JPH05310585A - 稲藁、麦藁および籾殻からの活性酸素消去剤 - Google Patents

稲藁、麦藁および籾殻からの活性酸素消去剤

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JPH05310585A
JPH05310585A JP4147907A JP14790792A JPH05310585A JP H05310585 A JPH05310585 A JP H05310585A JP 4147907 A JP4147907 A JP 4147907A JP 14790792 A JP14790792 A JP 14790792A JP H05310585 A JPH05310585 A JP H05310585A
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rice
active oxygen
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JP4147907A
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Takashi Tokuyama
孝 徳山
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Soken Co Ltd
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Soken Co Ltd
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  • Food Preservation Except Freezing, Refrigeration, And Drying (AREA)
  • Medicines Containing Plant Substances (AREA)
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 安全で医薬、食品、化粧品など幅広い分野で
使用可能な活性酸素消去剤を提供する。 【構成】 稲藁、麦藁および籾殻からの水抽出物または
有機溶媒抽出物をそのまま、あるいはこれを含有してな
ることを特徴とする活性酸素消去剤。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、稲藁、麦藁および籾殻
からの水抽出物または有機溶媒抽出物をそのまま、ある
いはこれを含有してなることを特徴とする安全で医薬、
食品、化粧品等幅広い分野で使用可能な活性酸素消去剤
に関するものである。
【0002】
【従来の技術】人間が健康体を保っている場合、生体内
の活性酸素と生体内での活性酸素消去酵素であるSOD
(スーパーオキサイドジスムターゼ)は、常にバランス
がとれており、活性酸素の濃度は、ほぼ一定に保たれて
いる。しかし、現在では、食生活のアンバランス、過度
のストレスおよび高齢化などにより、SODの生成が減
少し、また、一方では、喫煙、大気汚染などにより、活
性酸素が増加している。
【0003】その結果、生体内に活性酸素が過剰に存在
し、様々な組織障害をもたらしている。特に高齢者の場
合、SOD活性が低下し、活性酸素濃度が高くなること
により、関節リウマチやペーチェット病などの障害を起
こしている。また、活性酸素により生成する過酸化脂質
は、心筋梗塞、脳卒中、白内障、シミ、ソバカス、皺、
糖尿病、動脈硬化、肩凝り、冷え性などの近代病の主原
因となっている。
【0004】また、高齢者でなくても、皮膚のように紫
外線などのような環境因子の刺激を直接受ける部位で
は、活性酸素が特に生成しやすいため、活性酸素濃度の
上昇にともない、メラニン色素の生成、シミ、小皺等の
障害を起こしやすくなっている。
【0005】そこで、上述のような各種障害のもととな
る過剰な活性酸素を消去するSODが注目をあび、これ
らの障害を予防または治療するために、SODを医薬品
