全で安価で、各種障害を起こす活性
酸素の消去効果に優れ、しかも、簡単に製造でき、安定
して供給できる活性酸素消去剤の開発が望まれている。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、動植物合
和すの観点から、種々の植物成分の研究を進めてきた。
その過程で、米には今まで予測できなかった数多くの可
能性、効果があることが判明してきた。そこで、古くか
ら食用として用いられ、安全性が最も高いことが実証さ
れている米をテーマとして取り上げ、米の総合利用研究
を行ってきた。そのうちの一つのテーマとして、もち米
からの活性酸素消去剤について鋭意研究を行い、もち米
の糖化物あるいはさらに発酵したものの活性酸素消去効
果を測定したところ、非常に顕著な活性酸素消去効果が
あることが判明し、本発明を完成するに至った。
【0010】すなわち、本発明は、もち米の糖化物ある
いはさらにアルコール発酵、乳酸発酵、酢酸発酵等の有
機酸発酵を行ったものをそのまま、あるいはこれを含有
することを特徴とする活性酸素消去剤で、簡単、安価
に、しかも、全く安全に、上記の効果を顕す非常に優れ
た活性酸素消去剤が得られる。
【0011】もち米を糖化する場合、まず、もち米を粉
砕または粉体化すると表面積が大きくなるため、極めて
糖化効率が良好になる。この方法は、粉砕機または精米
機を用い、一般的な方法によればよい。粉砕しなくても
よいが、この場合には、吸水および糖化に長時間を要す
る。
【0012】糖化にあたっては、もち米そのままを水に
漬け吸水、あるいは粉砕または粉体化したものに散水す
る。その後、蒸米機等でもち米を蒸した後、水および澱
粉分解酵素または麹を加える。加水量は1〜5倍量で効
率よく糖化されるが、収率、作業性、最終使用目的など
に応じて適宜選定する。また、加水温度は45〜55℃
が効率的であるが、低温でも長時間おけば同様である。
ただし、40℃以下の低温の場合は、なんらかの防腐を
行うことが必要である。また、糖化さえすれば温度は高
温でもよい。糖化時間は12〜24時間が効率的である
が、糖化さえ行われれば時間は短くても長くてもよい。
すなわち、糖化さえ行われれば本効果を有するエキスが
得られる。
【0013】ここで、糖化に使用する澱粉分解酵素と
は、澱粉分解酵素および糖化酵素を指す。また、麹を使
用する場合においては、普通に使用されている麹を使用
してもよいし、アミラーゼ力価さえあれば麹菌の種類お
よび品種は問わない。また、麹と澱粉分解酵素は併用し
てもさしつかえない。また、もち米の組織に働く酵素
(例えば、アミラーゼ)を反応させて前処理を行う方法
が効率的である。上記の糖化物を圧搾、濾過することに
より本製品が得られる。
【0014】次に、アルコール発酵であるが、上記のよ
うにして得られた糖化物をそのまま、または糖化液と残
渣を分離してから、アルコール発酵を行う。糖化、アル
コール発酵は同時に行ってもよい。すなわち、蒸煮した
もち米に加水後、麹または澱粉分解酵素、さらに酒母ま
たは酵母を添加して糖化、アルコール発酵を同時に行
う。大量に製造する場合、糖化と発酵のバランスを考え
ながら、清酒醸造に準じて3段階あるいは何段階にも分
けて、糖化液あるいは蒸米を添加するのが望ましいが、
糖化、発酵さえすれば一度に添加してもよい。特に少量
を処理する場合においては、一度に添加するのが有効で
ある。糖化およびアルコール発酵は約10〜24日間行
い、この際、腐敗が心配な場合は、酸を添加するか、温
度あるいは発酵の阻害にならない適当な防腐を施す。上
記のアルコール発酵を行った醪は、圧搾濾過することに
より本発明品が得られる。
【0015】次に、有機酸発酵として乳酸発酵である
が、前記のようにして得られた糖化物にそのまま、また
は糖化液と残渣を分離後、乳酸菌を添加して乳酸発酵を
行う。乳酸発酵は一般的な常法によって行い、乳酸発酵
さえすれば乳酸菌の種類および乳酸発酵の条件は問わな