としたり、化粧品や食品に添加したりして利用する試み
は行われてきた。
【0006】しかし、SODは熱に不安定であり、しか
も、経口投与により失活してしまうため、また、著しく
高価であるため、SODによる活性酸素の消去は未だ成
功していない。
【0007】上記実情から、活性酸素消去剤(SOD酵
素と同じような働きをする抗酸化物質を含むもの)の研
究が行われ、生薬抽出エキス等による活性酸素消去剤も
開発されているが、特殊な原料によるものであり、高価
であるばかりでなく、なかなか安定したものを供給する
ことができないのが現状である。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】以上のように活性酸素
による各種の障害が認められて以来、生体内の活性酸素
を消去するためのさまざまな研究が盛んに行われてい
る。また、現在では、高齢化社会を迎えて、より健康で
老後をすごすということが望まれている。一方、美容の
面からも、活性酸素消去剤が注目をあびている。そこ
で、人体にとって安全で安価で、各種障害を起こす活性
酸素の消去効果に優れ、しかも、簡単に製造でき、安定
して供給できる活性酸素消去剤の開発が望まれている。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、米の総合
利用研究を行ってきたその過程で、米の抽出物を用いる
活性酸素消去剤(特願平3−324029号)を開発し
た。米は2000年来食糧として安全性が実証されてき
ているものであり、安全という点では他のどのようなも
のより安全である。しかし、米をを原料として使用する
と、どうしても高価なものになってしまう。
【0010】一方、藁、籾殻は、ほとんどが飼料に使用
されているのが現状で、副産物としてしかあつかわれて
いない。しかも、藁は家畜用の粗飼料として用いられて
おり、また、籾殻は稲や麦の成熟期に雀や鳩によって喰
害をうけており、藁、籾殻の安全性は、家畜や自然の鳥
類によって確かめられているものである。
【0011】そこで、本発明者らは、安価に得られ、し
かも、安全性が実証されている藁および籾殻に着目し、
鋭意研究を重ねたところ、稲藁、麦藁(大麦、小麦を含
む)、籾殻の抽出物について活性酸素消去効果を測定し
たところ、非常に顕著な活性酸素消去効果のあることが
判明し、本発明を完成するに至った。
【0012】すなわち、本発明は、稲藁、麦藁および籾
殻からの水抽出物または有機溶媒抽出物をそのまま、あ
るいはこれを含有してなることを特徴とする活性酸素消
去剤であって、籾殻および稲藁を水抽出(酸、アルカリ
抽出も含む)またはアルコールなどの有機溶媒で抽出に
より、簡単、安価に、しかも全く安全に上記の効果を顕
す非常に優れた活性酸素消去剤が得られるのである。
【0013】稲藁または籾殻を水抽出または有機溶媒抽
出する場合、粉砕または粉体化すると表面積が大きくな
るため、極めて抽出効率が良好になる。この方法は、粉
砕機または裁断機を用い、一般的な方法によればよい。
粉砕しなくてもよいが、この場合には、藁組織の分解お
よび抽出に長時間を要する。
【0014】水抽出に当たっては、籾殻、藁をそのま
ま、好ましくは粉砕または粉体化したものに加水する。
加水量については、試料に対して4〜30倍量で効率よ
く抽出されるが、収率、作業性、最終使用目的等に応じ
て適宜選定すればよい。この後加温してゆき、沸騰状態
になった時点で抽出を完了する。抽出を完了した後、使
用目的により圧搾、濾過を行えば、清澄な抽出液が得ら
れる。なお、最初から熱水を加えて抽出を行ってもよ
い。
【0015】抽出液中の有効成分は解明されていない
が、この未知の有効成分が熱に安定であることは確認で
きたので、水抽出の際の抽出温度は、高温が効率的であ
る。低温でも長時間置けば、充分に抽出を行うことがで
きる。ただし、40℃以下の低温の場合は、pHを酸性
あるいはアルカリ性にするか、防腐剤を加えることが必
要である。抽出時間は、沸騰抽出の場合には短時間でよ
いが、それ以下の中温の場合には、数時間から一昼夜が
必要である。低温の場合は、藁、籾殻の粉砕状態にもよ
るが、数日〜1ケ月必要である。ただし、この場合に
も、なるべく最後には加熱するのがより効果的である。
【0016】抽出液中の有効成分は、酸、アルカリに安
定であるためか、酸抽出あるいはアルカリ抽出を行うの
も有効である。また、水抽出の場合、藁、籾殻の組織に
働く酵素(例えば、セルラーゼ、ヘミセルラーゼ等)を
反応させて前処理を行い、抽出する方法が効率的であ
る。これは、前処理により、有効成分がより抽出されや
すくなるためであると思われる。
【0017】さらに、有機溶媒抽出でも、本効果をもっ
たエキスが抽出されることが判明した。このことは、有
効成分の解明を進める上で、また、有効成分を濃厚に抽
出したり、水に溶けないものとの配合という利用用途の
上で極めて有効である。この場合、なるべく微粉砕また
は粉体化することが好ましい。また、ここで用いる有機
溶媒はアルコールのような人体に投与しても安全なもの
を使用することが望ましい。
【0018】さらに、アルコール発酵、乳酸発酵等の発
酵を組み合わせても同等の効果であった。なお、本発明
品の籾殻および藁からの抽出には、以上のように有機溶
媒抽出または水抽出し、その抽出物中の有効成分をさら
に溶媒抽出すると、より有効である。しかし、これは、
濃縮状態が得られるためと思われ、濃縮することにより
同等の効果が得られる。
【0019】藁は粗飼料として毎日家畜に給餌されてい
るが、籾殻と共に農産廃物であって、あまりにも身近す
ぎて、活性酸素消去剤として使用する概念さえなく、こ
のように簡単な処理によって活性酸素消去剤を製造しう
るとは思いもよらないことであり、従来は焼却するか、
堆肥製造の原料でしかみられておらず、その含有する有
効成分を使用するなど考えもよらないことだったわけで
ある。本発明においては、水抽出、酸、アルカリ抽出、
有機溶媒抽出など十分抽出操作を行うことにより、初め
て、非常に優れた活性酸素消去剤としての目的を達成す
ることができるようにしたのである。
【0020】本発明品の活性酸素消去効果について、以
下に記載する。まず、本発明品のスーパーオキサイド消
去剤としての効果を調べた。試験方法はNBT法により
行った。
【0021】試薬の調整 0.05M Na2 CO3 緩衝液(pH10.2) 3mMキサンチン溶液;キサンチン45.64mgを
の緩衝液に溶解して100mlとする。 3mM EDTA溶液;EDTA・2Na 11
1.7mgを蒸留水で溶解して100mlとする。 BSA溶液;Bovine Serum Albumin(Sigma 製)1
5mgを蒸留水に溶解して10mlとする。 0.75mM NBT溶液;NBT(ニトロブルー
テトラゾリウム)61.32mgを蒸留水に溶解して10
0mlとする。 キサンチンオキシダーゼ溶液;キサンチンオキシダ
ーゼを蒸留水で希釈し、後記の操作法(分析法)の空試
験における吸光度が0.2〜0.23の範囲になるよう
に調整する。 6mM CuCl2 溶液;CuCl2 ・2H2
102.29mgを蒸留水に溶解して100mlとする。
【0022】操作法 試験管にNa2 CO3 緩衝液2.4mlをとり、これ
にキサンチン溶液、EDTA溶液、BSA溶液、NBT
溶液を各0.1ml加える。 次いで、試料溶液0.1mlを加え、25℃で10分
間放置後、キサンチンオキシダーゼ溶液0.1mlを加
え、手早く攪拌し、25℃でインキュベートする。 20分後にCuCl2 溶液0.1mlを加えて反応を
停止させ、560nmで吸光度を測定する。 比較のため、サンプルの代わりにスーパーオキサイ
ドジスムターゼ(Cu、Zn型SOD、活性3000〜
4000 unit /mg 和光純薬)水溶液0.1mlについ
ても同様に行い、この値をスーパーオキサイド消去率1
00とする。 また、サンプルの代わりに蒸留水を用いて同様に行
いブランクとする。測定結果を表1に示した。
【0023】