い。
【0016】また、酢酸発酵の場合であるが、上記のよ
うにして得られたアルコール発酵物をそのまま、あるい
は希釈してアルコール分4〜5%にした後、酢酸菌を植
えて酢酸発酵を行う。酢酸発酵の場合においても、酢酸
発酵は一般的な常法によって行い、酢酸発酵さえすれば
酢酸菌の種類および酢酸発酵の条件は問わない。また、
糖化、アルコール発酵、乳酸発酵、酢酸発酵等の有機酸
発酵は組み合わせて行ってもよい。
【0017】本発明品の活性酸素消去効果について、以
下に記載する。まず、本発明品のスーパーオキサイド消
去剤としての効果を調べた。試験方法はNBT法により
行った。
【0018】試薬の調整 0.05M Na2 CO3 緩衝液(pH10.2) 3mMキサンチン溶液;キサンチン45.64mgを
の緩衝液に溶解して100mlとする。 3mM EDTA溶液;EDTA・2Na 11
1.7mgを蒸留水で溶解して100mlとする。 BSA溶液;Bovine Serum Albumin(Sigma 製)1
5mgを蒸留水に溶解して10mlとする。 0.75mM NBT溶液;NBT(ニトロブルー
テトラゾリウム)61.32mgを蒸留水に溶解して10
0mlとする。 キサンチンオキシダーゼ溶液;キサンチンオキシダ
ーゼを蒸留水で希釈し、後記の操作法(分析法)の空試
験における吸光度が0.2〜0.23の範囲になるよう
に調整する。 6mM CuCl2 溶液;CuCl2 ・2H2
102.29mgを蒸留水に溶解して100mlとする。
【0019】操作法 試験管にNa2 CO3 緩衝液2.4mlをとり、これ
にキサンチン溶液、EDTA溶液、BSA溶液、NBT
溶液を各0.1ml加える。 次いで、試料溶液0.1mlを加え、25℃で10分
間放置後、キサンチンオキシダーゼ溶液0.1mlを加
え、手早く攪拌し、25℃でインキュベートする。 20分後にCuCl2 溶液0.1mlを加えて反応を
停止させ、560nmで吸光度を測定する。 比較のため、サンプルの代わりにスーパーオキサイ
ドジスムターゼ(Cu、Zn型SOD、活性3000〜
4000 unit /mg 和光純薬)水溶液0.1mlについ
ても同様に行い、この値をスーパーオキサイド消去率1
00とする。 また、サンプルの代わりに蒸留水を用いて同様に行
いブランクとする。測定結果を表1に示した。
【0020】
【表1】 (注) 糖化物は実施例1に準じて得られたもの アルコール発酵物は実施例2に準じて得られたもの 酢酸発酵物は実施例3に準じて得られたもの 乳酸発酵物は実施例4に準じて得られたもの
【0021】以上のように、糖化物およびアルコール発
酵物、酢酸発酵物、乳酸発酵物全てにスーパーオキサイ
ド消去効果があることが分かった。また、糖化物にアル
コール発酵、有機酸発酵を組み合わせることにより、さ
らに有効であることが分かった。酢酸発酵物の場合、あ
まり効果がないと思われるかもわからないが、アルコー
ル発酵物を3〜4倍に希釈後、酢酸発酵することを考え
ると非常に有効な方法であるといえる。
【0022】次に、本発明品の熱安定性について調べ
た。まず、実施例により得られた本発明品およびSOD
を90℃10分間加熱処理し、そのスーパーオキサイド
消去能を調べた。スーパーオキサイド消去率の測定は、
前記方法により行った。
【0023】
【表2】 (注)糖化物、アルコール発酵物、酢酸発酵物、乳酸発
酵物は、いずれも表1の場合と同じ
【0024】以上のように、SODは熱に対して不安定
なのに対して、本発明品は、全て熱安定性に優れている
ことが分かった。このことにより、本発明品の活性酸素
を消去する有効成分は、熱に対して安定性に優れている
といえる。
【0025】本発明品は、非常に顕著な活性酸素消去効
果を示し、しかも、安全なものであるから、医薬、化粧
品、食品などに利用できるものである。次に、これらの
用途について説明する。医薬品としては、抗潰瘍剤とし