【表1】 注1 水抽出物は実施例1に準じて得たもの 注2 有機溶媒抽出物は実施例2に準じて得たもの
【0024】以上のように、水抽出物においても、有機
溶媒抽出物においても、スーパーオキサイド消去効果が
あることが分かった。
【0025】次に、本発明品の熱安定性について調べ
た。まず、実施例1,3により得られた本発明品および
SODを90℃10分間加熱処理し、そのスーパーオキ
サイド消去能を調べた。スーパーオキサイド消去率の測
定は、前記方法により行った。その結果を表2に示し
た。
【0026】
【表2】 注 サンプルは実施例1に準じて得たもの
【0027】以上のように、SODは熱に対して不安定
なのに対して、本発明品は全て熱安定性に優れているこ
とが分かった。このことより、本発明品の活性酸素を消
去する有効成分は、熱に対しても安定性に優れていると
いえる。本発明品は、非常に顕著な活性酸素消去効果を
示し、しかも、安全なものであるから、医薬、化粧品、
食品などに利用できるものである。次に、これらの用途
について説明する。
【0028】医薬品としては、抗潰瘍剤として利用でき
る。本発明品の抗潰瘍作用について調べた試験方法とそ
の結果について示すと、次のとおりである。拘束水浸ス
トレス潰瘍に対する本発明品の経口投与においての作用
を調べた。その方法は、渡辺らの方法に準じて行った。
すなわち、8週齢のddY系雄性マウスを24時間絶食
後、実施例1により得た本発明品を0.3ml/マウス経
口投与し、30分後にストレスゲージに入れ、15℃の
水中に剣状突起まで浸し、拘束水浸ストレスを負荷し
た。5時間後に頸椎脱臼して屠殺し、胃を摘出した。そ
の後、1%ホルマリン溶液1.5mlを胃内に注入し、さ
らに、同液中に浸すことにより胃組織を軽く固定し、2
4時間そのまま放置した。その後、大弯に添って切開
し、腺胃部に発生した損傷の長さ(mm)を測定し、一匹
当りのその総和を潰瘍係数として表した。また、コント
ロールとしては、ストレスゲージに入れる30分前に同
量の生理食塩水を経口投与したものを用いた。マウスは
各々15匹ずつで行った。その結果を示すと表3のとお
りである。
【0029】
【表3】
【0030】表3のように、コントロールとして生理食
塩水を投与したマウスにおける潰瘍係数の平均が65.
8であるのに対して、本発明品を投与したマウスにおけ
る潰瘍係数の平均は29.9となり、明らかに本発明品
は、経口投与することにより拘束水浸ストレス潰瘍に対
する抗潰瘍剤として有効であることが判明した。この結
果、本発明品は、胃腸粘膜から直接に作用して抗潰瘍剤
として有効な作用を示すことが判明した。
【0031】また、本発明品は、皮膚治療剤として利用
できる。各種皮膚疾患のパネラーに、本発明品を毎日、
朝、晩2回患部に塗布させ、これを1ケ月間継続して行
い診断した結果を表4に示した。
【0032】
【表4】
【0033】上記の表4に示すように、本製品にはさま
ざまな皮膚治療剤としての効果があることから、繊維芽
細胞賦活作用、さらには抗菌作用があることが分かる。
また、乾皮症、にきび等にも有用なことから、保湿作
用、脂皮の増大を適度に抑制する作用もあることが分か
るが、実際にこの保湿作用および脂皮の増大を適度に抑
制する作用について調べた試験方法とその結果を示す
と、次のとおりである。
【0034】まず、本発明品の保湿作用の強さを例証す
るために、水分計(SKICON200)を用いて1回
塗布試験を行った。測定条件として室温20℃、相対湿
度65%の環境を設定し、パネラーは測定の約10分前
から、前記の環境下で安静にさせておいた。被験部位は
(両側)前腕屈側で皮疹の認められていない部位を選ん
だ。パネラーは乾皮症で悩んでいる5名で行った。水分
計から読み取った本試験(実施例1により得られた本発
明品を用いた)と対照試験(水使用)との角層水分含有
量の変化の平均値を図1に示した。1回塗布試験の測定
方法は下記のとおりである。
【0035】測定方法 1)パネラーの前腕屈側に5×5cmの被験部位と対照部
位を設定する。 2)それぞれの部位の角層水分含有量を測定する。 3)試料塗布直後、30,60,90,120分後の角
層水分含有量を測定する。
【0036】図1から、本発明品は、塗布直後、角層水
分含有量において、対照の約10倍ほどの増加が認めら
れた。また、塗布後30分から120分までについてみ
ると、本発明品塗布部位では、120分まで対照の2〜
3倍の水分を維持していることが分かる。
【0037】次に、本発明品の乾皮症の治療効果を数値
的に実証するために、水分計(SKICON200)を
用いて本発明品使用前と2週間使用後の水負荷試験を行
った。パネラーは図1で使用した5名を用いて行い、測
定条件も1回塗布試験と同一条件下で行った。なお、効
果判定に季節的な生体角層の水分含量の変化が影響しな
いように必ず対照(本発明品無塗布部位での測定)をお
くようにした。角層水分含有量はパネラー5名の平均値
で示した。この結果を図2に示した。本発明品は、実施
例1により得られたものを用いた。また、水負荷試験の
測定方法は下記のとおりである。
【0038】測定方法 1)被験部位の角層水分量を測定する。 2)蒸留水を1滴被験部位にのせ、10秒後に乾いたガ
ーゼで水滴を完全に拭きとる。 3)拭きとった直後、30,60,90,120秒後の
角層水分含有量を測定する。
【0039】図2のグラフが示すように、本発明品塗布
により、皮膚の水分吸水能(水負荷後0秒の角層水分含
有量から負荷前の角層水分含有量の値を引いたもの)、
水分保持能(水負荷後0秒から120秒までの角層水分
含有量の描く曲線)の双方を同時に改善させていること
が分かる。
【0040】すなわち、本発明品使用前の皮膚は、水負
荷前の角層水分含有量が非常に低く(平均6.2)、吸
水能(平均43.8)もかなり低下している。また、水
分保持能も正常人の皮膚の角層は、吸水した水分を徐々
に放出していくのに比べ、水負荷30秒後には、水負荷
前の値に戻ってしまっている。これらの結果は、測定し
た病的角層においては、吸水能、水分保持能、バリア機
能すべてが低下していることを物語っている。これに対
し、本発明品使用後の皮膚は、水負荷前の角層水分含有
量も吸水能も2〜3倍に増え、水分保持能も正常人と変
わらないほどにかなり改善されていることが分かった。
【0041】このことから、本発明品は、病的角層の水
分含有状態やバリア機能改善について優れた作用がある
といえる。また、1回塗布試験より得た保湿作用と合わ
せて本発明品を評価すると、本発明品は、角層の吸水
能、水分保持能を増大し、水分を外界から多く吸収し、
さらに、一度吸収した水分を放さないようにする性質を
角層に与えるという保湿作用があるといえる。
【0042】さらに、本発明品の皮脂量の分泌抑制効果
を実験的に例証するために、洗顔後の皮脂量の変化を測
定した。パネラーは表4で使用した中から無作為に選ん
だ5名を用い、本試験(洗顔後、本発明品を塗布)と対
照試験(洗顔のみ)との皮脂量の変化の平均値を図3に
示した。なお、本発明品は、実施例1により得られたも
のを用いた。
【0043】図3のグラフに示すように、本発明品を塗
布すると皮脂量の増大がかなり抑制されることが判明し
た。この本発明品の皮脂量分泌抑制効果からも、ニキビ
の予防治療効果が裏付けられた。本発明品を化粧品とし
て肌に塗布すると、肌がつるつるする、きめが細かくな
るという効果があることが、次の試験から明らかになっ
た。
【0044】本発明品をパネラーの右腕部位に1日2回
1ケ月間塗布させ、本発明品塗布部位を動摩擦計で測定
した。対照は左腕の同部位を用いた。パネラーは6名で
行った。測定条件は下記のとおりである。 温 度 25℃ 湿 度 60% 使用センサー KES−SE摩擦感テスターSE−2タ
イプ(0.5mmピアノワイヤー使用) 摩擦静荷重 50gf 測定速度 1mm/sec 測定距離 30mm(積分有効範囲20mm)
【0045】本発明品を塗布していない左腕の部位で
は、MMD(変動係数)0.0172であったのが、本
発明品を1ケ月間塗布した右腕の部位では、、MMD