て利用できる。本発明品の抗潰瘍作用について調べた試
験方法とその結果について示すと、次のとおりである。
【0026】その方法は、渡辺らの方法に準じて行っ
た。すなわち、8週齢のddY系雄性マウスを24時間
絶食後、実施例1により得た本発明品を0.3ml/マウ
ス経口投与し、30分後にストレスゲージに入れ、15
℃の水中に剣状突起まで浸し、拘束水浸ストレスを負荷
した。5時間後に頸椎脱臼して屠殺し、胃を摘出した。
その後、1%ホルマリン溶液1.5mlを胃内に注入し、
さらに、同液中に浸すことにより胃組織を軽く固定し、
24時間そのまま放置した。その後、大弯に添って切開
し、腺胃部に発生した損傷の長さ(mm)を測定し、一匹
当たりのその総和を潰瘍係数として表した。また、コン
トロールとしては、ストレスゲージに入れる30分前に
同量の生理食塩水を経口投与したものを用いた。マウス
は各々15匹ずつで行った。なお、使用したマウスは3
日間ハンドリングの後、本試験を行なった。その結果を
示すと表3のとおりである。
【0027】
【表3】
【0028】表3のように、コントロールとして生理食
塩水を投与したマウスにおける潰瘍係数の平均が28.
0であるのに対して、本発明品を投与したマウスにおけ
る潰瘍係数の平均は5.0となり、明らかに本発明品
は、経口投与することにより拘束水浸ストレス潰瘍に対
する抗潰瘍剤として有効であることが判明した。この結
果、本発明品は、胃腸粘膜から直接に作用して抗潰瘍剤
として有効な効果を示すことが判明した。
【0029】次に、拘束水浸ストレス潰瘍に対する本発
明品の皮下投与においての効果を調べた。その方法は、
経口投与の場合と同様に、渡辺らの方法に準じて行っ
た。実施例1により得た本発明品を0.3ml/マウス皮
下投与したもの、および生理食塩水を0.3ml/マウス
皮下投与したもの各々15匹について、30分放置後、
ストレスゲージに入れ、拘束水浸ストレスを負荷し、本
発明品を皮下投与することによる拘束水浸ストレス潰瘍
に対する有効性を調べた。その結果を示すと表4のとお
りである。
【0030】
【表4】
【0031】表4のように、生理食塩水を0.3ml/マ
ウス皮下投与したものにおける15匹の潰瘍係数の平均
は23.0、本発明品を0.3ml/マウス皮下投与した
ものにおけるマウス15匹の潰瘍係数の平均は4.8で
あり、本発明品を皮下投与することにより抗潰瘍剤とし
て有効であることが明らかになった。
【0032】このように皮下投与することにより、本発
明品が抗潰瘍剤として有効な抗潰瘍性を示したことは、
本発明品が胃粘膜に直接的に効果を有するだけではな
く、血液を通して根本的に防ぐという効果をも合わせ持
っているということがいえる。以上の結果より、本発明
品は、ストレス性の潰瘍に対して、経口投与において
も、皮下投与においても有効であるということが判明し
た。
【0033】次に、胃粘膜に直接作用しておこる潰瘍の
一つであるエタノール性の潰瘍に対する本発明品の抗潰
瘍剤としての有効性を経口投与において調べた。ストレ
ス潰瘍に対して、本発明品が経口投与においても、皮下
投与においても有効であることが判明しているので、こ
こでは経口投与の場合のみ行った。エタノール潰瘍はRo
bertらの方法に準じて行った。すなわち、8週齢のWist
ar/ST系雄性ラットを24時間絶食、16時間絶水
後、実施例2によって得られた本発明品5gを生理食塩
水10mlに溶かしたものを1.0ml/ラット経口投与
し、その30分後、100%エタノールを1.0ml/ラ
ット経口投与し、その30分後、頸椎脱臼して屠殺し、
胃を摘出した。その後、1%ホルマリン溶液10mlを胃
内に注入し、さらに、同液中に浸し、胃組織を軽く固定
し、マウスの場合と同様に腺胃部に発生した潰瘍の総和
を潰瘍係数として測定した。また、この場合も、コント
ロールとして生理食塩水を経口投与したものを用いた。