(変動係数)0.0061に下がった。6名の平均値も
ほぼ同様であった。これは、表面の凹凸による変動が小
さくなったためと考えられ、このことから、肌のきめが
細かくなったこと、さらにしわがのび肌が若がえること
が判明した。なお、同時にMIU(摩擦係数)も調べた
ところ、塗布前は0.125であったのが、1ケ月塗布
後の肌は0.080に下がり、肌をつるつるさせる効果
をも合わせ持ち、肌が若い人みたいになめらかになる老
化防止効果をももつことが判明した。
【0046】さらに、本発明の美白作用を例証するため
に、チロシナーゼ活性阻害作用の試験を行った。操作方
法としては、基質液(0.04%チロシン溶液)、緩衝
液(McllvaineBuffer pH6.8)各1mlを吸光セル
に正確に取り、水および実施例1で得られた本発明品
を、それぞれ1mlづつ正確に入れ、攪拌混和して35℃
に保ち、5分後、吸光度目盛を波長475nmに合わせ
てゼロ補正を行い、次いで、チロシナーゼ溶液(チロシ
ナーゼ5.3mgを0.9%NaCl溶液に溶かしたも
の)0.02mlを正確に加え、直ちに攪拌してインキュ
ベートした。この時の吸光度を経時間(3分置き)に測
定し、表5に示した。
【0047】
【表5】
【0048】表5に示す測定結果から、本発明品は、チ
ロシナーゼ活性阻害作用を有することが分かる。このこ
とから、本発明品には美白作用があるといえる。
【0049】さらに、前記に述べたように、本発明品
は、医薬品として使用できるほどの保湿作用も持ってい
る。したがって、化粧品の基本となる作用を全て満足し
ていることになり、クリーム、乳液、化粧水、クレンジ
ング、パック、石けん等、幅広い利用用途がある。ま
た、本発明品を飲用することによっても、上記と同様の
効果が得られる。
【0050】本発明品は、食品の保存剤、抗酸化剤、鮮
度保持剤としても利用できる。グラム陽性菌の代表とし
て、米飯やパンなどの腐敗を起こす Bacillus subtili
s、Bacillus cereus 、およびグラム陰性菌の代表とし
て、一般的な汚染の指標とされている大腸菌 Escherich
ia coli に対する本発明品の抗菌力試験とその結果を示
すと、次のとおりである。
【0051】培地は、普通寒天培地10mlに本発明品
(実施例5で得られたもの)1ml添加したものを用い
た。コントロールとして、本発明品の代わりに水1mlを
添加したものを用いた。培養は35℃で行ない、10,
24,48,72時間経過時の各菌の発育状態を観察
し、表6〜8に示した。
【0052】
【表6】
【0053】
【表7】
【0054】
【表8】 注1 評価は −:発育せず +:少し発育あり ++:発育あり +++ :発育大
【0055】表6〜8から分かるように、コントロール
として水を添加した培地においては、10時間培養した
時点ですでにどの菌の場合も発育が大となっているのに
対して、本発明品を添加した培地では、 Bacillus subt
ilis、Bacillus cereus に対しては72時間培養した時
点においても、完全に発育が阻害されていた。また、Es
cherichia coli に対しては48時間以上培養すること
により、発育が認められたが、この場合も、コントロー
ルと比べると大きな抗菌効果が認められた。
【0056】次に、本発明品による酸化物の生成抑制効
果をロダン鉄法により調べた。すなわち、本発明品によ
るきわめて酸化されやすいリノール酸の酸化抑制効果を
調べた。測定方法は以下に示すとおりである。
【0057】試薬の調製 0.2M リン酸緩衝液(pH7.0) 2.6% リノール酸エタノール溶液 75% エタノール溶液 30% アンモニウムチオシアネート 0.02M 塩化第二鉄の35%塩酸溶液
【0058】操作方法 試料溶液0.2ml、0.2Mリン酸緩衝液0.1m
l、水0.5ml、2.6%リノール酸エタノール溶液
0.2mlを加えてよく混合し、37℃で5日間放置す
る。 の酸化処理液50μl、75%エタノール溶液