ここでラットは各々15匹で行った。その結果を示すと
表5のとおりである。
【0034】
【表5】
【0035】表5のように、コントロールとして生理食
塩水を1.0ml/ラット経口投与したラットにおける潰
瘍係数の平均は30.2であるのに対して、本発明品
1.0ml/ラットを経口投与したラットにおける潰瘍係
数の平均は7.6であり、本発明品は、胃粘膜に直接作
用しておこるエタノール潰瘍に対しても有効な抗潰瘍剤
であることが判明した。
【0036】これらの結果より、本発明品は、有効では
あるが、胃腸に傷害を与えるような医薬品と併用するこ
とにより、それらの薬剤からの胃腸保護剤としても有効
である。
【0037】以上のとおり、本発明品が経口投与および
皮下投与において、間接的潰瘍の代表としての拘束水浸
ストレス潰瘍に対して有効であること、および直接的潰
瘍の代表としてのエタノール潰瘍に対して有効であると
いう結果より、本発明品が潰瘍全般に有効であり、治療
薬としても、予防薬としても有効であり、経口および皮
下投与においても巾広く利用できる優れた抗潰瘍剤であ
ることが判明した。
【0038】また、本発明品は、皮膚治療剤として利用
できる。各種皮膚疾患のパネラーに、本発明品を毎日、
朝、晩2回患部に塗布させ、これを1ケ月間継続して行
い診断した結果を表6に示した。
【0039】
【表6】
【0040】上記の表6に示すように、本製品にはさま
ざまな皮膚治療剤としての効果があることから、繊維芽
細胞賦活作用、さらには抗菌作用があることが分かる。
また、乾皮症、にきび等にも有用なことから、保湿作
用、脂皮の増大を適度に抑制する作用もあることが分か
るが、実際にこの保湿作用および脂皮の増大を適度に抑
制する作用について調べた試験方法とその結果を示す
と、次のとおりである。
【0041】まず、本発明品の保湿作用の強さを例証す
るために、水分計(SKICON200)を用いて1回
塗布試験を行った。測定条件として室温20℃、相対湿
度65%の環境を設定し、パネラーは測定の約10分前
から、前記の環境下で安静にさせておいた。被験部位は
(両側)前腕屈側で皮疹の認められていない部位を選ん
だ。パネラーは乾皮症で悩んでいる5名で行った。水分
計から読み取った本試験(実施例1により得られた本発
明品を用いた)と対照試験(水使用)との角層水分含有
量の変化の平均値を図1に示した。1回塗布試験の測定
方法は下記のとおりである。
【0042】測定方法 1)パネラーの前腕屈側に5×5cmの被験部位と対照部
位を設定する。 2)それぞれの部位の角層水分含有量を測定する。 3)試料塗布直後、30,60,90,120分後の角
層水分含有量を測定する。
【0043】図1から、本発明品は、塗布直後、角層水
分含有量において、対照の約10倍ほどの増加が認めら
れた。また、塗布後30分から120分までについてみ
ると、本発明品塗布部位では、120分まで対照の2〜
3倍の水分を維持していることが分かる。
【0044】次に、本発明品の乾皮症の治療効果を数値
的に実証するために、水分計(SKICON200)を
用いて本発明品使用前と2週間使用後の水負荷試験を行
った。パネラーは図1で使用した5名を用いて行い、測
定条件も1回塗布試験と同一条件下で行った。なお、効
果判定に季節的な生体角層の水分含量の変化が影響しな
いように必ず対照(本発明品無塗布部位での測定)をお
くようにした。角層水分含有量はパネラー5名の平均値
で示した。この結果を図2に示した。本発明品は、実施
例1により得られたものを用いた。また、水負荷試験の
測定方法は下記のとおりである。
【0045】測定方法 1)被験部位の角層水分量を測定する。 2)蒸留水を1滴被験部位にのせ、10秒後に乾いたガ
ーゼで水滴を完全に拭きとる。 3)拭きとった直後、30,60,90,120秒後の
角層水分含有量を測定する。
【0046】図2のグラフが示すように、本発明品塗布
により、皮膚の水分吸水能(水負荷後0秒の角層水分含
有量から負荷前の角層水分含有量の値を引いたもの)、
水分保持能(水負荷後0秒から120秒までの角層水分
含有量の描く曲線)の双方を同時に改善させていること
が分かる。
【0047】すなわち、本発明品使用前の皮膚は、水負
荷前の角層水分含有量が非常に低く(平均4.0)、吸
水能(平均41.2)もかなり低下している。また、水
分保持能も正常人の皮膚の角層は、吸水した水分を徐々
に放出していくのに比べ、水負荷30秒後には、水負荷
前の値に戻ってしまっている。これらの結果は、測定し
た病的角層においては、吸水能、水分保持能、バリア機
能すべてが低下していることを物語っている。これに対
し、本発明品使用後の皮膚は、水負荷前の角層水分含有
量も吸水能も2〜3倍に増え、水分保持能も正常人と変
わらないほどにかなり改善されていることが分かった。
【0048】このことから、本発明品は、病的角層の水
分含有状態やバリア機能改善について優れた作用がある
といえる。また、1回塗布試験より得た保湿作用と合わ
せて本発明品を評価すると、本発明品は、角層の吸水
能、水分保持能を増大し、水分を外界から多く吸収し、
さらに、一度吸収した水分を放さないようにする性質を
角層に与えるという保湿作用があるといえる。
【0049】さらに、本発明品の皮脂量の分泌抑制効果
を実験的に例証するために、洗顔後の皮脂量の変化を測
定した。パネラーは表6で使用した中から無作為に選ん
だ5名を用い、本試験(洗顔後、本発明品を塗布)と対
照試験(洗顔のみ)との皮脂量の変化の平均値を図3に
示した。なお、本発明品は、実施例1により得られたも
のを用いた。
【0050】図3のグラフに示すように、本発明品を塗
布すると皮脂量の増大がかなり抑制されることが判明し
た。この本発明品の皮脂量分泌抑制効果からも、ニキビ
の予防治療効果が裏付けられた。本発明品を化粧品とし
て肌に塗布すると、肌がつるつるする、きめが細かくな
るという効果があることが、次の試験から明らかになっ
た。
【0051】本発明品をパネラーの右腕部位に1日2回
1ケ月間塗布させ、本発明品塗布部位を動摩擦計で測定
した。対照は左腕の同部位を用いた。パネラーは6名で
行った。測定条件は下記のとおりである。 温 度 25℃ 湿 度 60% 使用センサー KES−SE摩擦感テスターSE−2タ
イプ(0.5mmピアノワイヤー使用) 摩擦静荷重 50gf 測定速度 1mm/sec 測定距離 30mm(積分有効範囲20mm)
【0052】本発明品を塗布していない左腕の部位で
は、MMD(変動係数)0.0182であったのが、本
発明品を1ケ月間塗布した右腕の部位では、、MMD
(変動係数)0.0068に下がった。6名の平均値も
ほぼ同様であった。これは、表面の凹凸による変動が小
さくなったためと考えられ、このことから、肌のきめが
細かくなったこと、さらにしわがのび肌が若がえること
が判明した。なお、同時にMIU(摩擦係数)も調べた
ところ、塗布前は0.130であったのが、1ケ月塗布
後の肌は0.075に下がり、肌をつるつるさせる効果
をも合わせ持ち、肌が若い人みたいになめらかになる老
化防止効果をも持つことが判明した。
【0053】さらに、本発明の美白作用を例証するため
に、チロシナーゼ活性阻害作用の試験を行った。操作方
法としては、基質液(0.04%チロシン溶液)、緩衝
液(McllvaineBuffer pH6.8)各1mlを吸光セル
に正確に取り、水および実施例1で得られた本発明品
を、それぞれ1mlづつ正確に入れ、攪拌混和して35℃
に保ち、5分後、吸光度目盛を波長475nmに合わせ
てゼロ補正を行い、次いで、チロシナーゼ溶液(チロシ
ナーゼ5.3mgを0.9%NaCl溶液に溶かしたも
の)0.02mlを正確に加え、直ちに攪拌してインキュ
ベートした。この時の吸光度を経時間(3分置き)に測
定し、表7に示した。
【0054】
【表7】