4.85ml、30%アンモニウムチオシアネート50μ
l、0.02M塩化第二鉄の35%塩酸溶液50μlを
混合し、5分後に500nmの吸光度を測定する。 また、サンプルの代わりに蒸留水を用いて同様に行
い、ブランクとする。 結果は表9に示した。
【0059】
【表9】
【0060】表9から明らかなように、本発明品は、き
わめて酸化されやすいリノール酸に対して、優れた酸化
防止効果を持つことが判明した。
【0061】さらに、本発明品は、野菜、魚類等の鮮度
保持剤として有効であるが、本発明品をレタスに噴霧し
て試験を行った結果を示すと、次のとおりである。レタ
スに水を噴霧して常温で放置しておくと、12時間後に
はしなってきて、2日目には傷口が褐変した。ところ
が、本発明品を50倍に希釈して噴霧したレタスにおい
ては、20時間後までみずみずしく、また、4日目まで
変色しなかった。
【0062】このように、本発明品は、人体に対して安
全でさまざまな菌に対する抗菌効果、褐変防止効果、さ
らには抗酸化効果を有することから、保存料さらには抗
酸化鮮度保持剤として、広く食品に用いることができる
ものである。
【0063】
【発明の効果】前記のデーターからも明らかなように、
稲藁、麦藁および籾殻を水抽出あるいは有機溶媒抽出す
ることにより、簡単に、しかも、全く安全で活性酸素消
去効果に優れ、熱に対しても安定なしかも、さまざまな
用途で効果を有する活性酸素消去剤が得られる。
【0064】藁は今までほとんど飼料用としての用途し
か考えられていなかったものであり、本発明品のような
活性酸素消去効果に優れたものが簡単、安価に得られた
ことは、従来考えられなかった新しい利用用途を開発し
たばかりでなく、藁の付加価値をつけることにより、し
いては、米、麦作に付加価値をつけることになり、その
効果は極めて大きいものである。
【0065】
【実施例】
実施例1 稲藁1kgをよく粉砕し、これに水10リットルを加え、
よく攪拌した。その後、徐々に温度を上げてゆき、10
分間煮沸抽出した後、30℃まで冷却した。その後、し
ぼり機でしぼり、本発明品8.2リットルと残査2.5
kgを得た。
【0066】実施例2 麦藁1kgをよく粉砕し、60%エタノール10リットル
に24時間浸漬放置後、しぼり機でしぼり、抽出液8.
0リットルと残査2.6kgを得た。
【0067】実施例3 籾殻1kgをよく粉砕し、希アルカリ液10リットルに浸
漬して24時間放置した。これをしぼり機でしぼり、抽
出液8.2リットルと残査2.6kgを得た。これを塩酸
で中和し、本発明品とした。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明品と水の保湿効果について、水分計(S
KICON200)を用い1回塗布試験を行った結果を
示すグラフである。
【図2】本発明品使用前と2週間使用後の水負荷試験を
行った結果を示すグラフである。
【図3】洗顔後に本発明品を塗布した場合と洗顔のみの
場合の皮脂量の変化について試験した結果を示すグラフ
である。

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 稲藁、麦藁および籾殻からの水抽出物ま
    たは有機溶媒抽出物をそのまま、あるいはこれを含有し
    てなることを特徴とする活性酸素消去剤。
JP4147907A 1992-05-15 1992-05-15 稲藁、麦藁および籾殻からの活性酸素消去剤 Pending JPH05310585A (ja)

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Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2023190668A1 (ja) * 2022-03-29 2023-10-05 ケイワート・サイエンス株式会社 植物付与水溶液の製造方法

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