【0055】表7に示す測定結果から、本発明品は、チ
ロシナーゼ活性阻害作用を有することが分かる。このこ
とから、本発明品には美白作用があるといえる。
【0056】さらに、前記に述べたように、本発明品
は、医薬品として使用できるほどの保湿作用も持ってい
る。したがって、化粧品の基本となる作用を全て満足し
ていることになり、クリーム、乳液、化粧水、クレンジ
ング、パック、石けん等、幅広い利用用途がある。ま
た、本発明品を飲用することによっても、上記と同様の
効果が得られる。
【0057】本発明品は、食品の保存剤、抗酸化剤、鮮
度保持剤としても利用できる。グラム陽性菌の代表とし
て、米飯やパンなどの腐敗を起こす Bacillus subtili
s、Bacillus cereus 、およびグラム陰性菌の代表とし
て、一般的な汚染の指標とされている大腸菌 Escherich
ia coli に対する本発明品の抗菌力試験とその結果を示
すと、次のとおりである。
【0058】培地は、普通寒天培地10mlに本発明品
(実施例1で得られたもの)1ml添加したものを用い
た。コントロールとして、本発明品の代わりに水1mlを
添加したものを用いた。培養は35℃で行ない、10,
24,48,72時間経過時の各菌の発育状態を観察
し、表8〜10に示した。
【0059】
【表8】
【0060】
【表9】
【0061】
【表10】
【0062】表8〜10から分かるように、コントロー
ルとして水を添加した培地においては、10時間培養し
た時点ですでにどの菌の場合も発育が大となっているの
に対して、本発明品を添加した培地では、 Bacillus su
btilis、Bacillus cereus に対しては72時間培養した
時点においても、完全に発育が阻害されていた。また、
Escherichia coli に対しては48時間以上培養するこ
とにより、発育が認められたが、この場合も、コントロ
ールと比べると大きな抗菌効果が認められた。
【0063】次に、本発明品による酸化物の生成抑制効
果をロダン鉄法により調べた。すなわち、本発明品によ
るきわめて酸化されやすいリノール酸の酸化抑制効果を
調べた。測定方法は以下に示すとおりである。
【0064】試薬の調製 0.2M リン酸緩衝液(pH7.0) 2.6% リノール酸エタノール溶液 75% エタノール溶液 30% アンモニウムチオシアネート 0.02M 塩化第二鉄の35%塩酸溶液
【0065】操作方法 試料溶液0.2ml、0.2Mリン酸緩衝液0.1m
l、水0.5ml、2.6%リノール酸エタノール溶液
0.2mlを加えてよく混合し、37℃で5日間放置す
る。 の酸化処理液50μl、75%エタノール溶液
4.85ml、30%アンモニウムチオシアネート50μ
l、0.02M塩化第二鉄の35%塩酸溶液50μlを
混合し、5分後に500nmの吸光度を測定する。 また、サンプルの代わりに蒸留水を用いて同様に行
い、ブランクとする。 結果は表11に示した。
【0066】
【表11】
【0067】表11から明らかなように、本発明品は、
きわめて酸化されやすいリノール酸に対して、優れた酸
化防止効果を持つことが判明した。
【0068】さらに、本発明品は、野菜、魚類等の鮮度
保持剤として有効であるが、本発明品をレタスに噴霧し
て試験を行った結果を示すと、次のとおりである。レタ
スに水を噴霧して常温で放置しておくと、12時間後に
はしなってきて、2日目には傷口が褐変した。ところ
が、本発明品を50倍に希釈して噴霧したレタスにおい
ては、19時間後までみずみずしく、また、3日目まで
変色しなかった。
【0069】このように、本発明品は、人体に対して安
全でさまざまな菌に対する抗菌効果、褐変防止効果、さ
らには抗酸化効果を有することから、保存料さらには抗
酸化鮮度保持剤として、広く食品に用いることができる
ものである。
【0070】
【発明の効果】前記のデーターからも明らかなように、
もち米の糖化物あるいはさらにアルコール発酵、乳酸発
酵、酢酸発酵等の有機酸発酵を行うことにより、簡単
に、しかも、全く安全で、活性酸素消去効果に優れ、熱
に対しても安定な活性酸素消去剤が得られる。
【0071】米は今まで主食であったため、食以外の新
規な分野での製法、利用用途はほとんど開発されていな
かった。さらに、米は主食とされてきたことにより、安
全性も実証されているものである。このことは、もち米
においても同様である。したがって、本発明は、医薬
品、化粧品、食品と幅広い分野で利用可能な活性酸素消
去剤を、安全性が実証されている身近なもち米から簡単
に得られることを見出したものであるばかりでなく、米
の過剰生産といわれている現在、新たな利用用途を見出
したこと、および米のイメージアップによる消費拡大を
図り得ることは極めて有意義なことである。
【0072】
【実施例】
実施例1 もち米10kgを粉砕機で粉砕し、これに4リットルの水
を散水し、よく攪拌して20分間放置した後、蒸米機で
蒸煮した。この蒸したもち米に温水20リットル、糖化
酵素10gを加えよく攪拌し、50〜55℃で24時間
糖化を行った。その後、しぼり機でしぼり、本発明品1
9リットルと残渣11kgを得た。
【0073】実施例2 もち米10kgを粉砕機により粉砕し、実施例1と同様に
散水、蒸煮したもち米に水20リットル、麹米6kg、乳
酸140g、酵母を添加した。2ケ月後、粉砕して散水
蒸煮したもち米20kg、水40リットル、麹米8kgを添
加し、3日後に粉砕し散水蒸煮したもち米40kg、水6
0リットル、澱粉分解酵素40gを添加した。品温10
〜20℃に保って糖化および発酵を行った。15ケ月後
にしぼり機でしぼり、本発明品159リットルと残渣3
9kgを得た。
【0074】実施例3 実施例2で得られた本発明品10リットルを4倍に希釈
し、これに種酢20リットルを加え、27℃に加温した
後、酢酸菌を表面に植え保温し、7日間酢酸発酵を行っ
た。その後、濾過して酢酸菌を除去し、本発明品9リッ
トルを得た。
【0075】実施例4 実施例1で得られた本発明品10リットルに乳酸菌培養
液500mlを加え、35〜37℃で48時間乳酸発酵を
行った。その後、濾過して本発明品10リットルを得
た。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明品と水の保湿効果について、水分計(S
KICON200)を用い1回塗布試験を行った結果を
示すグラフである。
【図2】本発明品使用前と2週間使用後の水負荷試験を
行った結果を示すグラフである。
【図3】洗顔後に本発明品を塗布した場合と洗顔のみの
場合の皮脂量の変化について試験した結果を示すグラフ
である。

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 もち米の糖化物あるいはさらにアルコー
    ル発酵、乳酸発酵、酢酸発酵等の有機酸発酵を行ったも
    のをそのまま、あるいはこれを含有することを特徴とす
    る活性酸素消去剤。
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Cited By (7)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2001131081A (ja) * 1999-11-09 2001-05-15 Shinei Ferumentekku:Kk スーパーオキサイド消去剤および飲料
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JP2016084303A (ja) * 2014-10-24 2016-05-19 共栄化学工業株式会社 抗酸化剤、皮膚化粧料及び毛髪化粧料

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